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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1116937
審判番号 不服2002-22851  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-11-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-27 
確定日 2005-05-12 
事件の表示 平成 8年特許願第109214号「遠隔管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月18日出願公開、特開平 9-298774〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年4年30日の出願であって、平成14年10月22日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成14年11月27日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成14年11月27日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「 【請求項1】
配置領域内に配置してあり時系列データを送信すべくなしてある機器から、前記配置領域から離隔して設置してある中央装置へ送信した時系列データに基づいて中央装置が前記機器を遠隔管理するシステムにおいて、
前記中央装置は、送信された時系列データを記憶する手段と、記憶した時系列データを集計する集計手段と、機器に係る集計条件を含む集計条件を前記集計手段に設定する第1設定手段と、該第1設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段とを備え、
前記集計結果表示手段は、前記配置領域及びそこに配置してある機器に係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段を具備し、
レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示することを特徴とする遠隔管理システム。
【請求項2】
配置領域内に配置してあり時系列データを送信すべくなしてある機器から、前記配置領域から離隔して設置してある中央装置へ送信した時系列データに基づいて中央装置が前記機器を遠隔管理するシステムにおいて、
前記中央装置は、送信された時系列データを記憶する手段と、記憶した時系列データを集計する集計手段と、機器に係る集計条件を含む集計条件を前記集計手段に設定する第1設定手段と、第1設定手段によって機器に係る集計条件が設定された場合、前記配置領域及びそこに配置してある機器に係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段と、該レイアウト表示手段が表示したレイアウトにおいて指定された機器を集計条件として前記集計手段に設定する第2設定手段と、第1設定手段及び第2設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段とを備え、
前記集計結果表示手段は、前記レイアウト表示手段が表示したレイアウトを再び表示する手段を具備し、
レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示することを特徴とする遠隔管理システム。」と補正された。

本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1における「レイアウト」について「レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示する」との限定を付加し、同様に請求項2における「レイアウト」について「レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示する」との限定を付加すると共に、補正前の特許請求の範囲の請求項3乃至9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮および請求項の削除を目的とするものである。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内になされたものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。

そこで、上記本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原審の拒絶理由に引用された特開平7-114657号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】 複数のショーケース等の運転状態を一括して管理するショーケース等の集中管理装置において、該集中管理装置は中央管理装置を具備し、該中央管理装置は、前記ショーケース等の運転状態に関するデータを送受信する送受信手段と、前記ショーケース等の運転が正常か異常か判断する判断手段と、前記ショーケース等の運転状況データをハードディスクのメイン領域に順次保存し、前記ハードディスクのメイン領域にある一定期間保存されていたデータを順次ハードディスク内のサブ領域又は、フロッピディスクに退避処理保存する際に前記判断手段において正常運転時と判断された場合には一定間隔を保ちながら保存する保存手段とを具備したことを特徴とするショーケース等の集中管理装置。」(2頁左欄2行〜14行)、

イ.「【0010】上記中央管理装置2は店舗の警備室等に設けられ、図2に示す如く制御手段としてのマイクロコンピュータ7と、このマイクロコンピュータ7に接続された保存手段としてのハ-ドディスク8及びROM9、RAM11、フロッピーディスク12と、送受信手段13、出力制御手段14及び入力制御手段16とから構成される。送受信手段13はシリアルインターフェースにより構成され、前述の主制御装置3とRS-232C等の通信線17を介して接続されている。ハードディスク8には中央管理装置2自体の制御プログラムの他、主制御装置3から送られてくる各種データや、後述するショーケースS等の設置形態(ケースレイアウト)に関するデータ、更には各種運転条件に関するデータ及び通信プロトコル等が保存されている。出力制御手段14には出力手段としてのプリンタ18や表示手段としてのディスプレイ19が接続され、入力制御手段16には入力手段としてのキーボード21やマウス22が接続される。更に、マイクロコンピュータ7にはモデム23が接続され、電話回線により外部に通信することが可能とされている。」(3頁左欄4行〜23行)、

ウ.「【0014】ショーケースSや冷凍機Rはスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗の規模に合わせて所定台数、所定の設置形態、即ちケースレイアウトにて設置されるが、前記系統制御装置4はショーケースS等の設置台数に合わせて必要台数主制御装置3に接続する。」(4頁左欄11行〜16行)、

