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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1119196
審判番号 不服2003-6955  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-24 
確定日 2005-07-04 
事件の表示 平成11年特許願第337929号「電子レンジ加熱用食品の収容袋」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月26日出願公開、特開2000-264381〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成8年9月18日(優先権主張平成7年9月19日)に出願した特願平8-246408号の一部を平成11年11月29日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1、2に係る発明は、平成13年12月26日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「プラスチックフィルムの必要箇所を熱溶着してシール部を形成することにより袋状に成形されており、内部に電子レンジ加熱用の食品が収容され、高温によって熱溶着された強い接着性を有する高接着部分と、電子レンジにて食品を加熱した際の水蒸気圧によって開封されるように低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分とを有している電子レンジ加熱用食品の収容袋であって、
前記熱溶着に使用される熱板における低接着部に対応する部分にテープを貼り付け、熱板により前記シール部を加熱する際に、前記低接着部分は、熱板による加熱を抑制した状態で熱溶着されていることを特徴する電子レンジ加熱用食品の収容袋。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭62-6862号(実開昭63-114976号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(a)「この考案はプラスチック製の包装袋、さらに詳しくは電子レンジその他の手段により充填された内容物を加熱調理するに適したプラスチック製の包装袋に関するものである。」(明細書第1頁第13〜16行)
(b)「本考案者は、…種々実験を重ねた結果、加熱により充填された内容物からの発生蒸気が噴出する透孔を有するプラスチック製包装袋において、この透孔と内容物を遮断する位置に、包装袋を構成する封止部の剥離強度よりも弱い剥離強度である仮封止部を設けたことによって、…この考案を得たものである。」(明細書第3頁第3〜12行)
(c)「この考案になる包装袋を電子レンジに入れて作用させると、内容物は加熱されて、内容物からの発生蒸気により、袋は膨張してくるが、この時、この膨張によって仮封止部の封止が剥離され透孔から蒸気が噴出されるものであって、従来のもののように加熱に先立ってシール片を剥がした上で加熱を行うのに代り、袋内の発生蒸気の圧力によって仮封止部を剥離させるものである。」(明細書第3頁第14行〜第4頁第1行)
(d)「1は包装袋であって、これは例えば円筒形のプラスチックフィルムを押し潰しその一端、例えば図において下端をヒートシールして封止部2とし、底3を形成し袋とする。次いで内容物4を袋に充填し上端をヒートシールして封止部2とする。5は包装袋1に設けられた透孔であって、この包装袋1が電子レンジ等によって加熱調理された時、内容物からの発生蒸気が、最終的に、この透孔5から噴出されるものである。6は、仮封止部であって、透孔5と、内容物を遮断する位置に設けられる。」(明細書第4頁第4〜14行)
(e)「この仮封止部6の封止手段には…加熱融着によるものが好ましい。包装袋1の本来の封止部すなわち包装袋1を構成するための封止部2の剥離強度よりも仮封止部6の剥離強度が弱くなければならないが、このためには、例えば、封止部2を封止する時の加熱融着時よりも、仮封止部の加熱融着を低温、定圧として行うとか」(明細書第5頁第18行〜第6頁第6行)
上記(d)の摘示及び第1〜4図により、包装袋がプラスチックフィルムの必要箇所を熱溶着してシール部を形成することにより袋状に形成されていることは明らかであるので、上記(a)〜(e)の記載を総合すると、第1引用例には、
「プラスチックフィルムの必要箇所を熱溶着してシール部を形成することにより袋状に成形されており、内部に電子レンジ加熱用の内容物が収容され、封止部と、電子レンジにて内容物を加熱した際の発生蒸気によって剥離される仮封止部と、前記仮封止部が剥離された際に前記発生蒸気を噴出する透孔とを有している電子レンジ加熱用食品の包装袋。」の発明が記載されているものと認める。
また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平4-31273号公報(以下、「第2引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(f)「熱封緘部によって密封される包装体において、前記熱封緘部が接着力の比較的強い熱封緘層と接着力の比較的弱い部分的樹脂層によって熱封緘され、かつ脱気部に対応する部分において、前記接着力の弱い樹脂層が包装体の内部と外部に連続する層となっていることを特徴とする食品包装体。」(特許請求の範囲)
(g)「この発明は、食品を収納する包装体、特に電子レンジで食品を加熱することを目的とした食品包装体に関する。」(公報第1頁左欄第13〜15行)
(h)「脱気部は、弱接着力の樹脂層で熱封緘されているので、電子レンジによる加熱中の温度と内圧上昇によって、熱封緘部に加わる力が、脱気部の合成樹脂部分の剥離力に達すると脱気部分のみ内側から徐々に剥離が進行する。…その後、剥離が進行し、ついには包装体の内部が外部と連通する。」(公報第2頁左上段第10〜19行)
(i)さらに、第4図から、自立袋10の上辺の一部に脱気部30を設けている点が認められる。
上記(f)〜(i)の記載を総合すると、第2引用例には、
「袋体内部に電子レンジ加熱用の食品が収容され、電子レンジにて食品を加熱した際の袋体の内圧上昇によって袋体の内部と外部を連通する接着力の弱い樹脂層を有する電子レンジ加熱用食品の収容袋。」の発明が記載されているものと認める。

