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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1117895
異議申立番号 異議2003-70014  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-01-08 
確定日 2005-04-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3298852号「弾球遊技機」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3298852号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3298852号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成9年2月27日に特許出願された特願平9-59804号の一部を特許法第44条第1項の規定により、平成11年8月31日に新たな特許出願とされたものであって、平成14年4月19日にその請求項1ないし4に係る発明について特許権の設定登録がなされた後、その特許について、町田彬より特許異議の申立てがなされ、平成16年7月6日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年9月14日に異議意見書及び訂正請求書(後日取下げ)が提出され、再度、平成16年12月13日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年2月21日に異議意見書及び訂正請求書が提出されたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
(1)訂正事項a
特許権設定登録時の明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の、
「【請求項1】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)の値は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときの乱数値(RN)の値であり、
前記乱数値(RN)の値に対応した画面を前回画面から続行して動画表示し、前記乱数値(RN)の値に応じて前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)として物語の展開度を更新し、
前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記乱数値(RN)により大当たりと判断されたときには、前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とすることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)の値は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときの乱数値(RN)の値であり、
前記乱数値(RN)の値に対応した画面を前回画面から続行して動画表示し、前記乱数値(RN)の値に応じて前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)として物語の展開度を更新し、
前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば前記特別遊技状態とすることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2に記載の弾球遊技機において、
前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加減算して新たな獲得ポイントとする更新処理が為されることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3いずれかに記載の弾球遊技機において、
前記更新された獲得ポイント(PN)の段階に応じた画像表示処理が為されることを特徴とする弾球遊技機。」を、
「【請求項1】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、
獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、 前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、
該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、 前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記乱数値(RN)により大当たりと判断されたときには、前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とするとともに、画面上に前記大当り画面を表示することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、
獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、
前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、
該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、
前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し、前記特別遊技状態とすることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、
前記更新された獲得ポイント(PN)の段階に応じた画像表示処理が為されることを特徴とする弾球遊技機。」と訂正する。
(なお、下線は、訂正個所を示す。以下、同様。)
(2)訂正事項b
特許明細書の発明の詳細な説明の欄の段落【0004】を、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の弾球遊技機は、遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、前記乱数値(RN)により大当たりと判断されたときには、前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とするとともに、画面上に前記大当り画面を表示することを特徴とする
請求項2に記載の発明の弾球遊技機は、遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し、前記特別遊技状態とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の弾球遊技機は請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、前記更新された獲得ポイント(PN)の段階に応じた画像表示処理が為されることを特徴とする。」と訂正する。
(3)訂正事項c
i.同段落【0005】において、「【発明の実施の形態】」との記載以外の記載を削除する。
ii.同段落【0006】の記載を削除する。
iii.同段落【0030】において、
「請求項1〜4の発明によると、遊技球が始動口(24)に入球する毎に前回の静止映像から映像が物語を展開して動画表示される。これにより、遊技客は、遊技球が始動口(24)に入球する毎にストーリ性のある動画を前回の静止画面に引き続き楽しむことができる。」を、
「請求項1〜3の発明によると、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って動画表示部(23b、53b)に前回画面から進展する動画画面を続行表示される。これにより、遊技客は、遊技球が始動口(24)に入球する毎にストーリ性のある動画を前回の静止画面に引き続き楽しむことができる。」と訂正する。
iv.同段落【0030】において、
「遊技球が始動口(24)に入球する毎に選択される乱数値の値に応じて物語が展開するので、TVゲームのプログラムと大差なくプログラミングすることができるという極めて優れた効果も奏している。」を、
「遊技球が始動口(24)に入球する毎に選択される乱数値に応じてポイント(P)を決定し、ポイント(P)により更新された獲得ポイント(PN)に従って動画で物語が展開するので、TVゲームのプログラムと大差なくプログラミングすることができるという極めて優れた効果も奏している。」と訂正する。
(4)訂正事項d
i.同段落【0030】において、
「また、映像が特定」を、
「また、請求項2の発明によると、動画が特定」と訂正する。
ii.同段落【0030】において、
「更に、所謂「TVゲーム」が操作する人間の技量」を、
「更に、請求項1〜3の発明によると、所謂「TVゲーム」が操作する人間の技量」と訂正する。
(5)訂正事項e
同段落【0015】において、
「液晶画面23の動画表示部23aには乱数値RNの値に対応した格闘シーンが」を、
「液晶画面23の動画表示部23aには乱数値RNに対応して更新された獲得ポイントPN及びダメージDNに応じた格闘シーンが」と訂正する。
(6)訂正事項f
同段落【0023】の、
「を動画表示する(ステップS380)。ところで、」を、
「を動画表示する(ステップS380)。これらのステップS300〜ステップS350の処理により、液晶画面53の動画表示部53aには乱数値RNに対応して更新された獲得ポイントPNに応じた恋愛シーンが前回の恋愛シーンから続行して動画表示され、乱数値RNに応じて前回の獲得ポイントPNが現獲得ポイントPNとして更新される。ところで、」と訂正する。
(7)訂正事項g
i.同段落【0013】(2カ所)、同段落【0014】(3カ所)、同段落【0015】(3カ所)、同段落【0018】(1カ所)、同段落【0019】(2カ所)、同段落【0021】(2カ所)、同段落【0022】(5カ所)、同段落【0024】(2カ所)、同段落【0029】(1カ所)において、
「乱数値RNの値」を、「乱数値RN」と訂正する。
ii.同段落【0014】において、
「「1」ときは大当り」を、「「1」のときは大当り」と訂正する。
(8)訂正事項h
i.同段落【0016】(3カ所)、同段落【0019】(1カ所)、同段落【0022】(3カ所)、同段落【0024】(2カ所)、同段落【0028】(1カ所)において、
「獲得ポイントPNの値」を、「獲得ポイントPN」と訂正する。
ii.同段落【0020】(1カ所)、同段落【0023】(1カ所)において、
「ポイントPNの値」を、「獲得ポイントPN」と訂正する。
iii.同段落【0022】において、
「動画表示されよう構成されている。」を、
「動画表示されるよう構成されている。」と訂正する。
(9)訂正事項i
同段落【0018】の、
「に応じて物語が展開し獲得ポイントPNやダメージDNが更新されるのである。」を、
「に応じて獲得ポイントPNやダメージDNが更新され動画画面で物語が展開するのである。」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
i.請求項1についての訂正
イ.「乱数値(RN)の値は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときの乱数値(RN)の値であり、」を、「乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、」とする訂正は、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
ロ.「前記乱数値(RN)の値に対応した画面を前回画面から続行して動画表示し、前記乱数値(RN)の値に応じて前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)として物語の展開度を更新し、」を、「獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、」とする訂正は、「獲得ポイント(PN)」を技術的に限定すると共に、「獲得ポイント(PN)」がどのようにして得られるかを明瞭にするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
ハ.「前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とする」を、「前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とするとともに、画面上に前記大当り画面を表示する」とする訂正は、「画面上に前記大当り画面を表示する」という発明を特定する事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ii.請求項2についての訂正
ニ.上記「i.」の「イ.」と同じである。
ホ.上記「i.」の「ロ.」と同じである。
ヘ.「前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば」を、「前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し、」とする訂正は、「前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し」という発明を特定する事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
iii.請求項3についての訂正
特許明細書の特許請求の範囲において、請求項3を削除し、請求項4を請求項3に繰り上げて請求項1及び2に従属させたものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
iv.訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項b、c、dについて
訂正事項b、c、dは、訂正事項aにより訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであり、明りようでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項eについて
訂正事項eは、訂正明細書の段落【0014】の「更新されたポイントPN及びダメージDNに応じた格闘場面が液晶画面23上に動画として所定時間表示される」との記載と整合させるためのものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項f、iについて
訂正事項f、iは、明りようでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項g、hについて
訂正事項g、hは、誤記の訂正を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立て
3-1.本件請求項1ないし3に係る発明
上記「2.」に記載したように上記訂正が認められるから、本件請求項1ないし3に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記「2-1.」の「(1)」参照。)。

