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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1115797
審判番号 不服2002-15523  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-01-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-14 
確定日 2005-04-28 
事件の表示 平成 5年特許願第146487号「静電チャック装置における基板の脱着方法および脱着機構」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 1月10日出願公開、特開平 7- 7072〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年6月17日の出願であって、その請求項1ないし2に係る発明は、平成13年9月17日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
静電チャックの吸着面にリフトピンを突出可能に設けてなる静電チャック装置の基板脱着機構において
処理基板(1)を支持し、複数のリフトピン(5)がそれぞれ内部を昇降する複数の貫通孔を備えていて、静電チャックを構成する基板ホルダーと、
前記複数のリフトピン(5)を基板ホルダーの上側方向に向けて支持し、昇降動作を行う昇降機構(7)と、
前記基板ホルダーに備えられている貫通孔と貫通孔との間の基板ホルダー下側面と昇降機構(7)との上側面との間に介装され、その弾力によって昇降機構(7)を基板ホルダーの下側方向に向けて常に付勢している第一のバネ体(8)とを備えており、
前記リフトピン(5)は、昇降機構(7)の上側に基端部側が植設されて前記基板ホルダーの上側方向に延びる複数の筒体(24)と、各筒体(24)の上端側に挿脱自在に取り付けられていて、上端側に抵抗部材(21)が取り付けられている杆体(23)とからなり、
前記杆体(23)の筒体(24)内に延びる下端部は、筒体(24)に内装されている第二のバネ体(25)に当接し、これによって、上端側に抵抗部材(21)が取り付けられている杆体(23)は当該第二のバネ体(25)の弾力によって基板ホルダーの上側方向に向けて常に付勢され、
上端側に抵抗部材(21)が取り付けられている前記杆体(23)は、前記筒体(24)、昇降機構(7)、及び、放電回路(16)を介してアースに接続可能とされていると共に、
前記第二のバネ体(25)の弾力は前記第一のバネ体(8)の弾力より弱いことを特徴とする静電チャック装置の基板着脱機構。」

なお、平成14年9月13日付け手続補正書は補正却下の決定により却下され、補正却下不服審判請求(補正2003-50009)がなされ、当該補正却下不服審判の請求は成り立たない旨の審決がなされ、この審決は、平成15年7月18日に確定している。

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平4-117188号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
a.「本発明になる静電吸着装置は第1図に示す如くアルミニウム等からなる試料台1と、試料台1に固着された熱伝導性優れた絶縁体2を具えており、絶縁体2の内部に埋め込まれた・・・例えば一対の吸引電極3は、・・・直流高圧電源4に接続されている。」(第3頁右上欄第14行〜同頁左下欄第1行)
b.「本発明になる静電吸着装置は・・・離脱に先立ち半導体基板上の静電気を放電させる手段を具えている。即ち、静電吸着装置の基板吸着領域に複数の貫通孔6が形成されており、貫通孔6に面した吸引電極3の側面は絶縁体2で覆われている。また貫通孔6には上下方向に移動可能なイジェクトピン7が嵌挿されており、それぞれのイジェクトピン7の半導体基板5と当接面には、抵抗を介して接地されてなる導体8が固定されている。」(第3頁左下欄第12行〜同頁右下欄第頁第1行)
c.「半導体基板を離脱させるに先立って第2図(b)に示す如くイジェクトピン7を一斉に押し上げると、抵抗9を介して接地されてなる導体8が半導体基板5に当接し、半導体基板5上に帯電している静電気は抵抗9を通って放電される。静電気を除去したあとイジェクトピン7を更に押し上げると、第2図(c)に示す如く半導体基板5は静電吸着装置から無理なく離脱する。」(第3頁右下欄第4〜12行)
