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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1116964
審判番号 不服2003-5812  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-08-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-04 
確定日 2005-05-12 
事件の表示 特願2001- 75026「インターネット網上で音声通話を可能とするインターネットIP電話交換システム、また、シリアル番号を持つことを特徴とするインターネットIP電話通信専用端末、当該IP電話専用端末のIPアドレス管理方式、当該IP電話専用端末と一般電話間で受発信する時の自動受発信方式、及び記録媒体。」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月23日出願公開、特開2002-237907〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年2月9日の出願であって、平成15年2月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年3月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年3月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「シリアル番号を認証処理で利用することにより、インターネット網上で装置の特定ができる事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置をインターネット網に接続することにより、インターネット網経由で音声通信することを可能とする電話交換システムであって、DSP制御部、電話機器部、画面表示部、操作入力部、変調復調部、中央制御部からなるインターネットIP電話通信専用装置と、当該インターネットIP電話通信専用装置がインターネット網に接続されている時のIPアドレスの割当状況を管理するインターネット電話接続管理手段と、当該インターネットIP電話通信専用装置と一般電話公衆網上の電話機とをインターネット網を経由して受発信する時の自動受発信機能を有する電話番号自動受発信手段とを備えた事を特徴とするインターネットIP電話交換システム。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「シリアル番号を持つ事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置」を「シリアル番号を認証処理で利用することにより、インターネット網上で装置の特定ができる事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置」に限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(なお、「インターネットIP電話通信専用装置」を「当該インターネットIP電話通信専用装置」に補正した点は、実質的な変更がないものと認められる。)
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例及び周知例
原査定の拒絶の理由に引用された特表平11-515148号公報(以下、「引用例1」という。)、特開2000-236356号公報(以下、「引用例2」という。)、及び、原査定の備考欄において周知例として引用された国際公開第99/27693号パンフレット(パテントファミリーである特表2001-524781号公報参照、以下、「周知例」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例1)
A.「本発明は、一般的にデータ処理システム、特にコンピュータ・ネットワーク上でのオーディオ通信を容易化する方法と装置に関する。」(第5頁第4〜5行)
B.「一実施例において、システム10は第1ユーザーから第2ユーザーに少なくともボイス信号を伝送する第1処理ユニット12を含む。第1処理ユニット12はプロセッサ14、メモリー16、入力デバイス18、及び出力デバイス20を含む。出力デバイス20は、少なくとも例えば14.4キロボーの通信ができ、インターネット、又はイントラネット、つまりプライベートなコンピュータ・ネットワークの如き他のコンピュータ・ネットワークに、有線、又は無線で接続できるモデムを含む。当業者なら、入力デバイス18は、通信接続からの入力信号を受領させるため、出力デバイス20のモデムにより部分的に少なくとも実行されることを理解できよう。第2の処理ユニット22は、プロセッサ、メモリー、及び入力デバイス、及び第1の処理ユニットについて上記したように少なくとも1つのモデムと関連する通信接続を含む出力デバイスを有することができる。1実施例において、各処理ユニット12及び22は、ここで説明するように、開示されたポイント・ツー・ポイントのインターネット・プロトコル、及びシステム10を遂行する能力のあるフロリダ州ボカ・ラトンのNet Speak Corporationから入手できるWEBPHONE(商標)インターネット電話システムを実行できる。
