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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1116068
審判番号 不服2003-610  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-09 
確定日 2005-05-06 
事件の表示 平成 8年特許願第183569号「画面表示方法及びインターネット受信機内蔵テレビジョン受像機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月27日出願公開、特開平10- 27087〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成8年7月12日の出願であって、平成14年12月6日付で拒絶査定がなされ、これに対して平成15年1月9日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年2月3日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年2月3日付手続補正(以下「本件補正」という。)について
{補正却下の決定の結論}平成15年2月3日付の手続補正を却下する。
{理由}
本件補正により、少なくとも特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。
「インターネットの情報を受信して画面上に表示し、かつ、画面上の各制御機能に対応する複数のボタンを横方向に並べて配置して構成されるツールバーを表示する画面表示方法であって、前記ツールバーの任意のボタンを遠隔制御により選択するステップと、前記選択されたボタンを拡大表示するステップと、前記選択されたボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示されたボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップとからなることを特徴とする画面表示方法。」
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「任意のボタンを選択するステップ」を「任意のボタンを遠隔制御により選択するステップ」と限定し、「ボタンを画面下部方向に拡大表示がなされる」を「ボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされる」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物「特開平2-235095号公報」(以下「引用刊行物1」という。)には「アイコン表示方法」の発明に関して、図面とともに以下の記載がある。
「{産業上の利用分野}
本発明は、アイコン表示方法、特に複数のアイコンの中から1つを選択するに好適なアイコン表示方法に関する。
{従来の技術}
アイコンとは、メニューの構成体であり、文字列・絵などからなる操作指令そのものである。かかるアイコンの従来の表示例を第4図に示す。
・・・
アイコン20〜24の中のいずれか1つを選択(指定)した場合、例えばアイコン21を選択した場合、「頭部」のアイコン内容であり、頭部に対するある種の操作処理を指定したことになる。」(第1頁左下欄下から第7行-右下欄第11行)

「ステップ8では、アイコンの選択を行う。即ち、マウスのボタンが押された時に計算機はそのマーカ位置の属するアイコン40aが選択されたと認識する。即ち、HEAD(n0)を選択する。そして、ステップ9に移り、この選択アイコン40aに対応する処理をする。この対応処理とは、アイコンの内容によって定まり、第2図の例に従えば、「腹部」に関する処理であり、例えば「腹部」の画像に表示させる処理である。」(第3頁左上欄下から第7行-右上欄第3行)

「第3図は、マーカを移動させた例を示す。第3図(b)は第2図対応図であり、マーカ20は腹部アイコン23を指示する。これに対して、マーカを移動させてアイコン22を指示したとする。このマーカ20Aは、「足部」のアイコンであり、これにより、第3図(b)では「腹部」のみがそのまま拡大されていたのに対し、第3図(a)では「足部」がそのまま拡大された表示となる。逆に第3図(b)の「腹部」は、「腹」のみの表示となる。
この第3図から、マーカを移動させることによって、そのマーカの位置の属するアイコンのみが次々に本来のアイコン全体表示となる。」(第3頁左下欄下から第7行-右下欄第5行)

「{発明の効果}
本発明によれば、1行に数多くのアイコンを表示できると共に、マーカの指示するアイコンのみが拡大表示でき、アイコン選択がしやすくなるとの効果を持つ。」(第4頁左上欄下から第7-3行)

(2)対比
本願補正発明と引用刊行物1に記載された発明を対比すると、
引用刊行物1の{従来技術}には「アイコンとは、メニューの構成体であり、文字列・絵などからなる操作指令そのものである。」と記載され、複数の「アイコン」を横方向に並べて配置することが記載されており、各「アイコン」は、例えば、「腹部」、「頭部」に関する一定の処理を実行させるものであって、例えば、「腹部」の画像表示に対応するものであるから、引用文献1に記載された「アイコン」は、画面上の各制御機能に対応するものであることは明らかである。従って、引用刊行物1の各「アイコン21〜24」及びこの「アイコン」を横方向に並べて配置されたアイコン全体は、それぞれ、本願補正発明の「ボタン」及び「ツールバー」に相当する。
また、引用刊行物1において、「マーカ20」が所望の「アイコン」を指すと、当該指されたアイコンが拡大された表示となるから、引用刊行物1における「マーカがアイコンの指すこと」は本願補正発明の「ツールバーの任意のボタンを選択するステップ」に相当する。

したがって、両者は
「画面上の各制御機能に対応する複数のボタンを横方向に並べて配置して構成されるツールバーを表示する画面表示方法であって、前記ツールバーの任意のボタンを選択するステップと、前記選択されたボタンを拡大表示するステップと、からなる画面表示方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
引用刊行物1には「インターネットの情報を受信して画面上に表示」することについて記載がない点。

相違点2
引用刊行物1には、ツールバーの任意のボタンの選択を「遠隔制御」により行うことについて記載されていない点。

相違点3
引用刊行物1には、「選択されたボタンを拡大表示するステップ」については記載されているが、「前記選択されたボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示されたボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップ」については記載されていない点。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。

