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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1118991
審判番号 不服2001-3263  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-12-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-05 
確定日 2005-06-23 
事件の表示 平成 6年特許願第113226号「プリペイドカード回収装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月 5日出願公開、特開平 7-313722〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年5月27日の出願であって、平成13年2月5日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。

2.平成13年3月5日受付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年3月5日受付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「並設されたプリペイドカード対応形の複数の遊戯媒体用貸与機において使用済みになった前記カードを回収する装置であって、前記複数の貸与機のそれぞれに背面側から突出する形で付設され、使用中に残額が零になったときに排出される前記カードを機外に導出するシュートとして構成された複数の導出路と、該複数の導出路のそれぞれを介して導出された前記カードを上に載置して前記貸与機の並設方向に搬送する共通のコンベアとして構成されたカード用搬送路と、このカード用搬送路の下流側端部近くに設置され、当該カード用搬送路を介して搬送された前記カードを回収するカード用回収箱とを備えることを特徴とするプリペイドカード回収装置。」
(以下、「補正発明」という。)
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の導出路」について「シュートとして構成された」との限定を付加し、同じく「カードを載置して」について「カードを上に載置して」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、「カードを回収するためのカード用回収箱」を「カードを回収するカード用回収箱」と補正することは、実質的に発明特定事項を変更するものではない。
そこで、本件補正後の補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)本願出願前に頒布された刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-203176号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
イ.特許請求の範囲第1項「必要な情報を記録したカードを発行するカード発行機と、上記カードによって玉貸を行う玉貸機と、カード発行機及び玉貸機を管理制御する管理装置とによって構成されるパチンコ用玉貸装置において、度数が0となったカードを上記玉貸機で回収し、回収したカードを適宜の手段で上記カード発行機に搬送するとともに該カード発行機においてカードに各種情報を記録してカードの再利用を行うことを特徴とする玉貸機カード回収システム。」
ロ.2頁左上欄9〜15行「第1図は本発明の構成を明示するためのものである。本発明の方法に使用する装置は、必要な情報を記録したカード(a)を発行するカード発行機(A)と、カードを使用して玉貸を行う玉貸機(B)と、カード発行機(A)及び玉貸機(B)を管理制限する管理装置(C)とで構成されている。」
ハ.2頁右上欄15〜19行「玉貸機(B)は、第3図に示されるようにパチンコ機台(1)………間に設置される薄型のものであり、前面に第4図に示すようにカード(a)の差込口(2)を有する読取機構(3)を装備している。」
ニ.3頁左上欄4行〜同頁右下欄1行「カード(a)を玉貸機(B)の差込み口(2)に挿入すると、読取機構(3)がそれを検知し、図示しない送りローラを正転させてカード(a)を読取機構(3)の内部に引き込む。・・・カード(a)が適合しているものと判断された場合には、次のステップに進み度数チェック丸1を行う。・・・一方、カード(a)の度数残高が0と判断された場合は、直ちに警報部(4)よりブザー、ランプ等を発すると共に、送りローラが正転してカード(a)を引き込み回収する。・・・一方、カード(a)の度数減点後の度数チェック丸2の動作において度数が0と判断された場合は、前述の度数チェック丸1のステップで度数残高0と判断された場合と同様に、警報を発すると共に、送りローラが正転してカード(a)を引き込み回収する。・・・以上のような方法で回収されたカード(a)はカード発行機(A)に再び搬入され、再利用されることとなるが、搬送手段としては、第1図に示されるように、途中にカード整理機(E)等を介在させて玉貸機(B)からカード発行機(A)までをローラ、ベルトコンベア等を使用した搬送手段としてもよいし、第3図に示すように島(8)毎に配設されるカード整理機(E’)に積層整理して、一時的にカード(a)を保留し、人力等によってカード発行機(A)に搬送してもよいし、又、玉貸機(B)毎に保留させてもよい。なお、カード整理機に保留させる場合には、管理装置(C)によってカード(a)の保留量を管理するようにすれば便利であり、又、人力で搬送する場合にはカード整理機(E’)はカセット式にすれば持ち運びに便利である。」
そして、カード(a)は、玉貸機(B)からベルトコンベアで搬送するものであるから、カードを玉貸機(B)外に排出する何らかの排出手段がそれぞれに備えられていること及び、ベルトコンベアがカードを上に載置して搬送することは、当業者に明らかな事項である。
また、第3図をみると、島(8)の右端部に矩形箱状のカード整理機(E’)が配設され、このカード整理機(E’)左方に繋がる破線はローラ、ベルトコンベア等を使用した搬送手段が配設されたものであり、玉貸機(B)も複数存在することから、玉貸機(B)の並設方向に搬送する共通のコンベアとして構成されたカード用搬送手段と、このカード用搬送手段の下流側端部近くに設置されるカード整理機(E’)が示されていることも当業者に明らかな事項である。
これらの記載、対応する図面及び当業者の技術常識によれば、刊行物の第3図に係る実施例には、以下の発明が記載されていると認められる。
「並設されたカード対応形の複数のパチンコ用玉貸機(B)において度数が0になったカードを回収する装置であって、前記複数の玉貸機(B)のそれぞれに使用中に度数が0になったときに排出される前記カード(a)を玉貸機(B)外に排出する複数の排出手段と、該複数の排出手段のそれぞれを介して排出された前記カード(a)を上に載置して前記玉貸機(B)の並設方向に搬送する共通のコンベアとして構成されたカード用搬送手段と、このカード用搬送手段の下流側端部近くに設置され、当該カード用搬送手段を介して搬送された前記カード(a)を一時的に保留する矩形箱状のカセット式カード整理機(E’)と、カード整理機(E’)から人力によってカード発行機(A)に搬送するカード回収装置。」
(3)対比
そこで、補正発明と刊行物記載の発明とを対比すると、刊行物記載の発明の「カード対応形」は、補正発明の「プリペイドカード対応形」に相当し、以下同様に、「パチンコ用玉貸機(B)」は「遊技媒体用貸与機」に、「度数が0になったカード」は「使用済みになったカード」に、「使用中に度数が0」は「使用中に残額が零」に、「ベルトコンベア」は「コンベア」に、「搬送手段」は「搬送路」に、「カード整理機(E’)」は「カード用回収箱」に、「カード回収装置」は「プリペイドカード回収装置」に、それぞれ相当し、刊行物記載の発明の「排出手段」と補正発明の「導出路」は、カードを排出する「排出手段」で共通する。
そうすると、両者は、
「並設されたプリペイドカード対応形の複数の遊戯媒体用貸与機において使用済みになった前記カードを回収する装置であって、前記複数の貸与機のそれぞれから使用中に残額が零になったときに排出されるカードを機外に排出する複数の排出手段と、該複数の排出手段のそれぞれを介して排出された前記カードを上に載置して前記貸与機の並設方向に搬送する共通のコンベアとして構成されたカード用搬送路と、このカード用搬送路の下流側端部近くに設置され、当該カード用搬送路を介して搬送された前記カードを回収するカード用回収箱とを備えるプリペイドカード回収装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]カードを機外に排出する排出手段が、補正発明は、背面側から突出する形で付設され、カードを機外に導出するシュートとして構成された導出路であるのに対し、刊行物記載の発明は、それらの構成が具体的には不明である点。
(4)判断
[相違点]について
貸与機に背面側から突出する形で付設され、カードを機外に導出する導出路は、遊技機媒体用貸与機の技術分野において、周知の技術(以下、「周知技術1」という。特開昭62-268581号公報、特開平6-134125号公報等参照)であるとともに、遊技機媒体用貸与機の背面側から突出する形で付設され、カード、硬貨、コイン等を機外に排出する導出路において、シュートとして構成された導出路についても、遊技機媒体用貸与機の技術分野において周知の技術(以下、「周知技術2」という。特開昭62-268581号公報、実願昭63-85007号(実開平2-8492号)のマイクロフィルム(第4図等参照)、実願昭59-6250号(実開昭60-119478号)のマイクロフィルム等参照)であるから、刊行物記載の発明に、周知技術1の複数の貸与機のそれぞれに背面側から突出する形で付設され、排出されるカードを機外に導出する導出路を適用し、その際の導出路として、周知技術2のシュートを採用し、補正発明の相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