d.「第3図に示す本発明になる静電吸着装置の他の実施例は・・・本発明になる静電吸着装置におけるイジェクトピン7と、抵抗9を介して接地されてなる導体8との間にスプリング81を介在させている。このようにイジェクトピンと導体との間にスプリングを介在させることで、イジェクトピンが半導体基板に当接するタイミングのずれはスプリングに吸収され、静電気が放電される前に半導体基板が押し上げられるという現象を無くすことができる。」(第4頁左上欄第2〜11行)
上記摘載事項cにおいて、イジェクトピンは一斉に押し上げられることから、昇降動作を行う昇降機構に支持されていることは明らかである。そうすると、これらの摘記事項a〜dから第1〜3図を参照すると、引用例には、
「静電吸着装置の吸着領域にイジェクトピン7を突出可能に設けてなる静電吸着装置の基板離脱機構において、
半導体基板5を支持し、複数のイジェクトピン7がそれぞれ内部を昇降する複数の貫通孔を備えていて、静電吸着装置を構成する試料台1及び絶縁体2と、
前記複数のイジェクトピン7を試料台1及び絶縁体2の上側方向に向けて支持し、昇降動作を行う昇降機構とを備えており、
前記イジェクトピン7は、昇降機構の上側に基端部側が植設されて前記試料台1及び絶縁体2の上側方向に延びる複数の筒体と、各筒体の上端側に上下動自在取り付けられている導体8とからなり、
前記導体8と筒体との間にはスプリング81を介在させ、これによって、導体8は当該スプリング81の弾力によって試料台1及び絶縁体2の上側方向に向けて常に付勢され、
前記導体8は、抵抗9を介して接地されている静電吸着装置の基板離脱機構」という発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認める。
3.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「静電吸着装置の基板吸着領域」は前者の「静電チャックの吸着面」に相当し、以下同様に、「イジェクトピン7」は「リフトピン(5)」に、「静電吸着装置」は「静電チャック装置」に、「基板離脱機構」は「基板脱着機構」に、「半導体基板5」は「処理基板(1)」に、「試料台1及び絶縁体2」は「基板ホルダー」に、「抵抗9」は「抵抗部材(21)」に、それぞれ相当することは明らかであり、また、後者の「スプリング81」と前者の「第二のバネ体(25)」とは、「バネ体」である限りにおいて共通しているので、両者は、
「静電チャックの吸着面にリフトピンを突出可能に設けてなる静電チャック装置の基板脱着機構において
処理基板を支持し、複数のリフトピンがそれぞれ内部を昇降する複数の貫通孔を備えていて、静電チャックを構成する基板ホルダーと、
前記複数のリフトピンを基板ホルダーの上側方向に向けて支持し、昇降動作を行う昇降機構と、
前記リフトピンは、昇降機構の上側に基端部側が植設されて前記基板ホルダーの上側方向に延びる複数の筒体と、各筒体の上端側に上下動自在に取り付けられていて、処理基板に当接する部材とからなり、
前記処理基板に当接する部材は、筒体との間に介在されているバネ体の弾力によって基板ホルダーの上側方向に向けて常に付勢され、
処理基板に当接する部材は、抵抗部材を介してアースに接続される静電チャック装置の基板脱着機構」である点で一致し、次の点で相違する。
(1)相違点1:
前者では、基板ホルダーに備えられている貫通孔と貫通孔との間の基板ホルダー下側面と昇降機構との上側面との間に介装され、その弾力によって昇降機構を基板ホルダーの下側方向に向けて常に付勢している第一のバネ体を備えていて、処理基板に当接する部材を基板ホルダーの上側方向に向けて常に付勢するバネ体の弾力は前記第一のバネ体の弾力より弱いのに対して、
後者では、第一のバネ体は備えておらず、したがって、処理基板に当接する部材を基板ホルダーの上側方向に向けて常に付勢するバネ体と第一のバネ体との弾力についての大小関係もない点。
(2)相違点2:
前者では、リフトピンが、複数の筒体と、各筒体の上端側に挿脱自在に取り付けられている杆体とからなり、前記杆体は、筒体に内装されている第二のバネ体の弾力によって付勢されているのに対して、
後者では、リフトピンが、複数の筒体と、各筒体の上端側に上下動自在に取り付けられている導体とからなり、前記導体は筒体との間に介在されているバネ体の弾力によって付勢されている点。
(3)相違点3:
前者では、処理基板に当接する部材が抵抗部材であって、該抵抗部材が上端側に取り付けられている杆体、筒体、昇降機構、及び放電回路を介してアースに接続可能とされているのに対して、
後者では、処理基板に当接する部材が導体であって、抵抗部材を介してアースに接続されているものの、放電回路を介在させてアースに接続可能とされていない点。
4.当審の判断
上記相違点1ないし3について検討する。
(1)相違点1について
