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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
管理番号 1115231
審判番号 不服2002-14987  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-08 
確定日 2005-04-06 
事件の表示 平成10年特許願第 3071号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月26日出願公開、特開平10-170947〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
平成 7年 7月27日 本件出願の原出願
(特願平7-191341号)
平成10年 1月 9日 本件出願
平成13年 5月29日 拒絶理由通知(発送日)
平成13年 7月25日 意見書、手続補正書(提出日)
平成14年 7月 9日 拒絶査定(発送日)
平成14年 8月 8日 審判請求、手続補正書(提出日)
平成16年 9月10日 補正却下の決定
(14年8月8日提出の手続補正書)
平成16年 9月21日 拒絶理由通知(発送日)
平成16年11月 9日 意見書、手続補正書
平成16年12月 7日 審尋(発送日)
平成17年 1月 5日 回答書(提出日)

2.平成16年11月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月9日付けの手続補正を却下する。
[理由]
平成14年8月8日付けの手続補正は却下の決定がなされているので、平成16年11月9日付けの手続補正は、平成13年7月25日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の
「一対の基板と、前記一対の基板のうちの一方の基板上の表示領域に形成される複数のアクティブ素子と、
前記一方の基板上に行方向に形成され行方向のそれぞれのアクティブ素子に走査信号を印加する複数の走査信号線と、
前記一方の基板上に列方向に配列された映像信号線を介して映像信号が印加される画素電極と、
前記一方の基板上に行方向に配列されている共通電極信号線を介して対向電圧が印加される対向電極とを有し、
前記画素電極と対向電極が互いに対向して配置され、その間に発生される電界成分によって光透過率を制御する液晶表示装置において、
前記各共通電極信号線は、その両端部が共通電極配線によって接続されると共に、前記共通電極信号線の一端に接続された共通電極配線と他端に接続された共通電極配線のそれぞれに共通電圧駆動回路から駆動電圧が供給され、また前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成されることを特徴とする液晶表示装置。」

「一対の基板と、前記一対の基板のうちの一方の基板上の表示領域に形成される複数のアクティブ素子と、
前記一方の基板上に行方向に形成され行方向のそれぞれのアクティブ素子に走査信号を印加する複数の走査信号線と、
前記一方の基板上に列方向に配列された映像信号線を介して映像信号が印加される画素電極と、
前記一方の基板上に行方向に配列されている共通電極信号線を介して対向電圧が印加される対向電極と、
前記画素電極と共通電極信号線との間に形成される蓄積容量とを有し、
前記画素電極と対向電極が互いに対向して配置され、その間に発生される電界成分によって光透過率を制御する液晶表示装置において、
前記各共通電極信号線は、その両端部が共通電極配線によって接続されると共に、前記共通電極信号線の一端に接続された共通電極配線と他端に接続された共通電極配線のそれぞれに共通電圧駆動回路から駆動電圧が供給されることを特徴とする液晶表示装置。」と補正するものである。
ところで、上記補正においては、補正前の請求項1の記載に対し、「前記画素電極と共通電極信号線との間に形成される蓄積容量」を有するという限定事項が追加され、「前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」という限定事項が削除されている。
このうち、補正前にあった限定事項を削除することは、特許請求の範囲の減縮に該当せず、また、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれにも該当しない。
したがって、上記手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合せず、特許法第159条第1項において準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)平成16年11月9日付けの手続補正は上記のとおり却下され、平成14年8月8日付けの手続補正も却下の決定がなされている。したがって、平成13年7月25日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に各々記載された発明は、次のとおりである。
「【請求項1】 一対の基板と、前記一対の基板のうちの一方の基板上の表示領域に形成される複数のアクティブ素子と、
前記一方の基板上に行方向に形成され行方向のそれぞれのアクティブ素子に走査信号を印加する複数の走査信号線と、
前記一方の基板上に列方向に配列された映像信号線を介して映像信号が印加される画素電極と、
前記一方の基板上に行方向に配列されている共通電極信号線を介して対向電圧が印加される対向電極とを有し、
前記画素電極と対向電極が互いに対向して配置され、その間に発生される電界成分によって光透過率を制御する液晶表示装置において、
前記各共通電極信号線は、その両端部が共通電極配線によって接続されると共に、前記共通電極信号線の一端に接続された共通電極配線と他端に接続された共通電極配線のそれぞれに共通電圧駆動回路から駆動電圧が供給され、また前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】 前記共通電極信号線は前記走査信号線と同層で形成され、前記共通電極配線は、前記映像信号線と同層で形成されることを特徴とする請求項1に記載された液晶表示装置。
【請求項3】 前記共通電極信号線と前記共通電極配線は、前記共通電極配線と前記映像信号線との間の領域にコンタクトホールを介して接続されることを特徴とする請求項2に記載された液晶表示装置。
【請求項4】 前記共通電極信号線と前記共通電極配線は、前記共通電極配線に対して前記映像信号線と反対側の領域にコンタクトホールを介して接続されることを特徴とする請求項2に記載された液晶表示装置。
【請求項5】 前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含む共通電極配線は前記走査信号線と同層及び前記映像信号線と同層の各層で形成されることを特徴とする請求項1に記載された液晶表示装置。」
(2)当審の拒絶理由
平成16年9月21日付け(発送日)で通知した当審の拒絶理由は、
「理由A:
特許請求の範囲の記載のうち、【請求項1】における「前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」と、請求項5における「前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含む共通電極配線」との事項は、補正により付加されたものである。
これに関連して、本件出願の願書に最初に添付した明細書には、段落【0062】に、「また、各電極、信号線の材料には、特に材料の制約は無いが駆動回路との接続端子部での腐食を考慮すると対腐食性の強い金属が望ましい。」と記載され、段落【0074】〜【0077】に、アルミニウムを用いて共通電極信号線、共通電極配線を形成すること、共通電極配線上にクロム、アルミニウムを形成することが記載され、特に段落【0077】において、「共通電極配線47は、アルミニウム38、クロム41、アルミニウム42によって構成され低抵抗化なされている。」と記載されているが、共通電極配線の少なくともいずれかが共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成されるものとして記載されてはいない。
また、【請求項5】における「前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含む共通電極配線」についても、やはり本件出願の願書に最初に添付した明細書に記載されていない。
したがって、平成13年7月25日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものではないので、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。
理由B:
特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

