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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1115265
審判番号 不服2003-21765  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-07 
確定日 2005-04-11 
事件の表示 平成 8年特許願第204265号「デジタル画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月 3日出願公開、特開平10- 32661〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年7月15日の出願であって、平成15年3月13日付け、及び平成15年12月4日付けの手続補正書によって明細書が補正され、平成16年8月27日付けで当審により拒絶理由が通知され、平成16年10月22日付けで意見書が提出された。

2.特許請求の範囲の記載
平成15年12月4日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】
装置本体に、下構造体とその下構造体上に取り付ける上構造体とを備え、
前記下構造体は、画像形成部を支持するとともに、その下構造体にプリンタ機能部品を取り付ける一方、
前記上構造体は、前記画像形成部上に排紙スタック部を支持し、さらにその排紙スタック部上でスキャナ部を支持するとともに、
前記排紙スタック部を含む前記上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けてなる、
デジタル画像形成装置。」

3.当審の拒絶理由
平成16年8月27日付けで当審により通知された拒絶理由は、次のとおりである。

「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。



請求項1に「前記排紙スタック部を含む前記上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けてなる、」と記載されているが、どのような位置に取り付けてあるのか明確でない。
また、発明の詳細な説明及び図面の記載との対応も明らかでない。」

4.判断
発明の詳細な説明には、
「 【0004】
【課題を解決するための手段】
……前記排紙スタック部13を含む前記上構造体C全体の高さ位置内に、
コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けてなる、」、
「 【0005】
……排紙スタック部13を含む上構造体C全体の高さ位置内に、コピー
機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付ける。」、及び
「 【0034】
【発明の効果】
……排紙スタック部を含む上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けることから、」
と、特許請求の範囲の記載と、ほぼ同様の文言が記載されているが、これらの記載からは、「コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板」が「上構造体」に、どのようにして取り付けられているのか、その構成は明確でない。
また、発明の詳細な説明の【発明の実施の形態】の項には、
「 【0021】
そして、この支持構造体Aは、下構造体Bで上述の画像形成部12を支持し、その画像形成部12に備える部品、つまりプリンタ機能に固有の部品とともに、プリンタ機能とコピー機能およびファクシミリ機能に共通に必要な部品を取り付ける。
……
【0024】
さらに、下構造体Bには、図3に示すように各種制御基板を取り付ける。図中符号65は、IOCSS(Input-Output & Custmor Suport System)ボードであり、I/O機能と遠隔診断機能用の通信機能を持つ。66は、MSU(Memory Surper-charger Unit)ボードであり、画像データの圧縮、伸長とデータの保持、加工(回転)を行う。67は、PSU(Power Supply Unit)ボードであり、制御系、駆動系、センサ系の電源を供給する。68は、高圧電源ボードである。」、及び
「 【0025】
他方、図1に示す上構造体Cは、排紙スタック部13を支持し、その排紙スタック部13の排紙トレイ24等を取り付ける。さらに、上構造体Cは、排紙スタック部13の上でスキャナ部14を支持し、そのスキャナ部14に備えるコピー機能およびファクシミリ機能にそれぞれ固有の部品を取り付ける。
【0026】
たとえば図4に示した原稿読取り光学機構27の各種光学部品や、コンタクトガラス28等を取り付ける。また、図2に示すように、符号70で示すスキャナモータを取り付ける。
【0027】
さらに、図3に示すように、コピー機能およびファクシミリ機能に固有の各種制御基板を取り付ける。図中符号72は、BICU(Base-engine Image Control Unit)ボードであり、操作モード、動作モードの制御と、ビデオバス制御(変倍、画処理)を行う。73は、FCU(Fax Control Unit)ボードであり、FAX機能の制御であって、データの圧縮、伸長、各送受信モードにしたがって動作を決定する。74は、SBU(Scaner Block Unit)ボードであり、CCDで読み取ったデータをビデオデータに変換する。75は、NCU(Network Control Unit)ボードであり、FAXのための回線切り替え等を行う。76は、操作部ボードである。」
と記載されているが、「コピー機能およびファクシミリ機能に固有の各種制御基板」が「上構造体C」に取り付けらられることは記載されているが、どのようにして取り付けられているのか、その構成は明確でないし、「上構造体C全体の高さ位置内に」取り付けることは記載されていない。
