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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04D |
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管理番号 | 1116893 |
審判番号 | 不服2004-19385 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2003-07-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-09-17 |
確定日 | 2005-05-12 |
事件の表示 | 特願2001-401893「外装パネルおよびこの外装パネルを用いた外装構造」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 9日出願公開、特開2003-193632〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成13年12月28日の出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成16年7月15日受付けの手続補正書で補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は次のとおりである。 「外装材とフレーム材からなる外装パネルであって、外装材は、左右側縁に成形部を有し、フレーム材は、長尺状あるいは鉄骨間に跨る定尺状で、外装材の支持脚兼梁部材として適宜高さを有する起立部と、躯体への固定部を下側に、外装材との取付け部を上側に、それぞれ有する左右一対のフレーム部材からなり、フレーム材の前記取付け部に外装材の前記成形部側縁を連結して、外装材とフレーム材を一体化したことを特徴とする外装パネル。」 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平5-148936号公報(以下、「引用例」という。)には、段落【0021】、【0022】に「H型鋼などからなる骨組部材6・・・屋根両側における骨組部材6上には、その長手方向に所定の間隔をおいて金属などからなる支承部材7(両側支承部)が溶接などによって取り付けられて配設されている。」、【0024】、【0025】に「一方、屋根前後側における骨組部材6上の中央には、H型鋼などからなる骨組部材8(支持部)が立設され、この骨組部材8間には、H型鋼などからなる骨組部材9(中央支承部)が架設されている。骨組部材9には、その長手方向に所定の間隔をおいて金属製などからなる支承部材10が溶接などによって取り付けられて配設され、この支承部材10の支承面は、構築される屋根の勾配に対応して傾斜され、またボルトなどの締結手段が貫通する貫通孔9Aが形成されている。」、【0028】〜【0030】に「屋根面構築前の屋根パネル材11、すなわち施工前の保管時や運搬時などにおける各屋根パネル材11は、図3に示すように、所定の間隔をおいて互いに対向して延在している一対のC型鋼12と、この一対のC型鋼12に敷設された屋根下地材13と、この屋根下地材13の表面側に敷設された屋根材11Aとから形成されている。前記C型鋼12の側面および下面には、複数のボルト挿通孔12A,12Bが形成されている。屋根パネル材11は、図2の一点鎖線で示すように支承部材7,10の支承面に支承されて支承部材7,10間に架設され、図4および図7に示すようにボルト挿通孔12B,支承部材7,10の貫通孔7A,10Aを貫通したボルトなどの締結手段4がナットによって締結されて支承部材7,10に固定されている。」と記載されており、ここで、左右一対のC型鋼12はフレーム材ということができ、図面、特に図3,4を参照すると、C型鋼12は、少なくとも屋根下地材13および屋根材11Aの支持脚として適宜高さを有するウェブを有し、その下側に骨組部材6上の支承部材7に固定される下フランジを有し、その上側に屋根下地材13および屋根材11Aに取り付けられる上フランジを有していることが明らかであるから、引用例には、 「屋根下地材および屋根材とフレーム材からなる屋根パネル材であって、フレーム材は、屋根両側におけるH型鋼などからなる骨組部材間に架設される長さを有し、少なくとも屋根下地材および屋根材の支持脚として適宜高さを有するウェブと、骨組部材上の支承部材に固定される下フランジを下側に、屋根下地材および屋根材に取り付けられる上フランジを上側に、それぞれ有する左右一対のC型鋼からなり、フレーム材の上フランジに屋根下地材および屋根材の側縁を連結して、屋根下地材および屋根材とフレーム材を一体化した屋根パネル材。」という発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比・判断 本願発明1と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「屋根下地材および屋根材」、「ウェブ」、「骨組部材(上の支承部材)」、「下フランジ」、「上フランジ」、「C型鋼」、「屋根パネル材」は、それぞれ、本願発明1の「外装材」、「起立部」、「躯体」、「固定部」、「取付け部」、「フレーム部材」、「外装パネル」に相当し、引用例記載の発明の「屋根両側におけるH型鋼などからなる骨組部材間に架設される長さを有し」ということは、「長尺状あるいは鉄骨間に跨る定尺状」であるといえるから、両者は、「外装材とフレーム材からなる外装パネルであって、フレーム材は、長尺状あるいは鉄骨間に跨る定尺状で、外装材の支持脚として適宜高さを有する起立部と、躯体への固定部を下側に、外装材との取付け部を上側に、それぞれ有する左右一対のフレーム部材からなり、フレーム材の前記取付け部に外装材の側縁を連結して、外装材とフレーム材を一体化した外装パネル。」の点で一致し、下記の点で相違している。 相違点1:支持脚として適宜高さを有する起立部は、本願発明1では、梁部材兼用で梁部材として適宜高さを有しているのに対し、引用例記載の発明では、そのような限定はなされていない点。 相違点2:本願発明1では、外装材は、左右側縁に成形部を有し、フレーム材の取付け部に外装材の成形部側縁を連結しているのに対し、引用例記載の発明では、フレーム材の上フランジに屋根下地材および屋根材の側縁を連結しているものの、屋根下地材および屋根材の左右側縁に成形部を有していない点。 まず、相違点1について検討すると、引用例記載の発明のC型鋼の支持脚として適宜高さを有するウェブを、梁部材兼用として梁部材として適宜高さを有するようにすることは、適宜なしうることにすぎない。 つぎに、相違点2について検討すると、外装材の左右側縁に連結用の成形部を有するようにすることは、周知技術であり(例えば、実願昭57-27963号(実開昭58-130519号)のマイクロフィルム、特開昭52-120517号公報等参照。)、また、フレーム材の取付け部に外装材の成形部側縁を連結しているパネルも周知技術(実公昭38-17639号公報、実願昭55-59939号(実開昭56-162725号)のマイクロフィルム、実願平3-40855号(実開平8-358号)のCD-ROM等参照。)であるから、いずれの事項も、当業者が適宜なしうることにすぎない。 そして、本願発明1によってもたらされる効果も、引用例記載の発明および周知技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別なものとはいえない。 4.むすび 以上のように、本願発明1は、引用例記載の発明および周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-08 |
結審通知日 | 2005-03-15 |
審決日 | 2005-03-28 |
出願番号 | 特願2001-401893(P2001-401893) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中田 誠 |
特許庁審判長 |
伊波 猛 |
特許庁審判官 |
田中 弘満 ▲高▼橋 祐介 |
発明の名称 | 外装パネルおよびこの外装パネルを用いた外装構造 |
代理人 | 長南 満輝男 |
代理人 | 石渡 英房 |
代理人 | 細井 貞行 |