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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D |
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管理番号 | 1115299 |
審判番号 | 不服2002-13577 |
総通号数 | 66 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-03-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-18 |
確定日 | 2005-04-07 |
事件の表示 | 平成11年特許願第238986号「記録媒体収容体および情報提供体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年3月6日出願公開、特開2001-58689〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成11年8月25日の出願であって、その請求項1〜15に係る発明は、平成16年12月28日付け手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、明細書の特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された事項により特定されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりである。 「【請求項1】情報処理装置に提供するための情報を記録した記録媒体を収容するための記録媒体収容体において、 保持すべきディスク型記録媒体を少なくとも1枚収容可能な第1の収容領域と、前記情報処理装置における情報の処理に関連して生成される関連データを記録するためのカード型記録装置を少なくとも1つ収容可能な第2の収容領域とを形成する収容部材を有し、 前記収容部材は、前記保持すべきディスク型記録媒体を前記第1の収容領域に位置させて保持するための記録媒体保持部と、前記保持すべきカード型記録装置を前記第2の収容領域に位置させて保持するための記録装置保持部と、 互いに向き合わせた状態でそれらの間に、ディスク型記録媒体およびカード型記録装置を収容する空間を形成する第1部材および第2部材と、前記第1部材および第2部材を互いに向き合わせた状態に折り畳み可能に連結する連結部材とを有し、 前記第1部材に、前記第1の収容領域および第2の収容領域を配置し、 前記第2部材に、前記保持すべきディスク型記録媒体に記録された情報に関する説明書を保持するための説明書保持部を配置することを特徴とする記録媒体収容体。」(以下、「本願発明1」という) 2.当審で通知した拒絶の理由の概要 当審で通知した拒絶の理由は、「本願の請求項1〜15に係る発明は、その出願前に頒布された引用刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。 3.引用刊行物の記載事項 当審の拒絶の理由に引用された刊行物である、特開平11-171274号公報(以下、「引用例1」という)、特開平5-213387号公報(以下、「引用例2」という)には次の事項が記載されている。 (1)引用例1 (1-1)「【請求項1】表紙体と、CDを収納する事ができるファイル部を複数備えたCD収納ケースにおいて、前記表紙体の裏面に複数のメモリーカード収納部を設けたことを特徴とするゲーム用CD収納ケース。 【請求項2】前記メモリーカード収納部は、表紙体の裏面に取り付けられた収納袋体と、この収納袋体の開口部を覆う蓋体とから構成されたことを特徴とする請求項1記載のゲーム用CD収納ケース。 【請求項3】前記メモリーカード収納部に配設された蓋体は、係止用の舌状片を有することを特徴とする請求項1記載のゲーム用CD収納ケース。」(特許請求の範囲) (1-2)「【従来の技術】一般に、ゲーム用ソフトは、ゲームに関する種々の情報を記憶する事ができ、遊技する者がゲームの何処まで進んだかを記憶させておき、次回ゲームを開始する時に、前回進んだ所から進める事ができる形式のものが存在する。また、ゲーム中で種々のアイテムを獲得した場合には、次回もそれらのアイテムを使用できるようにするものである。」(第【0002】欄) (1-3)「【発明が解決しようとする課題】 しかし、ゲーム用CDソフトの中には、ゲームの進み具合、使用者名等の情報を記憶させる為の専用のメモリーカードを別に必要とするものがある。このようなゲーム用CDを保存する場合、CDは専用の収納ケースが種々販売されているが、メモリーカード用の収納ケースは存在しなかった。このため、家庭でこれらのソフトを保管する場合に、ゲーム用CDソフトとそのゲームの進行状況や使用者名等を記録したメモリーカードがバラバラになってしまい、次に使用する際に不便であると云う欠点が存在した。」(第【0003】欄) (1-4)「【0009】表紙体11,12は、厚手の紙或いは合成樹脂等から構成されており、裏面に複数のメモリーカード収納部13が形成されている。本実施例の場合には、4個形成されている。…以下略…。 【0011】CDを収納する事ができるファイル部18は、複数形成されており表紙体11,12の間に本の様に配設されている。…中略…ファイル部18は、複数枚取り付けられており、CDを複数枚収納する事が出来る。…以下略…。 【0012】 …略…あるゲームソフトを使用する場合、ゲーム用CD収納ケース10からゲーム用CD19と、表紙体11から蓋体15を開いてメモリーカード16を取り出す。この時、ゲーム用CDとメモリーカード16が同一のケースに収納されている…以下略…。」(図1および第【0009】〜【0012】欄) 記載事項「(1)(1-1)〜(1-4)」を総合すれば、 引用例1には、表紙体12と、そのゲームの進行状況や使用者名等を記録した複数のメモリーカード16を収納する収納部13を備えた表紙体11と、表紙体12と表紙体11の間にあってゲーム機に使用するCD19を挿入する複数のファイル部18を備えた背表紙体とを持つ開閉可能なゲーム用CDとメモリーカードの収納ケース(以下、「引用例1の発明」という)が記載されているといえる。 (2)引用例2には、 (2-1)「【請求項1】本又はノート状の形態をとり、該本又はノート状の形態の中味のページ部分が、光記録媒体及び/又は光ディスクカートリッジを収納できる形状にくりぬかれた凹部を有することを特徴とする収納ケース。 【請求項2】前記凹部以外の各ページ部分に、情報記録領域を設けたことを特徴とする請求項1記載の収納ケース。 【請求項3】前記凹部が、前記光記録媒体及び/又は前記光ディスクカートリッジを複数収納できる1つ又は複数の凹部であることを特徴とする請求項1又は2記載の収納ケース。 【請求項4】前記凹部に光記録媒体を保持するセンターボスを設けたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の収納ケース。 【請求項5】前記本又はノート状の形態の背表紙部分に、情報記録領域を設けたことを特徴とする請求項1記載の収納ケース。」(特許請求の範囲) (2-2)「【技術分野】 本発明は、収納ケースに関し、より詳細には、光記録媒体及び/又は光ディスクカートリッジの収納ケースに関する。例えば、フロッピーディスクや光カードの収納ケースなどに適用されるものである。」(第【0001】欄) (2-3) 「図4は、異なる品種、例えば、光ディスクカートリッジと光ディスク単体を一括して収納するための収納ケースで、図中、31は収納ケース、32aは光ディスク単体を収納する凹部、32bは光ディスクカートリッジを収納する凹部、33aは光ディスク、33bは光ディスクカートリッジ、34は背表紙、35はセンターボスである。凹部32aに収納される光ディスク33aの中心孔に対応する表紙部分にはセンターボス35が設けられている。その他の構成は図1と同様である。」(図4および第【0012】欄) 4.対比・判断 (1)本願発明1と引用例1の発明とを対比すると、 引用例1の発明の、「ゲーム機」、「収納ケース」、「CD19」、「メモリーカード16」、「ファイル部18」、「収納部13」、「表紙体12」、「表紙体11」、「背表紙体」は、本願発明1の、「情報処理装置」、「記録媒体収容体」、「ディスク型記録媒体」、「カード型記録装置」、「第1の収容領域」、「第2の収容領域」、「第1部材」、「第2部材」、「連結部材」に相当するから、両者は、 「情報処理装置に提供するための情報を記録した記録媒体を収容するための記録媒体収容体において、 保持すべきディスク型記録媒体を少なくとも1枚収容可能な第1の収容領域と、前記情報処理装置における情報の処理に関連して生成される関連データを記録するためのカード型記録装置を少なくとも1つ収容可能な第2の収容領域とを形成する収容部材を有し、 前記収容部材は、前記保持すべきディスク型記録媒体を前記第1の収容領域に位置させて保持するための記録媒体保持部と、前記保持すべきカード型記録装置を前記第2の収容領域に位置させて保持するための記録装置保持部とを有することを特徴とする記録媒体収容体。」で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:本願発明1では、互いに向き合わせた状態でそれらの間に、ディスク型記録媒体およびカード型記録装置を収容する空間を形成する第1部材および第2部材を有し、前記第1部材に、前記第1の収容領域および第2の収容領域を配置しているのに対し、引用例1では、複数のメモリーカード16を収納する収納部13を有する表紙体11と、表紙体12と表紙体11の間にあってゲーム機に使用するCD19を挿入する複数のファイル部18を備えた背表紙体とに分離して配置している点。 相違点2:本願発明1の、第2部材が、「第2部材に、保持すべきディスク型記録媒体に記録された情報に関する説明書を保持するための説明書保持部を配置」しているのに対し、引用例1の発明では、この点について記載がない点。 以下、相違点について検討する 相違点1に対して 上記「3.(2)(2-1)〜(2-3)」には、本又はノートの中味のページ部分が、光記録媒体及びカードを当該ページ面に一括して収納できる形状にくりぬかれた凹部と、これを背表紙に対し折りたたむ表紙を有することを特徴とする収納ケースが開示されているから、当該構成は、「ディスク型記録媒体およびカード型記録装置を収容する空間を形成する第1部材」相当する。 従って、引用例1に記載のゲーム用CDとメモリーカードの収納ケースにおいて、ディスク型記録媒体およびカード型記録装置を同一部材に並べて配置した点に何らの困難性も認められない。 相違点2に対して ゲーム用CDソフト収納ケースを構成する折りたたみ可能な部材に取扱説明書収納部をもうけることは、この出願前周知の技術(一例として、特開平8-169488号公報、特開平8-53181号公報等参照)であるから、相違点2は、格別のものではない。 してみれば、引用例1の発明に引用例2に記載の「ゲーム用CDソフトと、メモリーカードの組合わせ」の発明、および周知の「取扱説明書収納部付きケース」の発明を適用して本願発明1を構成することに格別な阻害要件も認められないから、当業者が適宜なし得たことである。 そして、本願発明1の構成による格別な効果も認められない。 5.むすび 上記のとおり、本願発明1は、引用例1、2に記載の発明、およびこの出願前周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ本願は、請求項2〜15に係る発明について判断するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-01 |
結審通知日 | 2005-02-08 |
審決日 | 2005-02-21 |
出願番号 | 特願平11-238986 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小菅 一弘 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
中西 一友 中村 則夫 |
発明の名称 | 記録媒体収容体および情報提供体 |
代理人 | 三品 岩男 |