半導体製造装置において、基板ホルダーに備えられている貫通孔と貫通孔との間の基板ホルダー下側面と、複数のリフトピンを支持する昇降機構との上側面との間にバネ体を介装し、その弾力によって昇降機構を基板ホルダーの下側方向に向けて常に付勢することは、例えば、特開平1-189124号公報にも記載されているように、従来、周知慣用技術であり、この周知慣用技術を引用例記載の発明に採用して第一のバネ体とすることは当業者であれば何ら困難性なくなし得た設計的事項にすぎない。
そして、上記第一のバネ体を備えたことの技術的意義は、本願明細書の段落【0021】の記載を参照すると、第一のバネ体の弾力でリフトピンの先端部分が常時絶縁物内に位置し、絶縁物の上側に突出しないようにするためである。
一方、静電チャックに電荷が残っていて吸着力が減少するまでリフトピンを当接した状態にしておくには、前記吸着力と第二のバネ体の弾力との大小関係が関係するものであり、第一のバネ体の弾力と第二のバネ体の弾力との大小関係とは直接関連性は認められないことから、前記第二のバネ体の弾力を第一のバネ体の弾力よりも弱くすることは当業者が適宜なし得た設計上の選択的事項にすぎないことである。
(2)相違点2について
一般に、杆体を、筒体に内装したバネ体により常に突出方向に付勢するように筒体に挿脱自在に取り付けることは、例えば、特開平成5-112216号公報にも記載されているように、従来、周知慣用技術であって、この周知慣用技術を引用例記載の発明のリフトピンに適用して相違点2に係る本願発明のように構成することは当業者が容易になし得た設計変更にすぎないことである。
(3)相違点3について
抵抗部材は、処理基板に当接する部材とアースとの間に設ければ放電する電流を制限することができることは明らかであり、引用例記載の発明の処理基板に当接する部材を抵抗部材とすることは当業者が適宜なし得た設計変更に過ぎないことであり、また、放電回路を介在させることによりアースに接続可能とすることも当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎないことである。
したがって、引用例記載の発明に前記各周知慣用技術を適用することにより本願発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明の奏する効果も、引用例記載の発明及び前記各周知慣用技術から予測できる範囲内であって、格別なものとも認められない。

なお、請求人は、平成17年3月8日付けで審理再開申立書を提出し、補正案として示した特許請求の範囲の請求項1において、本願発明においては、構成要件iにあるように、「抵抗部材21が処理基板1に当接した状態が一時的に保持され」ていても、この「一時的に保持」されている間、昇降機構7の上昇運動が停止される必要はなく、すなわち、昇降機構7は上昇運動を継続しているにもかかわらず、「抵抗部材21が処理基板1に当接した状態が一時的に保持され」、処理基板1を吸着面から持ち上げる動作を、連続的な動作で、円滑に行うことができる旨主張している。
しかしながら、上記引用例記載の発明においても、複数のリフトピン(イジェクトピン7)と、処理基板に当接する部材(導体8)との間にバネ体(スプリング81)を介在させており、「イジェクトピンが半導体基板に当接するタイミングのずれはスプリングに吸収され、静電気が放電される前に半導体基板が押し上げられるという現象を無くすことができる」ものであることから、昇降機構の上昇運動を継続させることについては明示されていないものの、そのようにした際には、該バネ体が本願発明の第二のバネ体と同様に機能して「抵抗部材21が処理基板1に当接した状態が一時的に保持され」ることは技術的に自明の事項である。また、構成要件fにおける、処理基板に当接部材である抵抗部材(21)を交換可能に取り付けることは当業者が必要により適宜なし得た設計的事項にすぎないことである。
したがって、審理再開の必要は認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例記載の発明及び前記各周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-01 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-14 
出願番号 特願平5-146487
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 鈴木 孝幸
岡野 卓也
発明の名称 静電チャック装置における基板の脱着方法および脱着機構  
代理人 涌井 謙一  
代理人 鈴木 正次  
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