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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1119128 |
審判番号 | 不服2001-3909 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-05-17 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-03-15 |
確定日 | 2005-06-29 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第312859号「エヤゾール容器」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 5月17日出願公開、特開平 6-135473〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年10月27日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年4月16日付けの手続補正書によって補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。 「金属製の胴部と、透光性を有する合成樹脂製の底部とを備えており、その底部の下面側に凹部が形成され、その凹部内のもっとも薄い部分に枝棒が突設されているエヤゾール容器。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開昭64-62231号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 記載事項1-1: 「(1)絞り、しごき加工によって成形された上蓋を一体に備える金属製の缶胴手段と;・・・、缶底板手段の円筒部と缶胴手段とを接着する接着手段と;・・・・巻締手段と;・・・・取出手段とからなり、缶胴手段の下部に缶底板を嵌合し、接着手段により両者を接着し、巻締手段によって缶底板手段を缶胴手段に固持し、巻締手段が容器外方へ露出しないようにしたことを特徴とする金属製容器。・・・・。(5)缶底板手段が合成樹脂からなることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の金属製容器。(6)合成樹脂からなる缶底板・・・・特許請求の範囲第5項記載の金属製容器。(7)缶底板手段は、その下部外周面に内方へ向かう円弧面が形成されている・・・・特許請求の範囲第6項記載の金属製容器。・・・。(14)・・・取出手段が上蓋に取り付けられたスプレーノズルからなる・・・・特許請求の範囲第1項記載の金属製容器。」(特許請求の範囲) 記載事項1-2: 「第11〜13図は、この発明に従った第2の変形に係る金属容器(210)を示し、エアゾール式の圧力容器に実施したもので、」(第6頁下左欄9行〜11行) 記載事項1-3: 「上蓋(312)を含む缶胴(311)は、前記第5図に示す加工工程により形成され、他方、缶底板(313)は、合成樹脂材料を用いて射出成形により、第15図のように皿状に成形される。」(第7頁下左欄7行〜11行) 以上の記載及び第11図〜第15図によると、引用例1には、「上蓋と、上蓋と一体になった金属製の缶胴部310と、缶胴部の下端に嵌合して接着された合成樹脂製の缶底板313からなる底部とを備え、缶底板は缶底部の下面側に皿状の凹部が形成されているエヤゾール容器。」の発明が記載されていると認められる。 3.対比・判断 本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「金属製の缶胴部」、「合成樹脂製の缶底板からなる底部」は、それぞれ本願発明の「金属製の胴部」、「合成樹脂製の底部」に相当するから、両者は「金属製の胴部と、合成樹脂製の底部とを備えており、その底部の下面側に凹部が形成されているエヤゾール容器。」である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 相違点1:本願発明は、透光性を有する合成樹脂製の底部を備えているとしてるのに対して、引用例1記載の発明は、合成樹脂製の底部が透光性であるとは明記していない点。 相違点2:本願発明は、底部の下面側の凹部内のもっとも薄い部分に枝棒が突設されているのに対して、引用例1記載の発明は、底部に枝棒が突設されていない点。 上記相違点について考察する。 相違点1について: 透光性を有する合成樹脂製の底部について考察する。 エヤゾール容器本体(底部を含む一体の容器本体)を透明な合成樹脂製とすることで内容液の残量を外から目視できるようにすることは、本願の出願前周知の技術事項(例えば、原審で示した引用例2(特開昭62-208379号公報)、および、同引用例3(実願昭63-67197号(実開平1-170468号)のマイクロフィルム等参照)であると認められるから、これを技術分野を同じくするエヤゾール容器の発明である引用例1記載の発明に適用して、相違点1に挙げた本願発明の構成とすることに格別の困難性はない。 相違点2について: 缶体底部の下面側の凹部内にもっとも薄い部分を設け、そこに枝棒を突設することについて検討する。 エヤゾール容器の廃棄時に残留ガスを放出するための開口を形成する手段を、容器底部の凹部に容器の底面と一体的に設けることは、本願の出願前に当業者において周知の技術事項(例えば、実願昭60-103492号(実開昭62-11774号)のマイクロフィルム参照)である。 また、合成樹脂製容器の底部に開口を形成する手段として、底部のもっとも薄い部分に枝棒を突設したものとすることも、本願の出願前に周知の技術事項(例えば、実願昭55-18143号(実開昭56-121679号)のマイクロフィルム、および、実願平2-67494号(実開平3-45812号)のマイクロフィルム等参照)である。 してみると、引用例1記載の発明に、エヤゾール容器において周知である、上記底部に廃棄時に残留ガスを放出するための開口部を形成する手段を設けるという技術事項を適用し、その適用に際し、開口を形成する手段として、上記周知の合成樹脂製容器の底部のもっとも薄い部分に枝棒を突設するという技術事項を採用し、相違点2に挙げた本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本願発明の作用効果も、引用例1の発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものにすぎない。 4.むすび したがって、本願発明は、原査定の理由に引用された引用例1に記載された発明および周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-04-20 |
結審通知日 | 2005-04-26 |
審決日 | 2005-05-09 |
出願番号 | 特願平4-312859 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 溝渕 良一、生越 由美、石田 宏之 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
市野 要助 渡邊 豊英 |
発明の名称 | エヤゾール容器 |
代理人 | 秋山 重夫 |