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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H02M |
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管理番号 | 1114648 |
異議申立番号 | 異議2003-73177 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-22 |
確定日 | 2005-01-26 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3422218号「コンバータ」の請求項1ないし15に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3422218号の請求項1ないし3、7ないし15に係る特許を取り消す。 同請求項4ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許第3422218号の請求項1ないし15に係る発明は、平成9年6月9日(優先権主張平成8年10月11日、日本国)の出願であって、平成15年4月25日に特許の設定登録がなされ、その後、伊佐治卓哉及び三菱電機株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年9月14日に訂正請求がなされたものである。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 訂正請求は、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における 「スイッチング手段(S1)を電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段(3)(13)(23)(33)(43)を設けた」を、 「スイッチング手段(S1)を電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S1)を制御する制御手段(3)(13)(23)(33)(43)を設けた」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9における 「スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けた」を、 「スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けた」と訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項10における 「スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けた」を、 「スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けた」と訂正する。 (4)訂正事項4 発明の詳細な説明の段落【0015】における 「電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御」を、 「電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御」と訂正する。 (5)訂正事項5 発明の詳細な説明の段落【0019】における 「スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御」を、 「スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御」と訂正する。 (6)訂正事項6 発明の詳細な説明の段落【0020】における 「スイッチングさせるべく制御」を、 「オン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、請求項1において、制御手段がオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S1)を制御することに限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、本件特許明細書の段落【0041】及び図7等の記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、請求項9において、訂正事項1と同様の限定を加えるもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、本件特許明細書の段落【0078】及び図26等の記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、請求項10において、訂正事項1と同様の限定を加えるもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、本件特許明細書の段落【0095】等の記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 (4)訂正事項4〜6 訂正事項4〜6は、上記訂正事項1、2及び3の訂正に、発明の詳細な説明の記載を整合させるもので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項並びに第3項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについて 1.申立ての理由の概要 (1)特許異議申立人・伊佐治卓哉は、本件特許の請求項1ないし15に係る発明は、次の甲第1号証に基づき容易に発明をすることができたもので、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたもので、取り消されるべきであるとの主張をしている。 甲第1号証:An improved high power factor and low cost three-phase rectifier Mehl,E.L.M.;Barbi,I.;Applied Power Electronics Conference and Exposition,1995.APEC’95.Conference Proceedings 1995,Tenth Annual Issue:5-9 March 1995,835〜841頁 vol.2 (2)特許異議申立人・三菱電機株式会社は、本件特許の請求項1ないし15に係る発明は、次の甲第1号証〜甲第12号証に基づき容易に発明をすることができたもので、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたもので、取り消されるべきであるとの主張をしている。 なお、甲第12号証については、特許異議申立人は、本件特許に係る出願の出願前に頒布されたものと述べているが、出願前ではあるが、優先日の後に刊行されたものである。 甲第1号証:特開平6-113548号公報 甲第2号証:特開昭53-17952号公報 甲第3号証:特開平7-7946号公報 甲第4号証:特開昭54-101148号公報 甲第5号証:特開昭59-198873号公報 甲第6号証:特開平3-65056号公報 甲第7号証:特開平6-245527号公報 甲第8号証:特開平8-228487号公報 甲第9号証:特開昭56-46663号公報 甲第10号証:特開平6-253540号公報 甲第11号証:電気学会論文誌D、産業応用部門誌112巻5号(平成4年5月)、497〜498頁 甲第12号証:IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRY APPLICATIONS、VOL.33,NO.2、MARCH/APRIL 1997 485〜492頁 2.本件各発明 本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 交流電源に対してリアクトル(1)を介して全波整流回路(2)を接続し、全波整流回路(2)の出力端子間に平滑用コンデンサ(C2)と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C11)(C12)とを互いに並列接続し、全波整流回路(2)の入力端子と昇圧用コンデンサ(C11)(C12)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S1)を接続し、スイッチング手段(S1)を電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S1)を制御する制御手段(3)(13)(23)(33)(43)を設けたことを特徴とするコンバータ。(本件発明1) 【請求項2】 前記制御手段(3)(13)(23)(33)(43)は、スイッチング手段(S1)を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものである請求項1に記載のコンバータ。(本件発明2) 【請求項3】 前記制御手段(3)は、電源電圧のゼロクロスを検出し、ゼロクロスを検出したことに応答して、スイッチング手段(S1)を所定時間ターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1または請求項2に記載のコンバータ。(本件発明3) 【請求項4】 前記制御手段(13)(23)は、電源電圧のゼロクロスを含む所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1または請求項2に記載のコンバータ。(本件発明4) 【請求項5】 前記制御手段(13)は、電源電圧のゼロクロスを中心とする所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項4に記載のコンバータ。(本件発明5) 【請求項6】 前記制御手段(23)は、電源電圧のゼロクロスを含み、かつゼロクロスを基準とする進み位相側の時間が遅れ位相側の時間よりも短くなるように設定された所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項4に記載のコンバータ。(本件発明6) 【請求項7】 前記制御手段(3)は、予め設定された所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1から請求項6の何れかに記載のコンバータ。(本件発明7) 【請求項8】 前記制御手段(43)は、負荷に供給される直流電圧と外部から与えられる直流電圧指令値とを比較し、直流電圧を直流電圧指令値に接近させることができる所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1から請求項6の何れかに記載のコンバータ。(本件発明8) 【請求項9】 三相交流電源(100)に対してリアクトル(101)を介して三相全波整流回路(102)を接続し、三相全波整流回路(102)の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサ(C101)(C102)を接続し、三相全波整流回路(102)の各相の入力端子と平滑用コンデンサ(C101)(C102)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S101)を接続し、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けたことを特徴とするコンバータ。(本件発明9) 【請求項10】 三相交流電源(100)に対してリアクトル(101)を介して三相全波整流回路(102)を接続し、三相全波整流回路(102)の出力端子間に、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C104)(C105)を接続し、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C104)(C105)に対して、これらのコンデンサ(C104)(C105)よりも静電容量が大きい平滑用コンデンサ(C103)を並列に接続し、三相全波整流回路(102)の各相の入力端子と昇圧用コンデンサ(C104)(C105)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S101)を接続し、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチ手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けたことを特徴とするコンバータ。(本件発明10) 【請求項11】 前記制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)は、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものである請求項9または請求項10に記載のコンバータ。(本件発明11) 【請求項12】 前記制御手段(103)は、特定の高調波成分を除去し、または低減すべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間を設定するものである請求項9から請求項11の何れかに記載のコンバータ。(本件発明12) 【請求項13】 前記制御手段(103)は、負荷情報を検出し、検出値に応じてスイッチング手段(S101)(S102)(S103)をONさせるタイミングを設定するものである請求項12に記載のコンバータ。(本件発明13) 【請求項14】 前記制御手段(104)(105)(106)(107)は、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間およびスイッチング手段(S101)(S102)(S103)をONさせるタイミングを設定するものである請求項9から請求項13の何れかに記載のコンバータ。(本件発明14) 【請求項15】 前記制御手段(105)(108)(109)は、直流電圧を検出し、検出された直流電圧と直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じてスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間を設定するものである請求項9から請求項11の何れかに記載のコンバータ。(本件発明15)」 3.引用文献 3-1.引用文献1 (1)当審において通知した取消理由に引用した、本件特許に係る出願の出願(優先日)前に国内において頒布された上記特開平6-113548号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 「図1は、本発明の第1実施例を示す図である。本実施例は、負荷としてエアコンにおける誘導モータを制御した例である。同図において11はラインフィルタ、12はリアクター、13は整流ダイオード、14は半導体式スイッチ手段としてのトライアック、15は平滑コンデンサであり、整流ダイオード13と平滑コンデンサ15により整流・平滑回路が構成されている。16は出力電圧検出抵抗、17は6個のスイッチング素子からなるトランジスタモジュール、18はACコンプレッサモータで誘導モータ、19はACゼロクロス検出回路、20はトライアック駆動回路、21は出力電圧検出回路、22はマイコン等で駆動手段としての波形合成回路を含むエアコン全体のコントローラである。 次に、上述のように構成されたインバータ装置の動作を説明する。インバータ装置を用いたエアコンは周囲の環境に応じて最適な能力で運転するため、コンプレッサモータの回転速度を可変する。この場合、一般には運転周波数と運転電圧の比は一定に保ったまま速度制御を行う。本実施例における速度制御の方式は以下のように行われる。