エ.「【0025】系統制御装置4のマイクロコンピュータ41は、例えば1分間に一回自らに接続されている最大30台の端末側制御装置6のマイクロコンピュータ54に対してボーリングを行う。端末側制御装置6のマイクロコンピュータ54は系統制御装置4からボーリングされると、自らのチャンネルナンバー及びセンサーIDと共にRAM57内に保存していた運転状態に関するデータを送受信手段58より系統制御装置4に送信する。系統制御装置4は送受信手段46によりこの運転状態に関するデータを受信し収集して、各端末側制御装置6毎に、即ちチャンネル別に最大30台分の運転状態に関するデータをRAM43内に格納する。このRAM43内の運転状態に関するデータは次回のボーリングによって端末側制御装置6よりデータが送信されることにより更新される。また、端末側制御装置6から送信されたデータの中に前記警報情報が含まれている場合には、マイクロコンピュータ41はLED表示部51を点灯させて外部に表示する。
【0026】主制御装置3のマイクロコンピュータ24は、系統制御装置4が各端末側制御装置6からのデータの収集を完了した時期に合わせて、やはり1分間に一回系統制御装置4にボーリングを行う。系統制御装置4のマイクロコンピュータ41は主制御装置3からボーリングされると、自らのチャンネルナンバーと共にRAM43内に保存している最大30台分のショーケースS等の運転状態に関するデータを送受信手段44より主制御装置3に送信する。主制御装置3は送受信手段29によりこの運転状態に関するデータを受信し収集して、各端末側制御装置6毎に、即ちチャンネル別に最大150台分の運転状態に関するデータをRAM27内に格納する。このRAM27内の運転状態に関するデータは同様に次回のボーリングによって系統制御装置4より運転状態に関するデータが送信されることにより更新される。」(5頁右欄14行〜46行)、

オ.「【0029】一方、中央管理装置2のマイクロコンピュータ7は、主制御装置3が各系統制御装置4からのデータの収集を完了した時期に合わせて、やはり1分間に一回主制御装置3にボーリングを行う。主制御装置3のマイクロコンピュータ24は中央管理装置2からボーリングされると、RAM27内に保存している最大150台分のショーケースS等の運転状態に関するデータを送受信手段28より中央管理装置2に送信する。
【0030】中央管理装置2は送受信手段13によりこの運転状態に関するデータを受信し収集して、各端末側制御装置6毎に、即ちチャンネル別に最大150台分の運転状態に関するデータをハードディスク8内に保存する。また、ハードディスク8には24時間分の各端末側制御装置6の運転状況に関するデータを常時保存し、24時間を越える分のデータを1分毎に更新して行く。」(6頁左欄29行〜43行)、

カ.「【0032】この商品レイアウト画面において運転状態を表示したいショーケースSが収納している商品の枠、例えば鮮魚の枠をマウス22で選択すると、マイクロコンピュータ7はハードディスク8内のケースレイアウトの情報に基づいて、この鮮魚の枠付近のショーケースS個々のレイアウトを示す図9のケースレイアウト画面をディスプレイ19に表示する。このケースレイアウト画面では1つの枠が1台乃至3台のショーケースSを示し、枠内には各ショーケースSのチャンネルナンバーも示される(端末側制御装置6に関してはショーケースS等1台について3台まで設定できる)。
【0033】次にこのケースレイアウト画面において運転状態を表示したいショーケースS、例えばチャンネルナンバーA01をマウス22で選択すると、マイクロコンピュータ7は図10のケース情報画面をディスプレイ19に表示する。この画面において通常データ、データ表示を選択すると図11のデータ表示画面に移動する。このデータ表示画面ではマイクロコンピュータ7はハードディスク8内に保存している当該チャンネルナンバーA01のショーケースSの各種運転条件の設定値、及び現時点の運転状態に関するデータをディスプレイ19に表示する。また、ハードディスク8内には過去24時間分の運転状態に関するデータが保持されているので、このデータ表示画面の最上部の時刻エリアの時刻をキーボード21で変更することにより、マイクロコンピュータ7は当該時刻の運転状態をディスプレイ19に表示する。」(6頁右欄23行〜49行)、

