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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1115392 |
審判番号 | 不服2003-24046 |
総通号数 | 66 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-08-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-11 |
確定日 | 2005-04-14 |
事件の表示 | 平成 2年特許願第414809号「ビデオカメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成 4年 8月19日出願公開、特開平 4-229783〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 【手続きの経緯、本願発明】 本願は、平成2年12月27日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、平成15年12月24日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1及び2に記載されたとおりの「ビデオカメラ」にあると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 撮像信号の信号レベルを調整するAGCアンプと、 上記AGCアンプから出力された撮像信号をディジタル信号に変換するA/D変換手段と、 上記A/D変換手段の出力に基づき検出される上記撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成する手段と、 上記露光制御信号に基づき上記AGCアンプのゲインとアイリスの開度とを制御する手段と からなる自動露光制御機能を備え、 垂直ブランキング期間では、上記AGCアンプのゲインと上記アイリスの開度とを上記露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、上記AGCアンプのゲインと上記アイリスの開度とを一定にするようにしたことを特徴とするビデオカメラ。」 2 【引用例】 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-263906号公報(以下「引用例」という。)には、「自動利得制御装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次の(1)ないし(5)のとおりの記載がある。 (1)「本発明は自動利得制御装置、さらに詳しくは、信号伝達系における信号の利得を安定に自動制御するための自動利得制御装置に関する。」(公報1頁右下欄3行〜5行) (2)「従来の自動利得制御装置では、例えば、第5図に示すように、入力端子Inと出力端子Outとの間の信号伝達経路にゲインコントロールアンプ(以下、GCAと略記する)51を設け、このGCA51を通つた出力信号をローパスフイルタ(以下、LPFと略記する)52によつてフイードバックし、このLPF52の出力をオペアンプ53および抵抗54、55からなる反転増幅回路56に入力させ、この反転増幅回路56で可変抵抗57により設定された基準電圧Vrefとの比較による誤差出力をGCA51のコントロール端子に供給して、この誤差出力が少なくなる方向にGCA51を制御していた。」(公報1頁右下欄7行〜19行) (3)「一般に、連続した画像を得るビデオテープレコーダ等においては、利得制御のためにそれほど高速の応答性が要求されないので、上記従来装置でも充分に使用の目的を達成することができるが、電子スチルカメラにおいては、短い時間で1つの画像を得るので高速応答性が要求され、上記従来装置をこのような高速応答性が要求される電子スチルカメラ等に適用することはできない。」(公報2頁左上欄17行〜同頁右上欄4行) (4)「第1図に本発明装置の一実施例を示す。この自動利得制御装置は、例えば、電子スチルカメラ等において、利得制御すべき画像信号の伝送経路中に挿入される。入力端子Inは、スイッチングトランジスタ、アナログマルチプレクサIC等からなる切換スイッチ2の第1の接点端子2aおよび積分器3の入力端子に接続されている。積分器3の出力端子はサンプルホールド回路(以下、S/Hと略記する)4の入力端子に接続され、このS/H4の出力端子は上記切換スイッチ2の第2の接点端子2bに接続されている。