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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B66C
管理番号 1115602
審判番号 不服2002-9076  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-21 
確定日 2005-04-21 
事件の表示 平成 7年特許願第 24756号「クレードル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月 8日出願公開、特開平 7-206365〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月28日に出願した特願平5-351102号の一部を平成7年1月18日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1,2に係る発明は、平成13年12月3日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1,2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。
「ビーム1、または板材により矩形状に形成した枠体と、この枠体の対向する2辺それぞれの両端、またはその両端近傍に立設したそれぞれ一対の柱部材2と、このそれぞれ一対の柱部材2間に固定して一体とした各懸垂プレート3とよりなるクレードル装置において、前記懸垂プレート3は平板から形成され、前記懸垂プレート3がフック状で、前記フック上縁部に、吊り具と嵌合する凹部6aを設けたことを特徴とするクレードル装置。」

2.引用例
これに対して、当審における、平成16年11月4日付けで通知した拒絶の理由に引用した、実願平4-29729号(実開平5-86976号)のCD-ROM(公開日 平成5年11月22日。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア.「【産業上の利用分野】
この考案は長尺物の荷役や保管に使用するクレードルに関する。」(明細書第4頁第3〜4行)
イ.「【課題を解決するための手段】
この考案は・・(略)・・、複数のフレーム部材と、これらフレーム部材の両端間を連結する連結プレートよりなる枠体の四隅に、側面部材を立設し、かつこれら側面部材の上端間に懸垂プレートを固着したクレードルにおいて、・・(略)・・ものである。」(明細書第4頁第24〜28行)
ウ.「【実施例】
この考案の一実施例を図面を参照して詳述する。
図において1はクレードルの本体で、下部に間隔を存して平行する一対のフレーム部材2が設けられている。
これらフレーム部材2は角パイプや型鋼などの金属材料により形成されていて、両端間が連結プレート3により連結された枠状をなしている。
【0007】
そしてこの枠体の四隅に側面部材4が立設されている。
上記側面部材4は、I型鋼などにより形成されていて、これら側面部材4の上端部間には、連結プレート3と平行するように懸垂プレート5の下端部が固着されている。
上記懸垂プレート5は上部と下部がほぼ垂直に、そして中間部が傾斜された形状をなしていて、上端部に図3に示す吊り具6に掛合するフック5aが形成されている。
なお、懸垂プレート5は平板を垂直に設ける・・(略)・・ようにしてもよい。」(明細書第5頁第6〜20行)
上記記載事項ア.〜ウ.によると、引用例1には、
「複数のフレーム部材2とこれらフレーム部材2の両端間を連結する連結プレート3よりなる枠体と、この枠体の四隅に立設した側面部材4と、これら側面部材4の上端間に固着した懸垂プレート5とよりなるクレードルにおいて、前記懸垂プレート5は平板から形成され、前記懸垂プレート5がフック状で、前記フック上端部に、吊り具6と掛合するフック5aを設けたクレードル。」
の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく引用した、実公昭37-17366号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
カ.「さらに吊環5は大環6と小環7とで構成されているから該ハンガーを吊掛する場合に吊掛する相手物、すなわち通常、竿、パイプ、紐等が用いられるがこの直径の大小に応じて任意に二つの環を使い分けることができるから吊掛の際の安定が良く実用的効果を有するものである。」(第1頁右欄第20〜25行)

同じく引用した、実公昭43-28422号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
サ.「1はハンガー本体、2はその上部に設けられた掛吊部、3はその内面に設けられたロープ等小径のものに対する係合部、4は同竿等の大径のものに対する係合部で係合部4と共に段階係合部を形成している。・・(略)・・。Aは係合部3に係合されたロープであり、5′は従来形式の掛吊部の段階係合部における連続部分、6′は同開口部を示すものである。」(第1頁左欄下から7行〜同頁右欄第6行)