キ.「【0035】また、図11のデータ表示画面においてキーボード21を操作することにより、図12のグラフ表示に移行する。このグラフ表示画面では、マイクロコンピュータ7はハードディスク8内に保持されている過去24時間の前記チャンネルナンバーのショーケースSの庫内温度等の運転状態のデータを加工し、その推移をグラフにしてディスプレイ19に表示する。これによってショーケースSの運転状態の履歴を容易に確認することができる。また、キーボード21からの指令によりマイクロコンピュータ7はこれらのデータ、及びグラフ表示をプリンタ18に印字(プリント出力)する。」(7頁左欄11行〜21行)。

上記カ.および図10の記載より、ケース情報画面には、レイアウト画面において選択されたショーケースの機種名、すなわちショーケース情報が表示されている。

前記記載事項、図面並びに技術常識からみて、引用例1には、
「店舗内に設置してあり運転状況データを送信すべくなしてあるショーケースから、前記店舗の警備員室等に設置してある中央管理装置へ送信した運転状況データに基づいて中央管理装置が前記ショーケースを遠隔管理するシステムにおいて、
前記中央管理装置は、送信された運転状況データを記憶する手段と、記憶した運転状況データを表示する表示手段とを備え、
店舗に設置してあるショーケースに係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段を具備し、
レイアウトにおいて、オペレータがショーケースを指定すると、該ショーケースのショーケース情報を表示することを特徴とする遠隔管理システム。」の発明(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されている。


例えば、原審の拒絶の理由に引用された特開平1-236393号公報(以下、「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ク.「第1図は、本発明の実施例によるPOSシステム1のブロック図である。なお、従来の技術の項で説明した第10図と同一のものには、同一の符号を付してある。
POSシステム1は、POS端末装置2,2・・・と、端末制御装置3と、これらを接続するための通信制御装置4及び通信回線5とによって構成されている。
POS端末装置2は、商品に付されたコードマークを光学的に読み取るための光学読み取り装置6と、ECR(電子キャッシュレジスター)7とからなっている。
端末制御装置3は、ストアコントローラ8、及び、ストアコントローラ8に接続されたCRT表示部15、プリンタ16、キーボード17からなる。
ストアコントローラ8は、主記憶装置、磁気ディスクやフロッピィディスクなどの補助記憶装置、制御装置、及び演算装置などのハードウエアからなっている。
ストアコントローラ8は、各POS端末装置2から送られてくる毎日のPOS情報を格納する売上情報ファイル9、PLUテーブルなど商品(単品)の属性情報が格納された商品マスターファイル10、商品情報を種々のフォーマットで出力するための情報出力ファイル11、売上情報ファイル9と商品マスターファイル10とを基にして編集生成される項目別管理ファイル12、これらのファイルに対して読み書きを行うとともに種々のデータ処理を行って出力情報を作成するデータ処理部13が設けられている。
情報出力ファイル11は、画面表示又は印刷を行うために、上述の商品マスターファイル10や項目別管理ファイル12を参照することによって書き込まれるファイルであり、これには、単品別の売上ベスト、売上ワースト、売上ゼロ、価格帯売上、日毎売上、8週毎売上、累計売上などの単品別出力ファイル、部門別の価格帯売上などの部門別出力ファイル、及び、商品グループ別の時間帯売上や日毎売上などのグループ別出力ファイルなど、商品管理に必要な各種の出力ファイルが含まれている。
項目別管理ファイル12には、日別、週別、月別、価格帯別などの管理ファイルがあり、これらの各管理ファイルには、POS端末装置2から得られた商品に関する時系列データ、例えば時間毎、日毎、週毎、月毎の売上数量、売上金額、仕入れ数量、仕入れ金額などが、商品(単品)毎に格納される。」(3頁右下欄12行〜4頁左下欄1行)、

ケ.「データ処理部13には、更新書き込み処理部14a及び履歴読み出し処理部14bが設けられている。
更新書き込み処理部14aは、項目別管理ファイル12のそれぞれの管理ファイルの単品レコード12a、bの内容の書き替えや更新を行う。そのタイミングは、書き込むべきデータが発生したそのとき、又はその日の閉店後の適当な時間などである。
履歴読み出し処理部14bは、単品(商品)が指定され、その単品についての時系列データをCRT表示部15又はプリンタ16で出力する場合に、項目別管理ファイル12の内の該当する管理ファイルの中から、指定された単品の単品レコードの内容を読み出す。」(5頁左下欄9行〜右下欄3行)、

