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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1115285
審判番号 不服2002-12405  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-04 
確定日 2005-04-07 
事件の表示 平成11年特許願第 15758号「電子機器の機能拡張装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月 4日出願公開、特開2000-214953〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.[手続きの経緯・本願発明の要旨]
本願は、平成11年1月25日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年1月17日付け手続補正書及び平成13年12月28日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「電子機器の機能を拡張する複数種のユニットと選択的に接続可能な第1の接続部と、
前記電子機器と接続可能な第2の接続部と、
前記複数種のユニットを前記電子機器とは独立に制御することができる制御部とを有する機能拡張装置。」

2.[引用例]
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-295679号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の(イ)〜(ヘ)の各記載が認められる。
(イ)「図1は本発明に実施例による機能拡張装置(拡張ユニット)の構成を示すブロック図である。図1に於いて、10は拡張ユニット本体(DS)である。この拡張ユニット本体(DS)10は、所定長のケーブル40を介して電源ユニット(PS)30に接続され、電源ユニット(PS)30よりケーブル40を介して複数種(ここでは3種)のDC電源を受電する。この拡張ユニット本体(DS)10には、上部に、ポータブルコンピュータ実装部11が設けられ、前部に、IO機器が実装された規定寸法のユニバーサルシャーシ(UCH)50A、50Bを収納するシャーシ収納部(USLT-A、USLT-B)12A、12Bが設けられる。又、拡張ユニット本体(DS)10には、図3に示すような機能回路及びロック機構(13〜18)が設けられる。20は拡張ユニット本体(DS)10に実装されるポータブルコンピュータ(PC)であり、拡張ユニット本体(DS)10のポータブルコンピュータ実装部11へ後面部よりスライドさせて所定量挿入することにより、後面部に設けられた拡張コネクタ(リセプタクル)(図3符号CNa参照)が、同コネクタに対応して拡張ユニット本体(DS)10に設けられたコネクタ(図3符号CNb参照)に結合され、ポータブルコンピュータ(PC)20が拡張ユニット本体(DS)10に回路接続される。」(段落【0021】〜【0024】第3頁第4欄第38行〜第4頁第5欄第14行、図1、3参照)
(ロ)「50A、50Bはそれぞれ拡張ユニット本体(DS)10にIO機器を実装(接続)する際に用いられる規定寸法のユニバーサルシャーシ(UCH)であり、拡張ユニット本体(DS)10に実装する各IO機器をそれぞれ同一規格の器形状にして扱うためのもので、ここでは拡張ユニット本体(DS)10に実装するIO機器として、ユニバーサルシャーシ(UCH)50AにCD-ROM60を実装し、ユニバーサルシャーシ(UCH)50Bにハードディスクドライブ(HDD)70を実装した例を示している。この際、CD-ROM60、HDD70等の各IO機器は、それぞれコネクタ結合位置が一致するように、予め定められたシャーシ内の定位置に、複数の捩子(B、…)によって捩子止調整され、シャーシ内に固定される。このIO機器を内蔵したユニバーサルシャーシ(UCH)50A、50Bを拡張ユニット本体(DS)10に設けられたシャーシ収納部(USLT-A、USLT-B)12A、12Bに所定量嵌挿することにより、当該シャーシに実装されたIO機器が拡張ユニット本体(DS)10にコネクタ結合され回路接続される。」(段落【0028】、【0029】第4頁第5欄第39行〜第6欄第9行、図1参照)
(ハ)「15は拡張ユニット本体(DS)10の制御を司るマイクロプロセッサにより構成された制御部(CNT)であり、ここでは電源制御キー16の操作で入力された電源のオン/オフを指示する電源制御信号(SWP)をケーブル40の電源制御ラインを介して電源ユニット(PS)30に送出するとともに、電源回路(PSC)18を制御して、電源ユニット(PS)30より受けた上記3種の直流電源(PV)を内部の回路に供給制御する。」(段落【0038】第5頁第8欄第1〜9行、図3参照)
(ニ)「18は拡張ユニット本体(DS)10に内蔵された電源回路(PSC)であり、制御部15の制御の下に、ケーブル40を介して電源ユニット(PS)30より受けた上記3種の直流電源(PV)をコネクタ(CNb)を含む内部の回路に供給制御する。」(段落【0042】第5頁第8欄第47行〜第6頁第9欄第1行、図3参照。)
(ホ)「上記実施例に於いて、拡張ユニットを使用する際、先ず、拡張ユニット本体(DS)10に設けられたポータブルコンピュータ実装部11の定位置に、スライド操作でポータブルコンピュータ(PC)20を実装し、電源制御キー16を操作する。この電源制御キー16の操作で入力された電源のオン/オフを指示する電源制御信号(SWP)は制御部15に入力される。」(段落【0047】、【0048】第6頁第9欄第34行〜第41行)
(ヘ)「制御部15は、電源回路(PSC)18を制御して、ケーブル40を介して受けた動作用電源(PV)を予め定められた順次に従いコネクタを含む所定の各回路に分配供給する。これにより、拡張ユニット本体(DS)10に実装されたポータブルコンピュータ(PC)20、及びシャーシ収納部(USLT-A、USLT-B)12A、12Bに収納された各ユニバーサルシャーシ(UCH)50A、50B内の入出力機器(この例では、ユニバーサルシャーシ(UCH)50Aに実装されたCD-ROM60、及びユニバーサルシャーシ(UCH)50Bに実装されたハードディスクドライブ(HDD)70)を含む接続機器類がそれぞれ所定の電源シーケンスに従う電源投入制御で起動する。」(段落【0055】、【0056】第6頁第10欄第41行〜第7頁第11欄第4行、図1、3参照)
以上の記載によれば、この引用例1には、以下のような発明(以下、「引用例1に記載の発明」という。)が開示されていると認められる。
「ポータブルコンピュータ(PC)20の機能を拡張するCD-ROM60、HDD70等の各IO機器と選択的に回路接続されるコネクタと、前記ポータブルコンピュータ(PC)20に回路接続されるコネクタ(CNb)と、実装されたCD-ROM60、HDD70等の各IO機器を起動する電源投入制御を行う制御部15とを有する拡張ユニット。」
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-95668号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の(ト)〜(リ)の各記載が認められる。
(ト)「従来、CD-ROMを搭載した携帯型パーソナルコンピュータにおいて、CD-ROMの処理はパーソナルコンピュータが持つCPUに委ねられており、CD-ROM単体で動作することはなかった。このようなシステムでは、パーソナルコンピュータ本体(PC本体)側でCD-ROMの制御を行なう他、画像伸張のためのソフトウェアならびにハードウェアが必要となる。また、音楽CD-ROMを聞く場合にもパーソナルコンピュータ本体を持ち運ぶ必要があり、十分な携帯性を発揮することができなかった。」(段落【0004】第2頁第2欄第32行〜第41行)
(チ)「CD-ROM内蔵のCPU13は、操作部20の再生ファイル選択キーによって選択されたファイルに対する処理を判断し、音楽データであれば、DAコンバータ22からアンプ25経由でスピーカ26に音楽(可聴音)を再生する。動画像データであれば、画像伸張回路17にデータを送り、表示プロセッサ23経由で伸張された動画データを再生する。実際の画像は、図4に示すように接続されたテレビから再生される。音楽データは、スピーカ26を使用する代わりに接続されたヘッドホン等で再生することも出来る。」(段落【0023】第4頁第5欄第31行〜第40行)
(リ)「以上詳記したように本発明によれば、PC本体よりCD-ROM駆動装置を分離可能にし、CD-ROM駆動装置に、音楽再生ならびに動画像伸張用ハードウェアを内蔵したことにより、CD-ROMドライブユニット単体での音楽および動画再生が可能となる他、このCD-ROMドライブをPC本体から切り放して携帯でき、音楽および動画像表示の各再生出力が可能となる。又、CD-ROM駆動装置にバッテリを内蔵して、PC本体より分離された状態では内蔵バッテリにより駆動電源を得、又、CD-ROM駆動装置がPC本体に収納された非分離状態では、PC本体の電源により充電される構成としたことから、CD-ROM駆動装置単体で外部電源を必要とせずに長時間にわたる音楽および動画像表示の各再生出力が可能となる。」(段落【0050】第6頁第9欄第17行〜第10欄第3行)