コントローラ22からのトランジスタモジュール17の駆動信号は常に通電時間を最大の状態に設定しておく。そして、運転電圧はトライアック14の通電時間を制限することによってトランジスタモジュール17に印加する直流電圧を可変することで行う。トライアック14を常時オン状態にすると、整流回路は倍電圧整流回路となり、出力電圧は280V近くに達する。また、トライアック14を常時オフ状態にすると、整流回路は常時両波整流回路となり、出力電圧は140V程度となる。また、トライアック14をAC電圧の特定の位相の位置で導通させると、その時のAC電圧の波高値に応じて出力電圧は140Vから280Vの間の値となる。そして、負荷変動などにより出力電圧が変動する可能性があるので、出力電圧検出抵抗16と出力電圧検出回路21により出力電圧の変動を検出して、最適な電圧となるようにトライアック14を通電する位相を制御する。本発明の第1実施例によれば、従来の方式に比べて、中低速回転域では導通時間を長くとることでPWM信号のデューティ比が高くなり、モータ効率が向上する。また、モータ電流の高調波成分が減少して低騒音駆動が可能となる。」(段落【0011】【0012】) (2)ここで、図1に関する上記の記載において、次のことが明らかである。 ア.トランジスタモジュール17には、可変とした直流電圧が入力されており、電源からこのトランジスタモジュール17に直流電圧を印加するまでの装置はコンバータといえるものである。 イ.平滑コンデンサ15を構成する3個のコンデンサのうち、図示右側のコンデンサは、その左の2個の直列のコンデンサと並列に接続されるものであって、通常の平滑コンデンサの機能を果たすのに対し、左側の2個のコンデンサは、これによって、トライアック14の駆動の際に、直流電圧を両波整流回路による電圧の倍電圧にまで昇圧可能なことから、昇圧コンデンサといえる。 ウ.「トライアック14をAC電圧の特定の位相の位置で導通させると、その時のAC電圧の波高値に応じて出力電圧は140Vから280Vの間の値となる。・・・最適な電圧となるようにトライアック14を通電する位相を制御する。」とされており、電源電圧であるAC電圧の変化する波において、所定の出力電圧となるように、適宜な波高値の位相において、トライアック14を通電させており、このことは、電源電圧の変動に応じて、トライアック14を制御しているといえる。 (3)以上から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。 「交流電源に対してリアクター12を介して整流ダイオード13を接続し、整流ダイオード13の出力端子間に平滑用コンデンサと、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサとを互いに並列接続し、整流ダイオード13の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にトライアック14を接続し、トライアック14を電源電圧の変動に応じてオンさせるべくトライアック14を制御するコントローラ22を設けたコンバータ。 また、負荷に供給される出力電圧を検出し、それが最適な値となるようにトライアック14を制御する。 さらに、電源電圧のゼロクロスを検出する。」(以下「引用発明1」という。) 3-2.引用文献2 (1)当審において通知した取消理由に引用した、本件特許に係る出願の出願(優先日)前に国内において頒布された上記特開昭56-46663号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ア.「ライン-ロード状態に依存して全波ブリッジとして又は位相制御電圧ダブラーとして、作動できる整流器回路の単相および3相実施例が説明される。」(4頁左下欄4〜7行) イ.「もしピーク交流入力電圧が「ブラウン・アウト(brown-out)」状態のために減少するならば、出力VXYは所望の直流レベル以下に減少し、VAB(ピーク)>VXYまたはVAB(ピーク)<VXYに依存して、回路は位相制御ブリッジ・ダブラーモードにて又は位相制御ダブラーモードにて作動する。もしVAB(ピーク)<1/2VXY(所望)ならば、回路は非制御ダブラーモードにて作動する。何れにしても、回路はフル・ブリッジ・モードにて動作を中止し、トライアック(triac)CR5はコントローラによってパルスされる。」(6頁左上欄8行〜右上欄3行) ウ.「各種のダブラーモードの間CR5がパルスされる時間の点を決定する第3図のコントローラは、第4図に示され、VABのライン周波数に同期される制御パルスを発生するために及びこれらのパルスのフェーシング(すなわち正確なタイミング)を変えるために作動し、充電時間およびC1ならびにC2が充電する電圧を制御することによってVXYを調節する。 第4図および第5図を参照して、コントローラおよびその動作を説明しよう。交流入力VABに接合されるランプ発生器は、VABに同期するがVABと無関係にピーク電圧および固定スロープを有する一定ランプ電圧を発生するように作動する。ブリッジ・ダブラー回路の出力電圧VXYは、演算エラー増幅器と両立するレベルに適当な電圧デバイダによって次に減少される。それから、そのエラー増幅器は、減少された出力信号を一定直流基準電圧VREF(この電圧は希望のVXYに比例する値に固定される)と比較して、VREFと実際の出力電圧との差を決定する。」(6頁左下欄2行〜右下欄5行) エ.「ブリッジ・ダブラー回路の動作が単相交流入力に対して説明されたが、この回路は3相交流入力に対しても同様に応用できる。3相入力を与えると、この回路は第8図のように形成され、動作のダブラーモードにスイッチするために制御素子としてトライアックを使用するかわりに、並列なシリコン制御整流器(SCR)が使用される。トライアックが使用されうるが、位相間に或る位相角度およびパルス幅状態が与えられると、トライアックは或る環境において悪い方向に電流を伝導しうる。それゆえに、SCRが使用される。何故ならば、それらは単方向デバイスであり、一度「オン」にパルスされると電流の流れる方向は固定される。 3相ブリッジ・ダブラーの動作は、単相ブリッジ・ダブラーについて前述したのと実質的に同一であるが、相互に120度の位相差で動作する3つの単相回路が今存在する。したがって、キャパシタC1およびC2は従来の3倍パルスされる。交番入力VAB,VACおよびVBCに対する動作のブリッジ・モードおよびダブラーモードに対する可能な伝導シーケンスは、次のようになる。 (中略) 3相ブリッジ・ダブラー回路のコントローラは、第9図に示され、それは、そのそれぞれの単相入力に各コントローラが同期化される3つの単相コントローラに対するのと実質的に同一に作動する。」(8頁右上欄2行〜右下欄4行) (2)ここで、図3〜6及び図8、9の記載及び上記記載から、図8に記載された回路に関して、次のことが明らかである。 ア.ダイオードCR1〜CR6は、三相全波整流回路を構成している。 イ.図5(c)、図6等に示されるように、単相入力の場合、制御素子としてのSCRは、電源電圧の半周期に1回スイッチングされており、上記(1)エのとおり、3相入力の場合も同様である。 ウ.上記(1)ア、イのとおり、電源電圧である入力電圧と出力電圧の関係によって、スイッチングされてモードが切り換えられ、また、上記(1)ウのとおり、ダブラーモードにおいて、負荷に関係する値を取るものである出力電圧が基準電圧と比較されて、その差によって、スイッチのトリガのタイミングが決定されている。 さらに、図6のとおり、変化する入力電圧の波において、所定の出力電圧となるように、適宜な位相の個所でスイッチのトリガがされている。 これらから、制御素子は、負荷変動や電源電圧の変動に応じてオンされているといえる。 (3)以上から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。 「三相交流電源に対してインダクタL1〜L3を介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続されたキャパシタC1、C2を接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子とキャパシタC1、C2どうしの接続点との間に制御素子SCRを接続し、制御素子SCRを負荷変動や電源電圧の変動に応じてオンさせるべく制御素子SCRを制御するコントローラを設けたコンバータ。 また、出力電圧が検出され、基準電圧との偏差を算出され、それに応じて制御素子のオン時間が設定されている。 さらに、制御素子としてのSCRは、電源電圧の半周期に1回スイッチングされている。」(以下「引用発明2」という。) 4.本件発明1の特許について (1)対比 本件発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1における「リアクター12」、「整流ダイオード13」、「トライアック14」、「コントローラ22」は、本件発明1における「リアクトル」、「全波整流回路」、「スイッチング手段」、「制御手段」に相当することから、両発明は、 「交流電源に対してリアクトルを介して全波整流回路を接続し、全波整流回路の出力端子間に平滑用コンデンサと、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサとを互いに並列接続し、全波整流回路の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を電源電圧の変動に応じてオンさせるべくスイッチング手段を制御する制御手段を設けたコンバータ。」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本件発明1においては、スイッチング手段はオンのみでなく、オフもするように制御されているのに対し、引用発明1においては、オンのみがなされている点。 (2)判断 ア.引用発明1においては、スイッチ手段として通常オン制御のみを行うトライアック14が使用されており、引用文献1においても、トライアック14を通電(オン)することについては記載されているが、オフ制御することについては特に言及されていない。 イ.しかし、コンバータにおいて、電源電圧に対応してスイッチングする際に、オンのみでなくオフの制御も行うことは、本件特許に係る出願の出願(優先日)前において周知であり(必要であれば、上記特開昭53-17952号公報、上記特開平7-7946号公報、上記特開昭54-101148号公報、上記特開平6-253540号公報等参照。)、特に、特開昭54-101148号公報には、スイッチとして各種の消弧可能なスイッチが使用可能であり、また、サイリスタについても消弧させるためには消弧装置を用いることが記載(2頁右下欄15行〜3頁左上欄12行)されているように、トライアック等の消弧できないスイッチ素子を用いるか、消弧可能(オフ制御可能)なスイッチ素子を用いるかは、適宜選択可能な事項である。 ウ.そして、引用発明1においては、トライアックの使用ではあっても、倍電圧整流と全波整流とを電源電圧の変動に応じて切り替えることができ、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を達成するという本件発明1と同様な作用を行っている。 また、上記のとおり、コンバータにおいて、電源電圧に対応してスイッチングする際に、オンのみでなくオフの制御も行うことは、本件特許に係る出願の出願(優先日)前において周知であるところ、スイッチング素子のオン、オフ制御によって、力率の向上を図ることができることは、当該周知の例として挙げた特開昭53-17952号公報、特開平7-7946号公報、特開平6-253540号公報にも示されているように周知の事項に過ぎない。 そうすると、本件発明1における他の作用効果である力率改善やノイズ除去についても、必要に応じて、オフ制御可能なスイッチ素子を採用することで、適宜達成できることである。 また、このことは、上記「An improved high power factor and low cost three-phase rectifier Mehl,E.L.M.;Barbi,I.;Applied Power Electronics Conference and Exposition,1995.APEC’95.Conference Proceedings 1995,Tenth Annual Issue:5-9 March 1995,835〜841頁 vol.2」に、単相ではなく3相電源についてではあるが、交流電源に対してリアクトルを介して全波整流回路を接続し、全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサを接続し、全波整流回路の入力端子と平滑用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続したコンバータにおいては、スイッチングのオン制御とともにオフ制御も行い、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になり力率が1となるものが図示されていることからも明らかである。 エ.以上から、相違点1に関する本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明1は、引用発明1及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 5.本件発明2の特許について (1)対比 本件発明2と引用発明1を対比すると、両発明は、本件発明1との対比における上記相違点1に加えて、次の点において相違している。 (相違点2) 本件発明2においては、スイッチング手段は、電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するのに対し、引用文献1には、そのような記載がない点。 (2)判断 ア.相違点1については、上記と同じである。 イ.相違点2について検討する。 引用文献1に記載のものにおいては、電源電圧のゼロクロスを検出しており、ゼロクロスによって、スイッチングする場合、ゼロクロスは半周期に1回検出されることから半周期に1回スイッチさせることは、容易に想定されることであり、このことは、上記特開昭56-46663号公報(引用文献2)にも、引用発明1と同じく全波整流と倍電圧整流を行うコンバータにおいて、電源電圧の半周期に1回スイッチングを行うことが開示されていることからも明らかである。 ウ.以上から、相違点2に関する本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明2は、引用発明1及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 6.本件発明3の特許について (1)対比 本件発明3と引用発明1を対比すると、両発明は、本件発明1との対比における上記相違点1に加えて、次の点において相違している。 (相違点3) 本件発明3においては、ゼロクロスを検出したことに応答して、スイッチング手段を所定時間ターンオンさせる制御信号を出力するのに対し、引用文献1には、そのような記載がない点。 (2)判断 ア.相違点1については、上記と同じである。 イ.相違点3について検討する。 引用文献1に記載のものにおいては、電源電圧のゼロクロスを検出しており、このことから、このゼロクロスによって、スイッチング手段を所定期間ターンオンさせることは、容易に想定されることである。 ウ.以上から、相違点3に関する本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明3は、引用発明1及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 7.本件発明7の特許について (1)対比 本件発明7と引用発明1を対比すると、両発明は、本件発明1との対比における上記相違点1に加えて、次の点において相違している。 (相違点4) 本件発明7においては、予め設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するのに対し、引用文献1には、そのような記載がない点。 (2)判断 ア.相違点1については、上記と同じである。 イ.相違点4について検討する。 引用文献1に記載のものにおいては、電源電圧の所定の位相において、スイッチ手段をターンオンさせていることから、このことは、予め設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせることと格別の相違はない。 ウ.以上から、相違点4に関する本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明7は、引用発明1及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 8.本件発明8の特許について (1)対比 本件発明8と引用発明1を対比すると、両発明は、本件発明1との対比における上記相違点1に加えて、次の点において相違している。 (相違点5) 本件発明8においては、制御手段は、負荷に供給される直流電圧と外部から与えられる直流電圧指令値とを比較し、直流電圧を直流電圧指令値に接近させることができる所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するのに対し、引用文献1には、そのような記載がない点。 (2)判断 ア.相違点1については、上記と同じである。 イ.相違点5について検討する。 引用発明1においては、負荷に供給される直流電圧(出力電圧)を検出し、それが最適な値となるようにスイッチング手段を制御しており、このような場合、直流電圧が指令値に接近するようにスイッチング手段をターンオンさせることは、当然の事項に過ぎない。 ウ.以上から、相違点5に関する本件発明8の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明8は、引用発明1及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 9.本件発明9の特許について (1)対比 本件発明9と引用発明2を対比すると、引用発明2における「インダクタL1〜L3」、「キャパシタC1、C2」、「制御素子」、「コントローラ」は、本件発明9における「リアクトル」、「平滑用コンデンサ」、「スイッチング手段」、「制御手段」に相当することから、両発明は、 「三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサを接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と平滑用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオンさせるべくスイッチング手段を制御する制御手段を設けたコンバータ。」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点A) 本件発明9においては、スイッチング手段はオンのみでなく、オフもするように制御されているのに対し、引用発明2においては、オンのみがなされている点。 (2)判断 ア.引用発明2においては、スイッチ手段として通常オン制御のみを行うSCRが使用されており、引用文献2においても、SCR又はトライアックをオン制御することについては記載されているが、オフ制御することについては特に言及されていない。 イ.しかし、コンバータにおいて、電源電圧に対応してスイッチングする際に、オンのみでなくオフの制御も行うことは、本件特許に係る出願の出願(優先日)前において周知であり(必要であれば、上記特開昭53-17952号公報、上記特開平7-7946号公報、上記特開昭54-101148号公報、上記特開平6-253540号公報等参照。)、特に、特開昭54-101148号公報には、スイッチとして各種の消弧可能なスイッチが使用可能であり、また、サイリスタについても消弧させるためには消弧装置を用いることが記載(2頁右下欄15行〜3頁左上欄12行)されているように、SCRやトライアック等の消弧できないスイッチ素子を用いるか、消弧可能(オフ制御可能)なスイッチ素子を用いるかは、適宜選択可能な事項である。 ウ.そして、引用発明2においては、SCRの使用ではあっても、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を達成できることは明らかであり、本件発明9と同様な作用を行っている。 また、上記のとおり、コンバータにおいて、電源電圧に対応してスイッチングする際に、オンのみでなくオフの制御も行うことは、本件特許に係る出願の出願(優先日)前において周知であるところ、スイッチング素子のオン、オフ制御によって、力率の向上を図ることができることは、当該周知の例として挙げた特開昭53-17952号公報、特開平7-7946号公報、特開平6-253540号公報にも示されているように周知の事項に過ぎない。 そうすると、本件発明9における他の作用効果である力率改善、ノイズ除去、高調波低減等についても、必要に応じて、オフ制御可能なスイッチ素子を採用することで、適宜達成できることである。 エ.以上から、相違点Aに関する本件発明9の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明9は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 10.本件発明10の特許について (1)対比 本件発明10と引用発明2を対比すると、両発明は、本件発明2との対比における上記相違点Aに加えて、次の点において相違している。 (相違点B) 本件発明10においては、本件発明9における平滑用コンデンサを昇圧用コンデンサとして、新たに、これらのコンデンサよりも静電容量が大きい平滑用コンデンサを並列に接続したのに対し、引用発明2はそのような構成を備えない点。 (2)判断 ア.相違点Aについては、上記と同じである。 イ.相違点Bについて検討する。 引用発明2においては、コンデンサは2個を直列に接続したものを備えるだけであるが、このように、2個のコンデンサを直列に接続したものに、さらに、平滑用のコンデンサを並列に接続するものは、例えば上記特開平6-113548号公報(引用文献1)、上記特開平8-228487号公報にも図示されるように周知の事項である。 そして、平滑用コンデンサとしては、静電容量の大きいものを使用することは当然であることから、相違点Bに関する本件発明10の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明10は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 11.本件発明11の特許について (1)対比 本件発明11と引用発明2を対比すると、本件発明9に加えた構成である「制御手段はスイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する」ことは、引用発明2も備えていることから、両発明は、本件発明9との対比における上記相違点Aにおいて相違しているのみである。 (2)判断 相違点Aについては、上記と同じである。 (3)むすび したがって、本件発明11は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 12.本件発明12の特許について (1)対比 本件発明12と引用発明2を対比すると、両発明は、本件発明9との対比における上記相違点Aに加えて、次の点において相違している。 (相違点C) 本件発明12においては、制御手段は特定の高調波成分を除去しまたは低減すべくスイッチング手段のON時間を設定するのに対し、引用発明2は、そのような構成を備えない点。 (2)判断 ア.相違点Aについては、上記と同じである。 イ.相違点Cについて検討する。 引用文献2においては、特定の高調波成分を除去することについての記載はないが、コンバータにおいて、スイッチングによって特定の高調波成分を低減することは、例えば上記特開平7-7946号公報(特に段落【0209】)、上記特開昭59-198873号公報(特に2頁右上欄17〜20行)にも開示されるように、周知の技術に過ぎない。 ウ.以上から、相違点Cに関する本件発明12の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明12は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 13.本件発明13の特許について (1)対比 本件発明13と引用発明2を対比すると、両発明は、本件発明12との対比における上記相違点A、Cに加えて、次の点において相違している。 (相違点D) 本件発明13においては、制御手段は負荷情報を検出し検出値に応じてスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するのに対し、引用文献2には、そのような記載がない点。 (2)判断 ア.相違点A,Cについては、上記と同じである。 イ.相違点Dについて検討する。 引用発明2においては、上記のとおり、出力電圧が検出され、基準電圧との偏差を算出されて、それに応じて制御素子のオン時間が設定されており、この出力電圧は負荷に関連することから、負荷情報であるともいえ、相違点Dにおいては格別の相違があるとは認められない。 また、コンバータにおいて何らかの負荷情報でスイッチングのタイミングを設定することは、例えば、上記特開平6-113548号公報(引用文献1)、上記特開平7-7946号公報、上記特開平3-65056号公報にも開示されるように、周知の技術事項でもある。 ウ.以上から、相違点Dに関する本件発明13の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明13は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 14.本件発明14の特許について (1)対比 本件発明14と引用発明2を対比すると、両発明は、本件発明9との対比における上記相違点Aに加えて、次の点において相違している。 (相違点E) 本件発明14においては、制御手段は入力電流の基本波と電源電圧とが同相に成るようにスイッチング手段のON時間およびスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するのに対し、引用発明2はそのような構成を備えない点。 (2)判断 ア.相違点Aについては、上記と同じである。 イ.相違点Eについて検討する。 引用発明2においては、スイッチング手段はオン制御のみをされており、オフ制御をされておらず、引用文献2には、力率を向上させることについての記載はない。 しかしながら、相違点Aについての検討において述べたように、コンバータにおいて、電源電圧に対応してスイッチングする際に、オンのみでなくオフの制御も行うことは、本件特許に係る出願の出願(優先日)前において周知であり、スイッチング素子のオン、オフ制御によって、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにして力率の向上を図ることができることも、周知の事項に過ぎない。 このことは、上記「An improved high power factor and low cost three-phase rectifier Mehl,E.L.M.;Barbi,I.;Applied Power Electronics Conference and Exposition,1995.APEC’95.Conference Proceedings 1995,Tenth Annual Issue:5-9 March 1995,835〜841頁 vol.2」に、本件発明9、本件発明14と同じく、三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサを接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と平滑用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段(Sa、Sb、Sc)を接続したコンバータにおいては、スイッチングのオン制御とともにオフ制御も行い、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにされているものが図示されていることからも明らかである。 ウ.以上から、相違点Eに関する本件発明14の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。 (3)むすび したがって、本件発明14は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 15.本件発明15の特許について (1)対比 本件発明15と引用発明2を対比すると、本件発明15における「直流電圧」は、引用発明2における「出力電圧」に相当するところ、本件発明15で特定された「制御手段は、直流電圧を検出し、検出された直流電圧と直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じてスイッチング手段のON時間を設定する」ことは、引用発明2にも実質的に備えられていることから、両発明は、本件発明9との対比における上記相違点Aにおいて相違するのみである。 (2)判断 相違点Aについては、上記と同じである。 (3)むすび したがって、本件発明15は、引用発明2及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたもので、本件発明15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 16.本件発明4〜6の特許について (1)特許異議申立人の提出する各証拠のいずれにも、本件発明4ないし6と同様のコンバータの技術において、電源電圧のゼロクロスを含む時間をターンオンさせることについての記載がない。 特に、本件発明4ないし6の基本的な構成といえる本件発明1に対して、スイッチング手段が異なること以外の構成で一致する引用発明1においては、スイッチング手段はトライアックであることから、ゼロクロス部分をその前後の期間と同様にオンとしておくことは、困難なことである。 そして、本件発明4ないし6においては、本件訂正明細書に記載されたように、力率改善効果及び高調波改善効果を図ることができるものである。 (2)したがって、本件発明4ないし6が、特許異議申立人の提出する各証拠に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第4.むすび 以上のとおりであるから、本件発明1ないし3、7ないし15の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明4ないし6の特許については、取消理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 コンバータ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 交流電源に対してリアクトル(1)を介して全波整流回路(2)を接続し、全波整流回路(2)の出力端子間に平滑用コンデンサ(C2)と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C11)(C12)とを互いに並列接続し、全波整流回路(2)の入力端子と昇圧用コンデンサ(C11)(C12)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S1)を接続し、スイッチング手段(S1)を電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S1)を制御する制御手段(3)(13)(23)(33)(43)を設けたことを特徴とするコンバータ。 