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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
管理番号 1119435
異議申立番号 異議2003-72193  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-05-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-04 
確定日 2005-04-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3382519号「静電荷像現像用マゼンタトナー及びその製造方法」の請求項1ないし69に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3382519号の請求項1ないし5、7ないし9、14ないし19、22ないし42、44、45、50ないし55、及び58ないし69に係る特許を取り消す。 同請求項6、10ないし13、20、21、43、46ないし49、56、及び57に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3382519号に係る発明は、平成9年9月2日(特許法第41条に基づく優先権主張 平成8年9月2日)に出願され、平成14年12月20日に特許の設定登録がなされた。
本件特許公報は、平成15年3月4日に発行され、それに対して、チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッドより特許異議の申立てがあり、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年10月5日付けで訂正請求がなされた。

第2 訂正の適否について
1 訂正事項
(1) 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1及び請求項36中の、「結着樹脂はスチレン重合体、スチレン共重合体」との記載を、それぞれ「結着樹脂はスチレン重合体、スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体」と訂正する。
(2) 訂正事項b
段落【0016】及び【0017】中の、「結着樹脂はスチレン重合体、スチレン共重合体」との記載を、それぞれ「結着樹脂はスチレン重合体、スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体」と訂正する。

2 新規事項の有無、訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
(1) 訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1及び請求項36に記載された「スチレン共重合体」について、明細書の段落【0043】の記載及び実施例の記載に基づいて、「スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合した」という限定を付加するものであるから、該訂正は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であって、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項bは、訂正事項aにより訂正された特許請求の範囲の記載に、発明の詳細な説明の記載を一致させるものであるから、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3 訂正の適否の結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項の規定、及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 本件発明
前項に記載したとおり、本件訂正請求は認められるから、本件特許に係る発明は、平成16年10月5日付け訂正請求書に添付した全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至69に記載された以下のとおりのものと認める(以下、「本件発明1」乃至「本件発明69」という。)。
【請求項1】結着樹脂,マゼンタ顔料及び極性樹脂を少なくとも含有するマゼンタトナー粒子を有する静電荷像現像用マゼンタトナーであり、該結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、該マゼンタ顔料は、シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料又はシー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料であり、極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とする静電荷像現像用マゼンタトナー。
【請求項2】固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項1のマゼンタトナー。
【請求項3】固溶体顔料は、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項1又は2のマゼンタトナー。
【請求項4】マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%,マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している請求項1乃至3のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項5】マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している請求項1乃至4のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項6】マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している請求項1乃至5のいずれかのマゼンタトナー。
【外1】

【請求項7】極性樹脂がマゼンタトナー粒子に2.0〜10.0重量%含有されている請求項1乃至6のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項8】極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項9】飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項8のマゼンタトナー。
【請求項10】極性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項11】エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である請求項10のマゼンタトナー。
【請求項12】極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項13】スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項12のマゼンタトナー。
【請求項14】マゼンタトナー粒子は、DSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している請求項1乃至13のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項15】マゼンタトナー粒子は低軟化点物質を5〜25重量%含有している請求項14のマゼンタトナー。
【請求項16】低軟化点物質がワックスである請求項14又は15のマゼンタトナー。
【請求項17】低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外2】

(式中、R1 は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項18】低軟化点物質は、下記式(1)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
【請求項19】R2及びR3がアルキル基である請求項18のマゼンタトナー。
【請求項20】低軟化点物質が下記式(2)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外3】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項21】R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である請求項20のマゼンタトナー。
【請求項22】低軟化点物質が下記式(3)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外4】

〔式中、R7及びR9は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項23】R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す請求項22のマゼンタトナー。
【請求項24】低軟化点物質は、下記式(4)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外5】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
【請求項25】R10及びR11はアルキル基である請求項24のマゼンタトナー。
【請求項26】低軟化点物質は、下記式(5)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外6】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
【請求項27】R12,R13及びR14はアルキル基である請求項26のマゼンタトナー。
【請求項28】マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である請求項1乃至27のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項29】マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である請求項1乃至27のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項30】マゼンタトナー粒子は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している請求項1乃至29のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項31】負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である請求項30のマゼンタトナー。
【請求項32】マゼンタトナー粒子は、スチレンモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を少なくとも含有している重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、スチレンモノマーを重合して生成された重合マゼンタトナー粒子を含有している請求項1乃至31のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項33】重合性単量体組成物は、さらにアクリル酸エステルモノマー又はメタクリル酸エステルモノマーを含んでおり、水系媒体中のモノマーの重合により生成されたスチレン共重合体を重合マゼンタトナー粒子が含有している請求項32のマゼンタトナー。
【請求項34】マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである請求項1乃至33のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項35】マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである請求項1乃至33のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項36】マゼンタトナー粒子を有するマゼンタトナーの製造方法であり、スチレンモノマー,必要により他のビニルモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調製し、重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して結着樹脂を生成してマゼンタトナー粒子を生成する製造方法であり、結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、マゼンタ顔料は、C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19の固溶体顔料又はC.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19の固溶体であり、極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
【請求項37】スチレンモノマー,固溶体顔料及び極性樹脂が混合された後に、重合開始剤が添加されて、重合性単量体組成物が調製される請求項36の製造方法。
【請求項38】マゼンタトナー粒子は、懸濁重合法によって調製される請求項36又は37の製造方法。
【請求項39】固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項36乃至38のいずれかの製造方法。
【請求項40】固溶体顔料は、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項36乃至38のいずれかの製造方法。
【請求項41】マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%,マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している請求項36乃至40のいずれかの製造方法。
【請求項42】マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している請求項41の製造方法。
【請求項43】マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している請求項36乃至42のいずれかの製造方法。
【外7】

【請求項44】 極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項45】 飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項44の製造方法。
【請求項46】 極性樹脂がエポキシ樹脂である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項47】 エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である請求項46の製造方法。
【請求項48】 極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項49】 スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項48の製造方法。
【請求項50】 重合性単量体組成物は、さらにDSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している請求項36乃至49のいずれかの製造方法。
【請求項51】 重合性単量体組成物は低軟化点物質を5〜25重量%含有している請求項50の製造方法。
【請求項52】 低軟化点物質がワックスである請求項50又は51の製造方法。
【請求項53】 低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外8】

(式中、R1は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【請求項54】 低軟化点物質は、下記式(1)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至53のいずれかの製造方法。
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
【請求項55】 R2及びR3がアルキル基である請求項54の製造方法。
【請求項56】 低軟化点物質が下記式(2)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外9】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す〕
【請求項57】 R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である請求項56の製造方法。
【請求項58】 低軟化点物質が下記式(3)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外10】

〔式中、R7及びR9は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項59】 R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す請求項58の製造方法。
【請求項60】 低軟化点物質は、下記式(4)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外11】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
【請求項61】 R10及びR11はアルキル基である請求項60の製造方法。
【請求項62】 低軟化点物質は、下記式(5)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外12】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
【請求項63】 R12 ,R13及びR14はアルキル基である請求項62の製造方法。
【請求項64】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である請求項36乃至63のいずれかの製造方法。
【請求項65】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である請求項36乃至63のいずれかの製造方法。
【請求項66】 重合性単量体組成物は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している請求項36乃至65のいずれかの製造方法。
【請求項67】 負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である請求項66の製造方法。
【請求項68】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである請求項36乃至67のいずれかの製造方法。
【請求項69】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである請求項36乃至67のいずれかの製造方法。

第4 取消理由の概要
平成16年7月27日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
なお、特許異議申立の趣旨はほぼ同旨である。
(1)本件特許の請求項1〜69に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1〜10に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件特許の請求項1、2、4、5、7、8、10、12に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物6、11、1〜5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本件特許明細書は、その記載に不備が認められるため、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない。

刊行物1:特開平8-50368号公報(特許異議申立人の提示した甲第1 号証)
刊行物2:特開平8-50367号公報(同じく甲第2号証)
刊行物3:特開平8-44111号公報(同じく甲第3号)
刊行物4:特開平5-197203号公報(同じく甲第4号証)
刊行物5:特開平8-160658号公報(同じく甲第5号証)
刊行物6:特開昭62-291669号公報(同じく甲第6号証)
刊行物7:特開平2-123373号公報(同じく甲第7号証)
刊行物8:米国特許第3160510号明細書(同じく甲第8号証)
刊行物9:特開平2-38463号公報(同じく甲第9号証)
刊行物10:特開平7-150059号公報(同じく甲第10号証)
刊行物11:特開昭57-40264号公報(同じく甲第11号証)

第5 理由(3)(36条違反)についての判断
1 特許異議申立人は、以下のア及びイの点で、本件明細書の記載が不備であると主張している。
ア 本件発明の結着樹脂の例示として、スチレン共重合体があり、極性樹脂 の例示としてスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共 重合体が挙げられている。刊行物11に示すように、スチレン共重合体の 中には、酸価を有するものもあるから、結着樹脂と極性樹脂との両方に該 当するものが存在しうる。その場合、たとえば、酸価3〜20mgKOH /gを有する結着樹脂を使用しているマゼンタトナーは、本件発明の範囲 内なのかどうか不明瞭である。
イ 請求項2、3、39及び40において、C.I.Pigment Re d 122とC.I.Pigment Violet19との配合重量比 、あるいはC.I.Pigment Red 202とC.I.Pigm ent Violet19との配合重量比を規定しているが、具体例では 、それぞれ、66:34、20:80の例しか記載されていない。そのた め、それらのクレームに規定する全ての範囲にわたって固溶体顔料が形成 されることは明らかでない。

2 そこで、以下に検討する。
(1) アの点について
前項「第2 訂正の適否について」に記載したとおり、結着樹脂に用いられるスチレン共重合体は、「スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体は」に限定され、結着樹脂に用いられるスチレン共重合体は酸価を有しないことが明らかとなったので、アの点は解消した。
(2) イの点について
明細書の記載から明らかなように、本件発明で特定するマゼンタ顔料は置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の固溶体顔料であるが、このようなキナクリドン固溶体顔料自体は、上記刊行物8ないし10にも記載されているように、本件の出願前にすでによく知られており、特に、刊行物8には、実施例3として、C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19を、20重量部:80重量部で固溶体を形成したこと(8欄46〜71行)、実施例5として、85重量部:15重量部で固溶体を形成したこと(9欄21〜36行)、実施例8として、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19を、90重量部:10重量部で固溶体を形成したこと(10欄30〜62行)がそれぞれ記載され、請求項7には、C.I.Pigment 202とC.I.Pigment Violet 19を、45〜25重量部:55〜75重量部の範囲で固溶体とすることが記載されており、本件の請求項2、3、39及び40において規定する顔料組成比の範囲は、これらの固溶体形成範囲内にあることは明らかである。
また、本件明細書の段落【0026】〜【0028】には、配合重量比を規定した理由について、「固溶体顔料の彩度及び着色力をより好ましい値にするためには該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の配合比が85:15〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50がよい。該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料配合比が85:15を超えると、固溶体中に置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じやすくなるため、若干ながら彩度が低下する傾向となる。該固有対顔料中の置換キナクリドン顔料の配合比が30:70を下回ると、逆に固溶体中に無置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じるため(例えばγ型キナクリドンが生成される)、若干ながら着色力が低下する。」と記載されている。
してみれば、具体例以外の組成比では固溶体ができないとする具体的な根拠を何ら示していない以上、本件の明細書に記載された具体的な例が「66:34」と「20:80」の2例だけであるという理由だけからでは、発明の詳細な説明に、本件発明を当業者が実施しうるように記載されていないとすることはできない。

3 まとめ
以上のとおり、理由(3)によっては、本件の請求項1ないし69に係る特許を取消すことはできない。

第6 理由(1)及び(2)(29条2項違反)についての判断
1 各刊行物に記載された発明
(1) 刊行物1
刊行物1には、
(1a)「【請求項1】少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有している静電荷像現像用トナーであり、該エステルワックスは、該結着樹脂100重量部当り3〜40重量部含有されており、該エステルワックスは、下記式、
R1-COO-R2〔式中、R1及びR2は炭素数15〜45を有する炭化水素基をそれぞれ示す。〕で示されるエステル化合物を含有しており、トータルの炭素数が,同一のエステル化合物が50〜90重量%エステルワックスに含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー」、
(1b)「【請求項15】着色剤がシアン着色剤、マゼンタ着色剤又はイエロ着色剤である請求項1乃至14のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。」
に関し、
(1c)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法,静電記録法等により形成されたトナー像を加熱加圧定着法により転写材に良好に定着し得る静電荷像現像用トナー及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。」
(1d)エステルワックスについて、「【0012】本発明のトナーにおいて、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させ、OHPフィルムにおける定着カラー画像の良好な透明性を得るために、下記式、R1-COO-R2〔式中、R1及びR2は炭素数15〜45を有する炭化水素基をそれぞれ示す。〕で示されるエステル化合物を含有しており、トータルの炭素数が同一のエステル化合物が50〜95重量%(ワックス基準)含有されているエステルワックスが配合されている。」
(1e)エステルワックスの融点について、「【0027】エステル化合物R1-COO-R2を有するエステルワックスはASTM D3418-8に準じて測定される吸熱曲線における主体極大ピーク(mainpeak)値の温度(以下、「融点」と称す)が40〜90℃(より好ましくは、55〜85℃)であることがトナーの低温定着性,耐オフセット性の点で好ましい。」
(1f)結着樹脂について、「【0038】本発明に用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン-(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体を利用することが出来る。直接重合法によりトナー粒子を得る方法においては、ビニル系単量体が好ましく用いられる。」
(1g)極性樹脂について、「【0040】本発明においては、特にエステルワックスが結着樹脂で内包化せしめることが好ましい。このために極性樹脂をトナー粒子に添加せしめることが有効である。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。」
(1h)マゼンタ着色剤について、「【0043】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、4 8;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。」
(1i)着色剤について、「【0045】これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性、OHPフィルム上の透明性、フィルム上の透明性,トナー粒子中への分散性の点から選択される)。」
(1j)荷電制御剤について、「【0047】トナーの摩擦帯電特性を安定化するために使用する荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系媒体中への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系制御剤としてサリチル酸アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物、スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用できる。ポジ系制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアと摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。」
(1k)トナーの形状係数について、「【0056】本発明のトナーとしては、形状係数SF-1の値が100〜160、特に好ましくは100〜150でトナーが好ましい。」及び「【0060】トナーの形状係数SF-1が160より大きいトナーは、球形から徐々に不定形に近づき、それにつれて転写効率の低下が認められる。多種の転写材に対応させるために中間転写体を使用する場合、転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下はトナーの利用効率の低下を招く。更に最近のデジタルフルカラー複写機やデジタルフルカラープリンターにおいては、色画像原稿を予めB(ブルー),G(グリーン),R(レッド)フィルターを用い色分解した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成しY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の各色トナーを用いて減色混合作用を利用し原稿又は色情報に忠実な多色カラー画像を再現する必要がある。この際感光体上又は中間転写体上には、Y,M,C,Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多量にトナーが乗るため本発明に使用される各カラートナーは、極めて高い転写性が要求される。そのため、トナーの好転写性を維持するためにも前記エステルワックスが好ましく、更にトナーの形状係数SF-1が100〜160であるトナーが好ましい。」
(1l)トナーの粒径について、「【0061】更に高画質化のため微小な潜像ドットを忠実に現像するために、コールターカウンターにより測定された重量平均径が3μm〜8μmで個数変動係数が35%以下のトナーが好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーは、転写効率が低く、感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。トナーの重量平均径が8μmを超える場合には、解像性やドット再現性が低下し、また各部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まる。」
(1m)エステルワックスの調製について、「【0115】エステルワックスの調製ジムロート還流器、Dean-Stark水分離器を備えた4つ口フラスコ反応装置にベンゼン1740重量部、長鎖アルキルカルボン酸成分1300重量部、長鎖アルキルアルコール成分1200重量部、さらにp-トルエンスルホン酸120重量部を加え十分攪拌し溶解後、5時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで十分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製してエステルワックスを得た。各エステルワックスは、長鎖アルキルカルボン酸の種類及び量と、長鎖アルキルアルコールの種類及び量とを変更することにより調製した。
【0116】各エステルワックスのデータを表1に示す。
【0117】長鎖アルキルカルボン酸成分パルミチン酸 (C16H32O2)
ステアリン酸 (C18H36O2)
アラキデン酸 (C20H40O2)
ベヘニン酸 (C22H44O2)
リグノセリン酸(C24H48O2)
【0118】長鎖アルキルアルコール成分パルミチルアルコール(C16H34O)
ステアリルアルコール(C18H38O)
アラキデルアルコール(C20H42O)
ベヘニルアルコール (C22H46O)
【0119】
【表1】


