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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1116963
審判番号 不服2003-7094  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-24 
確定日 2005-05-12 
事件の表示 特願2000- 79076「電話発信者の音声認識によるインターネットホームページ自動表示機能を具備したコールセンター・システム、ホームページ名の管理方法、及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月24日出願公開、特開2001-229008〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年2月16日の出願であって、平成15年2月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年3月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年3月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)新規事項の追加の有無について
平成15年3月24日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)の内容は、特許請求の範囲の請求項1、2、4の記載を、
「【請求項1】電話発信者の音声をキーワードとして認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができる着信呼専用のコールセンター・システムであって、一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する電話交換手段と、不特定多数の発信者の音声を認識する音声認識手段と、発信者が求めるホームページ情報を蓄積保存するホームページ情報管理手段と、インターネット網との接続によりホームページに掲載された情報を取得するインターネット網接続手段と、インターネット網から取得された情報を、受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示するインターネット情報表示手段とを備えた事を特徴とする、インターネットホームページ自動表示機能付きインバウンド・コールセンター・システム。」、
「【請求項2】電話発信者の音声をキーワードとして認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができるようになる、着信呼専用の処理方法であって、着信呼から発信者電話番号通知情報を取得する発信者電話番号取得工程と、不特定多数の発信者の音声を認識する音声認識工程と、発信者が求める情報が取得できるホームページ名を検索するインターネットホームページ検索工程と、検索されたホームページ名をもとに発信者が求める情報をインターネット網から取得するインターネット接続工程と、取得されたインターネット情報を、受信者が操作する画面表示制御部に対して、自動的に表示するインターネット情報表示工程とを含むことを特徴とする、インバウンド・コールセンター向けインターネットホームページ自動表示方法。」、
「【請求項4】電話発信者の音声をキーワードとして認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができるようにするための、着信呼の処理用プログラムをコンピュータ上で動作させるために記録した記録媒体であって、該プログラムはコンピュータに発信者の電話番号を取得させ、発信者の音声キーワードを認識させ、発信者が求める情報を含むホームページを検索させ、発信者が求める情報をインターネット網経由で取得させ、取得されたインターネット情報を受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示させ、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して入手できるようにすることを特徴とする、インバウンド・コールセンター向けインターネットホームページ自動表示プログラムを記録した記録媒体。」
と補正することを含むものである。