【請求項2】 前記制御手段(3)(13)(23)(33)(43)は、スイッチング手段(S1)を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものである請求項1に記載のコンバータ。 【請求項3】 前記制御手段(3)は、電源電圧のゼロクロスを検出し、ゼロクロスを検出したことに応答して、スイッチング手段(S1)を所定時間ターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1または請求項2に記載のコンバータ。 【請求項4】 前記制御手段(13)(23)は、電源電圧のゼロクロスを含む所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1または請求項2に記載のコンバータ。 【請求項5】 前記制御手段(13)は、電源電圧のゼロクロスを中心とする所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項4に記載のコンバータ。 【請求項6】 前記制御手段(23)は、電源電圧のゼロクロスを含み、かつゼロクロスを基準とする進み位相側の時間が遅れ位相側の時間よりも短くなるように設定された所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項4に記載のコンバータ。 【請求項7】 前記制御手段(3)は、予め設定された所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1から請求項6の何れかに記載のコンバータ。 【請求項8】 前記制御手段(43)は、負荷に供給される直流電圧と外部から与えられる直流電圧指令値とを比較し、直流電圧を直流電圧指令値に接近させることができる所定時間スイッチング手段(S1)をターンオンさせる制御信号を出力するものである請求項1から請求項6の何れかに記載のコンバータ。 【請求項9】 三相交流電源(100)に対してリアクトル(101)を介して三相全波整流回路(102)を接続し、三相全波整流回路(102)の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサ(C101)(C102)を接続し、三相全波整流回路(102)の各相の入力端子と平滑用コンデンサ(C101)(C102)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S101)を接続し、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けたことを特徴とするコンバータ。 【請求項10】 三相交流電源(100)に対してリアクトル(101)を介して三相全波整流回路(102)を接続し、三相全波整流回路(102)の出力端子間に、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C104)(C105)を接続し、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサ(C104)(C105)に対して、これらのコンデンサ(C104)(C105)よりも静電容量が大きい平滑用コンデンサ(C103)を並列に接続し、三相全波整流回路(102)の各相の入力端子と昇圧用コンデンサ(C104)(C105)どうしの接続点との間にスイッチング手段(S101)を接続し、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)を制御する制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)を設けたことを特徴とするコンバータ。 【請求項11】 前記制御手段(103)(104)(105)(106)(107)(108)(109)は、スイッチング手段(S101)(S102)(S103)を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものである請求項9または請求項10に記載のコンバータ。 【請求項12】 前記制御手段(103)は、特定の高調波成分を除去し、または低減すべくスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間を設定するものである請求項9から請求項11の何れかに記載のコンバータ。 【請求項13】 前記制御手段(103)は、負荷情報を検出し、検出値に応じてスイッチング手段(S101)(S102)(S103)をONさせるタイミングを設定するものである請求項12に記載のコンバータ。 【請求項14】 前記制御手段(104)(105)(106)(107)は、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間およびスイッチング手段(S101)(S102)(S103)をONさせるタイミングを設定するものである請求項9から請求項13の何れかに記載のコンバータ。 【請求項15】 前記制御手段(105)(108)(109)は、直流電圧を検出し、検出された直流電圧と直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じてスイッチング手段(S101)(S102)(S103)のON時間を設定するものである請求項9から請求項11の何れかに記載のコンバータ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明はコンバータに関し、さらに詳細にいえば、交流電源に対して全波整流回路を接続し、全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続されたコンデンサを接続してなる構成のコンバータに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、空気調和機に用いられるインバータ、モータの小型化、高効率化のための技術が急速に発展しつつある。しかし、システム全体としての性能改善のためには、それらの電源となるコンバータの性能改善が必須事項であることから、高性能コンバータの技術開発が急がれている。加えて、電力変換器から流出する電源高調波による、送電系統あるいは他機器への障害が社会問題となってきており、欧州においては1996年よりIEC(国際電気標準会議)による電源高調波規格値(IEC100-3-2)がすでに制定されている。また、国内においても、1996年より資源エネルギー庁の統括のもと、高調波電流自主規制(家電・汎用品高調波ガイドライン)がスタートした。 【0003】 従来から一般的に用いられてきたコンバータは、図1中(a)に示すように、全波整流回路の出力端子間にリアクトルを介して平滑用コンデンサを接続してなる構成である。この構成のコンバータを採用した場合には、図1中(b)に示すように、リアクトルによる入力電流導通角拡大効果は見込めるものの、基本波の位相遅れが大きいために大きな力率改善効果を得ることができない(最大力率が80%程度)。また、高調波に関しても、図1中(c)に示すように、IEC規制(classA)をクリアすることができない。 【0004】 そこで、特に単相200V系統に接続される空気調和機に用いられているコンバータは、力率性能を向上させるために、図2中(a)に示すように、チャージポンプ方式と呼ばれるコンバータが用いられ、85%を越える力率改善性能を達成している。しかし、このコンバータでは、電源系統と直列に接続されたコンデンサが電源系統のインダクタンス成分と直列共振回路を構成するため、その入力電流は、図2中(b)に示すように、10次ないし30次の高調波成分を多く含み、図2中(c)に示すように、家電・汎用品高調波ガイドラインに適合しない電源になってしまう。IEC規制は系統インピーダンスを考慮しないが、適合レベルではない。また、コンバータの直流電圧は最大(無負荷時)で電源電圧ピーク値(200V系統で約280V)と同等であり、リアクトルを挿入することによる電圧降下により負荷が大きくなるほど直流電圧は低下する。直流電圧が低下すると、それにほぼ反比例して電流を増加させる必要があるので、インバータ、モータのコストアップ、大型化が必要になる。また、モータの運転周波数領域は印可電圧によってほぼ決定付けられるので、直流電圧の低下はモータの運転周波数領域の縮小を招いてしまう。 【0005】 一方、主に単相100V系のコンバータとして、図3中(a)に示すような倍電圧方式のコンバータが多く用いられる。この方式を採用すれば、出力電圧が電源電圧のほぼ2倍になり、高調波発生量も比較的低く押さえられることが知られている。しかし、この方式を200V系統に用いる場合には、逆に軽負荷時の直流電圧が過上昇して負荷開放時には電源電圧ピークの2倍(約560V)に達する。このため、コンバータ後に接続される部品の耐圧を増加しなければならず、特にインバータのようにスイッチを含む電力変換器等が接続されている場合は、スイッチング素子の耐圧を約2倍にしなければならない。この結果、装置が大型化し、コストも大幅に増加してしまう。また、倍電圧電流は、図3中(b)に示すように、基本的に電源電圧位相に対して大きく進み位相になるため、100V系入力の空気調和機などに用いられる倍電圧方式のコンバータは高力率を維持するために20%程度のリアクトルを用いているが、同等の電流平滑力を持つリアクトルを200V系で実現する場合、そのインダクタンスは約4倍となり、リアクトルの大型化、コストアップにより実用レベルから逸脱してしまう。 【0006】 近年、上述の各コンバータの持つ問題点を解決するために、図4中(a)に示すように、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータが提案されている。このコンバータは、入力電圧、入力電流、直流電圧、直流電圧指令値を入力とする制御回路によって昇圧チョッパのオン・デューティを制御することにより直流電圧を制御するものであり、図4中(b)に示すように、入力力率をほぼ1に制御することができる。また、直流電流を自在に可変でき、原理的には無限大まで昇圧が可能であるから、理想的なコンバータといえる。 【0007】 また、三相交流電源に接続されるコンバータとしては、図19中(a)に示すように、三相交流電源の各相の出力端子と三相整流回路の各入力端子との間にリアクトルを接続し、三相整流回路の出力端子間に平滑用コンデンサを接続する構成のものが知られている。この構成のコンバータを採用した場合には、図19中(b)に示すように、リアクトルによる入力力率改善効果や、ある程度の高調波電流の低減効果を得ることができるが、数kW以上の機器に直流電力を供給する場合には、図19中(c)に示すように、IEC規格クラスAをクリアすることは困難である。 【0008】 この不都合を解消するために、図20中(a)に示すように、6個のスイッチング素子を用いたPWM(パルス幅変調)コンバータが採用されることがある。このPWMコンバータを採用すれば、入力電流を高周波スイッチングで制御するため、入力電流に高調波成分を含まないように、しかも入力力率を1に制御することが可能である。具体的には、このPWMコンバータの各相の等価回路は図20中(c)に示すようになるので、コンバータ入力電圧vuを正弦波状にすれば、入力電流iuに高調波成分が含まれなくなる。すなわち、電圧ベクトル図は図20中(d)に示すようになる。したがって、例えば、「三相PWMコンバータのパラメータ変動を考慮した電流制御法」、竹下隆晴、岩崎誠、松井信行、電学論D,107巻11号,昭62に示されているような方式で、コンバータ入力電圧のPWMパターンを作成し、コンバータ入力電圧を正弦波状の波形として入力電流の高調波成分の低減を達成することができる。 【0009】 また、DC送電用変換器や、炉用整流器などのかなりの大容量機器には、変圧器を用いた多重化方式や多段化方式が用いられることが多い。例えば、特開平2-142357号公報に記載されているような三相12パルス整流回路方式がある。なお、この方式の構成を図21に示す。この方式は、1次側がY結線、2次側がY結線およびΔ結線を有する変圧器を採用して、出力電圧位相をπ/6ずらし、互いに絶縁された2次側の巻線に2組みの三相ダイオード整流回路を互いに並列に接続することにより2重化を行っている。この方式において、u相の電源電圧波形は図22中(a)に示すとおりであり、変圧器の2次側のY結線に接続された三相ダイオード整流回路の入力電流は図22中(b)に示すように2π/3通電幅の電流になり、変圧器の2次側のΔ結線に接続された三相ダイオード整流回路の入力電流は図22中(c)に示すように図22中(b)に示す入力電流よりπ/6位相の遅れた電流となる。したがって、変圧器の1次側に流れる電流は、図22中(b)に示す入力電流と、図22中(c)に示す入力電流をΔ-Y変換した電流(図22中(d)参照)とを重ね合わせた電流(図22中(e)参照)になる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータを採用した場合には、スイッチの制御が著しく複雑になり、しかも電源系統へ流出するノイズ対策のために強力なフィルタが必要になるので、大幅なコストアップを招いてしまい、また、リアクトルに流れる電流の高周波数成分による損失が大きいため、効率が低下してしまうという不都合がある。 【0011】 また、図20中(a)に示す構成のPWMコンバータを採用した場合には、図20中(b)に入力電流波形および入力電圧波形を示すように、高周波スイッチングに伴う効率の低下、ノイズの増加を招くとともに、制御の複雑化、コストの増加を招くという不都合がある。さらに、図21に示す構成の三相12パルス整流回路方式を採用した場合には、変圧器と多数の三相ダイオード整流回路とが必要になるので、全体として大型化するとともに、大幅なコストアップを招いてしまうという不都合がある。 【0012】 【発明の目的】 この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スイッチングの制御を著しく簡素化し、しかも、十分な入力力率改善、高調波低減を達成するコンバータを提供することを第1の目的としている。また、直流電圧の昇圧を達成することを第2の目的としている。 【0013】 さらに、全ての負荷変動範囲で特定の高調波成分を除去しまたは低減することを第3の目的としている。さらにまた、入力電流の基本波力率を1に保つことを第4の目的としている。また、電源電圧変動、負荷変動に拘らず安定した直流電圧を供給することを第5の目的としている。 【0014】 また、構成を大幅に簡素化することを第6の目的としている。 【0015】 【課題を解決するための手段】 請求項1のコンバータは、交流電源に対してリアクトルを介して全波整流回路を接続し、全波整流回路の出力端子間に平滑用コンデンサと、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサとを互いに並列接続し、全波整流回路の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御する制御手段を設けたものである。 【0016】 請求項2のコンバータは、前記制御手段として、スイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものを採用している。請求項3のコンバータは、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを検出し、ゼロクロスを検出したことに応答して、スイッチング手段を所定時間ターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。 【0017】 請求項4のコンバータは、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを含む所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。