切換スイツチ2の第3の接点端子2cはGCA5の入力端子に接続されている。切換スイッチ2は接点端子2a,2bのいずれかに対する接点端子2cの接続状態が切換えられて、入力端子Inに供給される利得制御信号をそのまま、あるいは積分器3およびS/H4を通じてGCA5に導く。GCA5の出力端子はこの自動利得制御装置の出力端子Outに接続されているとともに、誤差検出回路7の一方の入力端子に接続されている。この誤差検出囲路7の他方の入力端子には基準電圧発生回路6の出力端子が接続されている。誤差検出回路7はGCA5の出力レベルと基準電圧発生回路6の発生する基準電圧Vrefのレベルとの誤差に応じた信号を出力する。この誤差検出回路7の出力は制御回路8に送られる。制御回路8の出力端子はアナログスイッチ9の第2の接点端子9bに接続されているとともに、S/H10の入力端子に接続されている。S/H10の出力端子はアナログスイッチ9の第1の接点端子9aに接続されている。アナログスイッチ9の接点端子9cはGCA5のコントロ-ル端子に接続されている。アナログスイッチ9は上記切換スイッチ2に連動して切換制御されるもので、接点端子9a,9bに対する接点端子9cの接続状態が切換えられて制御回路8の出力をS/H10を通じて、あるいは制御回路8の出力をそのままGCA5のコントロール端子に導く。」(公報2頁左下欄13行〜3頁左上欄9行) (5)「次にこの自動利得制御装置の動作について述べる。入力端子Inには電子スチルカメラの利得制御すべき画像信号が供給される。この画像信号は第2図に示すように、フィールド期間f1,f2,f3,・・・・・・の各信号間に垂直ブランキング期間B1,B2,B3・・・・・・を有してなるもので、例えば、連続した2つのフィールド期間の信号により1フレームの画像を形成する。まず、切換スイッチ2は、垂直ブランキング期間B1の終了時点、すなわち第1のフイールド期間f1の開始時点で、接点端子2cが第1の接点端子2aに接続する。この状態は第1のフィールド期間f1維持される。したがつて、フィールド期間f1の信号は切換スイツチ2を通じてGCA5に入力される。また、このフイールド期間f1の信号は積分器3に入力され、第1のフィールド期間f1の開始時点で積分が開始される。積分器3の出力はS/H4に入力される。S/H4は後述するように、このあと、このフィールド期間f1に亘つて積分された信号をこのフィールド期間f1の終了時点でサンプリングホールドする。また、上記GCA5を通過したフィールド期間f1の信号は誤差検出回路7に入力され、この誤差検出回路7で基準電圧Vrefとの比較による誤差電圧が検出されると、この誤差電圧に応じた利得制御信号が制御回路8より出力される。フィールド期間f1では、アナログスイッチ9の接点端子9cは第1の接点端子9aに接続しているので、GCA5のコントロール端子にはS/H10の出力が入力される。すなわち、第1のフィールド期間f1の信号については、GCA5でS/H10の初期設定値に対応した利得に制御され出力端子Outに出力される。 そして、上記第1のフィールド期間f1が終了して垂直ブランキング期間B2に入ると、この時点で、切換スイツチ2の接点端子2cが接点端子2bに接続を切換え、アナログスイッチ9の接点端子9cが接点端子9bに接続を切換える。また、この時点で、S/H4は第1のフィールド期間f1に亘つて積分した積分器3の出力電圧をサンプリングホールドする。したがって、この垂直ブランキング期間B2では、S/H4の出力は切換スイッチ2およびGCA5を通過し、このGCA5の出力と基準電圧Vrefとの誤差出力に基づく制御回路8の出力信号はGCA5のコントロール端子に入力され、かつS/H10に入力される。つまり、この垂直ブランキング期間B2では、第1のフィールド期間f1の信号の積分出力値がGCA5を通過するとき、この値を基準電圧Vrefに合せ込むようにフィードバツク制御されGCA5の利得が制御される。そして、このときのGCA5のコントロール端子への利得制御信号の値はS/H10に導かれる。 このあと、垂直ブランキング期間B2が終了して第2のフィールド期間f2になると、この第2のフィールド期間f2の信号の立ち上がりで、切換スイッチ2の接点端子2aが接点端子2cに接続し、またアナログスイッチ9の接点端子9aが接点端子9cに接続する。すると、第2のフィールド期間f2の信号は切換スイッチ2を通じてGCA5に入力される。また、このフィールド期間f2の開始時点で、S/H10は制御回路8の出力をサンプリングホールドするので、上記垂直ブランキング期間B2では、フィールド期間f1の信号の積分器出力に基づいて誤差検出回路7の出力が0となるような制御回路8の出力をサンプルホールドしたS/H10の出力はGCA5のコントロール端子に入力される。