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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1115832
審判番号 不服2003-22608  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-06-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-20 
確定日 2005-04-28 
事件の表示 平成11年特許願第336638号「バッファに於けるセル廃棄回避システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 8日出願公開、特開2001-156785〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年11月26日の出願であって、平成15年10月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年11月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明

(1)本願発明について
本願の請求項1に係る発明は、平成15年8月4日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】ATM交換機内にセルを蓄積する種別毎のバッファを設け、前記種別毎のバッファから前記セルを読み出すバッファに於けるセル廃棄回避システムにおいて、
前記セル読み出し時に前記種別毎のバッファのそれぞれに読み出し速度の重み付けを示す優先モードを備え、
前記バッファ内のセルの読み出し時に前記種別毎のバッファから読み出す配分を前記優先モードに従って時分割に割り付けてラウンドロビン形式で読み出す読み出し手段と、
前記バッファのセル廃棄を検出する検出手段と、
前記検出手段によりセル廃棄の起こったバッファの優先モードの重みを高めに変更する変更手段とを有することを特徴とするバッファに於けるセル廃棄回避システム。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用例に記載された発明
原審の拒絶の理由に引用された特開平11-275112号公報(以下、「引用例」という。)には、次のような記載がある。

イ)「【請求項1】ATMネットワークにおけるセル送出スケジューリング装置において、
入力されたセルを、要求品質に応じてキューイングする複数のクラス別キューと、
前記入力されたセルを、前記複数のクラス別キューのいずれかに振り分けるクラス振り分け手段と、
前記複数のクラス別キューの状態を保持するメモリ手段と、
前記メモリ手段の内容に応じて、前記クラス別キューにキューイングされているセルの送出タイミングを決定するスケジューリング手段とを有することを特徴とするセル送出スケジューリング装置。
【請求項2】 請求項1記載のセル送出スケジューリング装置であって、
前記スケジューリング手段は、前記各クラス別キュー毎にウェイトを算出し、
このウェイト値に応じてセル送出判定を行うことを特徴とするセル送出スケジューリング装置。」(第2頁第1欄第2行〜第19行)

ロ)「【0002】【従来の技術】
たとえば『下西他、「待ち行列長数に依存しない処理量を実現した Weighted Round Robin方式の提案」、1997年電子情報通信学会通信ソサイティー大会、B-6-44』には、ATM伝送システムにおいて、セル送出スケジューリングに重み付けラウンドロビン(以下、WRRと称する)方式を用いることが開示されている。WRR方式は、それぞれの待ち行列に対して最低帯域を保証できるスケジューリング方式として、ATMスイッチで広く用いられている。」(第2頁第1欄第42行〜第2欄第1行)

