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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05D
管理番号 1115658
審判番号 不服2002-21576  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-07 
確定日 2005-04-22 
事件の表示 平成 4年特許願第260853号「マスフローコントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 3月25日出願公開、特開平 6- 83456〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成4年9月3日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年8月20日付け及び平成14年12月9日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下「本願発明」という。)

「材料ガスの流量調整を行うマスフローコントローラであって、弁機構(1)と制御機構(2)とから構成され、弁機構(1)には、流体が通過する流路(11)と、この流路(11)の開度を規定する開度調整可能な弁体(15)と、この弁体(15)を駆動させる駆動部(17)と、弁体(15)よりも上流側の流路(11)の一部を迂回する導管(11c)に巻回された一対の自己加熱型測温抵抗体(16a)、(16b)により形成されて流路(11)中の流体流量を検出するセンサ(16)とが備えられ、制御機構(2)には、センサ(16)での検出信号(f1)を取り込んで流量信号(f2)を出力するブリッジ回路(21)と、流量信号(f2)と所定の設定信号(f4)とを比較して補正信号(f3)を出力する比較回路(22)と、補正信号(f3)に基づいて駆動部(17)に駆動信号(f5)を出力する駆動回路(23)とが備えられ、弁機構(1)は、制御機構(2)から分離されて外箱としての気密なケーシング(10)に収納され、かつ、ケーシング(10)を含む弁機構(1)と制御機構(2)とは互いに別ユニットとして独立しており、そして、弁機構(1)と制御機構(2)とは検出信号(f1)及び駆動信号(f5)を入出力するケーブル(19)によって接続されることにより、ケーシング(10)を含む弁機構(1)だけがプロセスに至る配管(5)に取り付けられる様になされていることを特徴とするマスフローコントローラ。」

2.引用文献
(1)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-55144号(実開昭63-161330号)のマイクロフィルム(昭和63年10月21日公開。以下「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている。

「従来より、半導体を製造する場合、拡散、気相成長、CVD等の工程で各種の雰囲気ガスが供給されており、その供給ガスの流量を正確に制御するために、第2図に要部断面で示すような、マスフローコントローラ100が使用されている。該マスフローコントローラ100は、マスフローコントローラ本体100aと、該マスフローコントローラ本体100aを覆うカバー100bとから構成されている。上記マスフローコントローラ本体100aの一端には上記供給ガスのガス入口2が設けられており、他端にはその供給ガスのガス出口3が設けられている。また、上記ガス入口2の近傍にはセンサー4と、該センサー4より大面積のバイパス5が設けられている。そして、これらセンサー4とバイパス5の二次側にはガス流量制御バルブ6が備えられている。上記センサー4には例えばブリッジ回路110に接続された自己発熱抵抗体4aが巻きつけられた構造になっていて、このセンサー4内を流れるガスの流量によって発生する温度差を検出してセンサー4内を流れる供給ガスの流量を検出している。上記ブリッジ回路110には増幅回路111が接続されており、その出力電圧が比較制御回路112に送出されると、予め設定されてある設定電圧と比較され流量制御バルブ6が制御され、ガス出口3より排出されるガス流量が制御されるようになっている。
また、上記のようなマスフローコントローラ本体100aでは、HClガス等の腐食性の高い供給ガスによって、その接ガス上部7aと接ガス下部7bが腐食されないように、耐蝕性の良い材料が使用されている。そして、センサー4やガス流量制御バルブ6の取りつけ部にはそれぞれ密封性の良いOリング8a、8b等のシール部9a、9b等でシールされており、供給ガスの漏れ防止がはかられている。
このような構造のマスフローコントローラ100において、ガス入口2からマスフローコントローラ本体100a内に入った供給ガスは、一部がセンサー4を流れ、大部分はバイパス5を流れそれぞれの二次側で再び合流する。この時にガス入口2から流入する供給ガスの流量が変化しても、前記センサー4とバイパス5を流れるガス流量比は、前者の断面積比で決まる一定値であるため、センサー4を流れるガス流量は、マスフローコントローラ100に入り込むガス総流量と相関関係になる。このようなセンサー4内に流れ込んだ供給ガスの流量に応じて発生する温度差が自己発熱抵抗体4aによって検出され、ブリッジ回路110で微小電圧として増幅回路111に送出され、該増幅回路111で増幅されて比較制御回路112に送出されている。この比較制御回路112では増幅回路111からの出力電圧を所望のガス流量に応じて予め設定された設定電圧と比較され、その差異に応じて流量制御バルブ6が制御されて所望の流量の供給ガスがガス出口3から送出されることになる。」(明細書1頁20行〜4頁15行)

(2)引用文献に記載のものにおいては、次のことが明らかである。
ア.マスフローコントローラ100は、マスフローコントローラ本体100aとカバー100bとから成るとされており、これには、第2図のとおり、ガス流量制御バルブ6とセンサー4が含まれており、これらを弁機構であるともいうことができる。

イ.第2図のとおり、カバー100aの外部には、ブリッジ回路110〜比較制御回路112が備えられており、これらは制御機構であるともいえるもので、また、制御機構を含めて、装置を称することも通常のことであるから、上記弁機構と制御機構を合わせて、マスフローコントローラともいえるものである。

