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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1119151 |
審判番号 | 不服2002-19947 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-11 |
確定日 | 2005-06-28 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第324223号「データをダウンロードする方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月31日出願公開、特開平10-198610〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年11月26日に特許出願(優先権主張米国1996年11月26日)され、拒絶理由通知がなされ、平成14年6月24日付けで拒絶査定がなされ、査定不服の審判請求がなされると共に平成14年11月11日付けで明細書について手続補正がなされたものである。 2.本願発明は平成14年11月11日付けで手続補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜28に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 (A)顧客のコンピュータと情報プロバイダの間に第1接続を確立するステップと、 (B)前記情報プロバイダから前記コンピュータへとダウンロードされるデータを識別するステップと、 (C)前記第1接続を切断するステップと、 (D)前記情報プロバイダと前記コンピュータの間に抑制リンギング接続を確立するステップと、 (E)前記情報プロバイダから前記コンピュータへと前記データをダウンロードするステップと を有することを特徴とするデータをダウンロードする方法。」 3.引用文献に記載の事項 原審の拒絶の査定の理由に引用された特開平7-295964号公報(以下、「引用文献」という。)には次の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】 通信機能を内蔵する文書処理装置は、内蔵のメモリ等に記録した文書を印刷せずに電話回線を介して送信し、あるいは電話回線からの文書データを内蔵のメモリに記録できる利便性を有するが、例えば、送信する際、まず、装置の電源をオンし、通信機能に切換え、送信を行い、送信終了にて電源をオフするという一連の操作が必要である。このため、例えば、通信料金の割安な夜間等に通信したい場合、通信のためにこの時間まで待機しなければならないという問題がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明はこのような点に鑑み、装置に通信登録機能を設け、通信先、通信時刻、送信若しくは受信要求の通信区分等を設定して登録しておけば、内蔵の時計が登録された通信時刻になったとき自動的に通信を行うようにし、例えば、夜間まで人が待機せずとも夜間の割安な料金で通信できるようにすることにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明は上述の課題を解決するため、送信文書データ等を記憶する文書メモと、文書送信または文書受信要求の通信区分の設定、文書送信の場合は送信文書番号、通信先の電話番号、および通信時刻を入力する入力部と、入力部よりの通信区分、文書送信の場合の文書番号、および送受信先の電話番号を送受信時刻に対応させて記憶する通信登録部と、入力部よりの信号に基づいて表示する表示部と、時間を刻む時計部と、前記通信登録部より読み出したデータにて通信時刻を時計部よりの時刻と比較し、一致にて信号出力すると共に、通信先および通信区分を判別する判別部と、判別部よりの時刻一致の信号に基づいて電源オンに制御する電源制御部と、前記判別部よりの信号に基づいてオフフックし、通信登録部より読み出した電話番号をダイヤル発信し電話回線に送出し、着呼の応答にて、前記判別部による通信区分の判別に基づいて前記文書メモリより文書データを読み出して送信する、若しくは通信登録部より読み出した文書受信要求を送信する回線制御部と、前記文書メモリ、入力部、通信登録部、表示部、時計部、判別部、電源制御部および回線制御部を制御する制御部とで構成した通信機能付文書処理装置を提供するものである。 【0005】 【作用】 以上のように構成したので、本発明による通信機能付文書処理装置においては、文書送信あるいは文書受信要求を、通信先の電話番号と共に通信時刻に対応させて入力すれば、入力データは表示部に表示され、通信登録部に登録される。内蔵の時計が設定された通信時刻になった場合、当該時刻に設定されている通信先の電話番号を通信登録部より読み出し、ダイヤリング部でダイヤル発信し、着呼の応答にて、例えば、送信に設定されている文書データを文書メモリより読み出し、文字のデータを電話回線で送信可能な所要の信号に変調して送信する、あるいは文書受信が設定されれいる場合、着呼の応答にて文書受信要求を送信し、通信先からの信号を受信し、文字のデータに復調して文書メモリに記録する。」(2頁右欄5行段落【0002】〜3頁左欄9行段落【0005】) 「【0007】 次に、本発明による通信機能付文書処理装置の動作を説明する。文書メモリ1には本文書処理装置等で作成された文書データが記録されている。この文書メモリ1のデータを指定した時刻に送信する、若しくは所要の通信先の装置で送信用に設定されている文書を指定した時刻に受信(ポーリング受信)する場合、入力部2より、例えば、図2に示す如く、所要の操作で文書送信・文書受信要求の通信区分、文書送信の場合は送信する文書の番号等、通信先の電話番号、通信時刻を入力する。入力された信号は制御部11を介し表示部4により表示され、確認操作により制御部11を介し通信登録部3に入力し記録される。この登録が複数ある場合、通信開始時刻の順に並べ変えて記憶するようにしてもよい。」(3頁左欄44行〜同頁右欄6行段落【0007】) 4.