と記載され、実施例について、
(1n)「【0123】実施例1 シアントナーを、次の如くして調製した。高速攪拌装置TK-ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル/リツトル-Na3P04水溶液450重量部を添加し回転数を12000rpmに調製し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リツトル-CaC12水溶液68重量部を徐々に添加し微小な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
【0124】
スチレン単量体 165重量部
n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 14重量部
極性樹脂〔飽和ポリエステル(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変 性ビスフェノールA、酸価15、ピーク分子量6000)〕 10重量部
負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
エステルワックス(A) 60重量部
【0125】上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を65℃のままで回転数200rpmで重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散安定剤を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行い重量平均径は、6μmであり、個数分布における変動係数が23%であり、SF-1が115である電気絶縁性のシアントナーを得た。」
(1o)「【0126】実施例2〜4
着色剤をC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントレッド202、グラフトカーボンブラックに変え、実施例1と同様にして電気絶縁性イエロートナー、電気絶縁性マゼンタトナー及び電気絶縁性ブラックトナーを得た。各色トナーの物性を下記表3に示す。」
と記載され、
(1p)表3には、実施例3のマゼンタトナーについて、重量平均粒径が6.2μmで、SF-1が113であることが示され、
発明の効果について、
(1q)「【0161】 【発明の効果】本発明のトナーは、上記特定のエステルワックスを含有することにより、OHPフィルムの定着画像の透明性の向上が図れ、定着性や耐オフセット性に優れ、カラー画像又はフルカラー画像形成に非常に好適なものである。」
と記載されている。

(2) 刊行物2
刊行物2には、
(2a)「【請求項1】少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス組成物を含有している静電荷像現像用トナーであり、該ワックス組成物は、GPCの分子量分布において、分子量350〜850の範囲に極大値を有し且つ分子量900〜4,000の範囲に極大値を有し、ワックス組成物は、重量平均分子量(Mw)が350〜4,000であり、数平均分子量が200〜4,000であるエステルワックスを有していることを特徴とする静電荷像現像用トナー。」
(2b)「【請求項24】トナーは、・・・・非磁性マゼンタカラートナーである請求項1乃至23のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。」
に関し、
(2c)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成されたトナー像を加熱加圧定着法により転写材に良好に定着し得る静電荷像現像用トナーに関する。」
(2d)エステルワックスの重量平均分子量について、「【0027】本発明のトナーにおいて、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させ、OHPフィルムにおけるカラー画像の良好な透明性を得るために、トナー粒子内に重量平均分子量(Mw)が350〜4,000であり、数平均分子量が200〜4,000であるエステルワックスを有し且つGPCの分子量分布において、分子量350〜850の範囲に極大値を有し且つ分子量900〜4,000の範囲に極大値を有するワックス組成物を配合している。エステルワックス、その他のワックス及びワックス組成物の平均分子量及び分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。」
(2e)エステルワックスの融点について、「【0035】ワックス組成物を構成するエステルワックスは、ASTM D3418-8に準じて測定される吸熱曲線における主体極大ピーク値の温度(以下「融点」と称す)が30-120℃であることが好ましく、より好ましくは50-100℃が特に好ましい。融点が30℃より低い場合はトナーの耐ブロッキング性、多数枚の複写時でのスリーブ汚染抑制・感光体の汚染防止性が低下しやすい。融点が120℃を越える場合は、粉砕法によるトナーの製法においてはバインダー樹脂との均一混合に過大のエネルギーが必要になり、他方重合法によるトナーの製法においても高沸点溶剤の利用や高圧下での耐圧反応容器が必要になり装置がきわめて複雑になり好ましくない。」
(2f)エステルワックスのエステル化合物について、「【0042】エステルワックスを構成する好ましいエステル化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0043】
【外2】エステル化合物A

〔式中a及びbは0〜4の整数であり、a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基であり、R1とR2との炭素数の差が3以上であり、m及びnは0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。〕
・・・(中略)・・・
【外4】エステル化合物C

〔式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3であり、R1及びR2は炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基であり、R1とR2との炭素数の差が3以上であり、R3は水素原子又は炭素数が1以上の有機基であり(但し、a+bが2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である)、kは1〜3の整数であり、m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。〕
具体的なエステル化合物を以下に例示する。
・・・(中略)・・・
エステル化合物No.8(分子量736)

エステル化合物N0.9(分子量722)


(2g)エステルワックスの含有量について、「【0060】ワックス組成物は、結着樹脂100重量部に対して1〜40重量部(好ましくは2〜30重量部)配合するのが良い。」
(2h)同じくエステルワックスの含有量について、「【0065】ワックス組成物の添加量が下限より少ないと、トナーはオフセット防止効果が低下しやすく、上限を超える場合、耐ブロッキング効果が低下し、耐オフセット効果にも悪影響を与えやすく、感光体への融着、スリーブへの融着を起こしやすい。重合法によりトナーを生成する場合には粒度分布の広いトナーが生成する傾向にある。」
(2i)結着樹脂について、「【0068】本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0069】例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体の如きスチレン系共重合体・・・・などが使用できる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。」
(2j)極性樹脂について、「【0075】本発明においては、特にワックス組成物が結着樹脂で内包化されていることが好ましい。このために極性樹脂をトナー粒子に添加せしめることが有効である。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。」
(2k)着色剤について、「【0080】これらの着色剤は、単独または混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHPフィルム上の透明性,トナー粒子中への分散性の点から選択される。」
(2l)荷電制御剤について、「【0086】トナーの摩擦帯電特性を安定化するために使用する荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系媒体中への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が利用できる。ポジ系制御剤として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。」
(2m)トナーの粒径について、「【0093】高画質化のため、微小な潜像ドットを忠実に現像するために、コールターカウンターにより測定された重量平均径が3μm〜8μmで個数変動係数が35%以下のトナーが好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーは、転写効率が低く、感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。トナーの重量平均径が8μmを超える場合には、解像度やドット再現性が低下し、また各部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まる。」
(2n)極性樹脂の例について、「【0102】メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体;アクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如きハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸;不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無水物;及びニトロ系単量体から選択される単量体の重合体もしくはスチレン又はスチレン系単量体との共重合体が挙げられる。さらにポリエステル及びエポキシ樹脂が挙げられる。より好ましいものとして、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,スチレン-マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が挙げられる。」
(2o)実施例について、「【0159】実施例1シアントナーを次の如くして調製した。高速攪拌装置TK-ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル/リットル-Na3P04 水溶液450重量部を添加し回転数を12000rpmに調整し、65℃に加湿せしめた。ここに1.0モル/リツトル-CaC12水溶液75重量部を徐々に添加し微小な難水溶性分散安定剤Ca3(P04)2を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン単量体 165重量部
・n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 14重量部
・極性樹脂〔飽和ポリエステル(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変 性-ビスフェノールA、酸価15、ピーク分子量6000)〕10重量部
・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2重量部
・ワックス組成物No.1 60重量部
【0160】上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を65℃のままで回転数250rpmで重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散安定剤を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行い重量平均径が6.0μmであり、個数分布における変動係数が22%である電気絶縁性のシアントナーを得た。」
(2p)発明の効果について、「【0203】【発明の効果】本発明のトナーは、GPCの分子量分布において特定な二領域に極大値をそれぞれ有するワックス組成物を含有し、該ワックス組成物が特定なエステルワックスを含有しているので、定着性及び耐オフセット性に優れ、更にOHPフィルムにおける定着画像の透明性に優れているものである。」
と記載されている。

(3) 刊行物3
刊行物3には、
(3a)「【請求項1】少なくとも低軟化点物質及び着色剤を含有する重合性単量体系を媒体中で重合して得られる静電荷像現像用トナーの製造方法において、重合性単量体100重量部に対し、低軟化点物質を5〜30重量部含有し、且つ、正弦波振動法によって得られる動的粘弾性パラメータのうち、貯蔵弾性率G′が8.00×103<G′≦1.00×109dyne/cm2なる範囲下、これに外的な力を加えることで実質的に真球状の該粒子を異形化せしめることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。」
に関し、
(3b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法などに用いられる静電荷像現像用トナーに関し、特にブレードクリーニング性に優れ、複数枚の複写に対しても画質の劣化が発生しない静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。」
(3c)トナーの粒径について、「【0019】本発明においては、比較的容易に粒度分布がシャープで4〜8μm粒径の微粒子トナーが得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合法が特に好ましい。この理由としては、粒度分布が均一であるならば、本発明の異形化処理が均一に施せるからである。一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合法も本発明に好適に利用することができる。また、乳化剤をほとんど使わないか全く使用せずに予め一次乳化重合粒子を形成せしめた後、塩析処理か水系で反対電荷を有する重合粒子を添加して会合せしめる所謂塩析会合法やヘテロ凝集法によるトナーもまた好ましく用いることができる。更に、本発明に用いられるトナーの異形化方法は特に限定されるものではないが、メディアに合成樹脂粒子をもちいた湿式メディア型分散機の使用が好ましい。この理由としては、衝撃力,剪断力を与える際のメディアとトナーとの動的粘弾性の観点でのバランスが得やすいからである。」
(3d)トナーの形状係数について、「【0020】本発明に用いられるより好ましいトナーは、ルーゼックスで測定したトナーの形状係数SF-1が110〜135で有り且つ、低軟化点物質を5〜30重量%含有し、更に透過電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断層面測定方法で低軟化点物質が、外殻樹脂層で内包化された直接重合法を用いて製造されたものであって、トナーの動的粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率G’が8.00×103<G’≦1.00×109の範囲下で上述の如き方法によって、機械的外力を加えて異形化処理されたものである。」
(3e)低軟化点物質について、「【0023】本発明に用いられる低軟化点物質としては、ASTM D3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一方、極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混色性の点から好ましくない。更に直接重合法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒,重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。」
(3f)低軟化点物質の具体例について、「【0025】具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。好ましくは下記一般構造式で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエステルワックスが、OHPの透明性を阻害せずに耐高温オフセット性に効果を有するので本発明においては特に好ましい。本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表的化合物の構造式を以下に一般構造式(1)(なお丸付き数字を( )で表す。以下同じ。)、一般構造式(2)、及び一般構造式(3)として示す。
【0026】
【化1】〈エステルワックスの一般式(1)〉

【0027】[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。]
・・・(中略)・・・
【0030】〈エステルワックスの一般式(3)〉
【化3】

【0031】[式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、R3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。]
【0032】・・・(中略)・・・具体的化合物としては、下記化合物が挙げられる。
・・・(中略)・・・ (4)


(3g)低軟化点物質の添加量について、「【0034】近年、両面画像の必要性も増してきており、両面画像を形成せしめる際においては、最初に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能性が有り、よりトナーの耐高温オフセット性を十分に考慮する必要がある。その為にも本発明においては、多量の低軟化点物質の添加が必須となる。具体的には、低軟化点物質をトナー中に5〜30重量%添加することが好ましい。5重量%未満の添加では十分な耐高温オフセット性を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像がオフセット現象を示す傾向がある。また30重量%を超える場合は、重合法による製造において造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。」
(3h)極性樹脂について、「【0037】本発明においては、外殻樹脂中に低軟化点物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。重合法による直接トナーを得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。」
(3i)着色剤について、「【0042】これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。」
(3j)荷電制御剤について、「【0044】本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において直接重合法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸,ナフトエ酸,ダイカルボン酸の金属化合物、スルホン酸,カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。」
(3k)実施例について、「【0063】実施例1本実施例に用いるシアントナーは、次の如くして調製した。高速攪拌装置TK-ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル/リツトル-Na3P04水溶液450重量部を添加し回転数を12000回転に調製し、65℃に加湿せしめた。ここに1.0モル/リツトル-CaC12水溶液68重量部を徐々に添加し微小な難水溶性分散剤Ca3(P04)2を含む分散媒系を調製した。一方、分散質系は、
【0064】
スチレン単量体 165重量部
n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
C.I.ピグメントブルー15:3 13重量部
飽和ポリエステル 9重量部
(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA
酸価13、ピーク分子量7000)
サリチル酸金属化合物 2重量部
化合物(1) 60重量部
(DSCにおけるピーク温度59.4℃)
【0065】上記混合物をアトライターを用い2時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した分散物を分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ13分問造粒した。その後高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50℃で重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを一部分サンプリングし、更に洗浄後乾燥せしめ、得られたシアントナーの物性を測定した。」
(3l)発明の効果について、「【0095】【発明の効果】以上説明したように、本発明によって低軟化点物質を多量に含むトナーにおいても適度な異形化処理が可能となり、ブレードクリーニング性及び複数枚の複写に対しても画質の劣化が発生しない優れた静電荷像現像用トナーを得ることができる。」
と記載されている。