コ.「第5図は、項目別管理ファイル12を更新する処理動作を示すフローチャートである。
まず、ステップ#1において、売上情報ファイル9からデータを読み込む。
次に、項目別管理ファイル12から、該当する単品レコードを読み込む(ステップ#2)。
単品レコードの更新日付フィールドFLDを、データの発生した日付により更新する(ステップ#3)。
日別テーブル更新ルーチン、週別テーブル更新ルーチン、月別テーブル更新ルーチンをそれぞれ実行する(ステップ#4、#5、#6)。
更新された単品レコードにより項目別管理ファイル12を更新し(ステップ#7)、ステップ#1に戻って売上情報ファイル9から次のデータを読み込む。
第6図は、上述の日別テーブル更新ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ#11において、該当日の日別テーブルTBDにデータを書き込む。
前回に更新された日付の翌日から今回の更新日付の前日までの日別テーブルTBDのデータをクリアし、同時に日付を書き替える(ステップ#12)。
第7図は、上述の週別テーブル更新ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ#21において、読み込まれたデータ日付と同一週番号の週別テーブル(図示せず)があるか否かが判断される。
イエスの場合は、該当する週別テーブルの内容を書き替える(ステップ#22)。
ノーの場合は、週別テーブルに格納されたデータを順次シフトし、新しい週別テーブルに読み込まれたデータを格納する(ステップ#23)。」(6頁右下欄2行〜7頁左上欄15行)、

サ.「また、売上データの格納や売上の時系列データの表示にとどまらず、発注、仕入れ、加工、品出しなど、種々の時系列データの格納や表示を行い、総合的な商品管理を行うことが可能である。
上述の実施例においては、出力情報として単品8週間分析表32について説明したが、時間毎、日毎、週毎、月毎、売り場毎、店舗毎、価格帯毎の売上など、種々の出力情報とすることができ、必要であれば複数の画面や紙面に渡って表示してもよい。」(7頁右下欄8行〜17行)。

上記コ.の週別テーブルで書き替えられる内容は、売上情報ファイルからのデータを同一週番号毎に集計したものであることは明らかであり、上記サ.において、種々の出力情報である、時間毎、日毎、、週毎、月毎、売り場毎、店舗毎、価格帯毎の売上などは、それぞれの出力情報毎に集計する形態、すなわち、集計条件を変更したものであるから、
前記記載事項、図面並びに技術常識からみて、
「売上データである時系列データの集計結果を、種々の集計条件に基づいた出力情報として出力して管理を行う」ことは周知の事項(以下、「周知技術1」という。)である。


例えば、特開平5-342460号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。
シ.「【0003】図9において、1は自動販売機、2はデータ収集用携帯機、6は自動販売機1内のコントロール部、7は同じく稼動データ記憶部であって、コントロール部6より商品を販売ごとに計数し、記憶する。
【0004】8は外部インターフェース部であって、データ収集用携帯機2と信号ケーブル9を介して接続され、稼動データ記憶部7のデータの入出力をする。データ収集用携帯機2中に配された2′で示すキー入力部よりデータ収集の起動をかけることにより信号ケーブル9と外部インターフェース部8を介してコントロール部6へ稼動データの送出を要求することによって、稼動データ記憶部7中のデータは外部インターフェース部8および信号ケーブル9を介してデータ収集用携帯機2内のメモリに記憶される。
【0005】以下同様にして複数の自動販売機よりデータ収集用携帯機2に稼動データを収集した後、このデータ収集用携帯機2を営業所に持ち帰り、インターフェース3と信号ケーブル9を介してコンピュータ4へ収集した稼動データを送信する。コンピュータ4は入力された稼動データをもとに自動販売機ごとの売上や全売上集計等の集中的な売上管理を行うものであり、その結果はプリンタ5によって記録紙5Aに記録される。」(2頁左欄46行〜右欄17行)。