ハ)「【0006】【発明の実施の形態】
まず図2を用いて、ATM伝送システムにセル送出スケジューリング装置がどのように適用されるかを説明する。入力回線上のセルは、ATMスイッチでスイッチングされ、多重化されて出力回線上に送出される。セル送出スケジューリング装置は、この出力回線上に配置されている。これらのセル送出スケジューリング装置は、各セルに要求される通信品質に応じて、セルの送出順を決定する。そして、決定した順番にしたがってセルの送出を行う。
【0007】次に図1を用いて、この発明のセル送出スケジューリング装置10の構成について説明する。セル送出スケジューリング装置10は、クラス振り分け部20を有する。ATMスイッチから出力されたセルは、まず、このクラス振り分け部20に入力される。クラス振り分け部20は、入力されたセルをその品質に応じたクラスに振り分け、次段のキュー手段30に送る。
【0008】キュー手段30は、複数のクラス別キューを有する。図1には、クラス1キューからクラスNキューまで、N個のクラス別キューを有するキュー手段が示されている。クラス振り分け部20から送られてきたセルは、その品質クラスに応じて適切なクラス別キューにキューイングされる。すなわち、ユーザAから送出されたセル(またはセル流)と、ユーザBから送出されたセル(またはセル流)とが同じ品質を要求するものならば、これらは同じクラス別キューにキューイングされる。一方、これらが要求する品質クラスが異なっていれば、これらはその品質に応じて別々のクラス別キューにキューイングされる。
【0009】キュー手段30には、状態変数40、およびスケジューリング部50が接続されている。なお、状態変数40とスケジューリング部50とは、相互に接続されている。以下、キュー手段30、状態変数40、およびスケジューリング部50について、図3を用いて詳細に説明する。キュー手段30は、前述した通り、クラス1キューからクラスNキューまでN個のクラス別キューを有する。状態変数40は、これら複数のクラス別キューに対応して、複数の状態変数部41〜4Nを有する。これらのクラス別キューと状態変数部41〜4Nとは、1対1に接続されている。
【0010】状態変数部41は、制御遅延レジスタ411、キュー長カウンタ421、およびウェイトカウンタ431を有する。同様に、状態変数部4Nは、制御遅延レジスタ41N、キュー長カウンタ42N、およびウェイトカウンタ43Nを有する。それぞれの状態変数部は、スケジューリング部50に接続されている。
【0011】制御遅延レジスタには、各々のクラスで制御されるべき遅延量が設定されている。この遅延量は、システム固有に、あるいは何らかの手段で動的に、定められている。キュー長カウンタには、キュー長が保持されている。つまり、クラス別キューにセルが1つ入力されると、そのキューに対応するキュー長カウンタの値は1増加する。クラス別キューからセルが1つ出力されると、対応するキュー長カウンタの値は1減少する。ウエイトカウンタは、ウエイト値を保持している。つまり現時点での送出可能セル数を保持している。セルが1つ送出される毎に、ウエイトカウンタ値は1減少する。またウエイトカウンタは、所定のリセットタイミングで、あるウエイト値に再設定される。
【0012】スケジューリング部50は、セル送出判定部51、ウェイトカウンタリセット判定部52、およびウェイト計算部53を有する。スケジューリング部50は、複数のクラス別キューのそれぞれに接続されている。セル送出判定部51は、そのクラスのセルを送出するか否かを決定する。たとえばラウンドロビンに従って、各クラス毎にウエイトカウンタをチェックし、その値が1以上ならば、そのクラスのキューからセルを1つ取り出して送出する。ウエイトカウンタの値が0以下ならば、そのクラスのキューからはセル送出は行わずに、次のクラスのセル送出判定に移る。あるキューからセル送出が行われた場合、セル送出判定部51は、ウエイトカウンタ値を1減少させる。
【0013】ウエイトカウンタリセット判定部52は、全クラスのウエイトカウンタをリセット(再設定)するタイミングを決定する。すなわちウエイトカウンタリセット判定部52は、まず全てのクラスのキュー長とウエイトカウンタをチェックする。ここで、全てのクラスにおいてキュー長が0か、ウエイトカウンタ値が0か、どちらかであるならば、ウエイトカウンタリセット判定部52は、全クラスのウエイトカウンタを、クラス毎に計算されたウエイト値に再設定する。
【0014】ウエイト計算部53は、ウエイトカウンタのリセット時に再設定するウエイト値を、各クラス毎に計算する。
【0015】以下、この発明の第1の実施形態について、図1、図2および図4を用いて説明する。ここで図4は、第1の実施形態におけるウエイト計算部の構成を示す図である。
【0016】セルがセル送出スケジューリング装置10に入力されると、そのセルはクラス振り分け部20に与えられる。クラス振り分け部20は、入力されたセルをその品質に応じたクラスに振り分け、キュー手段30内の適切なクラス別キューに送る。クラス別キューにセルが入力されると、対応する状態変数部のキュー長カウンタの値が1増加する。またセルがクラス別キューから出力されると、対応する状態変数部のキュー長カウンタの値が1減少する。
【0017】セル送出判定部は、セル入力とは非同期に、1セル処理単位時間毎に1つ、状態変数部のウエイトカウンタの値をチェックする。この結果、ウェイトカウンタの値が1以上なら、セル送出判定部51から、対応するクラス別キューに対して、セル送出の指示が与えられる。セル送出判定部51は同時に、対応するウエイトカウンタ、およびキュー長カウンタの値を、それぞれ1減少させる。セル送出判定部51は、この処理をすべてのクラス別キューについてラウンドロビン方式で行う。」(第2頁第2欄第17行〜第3頁第4欄第23行)

