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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01K |
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管理番号 | 1117101 |
審判番号 | 不服2001-243 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-01-10 |
確定日 | 2005-05-20 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第280099号「猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤」拒絶査定不服審判事件〔平成11年4月27日出願公開、特開平11-113435〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年10月14日の出願であって、平成12年11月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成13年1月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成13年1月10日付手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年1月10日付の手続補正を却下する。 [理由] 2-1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施すと共に、その粒径を300μm〜1700μmに制御して成る顆粒状の改質ベントナイトを主成分とし、これに化学的作用の脱臭剤及び抗菌剤を添加して成る猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤であって、前記脱臭剤がアスコルビン酸、フラボノイド、フェノール、過マンガン酸カリウム、ホルマリン、さらし粉の中の一つ、又はそれらの複合物で成り、前記抗菌剤がビグアニド化合物、ビグアニド化合物を高分子化したポリヘキサメチレンビグアニド、第4級アンモニウム塩、グルタルアルデヒド、環状ペプチド、ポリアニオンの中の一つ、又はそれらの複合物で成ることを特徴とする猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤。」 と補正された。 上記補正は、請求項1の記載において、「ベントナイト」を「炭酸ソーダによる活性化処理を施」して成る改質ベントナイトに限定し、「化学的作用の脱臭剤」が「アスコルビン酸、フラボノイド、フェノール、過マンガン酸カリウム、ホルマリン、さらし粉の中の一つ、又はそれらの複合物で成」るものに限定し、同じく「抗菌剤」が、「ビグアニド化合物、ビグアニド化合物を高分子化したポリヘキサメチレンビグアニド、第4級アンモニウム塩、グルタルアルデヒド、環状ペプチド、ポリアニオンの中の一つ、又はそれらの複合物で成る」ものに限定するものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2-2.引用例等に記載された発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-65789号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (1-a)「モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物及び活性白土を含んでなる組成物の成形物からなることを特徴とする小動物用トイレ砂。」(特許請求の範囲、請求項1)、 (1-b)「本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究した結果、モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物に活性白土を所定量含有させた組成物の成形物が優れた吸水性、ゲル化特性を有することを見い出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。」(2頁左欄49行〜同頁右欄3行)、 (1-c)「本発明は、愛玩動物用トイレ砂に関する。さらに詳しくは、小動物の排泄物を完全に包み込んで強固な塊とする、高吸水、ゲル化性粒剤を含んでなる小動物用トイレ砂に関する。・・・ 従来、猫に代表される愛玩動物の排泄物の処理方法としては、トイレに新聞紙などの紙やトイレ砂などを敷く方法がとられている。」