3-2.異議の申立ての理由の概要
(1)特許法第29条第2項について
異議申立人は、下記の証拠方法を提出し、特許明細書に記載された請求項1ないし4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は取り消されるべきものである旨主張する。

甲第1号証:特開平6-246041号公報
甲第2号証:特開平8-229204号公報
甲第3号証:特開平6-134103号公報
甲第4号証:特開平7-148351号公報
甲第5号証:特開平7-289683号公報
甲第6号証:特開平8-129480号公報
(2)特許法第36条第6項について
異議申立人は、特許明細書の特許請求の範囲には記載に不備があり、請求項1ないし4に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は取り消されるべきものである旨主張する。

3-3.取消理由の概要
当審が平成16年12月13日付けで通知した取消理由の概要は、以下のものである。
(1)特許法第29条第2項について
平成16年9月14日付け訂正請求書に記載された請求項1、2、4に係る発明は、本件出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平8-229204号公報(甲第2号証)
刊行物2:特開平6-246041号公報(甲第1号証)
刊行物3:特開平7-148351号公報(甲第4号証)
刊行物4:特開平7-116352号公報(異議申立人提出の資料1)
刊行物5:特開平8-215374号公報(異議申立人提出の資料2)
(2)特許法第36条第4、6項について
本件出願は、明細書及び図面に記載の事項が不備のため、特許法第36条第4、6項に規定する要件を満たしていない。

3-4.当審の判断
(1)特許法第29条第2項について
(a)各刊行物及び甲各号証に記載された事項
上記各刊行物及び甲各号証には、以下の事項が記載されている。

刊行物1:特開平8-229204号公報(甲第2号証)
「画面表示部1はパチンコ遊技機の遊技領域の前面のほぼ中央付近に配置される例えばCRTまたはLCDから構成されており、記憶部3に記憶されたデータを表示制御部5aの制御に応じて表示する。記憶部3に記憶されるデータは、例えば海、空、飛行機、照準、ミサイル等を現わすキャラクタデータである。」(3頁3欄17-23行)
「【0016】制御部5は、上記表示制御部5a、駆動制御部5bを含むものであり、背景データ、飛行機データ、ミサイルデータ、爆発データを画面表示部1に時々刻々と変化させながら表示したり、乱数21の決定に応じて飛行機の姿勢を変化させたり、乱数25の決定に従うタイマ23の計数時間内飛行機の姿勢を固定したり、モータ9の駆動角を算出したり、操縦かん情報を得てさらに飛行機データの表示を変化させたり、始動情報を得て図柄表示部17を駆動したり、照準情報を得てさらに飛行機データの表示を変化させたり、大当り時に大当り表示データを画面表示部1に表示したり、大当り時に大当り制御部35を起動させて大当り制御を行わせたりする。」 (3頁4欄44行-4頁5欄6行)
「【0017】次に、図5ないし図7のフローチャートを参照し本実施例の動作について説明する。先ずステップ501により遊技機のハンドルグリップが操作されたか否かが判断され、この処理をハンドルグリップが操作されるのが検出されるまで繰り返す。ステップ501でハンドルグリップが操作されたと判断された場合には、ステップ502へ進み、画面表示を行う。即ち背景データ記憶部3aから空、海、照準に関するデータを取り出し、画面表示部1へ表示する。かつステップ503へ進み、飛行機データ記憶部3bから飛行機に関するデータを取り出し画面表示部1へ表示する。この段階では初期状態であるから飛行機に関するデータは照準から外れた位置に表示される。」(4頁5欄7-19行)
「【0018】ステップ504により始動口14へ遊技球が入球したか否かが判断される。ステップ504で始動口14へ遊技球が入賞したと判断されると、次いでステップ505により飛行機データの姿勢、飛行機データの速度を決定する乱数21から乱数を取り出し、ステップ506により飛行機データの姿勢、即ち変化方向を決定し、ステップ507により飛行機データの速度を決定する。これ等の関係から、次いでステップ508により画面表示部1に表示する飛行機データを変更し、即ち飛行機データを動かし、かつステップ509により画面表示部1に表示される飛行機データと、可動部材13に関する飛行機との速度差を認識し、この関係から、さらにステップ510により画面表示部1に表示する飛行機データをさらに変化させる。即ち飛行機データ側の速度の方が大きければ飛行機データを小さくしてゆく如く変化させる。」(4頁5欄20-35行)
「【0024】一方、ステップ521で図柄表示部17の図柄が所定の図柄に揃ったと判断された場合には、ステップ529へ進み、ミサイルデータ記憶部3cからミサイルデータを取り出して画面表示部1に表示し、かつ照準に一致する飛行機めがけてそのミサイルを発射する。かつステップ530へ進み、ミサイルの飛行機への命中後、爆発データ記憶部3dから爆発データを取り出し、これを画面表示部1に表示する。さらにステップ531へ進み、大当り表示データ記憶部33から大当り表示データを取り出し、これを画面表示部1に表示する。尚、大当りデータは例えばストーリー性のある特定のデータであるが、ステップ529、及びステップ530による表示を大当りデータであると考えても良い。
【0025】次いでステップ532により大当り制御部35を起動させて、アタッカ15を開く等の大当り制御を実行させ、かつステップ533により大当り制御が終了したか否かを判断し、大当り終了と判断されたときに、ステップ534に進み、画面表示部1の大当り表示を終了させ、ステップ501へ戻る。」(5頁7欄4-22行)

上記の記載及び図面の記載からみて、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技領域における遊技球が始動口14に入賞する毎に画面表示部1のキャラクタデータを変化させ、図柄表示部17の図柄が所定の図柄に揃ったと判断されたときには、大当り表示データを画面表示部1に表示し、アタッカ15を開放する大当り制御を実行させるパチンコ遊技機であって、
乱数21は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口14に入賞したときに選択されるものであり、
前記選択された現乱数21に応じて、キャラクタデータを時々刻々と変化させながら表示し、
図柄表示部17の図柄が所定の図柄に揃ったと判断されたときには、画面表示部1に大当り表示データを表示し、アタッカ15を開放するパチンコ遊技機。」