ニ)「【0023】以上のように、第1の実施形態によると、ウエイトカウンタのリセット時に、キュー長/制御遅延量の比に基づいて各クラスのウエイト値をダイナミックに決定する。このため、キュー長が長いほど(処理待ちセルの数が多いほど)多くのウエイト値が与えられる。よって、そのクラスについてはセル送出機会がより多くなり、セル遅延量が少なくなる。
【0024】また、制御遅延量が大きい(より大きい遅延量まで許容度される)クラスほど少ないウエイト値が与えられる。よって、そのクラスについてはセル送出機会がより少なくなり、セル遅延量が多くなる。この結果として、トラヒック量と制御遅延量に応じたリアルタイムなセル遅延制御が可能となる。」(第4頁第5欄第24行〜第6欄第11行)

ホ)図2によれば、ATM伝送システムには、ATMSWが含まれ、SWがスイッチの意味で、スイッチは、入力回線と出力回線の信号を交換していることを意味するから、ATM伝送システムには、ATM交換機が含まれている。

以上の記載及び図面、技術常識を総合すれば、引用例には、「ATM交換機にセルを、要求品質に応じてキューイングする複数のクラス別キューを設け、前記複数のクラス別キューから前記セルを送出するキューに於けるセル送出システムにおいて、
ウェイテッド・ラウンド・ロビン(WRR)方式で、前記セル送出時に前記複数のクラス別キューのそれぞれにウェイトカウンタを有し、
前記複数のクラス別キュー内のセルの送出時に前記複数のクラス別キューから送出する分を前記ウェイトカウンタに従ってラウンドロビンで送出する送出手段とを有し、ウエイトカウンタをクラス毎のキュー長と許容遅延量との比率から求めるキューに於けるセル送出システム。」の発明(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。

例えば、特開平7-79252号公報(以下、「周知例1」という。)には、次のことが記載されている。

イ)「【請求項1】 同一方路宛のパケットが入力される複数の入力ハイウェイ(1) と該方路に対応する出力ハイウェイ(2) の交差点に前記複数の入力ハイウェイ(1) 対応に設けた先入れ先出し方式のバッファメモリ(3) に入力されるパケットを一時蓄積させたのち、読出制御部(10)の制御により前記バッファメモリ(3) より読み出し、出力部(4) を介して前記出力ハイウェイ(2) に出力させるパケット交換機のパケット出力制御方式であって、
前記各バッファメモリ(3) に蓄積されたパケットの量を監視し、予め定めた閾値を超える量のパケットを蓄積したバッファメモリ(3) が発生したとき、該バッファメモリ(3) のパケット蓄積量が閾値を超えたことを示す情報をパケット蓄積量が閾値以下となるまで送出する蓄積量監視手段(5) を備え、かつ、
前記読出制御部(10)内に、前記バッファメモリ(3) を一定順序で選択し、選択したバッファメモリ(3) の先頭に蓄積されているパケットを前記出力ハイウェイ(2) に出力するよう前記出力部(4) を制御するバッファ順次読出制御手段(11)と、
前記蓄積量監視手段(5) よりパケット蓄積量が閾値を超えたバッファメモリ(3) が発生したことを示す情報が送出されている間、前記バッファ順次読出制御手段(11)による読出制御に優先してパケット蓄積量が閾値を超えたバッファメモリ(3) よりパケットを読み出して前記出力ハイウェイ(2) に出力するよう前記出力部(4) を制御する最大蓄積バッファ優先読出制御手段(12)を備えたことを特徴とするパケット出力制御方式。」(第2頁第1欄第2行〜第28行)

