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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1116076
審判番号 不服2003-5641  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-02-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-03 
確定日 2005-05-06 
事件の表示 平成 5年特許願第186318号「撮影装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 2月14日出願公開、特開平 7- 44683〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年7月28日の出願であって、平成14年7月5日付け手続補正、同年10月25日付け手続補正、平成15年1月31日付け手続補正及び同年5月6日付け手続補正は、それぞれ平成16年12月3日付けで却下されているから、本願の請求項1に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】被写体の光画像を光電変換により画像信号に変換する撮影手段と、
該撮影手段で得られた画像信号を少なくとも2画面分以上記憶可能な記憶手段と、
撮影開始のトリガー信号に基づいて前記撮影手段で得られた1画面分の画像信号を所定時間毎に前記記憶手段に記録させる記録制御手段と、
前記記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された複数枚の画像の中から指定した画像の画像信号を出力させる画像選択出力手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする撮影装置。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-172368号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「2.電子スチルカメラにおいて、複数枚の画像を一時記憶する画像メモリと、シヤツタ-スタンバイ状態を検出してシヤツタ-スピ-ド及び露出を設定する手段と、シヤツタ-が操作された際に上記設定シヤツタ-スピ-ド及び露出により撮影すると共に、上記シヤツタ-スピ-ド及び露出を変化させて複数枚の撮影を行なう撮影制御手段と、この手段により撮影された画像を上記画像メモリに順次記憶する記憶手段と、上記画像メモリに記憶された画像を読出してモニタ表示する表示手段と、上記モニタ表示された画像の中から選択指定された画像を記録する画像記録媒体とを具備したことを特徴とする電子スチルカメラ。」(1頁左欄4〜17行)
イ 「上記A/D変換回路21は、信号処理回路17から送られてくる輝度信号Y及び色差信号R-Y、B-Yをそれぞれデジタルデ-タに変換し、画像メモリ例えば半導体メモリ22へ出力する。この半導体メモリ22は、複数枚の画像例えば9枚の画像を記憶できる容量を有している。」(2頁左下欄20行〜同右下欄6行)
ウ 「以下、補正撮影モ-トが指定された場合の動作について第2図のフロ-チヤ-トを参照して説明する。制御回路24は、補正撮影モ-ドが指定されると、シヤツタ-制御回路14及びメモリ制御回路23に補正撮影モ-ド信号を出力すると共に、スイツチSW1、SW2、SW3をオフし、更に表示制御回路18に信号ラインaを選択するように指示する。この状態で撮影者がシャッター釦15を指で軽く押すと(ステツプA1)、タツチ信号が信号ライン16aを介してシヤツタ-制御回路14へ送られる。シャッター制御回路14は、タツチ信号が送られてくると、スタンバイモ-ドとなり、オ-トフォーカス機構、EE機構によりピント、露出を決定すると共にシヤツタ-12を1/60秒毎に動作させる(ステツプA2)。これにより被写体の像がレンズ11及びシャッター12を介して撮像素子13の面に投影され、撮像素子13から投影像に応じた輝度信号Y及び色差信号R-Y、B-Yが出力され、信号ラインaを介して表示制御回路18へ送られる。
表示制御回路18は、信号ラインaにより送られてくる信号を制御回路24の指示に従つて選択し、モニタ34に表示する。このモニタ表示により撮影者は、被写体の状態を確認することができ、シヤツタ-操作が可能となる。そして、撮影者がシヤツタ-釦15を押すと(ステツプA3)、ON信号が信号ライン16bを介してシヤツタ-制御回路14へ送られる。シャッター制御回路14は、ON信号が与えられると、そのON信号をメモリ制御回路23及び制御回路24に出力すると共に、第3図に示すように先ず、上記シヤツタ-タツチ時に設定したシヤツタ-スピ-ド及び露出により撮影し、次いでシヤツタ-スピード及び露出をそれぞれ上記設定値を中心として前後に変化させて複数枚の撮影を行なう(ステツプA4)。上記第3図は、撮影時のシヤツタ-スピードと露出との関係を示したもので、シャッタースピ-ドを「設定スピ-ド」、「-1スピ-ド」、「+1スピ-ド」の3段階に変化させると共に、上記各シヤツタ-スピ-ドにおいて露出を「設定露出」、「-1段階」、「+1段階」に変化させている。上記のようにシヤツタ-スピ-ド及び露出を変化させることにより、撮影条件の異なる9枚の写真が撮影される。
また一方、制御回路24は、上記の撮影処理が行なわれている間、スイッチSW2をオン状態に保持する。従つて、上記の撮影処理により信号処理回路17から出力される輝度信号Y及び色差信号R-Y、B-Yは、スイツチSW2を介してA/D変換回路21に入力され、デジタルデ-タに変換される。そして、このA/D変換回路21から出力される9枚の画像デ-タは、メモリ制御回路23の制御に従つて半導体メモリ22に順次書込まれる。
上記半導体メモリ22への画像デ-タの書込みを終了すると、制御回路24はスイツチSW2をオフすると共に、メモリ制御回路23に対して半導体メモリ22に記憶した画像デ-タの読出しを指示し、更に表示制御回路18に信号ラインbを選択するように指示する。上記メモリ制御回路23は、制御回路24の指示により半導体メモリ22から先頭アドレスの画像、つまり、基準のシヤツタ-スピ-ド及び露出で撮影した画像を読出し、信号ラインbを介して表示制御回路18へ出力し、モニタ34に表示する。この状態でキ-入力部35のフオワ-ドキーを操作することにより、半導体メモリ22に記憶されている撮影画像がメモリ制御回路23の制御により順次読出され、表示制御回路18を介してモニタ34に表示される。撮影者は、上記モニタ34に表示される画像、つまり、半導体メモリ22に記憶された9枚の撮影画像の中から、フオワ-ドキ-あるいはバツクキ-の操作により最良の画像を選択し、その画像がモニタ34に表示されている状態で記録キ-を操作する。この記録キ-が操作されると、制御回路24はスイツチSW3を一定時間オンし、半導体メモリ22からD/A変換回路25を介して読出される画像を変調回路19に出力する。この変調回路19は、D/A変換回路25から送られてくる画像信号を変調して記録回路26へ出力し、記録ヘツド27aによりフロツピ-デイスク28に記録する。以上のようにして補正撮影モ-ドによる撮影が行なわれるが、この補正撮影モ-ドにおいては、1回のシャッター操作で複数枚の撮影が行なわれるので、三脚を使用しての撮影が好ましい。」(3頁左下欄4行〜4頁左下欄7行)
エ 「[発明の効果]
以上詳記したように本発明によれば、1回シャッターを押すと、撮影条件を変えて複数枚の写真撮影が行なわれて画像メモリに記憶されるので、この画像メモリの記憶画像をモニタにより確認して最良の画像を選択して記録媒体に記録することができる。」(5頁左上欄3〜9行)
これら記載事項及び第1図によると、引用刊行物には、「電子スチルカメラにおいて、複数枚の画像を一時記憶する画像メモリと、シャッタースタンバイ状態を検出してシャッタースピード及び露出を設定する手段と、シャッターが操作された際に上記設定シャッタースピード及び露出により撮影すると共に、上記シャッタースピード及び露出を変化させて複数枚の撮影を行なう撮影制御手段と、この手段により撮影された画像を上記画像メモリに順次記憶する記憶手段と、上記画像メモリに記憶された画像を読出してモニタ表示する表示手段と、上記モニタ表示された画像の中から選択指定された画像を記録する画像記録媒体とを具備したことを特徴とする電子スチルカメラ。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「画像メモリ」、「表示手段」は、本願発明の「記憶手段」、「表示手段」に相当し、引用発明は「被写体の像がレンズ11及びシャッター12を介して撮像素子13の面に投影され」(2.ウ参照。)るものであり、この撮像素子は本願発明の「撮影手段」に相当し、また、引用発明において「シャッターが操作される」際に、具体的には「撮影者がシヤツタ-釦15を押すと(ステツプA3)、ON信号が信号ライン16bを介してシヤツタ-制御回路14へ送られる。シャッター制御回路14は、ON信号が与えられると、そのON信号をメモリ制御回路23及び制御回路24に出力すると共に、第3図に示すように先ず、上記シヤツタ-タツチ時に設定したシヤツタ-スピ-ド及び露出により撮影し、次いでシヤツタ-スピード及び露出をそれぞれ上記設定値を中心として前後に変化させて複数枚の撮影を行なう(ステツプA4)」(2.ウ参照。)ものであるから、この「ON信号」は本願発明の「撮影開始のトリガー信号」に相当し、引用発明の「撮影制御手段」及び「記憶手段」は、「シャッターが操作された際に複数枚の撮影を行って撮影された画像を画像メモリに順次記憶する」ものであるから、下記の相違点を除いて本願発明の「記録制御手段」に相当する。なお、引用発明はシャッタースピード及び露出を変化させて複数枚の撮影を行うものであるが、本願発明はシャッタースピードや露出等の撮影条件について何らの限定もないのであるから、これらを変化させて撮影することが排除されるものではない。また、引用発明は「モニタ表示された画像の中から選択指定された画像を記録する画像記録媒体」を備えるものであるから、画像記録媒体に出力するための出力手段を備えることは明らかであって、これは本願発明の「画像選択出力手段」に相当する。
してみると両者は、
「被写体の光画像を光電変換により画像信号に変換する撮影手段と、
該撮影手段で得られた画像信号を少なくとも2画面分以上記憶可能な記憶手段と、
撮影開始のトリガー信号に基づいて前記撮影手段で得られた1画面分の画像信号を前記記憶手段に記録させる記録制御手段と、
前記記憶手段に記憶された画像を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶された複数枚の画像の中から指定した画像の画像信号を出力させる画像選択出力手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする撮影装置。」
である点で一致しているが、下記の点で相違する。