上記補正内容のうち、請求項1において、「着信呼専用のコールセンター・システム」及び「インバウンド・コールセンター・システム」とすること、請求項2において、「着信呼専用の処理方法」及び「インバウンド・コールセンター向けインターネットホームページ自動表示方法」とすること、及び、請求項4において、「インバウンド・コールセンター向けインターネットホームページ自動表示プログラムを記録した記録媒体」とすることについて検討する。
確かに、出願当初の明細書又は図面には、インターネット上のホームページを自動的に表示する端末は、「受信側」として記載されている。
しかしながら、出願当初の明細書又は図面には、上記の「受信側」として記載されている端末を、発信することを行わないもの、すなわち、着信呼専用のものとするということは、記載も示唆もされていない事項である。
したがって、本件手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとは認められず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)独立特許要件について
仮に、本件手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとした場合、補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(2-1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「電話発信者の音声をキーワードとして認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができる着信呼専用のコールセンター・システムであって、一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する電話交換手段と、不特定多数の発信者の音声を認識する音声認識手段と、発信者が求めるホームページ情報を蓄積保存するホームページ情報管理手段と、インターネット網との接続によりホームページに掲載された情報を取得するインターネット網接続手段と、インターネット網から取得された情報を、受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示するインターネット情報表示手段とを備えた事を特徴とする、インターネットホームページ自動表示機能付きインバウンド・コールセンター・システム。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「電話発信者の音声を認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネットホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して、自動的に表示する装置」を「電話発信者の音声をキーワードとして認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができる着信呼専用のコールセンター・システム」と限定し、「インターネットホームページ自動表示機能付きコールセンター・システム」を「インターネットホームページ自動表示機能付きインバウンド・コールセンター・システム」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(なお、「発信者電話番号情報」を「発信者電話番号通知情報」に補正した点は、実質的な変更がないものと認められる。)
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2-2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-133847号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
A.「【発明の属する技術分野】本発明は、移動(携帯)端末装置において入力された通話音声等の音声を認識しその認識結果に基づいてデータベースを検索する技術、及びインターネット上等のリソースにアクセスする技術に関する。」(第3頁右欄第33〜37行)
B.「【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、PHS機能が組み込まれた移動端末において、通話時に又はオフライン状態でマイクから入力された音声信号が、PHS網からインターネットを介して特定の音声サービスプロバイダ内のLANに接続される音声制御ホスト装置に送られ、そこで上記音声信号が認識された後、その認識結果が自動的に分類され、その分類結果に基づいてインターネット上の特定のデータベース検索エンジンがアクセスされ、そこでのデータベースが検索される。この結果、音声制御ホスト装置は、移動端末で入力された音声の内容に関連するデータベース情報をインターネットから取得し、それをリアルタイムに移動端末に返送する。このデータベース情報は、移動端末で入力された音声の内容に関連するキーワードを含むインターネット上のホームページ等の各種リソースに対する統一形式アクセス情報であるURLが記述されているハイパーテキストを含むHTML文章(検索結果HTML文章データ)として表現される。移動端末は、この検索結果HTML文章データを受信すると、ホームページの閲覧のためのブラウザアプリケーションを起動し、上述の検索結果HTML文章データをホームページ形式で表示する。移動端末のユーザは、ハイパーテキストの一部として表示されたアンカー(テキストアンカー又はグラフィックスアンカー)を電子ペンでタッチ等して選択することによって、そのアンカーと共にハイパーテキストに含まれるURLに対応するインターネット上のホームページやJavaアプレットやファイルやホスト装置のログインアカウント等の各種リソースにアクセスし、移動端末に転送する必要のある場合には、それらのリソースを、移動端末101に転送した後、表示、実行、又は蓄積することができる。このように、本実施の形態では、移動端末は、高度な音声認識環境を設備する必要がなく実用的な精度を有する音声認識機能の提供を低コストで受けることができ、かつインターネット上のデータベースの対話的検索機能をも装備することができることが、本発明に関連する大きな特徴である。
<システム構成>図1は、本発明の実施の形態の全体システム構成図である。」(第6頁左欄第33行〜右欄第22行)
C.「【0049】パケット送受信部115は、受信したTCP/IPパケットに格納されている音声データを取り出し、それを音声制御ホスト装置108内の移動端末通信制御部116に引き渡す。
【0050】移動端末通信制御部116は、引き渡された音声データを文音声認識部117に引き渡す。文音声認識部117は、引き渡された音声データに対し文音声認識処理を実行し、認識結果である認識音声文章データを検索制御部118に引き渡す。検索制御部118は、認識音声文章データを、移動端末101別にインデックス分類し、その結果得られる検索インデックスに基づき不要キーワード辞書を参照しながら検索キーワードを抽出する。そして、検索制御部118は、インターネット105上の予め登録されている特定のデータベース検索エンジンに対して、検索キーワードによる問合せを依頼する。その結果、検索制御部118は、データベース検索エンジンから返される検索結果に基づき検索結果HTML文章データを生成し、それを移動端末通信制御部116に引き渡す。この検索結果HTML文章データは、移動端末101で入力された音声の内容に関連する上記検索キーワードを含むインターネット105上の任意のホームページ等の各種リソースに対する統一形式アクセス情報であるURL(Uniform Resource Locator)が記述されているハイパーテキストを含むハイパーテキストマークアップランゲージHTMLである。
【0051】今、例えば、移動端末101におけるPHS通話において、図17に示されるような会話がやりとりされたとする。これに対して、文音声認識部117は、途中経過として、図18に示されるような認識音声文章データを出力する。なお、“*”は、文音声認識部117によって付加される単語の区切りである。この認識音声文章データを入力した検索制御部118は、途中経過として、例えば、図19に示されるような検索インデックスを作成して、その中で例えば出現回数が2回を超えた単語“時計”及び“カシオ”を、検索キーワードとして抽出する。そして、この検索キーワード(アンド条件)によるインターネット105上の特定のデータベース検索エンジンに対する問合せの結果として、図20に示されるような検索結果HTML文章データを生成する。このHTMLデータにおいて、例えば、“カシオホームページ”がカシオホームページに対応するハイパーテキストで、"http://www.casio.co.jp/"が上記ホームページのURLを示し、“カシオホームページ”がそのURLにアクセスするためのテキストアンカーを示している。上記URLは、アドレス情報“www.casio.co.jp/”と、そのアドレスのリソースにアクセスするための通信プロトコル情報“http”とを含む。また、それに続く“
”以降の文章が、上述のデータベース検索エンジンから自動的に得られる説明文である。なお、“<”と“>”で囲まれた記号は、表示制御用の記号である。」(第7頁右欄第37行〜第8頁左欄第37行)
D.「【0141】なお、PHS通話時にも音声制御ホスト装置108等へのアクセスを可能とするために、移動端末101は、例えば2チャネル同時通信機能を有するように構成することができる。」(第15頁右欄第11〜14行)

