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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1115817 |
審判番号 | 不服2003-10253 |
総通号数 | 66 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-06-05 |
確定日 | 2005-04-28 |
事件の表示 | 特願2001-120503「電極駆動装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月25日出願公開、特開2002-311849〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年4月19日の出願であって、平成15年4月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月5日に審判請求がなされるとともに、同年7月1日に手続補正がなされたものである。 2.平成15年7月1日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年7月1日付け手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項1に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「第1及び第2の基板と、 前記第1の基板に形成され、前記第1及び第2の基板の間であって四辺形領域内で並べられた第1及び第2の電極パターンと、 前記第1の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の第1の辺から外方向に形成されてなる第1の配線パターンと、 前記第2の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の前記第1の辺に隣接する第2の辺から外方向に形成されてなる第2の配線パターンと、 前記第1の配線パターンに電気的に接続された第1の電子部品と、 前記第2の配線パターンに電気的に接続された第2の電子部品と、 を有し、 前記第1及び第2の電子部品は、前記四辺形領域の外側であって前記第1の辺の側に配置されてなり、 前記第1の辺の両端に隣接する2つの辺のそれぞれが、前記第2の辺であって、前記2つの辺のそれぞれから前記第2の配線パターンが形成され、 前記2つの辺のそれぞれから形成された前記第2のパターンと、前記第2の電子部品と、前記四辺形領域と、で囲まれた領域に前記第1の電子部品が配置され、 前記第2の電子部品は、前記囲まれた領域側の端部に設けられた接続端子と、前記囲まれた領域の外側の端部に設けられた外部端子と、を有し、 前記接続端子と前記第1の電子部品とを電気的に接続する接続パターンをさらに有し、 前記第2の電子部品は、前記外部端子と前記接続端子との間を、信号及び電源の少なくとも一方が通過する経路を内部に有し、 前記経路は、前記電源として共通電圧VCOMが通過するものである電極駆動装置。」 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、 「第2の辺」について、「前記第1の辺の両端に隣接する2つの辺のそれぞれが、前記第2の辺」であるとの限定を付加し、 また「第2の配線パターン」について、「第2の辺」である「前記2つの辺のそれぞれから」形成されるとの限定を付加し、 また「第1の電子部品」について、「前記2つの辺のそれぞれから形成された前記第2のパターンと、前記第2の電子部品と、前記四辺形領域と、で囲まれた領域に」配置されるとの限定を付加し、 また「第2の電子部品」について、「前記囲まれた領域側の端部に設けられた接続端子と、前記囲まれた領域の外側の端部に設けられた外部端子」とを有し、この「接続端子」は「第1の電子部品」と「接続パターン」で「電気的に接続」され、さらに「前記外部端子と前記接続端子との間を、信号及び電源の少なくとも一方が通過する経路を内部に有し、前記経路は、前記電源として共通電圧VCOMが通過する」との限定を付加するものであって、 特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることが出来るものであるか(平成15年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された、特願2001-36080号(特開2002-244580号)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、次のア)〜カ)の事項が記載されている。 ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、液晶表示素子等の・・・表示素子駆動装置・・・に関するものである。」(明細書【0001】段落) イ)「【0038】 図2に示すように、本実施の形態に係る液晶モジュールは、液晶パネル1、後述する周辺回路等からなっている。 【0039】 表示素子としての液晶パネル1は・・・走査線電極群2と、データ線電極群3と、マトリクス状に配された両電極群2・3との間に挟持された液晶(図示せず)とを有している。走査線電極群2は、互いに並行に配された横方向に延びる走査線電極X1〜Xnからなる。一方、データ線電極群3は、走査線電極X1〜Xmと直交し、かつ互いに平行に配置された縦方向に延びるデータ線電極Y1〜Ynからなる。