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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 C07C |
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管理番号 | 1116746 |
審判番号 | 不服2002-61 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-04-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-01-04 |
確定日 | 2005-05-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第249688号「新規ケトン類」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 4月 4日出願公開、特開2000- 95718〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年9月3日(パリ条約による優先権主張 1998年9月4日 ヨーロッパ特許庁)の出願であって、拒絶理由に対して平成13年3月30日付けで意見書とともに手続補正書が提出され、平成13年9月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年1月4日に拒絶査定に対する審判請求が請求がされると共に、同年2月4日付けで明細書の手続補正がなされ、さらに、当審において平成16年7月26日付けで拒絶理由の通知がなされたが、これに対し、請求人からは何らの応答もない。 2.平成14年2月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年2月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正は特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づく補正であり、この補正により、特許請求の範囲は以下のように補正された。 「【請求項1】式I: [式中、Yは任意に置換されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミド、オキシイミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、シクロアルキルチオカルボニルであり、全てのアルキル基は直鎖又は分枝鎖であることができ、全てのアルキル及びシクロアルキル基は飽和又は不飽和であることができる; R1は水素、又は置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるC1-C6アルキル基であり; Aはアリール若しくはヘテロアリールであり、Aは水素;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;アシル;エステル;エステル化ヒドロキシ基;シアノ;ニトロ;置換されることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるアルキル基部分が飽和のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ及びアリールアルコキシ;置換されることができるアリール及びヘテロアリールから選択される1〜8個の置換基を有することができ; nは整数である] で示されるケトンであって、但し 2-エトキシ-1-フェニル-エタノン、ヒドロキシ酢酸2-オキソ-2-フェニル-エチルエステル、酢酸1-メチル-2-オキソ-2-フェニル-エチルエステル及びp-メトキシフェナシルアセテートではない上記ケトン。 【請求項2】R1が水素であり、Aが1個のメトキシ基によって置換される1個の芳香環である、請求項1に記載のケトン。 【請求項3】R1が水素であり、Aが1個のメトキシ基によってパラ位置において置換されるフェニル基若しくはナフチル基;又は で示される環系、又は両方の環が1個以上のメチル基によって置換されている上記環系である、請求項1に記載のケトン。 【請求項4】式I: [式中、 Yは任意に置換されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミド、オキシイミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、シクロアルキルチオカルボニルであり、全てのアルキル基は直鎖又は分枝鎖であることができ、全てのアルキル及びシクロアルキル基は飽和又は不飽和であることができる; R1は水素、又は置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるC1-C6アルキル基であり; Aはアリール若しくはヘテロアリールであり、Aは水素;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;アシル;エステル;エステル化ヒドロキシ基;シアノ;ニトロ;置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ及びアリールアルコキシ;置換されることができるアリール及びヘテロアリールから選択される1〜8個の置換基を有することができ、置換基の1つはポリマー基であることができ; nは整数である] で示されるケトンの、フレグランス及び/又は抗微生物剤の先駆体としての使用。 【請求項5】洗剤、布帛柔軟剤、パーソナルケア製品、クリーニング組成 物及び日焼け止め製品における請求項4記載の使用。」 この補正における請求項1は補正前の請求項1に、同請求項2は同請求項12に、同請求項4は同請求項18に、同請求項5は同請求項19に対応するものと認められる。そして、この補正における請求項3は化合物に関するものであり、基Aがa.1個のメトキシ基によってパラ位置において置換されるフェニル基若しくはナフチル基、b. で示される環系、又はc.