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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1115378
審判番号 不服2003-4474  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-19 
確定日 2005-04-13 
事件の表示 平成 6年特許願第114076号「海苔の粕漬及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年11月14日出願公開、特開平 7-298856〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年5月2日の出願であって、平成15年2月6日付で拒絶査定がなされ、これに対して、審判請求がなされるとともに、同年4月18日付で手続補正がなされ、平成16年9月28日付けで審尋がなされたが、指定期間内に回答がなされなかったものである。

2.平成15年4月18日付の手続補正(以下、「本件補正」という)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年4月18日付の手続補正を却下する。

[理由]
出願人は、平成15年4月18日付け手続補正書において、新たに請求項を3つ追加した。
当該補正は、新たに請求項を追加するものであり、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明の何れを目的とするものでもないから、当該補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年4月18日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1〜5に係る発明は、出願当初の明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という)は、下記のとおりのものである。

「【請求項1】 海苔と酒粕からなる海苔粕漬。」

(1)引用例に記載された事項
原査定の拒絶理由中において引用された特開昭47-23563号公報(以下、「引例1」という)には、「海苔漬の製造方法」について、
(1-1)「穀類を原料としてこうじを造り、食塩を混合して発酵させて作ったタレに、採取して来た生海苔をそのままの姿で浸した海苔漬の製造方法。」(特許請求の範囲)、
(1-2)「この発明は、生海苔のまま漬け込んでその原色風味が失なわれないように工夫した海苔漬の製造方法に関するものである。従来海苔は干海苔として、また醤油等の調味料で煮沸して佃煮として食用に供されていた。しかし、この方法ではミンチに掛けて小さくした上で、乾燥させたり、煮沸するため、海苔そのものの香りも減じ、原色も変化して海苔の生命である磯の香りとしての自然の姿は、どうしても失なわれる欠点を運命的に包蔵していた。そこで、この欠点を除き生海苔の本来の風味香りを充分保たせるよう…工夫してみた。」(第1頁左欄8〜20行)、
(1-3)「都合によっては出来合いの味噌でタレを作って間に合わせると、手数も省かれ、経費も節約できる副効果もある。」(第2頁左欄6〜8行)ことが、記載され、
同じく、原査定の拒絶理由中において引用された特開昭63-141569号公報(以下、「引例2」という)には、
(2-1)「わかめの芯を塩抜きして後、陰干しにより表面水分を除去し、この表面水分を除去したわかめの芯を砂糖を練り合わせた酒粕に漬け込んだ…漬物の製法。」(特許請求の範囲)、
(2-2)「(実施例)(1)わかめの芯は、通常塩でまぶして保存が利くようにしてあるので、これを約1日間清水に漬けて塩抜きする。(2)塩抜きが終わると、これを約1日間陰干しにして表面水分を除く。(3)表面の乾燥したわかめの芯を適当な長さに切断するか、長尺のものを適当な長さに折り曲げる等して、漬物容器の中で砂糖を練り合わせた酒粕に漬け込む。」(第1頁右欄下から2行〜第2頁左上欄8行)、
(2-3)「また加工食品として販売するような場合は、予定する日数を漬け込んだ後、わかめの芯だけを取り出して真空包装殺菌する。」(第2頁右上欄5〜7行)ことが、記載され、
同じく、原査定の拒絶理由中において引用された特開昭54-14544号公報(以下、「引例3」という)には、生くきわかめを湯通しをなし、その後塩漬し、水分約20%脱水し、その後水洗いし、さらに脱水し、わかめ100に対し重量比で薄口醤油15、調味料10、酢10、みりん0.5、重曹0.06を混合せしめ、煮沸し、約10分煮詰め、水切りをし、脱水機にて20%脱水せしめ、仕込み酒粕を重量比でわかめ100に対し80加え、まぜ合せ、仕上げるくきわかめの酒粕漬製造方法が、記載されている。

上記引例1の記載事項によると、引例1には、海苔の味噌タレ漬が記載されているが、ここにおけるタレとは穀類を原料としてこうじを造り、食塩を混合して発酵させて作ったタレ、換言すれば味噌タレであり、それに生海苔をつけ込んでいるのであるから、引例1には海苔の味噌漬といえるものが記載されているといえる。
また、上記引例2〜3の記載事項によると、引例2〜3には、「わかめの芯やくきわかめといった海藻を酒粕に漬け込んだ海藻の酒粕漬」が、記載されている。

(対比・判断)
本願発明1と上記引例1に記載された発明とを対比すると、両者は、「生海苔を、漬け込んだ海苔漬」である点で一致し、本願発明1では海苔の酒粕漬であるのに対して、上記引例1では海苔の味噌漬である点で相違している。
上記相違点について検討する。
従来から、漬物といえば酒粕漬、味噌漬、糠漬等々の種類が直ちに想起できる程よく知られたものであるし、さらに、上記引例2〜3の記載にも見られるように、わかめの芯やくきわかめといった海藻の酒粕漬も良く知られており、海苔も海藻の一種であるから、引例1に記載されている海苔の味噌漬における味噌に代えて酒粕を用いる程度のことは、当業者が容易になし得たことにすぎず、しかも、そうすることにより奏される効果も予想し得る。

したがって、本願発明1は、引例1〜3に記載された発明に基づいて、当業者が、容易に発明をすることができたものである。

(むすび)
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
上記のとおり、本願発明1が特許を受けることができないものであるから、本願発明2〜5について判断するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-31 
結審通知日 2005-02-08 
審決日 2005-02-21 
出願番号 特願平6-114076
審決分類 P 1 8・ 56- Z (A23L)
P 1 8・ 121- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 恵理子  
特許庁審判長 河野 直樹
特許庁審判官 田中 久直
柿澤 惠子
発明の名称 海苔の粕漬及びその製造方法  

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