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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G07F
管理番号 1115794
審判番号 不服2002-13331  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-17 
確定日 2005-04-28 
事件の表示 平成 4年特許願第171703号「自動販売機の商品取出口装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 5年12月24日出願公開、特開平 5-342461〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成4年6月4日の出願であって、その請求項3に係る発明は、平成14年10月10日付手続補正書、平成16年12月20日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項3に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。
「販売信号に応じて一個ずつ搬出される商品を、機体の前面に設けられた開口から取り出すことができるようにするための自動販売機の商品取出口装置であって、
水平に対して斜め前下がりの平面上を前後に摺動可能であると共に前記搬出された商品を受け止めるべく上面が開放した商品受けと、
前記商品受けを常時上向きに付勢する弾発手段と、
前記商品受けの摺動速度に規制を与えるダンパ手段と、
前記開口を閉じるべく上端部を枢支されて上向きにはね上げ可能なリッド体と、
前記リッド体を常時閉じ方向へ付勢する弾発手段と、
前記商品受けと前記リッド体との間の連動連結手段とを有し、
無負荷時には、前記商品受けが上方位置にあり、かつ前記リッド体が前記開口を閉じる位置にあり、
前記商品の販売時には、前記商品受けに乗った商品の重量によって前記商品受けが下方へ移動し、かつ前記リッド体を押し退けて前記開口の外部に前記商品受け上の商品を突出させるようにしてなることを特徴とする自動販売機の商品取出口装置。」

2.引用例
当審の拒絶の理由に引用された実願昭61-75639号(実開平62-187386号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下のことが記載されている。

「[考案の属する技術分野]
この考案は、販売信号により缶入り飲料等の商品を、商品ラックから商品取出口に向けて搬出する自動販売機において、前記搬出された商品を商品取出口に臨んで設けられた商品受けに受け止める商品取出口装置に関する。
[従来技術とその問題点]
この種の自動販売機は第3図に示すように、本体ケース1の前面に前面扉2を備え、この前面扉2に販売スイッチ21、硬貨投入口22等と共に、商品取出口51が設けられ、多種類の商品を販売するものでは複数の商品取出口51を備えるものが多い。」(第1頁第17行目〜第2頁第9行目)、
「第1図および第2図において、商品受け6は前面扉2と別体にかつ上面および後面が開口する箱形に形成され、その両方の側板には前後に延びる案内溝61が、また下面上にはストッパー62が設けられている。一方前面扉側には案内溝61と係合する商品受け6の支持ローラ7が、商品取出口51周縁に連なる枠体53に軸支され、それぞれ片側に3個、前下りに傾斜する一線上に配設されている。8は商品受けを後方に向けて付勢するコイルばねである。
前述の構成において、商品受け6は、支持ローラ7を介して前後にかつ前下りに移動可能に前面扉2に支持される。しかして常時はコイルばね8により後方へ引張られて前板63が商品取出口51を閉鎖しており、また底板上面がシュート16に連なりその延長上にある。販売信号により商品ラック13から商品3(「商品6」とあるが、誤記と認められる。)が搬出されるとこの商品3はシュート16上を転動して商品受け6内に転がり入る。そして商品受け6は商品3に押し出されるように商品取出口51の前方へ、ストッパ62が枠体53端面に当接するまで滑り出て上面を開放する。そこで客は所要の商品取出口を容易に見分けて、また前方にせり出た商品受け6に手を差し込むだけで容易に商品を3を取り出すことができる。商品3が取り出された商品受け6は販売待機状態に復帰する。」(第4頁第12行目〜第5頁第17行目)。

そうすると、引用例には以下のような発明が記載されている。
販売信号に応じて一個ずつ搬出される商品を、本体ケースの前面扉に設けられた商品取出口から取り出すことができるようにするための自動販売機の商品取出口装置であって、
前下りに傾斜する一線上を前後に移動可能であると共に上面および後面が開放されているが、搬出された商品を開放された後面から受け入れる商品受けと、
商品受けを後方に向けて付勢するコイルばねと、
販売待機状態には、商品受けが後方位置にあり、かつ商品受けの前板が商品取出口を閉鎖する位置にあり、
販売信号があった場合、即ち商品の販売時には、商品受けに乗った商品に押し出されるように商品受けが前方に滑り出て、商品取出口の外部に商品受け上の商品を突出させるようにした自動販売機の商品取出口装置。

3.対比
本願発明と引用例に記載の発明とを対比する。
引用例に記載の発明の「本体ケースの前面扉」、「商品取出口」、「前下りに傾斜する一線上を前後に移動可能」、「商品受けを後方に向けて付勢するコイルばね」、「商品受けに乗った商品に押し出されるように商品受けが前方に滑り出て」、「販売待機状態」は、その果たしている機能からして、それぞれ、本願発明の「機体の前面」、「開口」、「水平に対して斜め前下がりの平面上を前後に摺動可能」、「商品を常時上向きに付勢する弾発手段」、「商品受けに乗った商品の重量によって前記商品受けが下方へ移動し」、「無負荷時」に相当する。