前記記載事項、図面並びに技術常識からみて、
「売上管理において、機器ごとの売上や全売上集計を行う」ことは周知の事項(以下、「周知技術2」という。)である。


例えば、特開平6-76188号公報(以下、「周知例3」という。)には、次の事項が記載されている。
ス.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御装置に対して複数の端末器を多重接続方式で接続し、制御装置と端末器との間でのデータ伝送によって端末器に接続された機器の監視・制御を行うようにした遠隔監視制御システムに用いられ、制御装置に接続されて、各機器の動作状態の表示や各機器の操作を行うことができる表示操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、いわゆるインテリジェントビルのような造営物の動力・受配電システムや照明・空調システムなどにおいて各機器の動作状態などを一箇所で集中管理できるように、遠隔監視制御システムを用いて各機器の監視・制御を行うことが考えられている。また、システムを構成する機器の数が非常に多い場合には、機械室などで全体としての一括管理を行うほかに、各フロアごとなどで分散管理を行うことが考えられている。」(2頁左欄29行〜46行)、

セ.「【0019】グラフィック画面P3を表示するように選択すると、図4に示すような各機器のレイアウトなどを図形表示したグラフィック画面P3が表示される。図4に示したグラフィック画面P3では「5階南機械室」の機器のレイアウトが表示されるのであって、機械室の外形、入口の位置、各機器の名称および位置が表示される。グラフィック画面P3では、画面の左下部に設定されたカーソルキーS11,S12に触れることによって、画面繰りを行い、他の場所での機器のレイアウトを順次表示できるようになっている。また、メニュー画面P2と同様に、ブザー解除用のスイッチS1が設定され、さらに、「メニュー画面」の文字が枠に囲まれて右下隅に表示され、タッチスイッチ42の対応領域がメニュー画面P2に戻るためのスイッチS13として機能する。」(4頁左欄49行〜右欄12行)。

上記セ.の記載において、「機械室の外形、入口の位置」は、機器が配置されている配置領域であるから、
前記記載事項、図面並びに技術常識からみて、
「遠隔管理システムにおいて、配置領域及びそこに配置してある機器のレイアウトを表示する」ことは周知の事項(以下、「周知技術3」という。)である。


(3)対比・判断
(a)引用例1に記載された発明の「店舗」、「設置」は、それぞれ本願補正発明の「配置領域」、「配置」に相当する。
(b)引用例1に記載された発明の「運転状況データ」は、上記エ.、オ.の記載より1分毎に送信されるデータであるから、本願補正発明の「時系列データ」に相当する。
(c)引用例1に記載された発明の「ショーケース」は、本願補正発明の「機器」に相当する。
(d)引用例1に記載された発明の「店舗の警備員室等に設置してある中央管理装置」は、該「中央管理装置」が本願補正発明の「中央装置」であり、さらに該警備員室が遠隔管理されるショーケースから離れて配置されることは明らかであるから、本願補正発明の「配置領域から離隔して設置してある中央装置」に相当する。
(e)引用例1に記載された発明の「記憶した運転状況データを表示する表示手段」は、上記(b)を勘案して、「記憶した時系列データを表示する表示手段」であり、本願補正発明の「該第1設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段」とは、いずれも記憶した時系列データに基づく管理対象のデータを表示する手段であるから、「記憶した時系列データに基づく管理データを表示する表示手段」である点で一致する。

そうしてみると、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、
「配置領域内に配置してあり時系列データを送信すべくなしてある機器から、前記配置領域から離隔して設置してある中央装置へ送信した時系列データに基づいて中央装置が前記機器を遠隔管理するシステムにおいて、
前記中央装置は、送信された時系列データを記憶する手段と、記憶した時系列データに基づく管理データを表示する表示手段とを備え、
配置領域に配置してある機器に係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段を具備し、
レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示することを特徴とする遠隔管理システム。」である点で一致し、

以下の点で相違する。
(A)本願補正発明では、「記憶した時系列データを集計する集計手段」を備えているのに対して、引用例1に記載された発明では、このような構成を備えていない点、
(B)本願補正発明では、「機器に係る集計条件を含む集計条件を前記集計手段に設定する第1設定手段」を備えているのに対して、引用例1に記載された発明では、このような構成を備えていない点、
(C)「記憶した時系列データに基づく管理データを表示する表示手段」について、本願補正発明では、「該第1設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段」であるのに対して、引用例1に記載された発明では、単に「記憶した時系列データを表示する表示手段」である点、
(D)本願発明では、「前記集計結果表示手段は、前記配置領域及びそこに配置してある機器に係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段を具備」するのに対し、引用例1に記載された発明では、「配置してある機器に係るレイアウト表示手段を具備」してはいるが、編集結果表示手段が具備するものでなく、さらに配置領域を表示するものでない点。