特開平9-43633号公報(以下、「引用例」という)
本件出願の請求項1における「前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」と、請求項5における「前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含む共通電極配線」との事項は、原出願(特願平7-191341号)の願書に最初に添付した明細書に記載されていない事項を含むものであるから、本件出願は特許法第44条第1項の規定による出願とは認められず、その出願は現実の出願日である平成10年1月9日となる。
引用例には、「前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」ことは記載されていないが、基板上に形成される配線、信号線を耐腐食性の強い材料で形成することは必要に応じて適宜なし得ることであり、共通電極配線の少なくともいずれかを共通電極新合繊より耐腐食性の強い材料で形成することも、やはり容易に想到し得る程度の事項を示したにすぎない。また、複数種の信号線あるいは配線を同層として形成すること、コンタクトホールを介して接続することは周知の事項である。」
というものである。
(3)当審の判断
理由Aについて:
この理由についての対応に関し、新規事項について述べられていないことから、上記審尋において回答を求めたところ、回答書において、「上記の記載・・・・に関しましては、本件出願人は、・・・・出願当初の明細書等に記載されていないということを認めざるを得なかったという経緯を有し」として、当審の主張を是認している。
また、本件出願の願書に最初に添付した明細書において、耐腐食性に関する記載は、段落【0062】に「また、各電極、信号線の材料には、特に材料の制約は無いが駆動回路との接続端子部での腐食を考慮すると耐腐食性の強い金属が望ましい。」とあるのみで、共通電極信号線と共通電極配線との耐腐食性の強弱については記載されておらず、共通電極信号線及び共通電極配線の具体的構成を示した段落【0074】〜【0077】においては、共通電極配線が低抵抗化されていることが記載されているにすぎない。また、「共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」ことの根拠となる事項は、明細書の当該箇所に記載されていないばかりでなく、明細書の他の箇所または図面においても全く記載されていない。
したがって、平成13年7月25日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないので、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。
理由Bについて:
本件出願の平成13年7月25日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載における「前記共通電極配線の少なくともいずれかは前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含んで構成される」と、請求項5における「前記共通電極信号線より耐腐食性の強い金属を含む共通電極配線」との事項が原出願(特願平7-191341号)の願書に最初に添付した明細書または図面に記載されておらず、本件出願が原出願の一部を新たな特許出願としたものではなく、特許法第44条第1項の規定による出願とは認められないことは、拒絶理由に示したとおりであるので、本件出願は現実の出願日である平成10年1月9日の出願である。
また、本件出願の請求項1に係る発明が本件出願の出願日前に公開された原出願の公開公報である特開平9-43633号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることも拒絶理由に示したとおりである。
したがって、本件出願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件出願は、その明細書についてした補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないものであり、また、その請求項1に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-26 
結審通知日 2005-02-01 
審決日 2005-02-15 
出願番号 特願平10-3071
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02F)
P 1 8・ 55- WZ (G02F)
P 1 8・ 561- WZ (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 公夫河原 英雄  
特許庁審判長 瀧本 十良三
特許庁審判官 町田 光信
稲積 義登
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 秋田 収喜  

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