両方の環が1個以上のメチル基によって置換されている上記環系であることを特定するものであって、同じく化合物に関する補正前の請求項13(基Aが1個のメトキシ基によってパラ位置において置換される1個の芳香環であることを特定)に同請求項14(基Aが で示される環系であり、両方の環が好ましくは1個以上のメチル基によって置換されることができることを特定)を加えたものに対応するものと認められるが、かかる補正は補正前に2の請求項において特定されていた事項を1の請求項において特定することを包含するものであるから、この補正は特許法第17条の2第4項各号で規定するところの、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもない。 (2)むすび したがって、この補正は特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成14年2月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜19に係る発明(以下、「本願発明1〜19」という。)は、平成13年3月30日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜19に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】式I: 【化1】 [式中、 Yは任意に置換されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミド、オキシイミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、シクロアルキルチオカルボニルであり、全てのアルキル基は直鎖又は分枝鎖であることができ、全てのアルキル及びシクロアルキル基は飽和又は不飽和であることができる; R1は水素、又は置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるC1-C6アルキル基であり; Aは発色団の芳香環若しくはヘテロ芳香環又は環系であり、Aは水素;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;アシル;エステル;エステル化ヒドロキシ基;シアノ;ニトロ;置換されることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるアルキル基部分が飽和のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ及びアリールアルコキシ;置換されることができるアリール及びヘテロアリールから選択される1〜8個の置換基を有することができ; nは整数である] で示されるケトンであって、但し 2-エトキシ-1-フェニル-エタノン、ヒドロキシ酢酸2-オキソ-2-フェニル-エチルエステル、酢酸1-メチル-2-オキソ-2-フェニル-エチルエステル及びp-メトキシフェナシルアセテートではない上記ケトン。 【請求項2】光による切断後に1つ以上の着臭性又は芳香性合物を生じる 、請求項1記載のケトン。 【請求項3】熱による切断後に1つ以上の着臭性又は芳香性化合物を生じ る、請求項1又は2に記載のケトン。 【請求項4】加水分解による切断後に1つ以上の着臭性又は芳香性化合物 を生じる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項5】酵素による切断後に1つ以上の着臭性又は芳香性化合物を生 じる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項6】切断後に2つ以上の着臭性又は芳香性化合物を生じる、請求 項1〜5のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項7】式II: 【化2】 で示される着臭性又は芳香性アリールケトンを生じる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項8】1つ以上の着臭性又は芳香性アルデヒド又はケトンY=Oを生じる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項9】R1が水素又はメチルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項10】R1が水素又はメチルであり、Aが3個以下の置換基を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項11】Aが置換基としてメチル基を有する請求項10記載のケトン。 【請求項12】R1が水素であり、Aが1個のメトキシ基によって置換される1個の芳香環である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項13】Aが1個のメトキシ基によってパラ位置において置換される1個の芳香環である請求項12記載のケトン。 【請求項14】Aが、 【化3】 で示される環系であり、両方の環が好ましくは1個以上のメチル基によって置換されることができる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項15】nが1又は2である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項16】Yが表わす基がアリール;シクロアルキル;シクロアルケニル;オキソ;オキシ;シアノ;アミノ;ヒドロキシ;カルボン酸、炭酸エステル(カーボネート)、N,N-置換カルバミン酸(カルバメート)又はオキシイミノ炭酸によってエステル化されているヒドロキシ;オキシイミノカルボニルによって置換されているアミノ;エステル化カルボキシル基;及びオキシムによってエステル化されているカルボキシル基から選択された1個以上の置換基によって置換される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のケトン。 