(4) 刊行物4
刊行物4には、
(4a)「【請求項1】トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナー粒子は、5〜50mgKOH/gの酸価及び1000〜14000の重量平均分子量を有するポリエステル樹脂を0.1〜15重量%、及び50〜90℃の融点を有するパラフィン系ワックスを16〜50重量%含有し、
該トナー粒子の樹脂成分は、5000〜45000の重量平均分子量を有し、
該トナー粒子は、重合性単量体、パラフィン系ワックス及びポリエステル樹脂を少なくとも含有する単量体組成物から懸濁重合法によって調製されたものであり、
該トナーは、300〜5000ppmの吸水量を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。」
に関し、
(4b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、静電荷潜像を現像するためのトナー及びこのトナー及びキャリアを含有する静電荷像現像用二成分系現像剤に関する。」
(4c)「【0024】本発明においては、トナー粒子の内部の構造に関しては少なくともA及びBの2種類の成分が存在し、A成分を主体とする相とB成分を主体とする相とに分離した構造が好ましい。A成分を主体とする相(A相)が表層部となり、B成分を主体とする相(B相)が中心部に存在する。A相が高軟化点を有する樹脂で、B相が低軟化点を有する樹脂である場合に好ましい組み合せとなるが、トナーとなった時にA相とB相に相分離する組み合せであれば、何ら限定するものではない。なお、ここで「主体とする」とは、構成成分のうちモル成分比が最も多いことを言う。」
(4d)A相を構成する樹脂について、「【0025】A相を構成する樹脂の好ましい範囲としては、GPCによる分子量分布で重量平均分子量Mwが5000〜45000、好ましくは、8000〜42000であり、・・・かかるA成分は、懸濁重合によって得られる樹脂であれば、いずれの樹脂も用いることができるが、帯電サイトとなりうる官能基や、紙の如き記録材との接着性を高める官能基を有していてもよい。A相を構成する樹脂の重量平均分子量Mwが5000に満たない場合、トナーの耐ブロッキング性が不良となり、重量平均分子量Mwが45000を超えるとカラートナーに必要な混色性が不良となる。
【0026】上記トナー粒子を調製するための懸濁重合に使用できる重合性単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エチルスチレンの如きスチレン系単量体;・・・・アクリル酸エステル類単量体、・・・・メタクリル酸エステル類単量体;アクリロニトリル単量体;メタクリロニトリル単量体;アクリルアミド単量体が挙げられる。【0027】これらの単量体は、単独又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレン系単量体を単独で、又はほかの単量体と混合して使用すればトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。」
(4e)B成分について、「【0028】本発明に用いるB成分としては、50〜90℃、好ましくは60〜80℃の融点を有するパラフィン系ワックスが良い。
【0028】本発明に用いるB成分としては、50〜90℃、好ましくは60〜80℃の融点を有するパラフィン系ワックスが良い。
【0029】B成分の融点が50℃未満の場合には、定着する時に低温オフセットを助長して悪影響を与えてしまい、さらに、高温下においては、トナー表面に局在化しているポリエステル樹脂のマイブレーションを発生しやすくなり、帯電性を悪化させてしまうと言う問題点を生じてしまう。B成分の融点が90℃を超える場合には、トナー粒子の製造時にB成分が固化し造粒性が低下すると言う問題点が生じる。
【0030】このB成分のパラフィン系ワックスとしては、パラフィン及び、この酸化物又はグラフト化物の如きパラフィンの変性物が挙げられる。
【0031】本発明に用いられるパラフィン系ワックスの添加量としては、重合性単量体を基準にして、16〜50重量%、好ましくは16〜40重量%、より好ましくは16〜30重量%が良い。この範囲の添加量の場合、先に説明したトナーの内部構造が得られやすい。
【0032】すなわち、重合法トナーは、その製法上の特徴から、ワックスのような疎水性の物質はトナー粒子の内部に局在化しやすく、逆に親水性の物質はトナー粒子の表層部に局在化しやすい。
【0033】パラフィン系ワックスの添加量が16重量%に満たない場合、良好な定着性が得られなくなるばかりでなく、本発明の特徴であるポリエステル樹脂のトナー表層部への局在化が達成されにくくなり、本発明の効果が十分に得られない。つまり、ワックスを16重量%以上含有させることにより、初めてトナー中心部のワックスがポリエステル樹脂をトナー表層部へおしやろうとする力が働くのである。ワックスの添加量が50重量%を超えた場合は、造粒時の安定性が著しく乱れ、良好なトナー粒子が得られず好ましくない。」
(4f)極性樹脂について、「【0034】本発明においては、単量体組成物に極性基を有する樹脂としてアニオン性の重合体であるポリエステル樹脂を添加して重合を行なう。」
(4g)該ポリエステル樹脂の酸価について、「【0035】本発明に用いるポリエステル樹脂としては、5〜50mgKOH/gの酸価、好ましくは5〜40mgKOH/gの酸価及び1000〜14000の重量平均分子量、好ましくは5000〜14000の重量平均分子量を有するものを用いることができる。」及び
「【0039】本発明に使用されるポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/gに満たない場合、トナー表面への局在化が不十分となり、良好な帯電の立上がりが得られず、この酸価が50mgKOH/gを超える場合は、重合性単量体への溶解が不十分になることから、良好な造粒性が得られなくなる。」
(4h)該ポリエステル樹脂の添加量について、「【0037】前記ポリエステル樹脂の添加量は、使用される重合性単量体の重量を基準にして、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜10重量%が良い。ポリエステル樹脂の添加量が重合性単量体の重量を基準にして0.1重量%に満たない場合には、本発明の効果である良好な帯電の立上がりが得られず、この添加量が重合性単量体の重量を基準にして15重量%を超えた場合には、着色剤の分散不良を招くことから造粒性が不良となる。」
(4i)該ポリエステル樹脂の分子量について、「【0040】ポリエステル樹脂の重量平均分子量が1000に満たない場合には、低分子量のポリエステル樹脂がトナー表面に局在化することになるため、得られるトナーの耐ブロッキング性が不良となり、この重量平均分子量が14000を超える場合には、着色剤の分散性が低下し、造粒性が不良となる。」
(4j)他の極性重合体について、「【0041】さらに、本発明においては、単量体組成物に、前述の特定のポリエステル樹脂を組合わせて、他の極性重合体(極性基を有する樹脂)を添加して重合しても良い。本発明に使用できる他の極性樹脂を以下に例示する。
【0042】カチオン性重合体としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体の重合体もしくはこの含窒素単量体とスチレン単量体又は不飽和カルボン酸エステル単量体との共重合体が挙げられる。
【0043】アニオン性重合体としては、ポリエステル樹脂が最も好ましく、他にアクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如き含ハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸単量体;不飽和二塩基酸単量体;不飽和二塩基酸無水物単量体;ニトロ系単量体の如き単量体の単独重合体及び共重合体もしくはそれらの単量体とスチレン系単量体との共重合体が挙げられる。」
(4k)荷電制御剤について、「【0055】本発明においては、トナーの帯電性を制御する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくことが望ましい。これら荷電制御剤としては、公知のもののうち、重合阻害性、水相移行性の殆ど無いものが用いられ、例えば正荷電制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩、アミン系及びポリアミン系化合物が挙げられ、負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物、含金属モノアゾ系染料化合物、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体等が挙げられる。この荷電制御剤の添加量としては、重合性単量体の重量基準で0.1〜10重量%が好ましい。添加量が0.1重量%に満たない場合、本発明の効果である良好な帯電の立上がりが得られず、この添加量が10重量%を超えると、重合阻害が発生しやすく好ましくない。」
(4l)着色剤について、「【0056】本発明で用いられる着色剤としては、公知のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、・・・・C.I.ピグメントレッド122、・・・・キナクリドン、・・・・の如き顔料が挙げられる。」
(4m)トナー粒径について、「【0058】本発明に用いられるトナー粒子は、好ましくは2〜12μm、より好ましくは4〜9μmの重量平均粒径を有していることが良い。」
(4n)実施例について、「【0085】(実施例1)・・・・Ca3(P04)2を含む分散媒を得た。
【0086】スチレン・・・180g
2-エチルヘキシルアクリレート・・・20g
パラフインワツクス(m.p.75℃)・・・60g
C.I.ピグメントブルー15・・・10g
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA/フマル酸(Mw=1万;酸価10、吸水量3000ppm)・・・10g
ジ-tert-ブチルサリチル酸金属化合物・・・1g
【0087】上記処方のうち、C.I.ピグメントブルー15とジ-tert-ブチルサリチル酸金属化合物とスチレンだけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備混合を行った。次に上記処方すべてを60℃に加温し、溶解、分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に保持しながら、開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10g及びジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート1gを加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
【0088】前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて、10000rpmで20分間撹拝し、単量体組成物を造粒した。その後、パドル鏡拝賀で撹拝しつつ60℃で6時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。
【0089】重合反応終了後反応生成物を冷却し、塩酸を加えてCa3(P04)2を溶解し、濃過、水洗乾燥することによりトナー粒子を得た。」
(4o)発明の効果について、「【0097】 【発明の効果】本発明のトナーは、重合性単量体、特定のポリエステル樹脂及び特定のパラフィン系ワックを少なくとも含有する単量体組成物から懸濁重合法によって調製されたトナー粒子を含有し、該トナーは、(1)300〜5000ppmの吸水量を有することから、高速画像形成化及びフルカラー化に適し、帯電の立上がりが速い、安定した帯電量を長期間にわたって得ることができ、(2)流動性に優れることから、画像濃度が高く、細線再現性及びハイライト性にも優れた画像を得ることができ、(3)定着性及び耐ブロッキング性に優れている。」(なお丸付き数字を( )で表した。)
と記載されている。

(5) 刊行物5
刊行物5には、
(5a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は電子写真法,静電印刷法などにおいて形成される静電荷像を現像する静電荷像現像用カラートナーに関する。」
(5b)「【0002】さらに詳しくは、少なくとも離型剤,着色剤を含有する単量体組成物を水性懸濁重合して得られたマゼンタトナーに関する。」
(5c)「【0027】【課題を解決するための手段及び作用】本発明の目的は、少なくとも重合性単量体,ワックスおよび着色剤を含む組成物を直接懸濁重合して得られるトナーにおいて、該トナーの重量平均径が7μm以下であり、該ワックスは炭素数が15以上の長鎖エステル部分を1個以上有することを特徴とするエステルワックスを用い、且つ該着色剤は下記構造式で示される骨格を有する化合物を含有することで達成される。(式及び式中の説明の記載を省略)」
と記載され、
(5d)併用する着色剤について、「【0036】また、これら着色剤は一般公知の着色剤、例えばC.I.ピグメントレッド122のごときキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド57のごときアゾ系顔料、C.I.ソルベントレツド49のごときローダミン染料のレーキ顔料等と併用しても良い。」
(5e)エステルワックスについて、「【0041】また、近年フルカラー両面画像の必要性も増してきており、両面画像を形成せしめる際においては、最初に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能性が有り、よりトナーの耐高温オフセット性を十分に考慮する必要がある。その為にも本発明においては、多量のエステルワックスの添加が必須となる。
【0042】そのため、本発明のエステルワックスとしては顔料の改質のほかに離型性,透明性も与える必要があり、エステルワックスをトナー中に5〜30重量%添加することが好ましい。
【0043】仮に5重量%未満の添加では十分な改質性を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像がオフセット現象を示す傾向がある。また30重量%を超える場合は、トナーの製造時に、たとえば粉砕法による製造において装置融着やトナーの融着が発生しやすく、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、ドラムに対しての耐衝撃力が低下するためフィルミングが発生し易くなる。」
(5f)エステルワックスのASTM D3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値について、「【0045】本発明において、用いられるエステルワックスとしてはASTM D3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一方極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混色性の点から好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。」
(5g)好ましいエステルワックスについて、「【0048】
【化6】〈エステルワックスの一般式(1)〉

【0049】(a,b:0〜4迄の整数であり、a+b=4 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で且つR1とR2との炭素数差が3以上m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
・・・(中略)・・・
【0052】
【化8】〈エステルワックスの一般式(3)〉

【0053】(a,b:0〜3迄の整数であり、1≦a+b≦3 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で且つR1とR2との炭素数差が3以上 R3:水素原子,炭素数が1以上の有機基。但し、a+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基k :1〜3迄の整数m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
・・・(中略)・・・
【0055】具体的化合物としては、下記化合物が挙げられる。
・・・(中略)・・・
(4)


