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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) H01C
管理番号 1116723
審判番号 無効2004-35166  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-04-21 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-03-29 
確定日 2005-03-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3435419号発明「チップ抵抗器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3435419号の第1項及び第3項に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1.本件特許第3435419号は、昭和62年10月22日に出願された特願昭62-267839号の一部を、平成8年1月16日に新たな特許出願とした特願平8-4988号の一部を、平成10年11月2日に新たな特許出願とした特願平10-311886号の一部を、平成11年11月15日に更に新たな特許出願とした特願平11-324362号に係り、平成15年6月6日に発明の数:2として登録設定されたものである。
2.これに対して、平成16年3月29日に請求人平塚瞭子より、本件特許を無効とする、との審決を求める本件審判の請求がなされ、平成16年7月16日付けで被請求人(特許権者)北陸電気工業株式会社より、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める答弁書が提出され、請求人より平成16年9月6日付けで口頭陳述要領書が、平成16年9月17日付けで上申書が、それぞれ提出され、被請求人より平成16年9月21日に口頭陳述要領書及び上申書が提出され、平成16年10月5日に口頭審理が行われ、さらに、平成16年10月15日付けで無効理由通知がなされ、その後、被請求人より平成16年11月18日付けで意見書及び訂正請求書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成16年11月18日付けの訂正請求書において、被請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の「【請求項1】基板と、
前記基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、
前記基板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、
前記トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように形成されたレジンコートと、
前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、
前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。」を
「【請求項1】基板と、
前記基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、
前記基板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコートと、
前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、
前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。」と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の、「【請求項3】両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、
前記セラミック板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に複数の抵抗体をそれぞれ形成する工程と、
前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、
前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、
前記基板の端面上に前記第1の電極及び前記第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、
レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程と、
前記トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、
前記第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有するチップ抵抗器の製造方法。」を、
「【請求項3】両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、
前記セラミック板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、
前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、
前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、
前記基板の端面上に前記第1の電極及び前記第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、
レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、
前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有するチップ抵抗器の製造方法。」と訂正する。
(3)訂正事項3
特許明細書の、「【0009】
本発明のチップ抵抗器の製造方法は、両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、セラミック板の裏面に第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に複数の抵抗体をそれぞれ形成する工程と、抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、セラミック板をスリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、基板の端面上に第1の電極及び第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、レーザまたはサンドブラストにより、抵抗体及び保護コートにトリミング溝を形成する工程と、トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有している。」を、
「【0009】
本発明のチップ抵抗器の製造方法は、両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、セラミック板の裏面に第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、セラミック板をスリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、基板の端面上に第1の電極及び第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、レーザまたはサンドブラストにより、抵抗体及び保護コートにトリミング溝を形成する工程と、トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、第1電極、第2電極及び第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有している。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、「前記トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように形成されたレジンコート」を「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」と訂正することといえる。
訂正前における、「表面が平坦になるように形成されたレジンコート」は、レジンコートのどの部分の表面が平坦であるか明らかでなく、図2を参照しても、レジンコート全面が平坦とはいえず、レジンコートの表面が平坦であるとすれば、レジンコートはトリミング溝を充填した後のトリミング溝の表面であることは明らかであるから、平坦となる表面が「トリミング溝上の表面」であることを明確とすることは、明りょうでない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、「前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に複数の抵抗体をそれぞれ形成する工程」を「前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程」と訂正すること(訂正事項2-1)と、「前記トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程」を「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程」と訂正すること(訂正事項2-2)及び、「前記第3電極上にメッキ層を形成する工程」を「前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程」と訂正すること(訂正事項2-3)に区分できる。
まず、訂正事項2-1について検討する。
訂正事項2-1は、実質的に、「複数の抵抗体」を「抵抗体」と訂正するものであるところ、「所定の一対の第1電極」の間に形成されるのは、1つの抵抗体であって、「複数の」抵抗体ではなく、訂正事項2-1は、誤った記載を正しい記載とするためのものであるから、誤記の訂正に相当する。
次に、訂正事項2-2については、実質的に、訂正事項1に相当するから、訂正事項2-2についての訂正は、上記2.(1)訂正事項1で検討したとおり、明りょうでない記載の釈明に相当する。
さらに、訂正事項2-3は、「メッキ層」を形成する工程において、特許明細書を参照すると、メッキ層を、第3電極上のみでなく、第1電極及び第2電極上にも形成することは明らかであるところ、訂正前の請求項3においては、メッキ層を第3電極上のみに形成するとされており、誤っているとも、構成が明りょうでないとも認定できるから、訂正事項2-3は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明に相当するものといえる。
また、訂正事項2-1ないし訂正事項2-3は、いずれも、願書に添付した明細書又図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、「複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に複数の抵抗体をそれぞれ形成する工程」を「複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程」と訂正すること(訂正事項3-1)と、「第3電極上にメッキ層を形成する工程」を「第1電極、第2電極及び第3電極上にメッキ層を形成する工程」と訂正すること(訂正事項3-2)に区分できるものではあるが、訂正事項3-1及び訂正事項3-2は、それぞれ、訂正事項2-1及び訂正事項2-3に対応するとともに、第9段落がそもそも、特許請求の範囲請求項3に概ね対応する記載であって、請求項3の訂正に伴う訂正であるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。
また、訂正事項3-1及び訂正事項3-2は、いずれも、願書に添付した明細書又図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.訂正事項の適否のむすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号(以下、「平成6年法」という。)による改正前の特許法第134条第2項ただし書き、及び特許法第134条第5項において準用する平成6年法改正前の特許法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

本審決においては、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明及び特許請求の範囲の請求項3に記載された発明を、それぞれ、特許請求の範囲第1項に記載された発明及び特許請求の範囲第3項に記載された発明という。

第3 請求人の主張
主張1.本件特許の第3項に記載される特許発明は、発明の詳細な説明の欄に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されておらず、本件特許の第3項に記載される特許発明は、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものである。
主張2.本件特許の第1項に記載される特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の第1項に記載される特許発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、本件特許の第3項に記載される特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の第3項に記載される特許発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

甲第1号証 実願昭56-4597号(実開昭57-119501号)のマイクロフィルム)
甲第2号証 特開昭60-27104号公報
甲第3号証 米国特許第4,694,568号明細書
甲第4号証 PROCEEDINGS OF THE 1982 INTERNATIONAL MICROELECTRONICS CONFERENCE 「THICK FILM PASTES FOR SQUARE TYPE CHIP RESISTOR」(MAY 24-26,1982)
甲第5号証 特開昭57-184202号公報
甲第6号証 実願昭60-69632号(実開昭61-186209号)のマイクロフィルム

第4 被請求人の主張
主張1について
本件特許の第3項に記載される特許発明は、発明の詳細な説明の欄に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されておらず、本件特許の第3項に記載される特許発明は、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものであることを口頭審理において認めたが、平成16年11月18日付けの訂正請求書による訂正により訂正後の特許明細書は特許法第36条第4項の規定を満たすものとなった。
主張2について
本件特許の第1項に記載される特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許の第1項に記載される特許発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、また、本件特許の第3項に記載される特許発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許の第3項に記載される特許発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。

