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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1117106 |
審判番号 | 不服2004-10576 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-10-05 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-20 |
確定日 | 2005-05-20 |
事件の表示 | 特願2001- 18938「画像記録装置及び画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 5日出願公開、特開2001-275074〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 【手続きの経緯、本願発明】 本願は、平成3年10月17日に出願した特願平3-269626号の一部を平成13年1月26日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成13年1月30日付け及び平成16年6月16日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された画像記録装置にあると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 被写体からの光画像に基づいて画像信号を発生させる撮影手段と、前記画像信号を記録媒体に記録するよう構成された画像記録装置であって、 前記画像記録装置の、撮影のために備えられた機能を用いて、位置に関する情報が付与されたバーコードを入力することを特徴とする画像記録装置。」 2 【引用例】 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-301267号公報(以下「引用例」という。)には、「電子スチルカメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次の(1)ないし(4)のとおりの記載がある。 (1)「画像を光電変換する撮像素子と、この撮像素子より得られる画像信号をデジタル画像信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、このアナログ/デジタル変換器からのデジタル画像信号を記憶するメモリとを有する電子スチルカメラにおいて、前記デジタル画像信号に検索用データや日付情報を付けて前記メモリに記憶させるデータ付加手段を備えたことを特徴とする電子スチルカメラ。」(特許請求の範囲) (2)「〔作 用〕 画像が撮像素子1により光電変換され、この撮像素子1より得られる画像信号がアナログ/デジタル変換器2によりデジタル画像信号に変換される。このアナログ/デジタル変換器2からのデジタル画像信号はデータ付加手段4により検索用データや日付情報が付けられてメモリ3に記憶される。」(公報2頁左上欄8行〜15行) (3)「小型の液晶表示装置29,入力キー30,検索用データ入力インターフェース(I/F)31は撮像者、撮像地等の検索用データを入力するためのものであり、例えば撮像者のイニシャル,撮像地の場所を示すコード(郵便番号・市外局番等)が入カキー30より検索用データ入力I/F31を介して入力される。液晶表示装置29はデジタル時計32による日付・時刻表示と入力データの表示を行う。この液晶表示装置29は0〜9,A〜Z,a〜z,その他数種の記号により6桁の表示を行うものであり、その6桁が入カキー30の第4図(b)に示すような4つのボタン33〜36により制御されて検索用データの入力が行われる。この4つのボタンの制御方法は市販のデジタル時計のセットの仕方とよく似ており、`SET/NEXT´ボタン33が液晶表示装置29の表示データの変更開始とセットを行わせるものである。」(公報2頁左下欄6行〜同頁右下欄2行) (4)「`MODE´ボタン36は液晶表示装置29の表示データのモードを変更するものであり、`MODE´ボタン36を1回押す度に液晶表示装置29の表示データが日付,時刻,撮像者,撮像地の郵便番号,撮像地市外局番等の各データを表示するモードに変えられる。実際の操作としてはまず、変更したいモードに`MODE´ボタン36で合せて`SET/NEXT´ボタン33を押すと、液晶表示装置29の表示データにおける一番左の文字(撮像地の郵便番号ではMAILのMとなり、撮像地市外局番ではTELEPHONEのTとなるので、左から2番目の文字となる。)がブリンクし、これを変更したい時には`+´ボタン34,`-´ボタン35を使つて希望の文字に合せて`SET/NEXT´ボタン33を押す。すると、液晶表示装置29の表示データにおける次の文字がブリンクし、同様に変更することができる。液晶表示装置29の表示データにおける最後の文字を決めて`SET/NEXT´ボタン33を押すと、文字変更状態が終了する。