・・・ 【0040】 液晶パネル1には、走査線電極駆動回路(以降、コモンドライバと称する)11およびデータ線電極駆動回路(以降、セグメントドライバと称する)12が接続されている。・・・コモンドライバ11は、走査線電極群2に駆動すべき走査線電極X1〜Xmを選択するための走査信号を出力する。セグメントドライバ12は、データ線電極群3に表示用データに基づくデータ信号を出力する。」(明細書【0038】-【0040】段落) ウ)「【0044】 図1に示すように、液晶パネル1には、ガラス基板1における1辺側に実装パッケージ21が接続されている。実装パッケージ21は、COF(Chip On Film)と呼ばれる技術によって、コモンドライバ11がチップに集積されたLSIチップ23(第2集積回路)およびセグメントドライバ12(第1集積回路)がチップに集積されたLSIチップ24を・・・実装するパッケージである。・・・ 【0045】 実装基板・・・22においては、液晶パネル1に近い側にLSIチップ24が配され、液晶パネル1から遠い側にLSIチップ23が配されている。また、フィルム基材22は、LSIチップ23と液晶パネル1とを接続する配線部25・25と、LSIチップ24と液晶パネル1とを接続する配線部26とを有している。・・・一方、出力配線としての配線部25・25は、・・・LSIチップ24の両側方を通過するように配されている。・・・。」(明細書【0044】-【0045】段落) エ)図面第1図には、電極群3、2がその中に並べられている領域が四辺形形状をなしている構成、及び「LSIチップ24」が「配線部25」と「LSIチップ23」と前記四辺形領域とで囲まれた領域に配されている構成が記載されている。 オ)「【0080】 図11(a)に示す構成・・・ 【0081】 ・・・において、LSIチップ23は、第2配線部28bを接続するためのバンプ23d1 〜23d4 およびバンプ23d11〜23d14を有している。また、図11(b)に示すように、LSIチップ23の内部には、LSIチップ24への入力信号に対し各種の処理を施すためのバッファ、アンプ、レベルシフタ等を含む処理回路としての内部回路41〜44が設けられている。内部回路41〜44の入力端子にはそれぞれバンプ23d1 〜23d4 が接続され、内部回路41〜44の出力端子にはそれぞれバンプ23d11〜23d14が接続されている。」(明細書【0080】-【0081】段落) カ)「【0105】 ・・・液晶パネル1が他のタイプの電極構造を有していてもよい。例えば、液晶パネル1がTFT型である場合、図2におけるコモンドライバ11およびセグメントドライバ12が、それぞれゲートドライバおよびソースドライバに置き換えられる。したがって、実装パッケージ21・51に実装されるLSIチップ23・24も、それぞれゲートドライバおよびソースドライバがチップに集積されたLSIに置き換えられる。」(明細書【0105】段落) これらの記載事項によると、先願明細書には、 『「基板」と、 「基板」に形成され、四辺形領域内で並べられた「電極群3および2」と、 前記「電極群3」に接続されて前記四辺形領域の図1で見て下方の辺より外方向に形成されてなる「配線部26」と、 前記「電極群2」に接続される「配線部25」と 前記「配線部26」に接続された「LSIチップ24」と、 前記「配線部25」に接続された「LSIチップ23」と、 を有し、 前記「LSIチップ24」及び「LSIチップ23」は、前記四辺形領域の外側であって図1で見て下方の辺側に配置されてなり、 「配線部25」は「横方向に延びる」「電極群2」と接続するべく「LSIチップ24の両側方を通過するように配され」、 「配線部25」と、「LSIチップ23」と、前記四辺形領域と、で囲まれた領域に前記「LSIチップ24」が配され、 前記「LSIチップ23」は、前記囲まれた領域側の端部に設けられた「バンプ23d11〜23d14」と、前記囲まれた領域の外側の端部に設けられた「バンプ23d1 〜23d4 」と、を有し 前記「バンプ23d11〜23d14」と前記「LSIチップ24」とを接続する「第2配線部28b」をさらに有し、 前記「LSIチップ23」は、前記「バンプ23d1 〜23d4 」と前記「バンプ23d11〜23d14」との間を「入力信号」が通過する「内部回路41〜44」を内部に有するものである、 「表示素子駆動装置」』の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)対比 本願補正発明と上記引用発明とを比較する。 まず、引用発明の「表示素子駆動装置」が電極を駆動するものであることは明らかである。 そして引用発明の「電極群3および2」、「四辺形領域の図1で見て下方の辺」、「配線部26、25」、「LSIチップ24、23」、「バンプ23d11〜23d14、23d1 〜23d4 」、「第2配線部28b」、「内部回路41〜44」、及び「接続」は、それぞれ本願補正発明の「第1及び第2の電極パターン」、「第1の辺」、「第1及び第2の配線パターン」、「第1及び第2の電子部品」、「接続端子、外部端子」、「接続パターン」、「経路」及び「電気的に接続」に相当する。 さらに、引用発明で「横方向に延びる」「電極群2」と接続するべく「配線部25」が「LSIチップ24」の左右「両側方」を通っているということから、この「配線部25」が、四辺形領域の下方の辺に隣接する左右横側の辺に延びて「電極群2」とつながっているものであるのは自明である。