刊行物2:特開平6-246041号公報(甲第1号証)
「【0009】第1実施例
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技盤面を示す正面図である。遊技者が図示しない打球操作ハンドルを操作すれば、打球待機樋(図示せず)に貯留されているパチンコ玉が1つずつ遊技盤面1の前面に形成されている遊技領域2内に打込まれる。遊技領域2には、数値および図柄等からなる複数種類の識別情報や所定のキャラクタを可変表示して表面状態が変化可能な可変表示装置3が設けられている。その可変表示装置3の下方には始動入賞口10a、10b、10cが配設されている。これらの始動入賞口10a、10b、10cに入賞したパチンコ玉は、それぞれ始動入賞玉検出器11a、11b、11cにより検出される。」(2頁2欄16-28行)
「【0010】始動入賞玉検出器11a、11b、11cの検出信号に基づいて、可変表示装置3が可変開始される。可変表示装置3は、前記識別情報および前記キャラクタを画像表示する領域である可変表示部50を有している。この可変表示装置3に表示されるキャラクタの表示結果が予め定められた表示結果になれば特定遊技状態(いわゆる大当り)が発生して可変入賞球装置4の開閉板6が開成され、遊技者にとって有利な第1の状態とされ、所定の遊技価値が付与可能な状態にされる。なお、本発明でいうキャラクタとは、可変表示装置3における画像表示に登場する人物や動物あるいは物等を表わす図柄をいう。」(2頁2欄29-40行)
「【0018】第1図柄52A〜第3図柄52Cのそれぞれは、たとえば、「ジャブ」、「フック」、「1,2パンチ」、「ボディー」、「アッパー」、「カウンタ」、「ストレート」の文字よりなる7個の当り図柄と、星印よりなる9個のはずれ図柄とよりなる。第4図柄は、「KO」の文字よりなる1個の当り図柄と、星印よりなる18個のはずれ図柄とよりなる。第1図柄52A〜第4図柄52Dは、各ラウンド開始後の所定時間の経過により順に停止する。」(3頁3欄43行-4欄1行)
「【0019】各ラウンドで第1図柄52A〜第4図柄52Dのうちいずれか1つでもはずれ図柄が表示された場合は、そのラウンドが終了する。このような状態で、次の始動入賞により次のラウンドに進む。このようにラウンドが進むと、ラウンド数51が1ずつ増加させられる。ラウンド数51は、「12」が上限値であり、第1ラウンドから順に第12ラウンドまで進み、第12ラウンドが終了すると、次の始動入賞により、再度第1ラウンドから試合が始められる。」(3頁4欄2-10行)
「【0021】このように、可変表示装置3においては、ボクシングの試合のような物語性があるキャラクタ表示が行なわれるので、遊技者は、可変表示装置3の表示を見飽きることなく楽しく遊技を行なうことができる。」(3頁4欄23-26行)
「始動入賞が発生した場合は、図2に示されるようなボクシングの試合のシーンを表示する。このボクシングの試合のシーンの各ラウンドにおいては、第1図柄52A〜第4図柄52Dが順次停止する。その停止時の表示結果によって、第1図柄52A〜第4図柄52Dのすべてに当り図柄の表示がなされたときには大当りとなる。なお、大当りを発生させるか否かの判定は、後述するように始動入賞に基づいてランダム数を用いて予め決定される。」(4頁6欄2-10行)
「【0033】以上のような制御回路では、所定のメインプログラムと、そのメインプログラムにより実行の指示がなされる、たとえば、当り外れ判定処理および表示ラウンド数セット処理などの種々のサブルーチンプログラムとに従って制御が実行される。このような制御において、大当たりを発生させるか否かの判定は、当り外れ決定用ランダムカウンタのカウント値に基づいて行なわれる。」(4頁6欄29-36行)
「【0040】ステップS(以下単にSという)1により、現在の当り外れ決定用ランダムカウンタのカウント値、すなわち、このプログラムが実行された際の始動入賞に伴ってサンプリングされた当り外れ決定用ランダムカウンタの値を参照する。」(5頁7欄31-35行)
「【0043】次にS4に進み、ラウンド数が「12」を超えているか否かの判断が行なわれる。ラウンド数が「12」を超えていると判断された場合にはS5に進む。一方、ラウンド数が「12」を超えていないと判断された場合にはS6に進む。S5ではラウンド数を「1」にセットする処理が行なわれる。その結果、ラウンド数が「12」に達した場合またはいずれかのラウンドにおける始動入賞時のサンプリング値が大当り判定値であった場合にはラウンド数が「1」に戻される。S6では当り外れ決定用ランダムカウンタの上限値を、現在のラウンド数に基づき変更する処理が行なわれる。その結果、前記上限値は、始動入賞毎に変更される。」(5頁8欄5-16行)
「【0059】さらにまた、第1実施例においては、ラウンド数の表示にて大当りの発生確率を間接的に報知したが、これに限らず、表示される味方ボクサーの表情を変化させることにより大当りの発生確率を報知するようにしてもよい。その1つの具体例として、大当りの発生確率が高い場合は、余裕がある表情を表示させ、大当りの発生確率が低い場合は、苦しい表情を表示させることにしてもよい。また、音、音声を変化させることにより報知してもよい。」(6頁10欄9-17行)

上記の記載及び図面の記載からみて、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「遊技領域2におけるパチンコ玉が始動入賞口10a、10b、10cに入賞する毎に可変表示部50の画像を変化させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、可変入賞球装置4の開閉板6が開成する遊技者にとって有利な第1の状態となるパチンコ遊技機であって、
当り外れ決定用ランダムカウンタのカウント値は、遊技盤面上に発射されたパチンコ玉が始動入賞口10a、10b、10cに入賞したときの当り外れ決定用ランダムカウンタのカウント値であり、
前記可変表示部50には、12ラウンドを1試合とするボクシングの試合のシーンが表示され、各ラウンドで第1図柄52A〜第4図柄52Dのうちいずれか1つでもはずれ図柄が表示された場合は、そのラウンドは終了し、次の始動入賞によりラウンド数が1ずつ増加させられて次のラウンドに進み、ラウンド数が「1」の第1ラウンドから順にラウンド数が「12」の第12ラウンドまで進み第12ラウンドが終了すると、次の始動入賞によりラウンド数を「1」として再度第1ラウンドから試合が始められ、
前記ラウンド数を可変表示部50に表示し、
前記カウント値が予め定められた大当り判定値であった場合、敵のボクサーが倒された状態を表示し、前記遊技者にとって有利な第1の状態とすると共に、ラウンド数を「1」として再度第1ラウンドから試合が始められる、パチンコ遊技機。」

刊行物3:特開平7-148351号公報(甲第4号証)
「【0015】16は持ち点記憶部17に記憶されている各プレーヤの持ち点に新たな点数を加減算する加減算処理部である。前記加減算処理部16は前記攻撃命中部位検出部13、点数決定部14、攻撃該当者検出部15からの信号を入力し、攻撃を加えたプレーヤには、攻撃を命中させた部位に相当する点数をプレーヤの持ち点に加算し、この加算された持ち点を持ち点記憶部17に新たに記憶させる。また、前記加減算処理部16は攻撃を受けたプレーヤには、攻撃を受けた部位に相当する点数をプレーヤの持ち点より減算し、この減算された持ち点を持ち点記憶部17に新たに記憶させる。」(3頁3欄18-28行)
「また、前記キャラクタコードにはそのキャラクタが有する部位に対応する部位コードを付加されている。22は前記登場キャラクタ検出部21より部位コードを有するキャラクタコードを入力し、前記登場キャラクタの各部位に乱数発生部23からの乱数により不規則に点数を設定する点数設定部である。」(3頁4欄18-23行)

刊行物4:特開平7-116352号公報(異議申立人提出の資料1)
「【0014】12は前記一致/不一致検出部11からの一致信号を入力した際、第1の乱数発生部13に基づいて不規則に点数を決定する点数決定部である。14はプレーヤの戦闘機に命中する敵機からの攻撃を検出し、被爆信号を出力する被弾検出部であり、上記点数決定部12は前記被弾検出部14からの被爆信号を入力した際にも、第1の乱数発生部13に基づいて不規則に点数を決定する。」(3頁3欄14-21行)
「前記一致/不一致検出部11による比較の結果、両者が一致している場合、攻撃ミサイルが敵機に命中したと判断され、該一致/不一致検出部11は一致信号をゲーム作成部6に出力すると同時に、前記プレーヤ指定コードを有する一致信号を点数決定部12に出力する。これによりゲーム作成部6はゲーム空間の映像中の敵機が爆発するように表示されるように処理する。
【0022】また、前記一致信号を入力した点数決定部12は第1の乱数発生部13からの乱数に従って点数が不規則に決定される。そして、前記点数決定部12により決定された点数を示す信号はプレーヤ指定コードと共に加減算処理部17に出力され、該加減算処理部17は得点記憶部18に記憶されている前記プレーヤ指定コードに対応するプレーヤの得点に前述の点数を加算し、その結果得られた新たな得点を前記得点記憶部18に記憶させる。そして、この新たな得点は、得点検出部22を介して前記プレーヤの操作ボックスの得点表示部23に表示される。」(3頁4欄38行-4頁5欄5行)