第5 無効理由通知の概要
平成16年10月15日付け無効理由通知の概要は以下のとおりである。
1.特許法第36条第3項、第4項(特許請求の範囲及び明細書の記載要件)違反について
(1)明細書の記載要件違反について
本件の特許明細書の明細書及び図面の記載が不備であるから、本件の第1項及び第3項に記載された発明の特許は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果は記載されておらず、特許法第36条第3項の規定に違反してなされたものである。

(2)特許請求の範囲の記載要件違反について
本件の第1項及び第3項に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないから、本件の第1項及び第3項に記載された発明の特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものである。

2.特許法第29条第2項(進歩性要件)違反について
本件の第1項及び第3項に記載された発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1ないし7に記載された発明から、当業者が容易に発明することができたものであるから、本件の第1項及び第3項に記載された発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。


刊行物1.実願昭56-4597号(実開昭57-119501号)のマイクロフィルム)(無効審判請求人平塚瞭子が提出した甲第1号証)
刊行物2.特開昭60-27104号公報(同第2号証)
刊行物3.米国特許第4,694,568号明細書(同第3号証)
刊行物4.PROCEEDINGS OF THE 1982 INTERNATIONAL MICROELECTRONICS CONFERENCE 「THICK FILM PASTES FOR SQUARE TYPE CHIP RESISTOR」(MAY 24-26,1982)(同第4号証)
刊行物5.特開昭57-184202号公報(同第5号証)
刊行物6.実願昭60-69632号(実開昭61-186209号)のマイクロフィルム(同第6号証)
刊行物7.特公昭58-46161号公報

第6 本件特許
本件特許発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の第1項及び第3項に記載された次のとおりのものと認める。
「基板と、
前記基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、
前記基板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコートと、
前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、
前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。」(以下、「本件特許発明1」という。)
「両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、
前記セラミック板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、
前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、
前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、
前記基板の端面上に前記第1の電極及び前記第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、
レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、
前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有するチップ抵抗器の製造方法。」(以下、「本件特許発明2」という。)

第7 当審の判断
請求人の主張1及び主張2について以下に検討する。

主張1(本件特許発明2は、発明の詳細な説明の欄に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されておらず、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものである。)について
無効審判請求人の主張する、記載不備については、上記訂正請求により訂正された結果、理由のないものとなった。

主張2(本件特許発明1及び2は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。)について

1.甲第1号証、甲第3号証、甲第5号証及び甲第6号証に記載された事項
(1)甲第1号証(実願昭56-4597号(実開昭57-119501号)のマイクロフィルム))には、第1図及び第2図とともに以下の事項が記載されている。
「・・・従来のチップ抵抗の構造は第1図,第2図に示すように、抵抗体支持基板1の上,下面,両端に内部電極2a〜2dを形成し、印刷抵抗体3を上記電極2c,2d間に架橋し、この抵抗体3上にそれを保護するための保護膜4を形成し、さらに基板1の両端に5a〜7a及び5b〜7bの3層電極で構成されたリート電極8を形成したものである。また上記各構成部分の材料は、基板1としてアルミナ,内部電極2a〜2dとして銀パラジウム,抵抗体3としてメタルグレーズ、保護膜4としてガラス,電極5a,5b、6a,6b、7a,7bとしてそれぞれ銀パラジウム,ニッケル,ハンダを用いている。そして、その組立てはまずアルミナ基板1上に、バインダーとしてガラスフリットを使用した銀パラジウム系導電ペーストで内部電極2a〜2dを印刷形成し約800℃の温度で焼成する。次に、抵抗体材料のメタルグレーズペーストをスクリーン印刷で塗布し約800℃の温度で焼成して抵抗体3を形成する。その上にガラスを塗布し、保護膜4を焼成する。最後に、基板1の端面に銀パラジウムを塗布焼成して電極4aを形成し、内部電極2a〜2dと端面電極4a,4b上に順次ニッケルメッキ,ハンダメッキをしてリード電極を形成する。」(第2頁第5行〜第3頁第9行)と記載されている。(なお、「電極4a」、及び「端面電極4a,4b」は、それぞれ、「電極5a」及び「端面電極5a,5b」の誤記と認める。)

よって、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「抵抗体支持基板と、
前記抵抗体支持基板上面及び下面に形成された内部電極2a〜2dと、
メタルグレーズペーストからなる抵抗体と、
前記抵抗体の上に塗布焼成したガラス保護層と、
前記抵抗体支持基板の側面及び内部電極まで形成された電極5a,5bと、
前記電極5a,5b及び内部電極2a〜2d上に順次形成されたニッケルメッキ6a,6b及びハンダメッキ7a,7bからなるリード電極8を備えたチップ抵抗。」

(2)甲第3号証(米国特許第4694568号明細書)には、以下の事項が記載されている。
「プリント基板上の他の部品とリード線なしの電気的接続を行うために、チップ抵抗器には薄い導電性金属バンド、すなわち、端部取巻端子が設けられ、その各々は金属パッドの一つに接触し、端部を覆って並び、また、ある場合にはチップの裏面にも延びている。これら端部取巻端子を介して、チップ抵抗は電気的に接続され、揺動半田付け、クランプ、或いは、場合によってはその双方によってプリント基板に取付けられる。
このようなチップ抵抗器は、当該技術分野においてよく知られており、1979年8月16日発行「エレクトニクス」第72〜73頁に記載されている。
チップ抵抗器の製造に当たって普通に用いられている方法では、一連の導電パッドの列およびそれらを接続する塗材の抵抗材料が、一般的にスクリーン印刷及び焼成によって、アルミナ基板の大きなシートの表面に被着される。次いで、保護ガラス被膜が設けられ、次いで、この薄い基板は、チップの大きな列体に分割される。
この分割されたチップの大きな列体は積み重ねられ、端部取巻端子がスクリーン法或いは浸漬法によって設けられ、この端部取巻端子が、815℃〜900℃の高温で焼成される。」(第1欄第16行〜第41行)
「2×21/2×0.025インチの大きさを持つ約96%純度のアルミナ基板上に、シルクスクリーン印刷法により銀パラジウムの導電性パッドを平行な列状に連続して形成する。各銀パラジウムパッドは、大きさが約0.025×0.040インチ、厚さが約12ミクロンである。その後、この基板を約850〜900℃で約15〜30分間、焼結して、パッドを基板にしっかりと密着させる。
次に、シルクスクリーン印刷法により、互いに隣り合って列を成すパッドの間に抵抗体ペーストを塗布する。この抵抗体ペーストは、ホウケイ酸鉛と酸化ルテニウムを含む成分からなり、互いに隣り合って列をなすパッドを電気的に接続するように塗布される。塗布の厚さは約9ミクロン、長さが約0.070インチ、幅が約0.040インチである。
塗布した抵抗体ペーストは、約750〜800℃で約15〜30分間、焼結して、基板にしっかりと密着させる。
その後、少なくとも各パッドの一部を露出させたまま抵抗体ペースト全体を覆うように、シルクスクリーン印刷法により、チップ抵抗が乗ったままの基板表面に、約625℃で軟化するガラスで保護ガラス被膜を形成する。そして、レーザートリミング技術を用いてチップ抵抗をレーザーでトリミングする。これにより、抵抗チップは、誤差±0.5%の約1000Ωの抵抗値に調整される。
さらにシルクスクリーン印刷法により、パッドの露出領域を除くチップ抵抗が乗った基板の全領域に、厚さ約9ミクロンの薄い保護エポキシ層を形成する。このエポキシ層を200℃で加熱して硬化させる。
CO2レーザーを用いたレーザースクライビング技術を使用して、各チップ抵抗間の基板表面に分割線を入れる。そして、列状のチップ抵抗に分けるための分割線に沿って基板を分断して、一列の細長いチップ抵抗とする。
そして、多数の細長いチップ抵抗各々の長手方向の端部と、少なくとも、その端部と隣り合う各金属パッドの一部を露出させ、抵抗体ペーストを塗布した部分は覆われるようにして、これらのチップ抵抗を陰極スパッタリング槽内の治具に配列する。
続いて、細長いチップ抵抗にニクロムターゲット、ニッケルターゲット、鉛スズターゲットによりスパッタリングを施す。このスパッタリングは、温度を約150℃に維持して約1時間行う。これにより、細長いチップ抵抗各々の一方の長手方向端部周囲を覆う、約1200オングストロームの厚さの第1のニクロム層と、約1000オングストロームの厚さの中間ニッケル層と、約3000オングストロームの厚さの鉛スズはんだの外層とからなる終端部が形成される。
この処理を細長いチップ抵抗の反対側の長手方向端部に対しても行う。
次に、残りの分割線に沿って細長いチップ抵抗を個別のチップ抵抗に分ける。
これにより、各々が誤差±0.5%、約0.062×0.125×0.025mmの大きさの1000Ωのチップ抵抗を約500個、製造できる。」(第3欄第57行〜第4欄第61行)

