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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1116795
審判番号 不服2004-12891  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-01 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-23 
確定日 2005-05-11 
事件の表示 平成 7年特許願第 83670号「画像記録装置およびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月 1日出願公開、特開平 8-289149〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年4月10日の出願であって、平成16年5月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成16年6月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成16年7月23日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年7月23日付けの手続補正についての却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年7月23日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の特許請求の範囲
本補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】複数の色成分毎の最大濃度の目標濃度に対応するパターンを有する第一のテストパターンと、前記複数の色成分毎の階調パターンを有する第二のテストパターンと、複数の色成分の組み合せによる複数色のパターンを有する第三のテストパターンとを選択的に記録媒体に形成するテストパターン形成手段と、
前記テストパターン形成手段により記録媒体に形成された第一、第二、第三のテストパターンを読み取る読取手段と、
前記テストパターン形成手段により前記第一のテストパターンを形成し、形成した第一のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第一のテストパターンの各色成分の最大濃度に基づいて前記目標濃度になるように画像記録条件を設定する第一の調整手段と、 前記第一の調整手段による調整の後、前記テストパターン形成手段により前記第二のテストパターンを形成し、形成した第二のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第二のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて階調特性を調整するための階調補正テーブルの値を調整する第二の調整手段と、
前記第二の調整手段による調整の後、前記調整した階調補正テーブルを介して前記テストパターン形成手段により前記第三のテストパターンを形成し、形成した第三のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第三のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて色再現特性を調整するためのマスキング処理の係数を調整する第三の調整手段とを有することを特徴とする画像記録装置。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1及び2を削除し、同請求項1を引用して記載した同請求項2をさらに引用して記載した補正前の請求項3に記載された発明の構成要件に限定事項を加えて補正後の請求項1としたものであり、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1号の請求項の削除及び同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本補正後の前記請求項1に記載されている発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができ、本補正が特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるかについて以下検討する。
(2)引用例