刊行物5:特開平8-215374号公報(異議申立人提出の資料2)
「【0034】入賞口7a〜7hのいずれかに入ったボール11は入賞通路42を通過する間に、入賞センサ43a〜43hのいずれかによって検知される。この検知信号は入賞信号として制御部70に入力され、いずれの入賞センサ43a〜43hで検知された場合でも1得点が与えられる。こうして得点が得られたときには、ドライバ86を介してスコア表示器87が駆動され、それまでに得られた得点がスコア表示部26に表示される。」(5頁8欄13-20行)
「【0036】一方、入賞信号が入賞センサ43eからのものであるときにはボーナス入賞となる。この場合には、制御部70が乱数発生器76から新たに1個の乱数値を取り込み、その乱数値に対応してボーナス得点を決定する。そして制御部70は、決定されたボーナス得点をボーナス得点表示部25に表示するように、ドライバ78を介してボーナス得点表示器79を作動させる。ボーナス得点表示器79は、前述したようにボーナス得点表示部25の表示パターンに対応して複数のランプを円環状に配列したもので、そのうちの一個を選択して点灯させることによってボーナス得点を表示する。」(5頁8欄29-39行)

甲第3号証:特開平6-134103号公報
「【0027】遊技客がこのキャラクターの選択を行なうと、実際のゲームがスタートして、映像表示部20に相手のキャラクターの顔や遊技客が選択した自分のキャラクターの顔が表示される。そして、打込まれるパチンコ玉は、セーフ穴に入れば賞出を起こすという従来同様の機能の他に、映像表示部20上を通過すればその際映像表示部に登場しているキャラクターに加えられるパンチとして機能する。
【0028】すなわち、パチンコ玉の通過軌跡がマトリクスセンサ25により検出され制御部40によってパチンコ玉が相手のキャラクターの顔の上を通過したことが検知されると、制御部40は、そのキャラクターの顔にまるでパンチが入ったかのようにそのキャラクターの顔及び表情を変化させるとともに、得点を加算して得点表示器18に表示する。なお、この際の得点等は、パチンコ玉の通過のしかたにより異なる。
【0029】また、逆にパチンコ玉が遊技客側のキャラクターの顔の上を通過したことが検知されると、制御部40は、そのキャラクターの顔にまるでパンチが入ったかのようにそのキャラクターの顔及び表情を変化させるとともに、通過のしかたに応じた分の得点を減算して得点表示器18に表示する。なお、映像表示部20に遊技客側のキャラクターの顔が登場しているときに、長時間パチンコ玉が打込まれないことがマトリクスセンサ25やセーフ穴15のセンサにより検知されると、制御部40はそれだけで得点を減算する。
【0030】そして、パンチが続けて入るかあるいはパチンコ玉の通過のしかたによって強力なパンチが入ったと判断されるときには、そのキャラクターがダウンしレフリーが登場してカウントする画像を映像表示部20に表示するとともに、フィーバー状態としてチャッカー17を動作させる。」(4頁5欄31行-6欄12行)

甲第5号証:特開平7-289683号公報
「【0010】また、本発明に係るビンゴゲーム装置において、上記表示制御手段は、新たな乱数をその乱数が属するグループ「B」,「I」,「N」,「G」又は「O」とともに表示させる表示制御を行うことを特徴とする。」(3頁3欄45-49行)
「【0013】
【作用】本発明に係るビンゴゲーム装置では、乱数発生手段により発生された乱数を表示手段に表示させる表示制御を行うにあたり、制御手段により、操作入力を受け付けてゲームを開始し、最初の1回目の操作入力により1〜75の乱数を上記乱数発生手段から表示制御手段に与え、2回目以降は、1〜45の乱数を上記乱数発生手段により発生させ、今回の乱数+15+前回の乱数により求まる乱数を表示制御手段に与える制御を行う。」(3頁4欄8-16行)

甲第6号証:特開平8-129480号公報
「【請求項2】請求項1記載の乱数生成用ICにおいて、
前記演算部は、第(n+1)回目に生成させる乱数データをXn+1 とし、第n回目に生成させた乱数データをXn とし、第1乱数生成用定数をλとし、第2乱数生成用定数をμとした場合に、次式に基づいて乱数を生成することを特徴とする乱数生成用IC。
Xn+1 ≡λ・Xn +μ (mod 2S 、但しS は整数)」(2頁1欄10-18行)
「【0023】従って、パチンコ遊戯装置は、乱数データの生成を制御用プログラムによりソフトウェア的に行う必要が無いので、乱数生成用ソフトウェアを組込む必要もなく、制御用プログラムの容量を実質的に増大させて複雑な制御を行わせることが可能となる。」(3頁4欄42-46行)

(b)対比・判断
i.本件請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点>
本件発明1では、「獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し」てなるのに対して、刊行物1記載の発明では、このような発明を特定する事項を備えていない点。

上記相違点について検討する。
上記刊行物2には、パチンコ玉(本件発明1の「遊技球」に相当する。以下、括弧内は刊行物2に記載された用語に相当する本件発明1の用語を示す。)が始動入賞口(始動口)に入賞(入球)すると、12ラウンドを1試合とするボクシングの試合のシーンが可変表示部(動画表示部)に表示され、前記ボクシングの試合のシーンは、前記入賞(入球)毎に第1ラウンドから順に第12ラウンドまで進んで表示される発明が記載されているが、上記相違点に係る本件発明1を特定する事項は記載されておらず示唆する記載もない。
また、上記刊行物3〜5には、ゲーム機において周知である、乱数値に対応した数値で示されるポイントを設定し、選択された現乱数値に応じて前回の獲得ポイントから現獲得ポイントに更新する点、及び、獲得ポイントを表示部に表示する点が記載されているが、上記相違点に係る本件発明1を特定する事項は記載されておらず示唆する記載もない。
さらに、上記甲第3号証には、得点を加算して得点表示器18に表示する点が、上記甲第5号証には、新たな乱数をその乱数が属するグループ「B」,「I」,「N」,「G」又は「O」とともに表示させる点が、上記甲第6号証には、乱数データの生成手段が、それぞれ記載されているのみであり、上記甲第3、5、6号証のいずれにも、上記相違点に係る本件発明1を特定する事項は記載されておらず示唆する記載もない。

そして、上記相違点に係る発明を特定する事項を備えた本件発明1は、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明からは予測できない訂正明細書記載の効果を奏するものであり、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

ii.本件請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点>
本件発明2では、「獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し」てなるのに対して、刊行物1記載の発明では、このような発明を特定する事項を備えていない点。

上記相違点について検討する。
上記甲第3号証には、「映像表示部20に相手のキャラクターの顔や遊技客が選択した自分のキャラクターの顔が表示され」(段落【0027】)、「パチンコ玉が相手のキャラクターの顔の上を通過したことが検知されると、制御部40は、そのキャラクターの顔にまるでパンチが入ったかのようにそのキャラクターの顔及び表情を変化させるとともに、得点を加算して得点表示器18に表示」(段落【0028】)し、「パンチが続けて入るかあるいはパチンコ玉の通過のしかたによって強力なパンチが入ったと判断されるときには、そのキャラクターがダウンしレフリーが登場してカウントする画像を映像表示部20に表示するとともに、フィーバー状態としてチャッカー17を動作させる」(段落【0030】)点が記載されているが、得点は乱数値によって決まるものではなく、加算した得点に従って映像表示部20に表示されるキャラクターの顔及び表情を変化させるものでもない。また、上記刊行物2には、上記「i.」に記載した発明が記載され、上記刊行物3〜5及び上記甲第5、6号証には、同「i.」に記載した点が記載されているのみであり、上記刊行物2〜5及び上記甲第3、5、6号証のいずれにも、上記相違点に係る本件発明2を特定する事項は記載されておらず示唆する記載もない。

そして、上記相違点に係る発明を特定する事項を備えた本件発明2は、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明からは予測できない訂正明細書記載の効果を奏するものであり、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

iii.本件請求項3に係る発明について
本件請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という。)は本件発明1又は本件発明2を引用するものであるから、本件発明3についての対比・判断は、上記「(イ)」の「i.」又は同「ii.」の記載と同じであり、
本件発明3は、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明からは予測できない訂正明細書記載の効果を奏するものであり、上記刊行物1〜5及び上記甲第3、5、6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)特許法第36条第4、6項について
(a)異議申立人の主張する記載不備について
異議申立人の主張する特許請求の範囲における記載不備は以下のものである。
i.「獲得ポイント(PN)」が何を意味するものなのか、また、何から、どのように、得られたものであるのかが不明確である。
ii.「乱数値(RN)の値に応じて前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)として物語の展開度を更新」という記載からは、所定の乱数値となった場合に前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)とするという意味にも解釈することができ、さらには、現時点で、前回の獲得ポイントをそのまま使用するという意味にも解釈することができ、発明の詳細な説明中で示された構成を明確に示していない。
iii.「物語の展開度を更新」という記載は、日本語として表現が不適切であり、物語の展開を行うのか、物語性を変更して物語を展開するのか不明瞭である。

