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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1116879 |
審判番号 | 不服2003-19953 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-09-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-10-10 |
確定日 | 2005-05-12 |
事件の表示 | 特願2001-65663「LAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年9月20日出願公開、特開2002-271329〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成13年3月8日の出願であって、平成15年9月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年11月6日付けで手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [結論] 平成15年11月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 上記手続補正は、補正前の請求項1に記載された 「LAN伝送路に接続されている複数個の端末装置と、各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置とから成るLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システムであって、 LAN電話システムの運用のためのシステムデータが、管理者データ,共有データおよび端末データに分類されるとともに、分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており、 各端末装置が、共有化されているシステムデータの変更を行なうことができる ことを特徴とするLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システム。」 という発明を、 「LAN伝送路に接続されている複数個の端末装置と、各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置とから成るLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システムであって、 LAN電話システムの運用のためのシステムデータが、各端末装置と端末管理装置における共有方法に応じて管理者データ,共有データおよび端末データに分類され、 管理者データが、端末管理装置によってのみ変更可能であり、 共有データが、端末管理装置および各端末装置により変更可能であって、 端末データが、各端末装置によってのみ変更可能である ことを特徴とするLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システム。」 という発明に変更することを含むものである。 2.補正の適否 上記補正のうち、補正前の「管理者データ,共有データおよび端末データに分類されるとともに、分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており」という構成を「各端末装置と端末管理装置における共有方法に応じて管理者データ,共有データおよび端末データに分類され」という構成に変更する点について検討するに、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)にはシステムデータを「管理者データ,共有データおよび端末データに分類」することは記載されているがこの分類を「共有方法に応じて」行う旨の記載はない。即ち、当初明細書等には「共有方法」それ自体が記載されておらず、その内容は不明瞭であるものの、当初明細書等の記載によれば「分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化され」るものであり、データの分類基準と共有化されるデータの種類は無関係であるから、分類基準として「共有方法」を採用し「各端末装置と端末管理装置における共有方法に応じて管理者データ,共有データおよび端末データに分類」する構成が当初明細書等に記載されているとは認められず、また当該構成が当初明細書等の記載から一義的に導かれる構成であるとも認められない。したがって、補正前の「管理者データ,共有データおよび端末データに分類されるとともに、分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており」という構成を「各端末装置と端末管理装置における共有方法に応じて管理者データ,共有データおよび端末データに分類され」という構成に変更する補正は、当初明細書等に記載されていた事項の範囲内においてなされたものではないから、上記補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に適合していない。 また、上記補正のうち、補正前の「分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており」という構成が補正後の発明で削除されている点について検討するに、構成を削除する補正は発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから特許請求の範囲の減縮にはあたらず、上記補正が誤記の訂正や明りょうでない記載の釈明でないことも明らかである。したがって、上記補正は、特許法第17条の2第4項(補正の目的)のいずれの規定にも適合していない。 3.結語 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定及び第4項(補正の目的)の規定のいずれにも適合していないから、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成15年11月6日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年8月1日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「LAN伝送路に接続されている複数個の端末装置と、各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置とから成るLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システムであって、 LAN電話システムの運用のためのシステムデータが、管理者データ,共有データおよび端末データに分類されるとともに、分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており、 各端末装置が、共有化されているシステムデータの変更を行なうことができる ことを特徴とするLAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システム。」 