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-110852号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の濃度の画像からなるテストパターンの画像情報を予め記憶した情報記憶手段と、この情報記憶手段に格納されたテストパターンの画像情報で露光装置を駆動して潜像担持体に露光されたテストパターンを印刷出力する電子写真装置と、この電子写真装置が印刷出力したテストパターンの印刷画像を光学的に読取入力する画像読取装置と、この画像読取装置が読取入力したテストパターンの画像情報の印刷濃度と前記情報記憶手段に格納されたテストパターンの画像情報の設定濃度との濃度差を検出する情報比較手段と、この情報比較手段が検出した濃度差を小さくする方向に前記電子写真装置の露光装置が潜像担持体に出力する光エネルギ量を補正する濃度補正手段とよりなることを特徴とする画像処理装置。」(2頁1欄1〜15行)
イ 「【0012】
【作用】電子写真装置の濃度調整が実際に印刷用紙に印刷されたテストパターンの印刷濃度に基づいて機械的に行なわれるので、印刷濃度の調整を高精度に機械的に行なえる画像処理装置を得ることができる。
【0013】
【実施例】本発明の実施例を図1ないし図6に基づいて説明する。まず、この画像処理装置13は、図1のブロック図に例示するように、ホストコンピュータ14に、画像読取装置であるイメージスキャナ15と、電子写真装置であるカラープリンタ16とを接続した構造となっている。
【0014】ここで、このカラープリンタ16は、回路的には同図に例示するように、前記ホストコンピュータ14が接続されたインターフェイス17に、コントローラ18、画像メモリ19、プログラムメモリ20、情報記憶手段である中間調濃度テーブル21、出力値テーブル22、情報比較手段であり濃度補正手段でもある中間調制御回路23、プロセス制御回路24、温度制御回路25、速度制御回路26、補機制御回路27等を接続し、前記中間調制御回路23に露光装置であるレーザスキャナ28、前記プロセス制御回路24にドラム帯電器29と現像器30と転写器31及びドラム除電器32、前記温度制御回路25に定着器33、前記速度制御回路26にエンコーダを含む各種モータ34〜37、前記補機制御回路27にオペレーションパネル38と用紙センサ39及び給紙ソレノイド40を各々接続した構造などとなっている。
【0015】さらに、このカラープリンタ16は、機構的には図2に例示するように、前記モータ34が連結された回転自在な潜像担持体である感光ドラム41の周面上に、ドラムクリーナ42、前記ドラム帯電器29、前記レーザスキャナ28、イエローとマゼンタとシアン及びブラックのカラートナー(図示せず)を各々格納した前記現像器30等を順次対向配置した四つの印刷ステーション431〜434が設けられており、これらの印刷ステーション431〜434の感光ドラム41が、前記モータ35に連結されて転動自在に張架された無端帯状の用紙搬送ベルト44上に対向配置されている。」(3頁3欄12〜50行)
ウ 「【0017】そして、このカラープリンタ16では、例えば、前記中間調濃度テーブル21等の情報記憶手段内にテストパターン53の画像情報が予め格納されており、図3に例示するように、このテストパターン53は、ここでは段階的に濃度が変化する矩形画像を各色毎に連設した形態となっている。」(3頁4欄19〜24行)
エ 「【0018】また、このカラープリンタ16では、図4に例示するように、四個の印刷ステーション431〜434の各々に予め設定された四元チャートの記録情報が出力値テーブル22に格納されており、このような四元チャートに基づいて印刷特性が規定されている。ここで、この四元チャートとは、右上のグラフでは予め数段階に設定された中間調レベルと実際の印刷濃度とで濃度特性を示し、左上のグラフでは印刷濃度と感光ドラム41の表面電位とで現像特性を示し、左下のグラフでは表面電位とレーザスキャナ28の光エネルギ量とで感光特性を示し、右下のグラフでは光エネルギ量と中間調レベルとで露光特性を示すようになっている。
【0019】なお、このような四元チャートでは、現像特性と感光特性及び露光特性は実際の装置の特性を示すために不定形であるが、濃度特性は設計時の設定値であるので線形になっている。そして、このような濃度特性は、図5(a)に例示するように、このカラープリンタ16では白色を基準に濃度の変化率が異なる数種類が切替自在に設定されており、このような数種類の濃度特性の記録情報が前記中間調濃度テーブル21に格納されている。そして、このように設定されている濃度特性を切替えた場合は、白色の濃度は変化することなく中間調レベルが高い色ほど印刷濃度が大きく変化することになる。また、このような濃度特性としては、同図(b)に例示するように、最濃色を基準に濃度の変化率が異なる数種類を設定し、濃度特性の切替えで最濃色の濃度は変化させることなく中間調レベルが低い部分ほど印刷濃度を大きく変化させることや、同図(c)に例示するように、変化率は同一で基準が異なる数種類を設定し、濃度特性の切替えで中間調レベルの各段階で印刷濃度を変化させることなどのように、各種の設定形態が実施可能である。