そこで、上記異議申立人の主張する特許請求の範囲における記載不備について検討する。
特許明細書の記載が上記訂正請求により訂正され、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2において、「獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、」という記載が付加されると共に、「乱数値(RN)の値に応じて前回の獲得ポイント(PN)の値を現獲得ポイント(PN)として物語の展開度を更新」という記載、及び、「物語の展開度を更新」という記載が削除されたことにより、上記i.〜iii.の記載不備は解消された(上記「2.」の「2-1.」の「(1)」を参照。)。

(b)当審で通知した記載不備の取消理由について
特許明細書の記載が上記訂正請求により訂正されたので、当審で通知した記載不備は解消された。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、
獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、
前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、
該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、
前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記乱数値(RN)により大当たりと判断されたときには、前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とするとともに、画面上に前記大当り画面を表示することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、
乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、
獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、
前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、
該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、
前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、
前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し、前記特別遊技状態とすることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、
前記更新された獲得ポイント(PN)の段階に応じた画像表示処理が為されることを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に関し、詳しくは画面上に動画を表示する画面表示装置を備えた弾球遊技機に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年の弾球遊技機としては、画面として液晶表示体等が使用され、画面が特定表示態様になると遊技者に有利な特定遊技状態とするものが一般的である。係る弾球遊技機の遊技内容を詳しく説明すると、遊技盤面上に発射された遊技球が特定の入賞口又は入球口に入球すると液晶画面上の画像が変動を開始し所定時間経過後に停止する。ここで、停止した図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を表示すると特定遊技状態とする。この大当りとしての特別遊技状態は、アタッカと呼ばれる大入賞口を一定時間(通常は約30秒以内)又は遊技球が所定個数(通常は10個)入球するまで開放し、この間にアタッカ内の特定領域を遊技球が通過すると一旦閉鎖した後に再び開放する動作を最大16回繰り返すことにより終了する。そして、通常、遊技球1個の入球に対して15個の遊技球が賞球として遊技者に払い出されるよう構成されているので、1回の大当りにより最大2400個(10×15×16個)程度の遊技球を獲得できる。
前記画面上に表示される図柄の画像処理は、画面が3分割され各々の表示窓に順次的に図柄が変動表示するよう構成されているのが一般的であるが、画面上にレース画面を表示させレースを展開するよう構成されているものもある。そして、前述したように変動停止後に特定図柄等の特定画面を表示すると特別遊技状態とするのである。
尚、一般的には、遊技球が特定の入賞口に入球又は特定の通過口を通過したときに取り出される乱数の値が予め定められた値であれば強制的に特定画面を表示するよう構成されている。また、この乱数は、微小時間経過後にインクリメントされ一定範囲の値を繰り返し作成する変数として構成されるのが一般的である。従って、この乱数の実体は、遊技球が特定入賞口に入球又は特定通過口を通過するタイミングとして把握される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した弾球遊技機は、画面上に特定図柄を表示すると特別遊技状態となり大量の賞球を獲得することができるので遊技者の射幸心を煽るという効果があるものの、遊技者は遊技球をひたすら特定入賞口に入球又は特定通過口を通過させることに専念するだけであり、遊技が単調であるという課題があった。係る課題を解決するために、特定図柄でない外れ図柄を表示するように見せかけておいて数秒後に特定図柄を表示させたり、特定図柄を表示するように見せかけておいて数秒後に外れ図柄を表示する所謂トリック動作をさせる発明も為されている。しかし、係る弾球遊技機においても、特別遊技状態を発生させる要因は遊技球が特定入賞口に入球又は特定通過口を通過するタイミングであり、遊技者の技量の介入が少なくゲームが単調であることに変わりはない。この課題を解決するために、パチンコ遊技機に所謂TVゲームの要素を取り入れ、画面上でTVゲームの動画を表示させて動画が一定の目的を達成すれば特別遊技状態を発生させる構成とすることも考えられる。しかしながら、動画に一定の目的を達成させるためには、遊技者が操作する動画を移動させるための所謂ジョイスティックや発射釦等の操作手段が必要となり構成が複雑になるといった課題が考えられた。また、TVゲームのゲーム性の要素とパチンコ遊技のゲーム性とを如何に関連づけすることができるかという課題も考えられた。このため、未だにパチンコ遊技機に所謂TVゲームの要素を取り入れることができない。この結果、遊技者は、遊技に飽きているという現象も多々発生している。このことは、ひいては弾球遊技機の客離れという事態に発展することにもなりかねない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の弾球遊技機は、遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、前記乱数値(RN)により大当たりと判断されたときには、前記獲得ポイント(PN)を強制的に所定値とするとともに、画面上に前記大当り画面を表示することを特徴とする。
請求項2に記載の発明の弾球遊技機は、遊技領域における遊技球が始動口(24)に入球する毎に動画表示部(23a、53a)の映像を変動させた後に映像を静止させ、大当りと判断されたときには、大当り画面を表示し、大入賞口(25)を開放する特別遊技状態としての大当たり処理に移行する弾球遊技機であって、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って前記動画表示部に前回画面から進展する動画画面を続行表示し、前記獲得ポイント(PN)を動画表示部(23b、53b)に表示し、前記更新された獲得ポイント(PN)が所定値を超えれば、前記大当りと判断し、画面上に前記大当り画面を表示し、前記特別遊技状態とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の弾球遊技機は請求項1又は2に記載の弾球遊技機において、前記更新された獲得ポイント(PN)の段階に応じた画像表示処理が為されることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【具体例】
本発明の第1の具体例の弾球遊技機について図1〜図6を参照しつつ説明することにする。