上記A〜Dの記載を参照すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。)
「電話通話者の音声をキーワードとして認識することにより、電話通話者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話通話者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、電話通話者が必要とする情報を入手することができるシステムであって、不特定多数の電話通話者の音声を認識する音声制御ホスト装置内の文音声認識部と、電話通話者が求めるホームページ情報を蓄積保存するホームページ情報管理手段と、インターネット網との接続によりホームページに掲載された情報を取得するインターネット網接続手段と、インターネット網から取得された情報を、電話通話者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示するインターネット情報表示手段とを備えたインターネットホームページ自動表示機能を有するシステム。」

(2-3)対比
本願補正発明と引用例記載の発明とを対比すると、本願補正発明における「電話発信者」と「電話受信者」は、ともに電話で音声による通話を行う者であり、「電話通話者」であることには変わりない。
また、引用例記載の発明における「文音声認識部」は、本願補正発明における「音声認識手段」に対応する構成である。
よって、本願補正発明と引用例記載の発明とは、ともに、
「電話通話者の音声をキーワードとして認識することにより、電話通話者が求める情報を含むインターネット上のホームページを、電話通話者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示し、電話通話者が必要とする情報を入手することができるシステムであって、不特定多数の電話通話者の音声を認識する音声認識手段と、電話通話者が求めるホームページ情報を蓄積保存するホームページ情報管理手段と、インターネット網との接続によりホームページに掲載された情報を取得するインターネット網接続手段と、インターネット網から取得された情報を、電話通話者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示するインターネット情報表示手段とを備えたインターネットホームページ自動表示機能を有するシステム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:「システム」が、本願補正発明においては、「着信呼専用のコールセンター・システム」であり、「インターネットホームページ自動表示機能付きインバウンド・コールセンター・システム」であって、「一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する電話交換手段」を備えるのに対し、引用例記載の発明においては、単に「インターネットホームページ自動表示機能を有するシステム」であり、「一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する電話交換手段」を備えていない点。
相違点2:本願補正発明においては、その音声をキーワードとして認識する対象者及び情報を求めている者が「電話発信者」であり、画面表示制御部を操作する者が「電話受信者」であり、「発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができる」ようにしているのに対し、引用例記載の発明においては、その図17の会話内容の記載から、会話する相手方がホームページからの情報を口答で入手することができると読み取れるものの、会話する相手方が「電話発信者」であり、画像を得ている者が「電話受信者」であるかどうかは特定されない点。
相違点3:「音声認識手段」が、本願補正発明においては、「インバウンド・コールセンター・システム」内にあるのに対し、引用例記載の発明においては、「音声制御ホスト装置」内にあり、そのために、接続時に「音声制御ホスト装置」に対しての通話発信処理が必要であると解される点。