【0020】ここで、上述のような四元チャートでは、各特性を順次読取るグラフを形成すると、このグラフが閉じるようになっている。つまり、図示するように、一つの中間調レベルに注目した場合、この中間調レベルに対する印刷濃度が濃度特性によって設定されている。そこで、この印刷濃度を実現するために各特性を求めると、注目した中間調レベルのレーザスキャナ28の光出力が露光特性で求められ、この光出力で走査される感光ドラム41の表面電位が感光特性で求められ、この表面電位で形成されたトナー像の印刷濃度が現像特性で求められる。そこで、このように各特性で得られる実際の印刷濃度と、濃度特性で設定された印刷濃度とが一致することで四元チャートのグラフは閉じることになるが、上述のような実際の印刷濃度と設定した印刷濃度とが製造誤差や経年変化等のために一致しないことがある。
【0021】そこで、このような場合、本実施例のカラープリンタ16では、濃度特性と現像特性及び感光特性は固定的に設定し、光エネルギ量が可変自在なレーザスキャナ28で露光特性を調整することで実際の印刷濃度を設定濃度に一致させるようになっている。」(3頁4欄25行〜4頁5欄25行)
オ 「【0025】ここで、この画像処理装置13では、所望によりホストコンピュータ14に所定の操作を行なうことで、このホストコンピュータ14とイメージスキャナ15及びカラープリンタ16が印刷濃度の調整モードとなる。このようにすることで、この画像処理装置13では、カラープリンタ16が情報記憶手段からテストパターン53の画像情報を読出して印刷用紙54で印刷出力し、イメージスキャナ15は印刷用紙54にテストパターン53の印刷画像の読取入力に待機することになる。そこで、このイメージスキャナ15でテストパターン53の印刷画像を読取入力すると、この実際に読取入力したテストパターン53の画像情報の印刷濃度と情報記憶手段に格納されたテストパターン53の画像情報の設定濃度とを中間調制御回路23が比較し、その濃度差が小さくなる方向に中間調制御回路23がレーザスキャナ28の光エネルギ量を制御する。
【0026】より具体的には、例えば、読取入力した印刷濃度が予め記憶した設定濃度より高い場合は、感光ドラム41に付着するトナー量を低減して印刷濃度を低下させる必要があるので、このカラープリンタ16の印刷方式が正規現像ならばレーザスキャナ28の光エネルギ量を増加させ、反転現像ならばレーザスキャナ28の光エネルギ量を減少させるようにする。また、読取入力した印刷濃度が予め記憶した設定濃度より低い場合は、このカラープリンタ16が正規現像ならばレーザスキャナ28の光エネルギ量を減少させ、反転現像ならばレーザスキャナ28の光エネルギ量を増加させるようにする。なお、このような光エネルギ量の増減は四個の印刷ステーション431〜434の各々に対して行なわれるようになっており、これが良好に行なわれることで印刷濃度が設定濃度に一致して図4の四元チャートのグラフが閉じることになる。
【0027】このようにすることで、この画像処理装置13では、実際に印刷用紙54上に印刷されたテストパターン53の印刷濃度を光学的に読取入力してカラープリンタ16の濃度調整が行なわれるので、感光ドラム上のトナー像を光学読取して濃度調整を行なう従来のレーザプリンタなどに比して、その濃度調整が精緻に行なわれて印刷品質が良好となる。また、この画像処理装置13では、上述のようなカラープリンタ16の濃度調整を中間調制御回路23が機械的に行ない、従来の電子写真装置のようにテストパターンの印刷画像を視認したサービスエンジニアが手作業で濃度調整を行なうようなことを要しないので、その作業が迅速であると共に一般ユーザでも作業が容易である。」(4頁6欄13行〜5頁7欄7行)
カ 図3には、「Yellow、Magenta、Cyan、Black」の各色毎のテストパターンが記載されている。
これら記載事項によると、刊行物1には、
「段階的に濃度が変化する矩形画像を各色毎に連設した形態のテストパターンの画像情報を予め記憶した情報記憶手段と、この情報記憶手段に格納されたテストパターンの画像情報で露光装置を駆動して潜像担持体に露光されたテストパターンを印刷出力する電子写真装置と、この電子写真装置が印刷出力したテストパターンの印刷画像を光学的に読取入力する画像読取装置と、この画像読取装置が読取入力したテストパターンの画像情報の印刷濃度と前記情報記憶手段に格納されたテストパターンの画像情報の設定濃度との濃度差を検出する情報比較手段と、この情報比較手段が検出した濃度差を小さくする方向に前記電子写真装置の露光装置が潜像担持体に出力する光エネルギ量を補正する濃度補正手段とよりなることを特徴とする画像処理装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2-2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-17115号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】入力画像データに応じたカラー印刷をカラー印刷手段により行うカラープリンタ装置において、基準色のテストパターンデータを記憶した記憶手段と、テストモード時に上記記憶手段から基準色のテストパターンデータを読み出して上記カラー印刷手段に供給し、基準色のテストパターンを印刷する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とするカラープリンタ装置。