そして、「その後、少なくとも各パッドの一部を露出させたまま抵抗体ペースト全体を覆うように、シルクスクリーン印刷法により、チップ抵抗が乗ったままの基板表面に、約625℃で軟化するガラスで保護ガラス被膜を形成する。そして、レーザートリミング技術を用いてチップ抵抗をレーザーでトリミングする。これにより、抵抗チップは、誤差±0.5%の約1000Ωの抵抗値に調整される。」との記載より、チップ抵抗の表面を保護ガラス被膜を形成した後に、レーザートリミングによりチップ抵抗をトリミングするのであるから、チップ抵抗及び保護ガラス被膜の両方の被膜の一部をトリミングにより取り去ることは、当業者に明らかである。

よって、甲第3号証には、以下の発明(以下、「引用発明3-1」という。)が記載されている。
「アルミナ基板と、
アルミナ基板上にシルクスクリーン印刷法により形成された導電性パッドと、
互いに隣り合って列をなすパッドの間にホウケイ酸鉛と酸化ルテニウムを含む成分からな抵抗体ペーストを塗布し、焼成させたものと、
少なくとも各パッドの一部を露出させたまま抵抗体ペースト全体を覆うようにしシルクスクリーン印刷法により基板表面に形成された保護ガラス被膜と、
抵抗体ペーストと保護ガラス被膜に形成されたトリミングにより取り除かれた部分と、
チップ抵抗が乗った基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、シルクスクリーン印刷法により形成された保護エポキシ層と、
チップ抵抗の端部と各金属パッドの一部に順次形成された第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層とを備えたチップ抵抗。」

また、甲第3号証には、以下の発明(以下、「引用発明3-2」という。)も記載されている。
「アルミナ基板上にシルクスクリーン印刷法により銀パラジウムの導電性パッドを平行な列状に形成する工程と、
互いに隣り合って列をなす前記導電性パッドの間に抵抗体ペーストを塗布し、焼成させて抵抗体を形成する工程と、
少なくとも各パッドの一部を露出させたまま前記抵抗体(ペースト)全体を覆うようにシルクスクリーン印刷法により基板表面に保護ガラス被膜を形成する工程と、
前記保護ガラス被膜が形成された前記抵抗体をレーザートリミング技術でトリミングする工程と、
前記導電性パッドの露出領域を除くチップ抵抗が形成された前記基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、シルクスクリーン印刷法により保護エポキシ層を形成する工程と、
レーザスクライビングにより各チップ抵抗間の前記基板の表面に分割線を入れる工程と、
前記分割線に沿って前記基板を分断して、一列のチップ抵抗とする工程と、
前記一列のチップ抵抗の長手方向端部周囲と導電性パッドの一部覆う、第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層を形成する工程とを備えたチップ抵抗の製造方法。」

(3)甲第5号証(特開昭57-184202号公報)には、第3図とともに以下の事項が記載されている。
「第3図は本発明の一実施例を示すチップ抵抗器の断面図である。図中、第1図と同一符号を付してあるものは同一のものを示すが、同例ではチップ抵抗用基板5の表裏両面縁部分にAg/ρd系導電ペーストを印刷し、高温にて乾燥,焼成して抵抗体用電極6を焼付けてある。そして、正の温度係数をもつ抵抗体となる抵抗ペーストを基板5の片面Aに印刷,乾燥し、他の片面Bに負の温度係数をもつ抵抗体となる抵抗ペーストを印刷,乾燥して焼成し、正の温度係数をもつ抵抗体10と負の温度係数をもつ抵抗体11を形成してある。そしてこれらの抵抗体10,11の表面にオーバーコートガラス9を印刷し、乾燥し、焼成してある。
前記の如く、基板の表裏両面に形成した温度係数の異なる2つの抵抗体10,11は、その基板5の両側面に硬化形成した導電性の樹脂4,4’により電気的に接続してある。すなわち、基板5の表裏両面に形成した抵抗体10,11は導電性樹脂4,4’によつて接続され、1つの合成抵抗体としてある。
・・・チップ抵抗器の抵抗値をそれぞれの設定値にレーザトリミングやサンドブラストトリミングに調整して得るものである。」(第2頁右上欄第20行〜同頁右下欄第6行)
なお、「Ag/ρd系導電ペースト」は、「Ag/Pd系導電ペースト」の誤記である。

(4)甲第6号証(実願昭60-69632号(実開昭61-186209号)のマイクロフィルム)には、第1図ないし第3図とともに以下の事項が記載されている。
「実用新案登録請求の範囲
(1)周辺が方形に形成され且つその1角が切除された抵抗器用の基板であって、
両面に格子状のスリットを、それぞれ対応するように形成したことを特徴とする抵抗器用の基板。」(実用新案登録請求の範囲)
「図例の基板1は、略正方形状のセラミックからなり・・・。・・・該基板1の両面には、格子状のスリット13、14がそれぞれ対応するように設けられ・・・」(第3頁第11〜18行)
「次に、チップ抵抗器の製造手順を簡単に説明する。まず、上述した基板1のスリット13、14の各格子内に電極導体や抵抗膜を順次形成する。その後スリット13、14でブレイクさせることにより、スリット13と14との間に亀裂が生じてチップ抵抗器単位に基板1が分離される。」(第5頁第3〜8行)

2.対比・判断
本件特許発明1について、(1-1)甲第1号証を主たる引用文献とした場合、(1-2)甲第3号証を主たる引用文献とした場合、次に、本件特許発明2について、甲第3号証を主たる引用文献とした場合につき順次比較検討する。