請求項5のコンバータは、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを中心とする所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。 【0018】 請求項6のコンバータは、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを含み、かつゼロクロスを基準とする進み位相側の時間が遅れ位相側の時間よりも短くなるように設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。請求項7のコンバータは、前記制御手段として、予め設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。 【0019】 請求項8のコンバータは、前記制御手段として、負荷に供給される直流電圧と外部から与えられる直流電圧指令値とを比較し、直流電圧が直流電圧指令値に接近させることができる所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用している。請求項9のコンバータは、三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサを接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と平滑用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御する制御手段を設けたものである。 【0020】 請求項10のコンバータは、三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサを接続し、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサに対して、これらのコンデンサよりも静電容量が大きい平滑用コンデンサを並列に接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてオン及びオフさせるべくスイッチング手段を制御する制御手段を設けたものである。 【0021】 請求項11のコンバータは、前記制御手段として、スイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものを採用している。請求項12のコンバータは、前記制御手段として、特定の高調波成分を除去し、または低減すべくスイッチング手段のON時間を設定するものを採用している。 【0022】 請求項13のコンバータは、前記制御手段として、負荷情報を検出し、検出値に応じてスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するものを採用している。請求項14のコンバータは、前記制御手段として、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにスイッチング手段のON時間およびスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するものを採用している。 【0023】 請求項15のコンバータは、前記制御手段として、直流電圧を検出し、検出された直流電圧と直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じてスイッチング手段のON時間を設定するものを採用している。 【0024】 【作用】 請求項1のコンバータであれば、交流電源に対してリアクトルを介して全波整流回路を接続し、全波整流回路の出力端子間に平滑用コンデンサと、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサとを互いに並列接続し、全波整流回路の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段を設けているので、倍電圧整流と全波整流とを電源電圧の変動に応じて切り替えることができ、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができる。また、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータと同様に高力率を達成できるほか、スイッチングの制御が著しく簡単であり、電源系統に流出するノイズも殆ど問題にならないので、コストアップを大幅に抑制することができる。もちろん、高調波の低減も実現できる。 【0025】 請求項2のコンバータであれば、前記制御手段として、スイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものを採用しているので、請求項1の作用に加え、スイッチングの制御をさらに簡単化できる。請求項3のコンバータであれば、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを検出し、ゼロクロスを検出したことに応答して、スイッチング手段を所定時間ターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、倍電圧整流方式による進相側導通角拡大と全波整流方式による遅相側導通角拡大の両方の効果を効率的に利用し、著しい力率改善及び高調波改善を達成することができる。 【0026】 請求項4のコンバータであれば、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを含む所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、力率改善効果、高調波改善効果を得ることができる。請求項5のコンバータであれば、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを中心とする所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、力率改善効果、高調波改善効果を高めることができる。 【0027】 請求項6のコンバータであれば、前記制御手段として、電源電圧のゼロクロスを含み、かつゼロクロスを基準とする進み位相側の時間が遅れ位相側の時間よりも短くなるように設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、力率改善効果を高めることができ、しかも、高調波改善効果を一層高めることができる。 【0028】 請求項7のコンバータであれば、前記制御手段として、予め設定された所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、請求項1から請求項6の何れかと同様の作用を達成することができる。請求項8のコンバータであれば、前記制御手段として、負荷に供給される直流電圧と外部から与えられる直流電圧指令値とを比較し、直流電圧が直流電圧指令値に接近させることができる所定時間スイッチング手段をターンオンさせる制御信号を出力するものを採用しているので、請求項1から請求項6の何れかの作用に加え、コンバータの後段の回路で必要とされている直流電圧を出力することができる。 【0029】 請求項9のコンバータであれば、三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された平滑用コンデンサを接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と平滑用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段を設けたのであるから、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができる。また、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータと同様に高力率を達成できるほか、スイッチングの制御が著しく簡単であり、電源系統に流出するノイズも殆ど問題にならないので、コストアップを大幅に抑制することができる。もちろん、高調波の低減も実現できる。 【0030】 請求項10のコンバータであれば、三相交流電源に対してリアクトルを介して三相全波整流回路を接続し、三相全波整流回路の出力端子間に、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサを接続し、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサに対して、これらのコンデンサよりも静電容量が大きい平滑用コンデンサを並列に接続し、三相全波整流回路の各相の入力端子と昇圧用コンデンサどうしの接続点との間にスイッチング手段を接続し、スイッチング手段を負荷変動や電源電圧の変動に応じてスイッチングさせるべく制御する制御手段を設けたのであるから、入力電流の高次高調波成分を低減させることができるほか、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができる。また、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータと同様に高力率を達成できるほか、スイッチングの制御が著しく簡単であり、電源系統に流出するノイズも殆ど問題にならないので、コストアップを大幅に抑制することができる。もちろん、高調波の低減も実現できる。 【0031】 請求項11のコンバータであれば、前記制御手段として、スイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御するものを採用しているので、請求項9または請求項10の作用に加え、スイッチングの制御をさらに簡単化できる。また、スイッチング手段を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるので、PWMコンバータにおける高周波スイッチングに起因する効率の低下、ノイズの増加、漏洩電流の増大、コストアップという不都合を改善することができる。 【0032】 請求項12のコンバータであれば、前記制御手段として、特定の高調波成分を除去し、または低減すべくスイッチング手段のON時間を設定するものを採用しているので、特定の高調波成分を除去し、または低減することができるほか、請求項9から請求項11の何れかと同様の作用を達成することができる。請求項13のコンバータであれば、前記制御手段として、負荷情報を検出し、検出値に応じてスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するものを採用しているので、全ての負荷変動範囲で、特定の高調波成分を除去し、または低減することができるほか、請求項12と同様の作用を達成することができる。 【0033】 請求項14のコンバータであれば、前記制御手段として、入力電流の基本波と電源電圧とが同相になるようにスイッチング手段のON時間およびスイッチング手段をONさせるタイミングを設定するものを採用しているので、入力電流の基本波力率を常に1に保つことができるほか、請求項9から請求項13の何れかと同様の作用を達成することができる。 【0034】 請求項15のコンバータであれば、前記制御手段として、直流電圧を検出し、検出された直流電圧と直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じてスイッチング手段のON時間を設定するものを採用しているので、電源電圧変動、負荷変動に拘らず安定した直流電圧を供給することができるほか、請求項9から請求項11の何れかと同様の作用を達成することができる。 【0035】 【発明の実施の態様】 以下、添付図面を参照しながらこの発明の実施の態様を詳細に説明する。図5はこの発明のコンバータの一実施態様を示す電気回路図である。このコンバータは、図示しない交流電源の端子間にリアクトル1を介して全波整流回路2を接続し、全波整流回路2の出力端子間に平滑用コンデンサC2と、互いに直列に接続され、かつ互いに等しい静電容量を有する昇圧用コンデンサ(倍電圧用コンデンサ)C11,C12とを互いに並列接続し、全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12の接続点との間に双方向スイッチS1を接続し、双方向スイッチS1を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部3を設けている前記制御部3は、外部から与えられる直流電圧指令値に対応するパルス幅のパルス信号を出力するパルス幅制御回路3aと、パルス幅制御回路3aから出力されるパルス信号を入力として双方向スイッチS1を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路3bとから構成されている。また、パルス幅制御回路3aから出力されるパルス信号は、電源電圧の半周期に1回双方向スイッチS1をスイッチングさせるものである。 【0036】 この実施態様のコンバータを採用した場合には、電源電圧の半周期に1回双方向スイッチS1をスイッチングさせることができ、双方向スイッチS1がオンの期間に倍電圧整流を行い、双方向スイッチS1がオフの期間に全波整流を行う。そして、倍電圧整流により得られる直流電圧、全波整流により得られる直流電圧はそのまま負荷に供給されるのではなく、平滑用コンデンサC2で平滑化された状態で供給されるので、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができる。また、昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータと同様に高力率を達成できるほか、スイッチングの制御が著しく簡単であり、電源系統に流出するノイズも殆ど問題にならないので、コストアップを大幅に抑制することができる。もちろん、高調波の低減も実現できる。 【0037】 なお、この実施態様において、双方向スイッチS1は、リアクトル1を介在させることなく交流電源に接続された全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12どうしの接続点との間に接続されているが、全波整流回路2の他方の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12どうしの接続点との間に接続双方向スイッチS1を接続してもよく、同様の作用を達成することができる。 【0038】 図6はこの発明のコンバータの他の実施態様を示す図である。このコンバータは、図示しない交流電源の端子間にリアクトル1を介して全波整流回路2を接続し、全波整流回路2の出力端子間に平滑用コンデンサC2と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサC11,C12とを互いに並列接続し、全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12の接続点との間に双方向スイッチS1を接続し、双方向スイッチS1を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部13を設けている前記制御部13は、交流電源の電源電圧を検出する電源電圧検出器13aと、外部から与えられる直流電圧指令値と検出された電源電圧との大小を比較して比較結果信号を出力する比較器13bと、比較器13bから出力される比較結果信号を入力として双方向スイッチS1を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路13cとから構成されている。具体的には、直流電圧指令値が検出された電源電圧よりも大きい場合に、双方向スイッチS1をオンに制御する。