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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1119343
審判番号 不服2003-3078  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-27 
確定日 2005-07-07 
事件の表示 平成 6年特許願第 52246号「液晶装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月13日出願公開、特開平 7-261149〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年3月23日の出願であって、平成15年1月23日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年2月27日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年3月31日付で特許法第17条の2第1項第5号の規定による手続補正がなされたものである。

2.平成15年3月31日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成15年3月31日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を下記のように補正することを含むものである。
「【請求項1】一対の偏光子の内側にネマチック液晶により、ねじれたらせん構造を形成した液晶層を、配向処理が施され、電極が形成された互いに対向する一対の基板間に挟持した液晶パネルと、デューティ比1/N(N:デューティ数)、バイアス比1/a(a:バイアス値)で前記液晶パネルを駆動するための駆動回路を有する液晶装置において、
前記液晶層が180°以上のねじれらせん構造をとるとともに、前記デューティ数Nが16≦N≦64、バイアス値aが2≦a<4、を満たすような時分割駆動であり、前記バイアス値aがa=2のとき、3レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aがa=3のとき、4レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aが2<a<4(a≠3)のとき、6レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動することを特徴とする液晶装置。」

上記補正は、「時分割駆動」を具体的に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(2)刊行物記載の発明
原審における拒絶の理由に引用した特開平3-35217号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記の記載が認められる。

(あ)発明が解決しようとする課題
「ところがツイステッドネマチック液晶には、駆動のために印加される電圧の実効値に依存する特性があるため、液晶表示素子の応答速度が速くなる一方駆動電圧のパルス幅が比較的広くなると、上述の最適化バイアス法で定めた電圧波形を絵素に印加したのでは良好な表示特性が得られなくなる。・・・そこで本発明の目的は、速い応答速度を有するツイステッドネマチック液晶表示装置において、比較的低いフレーム周波数で画面表示を行った場合でも透過率電圧特性の急峻性を悪化させることがなく、従って高コントラストな画像を形成することができる、液晶表示装置の電圧平均化法による駆動方式を提供することにある。」(2頁左上欄20行〜2頁左下欄11行)
(い)課題を解決するための手段
「上述の目的を達成するため本発明は、液晶表示装置の電圧平均化法による駆動方式において、選択絵素に印加する電圧の波高値Vpと、バイアス電圧の波高値Vbとの比a(=Vp/Vb)が、走査線数Nに対して、(√N+1)/1.1>a>(√N+1)/2の範囲を満足することを特徴とする液晶表示装置の駆動方式である。」(2頁左下欄13〜19行)
(う)実施例
「本発明の駆動方式を適用する液晶表示装置は従来例と同様の構成を有し、第5図に示す駆動回路を有する。液晶パネルは、N×M本の透明電極を有する2層型のSTN-LCDを用いる。・・・駆動セル4は、ガラス上に・・・走査電極2と信号電極3を構成する。その上に・・・ポリイミド配向膜を塗布しラビングする。以上のように処理した上下の基板を・・・スペーサをはさんで約5μm厚とする。ここに・・・ネマチック液晶と左捩れの光学活性化物質を混合した液晶8を注入する。液晶配向の捩れ角度は240°であり、・・・なお、6a、6bは偏光板であり、7は駆動用電源である。・・・本実施例では走査線数Nを100している。・・・また、走査線数Nが異なったパネルについても種々の実験を行った結果、バイアス電圧の波高値Vbと選択絵素に印加する電圧の波高値Vp及び走査線数Nとの間に
1.1/(√N+1)Vp<Vb<2/(√N+1)Vp
の関係がある場合に良好なコントラストが得られることが判明した。さらにこの範囲の中でも特に
1.5/(√N+1)Vp<Vb<1.8/(√N+1)Vp
の範囲に設定すれば更に良好な結果を得た。
・・・以上の結果より、液晶表示装置の電圧平均化法による駆動方式において、選択絵素に印加する電圧の波高値Vpと非選択絵素に印加する電圧の波高値Vo及びバイアス電圧の波高値Vb並びに走査線数Nとの間に
(√N+1)/1.1>a>(√N+1)/2
の範囲を満たすaに対して
Vb=Vp/a
Vo=(1-2/a)Vp
の関係を有する場合に良好な表示画像が得られることが明らかとなった。」(2頁右下欄9行〜3頁右下欄14行)

上記によれば、引用例1には、
「偏光板6a,6bの内側に、ガラス上に走査電極2と信号電極3を構成し、その上にポリイミド配向膜を塗布しラビングした上下の基板間にネマチック液晶を注入した駆動セルと、これを電圧平均化法により駆動する駆動回路を有する液晶表示装置において、前記液晶配向の捩れ角度が240°であるとともに、バイアス電圧の波高値Vbと選択絵素に印加する電圧の波高値Vpとの比a(=Vp/Vb)が走査線数Nに対して、好ましくは、
(√N+1)/1.5>a>(√N+1)/1.8
の範囲を満足する液晶表示装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
そこで、引用発明と本願補正発明とを対比する。
(イ)引用発明の「偏光板6a,6b」、「走査電極2と信号電極3」、「ポリイミド配向膜を塗布しラビングした」、「上下の基板」、「駆動セル」、「走査線数N」、「液晶表示装置」は、それぞれ、本願補正発明の「一対の偏光子」、「電極」、「配向処理が施され」、「一対の基板」、「液晶パネル」、「N:デューティ数」、「液晶装置」に相当する。
(ロ)引用発明の「バイアス電圧の波高値Vbと選択絵素に印加する電圧の波高値Vpとの比a」は、本願補正発明の「バイアス比1/a」に対応する。
ここで、(√N+1)/1.5>a>(√N+1)/1.8において、N=16とすると、
2.78<a<3.33
となるから、本願補正発明の「前記デューティ数Nが16≦N≦64、バイアス値aが2≦a<4を満たす」範囲内にあることは明らかである。

よって、両者は、
「一対の偏光子の内側にネマチック液晶により、ねじれたらせん構造を形成した液晶層を、配向処理が施され、電極が形成された互いに対向する一対の基板間に挟持した液晶パネルと、デューティ比1/N(N:デューティ数)、バイアス比1/a(a:バイアス値)で前記液晶パネルを駆動するための駆動回路を有する液晶装置において、前記液晶層が180°以上のねじれらせん構造をとるとともに、前記デューティ数Nが16≦N≦64(N=16)、バイアス値aが2≦a<4(2.78<a<3.33)、を満たすような時分割駆動で前記液晶パネルを時分割駆動する液晶装置」である点で一致し、下記の点で一応相違する。

(相違点)
本願補正発明は、「前記バイアス値aがa=2のとき、3レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aがa=3のとき、4レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aが2<a<4(a≠3)のとき、6レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で時分割駆動する」のに対して、引用発明は、上記構成を有しない点。

(4)判断
上記相違点につき検討する。
原査定において引用した、液晶デバイスハンドブック,日本学術振興会第142委員会,日刊工業新聞社,1990年10月30日発行に記載されているように、時分割駆動方式において、バイアス値が2のとき3レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で、バイアス値が3のとき4レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で、また、デューティ数が大きくなったときは6レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で駆動することが、それぞれ、「1/2バイアス法」、「1/3バイアス法」及び「6レベル駆動法」として周知(395頁〜402頁参照。)にすぎない。
そうしてみると、本願補正発明の上記相違点の構成は、周知の時分割駆動法を記載したにすぎないものであり、この点は走査線の数に応じて当業者が適宜採用する設計事項にすぎない。

なお、審判請求書において、請求人は、引用例1は、最適バイアス値よりも小さいバイアス値で駆動するという点で本願発明と一致するが、デューティ数100以上の液晶表示装置で、コントラストの低下を防いで高速応答を可能にすることを目的としており、バイアス値は、デューティ数100の場合の最適バイアス値11より小さい5.5〜10の範囲で設定されている旨、主張する。
確かに、引用例1の<実施例>では、請求人主張のような数値に設定されているが、引用例1には、前掲の通り、走査線数Nが異なったパネルについても種々の実験を行ったことが記載されており(3頁左下欄2〜12行参照。)、走査線数の異なるものを含むことは明らかである。
そして、請求人も認めるように、引用例1において、最適バイアス値よりも小さいバイアス値(ただし、a=2は含まれない)で駆動することが記載されているのであるから、走査線数が少ないパネルに適用する際に、液晶装置として許容されるコントラスト比から、バイアス値を本願補正発明のような範囲に規定することは、当業者が実験により容易に想到し得たものである。

したがって、本願補正発明は引用例1に記載された発明に、設計事項を付加することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成15年3月31日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成14年10月15日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項にあると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「一対の偏光子の内側にネマチック液晶により、ねじれたらせん構造を形成した液晶層を、配向処理が施され、電極が形成された互いに対向する一対の基板間に挟持した液晶パネルと、デューティ比1/N(N:デューティ数)、バイアス比1/a(a:バイアス値)で前記液晶パネルを駆動するための駆動回路を有する液晶装置において、
前記液晶層が180°以上のねじれらせん構造をとるとともに、前記デューティ数Nが16≦N≦64、バイアス値aが2≦a<4、を満たすような時分割駆動で、前記液晶パネルを駆動することを特徴とする液晶装置。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用した特開平3-35217号公報(引用例1)には、上記2.(2)刊行物記載の発明に摘記した事項が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明の「前記バイアス値aがa=2のとき、3レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aがa=3のとき、4レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で前記液晶パネルを時分割駆動し、前記バイアス値aが2<a<4(a≠3)のとき、6レベルの基準電圧を用いて構成された駆動波形で時分割駆動する」点(上記本願補正発明と引用発明との相違点の構成と同じ)を削除したものである。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明と相違しない。

なお、審判請求書等において、請求人は、上記引用例1と本願発明との相違点について検討しており、その際特許法第29条第1項第3号の同一性を含めて検討していることは明らかである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-26 
結審通知日 2005-05-10 
審決日 2005-05-23 
出願番号 特願平6-52246
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井口 猶二  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 向後 晋一
町田 光信
発明の名称 液晶装置  
代理人 松下 義治  
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