そして、補正発明の作用効果も、刊行物記載の発明に前記周知技術1、2を適用したものにおいて当業者が容易に予測し得るものである。

したがって、補正発明は、刊行物記載の発明、及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成13年3月5日受付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成12年10月27日受付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「並設されたプリペイドカード対応形の複数の遊戯媒体用貸与機において使用済みになった前記カードを回収する装置であって、前記複数の貸与機のそれぞれに背面側から突出する形で付設され、使用中に残額が零になったときに排出される前記カードを機外に導出するための複数の導出路と、該複数の導出路のそれぞれを介して導出された前記カードを載置して前記貸与機の並設方向に搬送する共通のコンベアとして構成されたカード用搬送路と、このカード用搬送路の下流側端部近くに設置され、当該カード用搬送路を介して搬送された前記カードを回収するためのカード用回収箱とを備えることを特徴とするプリペイドカード回収装置。」(以下、「本願発明」という。)

(2)本願出願前に頒布された刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した補正発明から「複数の導出路」の限定事項である「シュートとして構成された」との構成を省き、「カードを載置して」の限定事項である「上に」との構成を省き、本願発明の「カードを回収するためのカード用回収箱」と補正発明の「カードを回収するカード用回収箱」は実質的に発明特定事項を変更するものではない。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、刊行物記載の発明及び、周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物記載の発明、及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物記載の発明及び、周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-19 
結審通知日 2005-04-26 
審決日 2005-05-09 
出願番号 特願平6-113226
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 渡部 葉子
南澤 弘明
発明の名称 プリペイドカード回収装置  
代理人 篠部 正治  

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