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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1118764 |
審判番号 | 不服2003-115 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-10-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-01-06 |
確定日 | 2005-06-21 |
事件の表示 | 平成10年特許願第76331号「所定周波数の光信号を遅延する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月9日出願公開、特開平10-268370〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成10年3月24日(パリ条約による優先権主張1997年3月25日、米国)の出願であって、平成14年9月12日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年1月6日付で拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年1月6日付及び2月4日付で手続補正がなされたものである。 2 平成15年2月4日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について [補正却下の決定の結論] 平成15年2月4日付の手続補正を却下する。 [理由] 本件補正は、特許請求の範囲を次のとおりに補正しようとするものである。 「【請求項1】 光入力信号から、所定時間遅延された複製信号を生成する時間遅延装置において、 前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第1固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を生成する第1光コーム生成装置(126A,226A)と、 前記第1光コーム生成装置に接続され、前記複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第1フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第1フィルタ(140,240)と を具備し、 前記複数の第1光チャネルのそれぞれは、前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔の整数倍だけ離間し且つ第1固定周波数間隔の整数倍だけ離間しており、 前記第1光コーム生成装置(126A,226A)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第1遅延時間間隔が生成される第1長さの光ファイバを具備する ことを特徴とする所定周波数の光信号を遅延する装置。 【請求項2】 前記第1フィルタ(140,240)は、、前記複数の第1光チャネルのうち、何れかの1つのチャネルを通過するよう調整可能である ことを特徴とする請求項1記載の装置。 【請求項3】 前記第1フィルタ(140,240)に接続され、前記第1フィルから出力された前記チャネルを入力し、前記チャネルから、第2遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第2固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第2光チャネルからなる第2の光周波数コームを生成する第2光コーム生成装置(126B,226B)と、 前記第2光コーム生成装置に接続され、前記複数の第2光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第2フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の第2光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第2フィルタ(142,252)と を更に具備する ことを特徴とする請求項1記載の装置。 【請求項4】 前記第2光コーム生成装置(126B,226B)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第2遅延時間間隔が生成される第2長さの光ファイバを具備する ことを特徴とする請求項3記載の装置。 【請求項5】 前記第2フィルタ(142,252)は、前記複数の第2光チャネルのうち、何れかの1つのチャネルを通過するよう調整可能である ことを特徴とする請求項3記載の装置。 【請求項6】 前記第2フィルタ(142,252)に接続され、前記第2フィルタから出力されたチャネルを入力し、前記チャネルから、第3遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第3固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第3光チャネルからなる第3の光周波数コームを生成する第3光コーム生成装置(226C)と、 前記第3光コーム生成装置に接続され、前記複数の第3光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第3フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の第3光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第3フィルタ(242)と を更に具備する ことを特徴とする請求項3記載の装置。 【請求項7】 前記第3光コーム生成装置(262C)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第3遅延時間間隔が生成される第3長さの光ファイバを具備する ことを特徴とする請求項6記載の装置。 【請求項8】 前記第3フィルタ(242)は、前記複数の第3光チャネルのうち、何れかの1つのチャネルを通過するよう調整可能である ことを特徴とする請求項6の記載の装置。 【請求項9】 前記第1光コーム生成装置(126A,226A)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第1遅延時間間隔が生成される第1長さの光ファイバを具備し、 前記第2光コーム生成装置(126B,226B)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第2遅延時間間隔が生成される第2長さの光ファイバを具備する ことを特徴とする請求項7の時間遅延装置。 【請求項10】 前記第1フィルタ(140,240)と前記第2フィルタ(142,252)は、前記複数の第1光チャネルと第2光チャネルのうち、何れかの1つのチャネルを通過するよう調整可能であり、 ことを特徴とする請求項8記載の装置。 