第1処理ユニット12、第2処理ユニット22は、通信デバイス、及び当業者に知られるインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)、又はインターネット・ゲートウェイのようなソフトウェアによって、インターネット24と動作状態で接続されている。処理ユニット12、22は、インターネット24を介して接続サーバー26に動作状態で相互接続でき、かつ、インターネット24と対応したメール・サーバー28にも動作状態で接続される。
接続サーバー26は、プロセッサ30、タイムスタンプを生成させる時計32、及び、例えばE-メール及びログインされたユニットのIPアドレスを貯えるデータベース34の如きメモリーを含む。」(第8頁第7行〜第9頁第3行)
C.「入力デバイス18は、例えば、第1処理ユニット12を操作するために複数のオペレーティング・モードから選択するためのコマンドを入力するためのユーザーにより起動されるボタンを少なくとも有する、ユーザー・インターフェイス(図示されていない)を有しうる。他の実施例では、入力デバイス18は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、及び/又はデータ入力デバイス、例えばフロッピー・ディスク、又は8ミリ記録テープのような記録媒体中に貯えられる入力データファイルからの入力データを受領するためのディスクドライブのようなデータ読みとりデバイスを含みうる。入力デバイス18は、あるいは、入力コマンド、及びそれからのデータを受領するための他のコンピュータシステムとの接続を含みうる。
第1処理ユニット12は、入力デバイス18と出力デバイス20と共に使用するための、以下説明する図5、6中で図示するスクリーンに類似のビジュアル・インターフェースを含む。
ユーザーからのコマンドやデータを受領するために使用されるキーボードやマウス、及び、ワシントン州レッドモンドのMICROSOFT CORPORATIONから入手できるWINDOW3.1や、他のOSや、フロリダ州ボカ・ラトンのIBM CORPORATIONから入手できるOS/2やOS/2WARPのようなグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)のような他のデバイスが使用できることも同様に理解できる。処理ユニット12は、オーディオ・ボイス・データ、及びコマンドを受けるためのマイクロフォン、及び/又は電話ハンドセット、スピーチ又はボイス認識デバイス、デュアルトーン・マルチフリークエンシー(DTMF)ベースのデバイス、及び/又は当業界に知られたボイスデータ及びコマンドを受け、第1処理ユニット12を操作するためのソフトウェアもまた含みうる。
更に、第1処理ユニット12、及び第2処理ユニット22の何れも、入力デバイス18と出力デバイス20との組合せとしての、図5及び6中で示されたマウス操作及びタッチスクリーン起動のための入力/出力スクリーンを備える携帯情報端末(PDA)と共に、モデム及びE-メール機能、並びにインターネットへのアクセスを可能にするPDAに組み込まれうる。
説明の明確化のために、開示されたポイント・ツー・ポイント・インターネット・プロトコルとシステム10の実施例は「プロセッサ」及び「処理ユニット」と名付けられた機能ブロックを含みうる、個別的な機能ブロックを有するものとして示される。これらのブロックにより表現された機能は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを含むがこれに限定されず、シェアされ、又はデディケートされたハードウェアの使用を介して提供される。例えば、ここで提示されたプロセッサ及び処理ユニットの機能は、シェアされたプロセッサ又は複数の個々のプロセッサによって提供される。更に、ここに付された説明文を有する機能ブロックの使用は、ソフトウェアを実行しうるハードウェアのみを示すと解されるべきではない。かかるハードウェアの具体例には、AT&TのDSP16又はDSP32ようなデジタル信号プロセッサ(DSP)、ハードウェア、以下で論ずるオペレーションを遂行するソフトウェアを貯えるROM、及びDSPの結果を貯えるRAMを含みうる。」(第10頁第4行〜第11頁第17行)
D.「図1中に示すように、開示されたポイント・ツー・ポイント・インターネット・プロトコルとシステム10は、呼出者処理ユニットが固定又は所定のIPアドレスを有していないときに作動する。ある1例において、かつ、一般化することを喪失することなく、第1処理ユニット12は、呼出者処理ユニットであり、第2処理ユニット22は、被呼出者処理ユニットである。処理ユニット12又は22の何れかが、ダイヤル・アップ接続により、インターネットにログオンしたとき、各ユニットは、接続サービスプロバイダーにより、IPアドレスが動的に割り当てられる。
第1ユーザーがインターネット24にログオンされたとき、第1ユーザーがポイント・ツー・ポイント・インターネット・プロトコルを開始するや否や、第1処理ユニット12は、自動的に対応するE-メール・アドレス、及び動的に割り当てられるIPアドレスを接続サーバー26に伝送する。接続サーバー26は、次いでデータベース34中にこれらのアドレスを記録し、タイマー32を使用して記録されたアドレスに時間がスタンプされる。第1処理ユニット12を操作する第1ユーザーは、このようにデータベース34中で、開示されたポイント・ツー・ポイント・インターネット・プロトコルを使用する通信が可能なアクティブなオンライン当事者として確立される。同様に、第2処理ユニット22を操作する第2ユーザーは、接続サービス・プロバイダーを介してインターネット24に接続されるや否や、アクティブなオンライン当事者としてデータベース34中に設定されるべく、接続サーバー26によって処理される。」(第12頁第14行〜第13頁第5行)