【請求項2】上記カラー印刷手段により印刷された基準色のテストパターンの測色を行う測色手段と、上記測色手段による測色データに基づいて、上記カラー印刷手段による印刷色の色補正を行う色補正手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載のカラープリンタ装置。」(2頁1欄1〜14行)
イ 「【0021】ここで、上記画像メモリ7に記憶されている基準色のテストパターンデータに基づいてテストモード時に用紙6に印刷する基準色のテストパターンとしては、例えば図2に模式的に示してあるように、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の単色のインクによるグラデーションを示すテストパターンPC ,PM ,PY 、二色(C+M),(C+Y),(M+Y)のインクによるグラデーションを示すテストパターンPC+M ,PC+Y ,PM+Y 、三色(C+M+Y)のインクによるグラデーションを示すテストパターンPC+M+Y や、均等色空間中の均等に間隔を隔てた場所に位置する代表色を示すテストパターンPRPなどが採用される。
【0022】なお、上記用紙6は、移送ローラ9により移送され、図示しない排出口から排出されるようになっている。
【0023】さらに、この実施例のカラープリンタ装置は、テストモード時に上記移送ローラ9により移送されてくる上記用紙6に印刷されている基準色のテストパターンについて測色を行う測色部10と、この測色部10による測色データに基づいて色補正を行う色補正処理部15とを内蔵している。
【0024】上記測色部10は、測色用の光源11により上記用紙6上のテストパターンを照明し、上記テストパターンによる反射光を分光素子12を介してCCDラインセンサ13で受光することにより測色を行い、上記CCDラインセンサ13により得られる測色信号をA/D変換器14によりディジタル化して、上記色補正処理部15の中央演算処理部16に供給するようになっている。」(3頁3欄35行〜同4欄13行)
ウ 「【0033】ここで、上記色補正の具体的な処理手順を図7のフローチャートに示す。
【0034】この図7のフローチャートにおいて、プロセス(3) 〜プロセス(6) がモデリングプロセスであり、プロセス(7) 〜プロセス(12)が色補正プロセスである。
【0035】プロセス(1) はテストパターンを出力するプロセスであって、dC,dM,dYが各3原色での等間隔の階調に対応する入力信号を示している。また、プロセス(2) はテストパターンを測色するプロセスであって、C,M,Yは上記dc,dm,dyの出力結果を測色した実測濃度値を示している。
【0036】そして、プロセス(3) では、上記dC,dM,dYとC,M,Yとの比較を行い、その関係式を多項式、ルックアップテブーブル(LUT)などで表す。
【0037】このプロセス(3) は実数計算で処理してきた色彩値をコンピュータ入力可能なディジタルカウントに変換するための式を求めるプロセスとなっている。例えば各ディタルカウントdxを全体値(8ビットであれば256階調)で割ることにより正規化した値と実際のテストパターンの測定結果濃度値(測色値)との図8に示すような関係を高次多項式で求める。
【0038】次のプロセス(4) では実測濃度値と計算上求められた理想値とのギャップを補正する。
【0039】ここで、色材は2原色どの色をとっても理想的な状態で分光がなされているわけではなく、他の色彩の領域にまで余分な吸収(不正吸収)があるものである。そのため理想的な計算上の値を実際に色材レベルに落とした場合の濃度値に換算し直す必要がある。
【0040】そこで、このプロセス(4) では、数1で示す変換マトリクスM1のパラメータを例えば最小二乗法で求める。なお、この段階でLUTの作成も可能である。
【0041】
【数1】
(Dr,Dg,Db)T=M1(C,M,Y)T
(注:印刷の都合上、原文と表記を変えてある。「(・・・)T」は転置行列を表す。)
【0042】
次のプロセス(5) は濃度から反射率への変換プロセスであり、このプロセス(5) では、
Dx=-log10(x/100)
x=100・10-DX
なる関係式に基づいて、反射率の状態であるR,G,Bの光の吸収に対応した濃度値Dr,Dg,Dbに変換する。