(5h)極性樹脂について、「【0059】本発明者らはこれら公知の方法の中で極性樹脂を添加する方法は該エステルワックスの偏在を促進し、かつ公知のどの方法と組み合わせてもより効果を発揮することを見い出したため、本発明においては極性物質の添加は必須と考えている。
【0060】本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等一般的に用いられている材料が好ましく用いられる。」
(5i)トナーの形状係数について、「【0063】さらに本発明においては高速複写時における転写性,現像性を確保するため、ルーゼックスで測定した形状係数SF1が100〜130を示すことが好ましい。
・・・(中略)・・・」
【0068】現像剤の形状係数SF1が130より大きい現像剤形状は、球形から徐々に不定形に近づき、それにつれて同時に転写効率が低下するためドラム上に転写されずに残るトナーが多くなり、結果として高速複写時にはフィルミングが発生し易くなる。」
(5j)重合性単量体について、「【0070】本発明のトナーに用いられる重合性単量体としてはスチレン,o-メチルスチレン,m-メチルスチレン,p-メチルスチレン,p-メトキシスチレン,p-エチルスチレン等のスチレン系単量体、・・・・アクリル酸エステル類、・・・・メタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0071】これらの単量体は単独または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。」
(5k)荷電制御剤について、「【0080】本発明においては、トナーの帯電性を制御する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくことが望ましい。これら荷電制御剤としては、例えば正荷電制御剤としてニグロシン系染料,トリフェニルメタン系染料,四級アンモニウム塩,グアニジン誘導体,イミダゾール誘導体,アミン系及びポリアミン系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物,含金属モノアゾ系染料化合物,尿素誘導体,スチレン-アクリル酸共重合体,スチレン-メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これら荷電制御剤の添加量としては、0.1〜10重量%が好ましい。」
(5l)実施例について、「【0111】実施例1・・・(中略)・・・微小な難水溶性分散剤Ca3(P04)2を含む分散媒系を調製した。一方分散質系は、
スチレン単量体 165重量部
n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
(着色剤の式の記載を省略) 14重量部
飽和ポリエステル 10重量部(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA
酸価15,ピーク分子量6000)
サリチル酸金属化合物 2重量部化合物(4)(極大ピーク値64.4℃) 40重量部
【0114】上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した分散物を、分散媒中に投入し回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後高速鏡梓器からプロペラ鏡枠羽根に境性器を変え、内温を80℃に昇温させ50回転で重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。
【0115】更に洗浄し乾燥を行うことで、コールターカウンターで測定したマゼンタトナーの重量平均径は6μmで個数変動係数が28%であり、SF-1が105であった。」
と記載されている。

(6) 刊行物6
刊行物6には、
(6a)「下記一般式Iの化合物95乃至60部及び下記一般式IIの化合物5乃至40部

を含有する混晶からなる静電多色記録法用の改良されたマゼンタ着色剤。」(特許請求の範囲第1項)に関し、
(6b)「本発明は、マゼンタ着色剤が一定の混合比の2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶である、静電多色記録用の改良されたマゼンタ着色剤に関する。」(第2頁左上欄第8〜11行)
(6c)「本発明により驚くべきことに、2,9-ジメチルキナクリドンの色相を変えることなしに、2,9-ジメチルキナクリドンからなる適当な混晶によりトーナーに著しく改善された摩擦電気帯電性を与えることが可能であることが判明した。」(第3頁左下欄第13〜18行)、
(6d)「本発明による着色剤(混晶)を用いて着色したトーナーの色相は適したものと知られている、2,9-ジメチルキナクリドンを含有するトーナーの色相に相当する。これに対しトーナーに混入された、例えば3:1の比率の2,9-ジメチルキナクリドン及びキナクリドンからなる単なる顔料混合物は所望の色相及び透明度を与えない。本発明により使用される着色剤(混晶)を含有するマゼンタトーナーは、2,9-ジメチルキナクリドンを含有するトーナーの様に、所要の透明度を有する。」(第3頁右下欄第9〜20行)
(6e)「本発明によりマゼンタ着色剤として使用される2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶を含有するトーナーは適当な色相及び透明度に於て著しく改善された摩擦電気帯電性を有する。」(第4頁右上欄17行〜左下欄1行)
と記載されている。

(7) 刊行物7
刊行物7には、
(7a)「本発明は、キナクリドン、特にC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19およびC.I.ピグメントレッド209に基づくキナクリドンおよびキナクリドンおよび選択的に調整された摩擦電気効果を有する2,9-ジメチルキナクリドンに基づくキナクリドン混合結晶並びにエレクトログラフ用トナーおよび現像剤における該キナクリドンの使用に関するものである。」(第3頁左下欄第14行〜右下欄第1行)
(7b)従来技術として、「更に、エレクトログラフトナーまたは現像剤用のマゼンタ着色剤としてのキナクリドンの混合結晶の妥当性が知られている。従って、ドイツ特許出願公開第3,618,214A1号は、顔料が式A:

で表される95〜60部のキナクリドンと式B:

で表される5〜40部のキナクリドンとからなるキナクリドン混合結晶の使用を記載している。該混合結晶は、純粋な2,9-ジメチルキナクリドンより著しくマイナスの摩擦帯電性効果を示す。」(第4頁右下欄第11行〜第5頁左上欄第6行)
(7c)「エレクトログラフ用のトナーおよび現像剤の特定の支持材料の具体例としては、スチレン、スチレン/アクリレート、スチレン/ブタジエン、ポリエステルおよびエポキシ樹脂が挙げられる。」(第7頁左上欄第7〜11行)
(7d)実施例として、「実施例1
仕上げの際に10%添加剤1が加えられた5部のC.I.ピグメントレッド122(2,9 ジメチルキナクリドン)・・・を、、95部のトナーバインダー[・・(スチレン/メタクリ酸コポリマー)]中に60分間・・・ニーダにより分散した。・・・(中略)・・・
実施例5
10%添加剤1が仕上げの際に加えられた5部の2,9 ジメチルキナクリドン・・・に基づく混合結晶材料を実施例1に記載の如くトナー中に均一に添加した。」(第8頁左上欄6行〜右下欄9行)
と記載されている。

(8) 刊行物8
刊行物8には、
(8a)「本発明では、形成された新規産物を顔料として特に有用にならしめる2つの重要な性質がある。通常は色が2つ以上の化合物の添加効果の直接的機能であるような単なる物理的混合物に対して、これらの固溶体は、予期及び予測しがたい着色力を示す。」(第1欄第39〜45行)
(8b)「第2の価値ある性質は、しばしば固溶体の形成に伴う耐光性の著しい増強である。」(第1欄47〜50行)
と記載され、
(8c)実施例12のCには、「キナクリドン50部」と「3,10-ジクロロキナクリドン50部」の組み合わせが(第12欄第53〜54行)、
(8d)特許請求の範囲第7項には、「キナクリドン55〜75重量%及び残部が4,11-ジクロロキナクリドンであるキナクリドンと4,11-ジクロロキナクリドンとの固溶体から本質的なる組成物。」(第19欄第43〜47行)
が記載されている。

(9) 刊行物9
刊行物9には、
(9a)「少なくとも2種のキナクリドン化合物の固体溶液の製造方法であって、有効な可溶化量のアルコールおよび塩基の存在下粗または補助顔料キナクリドン化合物を粉砕し、得られる固体溶液を単離することを含んでなる方法。」(特許請求の範囲請求項1)
(9b)「キナクリドン系の化合物およびその顔料特性は公知であり、多くの特許および技術文献に記載されてきた。同様に、キナクリドン誘導体の固体溶液、例えば良好な顔料特性並びに改良された耐光堅牢性および熱安定性を得るため製造された固体溶液も公知である。」(2頁右上欄17行〜左下欄2行)
(9c)「アルコール中、塩基の存在下で粗キナクリドン前駆体物質を粉砕することにより顔料特性および改良結晶度を有する(X線回折パターンより判断)キナクリドン固体溶液が容易に製造されることが発見された。この方法はかなりの柔軟性を示す。成分、成分の濃度および粒度が異なるかなりの多くの固体溶液が製造される。この方法もしくはその改良により、不透明度の高い顔料または中間のもしくは透明度の高い相当品が製造される。」(2頁右下欄2〜11行)
と記載されている。

(10) 刊行物10
刊行物10には、
(10a)【0005】本発明の第一の目的は、顔料キナクリドン固溶体を製造するための改良された方法を提供することである。一般的に、本発明の方法は、付加的な粒子サイズ縮小の後処理の必要なしに、顔料型の固溶体を直接的に製造するために、粒子成長抑制剤の存在下における混合ジヒドロキナクリドンの同時的共酸化に関する。本発明のいま1つの目的はα-キナクリドンを直接顔料合成する方法を提供することである。」
(10b)「【0011】完全な固溶体を形成するために、粒子成長抑制剤は反応混合物中に存在しなければならない。たとえば、6、13-ジヒドロキナクリドンを60%と2、9-ジクロロ-6、13-ジヒドロキナクリドンを40%含有する反応混合物を粒子成長抑制剤の存在下において酸化すると、他の公知方法で製造されたキナクリドンと2、9-ジクロロキナクリドンとの60/40固溶体の独特な固体化合物X線回折図を有する生成物が製造される。しかしながら、同じ酸化を粒子成長抑制剤の不存在下において実施した場合には、得られる顔料は、そのX線回折図が示すように、固溶体ではなく化学的混合物である。したがって、粒子成長抑制剤は固溶体の形成ならびにその顔料特性の両方にとって不可欠なものである。」
(10c)「【0031】本発明の方法によって製造された顔料は、ポリ塩化ビニルおよびポリオレフィン類、たとえばポリエチレンおよびポリプロピレンの着色のために特に好適である。さらにまた、ラッカーおよびペイントの着色のため、特に自動車用トップコート塗料に配合するために好適である。これらの用途に使用された場合、本発明の方法によって製造された顔料は良好な全般的顔料特性を示す。たとえば、高い分散性、高い着色力および色純度、さらにまた優れたマイグレーション堅牢性、耐熱性、耐光堅牢性、耐候堅牢性を示す。」
と記載されている。

(11) 刊行物11
(11a)「着色剤と、正帯電性を付与する帯電制御剤と、バインダーからなり、前記バインダー少なくとも一部がルイス酸基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。」(特許請求の範囲第1項)に関し、
(11b)「バインダーとしては、上記ルイス酸官能基を有する熱可塑性樹脂を単独、または異種のルイス酸官能基を有する熱可塑性樹脂をブレンドして用いてもよいし、それとルイス酸官能基を持たない熱可塑性樹脂とブレンドして用いてもよい。いずれの場合でもルイス酸官能基がルイス酸官能基がカルボキシル基である場合には、その熱可塑性樹脂の酸価が3〜200mg・KOH/gであることが望ましい。」(第3頁左上欄下から第8〜末行)
(11c)「また、ルイス酸官能基がグリシジル基である場合、エポキシ価が300〜2000であり、且つ数平均分子量が6000〜60000であることが望ましい。」(第3頁左下欄第9〜12行)
と記載されている。

2 対比・判断
(1) 本件発明1について:
ア 対比
上記摘示事項からみて、刊行物1には、少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有している静電荷像現像用トナーについて、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア) 結着樹脂として、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、ポリエステ ル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体を利用することが でき、直接重合法によりトナー粒子を得る方法においては、ビニル系単量 体が用いられること(摘記事項(1f)参照)
(イ) 極性樹脂をトナー粒子に添加せしめることが有効であること(摘記事 項 (1g)参照)
(ウ) マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメント2、3、5、6、7、 23、48;2、48;3、4 8;4、57;1、81;1、144、 146、166、169、177、184、185、202、206、2 20、221、254が特に好ましいこと(摘記事項(1h)参照)
(エ) 着色剤は単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができるこ と(摘記事項(1i)参照)
なお、摘記事項から明らかなように、刊行物2にも、同様の技術的事項が記載されている。
そして、刊行物1に記載された実施例及び比較例におけるトナーは、添加されるエステルワックスが異なるだけで、スチレン単量体、n-ブチルアクリレート単量体、着色剤としてのシアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤或いはブラック着色剤、極性樹脂としての酸価が15の飽和ポリエステル、及び負電荷性制御剤を共通して含有する混合物を用いて、重合法により製造されており、実施例3では、該マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド202が用いられているものである。(摘記事項(1n)、(1o)参照)
よって、刊行物1には、以下の発明が記載されているといえる。
「スチレン単量体、n-ブチルアクリレート単量体、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントレッド202、極性樹脂としての酸価が15の飽和ポリエステル、負電荷性制御剤及びエステルワックス(A)を含有する混合物を用いて重合法により製造されたマゼンタトナー粒子を有する静電荷現像用トナー。」(以下、「刊行物1記載の第1発明」という。)

そこで、本件発明1と刊行物1記載の第1発明とを対比すると、刊行物1記載の第1発明においては、単量体として、スチレンとn-ブチルアクリレートが用いられているから、結着樹脂は「スチレンとn-ブチルアクリレーとの共重合体」であって、本件発明1における「スチレンモノマーと、アクリル酸エステルを重合したスチレン共重合体」に相当する。また、刊行物1記載の第1発明における「酸価が15の飽和ポリエステル」及び「C.I.ピグメント レッド202」は、それぞれ本件発明1における「酸価3〜20mgKOH/gを有する極性樹脂」及び「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)」に相当する。
したがって、両者は、
「結着樹脂、マゼンタ顔料及び極性樹脂を少なくとも含有するマゼンタトナー粒子を有する静電荷像現像用マゼンタトナーであり、該結着樹脂は、スチレン重合体、スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、極性樹脂は酸価3〜20mgKOH/gを有する、静電荷像現像用マゼンタトナー。」
である点で一致しており、以下の点で相違しているにすぎない。
相違点a:
「マゼンタ顔料」について、本件発明1では、「シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料又はシー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料である」としているのに対して、刊行物1記載の第1発明では、アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)を用いている点。

イ 相違点aについて
上記相違点aについて検討する。
(ア) 刊行物1(摘記事項(1i))、刊行物2(摘記事項(2k))及び刊行物3(摘記事項(3i))に「これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。」と記載されているとおり、静電荷現像用トナーの顔料を固溶体の状態として使用することは、本件出願前に既に認識されていたことである。

(イ) ところで、刊行物8ないし10にも記載されているように、顔料として固溶体顔料を用いることは本件出願前に既に周知であるところ、特に、刊行物8(摘記事項(8c)参照)には、「キナクリドン50部」と「3,10-ジクロロキナクリドン50部」の組み合わせが記載されており、これらはそれぞれ本件発明1における「シー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)」及び「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)」に相当するものであるから、本件発明1における「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」は、固溶体マゼンタ顔料として本件出願前にすでに公知であるといえる。
してみれば、刊行物1には、「着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。」(摘記事項(1i))と記載されているのであるから、刊行物1記載の第1発明において、マゼンタ顔料である「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)」に代えて、本件出願前に既に公知である、「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」を用いることは、当業者が容易に想到しうることである。