対比・判断 引用文献に記載の発明において、その図2に示されるように、「通信機能付文書処理装置」は「文書データ」の「通信先」を複数登録できるから、「通信機能付文書処理装置」は配信元であり、「通信先」は配信先である。 他方、本願発明1において、その【発明の実施の形態】によれば、「情報プロバイダ」は「データ」を「顧客のコンピュータ」へ配信するから、「情報プロバイダ」は配信元であり、「顧客のコンピュータ」は配信先である そうすると、引用文献に記載の発明の「通信機能付文書処理装置」、「文書データ」及び「通信先」は、それぞれ本願発明1の「情報プロバイダ」、「データ」及び「顧客のコンピュータ」に相当することは明らかである。 そして、引用文献に記載の発明は、図2及びその説明(3頁段落【0007】)によれば、“文書番号、通信先の電話番号及び通信時刻を通信登録部に登録する”ものであるから、本願発明1の「(B)情報プロバイダから顧客のコンピュータへとダウンロードされるデータを識別するステップ」を有することは明らかである。 また、引用文献に記載の発明は、「通信先」へ「・・・ダイヤリング部でダイヤル発信し・・・」ているから、本願発明1の「(D)情報プロバイダと顧客のコンピュータの間に接続を確立するステップ」を有することは明らかである。 更に、引用文献に記載の発明は、「着呼の応答にて、例えば、送信に設定されている文書データを文書メモリより読み出し、文字のデータを電話回線で送信可能な所要の信号に変調して送信する」から、本願発明1の「(E)情報プロバイダから顧客のコンピュータへとデータをダウンロードするステップ」を有することは明らかである。 そこで、本願発明1と引用文献に記載の発明とを対比すると、両者は 「(B)情報プロバイダから顧客のコンピュータへとダウンロードされるデータを識別するステップと、 (D)情報プロバイダと顧客のコンピュータの間に接続を確立するステップと、 (E)情報プロバイダから顧客のコンピュータへとデータをダウンロードするステップと を有するデータをダウンロードする方法」 であるという点で一致し、以下の3点で相違している。 相違点1:本願発明1は「(A)顧客のコンピュータと情報プロバイダの間に第1接続を確立するステップ」を有するのに対して、引用文献に記載の発明はそのようなステップを有さない点。 相違点2:本願発明1は「(C)第1接続を切断するステップ」を有するのに対して、引用文献に記載の発明はそのようなステップを有さない点。 相違点3:本願発明1の「(D)情報プロバイダと顧客のコンピュータの間に接続を確立するステップ」の「接続」は「抑制リンギング接続」であるのに対して、引用文献に記載の発明の「接続」は「抑制リンギング接続」であるか否かが不明である点。 そこで、以下において上記相違点1〜3について検討する。 (1)相違点1について 本願発明1の「(A)顧客のコンピュータと情報プロバイダの間に第1接続を確立するステップ」は、配信元の情報プロバイダからデータの配信を受けるために配信先の顧客のコンピュータが配信元の情報プロバイダへ接続することである。 ところが、配信元からデータの配信を受けるために配信先が配信元へ接続することは当業者に周知の慣用技術(松下電器産業株式会社刊「National Technical Report」Vol.40 No.2 Apr.1994 p.19-p.24 谷口博之著「地方自治体の政策形成支援パソコンネットワークシステム」、特開平7-162834号公報、特開平8-256323号公報等参照)である。 そうすると、引用文献に記載の発明において、配信元の「通信機能付文書処理装置」(情報プロバイダ)からデータの配信を受けるために、配信先の「通信先」(顧客のコンピュータ)が配信元の「通信機能付文書処理装置」(情報プロバイダ)へ接続することは当業者であれば適宜になし得ることである。 したがって、相違点1は格別の相違ではない。 (2)相違点2について 引用文献に記載の発明において、文書データの配信は登録した配信時刻に受けるのであるから、配信先の「通信先」(顧客のコンピュータ)と配信元の「通信機能付文書処理装置」(情報プロバイダ)の間の接続を、文書番号、通信先及び通信時刻を登録した後に、切断することは当業者であれば当然に施すことである。 したがって、相違点2は格別の相違ではない。 (3)相違点3について 電話回線を通して中央局から顧客ステーションへの接続を呼出抑制信号(抑制リンギング)接続とすることは当業者に周知の慣用技術(特開平4-246961号公報参照)である。 してみると、引用文献に記載の発明において、配信元の「通信機能付文書処理装置」(情報プロバイダ)から配信先の「通信先」(顧客のコンピュータ)への電話回線での接続を「抑制リンギング接続」とすることは当業者であれば適宜なし得ることである。 したがって、相違点3は格別の相違ではない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用文献に記載の発明及び周知の慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-01-26 |
結審通知日 | 2005-01-31 |
審決日 | 2005-02-14 |
出願番号 | 特願平9-324223 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、竹井 文雄、小林 義晴 |
特許庁審判長 |
大日方 和幸 |
特許庁審判官 |
矢島 伸一 東森 秀朋 |
発明の名称 | データをダウンロードする方法 |
代理人 | 吉澤 弘司 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 三俣 弘文 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 朝日 伸光 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 高梨 憲通 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 高橋 誠一郎 |
代理人 | 岡部 正夫 |