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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B26B
管理番号 1117625
審判番号 不服2004-1227  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-03-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-15 
確定日 2005-06-28 
事件の表示 平成 8年特許願第503638号「乾式ひげそり装置の内刃」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 1月18日国際公開、WO96/01169、平成10年 3月 3日国内公表、特表平10-502276、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、1995年5月22日(パリ条約による優先権主張1994年7月5日、独国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1-6に係る発明(以下、「本願発明1」等という。)は、平成15年7月24日及び平成16年2月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1-6に記載された次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
乾式ひげそり装置(4)の、外刃(2)が設けられているひげそりヘッド(3)用の内刃(1)であって、平行関係の配列にある複数の切断刃(5)を含み、前記切断刃が細長い管状バー(6)に該バーの長手延び方向に対して実質的に横方向に切り込まれたスロット(7)によって形成されており、前記スロット(7)の端部(8)が弧形状領域(B)にあり、前記切断刃(5)の各々には、各スロット(7)の各弧状端部(8)の最深点(SP)から前記管状バー(6)の稜線(SL)の方向において減少されている肉厚(D)が与えられている、前記内刃において、
肉厚(D)の前記減少が最深点(SP)から稜線(SL)に延び、前記稜線(SL)からのスロット(7)の深さは、前記稜線(SL)の領域にある2つの隣接する前記切断刃(5)の相対的距離(A)より大きいことを特徴とする、ひげそりヘッド用の内刃。
【請求項2】
深点(SP)からの肉厚(D)の前記減少が、2つの隣合う切断刃(5,5)の稜線(SL)の領域での相対的距離Aの半分より大きい前記弧形状領域(B)にわたっており、且つ前記弧形状領域(B)の断面の幾何学形状が複数の半径(R1,R2,R3…RN)の連続する配置によって決定されることを特徴とする、請求項1に記載のひげそりヘッド用の内刃。
【請求項3】
前記弧形状領域(B)は断面の幾何学的形状が実質的に放物線形状であり、最深点(SP)からの肉厚(D)の前記減少が前記弧形状領域(B)にわたっていることを特徴とする、請求項1に記載のひげそりヘッド用の内刃。
【請求項4】
前記弧形状領域(B)は断面の幾何学形状が実質的に楕円形状であり、最深点(SP)からの肉厚(D)の前記減少が前記弧形状領域(B)にわたっていることを特徴とする、請求項1に記載のひげそりヘッドの内刃。
【請求項5】
スロット(7)が、断面の幾何学形状が異なる少なくとも2つの領域(前記弧形状領域(B)とその隣接領域(C))に細分されており、前記隣接領域(C)の断面の幾何学形状が実質的に台形であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のひげそりヘッド用の内刃。
【請求項6】
前記2つの領域(前記弧形状領域(B)とその隣接領域(C))の異なる断面幾何学形状が弧状変化することを特徴とする、請求項5に記載のひげそりヘッド用の内刃。」

2.引用例記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特公昭48-44092号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下のとおり記載されている。
a.第1頁 左欄22〜25行
「本発明はかみそり本体と、シャープレートの内面に係合しかつ切断操作を行うために直線往復運動をする刃物とに固定した開口シャープレートを包含する乾燥ひげ剃り器に係り、」
b.第1頁 右欄15〜26行
「前記本体は、アーチ型壁4を有しかつ前記アーチ型フォイルの内部形状及び端壁5に適合するように形作った全体として逆樋の形状を有し、‥‥。本体のアーチ型壁の外面は、刃物の軸方向に隔置されかつ平行に円周に延長し湾曲した断面を有する複数個のみぞ7によって形成され、隣接する前記みぞ相互間には円周方向に延長する狭い隆起部8がある。」

また、引用例は、「シャープレート」を有する「乾燥ひげ剃り器」であることから「シャープレート」を有するひげそりヘッドを有することは自明のことである。

以上のとおりであるので、引用例には、次の「刃物」が記載されているものと認める。(以下、「引用例記載の発明」という。)
「乾燥ひげそり器の、シャープレートが設けられているひげそりヘッド用の刃物であって、複数の狭い隆起部8を含み、狭い隆起部8が本体に該本体の軸方向に隔置されかつ平行に円周に延長したみぞ7によって形成されており、前記みぞは湾曲した断面を有する刃物。」

3.対比・判断

[本願発明1について]
本願発明1と引用例記載の発明とを対比すると、後者の「乾燥ひげ剃り器」は前者の「乾式ひげそり装置」に相当し、以下同様に「シャープレート」は「外刃」に、「刃物」は「内刃」に、「湾曲した断面」は「弧形状領域」に相当する。
図1を参酌すると、「本体」は棒状であることが明らかであることから「細長いバー」に、「狭い隆起部8」は平行関係であることが明らかであることから「平行関係の配列にある複数の切断刃」にそれぞれ相当する。
よって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
乾式ひげそり装置の、外刃が設けられているひげそりヘッド用の内刃であって、平行関係の配列にある複数の切断刃を含み、前記切断刃が細長いバーに該バーの長手延び方向に対して実質的に横方向に切り込まれた形状であり、前記切断刃の端部が弧形状領域にあるひげそりヘッド用の内刃。

<相違点1>
前者は、管状バーにスロットを設けることにより切断刃を形成しているのに対し、後者はバーに円周方向に延長するみぞを設けることにより切断刃を形成している点
<相違点2>
前者は、切断刃の各々には、各スロットの各弧状端部の最深点から前記管状バーの稜線の方向において減少されている肉厚が与えられているのに対し、後者はそのような特定がされていない点
<相違点3>
前者は、肉厚の減少が最深点から稜線に延び、前記稜線からのスロットの深さは、前記稜線の領域にある2つの隣接する切断刃の相対的距離より大きいのに対し、後者はそのように特定されていない点。

以下、上記相違点について検討する。
<相違点1〜3について>
相違点1〜3は、切断刃の形状を特定するものである。
乾式ひげそり装置の内刃において、バーを管状とすること及びバーにスロット設けることにより切断刃を形成すること自体は、周知の技術(例えば、実公昭49-20781号公報、特公昭49-17507号公報、特開昭59-17382号公報、特開昭54-36874号公報参照)(以下、「周知技術」という。)と認められるが、本願発明1のように、管状バーにスロットを切り込むことにより形成した切断刃からなる内刃において、上記相違点2,3に係る構成に特定した内刃とすることまでも当業者に知られた事項とすることはできない。
そして、本願発明1は、内刃の形状を上記相違点1〜3に係る構成に特定することによって、切断刃の肉厚を減少させるとともに、刃で剃られた髭のスロットを利用して、バーの内側に移動させることにより切断性能を向上させるという格別の効果を有するものである。

以上のとおりであるから、本願発明1は、引用例記載の発明、及び、前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

[本願発明2〜6について]
本願発明2〜6は、請求項1を引用していることから、引用例発明との対比において、少なくとも上記3.の<相違点1>、<相違点2>及び<相違点3>を有している。そして、相違点1〜3についての判断は上記<相違点1〜3について>のとおりであるから、本願発明2〜6についても、引用例1記載の発明及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4.むすび
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2005-06-15 
出願番号 特願平8-503638
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B26B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小椋 正幸亀丸 広司  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 佐々木 正章
菅澤 洋二
発明の名称 乾式ひげそり装置の内刃  
代理人 山田 行一  
代理人 長谷川 芳樹  

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