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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07D
管理番号 1117249
審判番号 不服2003-24408  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-17 
確定日 2005-05-23 
事件の表示 特願2000-233715「電子預金通帳とその外部端末」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月18日出願公開、特開2002- 15355〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成12年6月28日の出願であって、原審における平成15年3月13日付けの拒絶理由通知(同月25日発送)に記載した理由により同年11月10日付けで拒絶査定(同月18日発送)されたところ、同年12月17日に審判請求されたものである。

2.本願発明

本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年5月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲請求項7に記載された、次のとおりのものである。

【請求項7】電子預金通帳用入出力端子と接続される外部端末側入出力端子Aと、一般公衆回線と接続される入出力端子Bと、前記入出力端子A、B間に介装され、専用制御ソフトで制御される通信機能付端末機構とからなることを特徴とするキャッシュカードと併用する電子預金通帳用一定機能外部端末。

3.引用例に記載された事項

原審における平成15年3月13日付け拒絶理由通知で引用した特開昭59-94170号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。

ア)「本発明は電子式預金通帳に関し、特に通帳データをパーソナルコンピュータ等に入力して家計分析等を容易に行うことができるようにした電子式預金通帳に関する。」(1頁左欄14〜17行)

イ)「第1図は、本発明の1実施例に係わる電子式預金通帳の外観を示す。同図において、1は液晶表示板等によって構成される表示部であり、例えば1ヶ月分約20行の通帳データの表示が可能な大きさとなっている。2はコネクタであって、銀行等において通帳データを入力するための記帳機と接続しまたはパーソナルコンピュータを接続するために用いられる。」(2頁左上欄20行〜同右上欄7行)

ウ)「通帳に記憶された通帳データをパーソナルコンピュータ等の外部装置に転送する出力モードの操作方法につき説明する。まず、通帳のスイッチ3を出力モードに設定する。この状態で通帳をパーソナルコンピュータに装着すると該パーソナルコンピュータから通帳に同期信号および転送開始信号等が送信される。これらの信号に応じて通帳からパーソナルコンピュータ内に所要の月のあるいはすべての通帳データが転送される。データ転送が終了すると通帳のブザー7が鳴り転送終了を表示する。」(2頁左下欄4〜14行)

ここで、上記イ)の記載からみて、引用例記載の電子式預金通帳はパーソナルコンピュータにコネクタで接続されるのであるから、当該パーソナルコンピュータにも対応するコネクタが設けられていることは自明のことである。そして、上記ウ)の記載によれば、当該コネクタを介して、パーソナルコンピュータから電子式預金通帳には、同期信号及び転送開始信号等が送られ、電子式預金通帳からパーソナルコンピュータへは、通帳データが転送されているのであるから、当該コネクタは入出力端子として構成されていることもまた明らかである。
また、パーソナルコンピュータは一般に何らかの制御ソフトにより制御されるものであり、引用例記載のパーソナルコンピュータは、上記イ)及びウ)で摘示したように、電子式預金通帳と、同期信号及び転送開始信号等並びに通帳データを送受信するものであるから、そのための専用ソフトで制御される通信機能付端末機構を有していることは自明のことである。

してみると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。

「電子式預金通帳用入出力端子と接続されるパーソナルコンピュータ側入出力端子と、専用制御ソフトで制御される通信機能付端末機構とからなる電子式預金通帳用パーソナルコンピュータ。」

4.対比

本願発明と引用例記載の発明を対比すると、後者の「電子式預金通帳」及び「パーソナルコンピュータ」は、それぞれ前者の「電子預金通帳」及び「電子預金通帳用一定機能外部端末」に相当するから、両者は次の一致点及び相違点を有する。

【一致点】
電子預金通帳用入出力端子と接続される外部端末側入出力端子Aと、専用制御ソフトで制御される通信機能付端末機構とからなる電子預金通帳用一定機能外部端末。

【相違点】
A.本願発明は、電子預金通帳用一定機能外部端末が、一般公衆回線と接続される入出力端子Bを有し、通信機能付端末機構が、入出力端子A、B間に介装されているのに対し、引用例記載の発明は、そのような構成を備えていない点。

B.本願発明は、キャッシュカードと併用する電子預金通帳用一定機能外部端末であるのに対し、引用例記載の発明は、キャッシュカードとの併用するものではない点。

5.判断

以下、上記各相違点について検討する。

相違点Aについて:
本願発明の出願時において、パーソナルコンピュータを電話回線等の一般公衆回線に接続し、データの送受信を行うことは当たり前に行われていたことであるから、引用例記載のパーソナルコンピュータに一般公衆回線と接続される入出力端子Bを設けることに何ら困難性はない。
そして、そのような入出力端子Bを設ければ、当該入出力端子Bも専用制御ソフトで制御される通信機能付端末機構に接続されることは、一般にパーソナルコンピュータにおいては、制御ソフトで制御される通信機能付端末機構(すなわち、CPU)ですべての入出力情報を演算処理するように構成されており、すべての入出力端子は当該CPUに接続されるように構成されていることからみて、明らかである。
そして、当該通信機能付端末機構を、電子預金通帳用入出力端子と接続される外部端末側入出力端子Aと一般公衆回線と接続される入出力端子Bの両方に接続すれば、「通信機能付端末機構が、入出力端子A、B間に介装され」るという本願発明の構成になることは自明のことである。

相違点Bについて:
本願の明細書及び図面には、一定機能外部端末の利用に際してキャッシュカードを併用する旨の記載はないから、本願請求項7の「キャッシュカードと併用する電子預金通帳用一定機能外部端末」の記載中の、「キャッシュカードと併用する」の記載は、「電子預金通帳」にかかるものと認められ、「一定機能外部端末」にかかるものとは認められない。
してみると、「キャッシュカードと併用する」という構成は、「電子預金通帳」を銀行などに設置された電子預金通帳用高機能外部端末で利用する場合の利用形態を限定した構成と解するのが相当であるが、通帳を銀行などに設置された電子預金通帳用高機能外部端末で利用する場合に、キャッシュカードを併用することは、原審の拒絶理由で提示した特開平2-108156号公報や特開平10-177670号公報に記載されているように周知の手段にすぎず、このことは、通帳が、本願発明又は引用例記載の発明のように電子式であっても変わるところはない。
よって、引用例記載の電子式預金通帳を、銀行などに設置された電子預金通帳用高機能外部端末で利用する場合にキャッシュカードを併用するようにして、キャッシュカードと併用する電子預金通帳として、本願発明のようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。

6.むすび

以上のとおりであるから、本願特許請求の範囲請求項7記載の発明(本願発明)は、引用例記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願特許請求の範囲請求項1ないし6に係る発明については判断するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-15 
結審通知日 2005-03-22 
審決日 2005-04-05 
出願番号 特願2000-233715(P2000-233715)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 氏原 康宏  
特許庁審判長 岡 千代子
特許庁審判官 岡本 昌直
井上 哲男
発明の名称 電子預金通帳とその外部端末  
代理人 椎原 英一  

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