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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1115549
審判番号 不服2003-20347  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-17 
確定日 2005-04-21 
事件の表示 特願2000- 81654「ナビゲーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 5日出願公開、特開2001-272237〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は平成12年3月23日の出願であって、平成15年5月9日付けで拒絶理由が通知され、同年6月30日付けで手続補正がなされたが、同年9月12日付けで拒絶査定された。これに対して、平成15年10月17日付けで審判請求と同時に明細書の記載を補正する手続補正がなされ、同年11月14日付けで前置報告書が提出された後、当審において、平成16年11月5日付けで拒絶理由を通知したところ、平成17年1月6日付けで意見書が提出されたものである。

【2】本願発明
本願請求項1に係る発明は、上記15年10月17日付け手続補正による明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示すると共に、目的地までの経路を設定し、所定のポイント毎に案内報知するナビゲーション装置において、GPS衛星からの信号を受信できないとき、現在位置が案内経路上であれば所定速度で案内経路上を移動するように仮想現在位置を表示し、該仮想現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知することを特徴とするナビゲーション装置。」(以下、「本願発明」という。)

【3】引用刊行物
(3-1)周知発明1
1.特開平5-312933号公報
2.特開平9- 5094号公報

(1)当審の拒絶理由に引用した上記刊行物1には、図面と共に以下の記載がある。

a.「【請求項1】 GPSにより車両の現在位置を測定し、車両現在位置に応じた地図をスクリーンに描画するナビゲーション方式において、
GPSによる測位が不能になった時、測位不能となる直前に得られている位置データ、方位データ及び車速データを用いて車両現在位置を所定時間毎に計算し、該車両現在位置に応じた地図をスクリーンに描画することを特徴とするナビゲーション方式。」(【特許請求の範囲】)

b.「【発明が解決しようとする課題】各衛星は地球の周りをまわっているため、常に4つの衛星から電波を受信できるとは限らないが、3つの衛星からは常に電波を受信できるようになっている。しかし、トンネルに入った場合等においては、GPS受信機が衛星を捕捉することができなくなって三次元測位、二次元測位いずれもができなくなる(非測位状態)。そこで、従来はGPSに加えて車速センサと方位センサを装備し、通常はGPSによる車両位置測定を行い、GPSによる測位が不能となった時、車速センサと方位センサを用いて推測航法により車両位置測定を行うようにしている。しかし、かかるナビゲーションシステムはGPSと車速センサ、方位センサが必要になり非常に高価となる問題がある。
以上から本発明の目的は、トンネル等に入って非測位状態になった時、車速センサや方位センサを用いなくても簡単に、安価な構成で車両位置を計算して地図描画できるナビゲーション方式を提供することである。本発明の別の目的は、非測位状態時に停車した時、あるいは非測位状態が長時間継続した時、車両位置計算処理を停止することにより、正しい地図描画及び車両位置表示ができるナビゲーション方式を提供することである。本発明の更に別の目的は、マップマッチング処理を加味することにより正しい地図描画及び車両位置表示ができるナビゲーション方式を提供することである。本発明の他の目的は、非測位状態になった時、車輪速センサのみを用いて(方位センサは用いない)、車両の走行に応じて正確に地図描画及び車両位置表示ができるナビゲーション方式を提供することである。」(【0007】〜【0008】)