したがって、第1のフィールド期間f2に続く第2のフィールド期間f2においてあまり急激な人力信号のレベル変化がないものとすれば、この第2のフィールド期間f2におけるGCA5の出力信号はその積分器出力が基準電圧Vrefと略同様のレベルとなるよう利得制御されることになる。」(公報3頁左上欄10行〜4頁左上欄4行) 3 【当審の判断】 (1)[対比] 本願発明と引用例に記載の発明とを対比すると次のことが認められる。 ア 引用例には、この自動利得制御装置は、電子スチルカメラ等において、利得制御すべき画像信号の伝送経路中に挿入され、入力端子Inは、GCA5の入力端子に接続され、入力端子Inに供給される利得制御信号をGCA5に導き、GCA5の出力端子はこの自動利得制御装置の出力端子Outに接続されているとともに、誤差検出回路7の入力端子に接続され、この誤差検出回路7の出力は制御回路8に送られ、制御回路8の出力はGCA5のコントロール端子に接続されることが記載されており(引用例の上記の(4)記載参照)、上記「GCA5」が、本願発明の「AGCアンプ」に相当することは明らかであり、またGCA5から出力された信号は、誤差検出回路7の入力端子に接続され、この誤差検出回路7の出力は制御回路8に送られ、制御回路8の出力に応じてGCA5の利得(ゲイン)を自動的にコントロールし、GCA5の出力レベル(明るさ)を制御するもの、すなわち自動露光制御するものといえ、引用例に記載の発明も、本願発明でいう「AGCアンプから出力された撮像信号に基づき検出される上記撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成する手段と、上記露光制御信号に基づき上記AGCアンプのゲインを制御する手段とからなる自動露光制御機能を備え」るものといえる。 イ 引用例には、入力端子Inには電子スチルカメラの利得制御すべき画像信号が供給され、第1のフィールド期間f1では、GCAのコントロール端子にS/H10の出力が入力されることにより、第1のフィールド期間f1の信号については、GCA5でS/H10の初期設定値に対応した利得に制御され出力端子Outに出力され、また上記第1のフィールド期間f1が終了して垂直ブランキング期間B2に入ると、この垂直ブランキング期間B2では、制御回路8の出力信号はGCA5のコントロール端子に入力され、第1のフィールド期間f1の信号の積分値出力値がGCA5を通過するとき、この値を基準電圧Vrefに合せ込むようにフィードバック制御されGCA5の利得が制御され、このあと垂直ブランキング期間B2が終了して第2のフィールド期間f2になると、制御回路8の出力をサンプルホールドしたS/H10の出力がGCA5のコントロール端子に入力されることが記載されている(引用例の上記(5)の記載参照)。 これらの記載によれば、引用例に記載の発明も、垂直ブランキング期間では、制御回路の出力に応じてGCAの利得(ゲイン)が設定され、またフィールド期間では、サンプルホールドしたS/H10の出力信号でGCA5の利得(ゲイン)を制御する、すなわち映像期間中では、GCA5の利得(ゲイン)を一定にするものといえ、それによって、映像期間中の画面の明るさのばらつきが生じないことも自然に理解できることである。 してみると、引用例に記載の発明も、「垂直ブランキング期間では、上記AGCアンプのゲインを上記露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、上記AGCアンプのゲインを一定にする」ものといえ、その点では本願発明と変わりがない。 ウ 引用例には、連続した画像を得るビデオテープレコーダ等においては、利得制御のためにそれほど高速の応答性は要求されないが、電子スチルカメラにおいては、短い時間で1つの画像を得るので高速応答性が要求されることが記載されており(引用例の上記(3)の記載参照)、引用例に記載の発明は、電子スチルカメラの要求にも対応し得るものではあるが、その発明自体は、電子スチルカメラ特有のものとはいえず、「ビデオカメラ」を対象としていることも明らかである。 (2)[一致点] 以上の点アないしウを踏まえると、本願発明と引用例に記載の発明とは、 「撮像信号の信号レベルを調整するAGCアンプと、 上記AGCアンプから出力された撮像信号に基づき検出される上記撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成する手段と、 上記露光制御信号に基づき上記AGCアンプのゲインを制御する手段と からなる自動露光制御機能を備え、 垂直ブランキング期間では、上記AGCアンプのゲインを上記露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、上記AGCアンプのゲインを一定にするようにしたことを特徴とするビデオカメラ。」