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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1115931
審判番号 不服2000-18287  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-16 
確定日 2005-05-02 
事件の表示 平成 8年特許願第189250号「コントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月 3日出願公開、特開平10- 28777〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成8年7月18日の出願であって、平成12年7月4日付で拒絶理由通知がなされ、同年9月14日付で手続補正がなされ、同年10月17日付で拒絶査定がなされた。これに対し、同年11月16日に審判請求がなされるとともに、同日付で請求項の削除を目的として手続補正がなされたものである。本件出願の請求項3に係る発明は、平成12年11月16日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項3に記載された下記のとおりのものと認める。

「【請求項3】 電子装置に接続可能なコントローラであって、所定の画像を表示するディスプレイ画面と、前記ディスプレイ画面への操作者の接触を検知するタッチセンサと、前記ディスプレイ装置に表示する画面を切り換える切換スイッチとを有することを特徴とするコントローラ。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平5-228260号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
「互いに異なる声を有する2以上の対話アニメ・キャラクターとゲーム器の操作者との間で音声対話を擬態する共同動作対話ビデオゲーム方法であって、・・・動画的な画像を発生し、・・・択一的言語表現を操作者に対して表示し、・・・指示を操作者から受け、・・・声で発生し、・・・音声に応答して動作を実行する・・・、共同動作の対話ビデオゲーム方法。」(【特許請求の範囲】、【請求項1】)、
「本発明は、ゲームをする人である1以上の操作者と、テレビジョン・スクリーンすなわちビデオ・スクリーン上の1以上の対話アニメ・キャラクターとの間で音声対話を擬態する共同動作の対話ビデオゲーム方法に関する。」(段落【0001】)、
「各操作者は、複数の押しボタンを備えかつ2以上の可変の語句すなわち文を表示する軽量の制御器を有する。操作者は、選択された文すなわち語句の隣りのボタンを押すことにより、キャラクターの言うことに対して応答する。」(段落【0002】)、
「2人用ゲームにおいては一方の操作者に対して表示されたメニューが他方の操作者用のメニューと異なってもよいことから、手持ち式・・・制御器はメニューをビデオ・スクリーンに表示することが好ましい。楽しみの一部は、他の操作者が何を選択しているかを知らない操作者がいることである。また、ビデオ・スクリーン上のメニューは、操作者が真のキャラクターと話しているという幻覚を中断する。従って、・・・、メニュー毎の押しボタンまたは同等物を有する手持ち式メニュー表示制御器を利用する。」(段落【0004】)、
「押しボタン、回転ノブ、圧力感知部材、接近感知パッド、スクリーン・オーバーレイ、ライト・ペン、光感知器、ジョイ・スティック、マウス、トラック・ボール、移動可能のカーソルまたは十字線、強調された選択部を経るスクロール、話言葉等、各種入力装置を手持ち式制御器に適用してもよい。」(段落【0005】)、
「図1を参照するに、・・・画像シーケンス21,25,28をテレビ・スクリーンすなわちビデオ・スクリーン11上に発生する。・・・人間である操作者12は、・・・、液晶表示器22上の対応するメニュー事項の隣りに配置された3つの押しボタン14を備える携帯式すなわち手持ち式の制御器31(図2に完全に示す)を持っている。2以上の・・・択一的語句は、表示器22に表示されており、また3つの押しボタン14の一つとそれぞれ関係付けられている。」(段落【0006】)、
「操作者12が押すべきボタンを決定する間、・・・同じ場面を示し続ける。」(段落【0007】)、
「アニメ・キャラクターは、・・・、動作および音声を一以上の操作者により直接的に・・・制御されつつ、・・・動作に関して話す。・・・話される言葉を、・・・第2のメニュー(図示せず)中から操作者が選択するようにしてもよい。」(段落【0009】)、
「シーケンス28の後、ビデオゲーム・システムは、操作者がキャラクターの動作と音声とを・・・直接的・・・に制御する他の動画シーケンスを次々に発生する。」(段落【0010】)、
「図5を参照するに、・・・。1以上の操作者は、・・・対話キャラクターに、・・・文等を言うことにより、話し合いに参加する。表示器22に示された択一的語句は、語句20に対して保留された課題に対し提案すべき解決法である。操作者10が・・・押しボタン14を圧下すると、一方のキャラクターは、・・・、他方のキャラクターに・・・応答し、他方のキャラクターは操作者に対し質問24を有音でする。質問24は、また、表示器22上の択一的動作26によってなされる。操作者12が・・・ボタン14を圧下すると、キャラクターは・・・語句27を有音で述べる。従って、擬態された言葉の対話は、同じ場面の中でいくつかの言葉を変更することにより継続することができる。」(段落【0018】)
「バルーン43におけるキャラクターの言葉は、キャラクター38が言うべき択一的語句の第2のメニュー(図示せず)から操作者が選択してもよいし、表示器22の・・・選択された語句を基に・・・自動的に選択するようにしてもよい。」(段落【0022】)、
「制御器31における操作者による選択は、キャラクターが言うことと実行する動作とに影響を与える。」(段落【0023】)、
「アニメ・キャラクターは、動作と音声とを1以上の操作者により直接的にまたは間接的に制御されつつ、・・・対話する。キャラクター17による言葉は、キャラクター17用の他の択一的語句(図示せず)から操作者が選択するようにしてもよい。」(段落【0027】)、
「複数のボタン14の1つを押すことは、・・・表示器22に表示された言語応答に対応する新たな対話シーケンスを選択することになる。」(段落【0029】)、
「各キャラクターは、アニメ映画、デジタル化された活動的な動作、アナログ化された活動的な動作、スプリット等とすることができ、また操作者が制御してもよいし、しなくてもよい。」(段落【0031】)、
「本発明に関し、独特の実施例について説明したが、本発明は種々の形に変更することができる。」(段落【0034】)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、