E.「図5〜6は、開示されたポイント・ツー・ポイント・インターネット・プロトコル、及びシステム10を提供するために、図1〜4の各処理ユニット12、22のそれぞれの出力デバイスによって出力されることが可能なディスプレイ・スクリーン36の実施例を示す。かかるディスプレイ・スクリーンは、当業界で知られた態様にて、パーソナル・コンピュータ、又はPDAのディスプレイに表示可能である。」(第18頁第21〜26行)

上記A〜Eの記載を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)
「処理ユニットをインターネット網に接続することにより、インターネット網経由で音声通信することを可能とする電話交換システムであって、DSP制御部、電話ハンドセット、ディスプレイ・スクリーン、キーボード、モデム、プロセッサからなる処理ユニットと、当該処理ユニットがインターネット網に接続されている時のIPアドレスの割当状況を管理する接続サーバーを備えたインターネットIP電話交換システム。」

(引用例2)
F.「【0062】次に、本発明の実施の形態の第2の構成例について説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係わる音声ゲートウェイの構成例を示すブロック図である。なお、この図3において、図1の場合と対応する部分には同一の符号を付してあるのでその説明は省略する。
【0063】図3において、SCN通話路1aは、電話機1等のSCN端末装置が接続され、これらの間で音声情報等を授受する。なお、この例では電話機1のみが接続されているが、複数の端末装置を接続してもよい。
【0064】音声ゲートウェイ20は、SCN制御部20a、SCN交換部20b、シグナリング制御部20c、トーン制御部20d、音声メッセージ制御部20e、記憶装置20f、VoIP制御部20g、IPネットワークインタフェース20h、H.245制御部20i、RTP/RTCP制御部20j、および、H.225シグナリング制御部20kによって構成されている。なお、VoIPは「Voice Over IP」の略語、RTPは「Real-time Transport Protocol」の略語、RTCPは「RTP Control Protocol」の略語である。
【0065】ここで、SCN制御部20aは、SCN交換部20b、シグナリング制御部20c、トーン制御部20d、音声メッセージ制御部20e等を制御するとともに、VoIP制御部20gと連携して、両プロトコルの変換接続を実現する。
【0066】SCN交換部20bは、SCN通話路1aの交換制御を行う。シグナリング制御部20cは、電話機1の発呼や切断等の状態変化を検出し、これらの状態変化を示す信号や選択信号の送受信を行う。
【0067】トーン制御部20dは、各種トーン信号をSCN通話路1aを介して電話機1に供給する。音声メッセージ制御部20eは、各種音声メッセージ信号をSCN通話路1aを介して電話機1に供給する。
【0068】記憶装置20fは、装置の各部から供給されるデータを記憶するとともに、記憶したデータに対する読み出し要求が発生した場合には該当するデータを読み出して要求先に供給する。
【0069】VoIP制御部20gは、IPネットワークインタフェース20h、H.245制御部20i、RTP/RTCP制御部20j、および、H.225シグナリング制御部20kを制御するとともに、H.323に係る呼の状態管理を行う。また、SCN制御部20aと連携して、両プロトコルの変換接続を実現する。
【0070】IPネットワークインタフェース20hは、IPネットワーク3を介して、制御パケットや音声情報パケットを送受信する。H.245制御部20iは、「H.245」規格に規定された能力交換等に関する処理を行う。
【0071】RTP/RTCP制御部20jは、伝送レートが常に変動するIPネットワーク3によって音声情報をリアルタイムで伝送するために必要な各種処理を実行する。
【0072】H.225シグナリング制御部20kは、H.323エンドポイントとの間で、呼制御シグナリング処理を実行する。音声ゲートウェイ40も音声ゲートウェイ20と同様の構成であるので、その詳細な構成についての説明は省略する。なお、以下において、音声ゲートウェイ40の内部構造について言及する場合には、音声ゲートウェイ20と同様の名称および対応する符号(40から始まる符号)を用いて説明することにする。例えば、音声ゲートウェイ40のSCN制御部は、「SCN制御部40a」と記述する。
【0073】次に、本発明の第2の実施の形態の動作について図2に示すシグナルフローチャートを参照して説明する。いま、電話機1の受話器がオフフックされたとすると、音声ゲートウェイ20のシグナリング制御部20cに対してその旨が通知される(S1)。すると、音声ゲートウェイ20のトーン制御部20dは電話機1に対してダイアルトーン(DT)信号を供給する(S2)。その結果、受話器に内蔵されているスピーカからはダイアルトーンが出力されることになる。