(1)本件特許発明1について
(1-1)甲第1号証を主たる引用文献とした場合
甲第1号証に記載される発明(「引用発明1」)と、本件特許発明1とについて比較検討する。
(ア)引用発明1の「抵抗体支持基板」、「ガラス保護膜」及び、「チップ抵抗」は、それぞれ、本件特許発明1の、「基板」、「ガラスコートからなる保護コート」及び、「チップ抵抗器」に相当する。
(イ)引用発明1の「内部電極2c、内部電極2d」及び「内部電極2a、内部電極2b」は、それぞれ抵抗体支持基板の表面及び裏面に形成された内部電極であるから、「内部電極2c、内部電極2d」及び「内部電極2a、内部電極2b」は、それぞれ、本件特許発明1の「基板の表面」に形成された「一対の第1電極」及び「基板の裏面」に形成された「一対の第2電極」に相当する。
(ウ)引用発明の「電極5a,5b」は側面及び内部電極2a〜2dまで形成されており、一方、本件発明1の「第3電極」は、基板の端面上と第1電極及び第2電極に形成されているから、引用発明1の「電極5a,5b」は、本件特許発明1の「第3電極」に相当するとともに、引用発明1の、電極5a、5b及び内部電極2a〜2d上に順次形成されたニッケルメッキ6a,6b及びハンダメッキ7a,7bはそれぞれ、本件特許発明1の、第1電極、第2電極及び第3電極の上に形成された「メッキ層」に相当する。

よって、本件特許発明1と引用発明1とは、
「基板と、
前記基板の表面の両端に形成された一対の第1電極と、
前記基板の裏面に前記第1電極と対向するように形成された一対の第2電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に形成された第3電極と、
前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本件特許発明1は、「メタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極」と「メタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極」とを備えるのに対して、
引用発明1では、「内部電極2a〜2d」がどのような材料から形成されているか明確でない点。
相違点2
本件特許発明1は、「印刷形成された抵抗体」を備えるのに対して、
引用発明1は、「メタルグレーズペーストからなる抵抗体」を備えた点。
相違点3
本件特許発明1は、(イ)「前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝」及び、(ロ)「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」を備えているのに対して、
引用発明1では、上記(イ)、(ロ)を備えていない点。
相違点4
本件特許発明1は、「前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極」を備えているのに対して、
引用発明1は、「前記抵抗支持基板の側面及び内部電極まで形成された電極5a,5b」が、抵抗支持基板の表面及び裏面に形成された内部電極2a〜2dに跨るように形成されているか明確でない点。
相違点5について
本件特許発明1は、「前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層」を備えるのに対して、
引用発明1は、「前記電極5a,5b及び内部電極2a〜2d上に順次形成されたニッケルメッキ6a,6b及びハンダメッキ7a,7bからなるリード電極8」を備えた点。

以下、各相違点について順次検討する。
相違点1について
メタルグレーズ(ペースト)が耐熱性を有するとともにチップ部品の導電層(電極)として用いられることは従来周知であるから(例えば、特公昭58-46161号公報参照)、引用発明1の内部電極2a〜2dを、従来周知のメタルグレーズペーストを用いて形成することは、当業者が必要に応じて適宜なし得たものである。
相違点2について
引用発明における「メタルグレーズペースト」からなる導電層(抵抗体)は通常印刷により形成されること及び「メタルグレーズペースト」に含有する導電物質の割合によりその抵抗値を適宜変更することにより導電層にも抵抗体にもできることは、チップ抵抗器の技術分野において従来周知の技術的事項であるから、「メタルグレーズペーストからなる抵抗体」は、印刷により形成された「抵抗体」を意味するから、この点は実質的な相違点ではない。
相違点3について
(ア)甲第3号証には、チップ抵抗体において、アルミナ基板上に形成された抵抗体の上に保護ガラス被膜を形成した後にレーザトリミング技術により、保護ガラス被膜及び抵抗体をトリミングして抵抗値の調整をし、その後、スクリーン印刷法によりパッド(本件特許発明1の「第1電極」に相当)の露出領域を除くチップ抵抗が乗った基板の全領域に薄い保護エポキシ層を形成することが記載されており、
(イ)一方、本件特許発明1においても、出願当初の明細書又は図面には、図2を除いて何ら記載がなく、且つ、チップ抵抗器を構成する要素の厚さについて特許明細書に記載されているのは、抵抗体(酸化ルテニウム約10μm(第11段落))及び第3電極(20μm程度(第14段落))のみであるもかかわらず、本件特許発明1が、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」なる構成を備えるとする、即ち、本件特許発明1において、トリミング溝に保護コートのためのレジンコートを形成すると、「トリミング溝を充填し且つトリミング溝上の表面が平坦となる」のであるから、甲第3号証においても、抵抗体及び保護ガラス被膜に形成されたトリミングにより取り除かれた部分を含めてそれらの表面に保護エポキシ層を形成すると、結果として、前記トリミングにより取り除かれた部分は、保護エポキシ層によりある程度埋められたものとなることは当業者に明らかであり、
(ウ)さらに、保護エポキシ層の表面が平坦になるか否かについては、明確ではないところ、例えば、甲第2号証に、基板2上に形成した抵抗体8及びその上の第1のガラス層10に抵抗調整のための切欠き12を形成した後にさらに第2のガラス層を形成して表面を平坦にすることが記載されていることを参酌すると、甲第3号証に記載される保護エポキシ層を形成する場合においても、トリミングにより抵抗体及び保護ガラス被膜の取り除かれた部分の表面に保護エポキシ層が形成されるとともに、前記取り除かれた部分のかなりの部分は保護エポキシ層により満たされ、保護エポキシ層の表面をほぼ平坦または平坦なものとすることは当業者が特に困難性なくなし得たものであるから、
(エ)当業者が、甲第3号証に記載される技術的事項を、引用発明1に用いることにより、本件特許発明1の如く、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」を備えた構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点4について
引用発明1では、電極5a,5bは、内部電極2a〜2dの端面のみに形成されているように図示されているが、甲第1号証では塗布焼成により電極5a,5bを形成している(第3頁参照)とともに、電極5a,5bが「前記抵抗支持基板の側面及び内部電極まで形成され」ているのであるから、電極5a,5bは実質的に、抵抗支持基板の側面及び表面及び裏面に形成された内部電極に跨って形成されていることは明らかであり、仮に、抵抗支持基板の表面及び裏面に形成された電極に跨って形成したか否か明確でないとしても、甲第5号証には、チップ抵抗器の表面及び裏面に形成した電極6の両方に跨るように導電性樹脂からなる電極4,4’を形成することが記載されているので、引用発明1において、電極5a,5bを、チップ抵抗器の表面及び裏面に形成した内部電極2a〜dに跨って形成することは、当業者が容易になしえたものである。
相違点5について
本件特許発明1の「メッキ層」は、チップ抵抗器としては、外部電極即ち、リード電極としての機能を備えることは当業者に明らかであって、引用発明1の「リード電極」は、本件発明1の「メッキ層」に相当することは明らかであるから、この点は実質的な相違点ではない。