c.「一方、車両がトンネル内に入り込んで、非測位状態になると、GPS受信機3の処理部3dは非測位信号NTMを出力する。この非測位信号NTMの発生により、車両位置計算部6dは車速センサ5からのパルス出力の有無に基づいて走行中か、停車中かを判断する(ステップ103)。走行中であれば、車両位置計算部6dはデータ記憶部6cに記憶されている位置データ、方位データ及び車速データを用いて車両現在位置を所定時間毎に計算する。すなわち、測位不能になった時、以後測位不能となる直前の速度、方向で直線走行するものとみなして車両現在位置を所定時間毎に計算する(ステップ104)。ついで、車両位置修正部6eは、地図データバッファメモリ6aに読み出されている地図データ中の道路データを参照して前述のマップマッチング処理を行って車両位置を修正し、地図データ読み出し制御部6bと車両位置マーク発生部6fに入力する(ステップ105)。
地図データ読み出し制御部6bはマップマッチングにより修正された車両現在位置に基づいて、地図情報をCD-ROM1から読み出して地図バッファメモリ6aに記憶し、車両位置マーク発生部6fは修正された車両現在位置に表示されるように車両位置マークを発生する。又、地図描画制御部6gは地図バッファメモリ6aと車両位置マーク発生部6fより車両現在位置周辺の地図データと車両位置マークデータを読み取ってディスプレイ装置7に入力してCRT11に表示する。以後、二次元測位又は三次元測位が可能となるまで、ステップ103以降の処理を繰り返す。尚、センサ5又は5′出力に基づいて停車が検出されると車両位置計算部6dは上記車両位置計算処理を行わず、地図描画を静止する。・・・以上ステップ106。
尚、以上では投影法に基づいてマップマッチング処理を行ったが、車両が現在走行している道路は既知であるから、該道路に沿って走行した分だけ車両位置を進めるようにして車両位置を道路上に乗せるように構成することもできる。又、非測位の状態で連続して走行している時間は短く、表示誤差がそれ程大きくならない場合には、必ずしもマップマッチング処理を行う必要はない。更に、非測位の状態で停車すること、例えばトンネル内で停車することは余程のことがない限りないから、走行、停車検出用のセンサ5、5′を除去してステップ103の処理を省略することもできる。」(【0021】〜【0022】)

(2)以上の刊行物1の記載によれば、GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示するナビゲーション装置において、少なくとも、GPS衛星から信号を受信できないとき、(マップマッチング処理を行うにせよ行わないにせよ、測位不能となる直前の)所定速度で地図の道路上を移動するように現在位置を表示することが記載されていることは明らかである。

(3)同じく当審の拒絶理由に引用した上記刊行物2には図面と共に以下の記載がある。

a.「【産業上の利用分野】 本発明は車両に搭載して用いられ、CD-ROM等に蓄積された地図上にGPSによる位置情報を表示するナビゲーション装置に関するものである。」(【0001】)

b.「【発明が解決しようとする課題】 このように従来のナビゲーション装置では、GPS衛星からの電波が受信不能となった場合、走行距離が測定できないと、地図上に表示する現在位置の誤差が時間と共に大きくなり、一定時間後は測位不能状態を表示するしかないという問題があった。
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、GPS衛星からの電波が受信不能となった場合でも走行距離を推定して表示部に表示できるようにすることを目的とする。」(【0003】〜【0004】)

c.「次に本実施例のナビゲーション装置の動作について説明する。マイクロホン5より入力された車内の音はフーリエ変換部6で周波数毎の強度分布に変換される。この分布は車速や路面の状態や人間の会話等で刻々変化するが、制御部3はこの分布の時間的に強度や周波数が滑らかに変化するピークを監視する。
GPSでの測位が可能なときにGPS部1からの位置情報から車速変換部3aにより車速を求める。又制御部3のピーク周波数検出部3dは車速の連続的な変化に比例して周波数がシフトしているピークを選び出す。このとき車速推定部3eは各ピークの周波数と車速との比率を計算しておく。GPSの測位結果には誤差があるが、時間を長く測定することにより高い精度で比率を求めることができる。
GPSでの測位が不可能になると、制御部3は車内の音のピーク周波数とあらかじめ算出した比率より車速を推定し、測位不可能となった時点からの経過時間に乗じて距離情報を出力する。そしてCD-ROM2からの地図情報より走行中に道に沿って移動させることで現在位置を表示することができる。」(【0008】〜【0010】)

(4)上記刊行物2の記載において、GPSでの測位が不可能になると、車内の音のピーク周波数とあらかじめ算出した比率より推定される車速は「所定車速」であり、前記推定された車速に基づいて表示される車両の現在位置は、少なくとも、地図の道路上を移動するように表示したものであるといえることは明らかである。