【0074】続いて、ユーザが電話機1のプッシュボタンを操作することにより、通信相手の電話番号の第1数字を入力したとすると、この操作に対応する選択信号が音声ゲートウェイ20に対して通知される(S3)。その結果、音声ゲートウェイ20のシグナリング制御部20cは、電話機1に対するダイアルトーンの供給を停止する(S4)。続いて、第2〜第n数字が入力されると、前と同様の処理が繰り返され、通信相手の電話番号が音声ゲートウェイ20に通知される(S5)。
【0075】電話番号の供給を受けたシグナリング制御部20cは、その電話番号をSCN制御部20aを介してVoIP制御部20gに供給する。VoIP制御部20gは、供給された電話番号に対応するIPアドレスを記憶装置20fから取得し、H.225シグナリング制御部20kに供給する。
【0076】H.225シグナリング制御部20kは、その時の時刻(送信時刻)を図示せぬタイマ等から取得し、「H.225」規格に規定されたセットアップ(SETUP)メッセージにタイムスタンプとして付加し、IPネットワーク3を介して音声ゲートウェイ40に送信する(S6)。
【0077】図4は、タイムスタンプが付加されたセットアップメッセージの一例を示す図である。この図6に示すように、タイムスタンプである「SETUP発信時刻」50aaは、セットアップメッセージ50のフィールドであるUUIE(User-to-User Information Element)50aの一部に付加されている。このフィールドは、「H.225.0」メッセージ規格に規定されたセットアップUUIE50aである。セットアップUUIE50aの内容を以下に示す。
・・・(中略)・・・
【0090】さて、図2に戻り、セットアップメッセージを受信した音声ゲートウェイ40のH.225シグナリング制御部40kは、その時の時刻(受信時刻)を図示せぬタイマ等から取得し、受信したメッセージとともにVoIP制御部40gに供給する。
【0091】VoIP制御部40gは、メッセージに付加されているタイムスタンプとしての送信時刻を抽出し、受信時刻から送信時刻を減算してメッセージ伝送に要した時間dtを算出する。VoIP制御部40gは、この伝送時間dtに基づいて、回線を確立するまでに必要な時間を推定する。その時間が非常に長い場合には発呼側および着呼側の電話機1,5に対して音声メッセージを供給する。中程度である場合にはトーン信号を供給する。短い場合にはトーン信号および音声メッセージの供給を行わないようにする。
【0092】なお、伝送時間dtに基づく回線確立までに必要な時間の推定方法としては、例えば、伝送時間dtが所定の閾値t1よりも小さい場合には、トーン信号または音声メッセージ信号の供給を行わないこととする。また、送信時間dtが閾値t1よりも大きくかつ閾値t2(t2>t1)よりも小さい場合には、トーン信号を供給する。更に、伝送時間dtが閾値t2よりも大きい場合には、音声メッセージを供給する。以上の判定結果は、次に述べるコールプロシージャ信号に付加されて発呼側に伝送される。
【0093】続いて、音声ゲートウェイ40のH.225シグナリング制御部40kは、前述の判定結果をトーン/音声メッセージ接続指示子としてコールプロシージャメッセージに付加して発呼側の音声ゲートウェイ20に返送する(S7)。
【0094】図5は、トーン/音声メッセージ接続指示子が付加されたコールプロシージャメッセージのデータ構造の一例を示す図である。この図5に示すように、トーン/音声メッセージ接続指示子60aaは、コールプロシージャメッセージ60のUUIE60aに付加されて発呼側に伝送される。このコールプロシージャメッセージを受信した音声ゲートウェイ20は、トーン/音声メッセージ接続指示子を抽出して、例えば、記憶装置20fに格納する。
【0095】再び図2に戻る。音声ゲートウェイ40のSCN制御部40aは、シグナリング制御部40cを制御することにより、電話機5のリンガを鳴動させる(S8)。そして、音声ゲートウェイ40のH.225シグナリング制御部40kは、アラート(ALERT)メッセージをIPネットワーク3に対して送出する(S9)。このアラートメッセージを受信した結果、音声ゲートウェイ20のトーン制御部20dは、リングバックトーン(RBT)を電話機1に対して供給する(S10)。
【0096】この時、着呼側の電話機5のリンガの鳴動によって着呼が生じたことを認知したユーザが受話器をオフフックした場合には、音声ゲートウェイ40に対してその旨が通知される(S11)。すると、音声ゲートウェイ40のシグナリング制御部40cは、これを検知し、SCN制御部40aに通知する。SCN制御部40aは、前述した判定により、トーン信号もしくは音声メッセージ信号の何れを出力するか、または、無出力状態とするかに応じて対応する部分を制御する。例えば、音声メッセージ信号を出力する場合には、音声メッセージ制御部40eを制御することにより、電話機5に対して音声メッセージ信号を供給させる(S40)。
【0097】次に、音声ゲートウェイ40のH.225シグナリング制御部40kは、音声ゲートウェイ20に対してコネクトメッセージを送信する(S12)。コネクトメッセージを受信した音声ゲートウェイ20は、先ほど記憶したトーン/音声メッセージ接続指示子を記憶装置20fから読み出し、その内容をSCN制御部20aに供給する。SCN制御部20aは、先ず、トーン制御部20dを制御してRBTを停止するとともに(S13)、トーン/音声メッセージ接続指示子を参照して、トーン制御部20dまたは音声メッセージ制御部20eを制御することにより、トーン信号または音声メッセージ信号を電話機1に対して出力させる。その結果、電話機1の受話器からはトーン信号または音声メッセージ信号が出力されることになる。なお、トーン/音声メッセージ接続指示子がトーン信号および音声メッセージ信号の何れも出力しないことを示している場合には、RBTの出力を停止せずに、従来の場合と同様の処理を行う。
