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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1115379
審判番号 不服2003-4735  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-24 
確定日 2005-04-14 
事件の表示 特願2000- 75218「音声通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月20日出願公開、特開2000-295292〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成5年12月15日に出願した特願平5-343162号の一部を平成12年3月17日に新たな特許出願としたものであって、平成15年2月17日に付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年3月24日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年4月23日付けで手続補正がなされたものである。その請求項1に係る発明は、平成15年4月23日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下、「本願発明」という。)

「【請求項1】
電話番号体系が使用される回線交換網に接続された電話機と、前記電話番号体系とは異なる通信アドレス体系が使用されるパケット交換網に接続された複数の通信装置との音声通信処理を行う音声通信システムであって、
前記電話機から発信された、音声通信処理を行う通信装置を指定する番号入力を受け付ける通信装置を指定する、前記電話番号体系に従った電話番号を含む呼設定要求を受信する手段と、
前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、
前記設定された呼を介して、前記電話機から、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号入力を受け付け、入力された前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段と、
前記求めた通信アドレスを宛先とし、前記通信装置に、前記電話機との音声通信を行うための前記パケット交換網内での接続確立を要求する音声通信要求パケットを、前記パケット交換網へ送出する手段と、
前記音声通信要求パケットに対する音声通信応答パケットを、前記求めた通信アドレスが割り当てられた通信装置から受信し、前記接続の確立を示す肯定応答か否かを判断する手段と、
前記音声通信応答パケットが前記肯定応答であった場合、前記電話機と前記肯定応答の送信元である通信装置との間で、前記設定された呼と前記確立した接続とを利用した音声通信処理を行う手段と、
を備えることを特徴とする音声通信システム。」

2.引用文献と周知技術

(1)これに対して、原審の拒絶理由において引用された特開昭62-130049号公報(以下、「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。

(ア)「公衆電話網または回線交換網からの着信を検出する少なくとも1つの回線接続手段と、この回線接続手段に予め対応付けられ且つパケット交換網に接続される端末のアドレスを格納する端末アドレス格納手段と、上記回線接続手段の着信検出により同接続手段に対応付けられている端末のアドレスを上記端末アドレス格納手段から取出し、同アドレスに基づいて上記パケット交換網へ接続制御を行なう第1接続制御手段と、この第1接続制御手段による接続完了により上記回線接続手段を介して上記公衆電話網または回線交換網へ接続制御を行ない、デ-タ転送可能状態とする第2接続制御手段と、上記デ-タ転送可能状態において上記公衆電話網または回線交換網と上記パケット交換網との間のプロトコル変換を行なうプロトコル変換手段とを具備することを特徴とする網間接続制御方式」(第1頁特許請求の範囲)
(イ)「[発明の技術分野]
この発明は、異種網に接続される端末同士を相互接続する網間接続制御方式に関する。
[発明の技術的背景]
従来、異種網に接続される端末同士を相互接続するためには、異種網相互の発着信機能を備えた中継装置を網間に設ける必要があった。端末は、異種網に接続される相手端末との接続を必要とする場合、まず中継装置と接続し、この接続の後に他網のアドレス体系に合わせた接続信号を中継装置に与える。これにより中継装置は、上記の接続信号に基づいて相手端末との接続制御を行なう。
[背景技術の問題点]
上記したように、従来の網間接続制御方式では、異種網をまたがって端末間を接続するには、段階的に接続制御を行なわなければならず、処理が複雑となると共に接続時間が長くなる問題があった。
また網間を結ぶアドレス体系をもった場合は、接続端末種類(伝送手順)が限定されたり、アドレス体系が複雑になる問題もあった。
[発明の目的]
この発明は上記事情に鑑みてなされたものでその目的は、異種網に接続される端末同士の相互接続の簡略化が図れ、且つ接続端末種類が限定されない網間接続制御方式を提供することにある。」(第1頁右下欄3行〜第2頁左上欄7行)
(ウ)「次に、この発明の一実施例の動作を、公衆電話網10に接続されている端末20-1がパケット交換網30に接続されている端末40-1との間でデ-タ転送を行う場合について説明する。この場合、発呼者となる端末20-1は、接続相手となる端末40-1と予め対応付けられている(網間接続制御装置50内の)回線接続部、例えば回線接続部52-1に対して発信(ダイヤル発信)を行なう。公衆電話網10は、端末20-1からのダイヤル発信により呼出し相手を選択し、呼出し相手である(網間接続制御装置50内の)回線接続部52-1に呼出し信号を送出する。回線接続部52-1は、上記呼出し信号を受信して着信を検出すると、その旨(着信検出)を通信制御部51に通知する。
通信制御部51は、回線接続部52-1からの着信検出通知に応じ、同回線接続部52-1に固有の論理番号を網間接続制御部57に渡す。網間接続制御部57は、通信制御部51から回線接続部52-1の論理番号(着信アドレス)を受取ると、同論理番号により端末アドレス格納部56をサ-チし、同論理番号に対応する(接続先)端末(ここでは端末40-1)のアドレスを取出す。次に網間接続制御部57は、端未アドレス格納部56から取出した接続先端末アドレスにより、同アドレスの示す端末(端末40-1)を呼出すための発呼要求を、パケット交換網30に対して通信制御部53、回線接続部54経出で行なう。そして網間接続制御部57は、パケット交換網30からの接続完了通知により、通信制御部51、回線接続部52-1経由で公衆電話網10に対して着信受付けを行なう。これにより、公衆電話網10に接続される端末20-1とパケット交換網30に接続される端末40-1との間のデ-タ転送が可能となる。このデ-タ転送可能状態においては、プロトコル変換部55により、異種網である公衆電話網10、パケット交換網30相互間のプロトコル変換が行なわれる。
なお、前記実施例では、公衆電話網とパケット交換網との接続制御について説明したが、回線交換網とパケット交換網との接続制御についても同様に実施できる。また、この発明は、ファクシミリ(FAX)網とパケット交換網との接続制御にも応用できる。」(第2頁左下欄19行〜第3頁左上欄19行)

