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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B09B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B09B |
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管理番号 | 1117687 |
審判番号 | 不服2000-19936 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-01-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-12-15 |
確定日 | 2005-06-09 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第192898号「生ゴミ処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月20日出願公開、特開平10- 15526〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成8年7月3日の出願であって、平成12年11月10日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成13年1月12日付で手続補正がなされたものである。 2.平成13年1月12日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年1月12日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 上記の手続補正(以下、「本件補正」という。)による補正の内容は、本件補正前の平成12年9月18日付の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された 「【請求項1】 小型生ゴミ乾燥処理機より排出され集荷された含水率が15%以下の食物残渣を、形状が大きい場合にはクラッシャ-により適当な大きさに粉砕し、粉砕後に乾燥させて40℃以下とした残渣に、光合成細菌群、乳酸菌群、酵母群、放線菌群、発酵系の糸状菌群等が混合されている有効微生物群と酸素、ナトリュウム、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、水銀、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラルで、特に、有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラルと古代地層の腐食(ヒュ-マス)と酵素と有機体キトサンアミノ酸等からなる有効微生物群等1リットルに糖蜜を1リットルを混合し、その後に水約20リットル〜100リットルを混合、混入し、25℃〜30℃の温度下で10分〜20分間処理することを特徴とする生ゴミ処理方法。 【請求項2】 集荷された生のままの食物残渣を食物残渣乾燥処理機により含水率を30%以下に調整後、形状が大きい場合にはクラッシャ-により適当な大きさに粉砕し、粉砕後に120℃〜200℃で約4時間から5時間熱処理又は温風熱処理し、乾燥させて40℃以下にした残渣に、光合成細菌群、乳酸菌群、酵母群、放線菌群、発酵系の糸状菌群等が混合されている有効微生物群と酸素、ナトリュウム、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、水銀、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラルで、特に、有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラルと古代地層の腐食(ヒュ-マス)と酵素と有機体キトサンアミノ酸等からなる有効微生物群等1リットルに糖蜜を1リットルを混合し、その後に水約20リットル〜100リットルを混合、混入し、25℃〜30℃の温度下で10分〜20分間処理することを特徴とする生ゴミ処理方法。 【請求項3】 塩分の多い残渣には、カルシウムを添加し塩分を調整したことを特徴とするとする請求項1又は請求項2に記載の生ゴミ処理方法。」を、 「【請求項1】 小型生ゴミ乾燥処理機より排出され集荷された含水率が15%以下の食物残渣は形状が大きい場合にはクラッシャ-により適当な大きさに粉砕し、粉砕後に乾燥させて40℃以下とした残渣及び集荷された生のままの食物残渣は食物残渣乾燥処理機により含水率を30%以下に調整後、形状が大きい場合にはクラッシャ-により適当な大きさに粉砕し、粉砕後に120℃〜200℃で約4時間から5時間熱処理又は温風熱処理し、粉砕後に乾燥させて40℃以下とした残渣に、光合成細菌群、乳酸菌群、酵母群、放線菌群、発酵系の糸状菌群等が混合されている有効微生物群と酸素、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラルで、特に、有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラルと古代地層の腐食(ヒュ-マス)と酵素と有機体キトサンアミノ酸等からなる有効微生物群等1リットルに糖蜜を1リットルを混合し、その後に水約20リットル〜100リットルを混合、混入し、25℃〜30℃の温度下で10分〜20分間処理することを特徴とする生ゴミ処理方法。 【請求項2】 塩分を多く含む残渣には、カルシウムを添加し塩分を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理方法。」 とする補正を含むものである。 (2)補正の適否についての判断 本件補正により、明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、「小型生ゴミ乾燥処理機より排出され集荷された含水率が15%以下の食物残渣・・・粉砕後に乾燥させて40℃以下とした残渣」(以下、「乾燥処理残渣」という。)及び「集荷された生のままの食物残渣・・・粉砕後に乾燥させて40℃以下にした残渣」(以下、「生残渣」という。)を処理する「生ごみ処理方法」となったから、本件補正後の請求項1に係る発明は、その処理する対象を「乾燥処理残渣」と「生残渣」との両方とするものである。 ところが、本件補正前の明細書の請求項1に係る発明は、「乾燥処理残渣を処理する生ごみ処理方法」であり、同請求項2に係る発明は、「生残渣を処理する生ごみ処理方法」であり、同請求項3に係る発明は「請求項1に記載の生ごみ処理方法」、又は「請求項2に記載の生ごみ処理方法」において、それぞれ残渣の塩分を調製するための限定を付加したものであるから、いずれの発明も処理対象物を「乾燥処理残渣」又は「生残渣」のみとするものである。 したがって、本件補正は、補正前の請求項1〜3の特許請求の範囲のいずれの限定的減縮を目的とするものにも該当しない。 