(2頁左欄15〜22行)、 (1-d)「トイレ砂の場合は主として、排泄物を水で洗って乾燥したのち再利用するものと、排泄物の水分を吸収した部分の砂が固まるのでその部分だけを廃棄するものの2種類がある。どちらも主に自然石の破砕粒が用いられており、再利用するものにはゼオライト、固めて廃棄するものにはベントナイトが使用されている。・・・ベントナイトは、再利用はできないが廃棄処理の簡便さでは優れており、また、排泄物を隠す習性をもつ動物にも好まれる形態のトイレ砂である。しかし、水分の吸収性や固化性能はまだ十分ではなく、防臭効果についても課題がある。」(2頁左欄27〜40行)、 (1-e)「モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物は、モンモリロナイトを主成分としていれば特に制限はなく、天然品でも合成品でもよい。具体的には、例えばカルシウムベントナイト、ナトリウムベントナイト、サポナイト、ヘクトライトおよびカルシウムイオンをナトリウムイオンで交換処理した活性化ベントナイトなどを用いることができ、天然のカルシウムベントナイトが特に好ましい。」(2頁右欄18〜25行)、 (1-f)「活性白土の使用量は、モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物100重量部に対し、1〜400重量部、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは3〜50重量部である。(2頁右欄32〜35行)」、 (1-g)「本発明の小動物用トイレ砂の製造は上記の組成物を、加水混練後に適当な形に造粒成形することにより行うことができる。・・・造粒成形は通常の方法でよく、例えば横出し造粒機、前出し造粒機、ディスクペレッター等の装置を用いることができる。造粒後の粒形は球形、円柱状、フレーク状、波板状が好ましいが、これに制限されるものではない。粒径も特に制限はないが、0.7〜5mmが好ましい。粒径が小さいほうが吸水したときの固化能や脱臭力はよいが、小さすぎると動物が掘り返したときや廃棄時に砂が飛び散りやすくなる。また、粒径が大きすぎると吸水力が悪化し、固まり具合も悪くなる。全体の表面積が小さくなるため、脱臭効果も低下する。」(3頁左欄14〜32行)、 (1-h)「本発明の小動物用トイレ砂には、こうして得た高吸水、ゲル化粒剤のほかに、必要に応じて、脱臭剤、抗菌剤、ゼオライト、木粉、紙粉などを混合してもよい。」(3頁左欄37〜40行)。 上記記載によれば、引用例には、 ベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで交換処理した活性化ベントナイトの粘土鉱物と活性白土を含んでなる組成物を、0.7〜5mmに造粒した成形物を主成分とし、脱臭剤及び抗菌剤を添加してなる主に猫に用いる小動物用トイレ砂(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)特許第2587530号公報(以下、「参考文献1」という。)には、 (2-a)「本発明は、湿潤すると凝集して、動物に実質的に接着しないで、寝わら箱からの凝集塊の物理的除去に充分な大きさ及び充分な凝集強さの塊になり得る吸収剤組成物をその中に配置してなる水不浸透性の受け器を含み、前記吸収剤組成物が、約50ミクロン〜約3350ミクロンの範囲の粒径を有する、非圧縮性かつ未焼成の水膨潤性ナトリウムベントナイトクレーの粒子を少なくとも65重量%含むことを特徴とする寝わら箱を提供する。」(3頁左欄43〜50行)、 (2-b)「本発明の動物かす吸収剤は、とりわけ、猫、犬、アレチネズミ、モルモット、マウス及びハムスターの如き家庭用ペット・・・に使用し得る。」(7頁左欄17〜21行)、と記載されている。 (3)特開平8-51881号公報(以下、「参考文献2」という。)には、「【請求項1】 湿潤することによって、実質的に動物には付着せず排泄箱から凝集塊を物理的に除去するために充分な大きさと凝集強度を有する塊へと凝固する吸収性組成物を含む、水不透過性の容器からなる排泄箱であって、該吸収性組成物がスメクタイト粘土の射出粒子を含むことを特徴とする排泄箱。・・・ 【請求項3】 前記スメクタイト粘土が、ナトリウムベントナイトであり、且つ、前記吸収性組成物が少なくとも50重量%の該ナトリウムベントナイト粘土を含む請求項2記載の排泄箱。」(【特許請求の範囲】)と記載されている。 (4)特開昭58-9626号公報(以下、「参考文献3」という。)には、 (4-a)「従来、ペット用のトイレ砂としては、主として天然のゼオライトを、ペットの種類に応じて平均直径が0.5〜1.5mm、1〜3mm、3〜5mm程度の粒度に破砕したものが使用されている。」(1頁右下欄8〜11行)、 (4-b)「本発明において「ペット」とは、一般に家庭において、特に室内で愛玩される、たとえば、イヌ、ネコ、ウサギ、リス、ハムスター、ネズミ、鳥などの小動物を含むものである。」