図1に示すように、弾球遊技機10には遊技盤12が備えられると共に、遊技盤12の前面は二重のガラスで覆われ遊技盤12と内側のガラスとの間には遊技領域が形成される。遊技領域の下方には上受皿14が設けられ、更に上受皿14の下方には下受皿16が設けられている。上受皿14及び下受皿16は従来のものと同様の機能を有する様に構成されている。下受皿16の右には発射ハンドル18が備え付けられていて遊技者が発射ハンドルを操作すると内蔵されたタッチスイッチ18aがオンし回動量に応じた打力で上受皿14から供給される遊技球を遊技領域上に発射することができる。この弾球遊技機10の本体の機構的な構成については従来の技術と同様であって詳細な説明は割愛するが、遊技盤12面上に発射された遊技球を遊技盤12の裏側に設けられた集合板を介して遊技盤12の裏面下方に流下させ、また賞球状態が発生した場合には賞球タンクの遊技球を上受皿14又は下受皿16に流下させるよう構成されている。これらの制御は遊技機本体裏側の図示しない電子制御基盤20により実行される。尚、遊技盤12面上に発射されても遊技盤12の最下部のアウト口に至った場合は賞球されない。
【0010】
遊技盤12の中央部には、図2に示されるように、液晶表示体より構成された液晶画面23、その真下には始動口としての普通電動役物24、更にその真下には所謂アタッカと呼ばれる大入賞口25、その他の入賞口(入球口)26〜28が各々組み付けられている。始動口24は、通常は入球幅が他の入賞口26〜28と同様の約13mmであるが、開放したときには約55mmとなるよう構成されている。また、大入賞口25は閉鎖時には遊技球は入球できないが、開放時には約90mmの入球幅となるよう構成され、更に内部には特定領域を有する。尚、遊技盤12面上には、図示しないその他の入賞口、障害釘、風車、ランプ風車等の各種付属品が備えられている。
【0011】
弾球遊技機10の裏側には、遊技機のゲームの進行等を司る前記電子制御基盤20が周知の機構盤に脱着可能に取り付けられている。
電子制御基盤20は、図3に示される様に、CPU20a、ROM20b及びRAM20cを中心とした論理演算回路として構成され、計時及び乱数発生用に使用される種々のカウンタ20dも用意されている。
電子制御基盤20の外部入力側には、前記始動口24に遊技球の入球があったことを検出する入球センサ24a、大入賞口25に遊技球の入球があったことを検出する入球センサ25a、大入賞口25内の特定領域を遊技球が通過したことを検出する入球センサ25b、その他入賞口26〜28等に遊技球の入球があったことを検出する各種入球センサ(図3参照)、前述のタッチスイッチ18a等が接続されている。
電子制御基盤20の外部出力側には、前記液晶画面23に動画を表示する液晶表示制御装置30、始動口24及び大入賞口25を開放するためのソレノイド31及び32、機構盤に備えられ賞球状態が発生したときに賞球を行うための図示しない賞球装置33、遊技盤12面上の各種ランプ34、効果音を発生させるためのスピーカ35等が接続されている。液晶表示制御装置30は、CPU、ROM及びRAM等を中心として構成された論理演算回路であって、ROMにはCPUの実行プログラムの他に動画(映像)図柄等の各種画像データが格納されている。
【0012】
液晶画面23は、図4に示すように、動画を表示する動画表示部23aと、動画の態様に応じた後述する獲得ポイントPN及びダメージDNを表示するメッセージ表示部23bとに分割されて構成されている。動画表示部23aには、後に詳説するが対戦相手である敵ENが変る種々の格闘場面が表示され主人公HIが敵ENと格闘する格闘シーンが動画表示される。更に、動画表示部23aの右端には4つに分割された保留記憶表示部23cが設けられている。この保留記憶表示部23cは、従来の技術と同様であり、動画表示部23aに変動表示される図柄が変動中、又は大入賞口25が開放される特別遊技状態としての大当り中に遊技球が始動口24に入球したことを記憶するものであり最大4個まで記憶される。そして、記憶があれば図柄の変動停止後又は大当り動作終了後に記憶の数に従って、動画表示部23a上の図柄が再び変動表示される。
【0013】
次に図5に示す「画像表示処理」及び図6に示す乱数値の対応図表に基づき具体例1の処理について説明する。図5に示す処理はハード割込み等の手法により定期的に実行されるものであり、電子制御基盤20のCPU20aにより実行される処理の内の1つを示す。
電子制御基盤20のCPU20aにより実行される処理が本ルーチンに移行すると、まず乱数値RNの記憶が有るか否かが判断される(ステップS100)。乱数値RNは、遊技盤12面上に発射された遊技球が始動口24に入球したときの乱数値RNであり、前述した如く保留記憶の分も含めて最大5個まで記憶される。乱数値RNは、本具体例では、2.048msの微小時間毎に+1され0〜249までの数値を繰り返し昇順に作成するカウンタ値であり電子制御基盤20のカウンタ20dで生成されている。遊技盤12面上に発射された遊技球は図示しない障害釘等で誘導又は跳ね返されて発射された内の一部の遊技球が始動口24に入球することになるので、乱数値RNが周期的な値を作成していても、入球したとき記憶される値は乱数として作用する。
【0014】
乱数値RNは、図6に示されるように、その取り得る値によって26グループに分類される。そして、グループ0を除くグループ1〜25の25通りのポイントP及びダメージDが選択される。尚、図6に示すグループ1には、乱数値RNの「1」を除く「0」〜「9」までの9個の値が属する。その他のグループ2〜25には各々10個の乱数値RNが属する。また、グループ0の場合、即ち乱数値RNが「1」のときは大当りである(ステップS110)。
大当りでないときには、前回の獲得ポイントPNに乱数値RNに対応する図6に示すポイントPを加算し、ダメージDを減算して新たな獲得ポイントPNとする更新処理と、前回のダメージDNにダメージDを加算して新たなダメージDNとする更新処理とがなされる(ステップS120)。
続くステップS130〜S150では、加減算されたポイントPNが1以上100未満であるか否か、ダメージDNが100未満であるか否かが判断される。ポイントPNが1以上100未満であり、ダメージDNが100未満であるとの判断が為されると、更新されたポイントPN及びダメージDNに応じた格闘場面が液晶画面23上に動画として所定時間表示される(ステップS160)。次にこのステップS160で行われる処理について説明する。
【0015】
図4に示されるように、液晶画面23の動画表示部23aには、敵ENと主人公HIとの攻防シーンが乱数値RNに従って選択されたポイントPとダメージDの値に応じて動画表示される。本具体例では、ポイントP及びダメージDの値が「1」のときは相手の体へのパンチ、値が「2」のときは相手の顔面へのパンチ、値が「3」では相手への前蹴り、値が「4」では回し蹴り、値が「5」では後頭部への膝蹴りと設定されている。そして、ポイントPの場合は、主人公HIの攻撃が敵ENに加えられ、逆にダメージDの場合は主人公HIが敵ENから攻撃を受けるのである。例えば、乱数値RNが「21」であれば、グループ3に属することになり、ポイントPは「5」、ダメージDは「3」となるので、動画表示部23aには、主人公HIが敵ENに後頭部への膝蹴りを加えた後、敵ENに前蹴りを受ける場面が表示される。そして、このポイントP及びダメージDとにより前記ステップS120の処理に従って現獲得ポイントPN及び現ダメージDNが算出されるのである。この算出された現獲得ポイントPN及び現ダメージDNの値は、メッセージ表示部23bに表示される。本具体例では、この格闘シーンは遊技球が始動口24に入球し、入球したことが入球センサ24aにより検出されてから20秒〜30秒の間動画として変動表示されその後静止表示状態とされる。このステップS100〜ステップS160の処理により、液晶画面23の動画表示部23aには乱数値RNに対応して更新された獲得ポイントPN及びダメージDNに応じた格闘シーンが前回の格闘シーンから続行して動画表示され、乱数値RNに応じて前回の獲得ポイントPN及びダメージDNの値が現獲得ポイントPN及びダメージDNとして更新される。
【0016】
一方、前記ステップS130において、更新された獲得ポイントPNが100以上との判断が為されると、獲得ポイントPNを強制的に「80」とし、敵ENから連続した攻撃を数度受ける動画を表示させた後に静止表示させる処理が為される(ステップS180)。尚、このとき、ダメージDNの値が「1」以上100未満にないときには、この範囲内に入るよう適当に修正される処理がなされる。
また、前記ステップS140において、更新された獲得ポイントPNが零以下との判断が為されると、獲得ポイントPNを強制的に「20」とし、敵ENに連続した攻撃を数度加える動画を表示させた後に静止表示させる処理が為される(ステップS200)。尚、このとき、ダメージDNの値が「1」以上100未満にないときには、この範囲内に入るよう適当に修正される処理がなされる。