「ビデオ・スクリーンに対応する手持ち式の制御器31であって、メニューを表示する液晶表示器22画面と、前記液晶表示器22画面隣りに配置された操作者の接触圧を検知する圧力感知部材等の入力装置と、前記液晶表示器22に表示する画面を第2のメニューに切り換える切換手段とを有する手持ち式の制御器31。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-192479号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、
「(1)少なくとも一個のディスプレイ装置と、プレイヤによって操作される少なくとも一個の制御スイッチを含む操作部と、・・・演算回路とを具備するゲーム機に於て、その操作部が、ディスプレイ装置のスクリーン・・・を覆うよう設けられた少なくとも一個の入力検知素子により構成された・・・ゲーム機。」(特許請求の範囲)、
「(6)入力検知素子が、その機能を示す表示と共に設けられる」(特許請求の範囲)、
「本発明は・・・、操作部をディスプレイ装置と一体に形成する・・・ゲーム機を提供する」(第2頁右欄上段第10〜13行)、
「入力検知素子としては、・・・各種の受動素子、例えば・・・接触検知素子の他、・・・等が利用でき、・・・出力信号の代りに用いられる。」(第2頁右欄上段第20行〜同頁左欄下段第5行)、
「操作部は、その全部または一部が、上記ディスプレイ装置に表示された画像の一部、・・・と有機的に結合するよう、そのスクリーン上に配設され、プレイヤによって操作されるものである。プレイヤは自分の手、・・・等の公知の入力手段を用いて操作部にアクセスする。」(第2頁左欄下段第14行〜同頁右欄下段第3行)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例2には、
「ディスプレイ装置と操作部と演算回路とを具備するゲーム機に於て、前記ディスプレイ装置のスクリーンへのプレイヤの手の接触を検知する接触検知素子」を設けた技術的事項が開示されていると認めることができる。

3.対比
そこで、本件請求項3に係る発明と引用例1発明とを対比すると、引用例1発明の「ビデオ・スクリーン」、「対応する」、「手持ち式の制御器31」、「メニュー」、「液晶表示器22」および「液晶表示器22」は、それぞれ順に、本件請求項3に係る発明における「電子装置」、「接続可能な」、「コントローラ」、「所定の画像」、「ディスプレイ」および「ディスプレイ装置」に相当し、また、引用例1発明の「操作者の接触圧を検知する圧力感知部材等の入力装置」と本件請求項3に係る発明の「操作者の接触を検知するタッチセンサ」とは、「操作者の入力行為を検知する入力装置」で一致する。したがって、両者は、
「電子装置に接続可能なコントローラであって、所定の画像を表示するディスプレイ画面と、前記コントローラ上への操作者の入力行為を検知する入力装置と、前記ディスプレイ装置に表示する画面を切り換える切換手段とを有することを特徴とするコントローラ。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、コントローラ上への操作者の入力行為を検知する入力装置において、本件請求項3に係る発明は、ディスプレイ画面への操作者の接触を検知するタッチセンサであるのに対し、引用例1発明は、液晶表示器22画面隣りに配置された操作者の接触圧を検知する圧力感知部材等の入力装置であり、入力装置が液晶表示器22の画面外にあり、また、圧力感知部材等にタッチセンサが想定されているのか明らかでない。
相違点2、ディスプレイ装置画面において、本件請求項3に係る発明は、ディスプレイ装置に表示する画面を切り換える切換スイッチを有するのに対し、引用例1発明は、そのような構成になっていない。

4.判断
上記相違点について検討する。
相違点1について、ゲーム機において、ディスプレイ装置のスクリーンへのプレイヤの手の接触を検知する接触検知素子が、引用例2のように本件出願前に周知であり(他に一例として、特開平6-285259号公報参照。)、前記引用例1発明の液晶表示器22画面隣りへの操作者の接触圧を検知する圧力感知部材等の入力装置に代えて、本件請求項3に係る発明のように、ディスプレイ画面への操作者の接触を検知するタッチセンサとして、前記相違点1に係る構成を採用することは当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、引用例1発明は、液晶表示器に表示する画面を第2のメニュー画面に切り換える際に、手持ち式の制御器上に液晶表示器の切換用ボタンを有していない。しかし、液晶表示パネルに表示する画面を切り換えるセレクトスイッチを遠隔操作用コントローラ上に設けることが従来周知であり(例えば、実願平2-114889号(実開平4-70955号)のマイクロフィルム、特開昭60-119977号公報参照。)、前記引用例1発明の液晶表示器に第2のメニュー画面を表示するのに、上記周知の事項を適用して、本件請求項3に係る発明のように、ディスプレイ装置に表示する画面を切り換える切換スイッチを有するコントローラとすることは、当業者が格別の発明力を要することなく必要に応じて容易に想到し得たものである。

そして、本件請求項3に係る発明が上記構成を採ることによりもたらされる効果は、引用例1発明および引用例2に記載された事項および周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって格別のものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項3に係る発明は、引用例1発明および引用例2に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-15 
結審通知日 2005-02-22 
審決日 2005-03-10 
出願番号 特願平8-189250
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 林 晴男
鉄 豊郎
発明の名称 コントローラ  
代理人 北野 好人  

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