(2頁右上欄12〜15行)と記載されている。 (5)特開平5-49360号公報(以下「参考文献4」という。)には、 「本発明の排泄物処理材の造粒物の形状は、球状のほか錠剤形、ペレット状、角形、破砕物などその形状は任意である。造粒物の大きさとしては特に限定されることなく、飼育される動物に応じて砂状から顆粒状の大きさとすることができる。例えば、例えば一般家庭で屋内にて飼育するイヌ、ネコなどの場合には通常粒径5mm以下が好ましく、通常2〜3mm程度で使用されるが、ハムスター、モルモット、小鳥などを対象として0.3〜0.8 mm程度の砂状の微粒子として用いてもよい。」(2頁右欄26〜34行)と記載されている。 (6)特開昭63-28336号公報(以下「参考文献5」という。)には、 「本発明の敷粉は、上記した多孔性、土壌改良に役立つ適度の粒径の無機質粒子を使用し、この粒子の気孔中に特定の消臭剤を含浸・吸着させ、敷粉として有利に使用すると共に、家畜・鳥類等の飼養動物の排泄物又は代謝廃物等から発生する臭気を長期間にわたって消臭せんとするものである。本発明に用いる消臭剤は、・・・緑茶フラボノイド、・・・若しくはアスコルビン酸又はこれらの混成物に代表される化学合成品系のもの・・・である。緑茶フラボノイドはアンモニア、アミン、硫化水素、ニコチンに対する消臭効果がすぐれており、化学合成品系のものはアンモニアに対する消臭効果がすぐれており、・・・飼養舎の排泄物、代謝廃物のごとき臭気源は、上記の臭気が複合しており、緑茶フラボノイドの適応性の広さはこのような対象に特に有利である。」(2頁右上欄20行〜同頁左下欄18行)と記載されている。 (7)特開平6-22659号公報(以下「参考文献6」という。)には、 (7-a)「本発明は排泄物処理用粒状材に関する。さらに詳しくは、老人、病人、愛玩動物等の液状排泄物を効率よく吸収する排泄物処理用粒状材に関する。」(2頁左欄18〜21行)、 (7-b)「なお、本発明の排泄物処理用粒状材(1)には、・・・、水溶性の抗菌剤や脱臭剤を併用することが好ましく、例えばプリベントールやチアベンダゾール等の抗菌剤や、植物からの有機抽出剤であるアスコルビン酸等の脱臭剤が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。」(4頁左欄5〜11行)、と記載されている。 (8)特開平5-49362号公報(以下「参考文献7」という。)には、 (8-a)「有機酸、グルタルアルデヒド、香料及びアルギン酸ナトリウムを含有する水溶液を、CaCl2 水溶液中に滴下することにより作成したグルタルアルデヒド等の含有のゲル・ビーズから構成されることを特徴とするペット・トイレ用汚物処理消臭剤。」(特許請求の範囲)、 (8-b)「グルタルアルデヒドは、殺菌性、アンモニア消臭を有し、ペット・トイレの汚水を分解する菌を抑制し、更に、汚水から発生する悪臭を固定し無臭化するために必要である。」(2頁右欄37〜40行)、と記載されている。 (9)特開平3-130025号公報(以下「参考文献8」という。)には、 (9-a)「ペットとしての動物の数が増加しているので、動物が屋内の管理された場所で排尿、排便、換言すれば液体または固体の排泄物を排泄できるようなリターが必要とされている。しかし、排泄物の蓄積とともに悪臭が生じるのを避けられない。」(2頁右上欄16行〜同頁左下欄3行)、 (9-b)「本発明によって、ペット用の、臭気抑制のための動物用リターが得られる。」(3頁右上欄16〜17行)、 (9-c)「リターには広汎な種類の材料を用いることができる。・・・適切なリターにはアタパルジャイト、ベントナイト、モンモリロナイトのようなアルミノケイ酸塩、・・・がある。・・・リター材料の粒子の平均直径は50-5,600ミクロン、好適には約100-500ミクロンである。(例えばふるい分けによって)大きさを均一にし、塵となるような微粒子の含量を低下させることが有利である。この分野の技術の同業者は吸収性/吸着性を最大にし、動物のために塵が発生したり足跡がつくことを避けるために、粒子の大きさを変化させる。」(6頁左上欄7行〜同頁右上欄13行)、 (9-d)「本発明に使用するために適切な他の補助材料には・・・第4級アンモニウム化合物のような種々の追加的殺菌剤、・・・化学的防臭剤を利用することができる。」(6頁左下欄10〜17行)、と記載されている。 2-3.