(2-4)判断
そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1について)
一般に、「電話交換手段」を備えるコールセンターは、周知(必要であれば、例えば、特開2000-20583号公報等を参照されたい。)であり、また、コールセンターにおいて「一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する」ようにすることも、周知(必要であれば、例えば、特開平11-155020号公報等を参照されたい。)の事項にすぎず、さらに、コールセンターとして、着信呼専用の「インバウンド・コールセンター」は、コールセンターの周知の一態様にすぎないから、引用例記載の発明のシステムを、「一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号通知情報を取得する電話交換手段」を備える、着信呼専用の「インターネットホームページ自動表示機能付きインバウンド・コールセンター・システム」とすることは、当業者が適宜になし得ることにすぎないものと認められる。

(相違点2について)
引用例記載の発明において、引用例のDの記載にあるように、2チャネル同時通信機能を有する移動端末がPHS通話時に音声制御ホスト装置へアクセスする場合、該移動端末が音声制御ホスト装置へのアクセスと同時に行う別のPHS通話を、発信者として行うか受信者として行うかは、どちらの場合も可能であるので、本願補正発明のように、その音声をキーワードとして認識する対象者及び情報を求めている者を「電話発信者」とし、画面表示制御部を操作する者を「電話受信者」とし、「発信者が必要とする情報を受信者から会話を通して口頭で入手することができる」ような構成とすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

(相違点3について)
一般に、電話通信を行う端末装置において、該端末装置に音声認識手段を設けて相手方からの会話音声を音声認識してキーワードを抽出し、その抽出したキーワードによりWeb検索を行うようにすることは、周知(必要であれば、例えば、特開平11-252281号公報等を参照されたい。)の技術にすぎず、また、コールセンターが、特開2000-20583号公報や特開平11-155020号公報等に見られるように、一般に、顧客からの問い合わせに応じて、種々の検索をして回答するものであることに鑑みれば、引用例記載の発明において、端末側に「音声認識手段」をおいて、インターネット網側に対しては通話発信処理をせずにデータ通信のみを行うようなコールセンター・システムとすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明及び上記周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
上記(1)、(2)で検討したとおり、本件手続補正は、特許法第17条の2第3項、あるいは第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成15年3月24日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年9月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「電話発信者の音声を認識することにより、発信者が求める情報を含むインターネットホームページを、電話受信者が操作する画面表示制御部に対して、自動的に表示する装置であって、一般公衆電話網から着信する呼から発信者電話番号情報を取得する電話交換手段と、不特定多数の発信者の音声を認識する音声認識手段と、発信者が求めるホームページ情報を蓄積保存するホームページ情報管理手段と、インターネット網との接続によりホームページに掲載された情報を取得するインターネット網接続手段と、インターネット網から取得された情報を、受信者が操作する画面表示制御部に対して自動的に表示するインターネット情報表示手段とを備えた事を特徴とするインターネットホームページ自動表示機能付きコールセンター・システム。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記2.(2-2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.(2)で検討した本願補正発明の限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、特定の要件に限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(2-4)に記載したとおり、引用例記載の発明及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例記載の発明及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-15 
結審通知日 2005-03-22 
審決日 2005-03-28 
出願番号 特願2000-79076(P2000-79076)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土谷 慎吾篠塚 隆戸次 一夫  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 長島 孝志
衣鳩 文彦
発明の名称 電話発信者の音声認識によるインターネットホームページ自動表示機能を具備したコールセンター・システム、ホームページ名の管理方法、及び記録媒体  
代理人 石川 泰男  

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