【0043】次のプロセス(6) は測色に用いられたRGBフィルタ特性を入力のRGBに合わせるプロセスである。ただし、入力のRGB特性の一定のものでないため、ここではCIE/XYZ(CIE:国際照明委員会)に対して変換を行うことにより入力に対しても同じ出力結果が得られるようにしている。この関係式はフィルタ特性などにより予め決定される。
【0044】そして、実際に入力されてきた画像データに色補正処理を施すプロセス(7) 〜プロセス(12) では、先ずプロセス(7) でX,Y,ZやR,G,Bといった形で入力された後は、前述の各モデリングプロセス(3) 〜(6) で求めた関係式が係数を逆にかける処理を行う。そして、最終的にディジタルカウントdC,dM,dYに変換された時点でプリンタに送られる。
【0045】このような演算処理機能を予め処理部に持たせておくことによって煩雑な手間を省いて、効率よく色再現を行うことが可能となる。」(4頁5欄33行〜同6欄44行)

(3)周知例
本願出願前に頒布された特開平3-208681号公報には、以下の周知例が記載されている。
ア 「2.特許請求の範囲
(1)少なくとも画像の種類にベタ黒と中間調とを含む可視像を形成する画像形成装置において、像担持体上に特定パタ-ンの静電潜像を形成する形成手段と、
該形成手段により形成された特定パタ-ンに対応した静電潜像を現像する現像手段と、
該現像手段により現像された静電潜像の画像濃度を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果に応じて特定パタ-ンの濃度を判断する判断手段と、
該判断手段で判断された濃度に基づいて前記画像の種類に応じた濃度補正を行う補正手段と、
該補正手段の濃度補正に基づいて可視像を形成する形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
(2)前記補正手段は、前記ベタ黒画像の濃度補正を行う第1の濃度補正手段と、前記中間調画像の濃度補正を行う第2の濃度補正手段とを備えることを特徴とする請求項第1項記載の画像形成装置。」(1頁左欄4行〜同右欄8行)
イ 「第1図は本発明の第1実施例のレ-ザプリンタの構成を示すブロツク図、第2図は第1実施例で使用するデイザマトリツクスを説明する図である。第1図において、1はデジタル信号による多値の画像デ-タ、2は1ペ-ジ分の画像デ-タを記憶するペ-ジメモリ、3はペ-ジメモリ2中の画像デ-タを1ラインずつ保持し出力するラインバツフア、4は中間調画像濃度の濃度階調補正を行うRAM、5は画像デ-タを所定の閾値と比較して2値化するコンパレ-タ、6はデイザパタ-ンを発生するデイザパタ-ン発生回路、22はベタ黒パタ-ンを形成するための信号を発生する特定パタ-ン発生回路をそれぞれ示している。」(3頁左上欄1〜13行)
ウ 「濃度補正を行なう時期は電源投入後、画像デ-タ1を入手する前段に行われる。本プリンタの不図示の電源部に電源が投入され、プリントの準備が完了すると、CPU15の指令により、特定パタ-ン発生回路22はベタ黒パタ-ンを形成する為の信号をレ-ザドライバ7へ出力する。このベタ黒パタ-ンは後述する現像濃度検出器23が検出可能な最も小さい面積であれば良く、好ましくは、ほぼ10[mm]×10[mm]が適当である。尚、本発明の趣旨を逸脱しない程度であれば、10[mm]×10[mm]に限定されるものではない。ベタ黒パタ-ン信号は前述した信号Rと同様な工程を経て、感光体10上にベタ黒パタ-ン像を形成する(ステツプSl)。このベタ黒パタ-ン像の画像濃度は濃度検出器23により検出される(ステツプS2)。濃度検出器23は第3図に示す様にLED等の光源24により感光体10上を照らし、その反射光をピンホトダイオ-ド等の受光素子25にて受けることにより、感光体10上の反射濃度を検出する。濃度検出器23により検出されたベタ黒パタ-ンの濃度はA/D変換器26を経てCPU15に取り込まれる。CPU15は予め定められた基準濃度デ-タと取り込んだベタ黒パタ-ン濃度デ-タ(D)とを比較し、ベタ黒パタ-ン濃度が薄い時(D≦1.3)にはバイアス電源14にバイアス出力を下げる様に(ステツプS4)、又、濃い時(D≧1.4)には上げる様に指令する(ステツプS6)。これらの手順をくり返し、ベタ黒パタ-ンの濃度は基準濃度に収束され、ベタ黒画像の濃度補正が終了する。
次に、中間調画像の濃度補正であるが、まず特定パタ-ン発生回路22により第2図に示されるデイザマトリツクスで表現されるl6階調のステツプウエツジパタ-ン信号を発生し、感光体10上に16階調ステツプウエツジ画像(濃度ステツプパタ-ン)を作成する(ステツプS7)。その各ステツプの濃度を濃度検出器23により検出する(ステツプS8)。濃度検出器23で検出されたステツプウエツジ濃度のデ-タは、例えば、第5図の様に中間濃度部が濃い方に偏つている非線形な出力画像濃度特性を示す。CPU15はこの検出された濃度デ-タより第6図に示される濃度補正デ-タを作成し(ステツプS9) 、RAM4に出力する(ステツプS10)。第6図の濃度補正デ-タにより画像デ-タ1はデジタル-デジタル変換を受け、コンパレ-タ5の端子Pに入力されることになる。」(4頁左下欄8行〜5頁6行)