次に、前記相違点(A)〜(D)について検討する。
相違点(A),(B),(C)について
どの様な時系列データに基づいて機器を管理するかは、機器の何を管理するかに応じて適宜選択される事項であり、「売上データである時系列データの集計結果を、種々の集計条件に基づいた出力情報として出力して管理を行う」ことが周知技術1にあるように本願出願前周知であるから、引用例1に記載された発明において、時系列データの集計結果に基づいた管理を行うように構成して、「記憶した時系列データを集計する集計手段」を備えるように構成することに、格別困難な点は認められない(相違点(A)について)。
また、上記周知技術1にある「種々の集計条件に基づいた出力情報」の中からどの出力情報を出力するかを集計条件の設定により選択できるように構成することは必要に応じて適宜なし得る事項であり、さらに、「売上管理において、機器ごとの売上や全売上集計を行う」ことは周知技術2にあるように本願出願前周知であるから、引用例1に記載された発明において、時系列データの集計結果に基づいた管理を行う際に「機器に係る集計条件を含む集計条件を集計手段に設定する設定手段」を備えるように構成することに格別困難な点は認められず、該「設定手段」を「第1設定手段」と称することは設計事項にすぎない(相違点(B)について)。
そして、引用例1に記載された発明において、集計結果に基づいた管理を行うように構成した際に、「記憶した時系列データを表示する表示手段」について、「該第1設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段」とすることは、必要に応じて適宜なし得る事項である(相違点(C)について)。

相違点(D)について
配置してある機器に係るレイアウトを表示する際に、配置領域も併せて表示することは周知技術3にあるように、本願出願前周知であり、引用例1に記載された発明の「レイアウト表示手段」において、配置領域を表示するように構成することは、適宜なし得る事項にすぎない。
そして、表示画面内に複数の項目を同時に表示することは、適宜なし得る事項にすぎず、引用例1に記載された発明において、「記憶した時系列データを表示する表示手段」が「レイアウト表示手段」を具備するように構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。


そして、本願発明の作用効果も、引用例1に記載された発明および周知例1〜3に示される周知技術1〜3から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は引用例1に記載された発明および周知技術1〜3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。


第3.本願発明
(1)本願発明について
平成14年11月27日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年3月29日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。

「【請求項1】
配置領域内に配置してあり時系列データを送信すべくなしてある機器から、前期配置領域から離隔して設置してある中央装置へ送信した時系列データに基づいて中央装置が前記機器を遠隔管理するシステムにおいて、
前記中央装置は、送信された時系列データを記憶する手段と、記憶した時系列データを集計する集計手段と、機器に係る集計条件を含む集計条件を前記集計手段に設定する第1設定手段と、該第1設定手段が設定した集計条件に従って前記集計手段が集計した結果を表示する集計結果表示手段とを備え、
前記集計結果表示手段は、前記配置領域及びそこに配置してある機器に係るレイアウトを表示するレイアウト表示手段を具備することを特徴とする遠隔管理システム。」(以下、「本願発明」という。)。

(2)引用例
原審の拒絶の理由で引用された引用例1およびその記載事項、引用例1に記載された発明は、前記「第2.(2)」に記載したとおりである。
原審の拒絶の理由で引用された周知例1および周知例1の記載事項、周知技術1は前記「第2.(2)」に記載したとおりである。
周知例2および周知例2の記載事項、周知技術2は前記「第2.(2)」に記載したとおりである。
周知例3および周知例3の記載事項、周知技術3は前記「第2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記第2.で検討した補正後の発明の、「レイアウト」について、「レイアウトにおいて、オペレータが機器を指定すると、該機器の機器情報を表示する」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正後の発明が、前記「第2.(3)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術1〜3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、前記引用例1に記載された発明及び周知技術1〜3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術1〜3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2005-03-09 
結審通知日 2005-03-15 
審決日 2005-03-28 
出願番号 特願平8-109214
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04Q)
P 1 8・ 575- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩原 義則須田 勝巳  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 衣鳩 文彦
望月 章俊
発明の名称 遠隔管理システム  
代理人 芝野 正雅  

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