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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1116091
審判番号 不服2002-21500  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-06 
確定日 2005-05-06 
事件の表示 平成 9年特許願第 19989号「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月 7日出願公開、特開平10-210567〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年1月16日の出願であって、平成14年10月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月5日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年12月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年12月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)新規事項の追加の有無について
平成14年12月5日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)の内容は、特許請求の範囲の請求項1、2の記載を、
「【請求項1】遠隔操作装置を用いて運転を操作する空気調和機において、文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を空気調和機本体に具備し、空気調和機を運転するのに必要な情報を空気調和機が非運転中においては前記表示部に消灯した儘で絵記号、数字、文字のいずれかにより表示し、空気調和機が運転中には前記表示部に点灯させて絵記号、数字、文字のいずれかにより空気調和機の運転中の情報を表示し、空気調和機の運転異常時には前記表示部に絵記号、数字、文字のいずれかにより異常情報を表示すると共に、前記異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を点滅させるようにしたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】空気調和機の運転異常時に表示される複数の異常情報がある場合、絵記号、数字、文字のいずれかによる複数の異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を同時に点滅するかまたは交互に点滅することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。」
と補正するとともに、段落【0005】、【0007】、【0008】の記載を、
「【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、遠隔操作装置を用いて運転を操作する空気調和機において、文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を空気調和機本体に具備し、空気調和機を運転するのに必要な情報を空気調和機が非運転中においては前記表示部に消灯した儘で絵記号、数字、文字のいずれかにより表示し、空気調和機が運転中には前記表示部に点灯させて絵記号、数字、文字のいずれかにより空気調和機の運転中の情報を表示し、空気調和機の運転異常時には前記表示部に絵記号、数字、文字のいずれかにより異常情報を表示すると共に、前記異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を点滅させるようにした。」、
「【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、遠隔操作装置を用いて運転を操作する空気調和機において、文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を空気調和機本体に配設したものである。そして空気調和機を運転するのに必要な情報を空気調和機が非運転中においては前記表示部に消灯した儘で絵記号、数字、文字のいずれかにより表示し、空気調和機が運転中には前記表示部に点灯させて絵記号、数字、文字のいずれかにより空気調和機の運転中の情報を表示し、空気調和機の運転異常時または前記表示部に絵記号、数字、文字のいずれかにより異常情報を表示すると共に、前記異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を点滅するようにしたものである。従ってこの構成によれば運転異常を含む様々な情報をドットマトリックス方式の文字や図形によって表示することができるので、運転異常情報それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を点滅させて、運転異常情報を使用者に強調して視覚に訴え、正常運転時にはLED表示によることなく前記表示部の表示に正常運転情報を表示部の点灯により表示してLED表示は全く省くことができ、遠隔操作装置側の表示部も省くことができる。」、
「【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において空気調和機の運転異常時に表示される複数の異常情報がある場合、絵記号、数字、文字のいずれかによる複数の異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を同時に点滅するかまたは交互に点滅する構成としたものである。従って、運転異常情報が複数ある場合においてもその複数の異常情報を強調して使用者に知らせることができ、異常情報が複数あってもLED表示を省くことができる。」
と補正することを含むものである。

上記補正内容のうち、まず、請求項1、段落【0005】、【0007】に新たに追加された「空気調和機を運転するのに必要な情報を空気調和機が非運転中においては表示部に消灯した儘で絵記号、数字、文字のいずれかにより表示」することについて検討する。
出願当初の明細書又は図面において、段落【0018】には、「実施例2」として、「図3は、空気調和機本体6の駆動電源が未投入で、空気調和機が非運転中において、空気調和機の運転に必要な情報を表示部8は示しているものとしたもので、空気調和機本体6の駆動電源が未投入時も表示部8を用いて図3に示すような、晴天,雨天,湿度など空気調和機の運転に必要な表示を使用者に提供する」と記載されているが、この記載からは、駆動電源が未投入の状態、すなわち空気調和機が非運転中の場合に、表示部8が空気調和機の運転に必要な情報を表示するということしか読み取れず、該表示が「表示部に消灯した儘で」行われるということは読み取れない。
また、段落【0019】には、「実施例3」として、「表示部8を空気調和機本体6の運転中のみ点灯させる」と記載されているが、この記載からは、今度は、空気調和機が非運転中の場合に、表示部8を消灯させることは読み取れるものの、表示部8を消灯状態の儘で「空気調和機を運転するのに必要な情報を表示させる」ということは読み取れない。
そして、「実施例2」と「実施例3」の一部の条件を組み合わせて「空気調和機を運転するのに必要な情報を空気調和機が非運転中においては表示部に消灯した儘で絵記号、数字、文字のいずれかにより表示」するように構成するなどということは、出願当初の明細書又は図面に記載も示唆もされていない事項である。