である点で一致し、次の点で相違する。 (3)[相違点] 相違点1 本願発明では、AGCアンプから出力された撮像信号を「ディジタル信号に変換するA/D変換手段」を設け、「上記A/D変換手段の出力」に基づき検出される上記撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成するものであるのに対して、引用例に記載の発明には、A/D変換手段について開示がない点。 相違点2 制御する手段が、本願発明では、露光制御信号に基づきAGCアンプのゲインと「アイリスの開度」とを制御するものであるのに対して、引用例に記載の発明には、アイリスを制御することについて開示がない点。 相違点3 本願発明では、垂直ブランキング期間では、上記AGCアンプのゲインと「上記アイリスの開度」とを露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、上記AGCのゲインと「上記アイリスの開度」とを一定にするものであるのに対して、引用例に記載の発明には、それらのことが記載されていない点。 (4)[相違点の検討] そこで、上記各相違点について検討する。 相違点1について ビデオカメラにおいて、AGCアンプから出力された撮像信号をA/D変換手段によってディジタル信号に変換し、その撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成することは、例えば、特開昭58-97969号公報にも記載されているように周知の事項であり、引用例に記載の発明において、AGCアンプから出力された撮像信号を「ディジタル信号に変換するA/D変換手段」を設け、「上記A/D変換手段の出力」に基づき検出される上記撮像信号のレベルに応じて露光制御信号を生成する程度のことは当業者が適宜になし得ることといえる。 相違点2について、 ビデオカメラにおいて、露光制御信号に基づきアイリスの開度を制御することは極めて普通のことであり(前掲の特開昭58-97969号公報参照)、引用例に記載の発明において、制御する手段が、露光制御信号に応じて、AGCアンプのゲインを制御するのみならず、「アイリスの開度」をも制御する程度のこと、すなわち、本願発明のように、露光制御信号に基づきAGCアンプのゲインと「アイリスの開度」とを制御する程度のことは当業者が適宜になし得ることといえる。 相違点3について 上記相違点2でも検討したように、本願発明が、AGCアンプのゲインのみならず、「アイリスの開度」をも制御することに伴い、引用例に記載の発明において、垂直ブランキング期間では、AGCアンプのゲインのみならず、「上記アイリスの開度」をも露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、AGCアンプのゲインのみならず、「上記アイリスの開度」をも一定として、画面の明るさのばらつきが生じないようにする程度のこと、すなわち、本願発明のように、垂直ブランキング期間では、上記AGCアンプのゲインと「上記アイリスの開度」とを露光制御信号に応じて設定し、映像期間中では、上記AGCのゲインと「上記アイリスの開度」とを一定にする程度のことは当業者が適宜になし得ることといえる。 そして、上記各相違点を総合的に考慮しても、本願発明は容易になし得るものといえ、また、本願発明の構成に基づく効果についてみても格別顕著なものがあるとはいえない。 4 【むすび】 したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に該当し特許を受けることができない。 それ故、他の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-08 |
結審通知日 | 2005-02-15 |
審決日 | 2005-02-25 |
出願番号 | 特願平2-414809 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井上 健一 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
橋本 恵一 高瀬 勤 |
発明の名称 | ビデオカメラ |
代理人 | 杉浦 正知 |