(ウ) また、刊行物6には、2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶を含む静電多色記録法用のマゼンタ着色剤(摘記事項(6a)、(6b)参照)に関し、
・2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶は、 2,9-ジメチルキナクリドンの色相を変えることなくトナーに著しく改 善された電気帯電特性を与えること(摘記事項(6c))、
・2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶は、 それらの単なる混合物が所要の色相及び透明度を与えないのに対して、所 要の透明度を有すること(摘記事項(6d))、
・マゼンタ着色料として使用される2,9-ジメチルキナクリドン及び非置 換キナクリドンからなる混晶を含有するトナーが適当な色相及び透明度に おいて著しく改善された摩擦電気帯電性を有すること(摘記事項(6e))
が記載されており、刊行物6に記載された「2,9-ジメチルキナクリドン及び非置換キナクリドンからなる混晶」は、本件発明1における「シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」に相当するものである。
同様に、刊行物7にも、2,9-ジメチルキナクリドンに基づくキナクリドン混合結晶を含むエレクトログラフ用トナーが記載され(摘記事項(7a))、キナクリドン混合結晶として2,9-ジメチルキナクリドンと無置換キナクリドンとからなる混合結晶(摘記事項(7b))が記載されており、刊行物7に記載された「2,9-ジメチルキナクリドンと無置換キナクリドンとからなる混合結晶」は、本件発明1における「シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」に相当するものである。
一方、刊行物1記載の第1発明では、マゼンタ顔料として、「シー.アイ.ピグメント レッド 202」が用いられているが、刊行物1には、「【0043】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、4 8;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。」(摘記事項(1h))という記載があること、及び実施例2〜4では、着色剤をC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントレッド202、グラフトカーボンブラックに変えたこと(摘記事項(1p))が記載されており、これらの記載から判断して、刊行物1記載の第1発明においては、「C.I.ピグメントレッド202」を用いることは必須の要件ではなく、他の好ましい着色剤に変えても良いことは明らかである。
してみれば、刊行物1記載の第1発明において、トナー粒子の帯電特性、透明性、色相の改善を目的として、「シー.アイ.ピグメント レッド 202」に代えて、刊行物6及び刊行物7に記載された「シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」を用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 特許権者の主張について
特許権者は、平成16年10月5日付け特許異議意見書において、「刊行物1乃至11は、特定のマゼンタ顔料からなる固溶体をマゼンタトナーに用いることにより耐光性及び着色性に優れたマゼンタトナーとすると共に、マゼンタトナー中で該固溶体が凝集するという問題を、マゼンタトナー中に特定の結着樹脂と酸価が3〜20mgKOH/gの極性樹脂とを含有させることにより解決することについて記載していませんし示唆もしていません。」(第11頁末行〜第12頁第4行)と主張している。
そこで、該主張について検討する。
特許権者の指摘するとおり、本件発明1では、極性樹脂の酸価について、「3〜20mgKOH/g」と特定しているのに対して、刊行物1記載の第1発明では、酸価が「15」のものを用いてはいるものの、特に酸価の特定についての言及はない。
しかしながら、刊行物1記載の第1発明のトナーは、スチレン単量体、アクリル酸エステル単量体、及びエステルワックスを少なくとも含有する単量体組成物から直接重合法により調製されるものである(摘記事項(1f)、(1n)参照)が、このように直接重合法によりトナー粒子を調製する際に、「酸価3〜20mgKOH/gの極性樹脂」を併用することは、刊行物2、刊行物3及び刊行物5にも記載されているように、格別なものではない。
すなわち、刊行物2(摘記事項(2j)及び(2o)(実施例1)参照)及び刊行物5(摘記事項(5h)及び(5l)(実施例1)参照)には、酸価「15」の飽和ポリエステル樹脂を極性樹脂として併用することが、刊行物3(摘記事項(3n)及び(3k)(実施例1)参照)には、酸価「13」の飽和ポリエステル樹脂を極性樹脂として併用することが記載されている。
また、刊行物4には、含有させるワックスが、エステルワックスではなくパラフィンワックスであるという違いがあるものの、「本発明においては、単量体組成物に極性基を有する樹脂としてアニオン性の重合体であるポリエステル樹脂を添加して重合を行う。本発明に用いるポリエステル樹脂としては、5〜50mgKOH/gの酸価、好ましくは10〜40mgKOH/gの酸価・・・を有するものを用いることができる。」((摘記事項(4f)、(4g)参照)と記載され、実施例1(摘記事項(4n)参照】)では、酸価が「10」のポリエステル樹脂を用いたことが記載されている。
このように、刊行物1には酸価について言及されていなくとも、スチレン単量体、アクリル酸エステル単量体、及びワックスを少なくとも含有する単量体組成物を用いて直接重合法によりトナー粒子を調製する際に、併用する極性樹脂として、本件発明1で特定する「酸価が10〜20mgKOH/g」程度のものを用いることは、本件の出願前に既によく知られているところであって、実質的な相違点を構成するものではない。
したがって、本件発明1の構成は、前項「イ 相違点について」に記載したとおり、当業者が容易に導き出しうる構成であって、特許権者が主張する本件発明1の効果は、該構成を採用した結果当然にもたらされた効果にすぎない。

エ まとめ
以上のとおり、本件発明1は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2) 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の特定事項に加えて、更に「固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である」ことを特定事項とするものである。(以下、「相違点b」とする。)
そこで、該相違点bについて検討するに、本件発明2の限定事項である、シー.アイ.ピグメント レッド 122とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19の配合重量比である「85:15乃至30:70」は、刊行物6及び刊行物7に記載された「95:5乃至60:40」の範囲(摘記事項(6a)及び(7b)参照)に包含され、殆どの部分において重複している。
本件明細書(段落【0026】〜【0028】)には、「固溶体顔料の彩度及び着色力をより好ましい値にするためには該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の配合比が85:15〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50がよい。該固体中に置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じやすくなるため、若干ながら彩度が低下する傾向となる。該固有対顔料中の置換キナクリドン顔料の配合比が30:70を下回ると、逆に固溶体中に無置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じるため(例えばγ型キナクリドンが生成される)、若干ながら着色力が低下する。」と記載されているが、これらのことは、いずれも固溶体顔料そのものに要求されるものであって、配合重量比を「85:15乃至30:70」とすることにより、予期し得ない格別顕著な効果であるとも認められない。
したがって、本件発明2も、刊行物1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の特定事項に加えて、更に「固溶体顔料はC.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である」ことを特定事項とするものである。(以下、「相違点c」とする。)
そこで、該相違点cについて検討するに、刊行物8には、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19の配合例として、実施例12のCに「キナクリドン 50部と、3,10-ジクロロキナクリドン 50部」と記載されており、本件発明3で規定する配合重量比である「85:15乃至30:70」に包含されるものである。
また、刊行物8には、3,10-キナクリドン(すなわち、C.I.Pigment Red 202)とキナクリドン(すなわち、C.I.Pigment Violet 19)の配合例は、この「50:50」の1つだけであって、特に「85:15乃至30:70」とすることについては記載がないものの、刊行物8にはその他の固溶体の多数の配合例が記載され、特許請求の範囲の第7項(第19欄43〜47行)には、類似した固溶体顔料であるところの、キナクリドン55〜75重量%と、残部が4,11-ジクロロキナクリドンからなる固溶体顔料が記載されている。
さらに、刊行物6には、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19の組み合わせではないものの、同じくキナクリドン系のマゼンタ顔料の固溶体を静電荷現像用トナーの着色剤として用いる発明に関して、C.I.Pigment Red 122及びC.I.Pigment Violet 19を、それぞれ「95乃至60重量部」及び「5乃至40重量部」配合することが記載されている。
また、同様に、刊行物7(第4頁右下欄末行〜第5頁左上欄第4行)にも、C.I.Pigment Red 122及びC.I.Pigment Violet 19を、それぞれ「95乃至60重量部」及び「5乃至40重量部」配合することが記載されている。
してみれば、刊行物1記載の第1発明における「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)」に代えて、刊行物8に記載の「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料」を用いる際に、その配合比を特定する程度のことは、当業者であれば、容易になし得る事項にすぎない。
本件明細書(段落【0026】〜【0028】)には、「固溶体顔料の彩度及び着色力をより好ましい値にするためには該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の配合比が85:15〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50がよい。該固体中に置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じやすくなるため、若干ながら彩度が低下する傾向となる。該固有対顔料中の置換キナクリドン顔料の配合比が30:70を下回ると、逆に固溶体中に無置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じるため(例えばγ型キナクリドンが生成される)、若干ながら着色力が低下する。」と記載されているが、これらのことは、いずれも固溶体顔料そのものに要求されるものであって、配合重量比を「85:15乃至30:70」とすることにより、予期し得ない格別顕著な効果であるとも認められない。
したがって、本件発明3は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1ないし3の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%、マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、摘記事項(1n)、(1o)から明らかなように、刊行物1記載の第1発明におけるトナー粒子は、スチレン単量体を165重量部、n-ブチルアクリレート単量体を35重量部、着色剤を14重量部、極性樹脂を10重量部、負荷電性制御剤2重量部、及びエステルワックス(A)60重量部を含有する混合物を用いて製造されており、仮にこれらの単量体が全部重合したとして計算すると、全体では286重量部であるから、結着樹脂200/286=69.9重量%、マゼンタ顔料14/286=4.9重量%、極性樹脂10/286=3.5重量%と計算される。
よって、刊行物1記載の第1発明が、本件発明4の「マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%、マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している」という特定事項を満たすことは明らかである。
したがって、本件発明4も、本件発明1と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 本件発明5について
本件発明5は、本件発明1ないし4の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、前項「(4) 本件発明4について」に記載したとおり、刊行物1記載の発明におけるトナー粒子における極性樹脂の量は、3.5重量%と計算される。
よって、刊行物1記載の第1発明が、本件発明5の「マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している」という特定事項を満たすことは明らかである。
したがって、本件発明5も、本件発明1と同じ理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6) 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1ないし5の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している

」ことを特定事項とするものであるが、刊行物1には、そのような記載はない。(以下、「相違点d」という。)
そこで、該相違点dについて検討するに、上記の式(A)は、「極性樹脂の酸価」と「極性樹脂の含有量」と「固溶体顔料の含有量」の関係を規定するものである。
これに対し、刊行物1ないし5、及び11には、極性樹脂の酸価について記載があるものの、固溶体顔料の含有量については記載がない。また、刊行物5ないし10には、固溶体顔料に関する記載があるものの、極性樹脂の酸価については記載がない。このように、刊行物1ないし11のいずれにも、「極性樹脂の酸価」と「極性樹脂の含有量」と「固溶体顔料の含有量」の関係については記載がない以上、これらの刊行物の記載からでは、相違点dに係る構成を導き出すことはできない。
したがって、本件発明6は、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

なお、刊行物1記載の第1発明においては、マゼンタ顔料が固溶体顔料ではないために上記の式(A)については計算することができないが、仮に「マゼンタ顔料の含有量」を「固溶体顔料の含有量」に置き換えて該式を満足しているか否かについて計算すると、前項(4)に記載したとおり、トナー粒子中の極性樹脂の含有量は3.5%、顔料の含有量は4.9%と計算されるから、15×4.9÷3.5=21となって、上記の式を満足していないこととなる。