(5)以上の例えば刊行物1,2の記載から、少なくとも以下の発明が本願出願前に周知であったものと認められる。
「GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示するナビゲーション装置において、GPS衛星からの信号を受信できないとき、少なくとも所定速度で地図の道路上を移動するように現在位置を表示するナビゲーション装置。」(以下、「周知発明1」という。)

(3-2)周知技術
3.特開平7-27569号公報
4.特開平8-86660号公報

(1)当審の拒絶理由に引用した上記刊行物3には、図面と共に以下の記載がある。

a.「【産業上の利用分野】 本発明は車両に搭載され、目的地までの経路を音声及び表示によって誘導する車両用経路誘導装置に関する。」(【0001】)

b.「【実施例】 以下、図面を用いながら本発明に係る車両用経路誘導装置の好適な実施例について説明する。
図1には本実施例の構成を示すブロック図が示されている。道路、地名、建造物名、河川名等の情報を記憶する地図情報記憶部10が設けられ、必要に応じて記憶されている地図情報を読み出すことができるようになっている。また、現在の自車両の位置を測定するための衛星航法システム(以下、GPSという)を利用したGPSレシーバ14と、地磁気に基づき自車両の進行方向を検出する方位センサ16と、ステアリングの操舵角により変更進路を検出するステアリングセンサ17と、車輪の回転数により走行距離を検出する距離センサ18が設けられており、これらのセンサの検出結果に基づき現在位置測定部12は自車両の現在位置を確定する。
目的地までの経路誘導を行う場合には、目的地を入力部19により後述する表示部の画面上で指示したり、地名等により入力し、現在位置測定部12により算出された現在位置から目的地に至る経路を演算部20に含まれる経路演算部22により算出し、算出された経路を経路記憶部24に記憶する。
目的地を入力し、経路を決定した後、実際の経路誘導が行われる。前述の演算部20に含まれる経路案内制御部26は自車両周辺の地図情報を地図情報記憶部10より読み出し、現在の自車両位置・進行方向と経路記憶部24に記憶された経路と共に重畳して表示部28に表示する。表示部28は運転席近傍のインストルメントパネルに設けられており、運転者はこの表示部28を見ることにより自車両の位置を確認し、また今後の進路についての情報を得る。
また、自車両の位置が進路変更すべき交差点に近づくと、交差点での経路誘導に対応する音声を発生するように経路案内制御部26は音声制御部30に指示する。音声制御部30は音声記憶部32にデジタルデータとして記憶されている情報を読み出し、これをアナログ信号に変換してスピーカ34を駆動する。そして、スピーカ34より「次の交差点を左折です。」等と経路案内を運転者に行い経路誘導する。」(【0010】〜【0014】)

c.「 図2は道路種別が有料道路以外の一般道路を走行する場合の音声出力タイミングの制御フローチャートである。まず、進路変更すべき交差点とその一つ前の交差点との距離dxを入力する(S202)。この情報は地図情報記憶部10から所望のデータを読み出すことにより入力する。図3には本実施例の概念図が示されており、図中Zが進路変更すべき交差点を示し、図中Xがその手前の交差点を示す。交差点X,Z間の距離がdxである。そして、交差点Xの手前の位置であり、進路変更すべき交差点Zよりdyの距離(例えば300m)Yで予告音声アナウンスを出力する(S203)。予告音声アナウンスは、例えば「dyメートル先、右折です。」等である。次に、dxとある定数da(例えば200m)との大小比較を行い、da<dxである場合には、daの地点(図3におけるA点)で「間もなく右折です。」と音声アナウンスを出力する(S208)。」(【0016】)