(1-2)甲第3号証を主たる引用文献とした場合
甲第3号証に記載される発明(「引用発明3-1」)と、本件特許発明1とについて、比較検討する。
(ア)引用発明3-1の「アルミナ基板」、「保護ガラス被膜」、「保護エポキシ層」及び、「チップ抵抗」は、それぞれ、
本件特許発明1の、「基板」、「ガラスコートからなる保護コート」、「レジンコート」及び、「チップ抵抗器」に相当する。
(イ)引用発明3-1の「導電性パッド」は、アルミナ基板に「互いに隣り合って列をな」すように印刷法により形成されているから、本件特許発明1の「一対の第1電極」に相当する。
(ウ)引用発明3-1の「抵抗体」は、互いに隣り合って列をなすパッドの間に抵抗体ペーストを塗布、焼成させたものであるから、引用発明3-1の「互いに隣り合って列をなすパッドの間に」形成した「抵抗体」は、本件特許発明1の「前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体」に相当する。
(エ)引用発明3-1及び本件特許発明1のいずれにおいても、抵抗値調整のためには、トリミングにより、抵抗体及び(引用発明3-1の)保護ガラス被膜又は(本件特許発明1の)ガラスからなる保護コートの一部を部分的に除去するのであるから、引用発明3-1の「トリミングにより取り除かれた部分」は、本件特許発明1の「トリミング溝」に相当する。
(オ)引用発明3-1においては、チップ抵抗の端部と各導電性パッドの一部に、第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層が順次形成されており、本件特許発明1においても、チップ抵抗の端部と各導電性パッドに相当する、基板の端面上と第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極及び、第1電極、第2電極及び第3電極の上に形成されたメッキ層が形成されているから、引用発明3-1の、「第1のニクロム層」と、「中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層」は、それぞれ、本件特許発明1の「第3電極」及び、「メッキ層」に相当する。

したがって、本件特許発明1と引用発明3-1とは、
「基板と、
前記基板の表面の両端に形成された一対の第1電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、
前記トリミング溝に形成されたレジンコートと、
前記基板の端面上と前記第1電極に形成された第3電極と、
前記第1電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本件特許発明1は、「前記基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、前記基板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と」
を備えるのに対して、
引用発明3-1では、本件特許発明1の一対の第1電極に相当する「アルミナ基板上にシルクスクリーン印刷法により銀パラジウムにより形成された導電性パッド」を備えているが、「第2電極」に対応する構成を備えていない点。
相違点2
本件特許発明1は、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」を備えているのに対して、
引用発明3-1では、「チップ抵抗が乗った基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、シルクスクリーン印刷法により形成された保護エポキシ層」を備えた点。
相違点3
本件特許発明1は、「前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層」を備えるのに対して、
引用発明3-1は、「チップ抵抗の端部と各金属パッドの一部に順次形成された第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層」を備えているが、「第1のニクロム層」がチップ抵抗の端部で、アルミナ基板の表面及び裏面に跨るように形成されているか、また、「中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層」がアルミナ基板の表面及び裏面に亘って形成されているか明確でない点。

以下相違点について検討する。
相違点1について
メタルグレーズ(ペースト)が耐熱性を有するとともにチップ部品の導電層(電極)として用いられることは従来周知であり(例えば、無効理由通知で刊行物7として引用した特公昭58-46161号公報参照)、また、電極を基板の裏面にも形成することは甲第1号証にも記載されているから、甲第3号証において、導電性パッドとして、従来周知のメタルグレーズペーストを用いるとともに、基板の裏面にも導電性パッド等の電極を形成することは当業者が特に困難性なくなしえたものである。
相違点2について
(ア)本件特許発明1において、出願当初の明細書又は図面には、図2を除いて何ら記載がなく、且つ、チップ抵抗器を構成する要素の厚さについて特許明細書に記載されているのは、抵抗体(酸化ルテニウム約10μm(第11段落))及び第3電極(20μm程度(第14段落))のみであるにもかかわらず、本件特許発明1が、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコート」なる構成を備えるとする、即ち、本件特許発明1において、トリミング溝に保護コートのためのレジンコートを形成すると、「トリミング溝を充填し且つトリミング溝上の表面が平坦となる」としているところ、
(イ)引用発明3-1においては、甲第3号証に記載されるように、「チップ抵抗が乗った基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、シルクスクリーン印刷法により形成された保護エポキシ層」を形成したとき、結果として、保護エポキシ層により、トリミングにより取り除かれた部分がある程度埋められることは当業者に明らかであり、
(ウ)さらに、保護エポキシ層の表面が平坦になるか否かについては明らかではないものの、例えば、甲第2号証には、基板2上に形成した抵抗体8及びその上の第1のガラス層10に抵抗値の調整のための切欠き12を形成した後にさらに第2のガラス層を形成して表面を平坦にすることが記載されていることを参酌すると、甲第3号証に記載される保護エポキシ層を形成する場合においても、トリミングにより抵抗体及び保護ガラス被膜の取り除かれた部分の表面に保護エポキシ層が形成されるとともに、前記取り除かれた部分のかなりの部分は保護エポキシ層により満たされるから、保護エポキシ層の表面をほぼ平坦または平坦とすることは当業者が特に困難性なくなし得たものであるから、
(エ)引用発明3-1において、甲第2号証に記載される如きチップ抵抗における保護層の表面を平坦にする周知の技術的事項を参酌すると、引用発明3-1の「保護エポキシ層」の表面を、本件特許発明1の如く、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成」した構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
相違点3について
甲第1号証及び前記特公昭58-46161号公報に記載された技術的事項を参照することにより、当業者が容易になしえたものである。(「(1)本件特許発明1について (1-1)甲第1号証を主たる引用文献とした場合」の相違点4及び相違点5についての検討参照)