【0098】そして、RTPインチャネルパスの確立が間近となると、音声ゲートウェイ20のSCN制御部20aは、トーン制御部20dまたは音声メッセージ制御部20eを制御してトーン信号または音声メッセージ信号の出力を停止させる(S31)。同様に、音声ゲートウェイ40のSCN制御部40aは、トーン制御部40dまたは音声メッセージ制御部40eを制御してトーン信号または音声メッセージ信号の出力を停止させる(S41)。
【0099】音声ゲートウェイ20と音声ゲートウェイ40との間にRTPインチャネルパスが確立される(S15)。そこで音声ゲートウェイ20は電話機1との間にインチャネルパス接続を確立する(S16)。一方、音声ゲートウェイ40も同様に電話機5との間にインチャネルパス接続を確立する(S17)。その結果、電話機1と電話機5との間に通信回線が確立され、通話が可能となる。」(第7頁右欄第16行〜第10頁第32行)

上記Fの記載を参照すると、引用例2には、次の事項が記載されているものと認められる。
「IP電話網を、一般の電話網と接続するために、網間接続用のゲートウエイを設けること。」

(周知例)
G.「In one embodiment of the method,a unique serial number can be assigned to every interface means,which is included in a memory in the means so that automatic login in the server takes place when the code for the Internet telecommunication mode is entered.」(第3頁第7〜9行、対応する特表2001-524781号公報の記載:「この方法の一実施例では、固有のシリアル番号(一連番号)がすべてのインターフェース手段(注:「インターネット手段」とあるのは誤訳)に割当てられ、これはインターネット通信モード用コードがエンターされたときにサーバー中で自動ログインが行われるようにその手段中のメモリに格納される。」(第8頁第10〜13行))
H.「The interface means 12 can be assigned a unique number series(PIN-code,Personal Identity Code)that can be used as substitutes for passwords that the operator of server 29 and the network 28,42 have obtained and that are included in a memory in means 12 so that automatic login takes place in server 29 when the code for the Internet telephone mode(*#1)is keyed in.」(第8頁第21〜24行、対応する特表2001-524781号公報の記載:「インターフェース手段12には、サーバー29のオペレータおよび回線網(ネットワーク)28、42が獲得して、手段12中のメモリに格納されているパスワードの代わりに固有の番号列(PINコード、個人識別コード)が割当てられ、それによってインターネット電話モード(*#1)用のコードがキーイン(キー入力)されたときに、自動ログインがサーバ29において行なわれる。」(第15頁第27行〜第16頁第2行))

上記G,Hの記載を参照すると、周知例には、次の事項が記載されているものと認められる。
「インターネット電話装置において、装置のシリアル番号を、ログインすなわち認証処理に利用することにより、装置の特定を行うこと。」

(3)対比
本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明における「処理ユニット」、「電話ハンドセット」、「ディスプレイ・スクリーン」、「キーボード」、「モデム」、「プロセッサ」、「接続サーバー」は、それぞれ、本願補正発明における「インターネットIP電話通信専用装置」、「電話機器部」、「画面表示部」、「操作入力部」、「変調復調部」、「中央制御部」、「インターネット電話接続管理手段」に対応する構成であると認められるから、両者は、
「インターネットIP電話通信専用装置をインターネット網に接続することにより、インターネット網経由で音声通信することを可能とする電話交換システムであって、DSP制御部、電話機器部、画面表示部、操作入力部、変調復調部、中央制御部からなるインターネットIP電話通信専用装置と、当該インターネットIP電話通信専用装置がインターネット網に接続されている時のIPアドレスの割当状況を管理するインターネット電話接続管理手段とを備えたインターネットIP電話交換システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:本願補正発明における「インターネットIP電話通信専用装置」は、「シリアル番号を認証処理で利用することにより、インターネット網上で装置の特定ができる」ものであるのに対し、引用例1記載の発明における「処理ユニット」は、そのようなものではない点。