更に、前記ステップS100において、更新されたダメージDNの値が100以上との判断が為されると、主人公HIは敵ENから激しい攻撃を受けて逃避する場面を表示させ、次の対戦相手と対峙するシーンで静止表示させる処理が為される(ステップS210)。尚、この次の対戦相手と対峙する場面では、獲得ポイントPN及びダメージDNは初期値として各々「50」と設定される。
【0017】
ところで、前記ステップS110において、大当りと判断されたときには、獲得ポイントを強制的に「100」とし、主人公HIが敵ENに連続した攻撃を加えて敵ENを倒す場面を約30秒間に亘って動画表示し、敵ENが倒れたところで画面上に「WIN」という文字を大きく表示して大入賞口25を開放する特別遊技状態としての大当り処理に移行する。尚、この大当りとしての特別遊技状態は、従来の技術と同様であり、大入賞口25を一定時間(通常は約30秒以内)又は遊技球が所定個数(通常は10個)入球するまで開放し、この間に大入賞口25内の特定領域を遊技球が通過すると一旦閉鎖した後に再び開放する動作を最大16回繰り返すことにより終了する処理である。この大当り処理が終了した後に、再び本「画像表示処理」は実行され、次の対戦相手と対峙する場面が表示される。そして、このときの獲得ポイントPN及びダメージDNは初期値として各々「50」と設定される。尚、大当り処理後の対戦相手は、前回の対戦相手よりも強いイメージの敵を表示させ、ステップS210において表示される対戦相手は弱いイメージの敵を表示させるよう本具体例では構成されている。
【0018】
前記ステップS160、S180、S200、S210、S220の処理が為された後、処理は「リターン」にぬけ、本処理は再び所定時間毎に実行されるが、遊技球が始動口24に入球する毎に前回の格闘場面から引き続き格闘場面が続行表示されることになる。そして、この主人公HIと敵ENとの格闘シーンは、所謂「TVゲーム」が操作する人間の技量に従って物語が展開し獲得ポイントやダメージが更新されるのに対して、本具体例では遊技球が始動口24に入球したとき選択される乱数値RNに応じて獲得ポイントPNやダメージDNが更新され動画画面で物語が展開するのである。換言すれば、物語の展開度を、TVゲームでは操作釦等の入力装置からの入力に基づき処理していたのに対し、本具体例では選択される乱数値RNに基づき処理するだけなので、TVゲームの画像処理プログラム(ソフト)を容易に本具体例に採用することができるのである。
【0019】
以上詳細に説明した本具体例では、液晶画面23の動画表示部23aには、遊技球が始動口24に入球したとき選択される乱数値RNに基づいた格闘場面が前回の画面から展開して動画表示される。これにより、遊技客は、遊技球が始動口24に入球する毎にストーリ性のある動画を前回の静止画面に引き続き楽しむことができる。これにより、遊技者はTVゲーム感覚でパチンコ遊技を楽しむことができるという極めて優れた効果を奏する。また、獲得ポイントPNが「100」に近くなれば大当りへの期待感を煽ることができ一層遊技を興趣あるものとすることができるという優れた効果も有する。更に、本具体例では敵ENが主人公HIに倒される場面が表示され大当り状態となるが、実際のところ遊技球が始動口24に入球したとき選択される乱数値RNが「1」のときだけであり、画面上には前回の画面と関係ある(履歴ある)動画が表示されるものの、大当りとなる確率は前歴に関係なく一律である。このことは、現状の法律に合法である。換言すれば、本具体例では遊技球が始動口24に入球する毎に画面上に前歴に関係ある動画を表示させつつも、実際大当り状態とする要因は前歴に関係なく乱数値RNの確率によるのである。これにより、現法律に好適に対応して画面上ではストーリ性ある動画を遊技者が楽しむことができるという極めて優れた効果を有している。
【0020】
次に図7〜図9を用いて具体例2について説明することにする。具体例2では、具体例1の図4の液晶画面23の替りに図7に示す液晶画面53、図5に示す「画像表示処理」の替りに図8に示す「画像表示処理」、図6の乱数値RN対応図表の替りに図9の対応図表を用いるものであり、その他の構成は具体例1と概ね同様の構成である。具体例2の液晶画面53は、若い主人公YMと女の子LAとの恋愛物語が動画表示される動画表示部53aと、恋愛の成就度を示す獲得ポイントPNを表示するメッセージ表示部53bと、3桁の数字を表示する数字図柄表示部53cと、具体例1と同様の保留記憶表示部53dとに分割されている。この第2の具体例では、動画表示部53aに恋愛が成就する画面が表示されると大当り状態とする構成をとる。
【0021】
まず、電子制御基盤20のCPU20aにより実行される処理が本ルーチンに移行すると、まず乱数値RNの記憶が有るか否かが判断される(ステップS300)。乱数値RNは、遊技盤12面上に発射された遊技球が始動口24に入球したときの乱数値RNであり、前述した如く保留記憶の分も含めて最大5個まで記憶される。乱数値RNは、本具体例では図9に示すように、2.048msの微小時間毎に+1され0〜99までの数値を繰り返し昇順に作成するカウンタ値であり電子制御基盤20のカウンタ20dで生成されている。遊技盤12面上に発射された遊技球は図示しない障害釘等で誘導又は跳ね返されて発射された内の一部の遊技球が始動口24に入球することになるので、乱数値RNが周期的な値を作成していても、入球したとき記憶される値は乱数として作用する。
【0022】
乱数値RNは、図9に示されるように、その取り得る値によって26グループに分類される。そして、グループ0を除くグループ1〜25の25通りポイントPが選択される。尚、図9に示すグループ1には、乱数値RNは「1」を除く「0」〜「3」までの3個の値が属し、その他の2〜25のグループには各々4個の乱数値が属する。また、グループ0の場合、即ち乱数値RNが「1」ときは大当りである(ステップS310)。
乱数値RNが「1」でないときは、図9に示される乱数値RNに対応するポイントPが選択され、前回の獲得ポイントPNに選択されたポイントPを加算して新たな獲得ポイントとする更新処理が為される(ステップS320)。例えば、乱数値RNが「53」であれば、グループ14に属することになるのでポイントPは「-3」となり前回の獲得ポイントPNに「-3」を加算するのである。この更新処理された獲得ポイントPNが「1」以上「50」未満であれば(ステップS330〜S340)、更新された獲得ポイントPNの段階に応じた画像表示処理が為される(ステップS350)。
本具体例では、更新された獲得ポイントPNが「1」以上「9」以下であれば恋愛の成就度は非常に悪く、「10」以上「19」以下であれば少し悪く、「20」以上「29」以下であれば普通、「30」以上「39」以下であれば良く、「40」以上「49」以下であれば非常に良い恋愛シーンが所定時間(約20秒〜30秒)動画表示されるよう構成されている。例えば、初期画面(初期獲得ポイントPNは値が「25」に設定される。)で可愛い女の子LAを表示させ、この後遊技球が始動口24に入球したとき選択される乱数値RNを用いて獲得ポイントPNを更新し、この更新された獲得ポイントPNに基づき女の子LAとのデート画面を非常に良い雰囲気の画面、良い雰囲気、普通、やや悪い、かなり悪いの5段階で前回の画面から続行させて動画表示するのである。また、各段階では、雰囲気の状態がそれ程変らないものの、物語が展開する動画が獲得ポイントPNに応じて動画表示されるよう構成されている。
【0023】
一方、更新された獲得ポイントPNが「50」以上となるときには(ステップS340)、獲得ポイントPNを強制的に「25」とする更新処理を行った後(ステップS360)、動画表示部53aに恋愛の成就度が普通の進展となる恋愛シーンを動画表示する。
また、更新された獲得ポイントPNが「0」以下となるときには(ステップS330)、次の女の子LAを表示する初期画面(獲得ポイントPNは「25」)を動画表示する(ステップS380)。
これらのステップS300〜ステップS350の処理により、液晶画面53の動画表示部53aには乱数値RNに対応して更新された獲得ポイントPNに応じた恋愛シーンが前回の恋愛シーンから続行して動画表示され、乱数値RNに応じて前回の獲得ポイントPNが現獲得ポイントPNとして更新される。
ところで、前記ステップS310において大当りと判断されたときには、獲得ポイントPNを強制的に「50」とし、主人公YMと女の子LAとの結婚画面を約30秒に亘って動画表示した後、図示しない大当り処理を実行する。尚、大当り処理終了後には次の女の子LAを表示する初期画面が表示される。このとき、大当り終了後の初期画面では、次の女の子LAは前回よりも美人でプライドの高そうな女性を表示し、前記ステップ310において表示する初期画面では美人さは劣るものの気立ての良さそう女性を表示すると一層遊技者の興趣を煽ると思われる。