(7) 本件発明7について
本件発明7は、本件発明1ないし6の特定事項に加えて、更に「極性樹脂がマゼンタトナー粒子に2.0〜10.0重量%含有されている」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、前項(4)に記載したとおり、トナー粒子中の極性樹脂の含有量は、3.5重量%と計算される。
よって、刊行物1記載の第1発明が、本件発明7の「極性樹脂がマゼンタトナー粒子に2.0〜10重量%含有されている」という特定事項を満たすことは明らかである。
したがって、本件発明7も、本件発明1と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8) 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1ないし7の特定事項に加えて、更に「極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、刊行物1記載の第1発明においては、極性樹脂として、「酸価が15の飽和ポリエステル」を用いているから、刊行物1記載の発明が、該特定事項を満たしていることは明らかである。
したがって、本件発明8も、本件発明1と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9) 本件発明9について
本件発明9は、本件発明8の特定事項に加えて、更に「飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものであるが、該特定事項のうち、数平均分子量については、刊行物1には記載がない。すなわち、刊行物1の「極性樹脂〔飽和ポリエステル(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA、酸価15、ピーク分子量6000)〕」(摘記事項(1o)参照)という記載から明らかなように、「ピーク分子量6000」であることが記載されているのみで、数平均分子量については記載がない。(以下、「相違点e」とする。)
そこで、該相違点について検討するに、本件明細書には、「飽和ポリエステル樹脂(極性樹脂)10重量部(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA-トリメリット酸の重合体;酸価=15mgKOH/g,Mn=4500;ピーク分子量=6000)」(実施例1、段落【0116】)、「飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールA-無水フタル酸-コハク酸);酸価2mgKOH/g;Mn=4500;ピーク分子量;6500)」(比較例4、段落【0134】)及び「飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸-プロピレンオキサンド変性ビスフェノールA-エチレンオキサイド変性ビスフェノールA-トリメリット酸の重合体;酸価26mgKOH/g、Mn=8900、ピーク分子量;15000)」(比較例5、段落【0138】)なる記載があり、これらの記載からみて、数分平均分子量は、ピーク分子量よりも小さくなるが、桁違いに小さくなることは無いことは明らかであるから、刊行物1に記載された「ピーク分子量6000」を有する樹脂の数平均分子量は、本件発明9で特定する「2,500〜10,000」を満たしているとするのが妥当である。
また、仮にそうでないとしても、刊行物4には、重合性単量体、パラフィンワックス及び極性樹脂としてのポリエステル樹脂を少なくとも含有する単量体組成物から懸濁重合により調製させるトナー粒子において、「本発明に用いるポリエステル樹脂としては、・・・1000〜14000の重量平均分子量、好ましくは5000〜14000の重量平均分子量を有するものを用いることができる。」(摘記事項(4g))及び「ポリエステル樹脂の重量平均分子量が1000に満たない場合には、低分子量のポリエステル樹脂がトナー表面に局在化することになるため、得られるトナーの耐ブロッキング性が不良となり、この重量平均分子量が14000を超える場合には、着色剤の分散性が低下し、造粒性が不良となる。」(摘記事項(4i))と記載され、実施例1(摘記事項(4n))においては、「ポリエステル樹脂(ビスフェノールA/フマル酸(Mw=1万;酸価10、吸水量3000ppm)」を用いたことが記載されている。
刊行物1記載の第1発明と、刊行物4記載の発明とでは、含有させるワックスが、エステルワックスであるかパラフィンワックスであるかの違いがあるものの、重合性単量体、ワックス及び極性樹脂を少なくとも含有する重合性単量体組成物から直接重合法により調製されるトナーである点では共通するものであるので、刊行物1記載の第1発明においても、併用する極性樹脂の分子量が重要であることは、当業者が容易に理解しうるところである。
本件発明9では、数平均分子量で特定しているが、本件明細書の段落【0043】には、「極性樹脂は数平均分子量(Mn)が2,500乃至10,000であることが、スチレンモノマーへの溶解性、固溶体顔料粒子の再凝集の抑制、重合性単量体組成物の水系媒体中での造粒の容易性、マゼンタトナー粒子の多数枚耐久性の向上の点で好ましい。」と記載されており、該記載からみて、重量平均分子量でなく、数平均分子量で規定した点に格別な技術的な意義があるとは認めらず、当業者であれば、分子量を規定するにあたり、「重量平均分子量」にするか、「数平均分子量」にするか、或いは刊行物1記載の発明のように「ピーク分子量」とするかは、適宜選択しうるところである。
以上のとおり、相違点eは実質的な相違点ではないか、或いは当業者が容易になしうる事項であるから、本件発明9も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10) 本件発明10について
本件発明10は、本件発明1ないし7の特定事項に加えて、更に「極性樹脂がエポキシ樹脂である」ことを特定事項とするものであるが、これに対して、刊行物1記載の第1発明は「飽和ポリエステル」を用いており、この点においても相違している。(以下、「相違点f」とする。)
そこで、この点について検討するに、刊行物1(摘記事項(1g))、刊行物2(摘記事項(2j))、刊行物3(摘記事項(3h))及び刊行物5(摘記事項(5h))には、重合性単量体、エステルワックス及び極性樹脂としての飽和ポリエステル樹脂を少なくとも含有する単量体組成物から直接重合法により調製させるトナー粒子において、該極性樹脂として用いられる樹脂として、「飽和ポリエステル樹脂」と並列して「エポキシ樹脂」も記載されているが、その際のエポキシ樹脂の酸価についてまでは記載がない。
また、刊行物4には、特定の酸価を有するポリエステル樹脂を用いることが記載されているだけで、「エポキシ樹脂」については何ら記載がない。同様に、刊行物11には、着色剤、帯電制御剤及び少なくとも一部がルイス酸官能基を有する熱可塑性樹脂であるバインダーからなる静電潜像現像用トナーが記載されており、熱可塑性樹脂としてエポキシ樹脂の例示もあるが、ルイス酸官能基がグリシジル基である場合、エポキシ価が300〜20000であることが記載されているにすぎない。
さらに、刊行物6には、例1として、トナーバインダ(結着樹脂)として、スチロール-メタクリル-共重合体を用いたことが記載されているにすぎず、その酸価については記載がないばかりでなく、極性樹脂を併用する旨の記載もない。同様に、刊行物7は、「支持材料の具体例としては、スチレン、スチレン/アクリレート、スチレン/ブタジエン、ポリエステルおよびエポキシ樹脂が挙げられる。」と記載されているにすぎない。
さらにまた、刊行物8ないし10には、トナーに関する記載はない。
したがって、刊行物1記載の第1発明において、「極性樹脂〔飽和ポリエステル(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変 性ビスフェノールA、酸価15、ピーク分子量6000)」に代えて、「エポキシ樹脂」を用いることまでは容易であっても、「酸価が3ないし20のエポキシ樹脂」を用いることまでが容易であるとすることはできない。
よって、本件発明10が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(11) 本件発明11について
本件発明11は、本件発明10の特定事項に加えて、更に「エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(10) 本件発明10について」に記載したとおり、本件発明10については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明11も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(12) 本件発明12について
本件発明12は、本件発明1ないし7の特定事項に加えて、更に「極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である」ことを特定事項とするものであるが、刊行物1記載の発明においては「飽和ポリエステル」を用いており、この点においても相違している。(以下、「相違点g」とする。)
そこで、この点について検討するに、刊行物1(摘記事項(1g))、刊行物2(摘記事項(2j))、刊行物3(摘記事項(3h))、及び刊行物5(摘記事項(5h))には、重合性単量体、エステルワックス及び極性樹脂としての飽和ポリエステル樹脂を少なくとも含有する単量体組成物から直接重合法により調製させるトナー粒子において、該極性樹脂として、「飽和ポリエステル樹脂」と並列して「スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体」も記載されているが、その際のスチレン-アクリル酸共重合体の酸価についてまでは記載がない
また、刊行物4には、特定の酸価を有するポリエステル樹脂を用いることが記載されているだけで、「スチレン-アクリル共重合体」については何ら記載がない。同様に、刊行物11には、着色剤、帯電制御剤及び少なくとも一部がルイス酸官能基を有する熱可塑性樹脂であるバインダーからなる静電潜像現像用トナーが記載され、ルイス酸官能基を有する熱可塑性樹脂(「極性樹脂」に相当)とルイス酸官能基を持たない熱可塑性樹脂とをブレンドして用いてもよいことも記載されているが、「酸価が3〜20のスチレン-アクリル酸共重合体」についてまでは記載されていない。
さらに、刊行物6には、例1として、トナーバインダ(結着樹脂)として、スチロール-メタクリル-共重合体を用いたことが記載されているにすぎず、その酸価については記載がないばかりでなく、極性樹脂を併用する旨の記載もない。同様に、刊行物7は、「支持材料の具体例としては、スチレン、スチレン/アクリレート、スチレン/ブタジエン、ポリエステルおよびエポキシ樹脂が挙げられる。」と記載されているにすぎない。
さらにまた、刊行物8ないし10には、トナーに関する記載はない。
したがって、刊行物1記載の第1発明において、「極性樹脂〔飽和ポリエステル(テレフタール酸-プロピレンオキサイド変 性ビスフェノールA、酸価15、ピーク分子量6000)」に代えて、「スチレン-アクリル酸共重合体」を用いることまでは容易であっても、「酸価が3ないし20のスチレン-アクリル酸共重合体」を用いることまでが容易であるとすることはできない。
よって、本件発明12が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない


(13) 本件発明13について
本件発明13は、本件発明12の特定事項に加えて、更に「スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(12) 本件発明12について」に記載したとおり、本件発明12については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明13も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(14) 本件発明14について
本件発明14は、本件発明1ないし13の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、DSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、該特定事項について検討するに、刊行物1記載の第1発明における「エステルワックス(A)」が、本件発明14における「低軟化点物質」に相当するものである。
刊行物1記載の第1発明では、「エステルワックス(A)」と記載があるだけであるが、刊行物1記載の発明におけるエステルワックスについて、刊行物1(摘記事項(1e))には、「ASTM D3418-8に準じて測定される吸熱曲線における主体極大ピーク(mainpeak)値の温度(以下、「融点」と称す)が40〜90℃(より好ましくは、55〜85℃)であることがトナーの低温定着性,耐オフセット性の点で好ましい。」と記載され、【表1】(摘記事項(1m)参照)には、エステルワックス(A)の融点が、73.8℃であることが記載されているから、刊行物1記載の第1発明が、本件発明14の「マゼンタトナー粒子は、DSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している」という特定事項を満たすことは明らかである。
なお、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスについて、刊行物2(摘記事項(2e))には、「ASTM D3418-8に準じて測定される吸熱曲線における主体極大ピーク値の温度(以下「融点」と称す)が30-120℃であることが好ましく、より好ましくは50-100℃である。」と、刊行物3(摘記事項(3e))には、「低軟化点物質としては、ASTM D3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、耐高温オフセット性や定着温度の点で、40〜90℃を示す化合物が好ましい。」と、刊行物5(摘記事項(5f))には、「ASTM D3418-8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、オフセット性、ワックスの凝集性の点で、40〜90℃を示す化合物が好ましい。」と記載されており、上記特定事項については、当業者であれば、容易に想到しうる事項にすぎない。
したがって、本件発明14も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(15) 本件発明15について
本件発明15は、本件発明14の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は低軟化点物質を5〜25重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、該特定事項について検討するに、摘記事項(1n)から明らかなように、刊行物1記載の第1発明におけるトナー粒子は、スチレン単量体を165重量部、n-ブチルアクリレート単量体を35重量部、着色剤を14重量部、極性樹脂を10重量部、負荷電性制御剤を2重量部、エステルワックス(A)を60重量部含有しており、仮にこれらの単量体が全部重合したとして計算すると、全体では286重量部であるから、「低軟化点物質」に相当する「エステルワックス(A)」は、60/286=21重量%と計算され、刊行物1記載の第1発明が、本件発明15の「マゼンタトナー粒子は低軟化点物質を5〜25重量%含有している」という特定事項を満たすことは明らかである。
なお、エステルワックスの含有量については、刊行物1(【0010】)には、「該ワックスエステルは、該結着樹脂100重量部当たり3〜40重量部含有されており、」と記載され、刊行物2には、低軟化点物質に相当するエステルワックスを含有するワックス組成物は、オフセット性等の点で、結着樹脂100重量部に対して1〜40重量部(好ましくは2〜30重量部)配合するのが良い(【0060】及び【0065】)ことが記載されており、刊行物3には、オフセット性等の点で、低軟化点物質をトナー中に5〜30重量%添加することが好ましいことが記載され(【0034】)、さらに、刊行物5には、低軟化点物質に相当するワックスは、オフセット性、離型性、透明性、製造容易性の点で、トナー中に5〜30重量%添加するのが好ましい(【0041】〜【0043】)ことが記載されており、上記特定事項については、当業者であれば、容易に想到しうる事項にすぎない。
したがって、本件発明15も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(16) 本件発明16について
本件発明16は、本件発明14又は15の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質がワックスである」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、刊行物1記載の第1発明においては、「エステルワックス」を用いているから、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしていることは明らかである。
なお、低軟化点物質としてワックスを用いることは、刊行物2ないし5にも記載されている。
したがって、本件発明16も、本件発明14及び15と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(17) 本件発明17について
本件発明17は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外2】

(式中、R1は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、刊行物1(摘記事項(1d))には、「本発明のトナーにおいて、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させ、OHPフィルムにおける定着カラー画像の良好な透明性を得るために、下記式、R1-COO-R2〔式中、R1及びR2は炭素数15〜45を有する炭化水素基をそれぞれ示す。〕で示されるエステル化合物を含有しており、トータルの炭素数が同一のエステル化合物が50〜95重量%(ワックス基準)含有されているエステルワックスが配合されている。」と記載されており、また、【表1】に記載されたエステルワックス(A)のデータ(摘記事項(1m)参照)からも、刊行物1記載の第1発明において用いられているエステルワックスが、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
したがって、本件発明17も、本件発明14ないし16と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(18) 本件発明18について
本件発明18は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(1)
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、刊行物1(摘記事項(1d))には、「本発明のトナーにおいて、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させ、OHPフィルムにおける定着カラー画像の良好な透明性を得るために、下記式、R1-COO-R2〔式中、R1及びR2は炭素数15〜45を有する炭化水素基をそれぞれ示す。〕で示されるエステル化合物を含有しており、トータルの炭素数が同一のエステル化合物が50〜95重量%(ワックス基準)含有されているエステルワックスが配合されている。」と記載されており、また、【表1】に記載されたエステルワックス(A)のデータ(摘記事項(1m)参照)からも、刊行物1記載の第1発明において用いられているエステルワックスが、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
したがって、本件発明18も、本件発明14ないし16と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(19) 本件発明19について
本件発明19は、本件発明18の特定事項に加えて、更に「R2及びR3がアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、刊行物1(摘記事項(1d))には、「本発明のトナーにおいて、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させ、OHPフィルムにおける定着カラー画像の良好な透明性を得るために、下記式、R1-COO-R2〔式中、R1及びR2は炭素数15〜45を有する炭化水素基をそれぞれ示す。〕で示されるエステル化合物を含有しており、トータルの炭素数が同一のエステル化合物が50〜95重量%(ワックス基準)含有されているエステルワックスが配合されている。」と記載されており、また、【表1】に記載されたエステルワックス(A)のデータ(摘記事項(1m)参照)からも、刊行物1記載の第1発明において用いられているエステルワックスが、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
したがって、本件発明19も、本件発明18と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(20) 本件発明20について
本件発明20は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質が下記式(2)
【外3】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものであって、上記一般式(2)で示されるエステルは、二塩基酸と長鎖の一価アルコールのエステルを表すものと認められる。
これに対し、刊行物1記載の第1発明で用いられているエステルワックス(A)は、摘記事項(1a)、あるいは段落【0117】及び【0118】の長鎖アルキルカルボン酸成分及び長鎖アルキルアルコール成分の記載(摘記事項(1m)参照)等からも明らかなように、長鎖の一塩基酸と長鎖の一価のアルコールのエステルであって、上記一般式(2)で示されるエステルではない。(以下、「相違点h」とする。)
そこで、該相違点hについて検討する。
静電荷像現像用トナーに含有させる低軟化点物質について記載があるのは刊行物2ないし刊行物5だけであるが、刊行物4に記載された低軟化点物質は「パラフィンワックス」であって「エステルワックス」ではない。また、刊行物2、刊行物3及び刊行物5には、低軟化点物質として「エステルワックス」を用いることが記載されているが、刊行物2の段落【0048】に記載されたエステル化合物No.8及びNo.9、刊行物3の段落【0033】に記載された例示化合物(4)、及び刊行物5の段落【0056】の例示化合物(4)のごとく、これらの刊行物に記載されたエステルワックスは、「長鎖の一塩基酸と二価アルコールのエステル」であって、「二塩基酸と長鎖の一価アルコールのエステル」についてまでは記載がない。
さらに、刊行物1ないし5以外の刊行物をみても、本件発明20において特定する「二塩基酸と長鎖の一価アルコールのエステル」が、エステルワックスとして周知であるとする根拠は見いだせない。
したがって、本件発明20が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(21) 本件発明21ついて
本件発明21は、本件発明20の特定事項に加えて、更に「R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(20) 本件発明20について」に記載したとおり、本件発明20については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明21も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(22) 本件発明22ついて
本件発明22は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質が下記式(3)
【外4】