2.引用発明及び周知技術 (1)これに対して、原審の拒絶理由に引用された特開平11-284727号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 イ.「【発明の属する技術分野】本発明は、各々が局データを有する複数の内線通信端末と、前記複数の内線通信端末の局データを管理するデータ管理装置と、前記複数の内線通信端末および前記データ管理装置を接続する交換機とでなる通話システム、特に、ディーリング通話システムにおける、局データのアップロード技術に関する。」(2頁2欄、段落1) ロ.「【0052】図4に示すように、局データは、内線通信端末21〜2n毎に、操作者が自由に設定できる個人データと、内線通信端末のうちの複数でグループを組み、そのグループで共通して使用するグループデータと、全ての内線通信端末で共通して使用する共通データと、からなる。なお、上述したファンクションキーデータや回線データなどは、個人データあるいはグループデータとして扱われる。」(5頁8欄、段落52) ハ.「【0062】データ管理装置3は、内線通信端末21〜2n各々が有する局データを一括して管理する。このデータ管理装置3は、通信機能を有するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置により実現可能である。 【0063】なお、データ管理の方法としては、内線通信端末21〜2nの局データを内線通信端末あるいは内線番号単位で管理する方法や、内線通信端末21〜2nの局データを、共通データ、グループデータ、および個人データに分けて階層的に管理する方法、すなわち、個人データは内線通信端末あるいは内線番号単位で管理し、グループデータは内線通信端末あるいは内線番号のグループ単位で管理し、共通データは全体として1つ管理する方法など、様々な方法が考えられるが、どのような方法によるものであってもよい。」(6頁9欄、段落62〜63) ニ.「【0102】本実施形態において、内線通信端末21〜2nは、ファンクションキーにより席替え指示を受け付けると、自己の局データが変更されているか否かを自動的に判断し、変更されている場合は、当該局データをデータ管理装置3にアップロードしている。 【0103】したがって、たとえば、二人の操作者が、互いに使用する内線通信端末21〜2nを交換するように席替えをする場合、両者が使用中(席替え前)の内線通信端末に席替え指示を入力しておくだけで、席替え後の内線通信端末において、内線番号を席替え前に使用していた内線通信端末の内線番号に変更し、当該内線番号をデータ管理装置3に送信することにより、データ管理装置3から席替え前に使用していた内線通信端末の最新の局データをダウンロードすることができる。」(8頁14欄、段落102〜103) ホ.「【0110】また、上記の実施形態では、ディーリング通話システムに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、内線通信端末が局データを備えるものであれば、様々な通話システムに適用可能である。」(9頁15欄、段落110) 上記引用例の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「局データ」、「複数の内線通信端末」、「複数の内線通信端末の局データを管理するデータ管理装置」、「ディーリング通話システム」はそれぞれいわゆる「システムデータ」、「複数個の端末装置」、「各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置」、「電話システム」である。 また、上記「局データ」は「共通データ」,「グループデータ」および「個人データ」に分類され、「内線通信端末」と「データ管理装置」との間で「アップロード」または「ダウンロード」により共有化されている。 また、上記「システムデータ」のうち少なくとも「個人データ」(即ち、共有化されているシステムデータの一部)は「内線通信端末21〜2n毎に、操作者が自由に設定できる」(即ち、各端末装置が、共有化されているシステムデータの一部の変更を行なうことができる)ものである。 したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「交換機に接続されている複数個の端末装置と、各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置とからなる電話システムにおけるシステムデータ管理方法であって、 電話システムの運用のためのシステムデータが、共通データ,グループデータおよび個人データに分類されるとともに、分類された各データが、各端末装置と端末管理装置で共有化されており、 各端末装置が、共有化されているシステムデータの一部の変更を行なうことができる 電話システムにおけるシステムデータ管理方法。」 (2)また、例えば特開平11-331371号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項イが記載されており、また例えば特開平10-271243号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項ロが記載されている。 イ.「【発明の属する技術分野】本発明は、LAN電話端末を接続する交換機およびその接続方法に係り、例えばPBX(構内電話交換機)に適用され、PBXに収容される内線、局線および専用線から、LAN電話端末への着信接続、LAN電話端末から内線、局線および専用線への発信接続、また、LAN電話端末から他のLAN電話端末への相互接続を可能とする交換機およびその接続方法に関する。 なお、本明細書では、音声通話機能を備えIP(インターネットプロトコル)アドレスを有しLAN(ローカルエリアネットワーク)回線等に接続されるパーソナルコンピュータ等の端末を、LAN電話端末という。」(4頁6欄、段落1) ロ.「【従来の技術】一般に、LANを構内交換網としてLAN電話機を内線電話機として用いるとともに、公衆網であるISDN(統合サービスデジタル網)やPSTN(公衆交換電話網)が外線として接続されたLAN構内交換ネットワークが知られている。」