次に、上記補正内容のうち、請求項2、段落【0008】に新たに追加された「空気調和機の運転異常時に表示される複数の異常情報がある場合、絵記号、数字、文字のいずれかによる複数の異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を同時に点滅するかまたは交互に点滅する」ことについて検討する。
出願当初の明細書又は図面において、段落【0022】には、「実施例6」として、「表示部8を空気調和機の運転異常時に点滅させることにより、使用者に空気調和機の異常を報知することが可能となる」と記載されており、段落【0024】の「前記する各実施例によれば様々な情報を空気調和機の使用者に提供することが可能となる」との記載をも合わせて参酌すれば、複数の異常情報を表示することまでは読み取れるといえないこともないものの、「複数の異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を同時に点滅するかまたは交互に点滅する」ことまでは、到底読み取ることはできない。

したがって、本件手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとは認められず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)補正の目的の適否について
仮に、本件手続補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとした場合、補正の目的が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。

(請求項2について)
請求項2についての補正内容は、
「空気調和機本体が運転中であることを表示する特定の表示LED部を備えないで、文字や図形などによる多くの情報を表示するドットマトリックス方式の表示部にのみ空気調和機本体が運転中であることを表示するようにしたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。」(以下、「補正前の請求項2に係る発明」という。)を、
「空気調和機の運転異常時に表示される複数の異常情報がある場合、絵記号、数字、文字のいずれかによる複数の異常情報表示それ自体あるいは前記異常情報表示の背景を同時に点滅するかまたは交互に点滅することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。」(以下、「補正後の請求項2に係る発明」という。)
と補正するものであるが、補正後の請求項2に係る発明及び該補正後の請求項2に係る発明が引用する補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項2に係る発明にある「空気調和機本体が運転中であることを表示する特定の表示LED部を備えないで、文字や図形などによる多くの情報を表示するドットマトリックス方式の表示部にのみ空気調和機本体が運転中であることを表示するようにした」という要件を欠くものであり、補正後の請求項2に係る発明は、補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲の減縮をしたものとは認められず、特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合しない。
また、上記補正が、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、第4号の明りょうでない記載の釈明に該当するものとも認められない。

(3)むすび
上記(1)、(2)で検討したとおり、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項あるいは第4項に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成14年12月5日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年9月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「遠隔操作装置を用いて運転を操作する空気調和機において、文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を空気調和機本体に具備し、空気調和機の運転異常時に文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部に異常を示す絵記号・数字・文字のいずれかによる異常表示を表し、前記異常表示あるいは前記異常表示の背景を点滅させるようにしたことを特徴とする空気調和機。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭59-100911号公報(以下、「引用例1」という。)、特開平8-178389号公報(以下、「引用例2」という。)、及び特開平6-121315号公報(以下、「引用例3」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