ここで、
a.引用文献1の上記摘記(ア)「…上記デ-タ転送可能状態において上記公衆電話網または回線交換網と上記パケット交換網との間のプロトコル変換を行なうプロトコル変換手段とを具備することを特徴とする網間接続制御方式」という記載、及び、同上記摘記(ウ)「… 公衆電話網10に接続されている端末20-1がパケット交換網30に接続されている端末40-1との間でデ-タ転送を行う場合について説明する。この場合、発呼者となる端末20-1は、接続相手となる端末40-1と予め対応付けられている(網間接続制御装置50内の)回線接続部、例えば回線接続部52-1に対して発信(ダイヤル発信)を行なう。」から、発呼者となる端末20-1は、「電話番号体系が使用される網」に接続されていることは明らかである。
b.前記(ウ)の記載において、網間接続制御装置からの着信受付を示す応答により、公衆電話網が呼を設定した状態になることは自明のことである。
c.パケット交換技術において、パケット交換網内での接続確立を要求する発呼要求を発呼要求パケットにより行うと共に、前記発呼要求パケットに対する接続完了パケットまたは復旧要求パケットでなる通信応答パケットを、パケット交換網を介して、相手端末から受信し、該通信応答パケットが肯定応答である接続完了パケットか否かを判断し、前記通信応答パケットが前記接続完了パケットであった場合、前記発呼要求パケットの送信元と前記接続完了パケットの送信先である通信装置との間で、接続が確立されることは、当業者の技術常識である。(必要であれば、下記 山内まさや 監修「パケット交換技術とその応用」を参照されたい。)

前記記載並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると、引用文献1には、次の発明が記載されている。(以下、「引用発明1」という。)

[引用発明1]
「電話番号体系が使用される公衆電話網10または回線交換網に接続された端末20-1と、パケット交換網の通信アドレス体系が使用されるパケット交換網に接続された複数のデータ端末40-1〜nとのプロトコル変換処理を行う網間接続制御方式であって、
前記端末20-1から発信された、前記複数のデータ端末40-1〜nのいずれかをデータ転送を行う相手として指定する、前記電話番号体系に従ったダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信する回線接続部(例:52-1)と、
前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号に対して、パケット交換網からの接続完了通知により、通信制御部51、回線接続部(例:52-1)経由で着信受付応答を送信し呼を設定する網間接続制御部57の第1部分と、
受信した前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信した回線接続部(例:52-1)の論理番号に基づいて、端末アドレス格納部56をサーチし、同論理番号に対応する前記通信アドレス体系に従ったデータ端末(例:40-1)の通信アドレスを求める網間接続制御部57の第2部分と、
前記求めた通信アドレスを宛先とし、前記データ端末(例:40-1)に、前記端末20-1とのデータ転送を行うための前記パケット交換網内での接続確立を要求する発呼要求パケットを、通信制御部53、回線接続部54経由で前記パケット交換網へ送出する網間接続制御部57の第3部分と、
前記発呼要求パケットに対する接続完了パケットまたは復旧要求パケットでなる通信応答パケットを、パケット交換網を介して、前記求めた通信アドレスが割り当てられたデータ端末(例:40-1)から受信し、該通信応答パケットが前記接続の確立を示す肯定応答である接続完了パケットか否かを判断する手段と、
前記通信応答パケットが肯定応答である前記接続完了パケットであった場合、前記端末と前記接続完了パケットの送信元であるデータ端末との間で、前記設定された呼と前記確立した接続とを利用したプロトコル変換処理を行うプロトコル変換部と
を備える網間接続方式。」