(相違点)本願発明では、撮影手段で得られた1画面分の画像信号を所定時間毎に記憶手段に記録させるのに対し、引用発明では、撮影された画像を記憶手段に順次記憶させるものであり、「所定時間毎に」記憶させることは明示されていない点。

4.当審の判断
そこで、上記(相違点)について検討すると、引用発明において画像を順次記憶させる際に、その記憶させる時間間隔をわざわざ異ならしめる必要は見あたらないのであって、むしろ所定時間毎に記憶するように設計する方が自然である。また、引用発明の実施例では、スタンバイモ-ドにおいては、「オ-トフォーカス機構、EE機構によりピント、露出を決定すると共にシヤツタ-12を1/60秒毎に動作させる(ステツプA2)。これにより被写体の像がレンズ11及びシャッター12を介して撮像素子13の面に投影され、撮像素子13から投影像に応じた輝度信号Y及び色差信号R-Y、B-Yが出力され、信号ラインaを介して表示制御回路18へ送られる。」(2.ウ参照。)とあるから、撮影手段は1/60秒毎に1画面分の画像信号を出力しているのであり、これをシャッター釦が押された後にも適用して所定時間毎に記憶手段に記録させるように設計することは当業者が容易になし得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-23 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-15 
出願番号 特願平5-186318
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊知地 和之  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
深沢 正志
発明の名称 撮影装置  

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