(2)本件特許発明2について
本件特許発明2と、甲第3号証を主たる引用文献として、比較検討する。
甲第3号証に記載された「チップ抵抗の製造方法」についての発明(「引用発明3-2」)と第3項に記載される発明(「本件特許発明2」)とを比較検討する。
(ア)引用発明3-2の「アルミナ基板」、「保護ガラス被膜」、「保護エポキシ層」、「チップ抵抗」はそれぞれ、
本件特許発明2の「セラミック板」、「ガラスコートからなる保護コート」、「レジンコート」、「チップ抵抗器」に相当する。
(イ)引用発明3-2の「導電性パッド」は、結果として、アルミナ基板に「互いに隣り合って列をな」すように印刷法により形成されているから、本件特許発明2の「複数の第1電極」に相当し、結局、引用発明3-2の「アルミナ基板上にシルクスクリーン印刷法により」「導電性パッドを平行な列状に形成する工程」は、本件特許発明2の「セラミック板の表面」に「複数の第1電極を形成する工程」に相当する。
(ウ)引用発明3-2の「互いに隣り合って列をなす前記導電性パッドの間に抵抗体ペーストを塗布し、焼成させて抵抗体を形成する工程」は、本件特許発明2の「前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程」に相当する。
(エ)引用発明3-2の「前記抵抗体全体を覆うように」「基板表面に保護ガラス被覆を形成する工程」は、本件特許発明2の「前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程」に相当する。
(オ)引用発明3-2において、「前記保護ガラス被膜が形成された前記抵抗体をレーザートリミング技術でトリミングする工程」において、トリミングされるのは、抵抗体及び保護ガラス被膜であることは明らかであるから、引用発明3-2の「前記保護ガラス被膜が形成された前記抵抗体をレーザートリミング技術でトリミングする工程」は、本件特許発明2の「レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程」に相当する。
(カ)引用発明3-2の「トリミングにより取り除かれた部分」が本件特許発明2の「トリミング溝」に相当することは当業者に明らかであるから、引用発明3-2の「前記導電性パッドの露出領域を除くチップ抵抗が形成された前記基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、保護エポキシ層を形成する工程」は、本件特許発明2の「前記トリミング溝」と「前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程」に相当する。
(キ)引用発明3-2の「レーザスクライビングにより」「前記基板の表面に分割線を入れる工程」は、本件特許発明2の「両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板」を用意する工程に相当する。
(ク)引用発明3-2において、基板を分断した後に形成される「一列のチップ抵抗」が基板を分割したものであることは当業者に明らかであるから、引用発明3-2の「前記分割線に沿って前記基板を分断して、一列のチップ抵抗とする工程」は、本件特許発明2の「前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程」に相当する。
(ケ)引用発明3-2においては、細長いチップ抵抗の長手方向端部と各導電性パッドの一部に、第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層が順次形成され、一方、本件特許発明2においても、引用発明3-2のチップ抵抗の端部と各導電性パッドに相当する、基板の端面上と第1電極及び第2電極に跨って形成された第3電極及び、第1電極、第2電極及び第3電極の上に形成されたメッキ層が形成されているから、引用発明3-2の、「第1のニクロム層」と、「中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層」は、それぞれ、本件特許発明2の「第3電極」及び、「メッキ層」に相当しており、結局、引用発明3-2の「前記一列のチップ抵抗の長手方向端部周囲と導電性パッドの一部覆う、第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層を形成する工程」は、本件特許発明2の「前記基板の端面上」と「前記第1の電極」に「第3電極を形成する工程」と「前記第1電極」及び「前記第3電極上にメッキ層を形成する工程」に相当する。
したがって、本件特許発明2と引用発明3-2とは、
「両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面に複数の第1電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、
前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、
前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、
前記基板の端面上と前記第1の電極に第3電極を形成する工程と、
レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程と、
前記トリミング溝と前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、
前記第1電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有するチップ抵抗器の製造方法。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本件特許発明2は、「セラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2の「アルミナ基板上にシルクスクリーン印刷法により銀パラジウムの導電性パッドを平行な列状に形成する工程」を備える点。
相違点2
本件特許発明2は、「前記セラミック板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程」を備えているのに対して、
引用発明3-2は、上記工程を備えていない点。
相違点3
本件特許発明2は、「前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2は、「互いに隣り合って列をなす前記導電性パッドの間に抵抗体ペーストを塗布し、焼成させて抵抗体を形成する工程」を備えた点。
相違点4
本件特許発明2は、「前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2は、「少なくとも各パッドの一部を露出させたまま前記抵抗体全体を覆うようにシルクスクリーン印刷法により基板表面に保護ガラス被膜を形成する工程」を備えた点。
相違点5
本件特許発明2が、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2が、「前記導電性パッドの露出領域を除くチップ抵抗が形成された前記基板の全領域で前記トリミングにより取り除かれた部分に、シルクスクリーン印刷法により保護エポキシ層を形成する工程」を備えた点。
相違点6
本件特許発明2の「両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2が「レーザスクライビングにより各チップ抵抗間の前記基板の表面に分割線を入れる工程」を備える点。
相違点7
本件特許発明2は、「前記基板の端面上に前記第1の電極及び前記第2電極に跨るように第3電極を形成する工程」と「前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程」を備えるのに対して、
引用発明3-2が「前記一列のチップ抵抗の長手方向端部周囲と導電性パッドの一部覆う、第1のニクロム層、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層を形成する工程」とを備えた点。

以下相違点について検討する。
相違点1について
メタルグレーズ(ペースト)が耐熱性を有するとともにチップ部品の導電層(電極)として用いられることは従来周知であるから(例えば、特公昭58-46161号公報参照)、引用発明3-2において、銀パラジウムに代えて本件特許発明2の「第1電極」に相当する導電性パッドを形成するための材料として従来周知のメタルグレーズペーストを用いることは当業者が適宜なし得たものである。
相違点2について
チップ抵抗器の製造工程において、電極を基板の裏面にも形成することは甲第1号証にも記載されているように従来周知の技術的事項であるから、引用発明3-2において、電極として機能する導電性パッドを基板の裏面にも形成することは、当業者が容易になし得たものであるとともに、導電性パッドの材料として、従来周知のメタルグレーズペーストを選択することは、当業者が適宜なし得たものである。
相違点3について
引用発明3-2においては、抵抗体を抵抗体ペーストを塗布・焼成させると、その形成工程について限定しているものの、抵抗体を形成していることについては、相違していないから、「前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程」を備える点については実質的に相違しない。
相違点4について
抵抗体が形成された基板表面に保護ガラス被膜を形成するときに、導電性パッドの一部を露出させたままにしないと、導電性パッドが後の工程で形成される電極と導電接続しないため、保護ガラス被膜形成時に、導電性パッドの一部を露出させたままとすることは、当業者に明らかであるから、「前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程」を備える
点については実質的に相違しない。
相違点5について
(ア)甲第3号証には、チップ抵抗体において、アルミナ基板上に形成された抵抗体の上に保護ガラス被膜を形成した後にレーザトリミング技術により、保護ガラス被膜及び抵抗体をトリミングして抵抗値の調整をし、その後、スクリーン印刷法により導電性パッド(本件特許発明2の「第1電極」に相当)の露出領域を除くチップ抵抗が乗った基板の全領域に薄い保護エポキシ層を形成することが記載されており、
(イ)一方、本件特許発明2において、出願当初の明細書又は図面には、図2を除いて何ら記載がなく、且つ、チップ抵抗器を構成する要素の厚さについて特許明細書に記載されているのは、抵抗体(酸化ルテニウム約10μm(第11段落))及び第3電極(20μm程度(第14段落))のみであるにもかかわらず、本件特許発明2が、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程」との構成を備えるとするのであるから、本件特許発明2において、トリミング溝に保護コートのためのレジンコートを形成すると、「トリミング溝は充填」され「且つ前記トリミング溝上の表面が平坦となる」とするのであって、
(ウ)甲第3号証においても、抵抗体及び保護ガラス被膜にトリミングしたものに保護エポキシ層を形成すると、結果として、保護エポキシ層により、トリミングにより取り除かれた部分はある程度埋められたものとなることは当業者に明らかであり、さらに、
(エ)保護エポキシ層の表面が平坦になるか否かについては、明確ではないが、例えば、甲第2号証に、基板2上に形成した抵抗体8及びその上の第1のガラス層10に抵抗値調整のための切欠き12を形成した後にさらに第2のガラス層を形成して表面を平坦にすることが記載されていることを参酌すると、甲第3号証に記載される保護エポキシ層を形成する場合においても、トリミングにより抵抗体及び保護ガラス被膜の取り除かれた部分の表面に保護エポキシ層が形成されるとともに、前記取り除かれた部分のかなりの部分は保護エポキシ層により満たされて、保護エポキシ層の表面をほぼ平坦または平坦とすることは当業者が特に困難性なくなし得たものであるから、
(オ)引用発明3-2において、甲第2号証に記載された技術的事項を参酌することにより、本件特許発明2の如く、「前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する」ことは、当業者が容易になし得たものである。
相違点6について
引用発明3-2の「分割線」は、本件特許発明2の「スリット」に対応することは当業者に明らかであるとともに、甲第6号証には、チップ抵抗器を形成する基板の両面に、格子状のスリット13,14をそれぞれ対応するように設け、その後、スリット13,14の各格子内に電極導体や抵抗膜を順次形成し、その後、スリット13,14でブレイク(切断)することが記載されているから(図1〜3、第3頁及び第5頁参照)、引用発明3-2のアルミナ基板を分割するための「分割線」を、チップ抵抗の導電性パッドを形成する前に、形成することは、当業者が、甲第6号証に記載される技術的事項を引用発明3-2に用いることにより、容易になし得たものと認める。
相違点7について
引用発明3-2においては、第1のニクロム層(本件特許発明2の「第3電極」に相当)がアルミナ基板の両端に跨るように形成することは明示的に記載されてはいないものの、第1のニクロム層を「チップ抵抗各々の一方の長手方向端部周囲を覆う」ように形成することが記載される(甲第3号証第4欄第37行〜第41行参照)とともに、甲第1号証では、電極5a,5bは、内部電極2a〜2dの端面のみに形成されているように図示されているが、塗布・焼成により電極5a,5bを形成しており(第3頁参照)、さらに、甲第5号証には、チップ抵抗器の表面及び裏面に形成した電極6の両方に跨るように導電性樹脂からなる電極4,4’が形成されているので、引用発明3-2において、「第1のニクロム層」を、チップ抵抗器の表面及び裏面に跨って形成することは、当業者が容易になしえたものである。
また、引用発明3-2において、「第1のニクロム層」に続いて、「中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層を形成する」工程においても、(a)引用発明3-2の、「第1のニクロム層」と「中間メッキ層及び鉛スズはんだ層」は、それぞれ、本件特許発明2の「第3電極」及び「メッキ層」に相当することは当業者に明らかであるとともに、(b)抵抗体の電極と基板側面に形成された導電層上に、チップ抵抗器の基板への導電接続及び固定のために更にメッキ層を形成することは、例えば甲第1号証、甲第4号証及び特公昭58-46161号公報に示されるように従来周知であるから、中間ニッケル層及び鉛スズはんだ層を「第1のニクロム層」及び導電性パッドに形成することは当業者が何ら困難性なくなし得たものである。
以上のとおり、各々の相違点に当業者が格別の発明力を要したものとは認められず、かつ、それらの相違点の組合せにより、付加的な効果が生じるものとも認められない。