【請求項17】 式I: 【化4】 [式中、 Yは任意に置換されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミド、オキシイミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、シクロアルキルチオカルボニルであり、全てのアルキル基は直鎖又は分枝鎖であることができ、全てのアルキル及びシクロアルキル基は飽和又は不飽和であることができる; R1は水素、又は置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるC1-C6アルキル基であり; Aは発色団の芳香環若しくはヘテロ芳香環又は環系であり、Aは水素;ヒドロキシ;メルカプト;アミノ;アシル;エステル;エステル化ヒドロキシ基;シアノ;ニトロ;置換されることも、飽和若しくは不飽和であることも、直鎖若しくは分枝鎖であることもできるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ及びアリールアルコキシ;置換されることができるアリール及びヘテロアリールから選択される1〜8個の置換基を有することができ、置換基の1つはポリマー基であること ができ; nは整数である] で示されるケトンの着臭性又は芳香性化合物の先駆体としての使用。 【請求項18】フレグランス及び/又は抗微生物剤の先駆体としての請求 項17記載の使用。 【請求項19】洗剤、布帛柔軟剤、パーソナルケア製品、クリーニング組 成物及び日焼け止め製品における請求項18記載の使用。」 (2)引用例の記載事項 平成16年7月26日付けの拒絶理由通知に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である下記刊行物1〜14には、以下の化合物が記載されている。 刊行物1:特開平6-321746号公報 1-(p-アセトキシフェニル)-2-アセトキシ-1-プロパノン(段落[0028]、実施例2の成分10) 刊行物2:特表平3-500643号公報 2-(全トランス-レチノイルオキシ)-4’-メトキシアセトフェノン(請求項3、実施例2) 刊行物3:特表平3-500767号公報 13-シス-レチノイルオキシメチルフェニルケトン(実施例4) 刊行物4:特開平5-163261号公報 2-アセトキシ-3’,4’-ジメトキシアセトフェノン(請求項6、段落[0025]) 刊行物5:特開平3-56441号公報 S-4’-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボン酸 4-(2-ペンタノイルオキシ-1-ケト-プロピル)フェニル(請求項1、実施例5) 刊行物6:特開昭55-157539号公報 p-メトキシフェナシルD-2-[p-(α、α、α-トリフルオロ-p-トリルオキシ)フェノキシ]プロピオネート(請求項1、14頁化合物K) 刊行物7:特開平2-25466号公報 2-(4-(3-クロロ-5-トリフルオロメチル-2-ピリジルオキシ)フェノキシ)プロピオン酸 2,5-ジメトキシフェニルカルボニルメチルエステル(請求項1、3頁、化合物番号7) 刊行物8:特開昭58-59947号公報 シクロヘキシルオキシメチル(4-ベンジルオキシフェニル)メタノン(請求項8、実施例3 1.) 刊行物9:特開昭59-184173号公報 2-シクロヘキシルグリコロイルフロログルシノール(3頁左上欄一番下の化学構造式、右下欄1〜2行) 刊行物10:特開昭51-39649号公報 PGE2フェナシルエステル(請求項1、実施例1) 刊行物11:英国特許第1180594号明細書 ω、4-ビス(クロロアセトキシ)-3-メトキシアセトフェノン(請求項1及び2、実施例1) 刊行物12:S.I. TORGOVA et al.,’Phenacyl esters A new class of liquid-crystalline compound’, LIQUID CRYSTRALS,1991, 10(6),p.881-6 アルキルで置換されたシクロヘキシル(又はフェニル)カルボン酸のp位がアルコキシ、シアノ等で置換されたフェナシルエステル(Table 1) 刊行物13:特開昭57-165370号公報 1-エトキシ-1-(4-メチルベンゾイル)ブタン(実施例5) 刊行物14:Iris Ben-David et al., ’tert-Butyl Hypofluorite-An Electrophilic tert-Butoxylation Agent’, J.Org.Chem., (1998),63(14),p.4632-5 5-t-ブトキシアセチルインダン、2-t-ブトキシアセトフェノン(化合物22,31) (3)対比・判断 本願発明1は請求項1に記載された式(I)で示される化合物の発明であるから、これを刊行物1に記載された上記化合物(以下、「刊行物1化合物」という。)と対比する。刊行物1化合物は置換基としてp-アセトキシフェニル、プロパノン部に存在するメチル、2-アセトキシ部のアセチルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがエステル化ヒドロキシ基で置換された発色団の芳香環、基R1がC1アルキル基、基Yがアルキルカルボニルである化合物に相当するから、刊行物1化合物は本願発明1の式(I)で示される化合物である。また、刊行物1化合物は請求項1において但し書きによって除かれた化合物でもない。したがって、本願発明1は刊行物1に記載された発明である。 以下、同様に、刊行物2〜14に記載された上記化合物(以下、「刊行物2〜14化合物」という。)について検討する。 刊行物2化合物は置換基として4’-メトキシフェニル、アセトフェノンのアセチルのメチレン部に存在する水素、全トランス-レチノイルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがアルコキシで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキル基が不飽和のアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物3化合物は置換基としてフェニル、メチル部に存在する水素、13-シス-レチノイルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキル基が不飽和のアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物4化合物は置換基として3’,4’-ジメトキシフェニル、アセトフェノンのアセチルのメチレン部に存在する水素、アセチルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが2個のアルコキシで置換基された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yがアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物5化合物は置換基として4’-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボン酸フェニル、プロピル部に存在するメチル、ペンタノイルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがエステル化ヒドロキシ基で置換された発色団の芳香環、基R1がC1アルキル基、基Yがアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物6化合物は置換基としてp-メトキシフェニル、フェナシルのメチレン部に存在する水素、2-[p-(α、α、α-トリフルオロ-p-トリルオキシ)フェノキシ]プロピオニルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがアルコキシで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物7化合物は置換基として2,5-ジメトキシフェニル、カルボニルメチルのメチル部に存在する水素、2-(4-(3-クロロ-5-トリフルオロメチル-2-ピリジルオキシ)フェノキシ)プロピオニルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが2個のアルコキシで置換基された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物8化合物は置換基としてベンジルオキシフェニル、シクロヘキシルオキシメチルのメチル部に存在する水素、シクロヘキシルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがアルキル基部分が置換されたアルコキシで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yがシクロアルキルである化合物に相当し、 刊行物9化合物は置換基としてフロログルシノール、グリコロイルのメチレン部に存在する水素、シクロヘキシルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが3個のヒドロキシで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yがシクロアルキルである化合物に相当し、 刊行物10化合物は置換基としてフェニル、フェナシルのメチレン部に存在する水素、PGE2のエステル形成部のカルボニル側の部分を有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物11化合物は置換基として4-クロロアセトキシ-3-メトキシフェニル、アセトフェノンのアセチル部に存在する水素、クロロアセチルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがエステル化ヒドロキシ基、アルコキシで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたアルキルカルボニルである化合物に相当し、 刊行物12化合物は置換基としてp-位がアルコキシ、シアノで置換されたフェニル、フェナシルのメチレン部に存在する水素、アルキルで置換されたシクロヘキシル(又はフェニル)カルボニルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがアルコキシ、シアノで置換された発色団の芳香環、基R1が水素、基Yが置換されたシクロアルキルカルボニル、置換されたアリールカルボニルである化合物に相当し、 刊行物13化合物は置換基として4-メチルフェニル、ブタン部に存在するプロピル、エチルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aがアルキルで置換された発色団の芳香環、基R1がC3アルキル基、基Yがアルキルである化合物に相当し、 刊行物14化合物は置換基としてインダン又はフェニル、アセチルのメチレン部に存在する水素、t-ブチルを有する化合物であるが、これはn=1である式(I)で示される化合物において基Aが発色団の芳香環又は環系、基R1が水素、基Yがアルキルである化合物に相当する。 したがって、刊行物2〜14化合物はいずれも本願発明1の式(I)に相当する化合物であり、請求項1において但し書きによって除かれた化合物でもないから、本願発明1は刊行物2〜14に記載された発明である。 以上のとおり、本願発明1は刊行物1〜14に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本願発明1は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、本願発明2〜19について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-12-09 |
結審通知日 | 2004-12-10 |
審決日 | 2004-12-22 |
出願番号 | 特願平11-249688 |
審決分類 |
P
1
8・
573-
Z
(C07C)
P 1 8・ 113- Z (C07C) P 1 8・ 574- Z (C07C) P 1 8・ 572- Z (C07C) P 1 8・ 571- Z (C07C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西川 和子、守安 智、松本 直子 |
特許庁審判長 |
板橋 一隆 |
特許庁審判官 |
冨永 保 唐木 以知良 |
発明の名称 | 新規ケトン類 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 長沼 暉夫 |
代理人 | 歌門 章二 |