相違点1について
インターネットの情報を受信して画面上に表示することは、パーソナルコンピュータ、あるいは、テレビジョンにおいて周知技術(テレビジョンにおけるインターネットの受信、表示に関しては、例えば、「JAVAmagazine,第1号、第120,121頁「インターネット・テレビ」」(1996年6月1日、株式会社工学社)、「電子情報通信学会技術研究報告、信学技報、第96巻第70号、第1〜6頁「インターネット家電がもたらす情報ネットワーク革命」」(1996年5月23日、社団法人電子情報通信学会,))であって、格別のことではない。

相違点2について
画面表示されたボタンの選択をマウス(無線マウス)等で遠隔制御により行うことは周知であって、格別のことではない。

相違点3について
はじめに、本願補正発明には、「前記選択されたボタンを拡大表示するステップ」と、「前記選択されたボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示されたボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップ」との2つのステップが存在しているが、両ステップの何れにもボタンが拡大表示されることが含まれており、両ステップ相互の関係が不明瞭なものとなっている。そこで、両ステップの関係について、本願の発明の詳細な説明、及び図面の記載を参照すると、本願の発明の詳細な説明の記載には、図6を参酌して、「カーソルをボタンへ移動すると(S2)、ボタンは拡大表示されると共にそのボタンの機能を表示する(S3)。例えば、13又は16のボタンにカーソルが移動したときは、図3Gに示すように画面下方向にボタンを拡大して表示し、更に、その機能を文字で表示する。」(段落【0024】)との記載があり、更に、この後、「カーソルが移動せず、その機能を働かす場合は、マウス等の操作部(エアマウス又はリモコン)(図示しない)でクリック(選択して)する(S5)。すると、そのボタンは図3Hのように凹部形状になり(色を変えても良い)(S6)、その機能が働くことになる(S7)。」(段落【0025】)との記載がある。
これらの記載によれば、本願補正発明の上記両ステップにおけるボタンの拡大表示とは図6のS3の「ボタンの拡大表示」を意味し、図6Gに示されるようにボタンを「画面下部方向とその横方向に拡大表示」することを意味している。従って、両ステップにおけるボタンの拡大表示は同一のものでああるから、両ステップは同一のステップについて記載したものであると認められる。
また上記ステップ中に記載された「選択されたボタンの機能を働かせる時」とは当該ステップ(S3)に続いて、「選択されたボタンの機能を働かせる」こと(S7)を記載したものであると認められる。そして、この点、引用刊行物1にもアイコンを拡大表示するステップに続いて、選択されたアイコンの機能を働かせることが記載されており、本願補正発明と異なるところはない。
(なお、上記両ステップの関係については、本願の出願当初の明細書、図面の記載をみても同様である。従って、仮に両ステップが別個のステップであると解釈すると、本願補正発明は新規事項を含むこととなる。)

以上のことから、相違点3は実質的には、引用刊行物1には、「選択されたボタンを拡大表示するステップ」が「ボタンを画面下部方向とその横方向に拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップ」であることが記載されていない点であるということができるので、この点について以下、検討する。
ボタンの表示態様、ボタンの拡大態様をどのようにするかは設計的事項であるが、ボタンの拡大表示に関して、プルダウンメニュー等に広く採用されているようにボタン等の表示枠を画面の下部方向とその横方向に拡大表示する周知技術(例えば、特開平5-216611号公報(図3)参照)を適用して、ボタンを画面下部方向とその横方向に拡大する態様を採用することは当業者が適宜になし得ることである。また、引用刊行物1(第3図)にもボタンの拡大表示がなされると共に、ボタンの処理内容(例えば、「頭部」と表示することにより頭部に対する操作処理の指定であることを示している。)を示す文字を表示する(拡大表示前にも一文字のみ表示がなされているが)ことが記載されており、引用刊行物1にも実質的にボタンの機能を示す文字を表示することが記載されているといえる。
したがって、引用刊行物1に記載された発明において「選択されたボタンを拡大表示するステップ」を「その拡大表示されたボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップ」とすることは当業者が周知技術に基づいて容易に想到し得ることである。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用刊行物1及び周知技術から予測できる程度のものである。
したがって、本願補正発明(請求項1に係る発明)は、引用刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本件補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年2月3日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年12月26日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「インターネットの情報を受信して画面上に表示し、かつ、画面上の各制御機能に対応する複数のボタンを横方向に並べて配置して構成されるツールバーを表示する画面表示方法であって、前記ツールバーの任意のボタンを選択するステップと、前記選択されたボタンを拡大表示するステップと、前記選択されたボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示されたボタンを画面下部方向に拡大表示がなされると共にそのボタンの機能を示す文字も表示するステップとからなることを特徴とする画面表示方法。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1及びその記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の限定事項である「任意のボタンを遠隔制御により選択するステップ」及び「ボタンを画面下部方向とその横方向にに拡大表示がなされる」について、当該限定がなされる前の「任意のボタンを選択するステップ」及び「ボタンを画面下部方向に拡大表示がなされる」なる発明を特定する事項を有するものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用刊行物1及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-08 
結審通知日 2005-03-08 
審決日 2005-03-22 
出願番号 特願平8-183569
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 大野 克人
治田 義孝
発明の名称 画面表示方法及びインターネット受信機内蔵テレビジョン受像機  
代理人 芝野 正雅  

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