エ 「又、ベタ黒画像濃度補正を濃度検知と濃度補正をくり返して収束させる制御で説明したが、検知濃度デ-タから、必要な現像バイアス変化量を計算して一回の制御で所定のベタ黒画像濃度にするという方法でも良い。」(5頁右下欄6〜10行)
オ 「第10図は本発明の第2実施例のレ-ザプリンタの構成を示すブロツク図である。第2実施例では、27で示される画像濃度検出器が転写後の記録用紙17上の画像濃度を検出する構成である。
又、ベタ黒濃度補正は現像バイアス出力をコントロ-ルするのではなく、静電潜像を形成する帯電器18への印加電圧をコントロ-ルすることにより行なう。29は帯電器l8へ高圧電圧を出力する帯電用の高圧電源(HVT)である。その他は第1実施例と同じである為説明を省略する。」(5頁右下欄13行〜6頁左上欄6行)

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。引用発明の「段階的に濃度が変化する矩形画像を各色毎に連設した形態のテストパターン」の「各色」は、具体的には「イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック」である((2-1)カ参照。)からこれは「各色成分」であり、前記「テストパターン」は本願補正発明の「複数の色成分毎の階調パターンを有する第二のテストパターン」に相当する。そして、引用発明の「情報記憶手段及びこの情報記憶手段に格納されたテストパターンの画像情報で露光装置を駆動して潜像担持体に露光されたテストパターンを印刷出力する電子写真装置」は本願補正発明の「テストパターン形成手段」に、引用発明の「画像読取装置」は本願補正発明の「読取装置」に、それぞれ相当する。引用発明の「情報比較手段と濃度補正手段」は、読み取ったテストパターンの各階調パターンの濃度に基いて濃度補正を行うものであり、この意味では本願補正発明の第二の調整手段も同様である。また、引用発明の「画像処理装置」は、印刷出力する電子写真装置を含むものであり、この印刷機能に着目すれば「画像記録装置」ということができる。してみると、本願補正発明と引用発明は、
「複数の色成分毎の階調パターンを有する第二のテストパターンを記録媒体に形成するテストパターン形成手段と、
前記テストパターン形成手段により記録媒体に形成された第二のテストパターンを読み取る読取手段と、
前記テストパターン形成手段により前記第二のテストパターンを形成し、形成した第二のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第二のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて濃度補正を行う第二の調整手段と、
を有することを特徴とする画像記録装置。」
である点で一致しているが、下記の点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明では、テストパターン形成手段は、複数の色成分毎の最大濃度の目標濃度に対応するパターンを有する第一のテストパターンをも選択的に記録媒体に形成し、と、前記前記テストパターン形成手段により前記第一のテストパターンを形成し、形成した第一のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第一のテストパターンの各色成分の最大濃度に基づいて前記目標濃度になるように画像記録条件を設定する第一の調整手段を有し、前記第一の調整手段による調整の後第二の調整手段で調整し、第二の調整手段は階調特性を調整するための階調補正テーブルの値を調整するものであるのに対し、引用発明では、第一の調整手段を有さず、第二の調整手段は電子写真装置の露光装置の光エネルギ量を補正するものである点。
(相違点2)
本願補正発明では、テストパターン形成手段は、複数の色成分の組み合せによる複数色のパターンを有する第三のテストパターンをも選択的に記録媒体に形成し、第二の調整手段による調整の後、前記調整した階調補正テーブルを介して前記テストパターン形成手段により前記第三のテストパターンを形成し、形成した第三のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第三のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて色再現特性を調整するためのマスキング処理の係数を調整する第三の調整手段を有するのに対して、引用発明では、色再現特性を調整するものではない点。

(5)判断