【0024】
上述したように、具体例2では、遊技球が始動口24に入球したとき選択される乱数値RNに基づき獲得ポイントPNを更新し、更新された獲得ポイントPNに従って動画表示部53aに前回画面からの恋愛進展の動画画面が所定時間続行表示されて獲得ポイントPNに応じた静止画面が表示される。この更新された獲得ポイントPNはメッセージ表示部53bに表示される。一方、数字図柄表示部53cには、従来の技術に示されるように、3桁の数字図柄が遊技球が始動口24に入球する毎に変動表示される。各桁に表示される数字図柄は「0」〜「9」までの10個の数字図柄が変動表示され、乱数値RNが「1」のときには3桁同一数字図柄が表示されるよう制御され、それ以外のときには3桁同一数字図柄とならないよう表示制御される。尚、この数字図柄表示部53cに変動表示される図柄が停止するタイミングは、動画表示部53aに動画表示される図柄が停止した後の1秒〜2秒の間が好ましい。
【0025】
第2の具体例では、第1の具体例と同様の効果を有する他、遊技球が始動口24に入球する毎に前回の表示とは関係ない1回毎に独立した変動図柄、従来の技術に示されるように選択される乱数値RNに基づき前回の履歴と関係ない数字図柄が変動表示されるので、画面上でも現状の法律に抵触することなく合法であるという効果を有する。
【0026】
次に図10及び図11に基づき第3の具体例について説明する。
第3の具体例では、乱数値RNは、2.048msの微小時間毎に+1され0〜99までの数値を繰り返し昇順に作成するカウンタ値であり電子制御基盤20のカウンタ20dで生成されている。この乱数値RNは、図11の乱数値対応図表に示されるように、その取り得る値によって25グループに分類される。そして、グループ1〜25の25通りのポイントPが選択される。
【0027】
第3の具体例では、第1及び第2の具体例と異なり、乱数値RNに予め定められた大当り用の数値というものはなく、乱数値RNに対応して選択されるポイントPを用いて獲得ポイントPNを更新し(ステップS400〜S410)、この更新された獲得ポイントPNが所定値(本具体例では「100」)が超えれば特別遊技状態とするものである(ステップS450〜S460)。その他の構成は第1の具体例とほぼ同様であり、遊技球が始動口24に入球する毎に所定時間、更新された獲得ポイントPNに基づき前回の画面から続行して図4に示す格闘場面が続行表示される(ステップS420〜S440)。尚、第3の具体例ではダメージDNの値は表示されない。また、初期設定画面では、獲得ポイントPNの初期値として「50」の値が設定される。
【0028】
第3の具体例では、乱数値RNに対応して選択されるポイントPにより更新される獲得ポイントPNが「100」を超えれば特別遊技状態となり、前回の画面及び獲得ポイントPNが特別遊技状態と直接的に関係する。このため、獲得ポイントPNが大きくなれば、遊技者は遊技を中断し難く、パチンコホールの客付きを良くして稼動率を上げることができるという優れた効果を有する。また、遊技者が長時間遊技を行って獲得ポイントPNを大きくすれば、特別遊技状態となる可能性が大きくなるので遊技者が大きく損害を被ることはなく、一層遊技の健全化を図ることができるという効果も奏する。
【0029】
前述した第1〜第3の具体例では、獲得ポイントPNの初期値を一律に設定する構成としたが、必ずしも一律な初期値とする必要はなく、状態に応じて初期値を変更する構成としても良い。例えば、第1及び第2の具体例では、乱数値RNによる大当りの確率を高くする所謂高確率状態も有する構成とし、この高確率状態時には、獲得ポイントPNの初期値を低確率時よりも大きな値とするのである。また、第3の具体例では、格闘する敵の難易度に応じて初期値を設定する構成とすることが考えられる。例えば、強敵を表示する場合には獲得ポイントPNの初期値を小さくして更新される獲得ポイントPNが「100」に至るのを困難とし、弱い敵を表示した場合には初期値を大きくして特別遊技状態に至るのを容易な構成とするのである。尚、このとき、表示される敵の難易度によって特別遊技状態で遊技者に与えられる賞球数を異なるよう構成しても良い。
更に、本具体例では、動画表示部23a及び53aに特定の動画が表示されると特別遊技状態とする構成としたが、特定の動画が表示されることに起因して特別遊技状態とする構成としても良い。例えば、特定の動画が表示されることにより特定の入賞口に遊技球が入球可能な状態とし、この特定の入賞口の特定領域を遊技球が通過することにより特別遊技状態とするのである。
また、第1の具体例〜第3の具体例では、各々、乱数値RNとポイントPとの対応は図表に示すように一律に対応する構成としたが、一定の数式に基づき乱数値RNからポイントPを演算する構成としても良い。要は、乱数値RNに基づき物語の展開度に対応するポイントPを求める構成とすれば良いのである。
【0030】
【発明の効果】
請求項1〜3の発明によると、乱数値(RN)は、遊技盤面上に発射された遊技球が始動口(24)に入球したときに選択されるものであり、獲得ポイント(PN)は、数値により、動画での物語の展開度を示すように設定されるものであり、前記乱数値(RN)に従ってポイント(P)をグループ分けし、前記乱数値(RN)に対応するポイント(P)が選択され、前回の獲得ポイント(PN)に選択されたポイント(P)を加算して新たな獲得ポイント(PN)とし、該新たな獲得ポイント(PN)に従って動画表示部(23b、53b)に前回画面から進展する動画画面を続行表示される。これにより、遊技客は、遊技球が始動口(24)に入球する毎にストーリ性のある動画を前回の静止画面に引き続き楽しむことができる。これにより、遊技者はTVゲーム感覚でパチンコ遊技を楽しむことができるという極めて優れた効果を奏する。また、請求項2の発明によると、動画が特定の態様に近くなれば大当りへの期待感を煽ることができ一層遊技を興趣あるものとすることができるという優れた効果も有する。
更に、請求項1〜3の発明によると、所謂「TVゲーム」が操作する人間の技量に従って物語が展開するのに対して、遊技球が始動口(24)に入球する毎に選択される乱数値に応じてポイント(P)を決定し、ポイント(P)により更新された獲得ポイント(PN)に従って動画で物語が展開するので、TVゲームのプログラムと大差なくプログラミングすることができるという極めて優れた効果も奏している。換言すれば、特別な構成とすることなく、従来のパチンコ遊技機でTVゲームを楽しみつつパチンコ遊技を行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を採用した第1具体例の弾球遊技機を示す正面図である。
【図2】 第1具体例の遊技盤面の構成を示す正面図である。
【図3】 第1具体例の電子制御基盤20の構成を示すブロック図である。
【図4】 第1具体例の液晶画面23を示す摸式図である。
【図5】 第1具体例の「画像表示処理」での各処理を示すフローチャートである。
【図6】 第1の具体例で用いられる乱数値RNとポイントPとの対応図表である。
【図7】 第2具体例の液晶画面53を示す摸式図である。
【図8】 第2具体例の「画像表示処理」での各処理を示すフローチャートである。
【図9】 第2の具体例で用いられる乱数値RNとポイントPとの対応図表である。
【図10】 第3具体例の「画像表示処理」での各処理を示すフローチャートである。
【図11】 第3の具体例で用いられる乱数値RNとポイントPとの対応図表である。
【符号の説明】
12…遊技盤、14…上受皿、16…下受皿、18…発射ハンドル、
18a…タッチスイッチ、20…電子制御基盤、
23,53…液晶画面、23a,53a…動画表示部、
23b,53b…メッセージ表示部、23c,53d… 保留記憶表示部、
24…始動口(普通電動役物)、24a,25a,25b…入球センサ
25…大入賞口(アタッカ)、26,27,28…入賞口、
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-25 
出願番号 特願平11-246812
審決分類 P 1 651・ 537- YA (A63F)
P 1 651・ 121- YA (A63F)
P 1 651・ 536- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 鉄 豊郎
白樫 泰子
登録日 2002-04-19 
登録番号 特許第3298852号(P3298852)
権利者 株式会社高尾
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 尾崎 隆弘  
代理人 尾崎 隆弘  

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