したがって、例えば、直流電圧指令値が検出された電源電圧を越えるタイミングを起点とする電源電圧の半周期に1回スイッチングが行われることになる。 【0039】 この実施態様のコンバータの作用を図7の波形図を参照しながら詳細に説明する。なお、定常状態であれば、初期状態(図7の時刻t0参照)において昇圧用コンデンサC11,C12は前の1周期に蓄積された電荷を保持しており、ある一定の電位を持っている。以下には、昇圧用コンデンサC11の動作を主に図7に示す各モードの動作を説明する。 【0040】 mode1(時刻t0から時刻t2) 双方向スイッチS1は初期状態t0で既にオンであり、回路は倍電圧整流動作を行っている。昇圧用コンデンサC11は双方向スイッチS1がターンオフするまで初期状態からさらに充電され、両端電圧が上昇する(図7中VC11参照)。このとき、コンデンサ充電電流IC11が流れるので、昇圧用コンデンサC11の充電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode4による放電電流との合成電流)によって入力電流の導通角が拡大される。実際は、入力電流は前の半周期にリアクトル1に蓄積されたエネルギーによって、昇圧用コンデンサC11の電位が入力電圧より低くなった時点t1よりさらに早い時刻に導通を開始するので、導通角は飛躍的に拡大する。 【0041】 mode2(時刻t2から時刻t3) 双方向スイッチS1は所定時間経過後(時刻t2)ターンオフされ、昇圧形コンバータは、全波整流動作に切り替わる。そして、昇圧用コンデンサC11の電位は次の倍電圧整流動作(双方向スイッチS1のターンオン)までホールドされる。 【0042】 mode3(時刻t3から時刻t5) 双方向スイッチS1は所定時間経過後(時刻t3)ターンオンされ、コンバータは、再び倍電圧整流動作に切り替わる。昇圧用コンデンサC11は、昇圧用コンデンサC12の電位が入力電圧より高くなるまでさらに充電され、両端電圧が上昇する。このとき、コンデンサ充電電流IC11が流れるので、昇圧用コンデンサC11の充電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode6による放電電流との合成電流)によって入力電流は全波整流時以上に遅れ位相角が拡大する。また、リアクトル1の蓄積エネルギーによって電流立ち下がりが遅れるので導通角はさらに拡大される。 【0043】 mode4(時刻t5から時刻t7) 次の半周期(電源電圧が負の半周期)にはいり、昇圧用コンデンサC12の電位が電源電圧の絶対値より低くなり、充電を開始する(時刻t6)と昇圧用コンデンサC11は放電を開始する。昇圧用コンデンサC11は双方向スイッチS1がターンオフするまで(時刻t7)放電を続ける。昇圧用コンデンサC11の放電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode1による充電電流との合成電流)によって入力電流は早い時刻から導通を開始するので、導通角が拡大する。また、mode1と同様にリアクトル1による導通角拡大効果によって電流立ち下がり時の導通角はさらに拡大する。 【0044】 mode5(時刻t7から時刻t8) 双方向スイッチS1がターンオフされ、全波整流動作に切り替わり、昇圧用コンデンサC11が非導通となり、入力電流は直接平滑用コンデンサC2を充電する。もちろん、昇圧用コンデンサC11の電位は次の倍電圧整流動作(双方向スイッチS1のターンオン)までホールドされる。 【0045】 mode6(時刻t8から時刻t10) 双方向スイッチS1がターンオンされ、昇圧用コンデンサC11は電位が電源電圧の絶対値と等しくなるまで(時刻t9)さらに放電される。昇圧用コンデンサC11の放電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode3による充電電流との合成電流)によって入力電流は全波整流時以上に遅れ位相角が拡大する。実際は、リアクトル1の蓄積エネルギーによって電流立ち下がりが遅れるので導通角はさらに拡大され、立ち下がり時の導通角はさらに拡大する。昇圧用コンデンサC11の放電が終了すると昇圧用コンデンサC11の電位は初期状態に戻り、mode1に戻る。 【0046】 昇圧用コンデンサC12は、倍電圧整流回路と同様に、昇圧用コンデンサC11と等しい静電容量を有しているので、半周期遅れで上記と同様の動作を行う。以上のように、昇圧用コンデンサC11(昇圧用コンデンサC12)を倍電圧動作させ、全波整流時以上に電荷を蓄えることにより、直流電圧Vdcの昇圧を実現している。直流電圧Vdcは、双方向スイッチS1のオン時間によって全波出力から倍電圧出力までの範囲で自在にコントロールできるため、負荷が大きく、直流電圧が低下した時は、双方向スイッチS1のオン時間を延ばすことによって容易に昇圧することができる。逆に、直流電圧が上昇する軽負荷の場合には、双方向スイッチS1のオン時間を短くすることによって容易に直流電圧の過上昇を抑えることができる。また、高調波対応とする場合は、双方向スイッチS1のオン時間を2msecないし4msecに付近に設定することによって、昇圧用コンデンサC11,C12の充放電電流が進相側および遅相側双方の導通角拡大効果を併せ持つようになり、導通角は飛躍的に増大し、高力率、低高調波の高性能コンバータを実現できる。図8にこの実施態様のコンバータにおける高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドラインとの適合性を示している。図8から明らかなように、この実施態様のコンバータは、家電・汎用品高調波ガイドラインに適合する低高調波の電源であることが分かる。また、この時の入力力率は97%の高力率であった。 【0047】 ここで、全波整流回路2の入力側に用いられているリアクトル1は、従来倍電圧整流方式に用いられていたリアクトルと異なり、大きな電流平滑力を必要としないので、8%ないし9%のリアクトルで上記の高性能を実現できる。また、半周期に1回という簡単なスイッチングであるから、制御部13は、回路構成が簡単になり、安価となる。そして、図4に示す昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータで問題になっていたキャリアなどのノイズ発生もなくなる。さらに、高周波スイッチングによる電流の高周波リプル成分がリアクトルに流れないので、リアクトルの高周波損失が低減され、図4に示す昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータに対してコンバータ効率が改善される。 【0048】 図9はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。このコンバータは、図示しない交流電源の端子間にリアクトル1を介して全波整流回路2を接続し、全波整流回路2の出力端子間に平滑用コンデンサC2と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサC11,C12とを互いに並列接続し、全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12の接続点との間に双方向スイッチS1を接続し、双方向スイッチS1を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部23を設けている前記制御部23は、交流電源の電源電圧を検出する電源電圧検出器23aと、外部から与えられる直流電圧指令値と検出された電源電圧との大小を比較して比較結果信号を出力する比較器23bと、比較器23bから出力される比較結果信号を入力として、電源電圧のゼロクロス点に対する進み位相側の期間を短縮すべく位相を調整する位相調整器23cと、位相調整器23cからの出力信号を入力として双方向スイッチS1を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路23dとから構成されている。具体的には、図6の実施態様において電源電圧のゼロクロス点を中心として互いに対称な期間だけ双方向スイッチS1をオンに制御していたのに対して、この実施態様では、双方向スイッチS1をオンに制御する期間の長さは変更せず、電源電圧のゼロクロス点に対する進み位相側の期間を短縮するとともに、電源電圧のゼロクロス点に対する遅れ位相側の期間を延長している。したがって、例えば、直流電圧指令値が検出された電源電圧を越えるタイミングから位相調整が施されたタイミングを起点とする電源電圧の半周期に1回スイッチングが行われることになる。 【0049】 この実施態様を採用した場合には、双方向スイッチS1のオン信号の、電源電圧ゼロクロス点に対して進み位相側の期間を適宜短縮することによって、倍電圧電流の充放電動作が緩和され、電流ピークを大幅に低減してリプルの少ない良好な電流波形を得ることができる。この実施態様を採用して双方向スイッチS1の制御を行った場合における各部の波形を図10に示す。図10から明らかなように、倍電圧電流による電流ピークは殆ど見られず、リプルの少ない良好な電流波形になっていることが分かる。また、この実施態様を採用して双方向スイッチS1の制御を行った場合における高調波発生量を図11に示す。図11から明らかなように、図8と比較して低次高調波が大幅に低減され、家電・汎用品高調波ガイドラインに対して非常に厳しい規格であるIEC-classA高調波規制値をクリアするさらに高性能なコンバータを実現することができることが分かる。また、この時の入力力率は、基本波の位相が遅れるために図6の実施態様の入力力率よりも多少低下するが、92%の高力率を達成することができる。 【0050】 さらに詳細に説明する。図6の実施態様により双方向スイッチS1の制御を行った場合には、双方向スイッチS1制御信号が電源電圧ゼロクロス点を中心とした左右対称のパルス波形になる。そして、この制御によると、全波整流電流(図7のmode2およびmode5)がリアクトルによって電源電圧に対して位相遅れとなっているために、倍電圧整流と全波整流の切替点における電流リプルが大きくなり、それに起因する高調波の低減力が弱くなる。図7に示す波形を見て分かるように、倍電圧整流と全波整流を切り替える点で電流リプルが発生し、図8の高調波分布に見られる7次、13次などの高調波成分増加を引き起こしていることが分かる。また、IEC-classA高調波規制値をクリアできないことも分かる。 【0051】 ここで、電流リプルを低減するためにリアクトルの容量を大きくすることは容易に考えられる。しかし、単にリアクトルの容量を調整しただけでは電流リプル低減に大きな効果を期待することができない。その理由は、全波整流時と倍電圧整流時とでは同一容量のインダクタンスであっても蓄積エネルギーが互いに異なり、全波整流動作時と倍電圧整流動作時とではリアクトルのピーク抑制効果にアンバランスが生じるためである。すなわち、リアクトルの容量を増加することによる倍電圧整流動作時の電流ピーク抑制効果が、全波整流動作時の電流ピーク抑制効果に比べて小さいために、倍電圧動作電流のピークが高くなり、それに起因する中間次高調波の増大を招くことになる。 【0052】 しかし、この実施態様を採用した場合には、双方向スイッチS1のオン信号の、電源電圧ゼロクロス点に対して進み位相側の期間を適宜短縮しているので、倍電圧整流動作時の電流ピーク抑制効果と全波整流動作時の電流ピーク抑制効果との差を低減し、上述のように電流ピークを大幅に減少させることができるのである。 【0053】 この実施態様に基づく双方向スイッチS1制御信号は、例えば、直流電圧指令のレベルを多少低下させ、図9に示すように、位相調整器を用いて双方向スイッチS1制御信号の位相を調整することによって実現できるので、制御部の構成を簡単にできる。また、リアクトルの容量は、上述の電流リプル抑制のために図6の実施態様におけるリアクトルの容量と比べて多少大きくなる(例えば、12%)が、倍電圧整流方式におけるリアクトルの容量と比べて十分に小さい。もちろん、直流電圧指令によって直流出力電圧の制御を達成することができる。 【0054】 図12はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。このコンバータは、図示しない交流電源の端子間にリアクトル1を介して全波整流回路2を接続し、全波整流回路2の出力端子間に平滑用コンデンサC2と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサC11,C12とを互いに並列接続し、全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12の接続点との間に双方向スイッチS1を接続し、双方向スイッチS1を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部33を設けている前記制御部33は、電源電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路33aと、外部から与えられる直流電圧指令値とゼロクロス検出信号とを入力として、電源電圧のゼロクロス点を起点として立ち上がり、直流電圧指令値に対応する期間が経過した時点で立ち下がるパルス信号を出力するパルス幅制御回路33bと、パルス幅制御回路33bからの出力信号を入力として双方向スイッチS1を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路33cとから構成されている。 【0055】 この実施態様のコンバータの作用を図13の波形図を参照しながら詳細に説明する。なお、定常状態であれば、初期状態(図13の時刻t0参照)において昇圧用コンデンサC11,C12は前の1周期に蓄積された電荷を保持しており、ある一定の電位を持っている。以下には、昇圧用コンデンサC11の動作を主に図13に示す各モードの動作を説明する。 【0056】 mode1(時刻t0から時刻t1) 双方向スイッチS1は電源電圧のゼロクロス検出信号が検出されたタイミングでターンオンし、コンバータは倍電圧整流動作を開始する。昇圧用コンデンサC11は双方向スイッチS1がターンオフするまで初期状態からさらに充電され、両端電圧が上昇する(図13中VC11参照)。このとき、コンデンサ充電電流IC11が流れるので、昇圧用コンデンサC11の充電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode4による放電電流との合成電流)によって入力電流は早い時刻に導通を開始する。 【0057】 mode2(時刻t1から時刻t2) 双方向スイッチS1は所定時間経過後(時刻t1)ターンオフされ、コンバータは、全波整流動作に切り替わる。そして、昇圧用コンデンサC11の電位は次の倍電圧整流動作(双方向スイッチS1のターンオン)までホールドされる。入力電流は直接平滑用コンデンサC2を充電し、リアクトル1によってその遅れ位相側導通角が拡大される。 【0058】 mode3(時刻t2から時刻t3) 平滑用コンデンサC2の充電が終了(時刻t2)すると、電流は非導通となり、次の電源電圧のゼロクロス検出信号まで休止期間となる。 mode4(時刻t3から時刻t4) 次の電源電圧のゼロクロス検出信号が検出されたタイミング(時刻t3)で双方向スイッチS1がターンオンすると、昇圧用コンデンサC11は放電を開始し、双方向スイッチS1がターンオフする(時刻t4)まで、もしくは初期状態の電位になるまで(定常状態ではt0-t1とt3-t4は等しいので初期状態の電位に戻る)放電を続ける。昇圧用コンデンサC11の放電電流(実際は、昇圧用コンデンサC12のmode1による充電電流との合成電流)によって入力電流は早い時刻から導通を開始するので、導通角が拡大する。 【0059】 mode5(時刻t4から時刻t5) 双方向スイッチS1は所定時間経過後(時刻t4)ターンオフされ、昇圧用コンバータは全波整流動作に切り替わり、mode2と同様に遅れ位相側導通角が拡大される。 