上記(相違点1)について検討すると、濃度補正を行う際に、まず最大濃度の目標濃度に対応するパターン(ベタ黒パターン)の形成を行ってこれに基づく最大濃度の濃度調整を終了し、次に濃度ステップパターンの形成を行ってこれに基づく中間調画像の濃度補正を階調補正テーブル(濃度階調補正を行うRAM )の値を調整することにより行うことは、上記(3)に示したように周知であり、引用発明における濃度補正を同一の機能を有する上記周知技術で実現することは当業者が容易になし得ることである。
上記(相違点2)について検討すると、引用発明はカラープリンターを前提とするもの((2-1)イ)であり、カラー画像信号を入力するものであることは明らかである。そして、カラー画像信号に対して色再現特性を調整するためのマスキング処理を行うことは周知であるから、刊行物2に記載されたマスキング処理((2-2)ウの段落【0041】参照。)を組み合わせることは当業者が容易になし得ることである。この際に、刊行物2に記載された発明も引用発明と同じくテストパターンを印刷し読み取るものであるから、引用発明のテストパターン形成手段及び読取手段を共用することは、当然に思いつくことであるし、また、カラープリンターの濃度補正の調整が終了していなければ、これで刊行物2に記載されたテストパターンを印刷しても正確な色再現特性の調整ができないことは明らかであるから、まず、濃度補正の調整を行いその調整した階調補正テーブルを介して前記テストパターンを形成することも、当業者が容易に設計しうることである。
したがって、本願補正発明は、刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)むすび
以上のとおり、本補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年7月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年3月8日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】複数の色成分毎の階調パターンを有する第一のテストパターンと、複数の色成分の組み合せによる複数色のパターンを有する第二のテストパターンとを選択的に記録媒体に形成するテストパターン形成手段と、
前記テストパターン形成手段により記録媒体に形成された第一、第二のテストパターンを読み取る読取手段と、
前記テストパターン形成手段により前記第一のテストパターンを形成し、形成した第一のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第一のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて階調特性を調整するための階調補正テーブルの値を調整する第一の調整手段と、
前記第一の調整手段による調整の後、前記テストパターン形成手段により前記第二のテストパターンを形成し、形成した第二のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第二のテストパターンの各階調パターンの濃度に基づいて色再現特性を調整するためのマスキング処理の係数を調整する第二の調整手段とを有することを特徴とする画像記録装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、実質的に、前記2.で検討した本願補正発明の「複数の色成分毎の最大濃度の目標濃度に対応するパターンを有する第一のテストパターン」及び「前記テストパターン形成手段により前記第一のテストパターンを形成し、形成した第一のテストパターンを前記読取手段により読み取り、読み取った第一のテストパターンの各色成分の最大濃度に基づいて前記目標濃度になるように画像記録条件を設定する第一の調整手段」及び「前記調整した階調補正テーブルを介して」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加
したものに相当する本願補正発明が、前記2.(5)に記載したとおり、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-15 
結審通知日 2005-03-18 
審決日 2005-03-29 
出願番号 特願平7-83670
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣川 浩  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
深沢 正志
発明の名称 画像記録装置およびその方法  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
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