(2)以上の刊行物3の記載において、算出即ち設定された目的地までの経路は案内経路であるといえ、例えば記載b、cにあるように、自車両の位置が進路変更すべき交差点に近づくと、交差点での経路誘導に対応する音声を発生するように経路案内制御部26は音声制御部30に指示するのであるから、案内経路上の前記進路変更すべき交差点の手前(例えば300m)で音声案内を行う地点は所定のポイントであるといえ、また、その車両用経路誘導装置即ちナビゲーション装置は、「(前記進路変更すべき交差点の手前の自車両の)現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知する」といえることも明らかである。

(3)当審の拒絶理由に引用した上記刊行物4には、従来の技術に関し、図面と共に以下の記載がある。

a.「【従来の技術】車載用ナビゲーション装置は、地図データを記憶したCD-ROM、ICメモリカード等の地図データ記憶装置、ディスプレイ装置、GPS受信機等の車両の現在位置、現在方位を検出する車両位置検出装置等を有し、車両の現在位置を含む地図データをCD-ROM等から読み出し、該地図データに基づいて車両位置を中心とする地図画像を描画し、ディスプレイ画面に表示するとともに、車両位置マーク(ロケーションカーソル)をディスプレイ画面の画面中央に固定し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているか一目で判るようにしてある。CD-ROM等に記憶されている地図は、1/12500 、1/25000 、1/50000 、1/100000などの縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅、緯度幅に区切られており、道路等は経緯度で表現された頂点(ノード)の座標集合で示される。なお、道路は2以上のノードの連結からなり、2つのノードを連結した部分はリンクと呼ばれる。地図データには、(1)道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト、交差点ネットリストなどからなるマップマッチング、経路探索用の道路レイヤ、(2)地図画面上に道路、建物、施設、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、(3)市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名、建物の名前等の文字、地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。」(【0002】〜【0003】)

b.「ところで、車載用ナビゲーション装置には、運転者が所望の目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにした経路誘導機能が搭載されている。この経路誘導機能では地図データを用いて或る出発地から或る目的地までを結ぶ最短の経路をダイクストラ法、横型探索法等のシュミレーション計算を行って自動探索し、誘導経路データとして記憶しておき、第1の誘導方法として走行中、図9(1)に示す如く地図画像MP上に誘導経路GRを他の道路とは色を変えて太く描画し、車両位置マークCMとともに画面表示したり、第2の誘導方法として図9(2)に示す如く車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたとき、地図画像MP上の進路を変更すべき交差点CPに進路を示す矢印NRを描画し、車両位置マークCMとともに画面表示したり、或いは、第3の誘導方法として車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたとき、音声合成により進路を変更すべき交差点までの距離と進路を音声出力したりすることで、目的地に向けた最適な経路をユーザが簡単に把握できるようにしてある。」(【0004】)

(4)以上の刊行物4の従来の技術に関する記載において、誘導経路データとして記憶した即ち設定した誘導経路は案内経路であるといえ、車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離内に近づいたとき、音声合成により進路を変更すべき交差点までの距離と進路を音声出力した前記車両の現在位置は、所定のポイントであるといえる。そして、その(車載用)ナビゲーション装置は、前記の所定のポイント毎に案内報知するものであって、「現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知する」といえることは明らかである。

(5)以上の例えば刊行物3,4の記載から、自明の事項も含め、少なくとも以下の技術が本願出願前に周知であったものと認められる。
「GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示すると共に、目的地までの経路を設定し、所定のポイント毎に案内報知するナビゲーション装置において、該現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知するナビゲーション装置。」(以下、「周知技術」という。)

(3-3)刊行物5に記載された技術(公知技術)
5.特開平7-229748号公報

(1)同じく当審の拒絶理由に引用した上記刊行物5(なお、当審の拒絶理由では引用例1として刊行物5を特開平7-91978号公報と記載したが、上記のとおり特開平7-229748号公報の誤りである。)には、図面と共に以下の記載がある。