【請求項11】 光入力信号から、所定時間遅延された複製信号を生成する時間遅延装置において、 前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第1固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を生成する第1光コーム生成装置(126A,226A)と、 前記第1光コーム生成装置に接続され、前記複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第1フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第1フィルタ(140,240)と、 前記第1フィルタ(140,240)に接続され、前記第1フィルから出力された前記チャネルを入力し、前記チャネルから、第2遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第2固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第2光チャネルからなる第2の光周波数コームを生成する第2光コーム生成装置(126B,226B)と、 前記第2光コーム生成装置に接続され、前記複数の第2光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第2フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の第2光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第2フィルタ(142,252)と を具備する 前記複数の第1光チャネルのそれぞれは、前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔の整数倍だけ離間し且つ第1固定周波数間隔の整数倍だけ離間しており、 前記複数の第2光チャネルのそれぞれは、前記第1フィルから出力された前記チャネルから、第2遅延時間間隔の整数倍だけ離間し且つ第2固定周波数間隔の整数倍だけ離間している ことを特徴とする所定周波数の光信号を遅延する装置。」 上記補正は、補正前において1であった請求項の数(平成15年1月6日付手続補正書)を11に増加させるものであるから、請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものではない。また、本件補正は、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的としたものでもない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項の規定により準用する同法第53条の規定により却下すべきものである。 3 本願発明について 3.1 本願発明 平成15年2月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は平成15年1月6日付で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のものである。 「【請求項1】 光入力信号から、所定時間遅延された複製信号を生成する時間遅延装置において、 前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ第1固定周波数間隔だけ互いに離間した複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を生成する第1光コーム生成装置(126A,226A)と、 前記第1光コーム生成装置に接続され、前記複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第1フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第1フィルタ(140,240)と を具備し、 前記複数の第1光チャネルのそれぞれは、前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔の整数倍だけ離間し且つ第1固定周波数間隔の整数倍だけ離間しており、 前記第1光コーム生成装置(126A,226A)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第1遅延時間間隔が生成される第1長さの光ファイバを具備する ことを特徴とする所定周波数の光信号を遅延する装置。」 3.2 引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された特開平5-266677号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「【産業上の利用分野】本発明は、固定長セルを取り扱うATMスイッチにおいて、ギガbps(Gbps)の速度で到着するセルを保持するメモリ等に用いて好適な、光ファイバ遅延装置に関する。」(段落【0001】) (2)「(a)第1実施例の説明 図2は本発明の第1実施例を示す概略構成図であるが、・・・この光ファイバ遅延装置は、図2に示すように、光波変調素子としての波長変換素子11,光ファイバループ部分12,光波選択素子としての波長フィルタ13をそなえて構成されている。」(段落【0009】) (3)「ここで、波長変換素子11は、光ファイバ中を伝送されてくる光信号(セル)の搬送波の波長を順次変更するものである。即ち、この波長変換素子11としては、搬送波が光ファイバループ部分12を1回ループするごとに、搬送波の波長λ1 を例えばλ1 からλ2 ,λ3 ,・・のように順次変換していくものが使用される。」(段落【0010】) (4)「光ファイバループ部分12は、波長変換素子11からの信号をループさせて再度波長変換素子11へ入力させるためのものである。波長フィルタ13は、波長変換素子11からの信号を受けて所要の波長(例えばλ10)の搬送波をもつ光信号(セル)だけを選択して通過させるものである。」(段落【0011】) (5)「上述の構成により、ATMスイッチの光メモリに使用される本実施例にかかる光ファイバ遅延装置では、搬送波が光ファイバループ部分12を1回ループする毎に、波長変換素子11で、搬送波の波長を順次変更して、波長フィルタ13で通過できる搬送波になるまで、光ファイバループ部分12をループさせる。すなわち、波長変換素子11は、搬送波が光ファイバループ部分12を1回ループするごとに、搬送波の波長λ1を例えばλ1からλ2,λ3,・・のように変換していき、例えば波長フィルタ13で通過できる波長をλ10とすると、この搬送波は、光ファイバループ部分12を10回ループすることにより、波長フィルタ13で通過できる波長になる。」(段落【0012】) 3.3 対比 本願発明と引用例に記載の発明とを対比する。 (a)引用例に記載の「光ファイバ中を伝送されてくる光信号(セル)」及び「所要の波長(例えばλ10)の搬送波をもつ光信号(セル)」が、それぞれ本願発明の「光入力信号」及び「所定時間遅延された複製信号」に相当する。 (b)引用例に記載の光ファイバ遅延装置では、光ファイバ中を伝送されてくる光信号(光入力信号)の搬送波が、光ファイバループ部分12を1回ループする毎に、波長変換素子11で波長が順次変更されて波長フィルタ13へ伝送されるから、波長変換素子11から波長フィルタ13への信号は、搬送波が光ファイバループ部分12を1回ループするのに要する時間間隔だけ互いに離間した複数の搬送波からなり、またここでいう「搬送波が光ファイバループ部分12を1回ループするのに要する時間」及び「複数の搬送波」を、それぞれ「第1遅延時間」及び「複数の第1光チャネル」とみることができ、さらに搬送波の波長を順次変更することが、搬送波の光周波数を順次変更することと実質的に同じであることから、引用例に記載の光ファイバ遅延装置において、波長変換素子11から波長フィルタ13への信号は、第1遅延時間間隔だけ互いに離間し且つ光周波数が順次変更された複数の第1光チャネルからなる光周波数コームとみることができ、また波長変換素子11と波長フィルタ13とからなる構成は、その光周波数コームを光入力信号から生成する第1光コーム生成装置とみることができる。 (c)引用例に記載の「波長フィルタ13」は、波長変換素子11からの信号を受けて所要の波長の搬送波をもつ光信号(セル)だけを選択して通過させるものであるから、本願発明の「前記第1光コーム生成装置に接続され、前記複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第1フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第1フィルタ(140,240)」に相当する。 (d)引用例に記載の光ファイバ遅延装置では、光ファイバ中を伝送されてくる光信号(光入力信号)の搬送波が、光ファイバループ部分12を1回ループする毎に、波長変換素子11で波長が順次変更されて波長フィルタ13へ伝送されるから、波長変換素子11から波長フィルタ13へ伝送される複数の搬送波(複数の第1チャネル)のそれぞれは、それが光ファイバループ部分12を1回ループするのに要する時間(第1遅延時間)の整数倍だけ、光ファイバ中を伝送されてくる光信号(光入力信号)から離間することになる。 (e)引用例に記載の「光ファイバループ部分12」が、本願発明の「光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第1遅延時間間隔が生成される第1長さの光ファイバ」に相当する。 以上の(a)〜(e)を踏まえると、両者は、「光入力信号から、所定時間遅延された複製信号を生成する時間遅延装置において、前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔だけ互いに離間した複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を生成する第1光コーム生成装置(126A,226A)と、前記第1光コーム生成装置に接続され、前記複数の第1光チャネルからなる光周波数コーム(122)を入力し、第1フィルタ周波数を選択することによって、前記複数の光チャネルのうち、1つチャネルを選択して出力する第1フィルタ(140,240)とを具備し、前記複数の第1光チャネルのそれぞれは、前記光入力信号(λIN)から、第1遅延時間間隔の整数倍だけ離間しており、前記第1光コーム生成装置(126A,226A)が、光信号が入力されそれが出力されるまでの前記第1遅延時間間隔が生成される第1長さの光ファイバを具備する所定周波数の光信号を遅延する装置」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点: 本願発明では、第1光コーム生成装置(126A,226A)が生成する光周波数コーム(122)を構成する複数の第1光チャネルが、第1固定周波数間隔だけ互いに離間したものであり、それにより該複数の第1光チャネルのそれぞれが、前記光入力信号(λIN)から、第1固定周波数間隔の整数倍だけ離間しているのに対して、引用例に記載の発明では、第1光コーム生成装置により生成される光周波数コームが、光周波数が順次変更された複数の第1光チャネルからなるが、この複数の第1光チャネルが第1固定周波数間隔だけ互いに離間していることについては、同引用例に記載されていない点。 3.4 当審の判断 上記相違点について検討する。 光周波数を順次変更するにあたり、光周波数を所定周波数間隔に段階的に変更することは、周知であるから(例えば、特開平5-240699号公報に記載の光ループ回路、特開平6-202181号公報に記載の光周波数シフタを含む光ループ回路及び特開平7-20518号公報に記載の光リング回路を参照)、引用例に記載の発明に上記周知事項を適用して、本願発明の技術的事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。また本願発明の効果も、当業者が予測し得る程度のことにすぎない。 なお、審判請求人は、平成15年1月6日付審判請求書(同年2月24日付で請求の理由の補充がなされたもの)の【本願発明が特許されるべき理由】の(b)にて、本願発明の「光周波数コーム」は、複数の周波数が同時に存在することを意味する旨を主張している。 しかし、本願の特許請求の範囲の請求項1には、そのことを特定する記載がなく、また発明の詳細な説明にも、各時点で一つの光周波数のみが存在する光周波数コームを生成する第1光コーム生成器126Aを具備したものが、本願発明の実施例として記載されていることから(段落【0019】〜【0033】、図2、図3)、本願発明の「光周波数コーム」を上記主張のように解釈しなければならない合理的な理由はない。よって、審判請求人の上記主張は、特許請求の範囲の記載事項に基づかないものであって、採用できない。 3.5 むすび したがって、本願発明は、引用例記載の発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-01-25 |
結審通知日 | 2005-01-26 |
審決日 | 2005-02-08 |
出願番号 | 特願平10-76331 |
審決分類 |
P
1
8・
571-
Z
(G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F) P 1 8・ 572- Z (G02F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼ 芳徳 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
吉田 英一 町田 光信 |
発明の名称 | 所定周波数の光信号を遅延する装置 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 吉澤 弘司 |
代理人 | 朝日 伸光 |
代理人 | 高梨 憲通 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 三俣 弘文 |
代理人 | 高橋 誠一郎 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 岡部 正夫 |