〔式中、R7及びR9は炭素数15ないし32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものであって、上記一般式(3)で示されるエステルは、長鎖の一塩基酸と二価のアルコールのエステルを表すものと認められる。
これに対し、刊行物1記載の第1発明で用いられているエステルワックス(A)は、摘記事項(1a)、あるいは段落【0117】及び【0118】の長鎖アルキルカルボン酸成分及び長鎖アルキルアルコール成分の記載(摘記事項(1m)参照)からも明らかなように、長鎖の一塩基酸と長鎖の一価のアルコールのエステルであって、上記一般式(3)で示されるエステルではない。(以下、「相違点i」とする。)
そこで、該相違点iについて検討する。
静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとしては、刊行物2の段落【0048】に記載されたエステル化合物No.8及びエステル化合物No.9、刊行物3に記載された例示化合物(4)、及び刊行物5に記載された例示化合物(4)のごとく、長鎖の一塩基酸と二価のアルコールのエステルが用いられることは、本件出願前に既によく知られているところである。
そして、刊行物1記載の第1発明において、エステルワックス(A)に代えて上記一般式(3)で示されるエステルを用いたことにより、刊行物1、2、3及び5記載の発明からでは予期し得ない格別顕著な効果を奏しているとすることもできない。
したがって、本件発明22は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(23) 本件発明23について
本件発明23は、本件発明22の特定事項に加えて、更に「R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す」ことを特定事項とするものである。
該特定事項について検討するに、前項(22)に記載した刊行物2、刊行物3及び刊行物5に記載されている長鎖の一塩基酸と二価のアルコールのエステルエステルは、前記一般式(3)において、R7及びR9がアルキル基であり、R8がアルキレン基であるものに該当する。
したがって、本件発明23も、本件発明22と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(24) 本件発明24について
本件発明24は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(4)
【外5】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
これに対し、刊行物1記載の第1発明で用いられているエステルワックス(A)は、摘記事項(1a)、あるいは段落【0117】及び【0118】の長鎖アルキルカルボン酸成分及び長鎖アルキルアルコール成分の記載(摘記事項(1m)参照)からも明らかなように、上記一般式(4)で示されるエステルではない。(以下、「相違点j」とする。)
そこで、該相違点jについて検討する。
刊行物2の段落【0043】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、以下のエステル化合物Aが記載されている。

〔式中a及びbは0〜4の整数であり、a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基であり、R1とR2との炭素数の差が3以上であり、m及びnは0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。〕
同様に刊行物3の段落【0026】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、

[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。]が記載されている。
さらに、刊行物5の段落【0048】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、

(a,b:0〜4迄の整数であり、a+b=4 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で且つR1とR2との炭素数差が3以上m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
が記載されている。
本件発明24における一般式(4)と、これらの刊行物に記載された一般式とは、Rで示される有機基の炭素数以外では一致しているうえ、本件発明24のR10及びR11の炭素数は、上記刊行物記載の式におけるRの炭素数の範囲にほぼ含まれており、本件発明24における一般式(4)で示される化合物は、これらの刊行物に記載された化合物に包含されるものである。
そして、刊行物1記載の第1発明において、エステルワックス(A)に代えて上記一般式(4)で示されるエステルを用いたことにより、刊行物1、2、3及び5記載の発明からでは予期し得ない格別顕著な効果を奏しているとすることもできない。
したがって、本件発明24は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(25) 本件発明25について
本件発明25は、本件発明24の特定事項に加えて、更に「R10及びR11はアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
該特定事項について検討するに、前項(24)に記載した刊行物2、刊行物3及び刊行物5に記載されているエステルにおいて、これらの刊行物記載の発明における実施例等をみても明らかなように、Rであらわされる有機基として、「アルキル基」はもっとも一般的な基である。
したがって、本件発明25も、本件発明24と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(26) 本件発明26について
本件発明26は、本件発明14ないし16の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(5)
【外6】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
これに対し、刊行物1記載の第1発明で用いられているエステルワックス(A)は、摘記事項(1a)、あるいは段落【0117】及び【0118】の長鎖アルキルカルボン酸成分及び長鎖アルキルアルコール成分の記載(摘記事項(1m)参照)からも明らかなように、上記一般式(5)で示されるエステルではない。(以下、「相違点k」とする。)
そこで、該相違点kについて検討する。
刊行物2の段落【0045】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、以下のエステル化合物Cが記載されている。

〔式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3であり、R1及びR2は炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基であり、R1とR2との炭素数の差が3以上であり、R3は水素原子又は炭素数が1以上の有機基であり(但し、a+bが2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である)、kは1〜3の整数であり、m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。〕
同様に刊行物3の段落【0030】及び【0031】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、

[式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、R3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。]
が記載されている。
さらに、刊行物5の段落【0052】及び【0053】には、静電荷像現像用トナーに含有させるエステルワックスとして、

(a,b:0〜3迄の整数であり、1≦a+b≦3 R1,R2:炭素数が1〜40迄の整数を有する有機基で且つR1とR2との炭素数差が3以上 R3:水素原子,炭素数が1以上の有機基。但し、a+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基k :1〜3迄の整数m,n:0〜25迄の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
が記載されている。
本件発明26における一般式(5)と、これらの刊行物に記載された一般式とは、Rで示される有機基の炭素数以外では一致しているうえ、本件発明26のR12及びR13の炭素数は、上記刊行物記載の式におけるRの炭素数の範囲にほぼ含まれており、本件発明26における一般式(5)で示される化合物は、これらの刊行物に記載された化合物に包含されるものである。
そして、刊行物1記載の第1発明において、エステルワックス(A)に代えて上記一般式(5)で示されるエステルを用いたことにより、刊行物1、2、3及び5記載の発明からでは予期し得ない格別顕著な効果を奏しているとすることもできない。
したがって、本件発明26は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(27) 本件発明27について
本件発明27は、本件発明26の特定事項に加えて、更に「R12,R13及びR14はアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
該特定事項について検討するに、前項(26)に記載した刊行物2、刊行物3及び刊行物5に記載されているエステルにおいて、これらの刊行物記載の発明における実施例等をみても明らかなように、Rであらわされる有機基として、「アルキル基」はもっとも一般的な基である。
したがって、本件発明27も、本件発明26と同じ理由で、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(28) 本件発明28について
本件発明28は、本件発明1ないし27の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物1には、実施例3のトナー粒子に関し、「SF-1」値が「113」であることが記載され(摘記事項(1p)参照)、また、段落【0056】には、「本発明のトナーとしては、形状係数SF-1の値が100〜160、特に好ましくは100〜150でトナーが好ましい。」(摘記事項(1k))と記載されている。
したがって、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかであるから、本件発明28も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(29) 本件発明29について
本件発明29は、本件発明1ないし7の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物1には、実施例3のトナー粒子に関し、「SF-1」値が「113」であることが記載され(摘記事項(1p)参照)、また、段落【0056】には、「本発明のトナーとしては、形状係数SF-1の値が100〜160、特に好ましくは100〜150でトナーが好ましい。」(摘記事項(1k))と記載されている。
したがって、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかであるから、本件発明29も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(30) 本件発明30について
本件発明30は、本件発明1ないし29の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、摘記事項(1n)から明らかなように、刊行物1記載の第1発明におけるトナー粒子は、スチレン単量体を165重量部、n-ブチルアクリレート単量体を35重量部、着色剤を14重量部、極性樹脂を10重量部、負荷電性制御剤2重量部、エステルワックス(A)60重量部含有しており、仮にこれらの単量体が全部重合したとして計算すると、全体では286重量部であるから、「負電荷性制御剤」は、2/286=0.7重量%と計算され、刊行物1記載の第1発明が、本件発明30の「マゼンタトナー粒子は、負電荷性制御剤を0.5乃至10重量%含有している」という特定事項を満たすことは明らかである。
したがって、本件発明15も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(31) 本件発明31について
本件発明31は、本件発明30の特定事項に加えて、更に「負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、摘記事項(1n)から明らかなように、刊行物1記載の第1発明では、負電荷性制御剤として、「ジアルキルサリチル酸金属化合物」を用いており、これは、「芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物」に相当するものである。
したがって、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかであるから、本件発明31も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(32) 本件発明32について
本件発明32は、本件発明1ないし31の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、スチレンモノマー、マゼンタ顔料、極性樹脂及び重合開始剤を少なくとも含有している重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、スチレンモノマーを重合して生成された重合マゼンタトナー粒子を含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物(摘記事項(1n)参照)には、「【0125】上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速攪拌器からプロペラ攪拌羽根に攪拌器を変え、内温を65℃のままで回転数200rpmで重合を10時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散安定剤を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行い重量平均径は、6μmであり、個数分布における変動係数が23%であり、SF-1が115である電気絶縁性のシアントナーを得た。」と記載されており、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
よって、本件発明32も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(33) 本件発明33について
本件発明33は、本件発明32の特定事項に加えて、更に「重合性単量体組成物は、さらにアクリル酸エステルモノマー又はメタクリル酸エステルモノマーを含んでおり、水系媒体中のモノマーの重合により生成されたスチレン共重合体を重合マゼンタトナー粒子が含有している」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物1記載の第1発明のトナーは、スチレン単量体に加えて、n-ブチルアクリレート単量体を含んだ単量体組成物を用いており、水系媒体中のモノマーの重合により生成された「スチレン」と「n-ブチルアクリレート」の共重合体を含有するものであって、該「n-ブチルアクリレート」が、本件発明33における「アクリル酸エステルモノマー」に相当するものである。
したがって、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかであるから、本件発明33も、本件発明32と同様に、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(34) 本件発明34について
本件発明34は、本件発明1ないし33の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物の表3(摘記事項(1p)参照)には、実施例3の重量平均均径が、「6.2μm」であることが記載されており、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
よって、本件発明34も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(35) 本件発明35について
本件発明35は、本件発明1ないし33の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである」ことを特定事項とするものである。
そこで、刊行物1記載の第1発明が、該特定事項を満たしているか否かについて検討するに、刊行物の表3(摘記事項(1p)参照)には、実施例3の重量平均均径が、「6.2μm」であることが記載されており、刊行物1記載の第1発明が、上記特定事項を満たすものであることは明らかである。
なお、刊行物1(摘記事項(1l))には「更に高画質化のため微小な潜像ドットを忠実に現像するために、コールターカウンターにより測定された重量平均径が3μm〜8μmで個数変動係数が35%以下のトナーが好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーは、転写効率が低く、感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。トナーの重量平均径が8μmを超える場合には、解像性やドット再現性が低下し、また各部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まる。」と記載されており、上記特定事項については、当業者であれば、容易に想到しうる事項にすぎない。
よって、本件発明35も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(36) 本件発明36について
上記摘示事項からみて、刊行物1には、少なくとも結着樹脂、着色剤及びエステルワックスを含有している静電荷像現像用トナーにおいて、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア) 結着樹脂として、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、ポリエステ ル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体を利用することが でき、直接重合法によりトナー粒子を得る方法においては、ビニル系単量 体が用いられること(摘記事項(1f)参照)
(イ) 極性樹脂をトナー粒子に添加せしめることが有効であること(摘記事 項(1g)参照)
(ウ) マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメント2、3、5、6、7、 23、48;2、48;3、4 8;4、57;1、81;1、144、 146、166、169、177、184、185、202、206、2 20、221、254が特に好ましいこと(摘記事項(1h)参照)、
(エ) 着色剤は単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができるこ と(摘記事項(1i)参照)
なお、摘記事項から明らかなように、刊行物2にも、同様の技術的事項が記載されている。
そして、刊行物1に記載された実施例及び比較例におけるトナーは、添加されるエステルワックスが異なるだけで、スチレン単量体、n-ブチルアクリレート単量体、着色剤としてのシアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤或いはブラック着色剤、極性樹脂としての酸価が15の飽和ポリエステル、及び負電荷性制御剤を共通して含有する混合物に、重合開始剤である2,2’-ア ゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10重量部を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、造粒し、その後、重合を継続させたこと重合法により製造されており、実施例3では、該マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド202が用いられているものである。(摘記事項(1n)、(1o)参照)
よって、刊行物1には、以下の発明が記載されているといえる。
「スチレン単量体と、n-ブチルアクリレート単量体と、マゼンタ顔料としてのC.I.ピグメントレッド202、極性樹脂として酸価が15の飽和ポリエステル、及びエステルワックスを含有する混合物に重合開始剤を添加した重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、造粒し、その後、重合を継続させてなるマゼンタトナー粒子を有するマゼンタトナーの製造方法」(以下、「刊行物1記載の第2発明」という。)
そこで、本件発明1と刊行物1記載の第2発明とを対比すると、刊行物1記載の第2発明においては、単量体として、スチレンとn-ブチルアクリレートが用いられているから、結着樹脂は「スチレンとn-ブチルアクリレーとの共重合体」であって、本件発明36における「スチレンモノマーと、アクリル酸エステルを重合したスチレン共重合体」に相当する。また、刊行物1記載の第2発明における「酸価が15の飽和ポリエステル」及び「C.I.ピグメントレッド202」は、それぞれ本件発明1における「スチレンモノマーと、アクリル酸エステルを重合したスチレン共重合体」、「酸価3〜20mgKOH/gを有する極性樹脂」及び「シー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)」に相当する。
したがって、両者は、
「マゼンタトナー粒子を有するマゼンタトナーの製造方法であり、スチレンモノマー,必要により他のビニルモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調製し、重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して結着樹脂を生成してマゼンタトナー粒子を生成する製造方法であり、結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違しているにすぎない。
相違点:
「マゼンタ顔料」について、本件発明36では、「シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料又はシー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体であり、」としているのに対して、刊行物1記載の第2発明では、アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)を用いている点。
上記相違点は、前項「(1) 本件発明1について ア 対比」に記載した「相違点a」と同じであるから、該相違点についても、前項「(1) 本件発明1について イ 相違点aについて」に記載したとおりである。
したがって、本件発明36は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(37) 本件発明37について
本件発明37は、本件発明36の特定事項に加えて、更に「スチレンモノマー、固溶体顔料及び極性樹脂が混合された後に、重合開始剤が添加されて、重合性単量体組成物が調製される」ことを特定事項とするものである。
そこで、該特定事項について検討するに、刊行物1記載の第2発明では、スチレン単量体、着色剤、極性樹脂等の混合物を分散させた後、重合開始剤を添加して重合性単量体組成物を調製するものであるから、刊行物1記載の第2発明は、上記特定事項を満たすものである。
したがって、本件発明37も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(38) 本件発明38について
本件発明38は、本件発明36及び37の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナーが懸濁重合法によって調製される」ことを特定事項とするものである。
そこで、該特定事項について検討するに、 摘記事項(1p)から明らかなように、刊行物1記載の第2発明では、懸濁重合法によって調製されているから、刊行物1記載の第2発明は、上記特定事項を満たすものである。
なお、刊行物1(【0053】)、刊行物2(【0099】)、刊行物3(【0019】)、刊行物4(【0004】、【0005】)、刊行物5(【0013】)等にも記載されてように、上記限定事項は、本件出願前に周知の事項であるものと認められる。
したがって、本件発明38も、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(39) 本件発明39について
本件発明39は、本件発明36なし38の特定事項に加えて、更に「固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(2) 本件発明2について」に記載したとおりであるから、本件発明2も、同様の理由により、刊行物1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(40) 本件発明40について
本件発明40は、本件発明36ないし38の特定事項に加えて、更に「固溶体顔料はC.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(3) 本件発明3について」に記載したとおりであるから、本件発明40も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(41) 本件発明41について
本件発明41は、本件発明36ないし38の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%,マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(4) 本件発明4について」に記載したとおりであるから、本件発明41も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(42) 本件発明42について
本件発明42は、本件発明41の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(5) 本件発明5について」に記載したとおりであるから、本件発明42も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(43) 本件発明43について
本件発明43は、本件発明36ないし42の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している