a.「【請求項1】 車両の走行距離を算出する距離算出手段と、目的地を入力するための地点入力手段と、この地点入力手段により入力された目的地に到達するまでの最適経路を算出する経路算出手段と、この経路算出手段により算出された最適経路を記憶するための経路記憶手段と、上記距離算出手段により算出された走行距離を、従前に求められた車両の現在位置に対して、上記経路記憶手段に記憶されている最適経路上に加算することにより道路上の車両位置を算出し、この算出された車両位置を車両の現在位置とする位置算出手段とを含むことを特徴とする位置検出装置。」(【特許請求の範囲】)

b.「この先行技術では、GPS受信機のGPS電波の受信状態が良いときにはGPS航法によって検出された現在位置が車両の現在位置として採用され、GPS電波の受信状態が悪いときには自立航法によって検出された現在位置が車両の現在位置として採用される。また、車両位置の重付け平均をとって、それを車両の現在位置とすることもできる。
しかしながら、この自立航法を併用する技術においても、自立航法では、方位センサのオフセットドリフトや距離センサの誤差などにより、車両の現在位置が道路以外の位置に求められることがあるという不具合がある。そこで、さらに正確に車両の現在位置を検出するため、GPS航法または自立航法で検出された車両の現在位置にいわゆるマップマッチング処理を施すという技術が提案されている(たとえば特開昭63-148115 号公報参照)。このマップマッチング処理は、車両が道路上を走行することを前提として行われるもので、具体的には以下のようにして行われる。
すなわち、GPS航法または自立航法によって検出された車両の現在位置と、マップマッチング処理専用に用意されたCD-ROMなどで構成された道路地図メモリに予め記憶されている道路地図データとに基づいて当該道路上を走行している確からしさを表す相関係数を算出し、この算出された相関係数のうち、道路に対する誤差が最も少ないことを示す相関係数を選択する。そして、この選択された相関係数に対応する道路上の所定位置に車両の現在位置を補正する。
【発明が解決しようとする課題】 ところで、上記自立航法を併用した先行技術には、方位センサが必須である。また、上記マップマッチング処理を利用する先行技術では、上述のように、マップマッチング処理専用の道路地図メモリが必要であり、さらにマップマッチング処理に必要な作業用としての大容量(たとえば500Kビットや1Mビット)のメモリも必要である。そのため、上記先行技術では、ナビゲーション装置の構成が複雑になるという不具合があった。
また、特に自立航法を併用した先行技術では、方位センサは高価な電子機器であるため、装置全体として高価になるという不具合もあった。ところで、従来から、目的地を入力することにより、現在地から目的地に到達するまでの最適経路を算出し、この算出された最適経路を表示するようにした、いわゆる経路計算機能を付加したナビゲーション装置が知られている。そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、上記経路計算機能を利用することにより、構成を簡単にすることができるとともに、コストダウンを図ることができるナビゲーション装置に適用される位置検出装置を提供することである。」( 【0005】〜【0010】)

c.「【作用】上記請求項1記載の構成では、目的地が入力されると、その目的地に到達するまでの最適経路が自動的に算出され、経路記憶手段に記憶される。位置算出手段では、経路記憶手段に記憶されている経路上に、車両が走行した距離が順に加算されていくことにより車両位置が算出され、この算出された車両位置が車両の現在位置とされる。したがって、たとえば車両が経路記憶手段に記憶されている経路上を走行していれば、正確に車両の現在位置を得ることができる。そのため、マップマッチング処理専用の道路地図メモリや作業用の大容量メモリ、車両の方位変化量を検出する方位センサは不要となるので、構成が簡単になるとともに、コストダウンを図ることができる。」(【0014】)