(2)周知文献として引用する特開昭56-76657号公報(以下、「周知文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「本発明は、パケット伝送網と電話交換網との異種の網間の接続が容易な信号伝送方式に関するものである。
パケット伝送網は、通話情報等をパケット化し、伝送宛先を示す情報を付加して伝送することにより、一般電話交換機を用いることなく、任意の加入者間の通話が可能となるものであり、又電話交換網では、ダイヤル情報に従って交換機による接続制御が行なわれるものである。」(第1頁左下欄19行〜右下欄7行)
(イ)「このような信号形式の異なる異種の網間の接続を行なおうとすれば、網間を接続するインタフェースに於いて信号変換処理を行なわなければならないことになる。例えばパケット伝送網に収容された加入者が電話交換網に収容された加入者へ発呼する場合、発呼加入者が被呼加入者番号をダイヤルすると、電話交換網と接続されたパケット伝送網のノードに於いて、そのダイヤル情報を蓄積識別した後、電話交換網に対してダイヤル情報を発生して送出することになり、」(第1頁右下欄10〜19行)
(ウ)「なお通話期間cに於いては、ノードN11、N13では、音声信号のパケット化及びパケット信号の音声信号への変換を行うものである。」(第2頁右下欄16〜18行)

つまり、周知文献1には、上記記載及び技術常識、及び、「音声信号のパケット化及びパケット信号の音声信号への変換」は「音声通信処理」を行うことであることを参酌すると、「電話網に接続された電話機とパケット網に接続された通信装置で、音声通信処理を行う音声通信システム」が記載されている。(以下、「周知技術1」という。)

(3)周知文献として引用する特開平5-199320号公報(以下、「周知文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0023】図3(a)に示す様に、発端末は、呼設定メッセージSETUPをISDNに送出して着端末との呼設定を要求し、ISDNは、指定された着端末に呼設定メッセージSETUPを送出して発呼する。また、ISDNは呼設定状況を通知するための呼設定受付メッセージCALL-PROCを発端末に送出する。」(第3頁右欄3〜8行)
(イ)「【0033】さて、呼設定メッセージSETUPは、図5に示すように必須情報要素として伝達能力を持ち、付加情報要素として、例えば発番号、発サブアドレス、着番号、着サブアドレス、低位レイヤ整合性、高位レイヤ整合性、ユーザ・ユーザ情報などの情報要素を持つ。
【0034】これらの情報要素の概略について説明する。
...
【0036】発番号情報要素は、発端末のISDN番号を表し、発サブアドレス情報要素は、発端末のサブアドレスを表し、着番号情報要素は、着端末のISDN番号を表し、着サブアドレス情報要素は、着端末のサブアドレスを表す。」(第4頁左欄3〜22行)

つまり、周知文献2には、上記記載及び当該技術分野の常識を参酌すると、「ISDNにおいて、着側装置が、ISDN番号(「電話番号体系に従った電話番号」に相当する。)を含む呼設定要求(SETUP)を受信する」という周知技術が記載されている。
なお、「ISDNにおいて、ISDN番号は、電話番号体系に従った電話番号に相当する」ことは、当該技術分野の技術常識である。(必要であれば、”秋山稔 監修「ISDN絵とき読本」オーム社、平成4年5月30日、第29頁第26行〜第32頁第7行”を参照。)