第8 むすび
以上のとおり、本件特許発明1及び2は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件特許発明1及び2についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
チップ抵抗器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板と、
前記基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、
前記基板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と、
前記一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、
前記抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、
前記抵抗体及び前記保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように形成されたレジンコートと、
前記基板の端面上に前記第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、
前記第1電極,前記第2電極及び前記第3電極の上に形成されたメッキ層とからなるチップ抵抗器。
【請求項2】 前記抵抗体は、酸化ルテニウムを用いて形成され且つ約10μmの厚みを有しており、
前記第3電極は、レジン系の導電性ペーストを用いて形成されている請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項3】 両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、
前記セラミック板の裏面に前記第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、
前記抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、
前記セラミック板を前記スリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、
前記基板の端面上に前記第1の電極及び前記第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、
レーザまたはサンドブラストにより、前記抵抗体及び前記保護コートにトリミング溝を形成する工程と、
前記トリミング溝を充填し且つ前記トリミング溝上の表面が平坦になるように前記保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、
前記第1電極、前記第2電極及び前記第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有するチップ抵抗器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チップ抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チップ抵抗器の電極の構造は、ガラスをバインダに用いてAg-Pt等を成分とするいわゆるメタルグレーズペーストを塗布し焼成して形成したものである。
【0003】
従来のチップ抵抗器では、特公昭58-46161号公報に開示されているように、メタルグレーズによる電極を、熱硬化性樹脂中にAgを混入したAg-レジン系の導電性ペーストによって内包し加熱硬化させて電極を形成したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のチップ抵抗器の構造では、スクライブに失敗しやすく、スクライブされた端面が欠けたて、歩留まりが悪くなる問題があった。また基板の角部で導電性ペーストが切れたり、薄くなってしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消できるチップ抵抗器の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のチップ抵抗器は、基板と、基板の表面の両端にメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第1電極と、基板の裏面に第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて形成された一対の第2電極と、一対の第1電極間に印刷形成された抵抗体と、抵抗体の表面を覆うガラスコートからなる保護コートと、抵抗体及び保護コートに亘って形成されたトリミング溝と、トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように形成されたレジンコートと、基板の端面上に第1電極及び第2電極に跨るように形成された第3電極と、第1電極,第2電極及び第3電極の上に形成されたメッキ層とから構成される。
【0007】
本発明のように、両面にスリットが形成されたセラミック基板をスクライブして得た基板では、スクライブされた端面に欠け等の欠陥が入り難い。
【0008】
特に本発明では、抵抗体及び保護コートに亘って形成されたトリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるようにレジンコートを形成するので、チップ抵抗器を実装用回路基板に配置する吸着ノズルが平坦なレジンコート上にしっかりと吸着する。また第3電極をレジン系の導電性ペーストにより形成すると、スクライブにより形成された端面上に第3電極を形成しても、第3電極を形成するための導電性ペーストが切れたり薄くなったりすることがない。そして第3電極がレジン系の導電性ペーストにより形成されていても、第1電極及び第2電極が熱に強いメタルグレーズペーストを用いて形成されており、しかも第1乃至第3電極の上にはメッキ層が形成されているので、メッキ層が緩衝層となり半田の熱によって第3電極が剥がれるのを阻止することができる。その上熱に強い第1電極及び第2電極が存在するため、第3電極をレジン系の導電性ペーストを用いて形成しても、半田付け強度が低下するのを防止できる。
【0009】
本発明のチップ抵抗器の製造方法は、両面に対向する複数のスリットが形成されたセラミック板の表面にメタルグレーズペーストを用いて複数の第1電極を形成する工程と、セラミック板の裏面に第1電極と対向するようにメタルグレーズペーストを用いて複数の第2電極を形成する工程と、複数の第1電極の内の所定の一対の第1電極の間に抵抗体をそれぞれ形成する工程と、抵抗体の表面にガラスコートからなる保護コートを形成する工程と、セラミック板をスリットに沿ってスクライブして複数の基板に分割する工程と、基板の端面上に第1の電極及び第2電極に跨るように第3電極を形成する工程と、レーザまたはサンドブラストにより、抵抗体及び保護コートにトリミング溝を形成する工程と、トリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるように保護コートの表面にレジンコートを形成する工程と、第1電極、第2電極及び第3電極上にメッキ層を形成する工程とを有している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下この発明の一実施例について図面に基づいて説明する。
【0011】
この実施例のチップ抵抗器1は、図1に示すように、セラミックの基板2の表面に凸型の抵抗体3が印刷形成され、この両端に電極4が設けられている。抵抗体3は、酸化ルテニウム約10μmの厚みに設け、レーザー又はサンドブラストにより凸型の底辺から上方に向ってトリミング溝5を形成し、抵抗値のトリミングが成されている。
【0012】
このチップ抵抗器1の電極4は、抵抗体3が直接接続している第1電極6と、この第1電極6と基板2をはさんで対向して形成された第2電極7を有し、この第1、第2電極6,7は、Ag-Pd、Ag-Pt等のメタルグレーズペーストを印刷形成したものである。さらに、第1、第2電極6,7をはさんで基板の端面に、キシレン又はエポキシフェノール樹脂にAgを混入したAg-レジン系の導電性ペーストによる第3電極8が設けられ、この第3電極8は、第1、第2電極6,7を一部被覆するように設けられ、両者の導通を図っている。そして、この第1、第2、第3電極全体を覆ってNiメッキ9及びハンダメッキ10が施されている。