d.「次に、現在位置算出部2における位置算出処理について説明する。現在位置算出部2では、距離センサ1の出力が所定の処理周期tn (たとえばtn =100msec、nは自然数)にわたって積算されており、この積算された結果得られた車両の走行距離と、経路メモリ7に記憶されている最適経路とに基づいて、車両位置が処理周期tn ごとに算出され、この算出された車両位置が車両の現在位置とされる。この求められた現在位置は図示しないレジスタに保持される。
図1および図2を参照しながら、さらに具体的に説明する。図2において、「×」印で示したa0 およびan が、それぞれ出発地および目的地であり、破線で示した経路Rが、経路算出部3における経路算出の結果、出発地a0 から目的地an に至る最適経路とされた経路である。この経路は、上述のように、連結されたリンクの集合として、経路メモリ7(図1参照)に記憶されている。
車両が出発地a0 から出発して処理周期t1 が経過すると、現在位置算出部2では、上述のように、その処理周期t1 の間に車両が走行した走行距離L1 が得られる。同時に、現在位置算出部2では、経路メモリ7に記憶されている最適経路Rが読出される。そして、上記走行距離L1 が、出発地a0 に対して、読出された最適経路R上であって、かつ、目的地an 方面に向かった方向に加算される。その結果、出発地a0 から走行距離L1 だけ目的地an 方面に向かった最適経路R上の地点a1 が車両位置として算出され、この算出された車両位置が車両の現在位置とされる。」(【0027】〜【0029】)

e.「また、車両が予め算出されている最適経路に沿って走行している限り、その現在位置は最適経路上にのみ求められるので、車両の現在位置を高精度に求めることができる。さらに、上記距離センサ1には、たとえば車両に予め装着されているアンチロックブレーキシステム(ABS)などに使用される車輪速センサや車速センサを適用することができるので、この既設の車輪速センサや車速センサを使用すれば、さらなるコストダウンを図ることができる。」(【0034】)

f.「ところで、表示部9で車両の現在位置が最適経路から外れた道路上に表示されているのを搭乗者が気付いたときには、リモコンキー4の「ルートキー」を操作することにより、その操作時点で求められていた車両の現在位置から目的地に到達するまでの最適経路を新たに算出させることができる。そのため、この新たに算出された最適経路に従って走行すれば、最適経路から外れた道路を走行した場合でも、確実に目的地に到達することができる。」(【0041】)

g.「【発明の効果】以上のように請求項1記載の位置検出装置によれば、車両の走行距離および最適経路のみに基づいて車両の現在位置を求めることができるので、マップマッチング処理専用の道路地図メモリや作業用の大容量メモリ、方位センサなどが不要となる。そのため、構成が簡単になるとともに、コストダウンを図ることができる。
また、車両の現在位置は常に最適経路上に求められるので、最適経路上を走行している限りは常に正確な車両の現在位置を求めることができる。そのため、車両の現在位置を高精度に求めることができる。」(【0043】〜【0044】)

(2)以上の刊行物5の記載、例えば記載d,eを参照すると、車両の走行距離を算出する距離センサは、その出力が所定の処理周期tn (たとえばtn =100msec、nは自然数)にわたって積算されており、この積算された結果得られた車両の走行距離と、経路メモリ7に記憶されている最適経路とに基づいて、車両位置が処理周期tn ごとに算出され、この算出された車両位置が車両の現在位置として表示され、上記距離センサ1には、たとえば車両に予め装着されているアンチロックブレーキシステム(ABS)などに使用される車輪速センサや車速センサを適用することができるのであるから、この距離センサ1は事実上車速を測定する車速センサであるといえる。そして、例えば記載e、f、g等から、車両の現在位置が最適経路即ち案内経路上である限り前記車速センサ(距離センサ)で検出された速度で前記案内経路上を移動するように表示するものであるといえることは明らかである。

(3)以上のことから、上記刊行物5には、自明の事項も含め少なくとも以下の技術が記載されているものと認められる。
「車速センサ(距離センサ)により現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示すると共に、目的地までの経路を設定するナビゲーション装置において、現在位置が案内経路(最適経路)上にある限り前記車速センサにより測定した速度で案内経路上を移動するように現在位置を表示する」技術。

【4】対比
上記本願発明(前者)と周知発明1(後者)とを対比すると、前者における「案内経路上」も少なくとも後者にいう「地図の道路上」であることには変わりなく、また、後者のGPS衛星からの信号を受信できないときに表示する「現在位置」は、GPSからの信号を用いないで算出した現在位置である点で前者にいう「仮想現在位置」と何ら変わるところはないから、両者は以下の一致点及び相違点を有するものと認められる。