(なお、先願明細書で、【0039】段落記載の「電極群2、3」の「横方向」「縦方向」の縦横の位置関係が図1においても同様に通用することは、「電極群3」と「配線部26」の接続が四辺形領域の下方の辺側でなされていることから明らかである。) ここで、上記(2)カ)で摘記したように、液晶パネルをTFT型とすることも引用発明に明記されており、そのとき、2つの電極群を2つの基板の間でかつ一方の基板に並べ形成すること、および共通電圧を与えることは当業者にとり技術常識である。 したがって、両者は、 「第1及び第2の基板と、 前記第1の基板に形成され、前記第1及び第2の基板の間であって四辺形領域内で並べられた第1及び第2の電極パターンと、 前記第1の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の第1の辺から外方向に形成されてなる第1の配線パターンと、 前記第2の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の前記第1の辺に隣接する第2の辺から外方向に形成されてなる第2の配線パターンと、 前記第1の配線パターンに電気的に接続された第1の電子部品と、 前記第2の配線パターンに電気的に接続された第2の電子部品と、 を有し、 前記第1及び第2の電子部品は、前記四辺形領域の外側であって前記第1の辺の側に配置されてなり、 前記第1の辺の両端に隣接する2つの辺のそれぞれが、前記第2の辺であって、前記2つの辺のそれぞれから前記第2の配線パターンが形成され、 前記2つの辺のそれぞれから形成された前記第2のパターンと、前記第2の電子部品と、前記四辺形領域と、で囲まれた領域に前記第1の電子部品が配置され、 前記第2の電子部品は、前記囲まれた領域側の端部に設けられた接続端子と、前記囲まれた領域の外側の端部に設けられた外部端子と、を有し、 前記接続端子と前記第1の電子部品とを電気的に接続する接続パターンをさらに有し、 前記第2の電子部品は、前記外部端子と前記接続端子との間を、信号及び電源の少なくとも一方が通過する経路を内部に有し、 電源として共通電圧VCOMが通過する電極駆動装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 本願補正発明では電源として共通電圧VCOMが通過するのが第2の電子部品内部の経路であるのに対し、引用発明にはその点が記載されていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 液晶表示装置をはじめとした電極駆動装置においては、電源線が駆動回路の内部を通過する点は、本願出願前に周知慣用の技術である(特開平7-49657号公報の第11図の内部配線58、特開2001-5403号公報の第1図の配線5を参照)。本願補正発明は、先願明細書に記載された電源線の配線形式に、当該周知技術の配線形式を適用したものに相当し、その点に格別の効果を認めることもできないから、上記相違点は、単なる周知・慣用技術の付加にすぎない。 したがって、本願補正発明は先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成15年7月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年2月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「第1及び第2の基板と、 前記第1の基板に形成され、前記第1及び第2の基板の間であって四辺形領域内で並べられた第1及び第2の電極パターンと、 前記第1の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の第1の辺から外方向に形成されてなる第1の配線パターンと、 前記第2の電極パターンに電気的に接続されて前記四辺形領域の前記第1の辺に隣接する第2の辺から外方向に形成されてなる第2の配線パターンと、 前記第1の配線パターンに電気的に接続された第1の電子部品と、 前記第2の配線パターンに電気的に接続された第2の電子部品と、 を有し、 前記第1及び第2の電子部品は、前記四辺形領域の外側であって前記第1の辺の側に配置されてなる電極駆動装置。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した先願明細書、及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、本願補正発明から上記「2.(1)」で述べた構成の限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、先願明細書に記載された発明と同一のものであるから、本願発明も、同様の理由により、先願明細書に記載された発明と同一である。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-25 |
結審通知日 | 2005-03-01 |
審決日 | 2005-03-14 |
出願番号 | 特願2001-120503(P2001-120503) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G09F)
P 1 8・ 161- Z (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小宮 寛之、高木 彰 |
特許庁審判長 |
鹿股 俊雄 |
特許庁審判官 |
前川 慎喜 上野 信 |
発明の名称 | 電極駆動装置及び電子機器 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 井上 一 |
代理人 | 布施 行夫 |