(4)周知文献として引用する実願平1-121873号(実開平3-61791号)のマイクロフィルム(以下、「周知文献3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「外線からの呼出しに自動的に応答する自動応答回路と自動応答後発信者がダイヤルする内線番号を認識し呼び出す内線発信回路とを備え交換手を不要にしたことを特徴とする構内電話交換機。」(第1頁、実用新案登録請求の範囲)
(イ)「〔産業上の利用分野 〕
本考案は構内の電話交換機に関し、特に外線からの電話を電話交換手を介さずに内線へ接続できる構内電話交換機に関する。
〔従来の技術 〕
従来、この種の電話交換機は外線から内線へ接続するために電話交換手が必要であった。
〔考案が解決しようとする課題 〕
上述した従来の構内電話交換機では、外線から電話をかける場合に発信者が相手先の内線番号を知っていても必ず電話交換手を介す必要があり、迅速な対応が出来なかった。また構外からの電話が集中したときは電話交換手が過負荷となり、対応に時間がかかる欠点があった。
〔課題を解決するための手段 〕
本考案の構内電話交換機は、外線からの呼出しを自動的に応答する 自動応答回路と自動応答後に発信者がダイヤルする内線番号を認識して内線の呼び出しをする内線発信回路とを従来の構内電話交換機に組み込んだ構成を有している。」(第1頁第10行〜第2頁第12行)

つまり、周知文献3には、上記記載及び当該技術分野の常識を参酌すると、「異なるネットワーク(構内電話等)に接続された複数の端末を特定するために、呼設定要求(外線からの呼出)に対して、呼設定応答(自動応答)を送信し呼(電話回線)を設定する手段(自動応答回路)と、前記設定された呼を介して、前記複数の通信装置(内線電話)のうち、いずれかを特定する番号(内線番号)を取得する」という周知技術が記載されている。(以下、「周知技術3」という。)

(5)当該技術分野の技術常識として引用する山内まさや 監修「パケット交換技術とその応用」社団法人 電子通信学会、昭和55年12月10日、第141頁第4行〜第149頁第10行(なお、当該文献の監修者の氏名は表記の都合上ひらがなを用いて記載した。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「次に,4.8図に沿って接続制御手順を説明する.
端末が発呼する場合は,発呼端末から着呼端末に対し発呼要求(CR)パケットを送出する.発呼要求パケット(CR)は,図4.9に示すようなフォーマットで,…この発呼要求パケットを網が受信すると,網内を転送していき,着呼端末を収容している交換局では着呼(CN)パケットに変えて着呼端末に送信する.…着呼パケットによって着呼を知らされた端末がこの呼を受け付ける場合は,着呼受付(CA)パケットを網に送出する.着呼受付(CA)パケットは網内を転送していき,発呼端末を収容している交換局から接続終了(CC)パケットとして発呼端末に送信される.
...
次に,着呼を拒否する場合や,呼の設定ができない場合について説明する.発呼端末から発呼要求パケットを網に送出し,網から着呼端末に着呼パケットを送信して着呼を知らせたとき,着呼端末が着呼を拒否する場合には,着呼端末は復旧要求パケットを網に送出する.網は切断指示パケットを発呼端末に送信し,着呼が拒否されたことを発呼端末に知らせる.発呼端末は切断確認パケットを網に送出して呼の切断を行い,網は着呼端末に復旧確認パケットを送信して,呼の解放処理を終了する.一方,端末が発呼するために発呼要求パケットを網に送出しても,相手端末がビジーのときや,網側の都合により呼の設定ができない場合には,網は端末に対して表4.4に示す切断原因をそう入した切断指示パケットを送出する.切断指示パケットを受信した発呼端末は切断原因から呼の設定がでない理由を確認し,切断確認パケットを網に送出して通信を終了する.」

つまり、上記文献には、上記記載及び当該技術分野の技術常識を参酌すると「着呼端末を宛先とし、前記着呼端末に、通信を行うためのパケット交換網での接続確立を要求する発呼要求パケット(CR)を、前記交換網へ送出する」こと、および、「発呼要求パケットに対する着呼受付パケット(CA)を、パケット交換網を介して、前記着呼端末から受信する」こと、および、「発呼要求パケットに対する着呼受付パケット、または、復旧要求パケットにより前記接続の確立を示す肯定応答か否かを判断する」という技術常識が記載されている。
なお、着呼受付パケット、または、復旧要求パケットは、発呼要求パケットに対する応答であるから通信応答パケットである。