(2頁1欄、段落2) 上記周知例1、2の記載によれば「LANを用いて構築した電話システム」は周知である。 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、引用発明の「交換機」、「電話システム」と本願発明の「LAN伝送路」、「LAN電話システム」はそれぞれ「端末間接続装置」、「電話システム」という点で一致しており、引用発明の「共通データ,グループデータおよび個人データ」と本願発明の「管理者データ,共有データおよび端末データ」はいずれも「複数のデータ」であるという点で一致している。 また、本願発明の「分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており」という構成は引用発明の「分類された各データが、各端末装置と端末管理装置で共有化されており」という構成を包含し、本願発明の「共有化されているシステムデータの変更を行なう」構成は引用発明の「共有化されているシステムデータの一部の変更を行なう」構成を包含しているから、本願発明と引用発明の間のこれらの点に実質的な差異はない。 また、引用発明の「管理方法」と本願発明の「共有管理システム」は「方法」と「システム」というカテゴリー上の相違はあるもののいずれも前記「複数のデータ」の「管理システム」であるという点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明は、 「端末間接続装置に接続されている複数個の端末装置と、各端末装置のシステムデータを管理する端末管理装置とからなる電話システムにおけるシステムデータ管理システムであって、 電話システムの運用のためのシステムデータが、複数のデータに分類されるとともに、分類された各データの少なくとも一部が、各端末装置と端末管理装置で共有化されており、 各端末装置が、共有化されているシステムデータの変更を行なうことができる 電話システムにおけるシステムデータ管理システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> (1)「端末間接続装置」と「電話システム」に関し、本願発明の構成はそれぞれ「LAN伝送路」、「LAN電話システム」であるのに対し、引用発明の構成は「交換機」、「電話システム」である点。 (2)「複数のデータ」に関し、本願発明は「管理者データ,共有データおよび端末データ」であるのに対し、引用発明は「共通データ,グループデータおよび個人データ」である点。 (3)「管理システム」に関し、本願発明は「共有管理システム」であるのに対し、引用発明は「管理方法」である点。 4.当審の判断 そこで、まず、上記相違点(1)の「端末間接続装置」と「電話システム」について検討するに、例えば上記周知例1、2によれば「LANを用いて構築した電話システム」は周知であるところ、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらず、また適用後の作用効果も予想される範囲を超えるものではないから、当該周知技術に基づいて、引用発明の「交換機」、「電話システム」の構成をそれぞれ「LAN伝送路」、「LAN電話システム」に変更する程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。 ついで、上記相違点(2)の「複数のデータ」について検討するに、引用発明の「複数のデータ(即ち、共通データ,グループデータおよび個人データ)」の具体例は例えば「内線通信端末21〜2n毎に、操作者が自由に設定できる個人データと、内線通信端末のうちの複数でグループを組み、そのグループで共通して使用するグループデータと、全ての内線通信端末で共通して使用する共通データと」からなり、「ファンクションキーデータや回線データなどは、個人データあるいはグループデータとして扱われる」ものであり、「個人データは内線通信端末あるいは内線番号単位で管理し、グループデータは内線通信端末あるいは内線番号のグループ単位で管理し、共通データは全体として1つ管理する」ものであり、「データ管理装置」はすべてのデータを管理する(即ち、変更できる)のであるから、例えば引用発明の「共通データ」は結果として「データ管理装置」のみによって変更可能なデータであり、「グループデータ」及び「個人データ」は「データ管理装置」と「各端末」によって変更可能なデータであり、当該「グループデータ」及び「個人データ」の一部(例えば、回線データ等)は「システムには影響しないが呼制御には影響する」データとその他のデータからなるものである。したがって、引用発明の「共通データ」を本願発明のように「サービスや番号計画等のシステム全体の設定を行なう」いわゆる「管理者データ」として定義するとともに、引用発明の「グループデータ」及び「個人データ」の一部(例えば、回線データ等)を本願発明のように「システムには影響しないが呼制御には影響する」いわゆる「共有データ」として定義し、残りのデータを「端末データ」として定義することにより、引用発明の「共通データ,グループデータおよび個人データ」を本願発明のような「管理者データ,共有データおよび端末データ」として再分類する程度のことは、当業者であれば適宜成し得ることである。 なお、本願発明の「端末データ」が端末のみにより変更可能なデータである点は、特許請求の範囲に記載された事項ではないので検討する必要のないものであるが、そのような構成とすること自体はユーザの利便性とシステム構成の簡易性等を考慮して適宜決定すべき事項に過ぎないものである。 ついで、上記相違点(3)の「管理システム」について検討するに、引用発明の「管理方法」と本願発明の「共有管理システム」は「方法」と「システム」という単なるカテゴリー上の相違に過ぎず、当業者であれば適宜変更し得るものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明ならびに上記周知例1〜2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-09 |
結審通知日 | 2005-03-15 |
審決日 | 2005-03-28 |
出願番号 | 特願2001-65663(P2001-65663) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04L)
P 1 8・ 572- Z (H04L) P 1 8・ 561- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中木 努 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
浜野 友茂 衣鳩 文彦 |
発明の名称 | LAN電話システムにおけるシステムデータ共有管理システム |
代理人 | 渡辺 喜平 |