[引用例1]
A.「第1図は従来の制御装置の操作パネル図であり、第1図において、1aは数字キー,1bはプログラム用キー,2はデジタル表示器,3は個別表示器である。第1図においてマイクロコンピュータを用いた安価な制御装置では、動作値をデータセットしたり、機能を変更したりするのに、プログラム用キー1bと数字キー1aによってセットし、セット値がデジタル表示器2に表示され、出力の有無、動作表示等が個別表示器3に表示されるのが一般的である。例えばエアコンでは、これらのデジタル表示器を用いて、設定温度を表示したり、室内の温度を表示したりすることが一般的である。この種の装置ではデータのセットや機能のセットに際して数値自体を取扱うことが多く、この数値を7セグメント表示器や5×7のドットマトリックス表示器等を用いて、英字(アルファベット),カタカナ,記号などの補助記号を併用して表示することが多い。」(第1頁左下欄第20行〜右下欄第17行、及び第1図参照)
B.「本発明は、・・・(中略)・・・より安価で、かつ、小形な表示装置を提供することを目的とするものである。この目的は本発明によれば、従来はデジタル表示器と個別表示器により別々に行なわれていた表示をマイコン制御により1つのデジタル表示器で、切り替えて表示する構成により達成される。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第6行)
C.「本発明の内容は第5図に表示例を示すように、デジタル表示器を用いて出力リレーの動作状態や、リレーの起動状態などの制御状態をモード切り換えにより複数の図形によって示し、図形は操作者に判りやすい形であれば第5図の表示例の他,何でも良い。例えば7-セグメントの表示器ではロという形でしか表わせないのが、5×7ドットマトリックスでは出力リレーの動作をより○に近い形で表現が可能であり、他のセット状態の表示を-からヘ形に近い形にすることも可能である。」(第4頁左下欄第2〜12行、及び第5図参照)

上記A〜Cの記載、及び第1,5図を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を具備するエアコン。」

[引用例2]
D.「空気調和機では、ワイヤレスリモートコントローラ(以下「リモコン」と言う)から発振された信号に基づいて設定された運転条件で室内の空気調和を行うようになっている。」(第2頁左欄第34〜37行)

[引用例3]
E.「【0030】プロセス状態監視制御手段22は、予め記憶手段21に記憶されている複数のグラフィック画像のうち、監視対象プロセス40の例えばポンプ,弁,貯水槽等の一連のグループに関係する設備機器41の情報を収集するとき、それに該当するグラフィック画像を読み出し(図3参照)、画面表示制御手段25を介してタッチ式表示装置31に表示する。
・・・(中略)・・・
【0032】一方、比較,参照の結果、異常と判断されたとき、タッチ式表示装置31に表示されている該当設備機器を点滅させ、或いは該当個所××××のプロセス情報を点滅または色替え表示し、或いはその他の方法で異常通報を行う。」(第5頁左欄第25行〜右欄第1行、及び図3参照)

上記Eの記載、及び図3を参照すると、引用例3には、次の事項が記載されているものと認められる。
「設備機器の異常をグラフィック画像の点滅により表示すること。」

(3)対比
本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明における「エアコン」は、本願発明における「空気調和機」に対応するから、本願発明と引用例1記載の発明とは、
「文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部を具備する空気調和機。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:本願発明は、「遠隔操作装置を用いて運転を操作する」ものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、「遠隔操作装置を用いて運転を操作する」ものであるとはされていない点。
相違点2:「文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部」を、本願発明においては、「空気調和機の運転異常時に異常を示す絵記号・数字・文字のいずれかによる異常表示を表し、前記異常表示あるいは前記異常表示の背景を点滅させる」ようなものとしているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようなものとはしていない点。

(4)判断
そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
遠隔操作装置を用いて空気調和機の運転を操作するようにすることは、例えば、上記引用例2に見られるように周知の技術にすぎず、引用例1記載の発明を「遠隔操作装置を用いて運転を操作する」ものとすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

[相違点2について]
一般に、設備機器の異常をグラフィック画像の点滅により表示することは、上記引用例3に見られるように周知の技術にすぎず、この技術を空気調和機の動作表示に対して適用し、引用例1記載の発明において、「文字や図形などによる多くの情報を表示することができるドットマトリックス方式の表示部」を、「空気調和機の運転異常時に異常を示す絵記号・数字・文字のいずれかによる異常表示を表し、前記異常表示を点滅させる」ようなものとすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。
なお、本願発明において、異常表示のさせ方は、「前記異常表示あるいは前記異常表示の背景を点滅させる」という択一式記載によるさせ方となっており、少なくとも、「前記異常表示を点滅させる」ことは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明及び引用例2,3に記載の周知の技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び引用例2,3に記載の周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-01 
結審通知日 2005-03-08 
審決日 2005-03-23 
出願番号 特願平9-19989
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04Q)
P 1 8・ 121- Z (H04Q)
P 1 8・ 561- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 衣鳩 文彦
長島 孝志
発明の名称 空気調和機  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  

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