3.対比・判断

次に、本願発明と引用発明1とを対比すると、
a.本願発明の「電話機」と引用発明1の「端末20-1」とは、「端末」において一致する。また、本願発明の「通信装置」と引用発明1の「データ端末」とは「通信端末装置」において一致する。
b.引用発明1の「パケット交換網のアドレス体系が使用される」は、パケット交換網のアドレス体系として電話番号体系とは異なる通信アドレス体系が使用されることは技術常識であるから、本願発明の「電話番号体系とは異なる通信アドレス体系が使用される」である。
c.本願発明の「音声通信処理を行う音声通信システム」、「音声通信処理を行う手段」と、引用発明1の「プロトコル変換処理を行う網間接続制御方式」、「プロトコル変換処理を行うプロトコル変換部」とは、各々、「通信処理を行う通信システム」、「通信処理を行う手段」で一致する。
d.本願発明の「音声通信」と、引用発明1の「データ転送」とは、「通信」の点で一致する。
e.引用発明1の「ダイヤル発信」は、本願発明の「呼設定要求」である。
f.本願発明の「音声通信処理を行う通信装置を指定する番号入力を受け付ける通信装置を指定する、前記電話番号体系に従った電話番号を含む呼設定要求を受信する手段」と、引用発明1の「前記複数のデータ端末40-1〜nのいずれかをデータ転送を行う相手として指定する、前記電話番号体系に従ったダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信する回線接続部(例:52-1)」とは、前記e.を考慮して、「前記電話番号体系に従った呼設定要求に基づく信号を受信する手段」で一致する。
g.本願発明の「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段、前記設定された呼を介して、前記電話機から、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号入力を受け付け、入力された前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」と、引用発明1の「前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号に対して、パケット交換網からの接続完了通知により、通信制御部51、回線接続部(例:52-1)経由で着信受付応答を送信し呼を設定する網間接続制御部57の第1部分と、受信した前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信した回線接続部(例:52-1)の論理番号に基づいて、端末アドレス格納部56をサーチし、同論理番号に対応する前記通信アドレス体系に従ったデータ端末(例:40-1)の通信アドレスを求める網間接続制御部57の第2部分」とは、前記a.を考慮して「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号を取得し、前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」で一致する。
h.本願発明の「音声通信要求パケット」、「音声通信応答パケット」と、引用発明1の「発呼要求パケット」、「通信応答パケット」とは、各々、「発呼要求パケット」、「通信応答パケット」で一致する。
i.引用発明1の「通信制御部53、回線接続部54経由で前記パケット交換網へ送出する網間接続制御部57の第3部分」は、本願発明の「前記パケット交換網側へ送出する手段」である。
j.引用発明1の「肯定応答である前記接続完了パケット」は、本願発明の「肯定応答」である。

そうしてみると、本願発明と引用発明1とは、
[一致点]
「電話番号体系が使用される回線交換網に接続された端末と、前記電話番号体系とは異なる通信アドレス体系が使用されるパケット交換網に接続された複数の通信端末装置との通信処理を行う通信システムであって、
前記電話番号体系に従った呼設定要求に基づく信号を受信する手段と、
前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、
前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号を取得し、前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段と、
前記求めた通信アドレスを宛先とし、前記通信端末装置に、前記端末の通信を行うための前記パケット交換網内での接続確立を要求する発呼要求パケットを、前記パケット交換網側へ送出する手段と、
前記発呼要求パケットに対する通信応答パケットを、前記求めた通信アドレスが割り当てられた通信端末装置から受信し、前記接続の確立を示す肯定応答か否かを判断する手段と、
前記通信応答パケットが肯定応答であった場合、前記端末と前記肯定応答の送信元である通信端末装置との間で、前記設定された呼と前記確立した接続とを利用した通信処理を行う手段と
を備える通信システム。」
で一致し、