3 対比
本願発明と第1引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「内容物」及び「包装袋」は、前者の「食品」及び「収容袋」に相当する。
また、後者の「封止部」は、上記(e)の記載によれば、封止部の剥離強度は仮封止部の剥離強度より強く、しかも、仮封止部の加熱融着時よりも高温であることは明らかであるので、前者の「高温によって熱溶着された強い接着性を有する高接着部分」に相当する。さらに、後者の「仮接着部」は、同様に上記(e)の記載によれば、封止部の剥離強度よりも仮封止部の剥離強度が弱く、しかも、封止部を封止する時の加熱融着時よりも、仮封止部の加熱融着を低温とするものであるから、前者の「低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分」に相当する。
また、後者の「発生蒸気によって剥離される」とは、水蒸気圧によって剥離されることにほかならない。
してみると、両者は、本願発明の表記にならえば、
「プラスチックフィルムの必要箇所を熱溶着してシール部を形成することにより袋状に成形されており、内部に電子レンジ加熱用の食品が収容され、高温によって熱溶着された強い接着性を有する高接着部分と、低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分とを有している電子レンジ加熱用食品の収容袋。」である点で一致し、次の点で相違している。
〈相違点1〉
電子レンジにて食品を加熱した際の水蒸気を排出するために、本願発明では、「電子レンジにて食品を加熱した際の水蒸気圧によって開封されるように低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分」を有しているのに対し、第1引用例に記載された発明では、電子レンジにて内容物を加熱した際の水蒸気圧によって剥離される低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分(仮封止部)と、前記低接着部分が剥離された際に水蒸気を噴出する透孔を有している点。
〈相違点2〉
本願発明では、「前記熱溶着に使用される熱板における低接着部に対応する部分にテープを貼り付け、熱板により前記シール部を加熱する際に、前記低接着部分は、熱板による加熱を抑制した状態で熱溶着されている」としているのに対し、第1引用例に記載された発明では、本願発明のような、熱板によるシール方法に関して言及がない点。

4 相違点の判断
〈相違点1〉について
上述した如く、第2引用例には、「袋体内部に電子レンジ加熱用の食品が収容され、電子レンジにて食品を加熱した際の袋体の内圧上昇によって袋体の内部と外部を連通する接着力の弱い樹脂層を有する電子レンジ加熱用食品の収容袋。」の発明が記載されているものと認める。ここで、「袋体の内部と外部を連通する」とは袋を開封することにほかならないので、結局、上記相違点1に係る事項は上記第2引用例に示唆されているものと認める。
ここで、第1引用例に記載されたものと第2引用例に記載されたものは、「電子レンジにより内容物を加熱するプラスチック製の包装袋」という同一の技術分野に属するものであり、さらに、第1引用例に記載されたものに第2引用例に記載されたものを適用することを妨げる特段の事情も窺えない以上、電子レンジにて食品を加熱した際の水蒸気を排出するために、第1引用例に記載された「電子レンジにて内容物を加熱した際の水蒸気圧によって剥離される低い温度で熱溶着された接着性の弱い低接着部分(仮封止部)と、前記低接着部分が剥離された際に水蒸気を噴出する透孔」を有するのに代えて、第2引用例に記載されたものを適用して、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
〈相違点2〉について
拒絶査定の備考欄でも指摘される如く、熱溶着に使用される熱板にテープを貼り付け、熱板によりシール部を加熱する際に、熱板による加熱を抑制した状態で熱溶着することは周知技術(必要ならば、実願昭50-149031号(実開昭52-64656号)のマイクロフィルムの第3頁第7行〜第6頁第11行、第2、3図参照)である。
してみると、第1引用例に記載されたものにおいて、低い温度で熱溶着することが必要な接着性の弱い低接着部分(仮封止部)に上記周知技術を適用することを妨げる特段の事情も窺えない以上、第1引用例に記載された前記接着性の弱い低接着部分に上記周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の効果は、第1、2引用例に記載された発明及び上記周知技術から、当業者であれば予測できる範囲内のものであって格別なものとはいえない。

5 むすび
したがって、本願発明は、第1、2引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、特許請求の範囲の請求項2に係る発明を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-10 
結審通知日 2005-05-13 
審決日 2005-05-24 
出願番号 特願平11-337929
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 鈴木 公子
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
溝渕 良一
発明の名称 電子レンジ加熱用食品の収容袋  
代理人 藤本 昇  
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