また、本件補正は、誤記の訂正を目的とするものでも、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成13年1月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜3に係る発明は、平成12年9月18日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記2.(1)参照。以下、請求項1〜3に係る発明を、それぞれ「本願発明1〜3」といい、まとめて「本願発明」ということもある。)。 (2)原査定の理由 原査定の理由は、本願明細書の発明の詳細な説明には、当業者が本願発明1〜3の実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載がないから、本願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない、というものである。 (3)当審の判断 (i)本願明細書の記載 本願発明1〜3に共通する特定事項である「酸素、ナトリュウム、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、水銀、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラルで、特に、有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラル」について、本願明細書の発明の詳細な説明には、【0020】に「酸素、ナトリュウム、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、水銀、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラル(特に、有機ケイ素が40%以上を含む。)」と、【0036】に「各触媒機能を持つミネラル」と、また【0037】に「各触媒機能をもつミネラル・・・等から構成されてる有効微生物群等は絶えず進化しているものである。」と記載されているが、それ以外の記載は一切されていない。 (ii)判断 「有機体総合ミネラル」が、本願明細書の発明の詳細な説明の記載から当業者が容易に実施できるかかどうかについて、以下検討する。 まず、「有機体総合ミネラル」を解釈するために、語幹である「ミネラル」と、これを修飾する語である「有機体」、「総合」とに分けて考察する。 「ミネラル」とは、株式会社岩波書店 広辞苑第五版の「ミネラル」の項の記載によると、「(1)鉱物。無機物。(2)栄養素として生理作用に必要な無機物の称。ふつう無機塩類の形で摂取される。カルシウム・鉄・亜鉛・コバルト・マンガンの類。」である。そして、本願発明の属する分野は微生物利用分野であるから、上記(2)の定義が、本願発明の属する分野における技術常識であると認められる。 そうすると、本願明細書には、「酸素、ナトリュウム、炭素、ニッケル、マンガン、珪素、水銀、ゲルマニュウム等からなる有機体総合ミネラル・・・」という記載があるから、「ミネラル」と「総合」の関係については、上記例示の無機物を総合して含む総合体が「総合ミネラル」であると解することは、当業者の技術常識の範囲内である。 しかしながら、上記のように解される「総合ミネラル」と「有機体」との関係については、「無機物の総合体」、すなわち「無機物」からなる「総合ミネラル」がそのまま「有機体」になることは通常あり得ないから、両者の関係について、当業者の技術常識の範囲内で理解することは困難である。 したがって、「総合ミネラル」と「有機体」との関係を明らかにするためには、本願明細書の発明の詳細な説明に技術常識以外の何らかの技術事項の開示が必要であるといえるところ、発明の詳細な説明には、上記の関係を明らかにすべきいかなる記載も存在しない。 そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明の記載によっては「有機体」と「総合ミネラル」の関係が不明であるから、「有機体総合ミネラル」の実態が不明であるといわざるを得ず、請求項1〜3に係る発明は明確でないとともに、「有機体総合ミネラル」を特定事項とする請求項1〜3に係る発明を実施することは、当業者の技術常識を以てしても容易であるとはいえない。 また、「有機体総合ミネラル」は、「有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラル」とも規定されるものであるが、「有機ケイ素」に関しても、「ケイ素」が無機元素であることは明らかであって、「有機ケイ素」がどのような実態のものであるか理解することができないから、やはり「有機ケイ素が40%以上を含む有機体総合ミネラル」もその実態が不明なものという外はない。 したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願請求項1〜3に係る発明を当業者が容易に実施することができる程度に十分なものということはできない。 なお、審判請求人は、「有機体総合ミネラルにおいて、『珪素』は無機質であり、矛盾した表現ではないか」という当審の電話による審尋に対し、平成16年7月20日付けファクシミリにおいて、「『有機体』である『珪素』は、発酵処理の中で有機酸結合し、最終的には水溶性として動きやすい型に変化させて使用するので矛盾しない」と釈明している。 しかしながら、前示広辞苑の「ミネラル」の項「栄養素として・・・ふつう無機塩類の形で摂取される。」という記載によれば、「ミネラル」中の「ケイ素」は、通常無機塩類の形にして微生物に与えられることまでは理解できるが、「ミネラル」中の「ケイ素」を「発酵処理の中で有機酸結合し、最終的には水溶性として動きやすい型に変化させて使用する」ことが当業界の技術常識であることは、何ら立証されていないし、本願明細書の記載にもその根拠を見出すことはできない。 また、仮に、上記釈明が、「有効微生物群等」を残渣に混合した後に、「有効微生物群等」の一成分である「総合ミネラル」が他の成分である「有効微生物群」による発酵処理の中で有機酸結合し、最終的に有機体として利用されることを示しているとすると、その場合は、請求項1〜3に係る発明において残渣に混合されるのは「総合ミネラル」であって、「有機体総合ミネラル」ではないから、請求項1〜3の記載と矛盾することになり、やはり、「有機体総合ミネラル」を上記のように解する根拠とはなり得ない。 よって、上記審判請求人の釈明は受け入れることはできない。 4.まとめ 以上のとおり、本願は、特許法36条4項に規定する要件を満たしていないから、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-04-11 |
結審通知日 | 2005-04-12 |
審決日 | 2005-04-25 |
出願番号 | 特願平8-192898 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(B09B)
P 1 8・ 536- Z (B09B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 奥井 正樹、種村 慈樹、真々田 忠博、冨士 良宏 |
特許庁審判長 |
中村 朝幸 |
特許庁審判官 |
吉水 純子 原 賢一 |
発明の名称 | 生ゴミ処理方法 |
代理人 | 中川 邦雄 |