(一致点)
GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示するナビゲーション装置において、GPS衛星からの信号を受信できないとき、少なくとも所定速度で地図の道路上を移動するように仮想現在位置を表示するナビゲーション装置。

(相違点)
本願発明のナビゲーション装置は、目的地までの経路を設定し、所定のポイント毎に案内報知するものであって、GPS衛星からの信号を受信できないとき、現在位置が案内経路上であれば所定速度で案内経路上を移動するように仮想現在位置を表示し、該仮想現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知するのに対し、周知発明1のナビゲーション装置は、単に地図上に現在位置を表示するものであって、GPS衛星からの信号を受信できないとき、地図の道路上を移動するように仮想現在位置を表示するもので、本願発明の前記相違点に係る発明特定事項は備えない点。

【5】当審の判断
上記相違点につき、以下に検討する。
本願発明が上記相違点に係る発明特定事項を備えることの意義に関し、本願明細書中には、「【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成では、例えばトンネルに入りGPS衛星からの信号を受信できなくなると、現在位置を測定できないために、音声案内するポイントを判定できなくなり、上記の如き音声案内をすることができなくなる。特に、トンネルの出口付近に案内経路上の高速道路の出口がある場合、音声案内がないためにそのまま、その高速道路の出口を通り過ぎでしまうこともあった。【0006】【課題を解決するための手段】本発明のナビゲーション装置は、上記点に鑑み、GPS衛星からの信号を受信できないとき、現在位置が案内経路上であれば所定速度で案内経路上を移動するように現在位置を表示し、該現在位置に応じて案内報知するようにしたものである。」との記載がある。ところで、上記【3】(3-2)に示したように、「GPS衛星からの信号を受信して現在位置を測定し、測定した現在位置を地図と共に画面表示すると共に、目的地までの経路を設定し、所定のポイント毎に案内報知するナビゲーション装置において、該現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知するナビゲーション装置」も本願出願前周知の技術である。この周知技術によれば、GPS衛星からの信号を受信できないときは、現在位置を測定できないために音声案内するポイントを判定できなくなり、音声案内をすることができなくなることは当然であり、GPS衛星からの信号に替わる何らかの手段によって現在位置を算出(測定)し、該現在位置に応じて案内報知するようにすることは当業者であればごく容易に想起しうる課題である。そうすると、前記周知発明1及び周知技術に接した当業者であれば、周知発明1のナビゲーション装置として前記周知技術の目的地までの経路を設定し、所定のポイント毎に案内報知するナビゲーション装置を適用すること自体は周知技術の単なる付加であると認められ、その際、周知発明1においてGPS衛星からの信号を受信できないときに、所定速度で地図の道路上を移動するように表示する仮想現在位置の表示箇所を、現在位置が案内経路上にあれば所定速度で案内経路上を移動するように置換した上で、該仮想現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知する構成とすること、即ち本願発明の前記相違点に係る発明特定事項は、前記周知技術自体現在位置が案内ポイントであるか否かを判断し、案内ポイントであると判断された場合に案内報知する構成を前提とするものであって、且つ、(同じく上記【3】(3-3)に示したように)目的地までの経路を設定するナビゲーション装置において、現在位置が案内経路上にある限り(GPS衛星からの信号を用いることなく)車速センサにより測定した速度で案内経路上を移動するように現在位置を表示する技術が公知(刊行物5)であることを考慮すると、当業者がごく容易に採り得た技術的手段にすぎないというべきであり、それにより当業者の予測できない格別の効果を奏するものとも認められない。

【6】むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、上記周知発明1と周知技術及び刊行物5に記載の技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-18 
結審通知日 2005-02-22 
審決日 2005-03-07 
出願番号 特願2000-81654(P2000-81654)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 岩本 正義
高木 進
発明の名称 ナビゲーション装置  
代理人 芝野 正雅  
代理人 芝野 正雅  

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