対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (i)本願補正発明における「ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施して成る改質ベントナイト」とは、炭酸ソーダに含まれるナトリウムイオンにより、ベントナイトに含まれる他のイオンがナトリウムイオンに交換されたベントナイトであるから、引用発明における「ベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで交換処理した活性化ベントナイト」は、本願補正発明における「ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施してなる改質ベントナイト」に相当する。 (ii)引用発明における「小動物用トイレ砂」は、本願補正発明における「小動物の排泄物吸収剤」に対応し、本願補正発明の「ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施すと共に、その粒径を300μm〜1700μmに制御して成る顆粒状の改質ベントナイト」と引用発明の「ベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで交換処理した活性化ベントナイトの粘土鉱物と活性白土を含んでなる組成物」は、「ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施した改質ベントナイトを用いた粒状の組成物」ということができる。 そうすると、両者は、 ベントナイトに炭酸ソーダによる活性化処理を施した改質ベントナイトを用いた粒状の組成物を主成分とし、これに脱臭剤及び抗菌剤を添加してなる小動物の排泄物吸収剤で一致し、以下の点で構成が相違する。 相違点(A) 粒状の組成物が、本願補正発明では、「改質ベントナイト」であるのに対し、引用発明では、活性化(改質)ベントナイトの粘土鉱物と活性白土とからなる点。 相違点(B) 本願補正発明では、ベントナイトの顆粒状の粒径を300μm〜1700μmに制御し、猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤であるのに対し、引用発明では、成形物の粒径を0.7〜5mmとし、小動物用排泄物吸収剤である点。 相違点(C) 脱臭剤が、本願補正発明では、「アスコルビン酸、フラボノイド、フェノール、過マンガン酸カリウム、ホルマリン、さらし粉の中の一つ、又はそれらの複合物で成」るのに対し、引用発明では、脱臭剤の種類が不明である点。 相違点(D) 抗菌剤が、本願補正発明では、「ビグアニド化合物、ビグアニド化合物を高分子化したポリヘキサメチレンビグアニド、第4級アンモニウム塩、グルタルアルデヒド、環状ペプチド、ポリアニオンの中の一つ、又はそれらの複合物で成」るのに対し、引用発明では、脱臭剤の種類が不明である点。 2-4.判断 上記相違点ついて検討する。 相違点(A)について 引用発明は、活性化ベントナイトの粘土鉱物に活性白土を所定量含有させることにより、優れた吸水性、ゲル化特性を有するようにしたものであるが、引用例にも、従来技術として記載されているように、ナトリウムベントナイトを排泄物吸収剤(小動物用トイレ砂)として利用することは周知である(例えば、参考文献1及び2参照。)から、引用発明において、成形物を、改質(活性化)ベントナイトによって形成し、本願補正発明のように構成することは当業者が容易に想到することができたことである。 相違点(B)について 引用発明における小動物は、猫であると考えられる(上記(1-c)の記載参照。)。 ところで、家庭において、ハムスターや小鳥といった猫よりも小さい小動物を、排泄物吸収剤を用いて飼育することは一般的に行われており、また、排泄物吸収剤(トイレ砂)の粒径を、飼育する小動物の種類に応じた大きさにすることは、周知技術である(例えば、参考文献2、3及び4参照。)から、引用発明において、排泄物吸収剤(トイレ砂)を猫よりも小さい小動物用とし、その粒径を0.3〜1.7mm程度にすることは、当業者が容易に想到することができたことである。 相違点(C)について 動物の排泄物の消臭のために、フラボノイド、アスコルビン酸等の化学的作用の脱臭剤を用いることは周知技術である(例えば、参考文献5及び6参照。)から、引用例の発明において、脱臭剤として、前記周知の化学的作用の脱臭剤を用いることは、当業者が容易に想到し得たものである。 相違点(D)について 動物の排泄物の消臭のために、第4級アンモニウム化合物、第4級アンモニウム化合物等の抗菌剤を用いることは周知技術である(例えば、参考文献7及び8参照。)から、引用発明において、抗菌剤として、前記周知の抗菌剤を用いることは、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって格別顕著なものではない。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 2-5.