さらに、「そのデジタル画像形成装置のプリンタ機能・コピー機能・ファクシミリ機能に共通の制御基板とそれ以外の制御基板の配置関係を示す斜視図である。」とする図3には、「上構造体C」及び「下構造体B」は示されておらず、「下構造体B」に取り付けられる「MSU(Memory Surper-charger Unit)ボード66」は、その最下端部が、「BICU(Base-engine Image Control Unit)ボード72」の最下端部より上方に位置する図が記載されているが、取り付けの構成を示すものは何ら記載されておらず、「コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板」である「BICU(Base-engine Image Control Unit)ボード72」がどのようにして「排紙スタック部を含む上構造体全体の高さ位置内」に取り付けられているのか、この図からは不明である。
したがって、請求項1の「前記排紙スタック部を含む前記上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けてなる」ことは、どのようにして取り付けるのか明確でないか、発明の詳細な説明に実質的に記載されたことではないか、または当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明の記載がなされていないと、いわざるをえない。
なお、請求人は平成16年10月22日付けの意見書において、
「ここで、本願発明のデジタル画像形成装置においては、スキャナ部は、上構造体とは別体として構成されている。このことは、出願当初明細書の請求項1および段落[0004]中の「スキャナ部を支持する……上構造体」という記載、段落[0005]中の「上構造体Cでスキャナ部を支持して」という記載等の本願明細書の記載から明白であるばかりか、本願図面の図4中、スキャナ部14の下部に、上構造体に含まれる排紙スタック部13との間を区切る直線が描かれていることからも明らかであり、また、スキャナ部を上構造体と別体で構成するのは通常行われることであることからも明らかといえる。」
としているが、出願当初明細書の請求項1には「画像形成部を支持するとと
もに必要に応じプリンタ機能部品を取り付ける下構造体」と、段落【0004】には「画像形成部12を支持するとともに必要に応じプリンタ機能部品を取り付ける下構造体B」と、さらに段落【0005】には「下構造体Bで画像形成部12を支持してプリンタ機能部品を取り付ける。」と記載されており、「支持する」が別体であることを意味するのであれば、「画像形成部」も「下構造体」に取り付けられているのではなく、別体に設けられていることになってしまうし、段落【0011】には「なお、以上のような装置本体10を載置するバンク11は、」と記載されていることから、「載置する」が別体であることを意味するものであり、「支持する」とすることが別体を意味するとはいえない。また、図4の上記請求人が示す直線は単なる線分であり、機能の区切りを表し引用符号(14)の範囲を明確に示すためのものでなく、それが具体的な構造を表すものとは、その記載からは断言できないし、スキャナ部を別体で構成するのが通常行われることであるとしても、スキャナ部を一体で構成することも通常行われる周知の構成である。したがって、スキャナ部が別体であることを前提とした
「そして、このように、スキャナ部が上構造体と別体で構成されることを勘案すると、……
よって、「上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能およびファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付ける」ことは、出願当初明細書および図面中に、明記こそされていなかったとはいえ、元来、実質的に記載されていたことであることが明白であり、よって、先の補正では、この明記されていなかったことを、単に、明確化したものにすぎないといえる。」
という請求人の主張は採用できないし、仮に「前記排紙スタック部を含む前記上構造体全体の高さ位置内に、コピー機能および/またはファクシミリ機能に固有の制御基板を取り付けてなる」という記載が明確であるとすると、そのような記載とする補正は、当初明細書または図面の範囲内でなされたものとはいえない。さらに請求人は「図3は、単に、段落[0024]に示す制御基板65〜68を下構造体Bに取り付け、一方、段落[0027]に示す制御基板72〜75を上構造体Cに取り付けるという制御基板の配置関係を概略で示しただけのものにすぎず、よって、各制御基板の位置や寸法は模式的に概略で示したものであって、決して、各制御基板の位置や寸法を正確に示したものではないことを付言しておく。」とも主張しているが、制御基板の配置関係をある程度具体的に示す記載は他になされておらず、図3が発明を示すことができる程度にも正確でないとしたら、本願の明細書及び図面には発明の実施例が明確に示されていないということになる。

5.むすび
上記のとおり、本願は明細書及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第4項または第6項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-15 
結審通知日 2005-02-18 
審決日 2005-03-01 
出願番号 特願平8-204265
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H04N)
P 1 8・ 537- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 輝久橋爪 正樹  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
深沢 正志
発明の名称 デジタル画像形成装置  
代理人 中尾 俊介  

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