ロ)「【0030】【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来技術のパケット出力制御方式においては、スキップポーリング式の読出制御方法は同一方路宛のパケットが連続して入力されるバッファメモリに蓄積されたパケットの出力遅延時間が大きくなり、かつ、パケットの廃棄率も高くなると言う欠点があった。また、LNQポーリング式の読出制御方法は同一方路へのトラヒックが少ない入力ハイウェイから入力されるパケットの出力遅延時間と出力遅延時間の変動が大きいという欠点がある。更に、FIFOポーリング式の読出制御方法は入力されたパケットが入力順に出力されるという長所はあるが、パケットの廃棄率が必ずしも低くないという問題がある。
【0031】このため、入力されるパケットの出力遅延時間やその変動が極端に大きくなることがなく、低いパケットの廃棄率が得られるパケット出力制御方式が求められている。
【0032】
本発明は、入出力ハイウェイの交差点に設けられたバッファメモリにおけるパケットの廃棄率を低下させることを目的とする。」(第5頁第8欄第19行〜第38行)

上記周知例1によれば、「パケットの廃棄率を低下させるために、バッファ順次読出し制御に優先してパケット蓄積量が閾値を超えたバッファメモリよりパケットを読み出す」ことが、周知である。

また、引用例の【0002】に記載されている『下西他、「待ち行列長数に依存しない処理量を実現した Weighted Round Robin方式の提案」、1997年電子情報通信学会通信ソサイティー大会、B-6-44』(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。

イ)「2.Weighted Round Robin(WRR)方式
WRR方式では各待ち行列毎にウェイトを設定し、以下の様にして各待ち行列にウェイト比で最低帯域を保証する。WRR方式は次のリセットまでに送出可能なセルの個数をカウンタに持ち、その初期値をウェイトの値とする。各セル出力時間毎に前回セルを出力した待ち行列の次の待ち行列から巡回順に、カウンタの値と待ち行列内のセル数が共に1以上である待ち行列を探し、この待ち行列からセルを1つ出力してカウンタ値を1つ減じる。カウンタの値と待ち行列内のセル数が共に1以上である待ち行列がなくなれば、全ての待ち行列のカウンタ値を各々のウェイトにリセットする。」(左欄第12行〜第22行)

(3)対比・判断
本願発明と引用例に記載された発明を対比する。
a.引用例に記載された発明の「ATM交換機にセルを、要求品質に応じてキューイングする複数のクラス別キューを設け」ることは、セルをキューイングするとは、セルを蓄積することで、「クラス別キュー」は、「種別毎のバッファ」に相当するから、本願発明の「ATM交換機内にセルを蓄積する種別毎のバッファを設け」ることに相当する。
b.引用例に記載された発明の「前記複数のクラス別キューから前記セルを送出する」ことは、送出するためには、キューから読み出されるから、a.を考慮すると、本願発明の「前記種別毎のバッファから前記セルを読み出す」ことに相当する。
c.引用例に記載された発明の「キューに於ける」は、本願発明の「バッファに於ける」に相当する。
d.引用例に記載された発明の「セル送出システム」と本願発明の「セル廃棄回避システム」は、「セルシステム」の点で、一致する。
e.引用例に記載された発明の「ウェイテッド・ラウンド・ロビン(WRR)方式で、前記セル送出時に前記複数のクラス別キューのそれぞれにウェイトカウンタを有し」は、「ウェイト」とは重み付けであり、ウェイテッド・ラウンド・ロビン(WRR)方式は、ウェイトカウンタにより、各セルの送出の優先度を決定するという優先モードを有し、ウェイト値が大きいほど、多くのセルを送出することは、周知例2で示されるように技術常識であるから、a.、b.を考慮すると、本願発明の「前記セル読み出し時に前記種別毎のバッファのそれぞれに読み出し速度の重み付けを示す優先モードを備え」ることに相当する。
f.引用例に記載された発明の「前記複数のクラス別キュー内のセルの送出時に前記複数のクラス別キューから送出する分を前記ウェイトカウンタに従ってラウンドロビンで送出する送出手段」は、「送出する」ためには、読み出し手段が必要であり、ラウンドロビンで送出するには、順々に送出され、時分割でセルが送出されていくから、a.、b.、e.を考慮すると、「前記バッファ内のセルの読み出し時に前記種別毎のバッファから読み出す配分を前記優先モードに従って時分割的に割り付けてラウンドロビン形式で読み出す読み出し手段」に相当する。