mode6(時刻t5から時刻t6) 平滑コンデンサC2の充電が終了(時刻t5)すると、電流は非導通となり、次の電源電圧ゼロクロス検出信号が検出されたタイミングでmode1に戻る。 【0060】 昇圧用コンデンサC12は、倍電圧整流回路と同様に、昇圧用コンデンサC11と等しい静電容量を有しているので、半周期遅れで上記と同様の動作を行う。以上のように、昇圧用コンデンサC11(昇圧用コンデンサC12)を倍電圧動作させ、全波整流時以上に電荷を蓄えることにより、直流電圧Vdcの昇圧を実現している。直流電圧Vdcは、双方向スイッチS1のオン時間によって全波出力から倍電圧出力までの範囲で自在にコントロールできるため、負荷が大きく、直流電圧が低下した時は、双方向スイッチS1のオン時間を延ばすことによって容易に昇圧することができる。逆に、直流電圧が上昇する軽負荷の場合には、双方向スイッチS1のオン時間を短くすることによって容易に直流電圧の過上昇を抑えることができる。また、高調波対応とする場合は、双方向スイッチS1のオン時間を2msecないし4msecに付近に設定することによって、昇圧用コンデンサC11,C12の充電電流による入力電流の進相側導通角拡大効果とリアクトル1による遅相側導通角拡大効果を併せ持つようになり、導通角は飛躍的に増大し、力率改善と低次高調波低減を実現できる。さらに、チョークインプット形であるため、電源系統のインダクタンス成分による中間次高調波発生もない。図14にこの実施態様のコンバータにおける高調波発生量とIEC-classA高調波規制値との整合性を示す。図14から明らかなように、この実施態様のコンバータはIEC規格に適合した低高調波の電源であることが分かる。空気調和機における国内高調波ガイドライン(家電・汎用品高調波ガイドライン)はIEC-classA規格値を緩和した値となっているので、国内高調波ガイドラインは余裕をもってクリアすることができる。また、この時の入力力率は93%の高力率であった。 【0061】 ここで、全波整流回路2の入力側に用いられているリアクトルは、従来倍電圧方式では倍電圧電流の基本波位相を電源電圧に同期させる必要があるために、20%程度の大型リアクトルを用いていた(20%リアクトルでもIEC規制をクリアすることは不可能)が、この実施態様では、全波整流電流による遅相側導通角拡大効果を有するので、8%ないし9%のリアクトルでIEC規制をクリアできる高性能なコンバータを実現することができる。 【0062】 また、半周期に1回という簡単なスイッチングであるから、制御部33は、回路構成が簡単になり、安価となる。そして、図4に示す昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータで大きな問題になっていたキャリアなどのノイズ発生もなくなる。さらに、高周波スイッチングによる電流の高周波リプル成分がリアクトルに流れないので、リアクトルの高周波損失が低減され、図4に示す昇圧チョッパを用いた力率改善コンバータに対してコンバータ効率が改善される。 【0063】 この実施態様の双方向スイッチS1制御信号は、トリガ(電源電圧のゼロクロス検出信号)からある一定時間駆動信号を出力するという非常に簡単なものであるので、例えば、図12に示す実施態様のようにマルチバイブレータのようなパルス幅制御装置を用いることによって簡単に実現できる。また、図15に示すように、直流出力電圧は、双方向スイッチS1のオンタイムによって全波整流電圧から倍電圧整流電圧まで直線的に変化するので、所望の直流出力電圧に対する双方向スイッチS1のオンタイム設定は簡単な四則計算で行うことができる。 【0064】 図16はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。このコンバータは、図示しない交流電源の端子間にリアクトル1を介して全波整流回路2を接続し、全波整流回路2の出力端子間に平滑用コンデンサC2と、互いに直列に接続された昇圧用コンデンサC11,C12とを互いに並列接続し、全波整流回路2の入力端子と昇圧用コンデンサC11,C12の接続点との間に双方向スイッチS1を接続し、双方向スイッチS1を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部43を設けている前記制御部43は、電源電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路43aと、負荷に与えられる直流電圧を検出する直流電圧検出回路43bと、外部から与えられる直流電圧指令値と直流電圧検出回路43bにより検出された直流電圧とを入力として、両者の偏差を出力する偏差検出器43cと、電源電圧、または電源電圧のゼロクロス点検出信号および直流電圧指令値に偏差検出器43cの出力を足し合わせた直流電圧指令補正値を入力として、双方向スイッチS1を駆動するための制御信号を出力する制御回路43dと、制御回路43dからの出力信号を入力として双方向スイッチS1を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路43eとから構成されている。 【0065】 ここに、制御回路43dは、検出された電源電圧と直流電圧指令補正値との大小を比較して比較結果信号を出力するか、あるいは前記比較結果信号の電源電圧ゼロクロス点に対する進み位相側の期間を短縮すべく位相を調節した信号を出力するか、あるいは電源電圧のゼロクロス点を起点として立ち上がり、直流電圧指令補正値に対応する期間が経過した時点で立ち下がるパルス信号を出力するかの何れかの制御方式が採用される。 【0066】 この実施態様を採用した場合には、直流電圧指令値に対する直流電圧の偏差に基づいて双方向スイッチS1のオン時間を設定することができ、精度よく直流電圧を制御することができる。すなわち、図12の実施態様を採用した場合には、入力電流が増加した場合に、リアクトル1による電圧降下が大きくなるので、直流電圧を精度よく制御することができないのに対して、この実施態様を採用することにより、直流電圧を精度よく制御することができる。 【0067】 図17はモータを制御するインバータを負荷として採用した状態を示す図である。図17においては、インバータ44に対して駆動回路44aを介してスイッチング指令を供給するインバータ制御回路44bが必要とする直流電圧値を直流電圧指令値としてコンバータ制御部43に供給している。したがって、例えば、インバータ44のV/F制御などを用いる場合、インバータが運転状態に応じて最適なインバータ駆動を行うために必要な直流電圧値を直流電圧指令値としてコンバータ制御部43に供給することによって、コンバータが常に最適な直流電圧を供給でき、インバータ、モータの高効率運転に大きな役割を果たすことができる。 【0068】 図18はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。この実施態様においてはモータを制御するインバータを負荷として採用しており、前記の何れかの実施態様の制御部の構成要素のうち、電源電圧(ゼロクロス)検出回路、直流電圧検出回路、駆動回路を除く構成要素をインバータ44を制御するためのマイクロコンピュータ44cに組み込んでいる。 【0069】 図6、図9の実施態様に対応させる場合には、マイクロコンピュータ44cにおいて直流電圧指令値と電源電圧との比較演算および位相調整を行わせればよく、図12の実施態様に対応させる場合には、マイクロコンピュータ44cにおいて、電源電圧のゼロクロス検出信号により内部タイマをスタートすると同時に双方向スイッチS1を駆動する駆動信号を出力し、前記内部タイマによる所定カウント終了後に駆動信号をオフすればよい。そして、直流電圧および高調波、力率改善はタイマのカウント数のみによって制御することができる。なお、何れの実施態様に対応させる場合であっても、マイクロコンピュータ44cの制御プログラムは非常に簡単なものでよい。 【0070】 さらに、通常空気調和機に用いられる制御回路には電源電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路が装備されている上、インバータからの直流電圧指令値をわざわざ他から受け取る必要もなくなるので、双方向スイッチS1制御をインバータ用のマイクロコンピュータに組み込むことによって、倍電圧整流方式に対する付加部品は、双方向スイッチとその駆動回路以外は殆ど必要でなく、低コスト、省スペースで高性能なモータ駆動システムを構成することができる。このとき、マイクロコンピュータで必要となるハードウェアは出力ポート1ないし2個と内部タイマ1台のみである。 【0071】 また、直流電圧がα倍になると、同容量の負荷を駆動するインバータの電流容量は1/αとなる。そして、インバータの発熱もそれに比例して減少することになり、インバータを小型化、低コスト化することができる。また、上述したように、インバータの指令によってコンバータの直流電圧を自在に可変できるため、V/F制御を効果的に行うことができ、インバータ、モータの高効率化を実現することができる。 【0072】 先に述べたように、モータの高周波化の限界は駆動電圧によって定まる。すなわち、駆動電圧にほぼ比例的に限界周波数が上昇することとなり、直流電圧の上昇はモータの運転範囲を広げる効果をもたらす。空気調和機は、運転開始時には即冷(即暖)のために最大能力運転を行うが、運転範囲拡大は即冷(即暖)能力を飛躍的に改善するものである。また、能力の異なる空気調和機の圧縮機モータ統一化を実現する有用な手段であり、コストダウンに大きく寄与する。 【0073】 一方、コンバータ単体においても、高効率と高調波抑制を実現し、従来はPWMコンバータあるいは高コスト大型のパッシブ方式でしか適合できなかった数kWクラスのIEC高調波規制(classA)を低コスト省スペースの回路構成でクリアすることができるとともに、90%をゆうに越える高力率を達成することができる。また、半周期に1回の簡易スイッチであるため、PWM方式で問題となっていたノイズや高周波損失などの問題が発生することがない。 【0074】 また、双方向スイッチのオン期間を自在に可変できることから、例えば、軽負荷時に直流電圧を抑制し、高負荷時は直流電圧を上昇し、定格負荷時には高調波、力率優先制御を行うなど、状況に応じた最適なコンバータ駆動を簡単に行うことができる。上記制御には、負荷状態の予測が必要であるが、負荷状態は、機器入力電流、コンバータ出力電流、インバータ周波数等で予測が可能であるので、空気調和機等のインバータ制御回路(マイクロコンピュータ)が従来から持っている機器入力電流、インバータ周波数等の情報で、負荷予測は容易に実現できる。 【0075】 さらに、機器入力電流もしくはインバータ周波数に対応する最適な双方向スイッチS1のオン時間を予めマイクロコンピュータのメモリに持たせておくことによって、負荷容量演算を必要としなくなるので、制御はさらに簡素化される。図23はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【0076】 このコンバータは、三相交流電源100の各相の出力端子をそれぞれリアクトル101を介して三相ダイオード全波整流回路102の各入力端子に接続している。そして、三相ダイオード全波整流回路102の出力端子間に、互いに等しい静電容量を有する平滑用コンデンサC101,C102を直列接続し、三相ダイオード全波整流回路102の各入力端子と平滑用コンデンサC101,C102の接続点との間にそれぞれ双方向スイッチS101,S102,S103を接続し、双方向スイッチS101,S102,S103を電源電圧の半周期に1回スイッチングさせるべく制御する制御部103を設けている。 【0077】 前記制御部103は、三相交流電源100の相電圧を検出し、相電圧に基づいて、所定のタイミングで双方向スイッチS101,S102,S103をONさせるべく制御信号を出力する。次いで、図26に示す各部の波形を参照しながら前記の構成のコンバータの動作を説明する。 【0078】 三相交流電源100の電源電圧は図26中(a)に示すように変化する。そして、制御部103は、各相電源電圧のゼロクロスを検出して図26中(b)に示すように該当する相の双方向スイッチをONさせるべく制御信号を出力する。そして、三相ダイオード全波整流回路102の各入力端子における相電圧は、図26中(c)に示すように、双方向スイッチがONの期間に対応してゼロになり、この期間を挟んでV0/2、-V0/2を反復するように変化する。なお、V0は直流電圧である。したがって、三相ダイオード全波整流回路102の各入力端子における線間電圧は、図26中(d)に示すように、V0、V0/2、0、-V0/2、-V0の5つのレベルの振幅を持つ、1周期に8ステップの波形になる。そして、電源電圧の中性点に対するコンバータ入力電圧(三相ダイオード全波整流回路102の各入力端子における電圧)は、図26中(e)に示すように、2V0/3、V0/2、V0/3、0、-V0/3、-V0/2、-2V0/3の7つのレベルの振幅を持つ、1周期に12ステップの波形になる。なお、入力電圧と入力電流とは図24に示すとおりである。 【0079】 このように、コンバータ入力電圧を12ステップの電圧波形にすることができるので、図26中(f)に示すように、入力電流はほぼ正弦波状の波形になり、従来の三相12パルス整流回路方式以上の高調波低減効果を達成することができる(図25参照)。図23の実施態様において、各交流スイッチのON時間を変化させることが可能である。 【0080】 図27はON時間を変化させた場合のコンバータ入力電圧波形の変化を説明する図である。このようにコンバータ入力電圧波形を変化させれば、各高調波成分の含有率が変わるので、特定の高調波成分を除去し、または低減することができる。図28は交流スイッチのON時間に対する高調波電流特性を示す図である。 【0081】 この図を参照すれば、ON時間をπ/6に設定することにより、5次高調波成分および7次高調波成分を共に低減できることが分かる。また、ON時間をπ/6よりもやや長くすれば5次高調波成分を除去することができ、ON時間をπ/6よりもやや短くすれば7次高調波成分を除去することができる。また、図23の実施態様において、各交流スイッチのONのタイミングを変化させることが可能である。 【0082】 図29はONタイミングを変化させた場合のコンバータ入力電圧波形の変化を説明する図である。なお、電源電圧も共に示している。図29中(a)には、電源電圧波形とコンバータ入力電圧波形とを示し、図29中(b)には、タイミングの変化に対応する交流スイッチのON状態を示している。このようにコンバータ入力電圧波形を変化させる場合には、例えば、負荷情報として入力電流を検出し、その検出値に応じて双方向スイッチをONするタイミングを変え、コンバータ入力電圧の電源電圧に対する位相差θを制御すればよく、全ての負荷変動範囲で、特定の高調波成分を除去し、または低減する状態を保つことができる。 【0083】 各高調波成分がIEC規格クラスAをクリアするように、双方向スイッチのON時間を設定し、負荷に応じてコンバータ入力電圧の位相制御を行えば、図30に示すように、全ての負荷変動範囲で高調波規格を満足することができる。図31はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【0084】 図31のコンバータが図23のコンバータと異なる点は、制御部103に代えて、入力電流を検出するとともに、三相交流電圧のゼロクロスを検出して位相制御を行うべく位相差指令(ONタイミング指令)θを出力する位相制御部104と、この位相差指令θおよびON時間指令を入力としてONタイミングからON時間だけ各双方向スイッチをONさせるべく双方向スイッチ駆動信号を出力するドライブ回路105とを設けた点のみである。 【0085】 図32(a)(b)は、それぞれ重負荷時、軽負荷時における電圧ベクトル図である。何れの電圧ベクトル図においても、入力電流の基本波Iと電源電圧Vsとが同相になっている。