[相違点]
(相違点1)
「端末」、「通信端末装置」について、各々、本願発明が「電話機」、「通信装置」であるのに対して、引用発明1では「端末20-1」、「データ端末」である点、
(相違点2)
「通信」、「通信処理を行う通信システム」、「通信処理を行う手段」について、各々、本願発明が「音声通信」、「音声通信処理を行う音声通信システム」、「音声通信処理を行う手段」であるのに対して、引用発明1では「データ通信」、「プロトコル変換を行う網間接続制御方式」、「プロトコル変換処理をおこなうプロトコル変換部」である点、
(相違点3)
「前記電話番号体系に従った呼設定要求に基づく信号を受信する手段」について、本願発明が「音声通信処理を行う通信装置を指定する番号入力を受け付ける通信装置を指定する、前記電話番号体系に従った電話番号を含む呼設定要求を受信する手段」であるのに対して、引用発明1の「前記複数のデータ端末40-1〜nのいずれかをデータ転送を行う相手として指定する、前記電話番号体系に従ったダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信する回線接続部(例:52-1)」である点、
(相違点4)
「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号を取得し、前記番号にづいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」について、本願発明が「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、前記設定された呼を介して、前記電話機から、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号入力を受け付け、入力された前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」であるのに対して、引用発明1では「前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号に対して、パケット交換網からの接続完了通知により、通信制御部51、回線接続部(例:52-1)経由で着信受付応答を送信し呼を設定する網間接続制御部57の第1部分と、前記端末20-1から、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する前記ダイヤル発信に基づく呼出し信号を受け付け、ダイヤル発信に基づく呼出し信号を受信した回線接続部(例:52-1)の論理番号に基づいて、端末アドレス格納部56をサーチし、同論理番号に対応する前記通信アドレス体系に従ったデータ端末(例:40-1)の通信アドレスを求める網間接続制御部57の第2部分」である点、
(相違点5)
「発呼要求パケット」、「通信応答パケット」について、各々、本願発明が「音声通信要求パケット」、「音声通信応答パケット」であるのに対して、引用発明1では「発呼要求パケット」、「通信応答パケット」である点、で相違する。

次に、上記相違点について検討する。
(相違点1)(相違点2)(相違点5)
引用発明1には、電話網とパケット網の間での通信が記載されている。そして、通信の種類として、音声通信は周知であり、さらに、周知技術1には、「電話網に接続された電話機とパケット網に接続された通信装置で、音声通信処理を行う音声通信システム」が開示されている。従って、引用発明1を、音声通信となすこと、つまり、「データ転送」、「プロトコル変換を行う網間接続制御方式」、「プロトコル変換処理をおこなうプロトコル変換部」を、「音声通信」、「音声通信処理を行う音声通信システム」、「音声通信処理を行う手段」とすること(相違点2)、及び、引用発明1の「端末20-1」、「データ端末」を、「電話機」、「通信装置」とすること(相違点1)、及び、音声通信を行う目的に対応して、引用発明1の「発呼要求パケット」、「通信応答パケット」を、「音声通信要求パケット」、「音声通信応答パケット」とすることは(相違点5)、当業者が容易になし得たものである。

(相違点3)(相違点4)
周知文献3に示すように「異なるネットワーク(構内電話等)に接続された複数の端末を特定するために、呼設定要求(外線からの呼出)に対して、呼設定応答(自動応答)を送信し呼(電話回線)を設定する手段(自動応答回路)と、前記設定された呼を介して、前記複数の通信装置(内線電話)のうち、いずれかを特定する番号(内線番号)を取得する」ことは、本願出願前周知の技術であるから、引用発明1の「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号を取得し、前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」について、「前記呼設定要求に対して、呼設定応答を送信し呼を設定する手段と、前記設定された呼を介して、前記電話機から、前記複数の通信装置のうち、いずれかを特定する番号入力を受け付け、入力された前記番号に基づいて、前記通信アドレス体系に従った通信装置の通信アドレスを求める手段」(相違点4)とすることは容易になし得たことである。そして、その際、呼設定要求に関連し、周知文献2に示すように「ISDNにおいて、着側装置が、ISDN番号(「電話番号体系に従った電話番号」に相当する。)を含む呼設定要求(SETUP)を受信する」ことが本願出願前周知の技術であるから、引用発明1の「電話番号体系に従った呼設定要求に基づく信号を受信する手段」について、「音声通信処理を行う通信装置を指定する番号入力を受け付ける通信装置を指定する、電話番号体系に従った電話番号を含む呼設定要求を受信する手段」(相違点3)とすることは当業者が容易になし得たことである。

4.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-02 
結審通知日 2005-02-08 
審決日 2005-03-02 
出願番号 特願2000-75218(P2000-75218)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 江嶋 清仁間野 裕一  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 衣鳩 文彦
野元 久道
発明の名称 音声通信システム  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
代理人 矢島 保夫  

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