そうすると、本願発明と引用例に記載の発明とは、
「販売信号に応じて一個ずつ搬出される商品を、機体の前面に設けられた開口から取り出すことができるようにするための自動販売機の商品取出口装置であって、
水平に対して斜め前下がりの平面上を前後に摺動可能であると共に前記搬出された商品を受け止めるべく所定の面が開放した商品受けと、
前記商品受けを常時上向きに付勢する弾発手段と、
無負荷時には、前記商品受けが上方位置にあり、かつ開口は閉じられ、
前記商品の販売時には、前記商品受けに乗った商品の重量によって前記商品受けが下方へ移動し、かつ前記開口の外部に前記商品受け上の商品を突出させるようにしてなることを特徴とする自動販売機の商品取出口装置。」
で一致し、次の点で相違する。
相違点1:「搬出された商品を受け止めるべく所定の面が開放した商品受け」の構成が、本願発明では、「搬出された商品を受けとめるべく上面が開放した商品受け」なのに対し、引用例に記載の発明では、上面および後面が開放されているが、搬出された商品を開放された後面から受け入れる商品受けである点。
相違点2:本願発明が、「商品受けの摺動速度に規制を与えるダンパ手段」を有しているのに対し、引用例に記載の発明では、そのような構成を有していない点。
相違点3:本願発明が、「開口を閉じるべく上端部を枢支されて上向きにはね上げ可能なリッド体」を有し、該リッド体は「リッド体を常時閉じ方向へ付勢する弾発手段」を有し、無負荷時には、「リッド体が前記開口を閉じる位置にあり」、商品の販売時には、「リッド体」は「押し退け」られるものであるのに対し、引用例に記載の発明では、そのような構成を有していない点。
相違点4:本願発明が、「前記商品受けと前記リッド体との間の連動連結手段」を有しているのに対し、引用例に記載の発明はそのような構成を有していない点。

4.判断
相違点について検討する。
4-1.相違点1について
商品受けが、搬出されてきた商品を、上面で受けるか後面で受けるかは、搬出される商品が商品受けにどのような方向から来るかによって決まるのであるから、商品が上方から搬出されて来るなら、上方が開放した商品受けで搬出された商品を受けとめるようにすることは、当業者が適宜なし得ることと認められる。

4-2.相違点2について
自動販売機の商品取出口装置の開閉扉(開閉蓋)にダンパ手段を設け、開閉扉(開閉蓋)に開閉速度に規制を与えようとすることは、本願出願前周知な技術事項であり(例えば、実願昭61-11186号(実開昭62-125978号)のマイクロフィルム、実願平1-111369号(実開平3-50286号)のマイクロフィルム、等参照)、該周知技術事項を、引用例に記載の発明に適用して、商品受けの摺動速度に規制を与えるダンパ手段を設けるようにすることは、当業者が適宜なし得ることと認められる。

4-3.相違点3について
無負荷時には商品取出口を閉じる位置にあり、商品の販売時には上向きに開けられるようにした自動販売機の前面の商品取出口を閉じるべく上端部を枢支されて上向きに動作可能なリッド体は、本願出願前周知な事項であり、商品取出口を閉じることを確実にするために、リッド体を常時閉じ方向へ付勢する弾発手段を設けるようにすることは、当業者が適宜なし得たことであり、また、この周知事項のリッド体を引用例に記載の発明に適用して、引用例に記載の発明に上記周知事項のリッド体を設け、引用例に記載の発明の商品受けにより、該リッド体を上向きにはね上げ可能にし、商品販売時に、リッド体を押し退けるようにすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

4-4.相違点4について
引用例に記載の発明には、「前記商品受けと前記リッド体との間の連動連結手段」は、明示されていないが、上記4-3.で述べたように、周知事項のリッド体を引用例に記載の発明に適用して、引用例に記載の発明に上記周知事項のリッド体を設け、引用例に記載の発明の商品受けにより、該リッド体を上向きにはね上げ可能にし、商品販売時に、リッド体を押し退けたりすることは、「前期商品受けと前記リッド体との間の連動連結手段」に相当するものと認められ、そして上記2-3.で述べたように周知事項のリッド体を引用例に記載の発明に適用して、引用例に記載の発明に上記周知事項のリッド体を設けることは、当業者が容易になし得たこと認めらる。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項3に係る発明は、引用例に記載の発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-25 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-14 
出願番号 特願平4-171703
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G07F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大河原 裕山崎 勝司  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 今井 義男
岡本 昌直
発明の名称 自動販売機の商品取出口装置  
代理人 大島 陽一  
代理人 大島 陽一  

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