同じく引用した、実公昭55-55665号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
タ.「また、この考案の目的とするところは、突起物の径よりフックに形成した凹凸の凹部を大としたことにより、突起物が凹部に係合されて突起物に対するフックの位置を確実に保持し得るフックを提供するにある。」(第1頁右欄第6〜10行)
チ.「また第3図はハンガー3の例を示し、本体31とフック32とが一体形成されている。そしてこのフック32の突起物2と当接する面に凹凸32aが形成されている。この実施例の場合にも凹凸32aは突起物2が丁度嵌まり込む大きさに形成されている。」(第1頁右欄第29〜34行)

3.対比
本願発明1と引用例1記載の発明を対比すると、引用例1記載の発明の「フレーム部材2」は、本願発明1の「ビーム1」に相当し、以下同様に、「連結プレート3」は「板材」に、「複数のフレーム部材2とこれらフレーム部材2の両端間を連結する連結プレート3よりなる枠体」は「ビーム1、または板材により矩形状に形成した枠体」に、「枠体の四隅に立設した側面部材4」は「枠体の対向する2辺それぞれの両端、またはその両端近傍に立設したそれぞれ一対の柱部材2」に、「これら側面部材4の上端間に固着した懸垂プレート5」は「このそれぞれ一対の柱部材2間に固定して一体とした各懸垂プレート3」に、「吊り具6」は「吊り具」に、「クレードル」は「クレードル装置」に、それぞれ、相当する。
してみると、両者は、
「ビーム、または板材により矩形状に形成した枠体と、この枠体の対向する2辺それぞれの両端、またはその両端近傍に立設したそれぞれ一対の柱部材と、このそれぞれ一対の柱部材間に固定して一体とした各懸垂プレートとよりなるクレードル装置において、前記懸垂プレートは平板から形成され、前記懸垂プレートがフック状であるクレードル装置。」の点で一致し、次の点で相違している。
[相違点]本願発明1においては、前記フック上縁部に、吊り具と嵌合する凹部を設けたのに対し、引用例1記載の発明においては、前記フック上端部に、吊り具6と掛合するフック5aを設けた点。

4.当審の判断
引用例2には、上記記載事項カ.によると、「吊環5は大環6と小環7とで構成され、ハンガーを吊掛する際、竿,パイプ,紐等の直径の大小に応じて任意に二つの環を使い分け、吊掛の際の安定を良くする」技術が、引用例3には、上記記載事項サ.によると、「掛吊部2はロープ等小径のものに対する係合部3と竿等の大径のものに対する係合部4とで構成され、ハンガー本体1を掛吊する際、竿,ロープ等の直径の大小に応じて任意に二つの係合部を使い分ける」技術が、引用例4には、上記記載事項タ.チ.によると、「突起物2の径よりフック32に形成した凹凸32aの凹部を大とし、突起物2が凹部に係合されて突起物2に対するフック32aの位置を確実に保持する」技術が、それぞれ、開示されている。そして、引用例2〜4に開示される上記技術、すなわち、「フック上縁部に吊り具と嵌合する凹部を設け、吊り具との正確な位置決めを行う」技術は、周知の技術[必要なら、さらに、実願平1-35124号(実開平2-124864号)のマイクロフィルムの第2図実施例,実公昭50-42021号公報、参照。]というべきものである。
そうすると、引用例1記載の発明において、引用例2〜4等に開示される周知の技術を勘案して、「前記フック上縁部に、吊り具と嵌合する凹部を設け、吊り具との正確な位置決めを行う」ように構成することは、当業者が格別困難なく想到し得るものと認められる。
また、本願発明1の効果についてみても、引用例1記載の発明,引用例2〜4等に開示される周知の技術から当業者が予測し得る程度のものと認められる。

5.むすび
したがって、本願発明1は、引用例1記載の発明,引用例2〜4等に開示される周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-04 
結審通知日 2005-02-15 
審決日 2005-02-28 
出願番号 特願平7-24756
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B66C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 亀井 孝志
平城 俊雅
発明の名称 クレードル装置  
代理人 西森 正博  

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