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本件発明について 平成13年1月10日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成12年11月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 粒径を300μm〜1700μmに制御した顆粒状のベントナイトを主成分とし、これに化学的作用の脱臭剤及び抗菌剤を添加して成る、猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤。 【請求項2】 請求項1記載の猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤において、化学的作用の脱臭剤が、アスコルビン酸、フラボノイド、フェノール、過マンガン酸カリウム、ホルマリン、さらし粉、の中のひとつ、またはそれらの複合物であることを特徴とする小動物の排泄物吸収剤。 【請求項3】 請求項1記載の猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤において、抗菌剤が、ビグアニド化合物、またはこれを高分子化したポリヘキサメチレンビグアニド、第4級アンモニウム塩、グルタルアルデヒド、環状ペプチド、ポリアニオン、の中のひとつ、またはそれらの複合物であることを特徴とする小動物の排泄物吸収剤。」 3-1.引用例等に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び参考文献、並びに、それらに記載された事項は、前記「2-2.引用例等に記載された発明」に記載したとおりである。 3-2.対比・判断 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比すると、 引用発明における「小動物用トイレ砂」は、本願発明における「小動物の排泄物吸収剤」に対応し、本願発明の「粒径を300μm〜1700μmに制御した顆粒状のベントナイト」と引用発明の「モンモリロナイトを主成分とする粘土鉱物あるいはベントナイトのカルシウムイオンをナトリウムイオンで交換処理した活性化ベントナイトの粘土鉱物と活性白土を含んでなる組成物」は、「ベントナイトを用いた粒状の組成物」ということができる。 そうすると、両者は、 ベントナイトを用いた顆粒状の組成物を主成分とし、これに脱臭剤及び抗菌剤を添加してなる小動物の排泄物吸収剤で一致し、以下の点で構成が相違する。 相違点(い) 顆粒状の組成物が、本願発明では、「ベントナイト」であるのに対し、引用例の発明では、活性化(改質)ベントナイトの粘土鉱物と活性白土とからなる点。 相違点(ろ) 本願発明では、ベントナイトの粒径を300μm〜1700μmに制御し、猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤であるのに対し、引用発明では、成形物の粒径を0.7〜5mmとし、小動物用排泄物吸収剤である点。 相違点(は) 添加する脱臭剤及び抗菌剤が、本願発明では、「化学的作用の」ものであるのに対し、引用発明は、不明である点。 上記相違点について検討する。 上記相違点(い)は、上記「2-4.判断」における「相違点(A)について」に記載した理由により当業者が容易に想到することができたものである。 上記相違点(ろ)は、上記「2-4.判断」における「相違点(B)について」に記載した理由により当業者が容易に想到することができたものである。 上記相違点(は)は、上記「2-4.判断」における「相違点(C)について」及び「相違点(D)について」に記載した理由により当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本願発明が奏する効果は、引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって格別顕著なものではない。 したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 3-3.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-01 |
結審通知日 | 2005-02-08 |
審決日 | 2005-03-29 |
出願番号 | 特願平9-280099 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A01K)
P 1 8・ 121- Z (A01K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長井 啓子 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 白樫 泰子 |
発明の名称 | 猫よりも小さい小動物の排泄物吸収剤 |
代理人 | 羽鳥 亘 |