換言すれば、入力電流に応じて双方向スイッチのONタイミングを変えて、電源電圧Vsに対する位相差θを制御することにより、入力電流の基本波Iと電源電圧Vsとを同相にすることができる。また、双方向スイッチのON時間を変えて、コンバータ入力電圧の基本波Vの大きさを制御することができる。 【0086】 このように制御を行うことにより、入力電流の基本波力率を常に1に保つことができる。なお、前記位相制御部104においては、θ=tan-1(ωL・I/Vs)の演算を行うことにより位相差指令θを算出する。図33はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【0087】 図33のコンバータが図31のコンバータと異なる点は、位相制御部104に代えて、入力電流を検出するとともに、入力電圧を検出して位相制御を行うべく位相差指令(ONタイミング指令)θを出力する位相制御部106と、入力電流を検出するとともに、入力電圧を検出してON時間指令tonを出力する電圧制御部107とを設けた点のみである。 【0088】 この構成のコンバータを採用した場合には、図31の構成のコンバータと同様に位相差指令θを出力することができるほかに、電圧制御部107によって双方向スイッチのON時間指令tonを出力することができる。ここで、直流電圧は、電源電圧と入力電流の基本波との位相差φを検出し、電源電圧と入力電流の基本波との位相が互いに同相になるように双方向スイッチのON時間指令tonを設定して出力する。具体的には、図34中(a)に示すように入力電流が進み位相である場合には、双方向スイッチのON時間指令tonを短くしてコンバータ入力電圧を小さくし、図34中(b)に示すように入力電流が遅れ位相である場合には、双方向スイッチのON時間指令tonを長くしてコンバータ入力電圧を大きくする。 【0089】 したがって、図31の構成のコンバータを用いてコンバータ入力電圧の位相のみを制御する場合に、入力電流の基本波と電源電圧との間に僅かな位相差が生じ、入力力率が多少低下するのであるが、図33の構成のコンバータを採用すれば、コンバータ入力電圧の大きさをも制御するので、電源電圧と入力電流の基本波とを常に互いに同相とすることができ、入力力率を高く保つことができる。 【0090】 図35はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。図35のコンバータが図31のコンバータと異なる点は、位相制御部104に代えて、直流電圧を検出して直流電圧指令値との偏差を算出する偏差算出部108と、算出された偏差を入力としてPI(比例・積分)制御を行って双方向スイッチのON時間指令tonを出力するPI回路109とを採用し、ドライブ回路105において、電源電圧のゼロクロスを検出し、かつ双方向スイッチのON時間指令tonを入力として、ゼロクロスから時間tonだけ双方向スイッチをONさせるべく双方向スイッチ駆動信号を出力するようにした点のみである。 【0091】 この実施態様のコンバータを採用した場合には、直流電圧を検出して直流電圧指令値との偏差を算出し、算出された偏差に応じて双方向スイッチのON時間を変化させることができるので、電源電圧変動、負荷変動に拘らず、安定した直流電圧を供給することができる。また、高調波電流は、図36に示すように、直流電圧設定値に応じて変化する(双方向スイッチのON時間に対する特性と同様)のであるから、最大負荷時に各高調波電流がIEC規格クラスAを満足する直流電圧で、直流電圧一定制御を行えば、全ての負荷変動範囲で高調波規格を満足することができる(図37参照)。 【0092】 さらに、図38の直流電圧-入力電力特性図に示すように、この実施態様を採用した場合には、負荷が増加しても直流電圧が低下しないことが分かる(図38中白四角を参照)。なお、図38中黒四角は従来のコンバータの特性図であり、負荷の増加に伴って直流電圧が低下している。図39はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【0093】 図39のコンバータが図35のコンバータと異なる点は、直流電圧を負荷としてのインバータ回路110に供給し、インバータ回路110によりモータM0を駆動している点、およびインバータ回路110を制御するためのインバータ制御部111からから出力される直流電圧指令値を偏差算出部108に供給している点のみである。 【0094】 したがって、この構成のコンバータを採用した場合には、インバータ回路110が要求する直流電圧、例えば、V/F制御時の最適V/Fパターンを実現するのに必要な直流電圧をコンバータから供給することができる。この実施態様において、インバータ制御部111、偏差算出部108、PI回路109、ドライブ回路105をインバータのマイコンで実現することが可能であり、この場合には、双方向スイッチおよびその駆動回路のみを付加すればよいので、安価、かつ高力率のコンバータを実現することができる。また、図19中(a)に示すコンバータと比較して直流電圧を高くできるので、モータ運転能力範囲を拡大することができる。 【0095】 図40はこの発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。図40のコンバータは、三相ダイオード全波整流回路102の出力端子間に互いに直列接続された昇圧用コンデンサ(倍電圧用コンデンサ)C104,C105の静電容量を上記の各コンバータの平滑用コンデンサC101,C102の静電容量よりも小さく(例えば、1/10程度)設定し、1対の昇圧用コンデンサC104,C105の直列回路と並列に静電容量が大きい平滑用コンデンサC103を接続した点のみである。ただし、平滑用コンデンサC101,C102の直列接続回路の静電容量と平滑用コンデンサC103の静電容量とを等しく設定する。なお、双方向スイッチを制御するための構成は、上記の何れかのコンバータと同様であるから、図40においては図示を省略してある。 【0096】 この実施態様を採用した場合には、図41中(b)に示すように、直流電圧の中性点電位が変動するので、コンバータ入力電圧波形は図41中(a)に示すように、正弦波に近い波形になる。この結果、入力電流の高調波成分を低減することができる。特に、規格値に対して余裕がない次数(7、11、17、19次)の高調波電流を低減することができる(図42参照)。ただし、5次高調波成分は増加することになるが、もともと5次高調波電流は規格値に対して十分に余裕があるので、特に問題とはならない。 【0097】 【発明の効果】 請求項1の発明は、倍電圧整流と全波整流とを電源電圧の変動に応じて切り替えることができ、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができるという特有の効果を奏する。 【0098】 請求項2の発明は、前記した直流電圧昇圧効果に加え、倍電圧整流と全波整流との切り替えをより簡単化できるという特有の効果を奏する。請求項3の発明は、前記した直流電圧昇圧効果に加え、倍電圧整流方式による進相側導通角拡大と全波整流方式による遅相側導通角拡大の両方の効果を効率的に利用し、著しい力率改善及び高調波改善を達成することができるという特有の効果を奏する。 【0099】 請求項4の発明は、前記した直流電圧昇圧効果に加え、力率改善効果、高調波改善効果を得ることができるという特有の効果を奏する。請求項5の発明は、前記した直流電圧昇圧効果に加え、力率改善効果、高調波改善効果を高めることができるという特有の効果を奏する。請求項6の発明は、前記した直流電圧昇圧効果に加え、力率改善効果を高めることができ、しかも、高調波改善効果を一層高めることができるという特有の効果を奏する。 【0100】 請求項7の発明は、請求項1から請求項6の何れかと同様の効果を奏する。請求項8の発明は、請求項1から請求項6の何れかの効果に加え、コンバータの後段の回路で必要とされている直流電圧を出力することができるという特有の効果を奏する。請求項9の発明は、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができるという特有の効果を奏する。 【0101】 請求項10の発明は、入力電流の高次高調波成分を低減させることができるほか、全波整流により得られる電圧以上であり、しかも、倍電圧整流により得られる電圧よりも低い電圧の範囲内での直流電圧昇圧を簡単に達成することができるという特有の効果を奏する。請求項11の発明は、コンデンサ入力形整流回路における低入力力率、高調波電流の発生という不都合を改善することができ、しかもPWMコンバータにおける高周波スイッチングに起因する効率の低下、ノイズの増加、漏洩電流の増大、コストアップという不都合を改善することができるという特有の効果を奏する。 【0102】 請求項12の発明は、特定の高調波成分を除去し、または低減することができるほか、請求項9から請求項11の何れかと同様の効果を奏する。請求項13の発明は、全ての負荷変動範囲で、特定の高調波成分を除去し、または低減することができるほか、請求項12と同様の効果を奏する。請求項14の発明は、入力電流の基本波力率を常に1に保つことができるほか、請求項9から請求項13の何れかと同様の効果を奏する。 【0103】 請求項15の発明は、電源電圧変動、負荷変動に拘らず安定した直流電圧を供給することができるほか、請求項9から請求項11の何れかと同様の効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 従来のコンバータの一例を示す電気回路図、入力電圧、電流波形を示す図、および高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドライン、IEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図2】 従来のコンバータの他の例を示す電気回路図、入力電圧、電流波形を示す図、および高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドライン、IEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図3】 従来のコンバータのさらに他の例を示す電気回路図、および入力電圧、電流波形を示す図である。 【図4】 従来のコンバータのさらに他の例を示す電気回路図、および入力電圧、電流波形を示す図である。 【図5】 この発明のコンバータの一実施態様を示す図である。 【図6】 この発明のコンバータの他の実施態様を示す図である。 【図7】 図6のコンバータの各部の波形を示す図である。 【図8】 図6のコンバータの高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドライン、IEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図9】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。 【図10】 図9のコンバータの各部の波形を示す図である。 【図11】 図9のコンバータの高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドライン、IEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図12】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。 【図13】 図12のコンバータの各部の波形を示す図である。 【図14】 図12のコンバータの高調波発生量と家電・汎用品高調波ガイドライン、IEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図15】 双方向スイッチのオン時間に対する出力電圧の変化を示す図である。 【図16】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す図である。 【図17】 図16のコンバータの変形例を示す図である。 【図18】 この発明のコンバータの変形例を示す図である。 【図19】 従来のチョーク入力形整流回路を示す図である。 【図20】 従来のPWMコンバータを示す図である。 【図21】 従来の三相12パルス整流回路方式を示す図である。 【図22】 従来の三相12パルス整流回路方式の各部の波形を示す図である。 【図23】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図24】 図23のコンバータの入力電圧・電流波形を示す図である。 【図25】 図23のコンバータの高調波発生量とIEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【図26】 図23のコンバータの各部の波形を示す図である。 【図27】 双方向スイッチのON時間を変化させた場合のコンバータ入力電圧波形を示す図である。 【図28】 ON時間に対する入力電流高調波成分の変化特性を示す図である。 【図29】 電源電圧と、双方向スイッチのONタイミングを変化させた場合のコンバータ入力電圧の変化を示す図である。 【図30】 入力電力に対する各次の高調波電流の変化特性を示す図である。 【図31】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図32】 重負荷時、軽負荷時に対応する電圧ベクトル図である。 【図33】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図34】 進み位相、遅れ位相に対応する電圧ベクトル図である。 【図35】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図36】 最大負荷時における入力電力に対する各次の高調波電流の変化特性を示す図である。 【図37】 直流電圧制御時における入力電力に対する各次の高調波電流の変化特性を示す図である。 【図38】 入力電力に対する直流電圧の変化特性を示す図である。 【図39】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図40】 この発明のコンバータのさらに他の実施態様を示す電気回路図である。 【図41】 コンバータ入力電圧波形およびコンデンサリプル電圧波形を示す図である。 【図42】 図41のコンバータの高調波発生量とIEC-classA高調波規制との関係を示す図である。 【符号の説明】 1,101 リアクトル 2 全波整流回路 3,13,23,33,43 制御部 100 三相交流電源 102 三相ダイオード全波整流回路 103 制御回路 104 位相制御部 105 ドライブ回路 106 位相制御部 107 電圧制御部 108 偏差算出部 109 PI回路 C2,C101,C102,C103 平滑用コンデンサ C11,C12,C104,C105 昇圧用コンデンサ S1,S101,S102,S103 双方向スイッチ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-12-07 |
出願番号 | 特願平9-151421 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZD
(H02M)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 川端 修 |
特許庁審判長 |
城戸 博兒 |
特許庁審判官 |
安池 一貴 三友 英二 |
登録日 | 2003-04-25 |
登録番号 | 特許第3422218号(P3422218) |
権利者 | ダイキン工業株式会社 |
発明の名称 | コンバータ |
代理人 | 前田 弘 |
代理人 | 前田 弘 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 高瀬 彌平 |