ウ.ガス流量制御バルブ6は、ガス流路の開度を規定する開度調整可能な弁体と、その駆動部を備えていることは、第2図及び技術常識から明らかである。

エ.センサー4においては、第2図のとおり、上流側の一部を迂回する導管が設けられており、これに巻回されている自己発熱抵抗体4aは一対のものである。

オ.比較制御回路112においては、流量信号である出力電圧と設定信号である設定電圧を比較しており、当然にその差に基づく補正信号を出力しており、また、その補正信号に基づいてガス流量制御バルブ6の駆動部を駆動するための何らかの駆動信号及びそれを出力する回路が存在することも明らかである。

カ.第2図のとおり、ブリッジ回路110ないし比較制御回路112から成る制御機構は、バー100bを含む弁機構とは、別にその外部に設けられていて互いに独立といえるものであり、第2図に実線で示されるように、何らかの手段によって、弁機構と制御機構の間で検出信号及び駆動のための信号が入出力されており、カバー100bを含む弁機構だけがプロセスに至る配管に取り付けられるものである。

(3)以上から、引用文献には、次の発明が記載されていると認められる。

「材料ガスの流量調整を行うマスフローコントローラであって、弁機構と制御機構とから構成され、弁機構には、流体が通過する流路と、この流路の開度を規定する開度調整可能な弁体と、この弁体を駆動させる駆動部と、弁体よりも上流側の流路の一部を迂回する導管に巻回された一対の自己発熱抵抗体4aにより形成されて流路中の流体流量を検出するセンサー4とが備えられ、制御機構には、センサー4での検出信号を取り込んで流量信号を出力するブリッジ回路と、流量信号と所定の設定信号とを比較して補正信号を出力する比較制御回路112と、補正信号に基づいて駆動部に駆動信号を出力する駆動回路が備えられ、弁機構は、制御機構から分離されて外箱としての気密なカバー100bに収納され、かつ、カバー100bを含む弁機構と制御機構とは互いに独立しており、弁機構と制御機構とは検出信号及び駆動信号を入出力しており、カバー100bを含む弁機構だけがプロセスに至る配管に取り付けられる様になされているマスフローコントローラ。」(以下「引用発明」という。)

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者における「自己発熱抵抗体4a」、「センサー4」、「ブリッジ回路110」、「比較制御回路112」、「カバー100b」は、それぞれ、前者における「自己加熱型測温抵抗体」、「センサ」、「ブリッジ回路」、「比較回路」、「ケーシング」に相当する。
したがって、両発明は、
「材料ガスの流量調整を行うマスフローコントローラであって、弁機構と制御機構とから構成され、弁機構には、流体が通過する流路と、この流路の開度を規定する開度調整可能な弁体と、この弁体を駆動させる駆動部と、弁体よりも上流側の流路の一部を迂回する導管に巻回された一対の自己加熱型測温抵抗体により形成されて流路中の流体流量を検出するセンサとが備えられ、制御機構には、センサでの検出信号を取り込んで流量信号を出力するブリッジ回路と、流量信号と所定の設定信号とを比較して補正信号を出力する比較回路と、補正信号に基づいて駆動部に駆動信号を出力する駆動回路とが備えられ、弁機構は、制御機構から分離されて外箱としての気密なケーシングに収納され、かつ、ケーシングを含む弁機構と制御機構とは互いに独立しており、弁機構と制御機構とは検出信号及び駆動信号を入出力しており、ケーシングを含む弁機構だけがプロセスに至る配管に取り付けられる様になされているマスフローコントローラ。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明においては、制御機構はユニットとされており、弁機構とは別ユニットとして独立しており、弁機構と制御機構とは信号を入出力するケーブルによって接続されているのに対し、引用発明においては、制御機構がユニットとされているか不明であり、また、弁機構と制御機構がケーブルで接続されているかも不明な点。

4.判断
(1)上記相違点について検討する。
制御機構を本体装置とは別個に別ユニットとすることは、広く一般的に行われている周知慣用の手段であり、原審においてその一例として引用された特開平2-142982号公報、実願昭62-69968号(実開昭63-179512号)のマイクロフィルムにも示されるとおりである。
また、引用文献においては、弁機構と制御機構とを信号を入出力するケーブルによって接続することについて記載はされていないが、第2図には、信号が入出力され伝達されることが実線で示されており、信号を入出力し伝達する手段として、ケーブルを用いることは、上記特開平2-142982号公報(電線27,22,31参照)にも示されるように、最も通常に行われる周知慣用の手段に過ぎない。

(2)そうすると、引用発明において、制御機構をユニット化し、弁機構とは別ユニットとして独立したものとして構成し、また、弁機構と制御機構とを信号を入出力するケーブルによって接続されるような本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものと認められる。

(3)また、本願発明を全体としてみても、引用発明及び周知技術から予測される以上の格別の効果を奏するとも認められない。

5.むすび
したがって、本願発明は引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-22 
結審通知日 2005-02-24 
審決日 2005-03-08 
出願番号 特願平4-260853
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G05D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森林 克郎  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 岩本 正義
佐々木 芳枝
発明の名称 マスフローコントローラ  
代理人 岡田 数彦  

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