第4図(a)は液晶表示装置29が10時08分35秒を表示した例であり、第4図(c)は液晶表示装置29が撮像者を表示した例であり、第4図(d)(e)は液晶表示装置29が撮像地として鳴門市の郵便番号、横浜市の市外局番を表示した例である。」(公報2頁右下欄11行〜3頁左上欄14行) 3 【当審の判断】 (1)[対比] 本願発明と引用例に記載された発明(以下「引用発明」という。)とを対比すると次のことが認められる。 ア 引用例には、画像を光電変換する撮像素子と、この撮像素子より得られる画像信号をデジタル画像信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、このアナログ/デジタル変換器からのデジタル画像信号を記憶するメモリとを有する電子スチルカメラが記載されており(引用例の上記(1)の記載参照)、上記「撮像素子」、「メモリ」及び「電子スチルカメラ」が、それぞれ本願発明の「撮影手段」、「記録媒体」及び「画像記録装置」に相当することは明らかであり、引用発明も、本願発明と同様の「被写体からの光画像に基づいて画像信号を発生させる撮影手段と、前記画像信号を記録媒体に記録するよう構成された画像記録装置」を対象としているといえる。 イ 引用例には、小型の液晶表示装置29,入力キー30,検索用データ入力インターフェース(I/F)31は撮像者、撮像地等の検索用データを入力するためのものであり、例えば、撮像地の場所を示すコード(郵便番号・市外局番等)が入カキー30より検索用データ入力I/F31を介して入力されることが記載されており(引用例の上記(3)の記載参照)、撮像地の場所は位置に位置に関する情報であるから、引用発明も、「位置に関する情報を入力する」ものといえ、この点では、本願発明と変わりがない。 (2)[一致点] 以上の点ア、イを踏まえると、本願発明と引用発明とは、 「被写体からの光画像に基づいて画像信号を発生させる撮影手段と、前記画像信号を記録媒体に記録するよう構成された画像記録装置であって、 位置に関する情報を入力することを特徴とする画像記録装置」である点で一致し、次の点で相違する。 (3)[相違点] 相違点1 本願発明では、位置に関する情報が「付与されたバーコード」を入力するものであるのに対して、引用発明では、撮像地の場所を示す情報が入力キーで入力される点。 相違点2 本願発明では、「前記画像記録装置の、撮影のために備えられた機能を用いて」、位置に関する情報を入力しているのに対して、引用発明では、電子スチルカメラの入力キーにより撮像地の場所を入力している点。 (4)[相違点の検討] そこで、上記各相違点について検討する。 相違点1について バーコードを用いて情報を入力することは、手入力の煩雑さを回避するための手段として周知・慣用の技術であり(例えば、特開平1-287865号公報参照)、引用発明において、位置に関する情報を、入力キーを用いて入力する代わりに、バーコードを用いて入力すること、すなわち、本願発明のように、位置に関する情報が「付与されたバーコード」を用いて入力するようになす程度のことは当業者が適宜になし得ることといえる。 相違点2について、 通常、バーコードを用いた情報の入力は、バーコード自体を読み取り、解読することによってなされるものであり(前掲した特開平1-287865号公報参照)、そして、そのようなバーコードの読み取りは、撮影の一態様ともいえることを勘案すると、上記相違点1で検討したように、本願発明が、位置に関する情報が“付与されたバーコード”を入力するものであることに伴い、そのバーコードを、引用発明の撮影のために備えられた機能を用いて、入力する程度のこと、すなわち本願発明のように、「前記画像記録装置の、撮影のために備えられた機能を用いて」、位置に関する情報が付与されたバーコードを入力する程度のことは当業者が設計上適宜になし得ることといえる。 このことは、引用例の公報3頁右下欄2、3行に、「また、液晶表示装置29を電子ファインダーに置き換えるようにしてもよい。」と記載され、かつ電子スチルカメラが撮影画像を写し出す液晶からなる電子ビューファインダーを備えることを常としていることからも、引用例の液晶表示装置が「撮影のために備えられた機能」を果たすためのものと解することができ、当該相違点に何ら進歩性は認められない。 そして、上記各相違点を総合的に考慮しても、本願発明は当業者であれば容易になし得るものといえ、また、本願発明の構成に基づく効果についてみても格別顕著なものがあるとはいえない。 4 【むすび】 したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に該当し特許を受けることができない。 それ故、他の請求項2ないし5に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-22 |
結審通知日 | 2005-03-29 |
審決日 | 2005-03-30 |
出願番号 | 特願2001-18938(P2001-18938) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野村 章子 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
橋本 恵一 橋爪 正樹 |
発明の名称 | 画像記録装置及び画像表示装置 |