してみれば、本願発明と引用例に記載された発明は、
「ATM交換機内にセルを蓄積する種別毎のバッファを設け、前記種別毎のバッファから前記セルを読み出すバッファに於けるセルシステムにおいて、
前記セル読み出し時に前記種別毎のバッファのそれぞれに読み出し速度の重み付けを示す優先モードを備え、
前記バッファ内のセルの読み出し時に前記種別毎のバッファから読み出す配分を前記優先モードに従って時分割に割り付けてラウンドロビン形式で読み出す読み出し手段とを有するバッファに於けるセルシステム。」の点で、一致し、以下の点で、相違する。

[相違点1]
本願発明は、「前記バッファのセル廃棄を検出する検出手段と、前記検出手段によりセル廃棄の起こったバッファの優先モードの重みを高めに変更する変更手段とを有」しているのに対して、引用例には、「ウエイトカウンタをクラス毎のキュー長と許容遅延量との比率から求め」ているが、「前記バッファのセル廃棄を検出する検出手段と、前記検出手段によりセル廃棄の起こったバッファの優先モードの重みを高めに変更する変更手段とを有」についての記載が引用例にはない点。

[相違点2]
本願発明は、「セル廃棄回避システム」であるのに対して、引用例に記載された発明では、「セル送出システム」である点。

上記相違点について、検討する。
[相違点1について]
引用例には、ウェイトカウンタをクラス毎のキュー長と許容遅延量との比率から求めることが記載され、そこには、キュー長が大きくなるとバッファのウェイトカウンタのウェイト値を高く設定することが技術思想として読み取ることができる(引用例段落23参照)。そして、周知例1に記載されているように、「パケットの廃棄率を低下させるために、バッファ順次読出し制御に優先してパケット蓄積量が閾値を超えたバッファメモリよりパケットを読み出す」ことは周知であり、係る周知技術は、バッファのパケット蓄積量が閾値を超えパケットの廃棄が起こりそうになると該バッファから優先的にパケットを読み出すことを意味しているのであるから、引用例に記載された発明において、キュー長が大きくなり、バッファのセル蓄積量が閾値を超えセルの廃棄が起こりそうになると、該バッファのウェイトカウンタのウェイト値を高く設定し、優先的にパケットを読み出すこと、すなわち、セル廃棄が起こりそうな状態になるとバッファのウェイト値を高めに設定することは、当業者が容易になし得る程度のことであると認められる。
そしてその際、ウェイト値の制御を、セル廃棄の起こりそうな状態で廃棄が起こる前に行うか、セル廃棄を検出する検出手段で、廃棄が起こった状態で行うかは、当業者が適宜なすべきことに過ぎない。

[相違点2について]
相違点1の検討で、引用例に記載された発明に、周知例1に示される周知技術を適用すれば、自ずから、セル廃棄回避を行っていることになるので、引用例に記載された発明を、セル廃棄回避システムに設計変更することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

従って、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知例1に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用例及び周知例1に示される周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知例1に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-01 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-16 
出願番号 特願平11-336638
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 真之  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 望月 章俊
野元 久道
発明の名称 バッファに於けるセル廃棄回避システムおよび方法  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 工藤 雅司  
代理人 机 昌彦  

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