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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47G
管理番号 1117335
審判番号 不服2002-3979  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-06-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-07 
確定日 2005-05-25 
事件の表示 平成10年特許願第338251号「家具」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月13日出願公開、特開2000-157392号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年11月27日の出願であって、平成14年1月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月14日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年3月14日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年3月14日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「空気を強制対流させている空間に、支柱本体と、この支柱本体の下端に配され前後方向に延びるベースとから構成されて自立性のある壁面を臨ませて配置されるものであり、この壁面に、光触媒反応により空気を脱臭化する作用を営む光触媒部材を設けていることを特徴とする家具。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「壁面」の「自立性」について、「支柱本体と、この支柱本体の下端に配され前後方向に延びるベースとから構成されて」との構成を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-145448号公報(以下、「引用例1」という。)には、図1〜6と共に次の事項が記載されている。
・「上部にエアー吹出口を有し、側面にエアー吸込口を有し、その内部に上記エアー吹出口及びエアー吸込口間を連通する空気清浄機を備えたパーティションの複数と、上記パーティションの上記エアー吹出口より天井に向かって吐出される空気により形成されるエアーカーテンとにより閉鎖空間を形成し、上記閉鎖空間内の汚染空気を上記閉鎖空間外に放出せず清浄することを特徴とする空気清浄機付きパーティションを用いた空調ルーム。」(【請求項1】)
・「本発明の空調ルームによれば、清浄空気が天井10から床11に向かい、床11に沿って出入口5部分側に流れるが、上記各パーティション1に到った時点で壁に沿って上昇し、エアーカーテン外部に流出することなく循環流となり、順次清浄化されるようになる。」(段落【0020】)
・また、図1〜6には、空調ルームの空間をパーティションで囲んで、その空間にパーティションの壁面を臨ませた配置構成が示されている。
これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、
「複数のパーティションとエアーカーテンとにより閉鎖空間を形成する空調ルームの空間に、壁面を臨ませて配置されるパーティション」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。

(2-2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3041803号公報(以下、「引用例2」という。)には、図1、2と共に次の事項が記載されている。
・「本考案は、一般塗料,難燃塗料又は防炎薬剤にトルマリン及び酸化チタンを添加した構成から成る塗布材を表面に塗布して塗布層を設けた壁紙地などの塗布製品である。」(8頁段落【0005】)
・「酸化チタンは一般に光触媒と呼ばれ、常温で酸化する作用を有するから、強力な酸化分解作用になり、室内におけるアンモニア、タバコ煙、ペットや生ゴミ等の悪臭の原因となる浮遊物を吸着することによって脱臭する。」(9頁段落【0014】)
・「また、塗布する対象製品は、屋内製品でいえば、例えば壁紙地、壁布地,内壁材、天井材、床材、畳などが対象となる。」(9頁段落【0018】)
・「一般塗料でも難燃塗料でもまたは防炎薬剤でも、これらの中にトルマリン及び酸化チタンの両者を添加したものを塗布した製品にあっては、前記したトルマリン及び酸化チタンの有する効果が相乗的に発揮され、黴の発生を防止するのみならず、空気中に浮遊する雑菌類を確実に減少させることができ、各種の悪臭も減少することができ、常に室内及び屋外空間を健康で快適な環境に保つことが確実にできるようになる。」(10頁段落【0023】)

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、後者における「複数のパーティションとエアーカーテンとにより閉鎖空間を形成する空調ルームの空間」及び「パーティション」が、その作用・機能からみて、前者における「空気を強制対流させている空間」及び「家具」に、それぞれ相当している。
したがって、両者は、
「空気を強制対流させている空間に、壁面を臨ませて配置される家具」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願補正発明は、「壁面に、光触媒反応により空気を脱臭化する作用を営む光触媒部材を設けている」構成を有するのに対し、引用発明は、壁面に、かかる光触媒部材を備えていない点。
[相違点2]
家具の壁面の配置構成に関し、本願補正発明は、「支柱本体と、この支柱本体の下端に配され前後方向に延びるベースとから構成されて自立性のある」構成としたのに対し、引用発明は、そのような構成とはされていない点。

(4)判断
・[相違点1]について
悪臭を減少させて室内空間を健康で快適な環境に保つために、壁面に光触媒反応により空気を脱臭化する作用を営む光触媒部材(酸化チタン)を設けることは、引用例2に記載されているところであるから、引用発明における壁面に、かかる光触媒部材を採用して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得るところである。
・[相違点2]について
衝立等の壁面を有する家具を自立させるために、支柱本体と、この支柱本体の下端に配され前後方向に延びるベースを用いることは、家具の分野における周知技術である(例えば、特開平8-135623号公報、登録実用新案第3041046号公報参照。)から、引用発明において、上記周知技術を採用し、相違点2に係る本願補正発明の構成とする程度のことは当業者にとって容易である。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1、2に記載の事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年3月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年11月30日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「空気を強制対流させている空間に、自立性のある壁面を臨ませて配置されるものであり、この壁面に、光触媒反応により空気を脱臭化する作用を営む光触媒部材を設けていることを特徴とする家具。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」で検討した本願補正発明から「壁面」の「自立性」についての限定事項である「支柱本体と、この支柱本体の下端に配され前後方向に延びるベースとから構成されて」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-16 
結審通知日 2005-03-22 
審決日 2005-04-06 
出願番号 特願平10-338251
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47G)
P 1 8・ 121- Z (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 克彦  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 北川 清伸
和泉 等
発明の名称 家具  
代理人 赤澤 一博  
代理人 井上 敬子  

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