【0013】
また、抵抗体3の表面には、ガラスコート11及びレジンコート12を施して保護している。
【0014】
このチップ抵抗器の製造方法は、図3AないしFに示すように、先ず、基板となるセラミック板13のスリット14を挟んで所定間隔で第1電極6となるメタルグレーズペーストを複数列印刷して、900℃近い温度で焼成する。さらに同様にして第2電極7も第1電極6と対向する位置に形成する。次に、図3Bに示すように、第1電極6の間のセラミック板13上にマトリックス状に抵抗体3を印刷形成し、平均850℃の温度で焼成する。そして、図3Cに示すように、抵抗体3の表面にガラスコート11を施し平均650℃の温度で焼成する。この後、セラミック板13を各チップ抵抗器毎に縦横に設けられたスリット14に沿って切断(スクライブ)し、図3Dに示すように、基板2の端面にAg-レジン系の導電性ペーストの第3電極8を20μm程度の厚みに塗布し、200℃程度の温度で硬化させる。そして、図3E,Fに示すように、Niメッキ9、ハンダメッキ10を各々順次施し、第1,第2,第3電極6,7,8を被覆する。
【0015】
この場合、スリット14は基板の両側より設けられているため、セラミック基板端面に、樹脂を一部重畳する状態で塗布すると、電気的にも機械的にも良好な状態が得られる。
【0016】
この方法によるとセラミック基板端面において、端子電極が剥がれやスラック等の欠陥が生じなくなる。なお図1のように端子電極は側端部5面に形成することもできる。
【0017】
各チップ抵抗器の抵抗体3をトリミングして抵抗値を調整し、エポキシ樹脂等のレジンコート12を施し200℃付近の温度で硬化させる。
【0018】
なお図3においては、メッキ処理を施した後に、トリミングを行っているように図示してあるが、本発明の方法では、トリミングは、メッキ処理を行う前の図3Cの状態で行っている。そしてその後ガラスコート11の上に保護コートとしてレジンコート12を施して図3D以下の工程を行う。これによって、セラミック板13をチップ毎に分離しない状態で抵抗値のトリミングを行うので効率良くトリミング作業を行うことができる。しかもレジンコート12によってトリミング溝を覆っているので、後のメッキ作業時にも抵抗体に悪影響を与えることもない。
【0019】
この実施例のチップ抵抗器によれば、ハンダくわれに対して電極4の耐性が向上し、しかも、回路基板の曲げに対しても、メタルグレーズ系のみででき電極とを比べ柔軟性が高いので強い。また、ハンダ付けの際の回路基板に対する固着力も第1、第2電極6,7が回路基板に強固にハンダ付けされるので、極めて強く、第3電極をAg-レジン系にしたことによる固着力の低下は生じない。
【0020】
尚、この発明のチップの抵抗器の抵抗体は、金属皮膜抵抗体、炭素皮膜抵抗体等その用途に合わせて適宜選択し得るものである。またメタルグレーズペースト、Ag-レジン系導電性ペーストの成分は、適宜他の添加物が入っていても良い。
【0021】
このチップ抵抗器は、基板の両面に設けたメタルグレーズ系の第1、第2電極にまたがって基板の端面にAg-レジン系の第3電極を設け、この第1、第2、第3電極を覆うNiメッキ層及び該Niメッキ層を覆うハンダメッキ層を形成したので、ハンダくわれに強く、回路基板への付け直しが可能である。また基板の下面側の第2電極に一部重畳して第3電極を設けたので、基板の下面側の電極で段差が形成され、回路基板へハンダ付けした際、下面側電極と回路基板の間に生じる隙間にハンダが回り込んで強い固着力が得られる。しかも基板の端面に設けたAg-レジン系の第3電極が適度の柔軟性を有するので、回路基板の曲げに対しても十分に耐え得るものである。
【0022】
上記のチップ抵抗器の製造方法は、スクライブ後の基板側端部面にレジン含有銀塗料を表裏面の第1、第2電極上に一部重畳する状態で直接に塗布し低温で加熱処理して第3電極を形成するので、切断されたままの粗い基板断面に対し直接に接合し第3電極の接着力が強い。またハンダ付け用電極にメッキ処理する際、第3電極がメッキ液の浸透を効果的に防止し、電極に剥れやクラック等の欠陥を生ずることのない高品質の製品を製造し得る。またメッキ前にレジンコートをすればメッキ液に弱い抵抗体をレジンコートにより保護するので、抵抗体の特性も維持できる。
【0023】
従って、今日の実装密度の高度化の要求によりチップ抵抗器も小型化しているが、電極が小さくても十分な固着力が得られ、電気製品の小型軽量化、信頼性、耐久性及び生産性の向上に大きく寄与するものである。
【0024】
本発明のように、メッキ処理を施す前にガラスコートの上に保護コートを施すと、トリミング溝の内部にメッキ液が浸入することがなく、抵抗体の特性が変化したり、抵抗体の剥離が発生するのを防止できる利点がある。また保護コートとしてレジンコートを用いると、レジンコートはガラスコートと比べて焼成温度がかなり低いため、レジンコートを形成する際の熱でトリミングされた抵抗体の電気的特性が変化することが実質的にないという利点がある。
【0025】
【発明の効果】
本発明では、抵抗体及びガラスコートからなる保護コートに亘って形成されたトリミング溝を充填し且つ表面が平坦になるようにレジンコートを形成するので、チップ抵抗器を実装用回路基板に配置する吸着ノズルが平坦なレジンコート上にしっかりと吸着する。また、第3電極をレジン系の導電性ペーストを用いて形成すると、導電性ペーストが更に切れたり薄くなったりすることがなくなるという利点がある。そして第3電極がレジン系の導電性ペーストにより形成されていても、第1電極及び第2電極が熱に強いメタルグレーズペーストを用いて形成されており、しかも第1乃至第3電極の上にはメッキ層が形成されているので、メッキ層が緩衝層となり半田の熱によって第3電極が剥がれるのを阻止することができる。その上熱に強い第1電極及び第2電極が存在するため、第3電極をレジン系の導電性ペーストを用いて形成しても、半田付け強度が低下するのを防止できる。
【0026】
本発明の方法のように、両面にスリットが形成されたセラミック基板をスクライブして得た基板を用いると、スクライブされた端面に欠け等の欠陥が入り難く、その結果スクライブにより形成された端面上に第3電極を形成しても、第3電極を形成するための導電性ペーストが切れたり薄くなったりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明のチップ抵抗器の一実施例の平面図である。
【図2】
図1のA-A断面図である。
【図3】
(A),(B),(C),(D),(E),(F)は本発明のチップ抵抗器の一例の製造工程を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 チップ抵抗器
2 基板
3 抵抗体
4 電極
5 トリミング溝
6 第1電極
7 第2電極
8 第3電極
9 Niメッキ
10 ハンダメッキ
11 ガラスコート
12 レジンコート
13 セラミック板
14 スリット
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2005-01-07 
結審通知日 2005-01-12 
審決日 2005-01-25 
出願番号 特願平11-324362
審決分類 P 1 112・ 121- ZA (H01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 下野 和行北村 明弘酒井 朋広井上 信一  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 松本 邦夫
橋本 武
登録日 2003-06-06 
登録番号 特許第3435419号(P3435419)
発明の名称 チップ抵抗器  
代理人 西浦 嗣晴  
代理人 西浦 嗣晴  
代理人 越智 浩史  

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