3.[対比・判断]
(対比)
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と上記引用例1に記載の発明とを対比すると、引用例1に記載の発明の「ポータブルコンピュータ(PC)20」、「CD-ROM60、ハードディスクドライブ(HDD)70等の各IO機器」、「各IO機器と選択的に回路結合するコネクタ」、「ポータブルコンピュータ(PC)20に回路接続されるコネクタ(CNb)」、「拡張ユニット本体(DS)10」のそれぞれは、本願発明の「電子機器」、「電子機器の機能を拡張する複数種のユニット」、「第1の接続部」、「第2の接続部」、「機能拡張装置」のそれぞれに相当するから、両者は、
「電子機器の機能を拡張する複数種のユニットと選択的に接続可能な第1の接続部と、前記電子機器と接続可能な第2の接続部と、制御部とを有する機能拡張装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
本願発明においては、制御部が「複数種のユニットを前記電子機器とは独立に制御することができる」としているのに対して、引用例1に記載の発明においては、制御部が「CD-ROM60、HDD70等の各IO機器(複数種のユニットに相当する。)を起動する電源投入制御を行う」ものである点。
(判断)
上記引用例2には、PC本体より分離可能なCD-ROMドライブユニットにおいて、CD-ROMドライブユニットに、CPU13、音楽再生ならびに動画像伸張用ハードウェアを内蔵したことにより、CD-ROMドライブユニット単体での音楽および動画像表示の各再生出力が可能となることが記載されている。
また、磁気ディスク装置(ハードディスク、フロッピーディスク等)、光ディスク装置(CD-ROM、MO等)等の補助記憶装置に任意に接続されるコネクタとパーソナルコンピュータと接続されるコネクタを有するインターフェース装置において、パーソナルコンピュータが接続されていないオフライン状態では内蔵した制御部により、インターフェース装置単独で前記補助記憶装置からデータを出力することは、周知(例えば、特開平6-223023号公報の各記載参照)である。
そうすると、上記引用例1に記載の発明においても、制御部15は、電源制御キー16の操作でポータブルコンピュータ(PC)とは独立してCD-ROM60、HDD70等の各IO機器を起動する電源投入制御を行うものであるから、上記引用例2の記載事項及び上記周知事項を参酌することにより、さらに、機能拡張ユニット単独でCD-ROM60、HDD70等の各IO機器からデータ出力可能とする機能を前記制御部15に持たせて本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることである。
また、上記相違点に基づく本願発明の作用効果も当業者であれば予想できる範囲内のものである。

(なお、平成14年8月15日付け上申書の補正案によっても、同様の理由により、本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることである。)

4.[むすび]
したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-01 
結審通知日 2005-02-08 
審決日 2005-02-25 
出願番号 特願平11-15758
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津幡 貴生  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 内田 正和
和田 志郎
発明の名称 電子機器の機能拡張装置  
代理人 藤元 亮輔  

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