相違点2:本願補正発明は、「インターネットIP電話通信専用装置と一般電話公衆網上の電話機とをインターネット網を経由して受発信する時の自動受発信機能を有する電話番号自動受発信手段」を備えているのに対し、引用例1記載の発明は、そのような手段を備えていない点。

(4)判断
そこで、上記相違点1,2について検討する。
(相違点1について)
上記周知例に見られるように、インターネット電話装置において、装置のシリアル番号を認証処理に利用することにより、装置の特定を行うようにすることは、周知の技術にすぎない。
してみれば、引用例1記載の発明において、上記周知の技術を適用し、「処理ユニット」を「シリアル番号を認証処理で利用することにより、インターネット網上で装置の特定ができる」ようなものとすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

(相違点2について)
上記引用例2には、IP電話網を一般の電話網と接続するために網間接続用のゲートウエイを設けることが記載されており、該ゲートウエイは、とりもなおさず、「インターネットIP電話通信専用装置と一般電話公衆網上の電話機とをインターネット網を経由して受発信する時の自動受発信機能を有する電話番号自動受発信手段」に対応する構成である。
してみれば、引用例1記載の発明において、上記引用例2に記載の技術を適用し、上記のような「電話番号自動受発信手段」を設けるようにすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。

そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、及び引用例2と周知例に記載の技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明、及び引用例2と周知例に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成15年3月4日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年10月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「シリアル番号を持つ事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置をインターネット網に接続することにより、インターネット網経由で音声通信することを可能とする電話交換システムであって、DSP制御部、電話機器部、画面表示部、操作入力部、変調復調部、中央制御部からなるインターネットIP電話通信専用装置と、インターネットIP電話通信専用装置がインターネット網に接続されている時のIPアドレスの割当状況を管理するインターネット電話接続管理手段と、インターネットIP電話通信専用装置と一般電話公衆網上の電話機とをインターネット網を経由して受発信する時の自動受発信機能を有する電話番号自動受発信手段とを備えた事を特徴とするインターネットIP電話交換システム。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1,2、及び原査定の備考欄において引用された周知例とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「シリアル番号を認証処理で利用することにより、インターネット網上で装置の特定ができる事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置」を、上位概念の「シリアル番号を持つ事を特徴とするインターネットIP電話通信専用装置」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに下位概念化したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1記載の発明、及び引用例2と周知例に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1記載の発明、及び引用例2と周知例に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明、及び引用例2と周知例に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-15 
結審通知日 2005-03-22 
審決日 2005-03-28 
出願番号 特願2001-75026(P2001-75026)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 衣鳩 文彦
長島 孝志
発明の名称 インターネット網上で音声通話を可能とするインターネットIP電話交換システム、また、シリアル番号を持つことを特徴とするインターネットIP電話通信専用端末、当該IP電話専用端末のIPアドレス管理方式、当該IP電話専用端末と一般電話間で受発信する時の自動受発信方式、及び記録媒体。  
代理人 石川 泰男  

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