」ことを特定事項とするものである。
そして、該特定事項については、前項「(6) 本件発明6について」に記載したとおり、刊行物1ないし11のいずれにも、上記の式(A)については記載がない。
したがって、本件発明43が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(44) 本件発明44について
本件発明44は、本件発明36ないし43の特定事項に加えて、更に「極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(8) 本件発明8について」に記載したとおりであるから、本件発明42も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(45) 本件発明45について
本件発明45は、本件発明44の特定事項に加えて、更に「飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(9) 本件発明9について」に記載したとおりであるから、本件発明45も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(46) 本件発明46について
本件発明46は、本件発明36ないし43の特定事項に加えて、更に「極性樹脂がエポキシ樹脂である」ことを特定事項とするものである。
そして、該特定事項については、前項「(10) 本件発明10について」に記載したとおり、刊行物1ないし11に記載された発明のいずれからも容易に導き出せるものではない。
したがって、本件発明46が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(47) 本件発明47について
本件発明47は、本件発明46の特定事項に加えて、更に「エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(46) 本件発明46について」に記載したとおり、本件発明46については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明47も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(48) 本件発明48について
本件発明48は、本件発明36ないし43の特定事項に加えて、更に「極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である」ことを特定事項とするものである。
そして、該特定事項については、前項「(12) 本件発明12について」に記載したとおり、刊行物1ないし11に記載された発明のいずれからも容易に導き出せるものではない。
したがって、本件発明48が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(49) 本件発明49について
本件発明49は、本件発明48の特定事項に加えて、更に「スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(48) 本件発明48について」に記載したとおり、本件発明48については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明49も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(50) 本件発明50について
本件発明50は、本件発明36ないし43の特定事項に加えて、更に「重合性単量体組成物は、DSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(14) 本件発明14について」に記載したとおりであるから、本件発明50も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(51) 本件発明51について
本件発明51は、本件発明50の特定事項に加えて、更に「重合性単量体組成物は低軟化点物質を5〜25重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(15) 本件発明15について」に記載したとおりであるから、本件発明51も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(52) 本件発明52について
本件発明52は、本件発明50又は51の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質がワックスである」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(16) 本件発明16について」に記載したとおりであるから、本件発明52も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(53) 本件発明53について
本件発明53は、本件発明50ないし52の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外8】

(式中、R1は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(17) 本件発明17について」に記載したとおりであるから、本件発明53も、同様に理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(54) 本件発明54について
本件発明54は、本件発明50ないし53の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(1)
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(18) 本件発明18について」に記載したとおりであるから、本件発明54も、同様に理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(55) 本件発明55について
本件発明55は、本件発明54の特定事項に加えて、更に「R2及びR3がアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(19) 本件発明19について」に記載したとおりであるから、本件発明55も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(56) 本件発明56について
本件発明56は、本件発明50ないし52の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質が下記式(2)
【外9】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(20) 本件発明20について」に記載したとおり、刊行物1ないし11に記載された発明のいずれからも容易に導き出せるものではない。
したがって、本件発明56が、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(57) 本件発明57について
本件発明57は、本件発明56の特定事項に加えて、更に「R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、前項「(56) 本件発明56について」に記載したとおり、本件発明56については、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない以上、同じ理由で、本件発明57も、刊行物1ないし11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(58) 本件発明58について
本件発明58は、本件発明50ないし52の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質が下記式(3)
【外10】

〔式中、R7及びR9は炭素数15ないし32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(22) 本件発明22について」に記載したとおりであるから、本件発明58も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(59) 本件発明59について
本件発明59は、本件発明58の特定事項に加えて、更に「R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(23) 本件発明23について」に記載したとおりであるから、本件発明59も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(60) 本件発明60について
本件発明60は、本件発明50ないし52の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(4)
【外11】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(24) 本件発明24について」に記載したとおりであるから、本件発明60も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(61) 本件発明61について
本件発明61は、本件発明60の特定事項に加えて、更に「R10及びR11はアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(25) 本件発明25について」に記載したとおりであるから、本件発明61も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(62) 本件発明62について
本件発明62は、本件発明50ないし52の特定事項に加えて、更に「低軟化点物質は、下記式(5)
【外12】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
で示されるエステル化合物を含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(26) 本件発明26について」に記載したとおりであるから、本件発明62も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(63) 本件発明63について
本件発明63は、本件発明62の特定事項に加えて、更に「R12,R13及びR14はアルキル基である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(27) 本件発明27について」に記載したとおりであるから、本件発明63も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(64) 本件発明64について
本件発明64は、本件発明36ないし63の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(28) 本件発明28について」に記載したとおりであるから、本件発明64も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(65) 本件発明65について
本件発明65は、本件発明36ないし63の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(29) 本件発明29について」に記載したとおりであるから、本件発明65も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(66) 本件発明66について
本件発明66は、本件発明36ないし65の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(30) 本件発明30について」に記載したとおりであるから、本件発明66も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(67) 本件発明67について
本件発明67は、本件発明66の特定事項に加えて、更に「負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(31) 本件発明31について」に記載したとおりであるから、本件発明67も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(68) 本件発明68について
本件発明68は、本件発明36ないし67の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(34) 本件発明34について」に記載したとおりであるから、本件発明68も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(69) 本件発明69について
本件発明69は、本件発明36ないし67の特定事項に加えて、更に「マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである」ことを特定事項とするものである。
しかしながら、該特定事項については、前項「(35) 本件発明35について」に記載したとおりであるから、本件発明69も、同様の理由により、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 結び
以上のとおり、本件請求項1ないし5、7ないし9、14ないし19、22ないし42、44、45、50ないし55、及び58ないし69に係る発明は、上記の刊行物1乃至8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであって、特許法第113条第2号の規定により、取り消すべきものである。
また、本件請求項6、10ないし13、20、21、43、46ないし49、56、及び57に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおりに決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
静電荷像現像用マゼンタトナー及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 結着樹脂,マゼンタ顔料及び極性樹脂を少なくとも含有するマゼンタトナー粒子を有する静電荷像現像用マゼンタトナーであり、
該結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、
該マゼンタ顔料は、シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料又はシー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料であり、
極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とする静電荷像現像用マゼンタトナー。
【請求項2】 固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項1のマゼンタトナー。
【請求項3】 固溶体顔料は、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項1又は2のマゼンタトナー。
【請求項4】 マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%,マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している請求項1乃至3のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項5】 マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している請求項1乃至4のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項6】 マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している請求項1乃至5のいずれかのマゼンタトナー。
【外1】

【請求項7】 極性樹脂がマゼンタトナー粒子に2.0〜10.0重量%含有されている請求項1乃至6のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項8】 極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項9】 飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項8のマゼンタトナー。
【請求項10】 極性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項11】 エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である請求項10のマゼンタトナー。
【請求項12】 極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である請求項1乃至7のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項13】 スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項12のマゼンタトナー。
【請求項14】 マゼンタトナー粒子は、DSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している請求項1乃至13のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項15】 マゼンタトナー粒子は低軟化点物質を5〜25重量%含有している請求項14のマゼンタトナー。
【請求項16】 低軟化点物質がワックスである請求項14又は15のマゼンタトナー。
【請求項17】 低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外2】

(式中、R1は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項18】 低軟化点物質は、下記式(1)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
【請求項19】 R2及びR3がアルキル基である請求項18のマゼンタトナー。
【請求項20】 低軟化点物質が下記式(2)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外3】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項21】 R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である請求項20のマゼンタトナー。
【請求項22】 低軟化点物質が下記式(3)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外4】

〔式中、R7及びR9は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項23】 R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す請求項22のマゼンタトナー。
【請求項24】 低軟化点物質は、下記式(4)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外5】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
【請求項25】 R10及びR11はアルキル基である請求項24のマゼンタトナー。
【請求項26】 低軟化点物質は、下記式(5)で示されるエステル化合物を含有している請求項14乃至16のいずれかのマゼンタトナー。
【外6】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
【請求項27】 R12,R13及びR14はアルキル基である請求項26のマゼンタトナー。
【請求項28】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である請求項1乃至27のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項29】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である請求項1乃至27のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項30】 マゼンタトナー粒子は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している請求項1乃至29のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項31】 負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である請求項30のマゼンタトナー。
【請求項32】 マゼンタトナー粒子は、スチレンモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を少なくとも含有している重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、スチレンモノマーを重合して生成された重合マゼンタトナー粒子を含有している請求項1乃至31のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項33】 重合性単量体組成物は、さらにアクリル酸エステルモノマー又はメタクリル酸エステルモノマーを含んでおり、水系媒体中のモノマーの重合により生成されたスチレン共重合体を重合マゼンタトナー粒子が含有している請求項32のマゼンタトナー。
【請求項34】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである請求項1乃至33のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項35】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである請求項1乃至33のいずれかのマゼンタトナー。
【請求項36】 マゼンタトナー粒子を有するマゼンタトナーの製造方法であり、
スチレンモノマー,必要により他のビニルモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調製し、
重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、
水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して結着樹脂を生成してマゼンタトナー粒子を生成する製造方法であり、
結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、
マゼンタ顔料は、C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19の固溶体顔料又はC.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19の固溶体であり、
極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
【請求項37】 スチレンモノマー,固溶体顔料及び極性樹脂が混合された後に、重合開始剤が添加されて、重合性単量体組成物が調製される請求項36の製造方法。
【請求項38】 マゼンタトナー粒子は、懸濁重合法によって調製される請求項36又は37の製造方法。
【請求項39】 固溶体顔料はC.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項36乃至38のいずれかの製造方法。
【請求項40】 固溶体顔料は、C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との配合重量比が85:15乃至30:70である請求項36乃至38のいずれかの製造方法。
【請求項41】 マゼンタトナー粒子は、結着樹脂65〜98重量%,マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%を含有している請求項36乃至40のいずれかの製造方法。
【請求項42】 マゼンタトナー粒子は、極性樹脂を2.0〜10.0重量%含有している請求項41の製造方法。
【請求項43】 マゼンタトナー粒子は、マゼンタ顔料及び極性樹脂を下記式(A)を満足するように含有している請求項36乃至42のいずれかの製造方法。
【外7】

【請求項44】 極性樹脂が飽和ポリエステル樹脂である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項45】 飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項44の製造方法。
【請求項46】 極性樹脂がエポキシ樹脂である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項47】 エポキシ樹脂は数平均分子量が2,500〜10,000である請求項46の製造方法。
【請求項48】 極性樹脂がスチレン-アクリル酸共重合体である請求項36乃至43のいずれかの製造方法。
【請求項49】 スチレン-アクリル酸共重合体は、数平均分子量が2,500〜10,000である請求項48の製造方法。
【請求項50】 重合性単量体組成物は、さらにDSC吸熱曲線における吸熱メインピークが55〜130℃の低軟化点物質を含有している請求項36乃至49のいずれかの製造方法。
【請求項51】 重合性単量体組成物は低軟化点物質を5〜25重量%含有している請求項50の製造方法。
【請求項52】 低軟化点物質がワックスである請求項50又は51の製造方法。
【請求項53】 低軟化点物質は、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【外8】

(式中、R1は炭素数15個以上の有機基を示す)を有するエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【請求項54】 低軟化点物質は、下記式(1)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至53のいずれかの製造方法。
R2-COO-R3(1)
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕
【請求項55】 R2及びR3がアルキル基である請求項54の製造方法。
【請求項56】 低軟化点物質が下記式(2)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外9】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5は炭素数2乃至20の有機基を示す〕
【請求項57】 R4及びR6がアルキル基であり、R5がアルキレン基である請求項56の製造方法。
【請求項58】 低軟化点物質が下記式(3)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外10】

〔式中、R7及びR9は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕
【請求項59】 R7及びR9はアルキル基を示し、R8はアルキレン基を示す請求項58の製造方法。
【請求項60】 低軟化点物質は、下記式(4)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外11】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕
【請求項61】 R10及びR11はアルキル基である請求項60の製造方法。
【請求項62】 低軟化点物質は、下記式(5)で示されるエステル化合物を含有している請求項50乃至52のいずれかの製造方法。
【外12】

〔式中、R12及びR13は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕
【請求項63】 R12,R13及びR14はアルキル基である請求項62の製造方法。
【請求項64】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-1が100乃至150である請求項36乃至63のいずれかの製造方法。
【請求項65】 マゼンタトナー粒子は、形状係数SF-が100乃至125である請求項36乃至63のいずれかの製造方法。
【請求項66】 重合性単量体組成物は、負荷電性制御剤を0.5乃至10重量%含有している請求項36乃至65のいずれかの製造方法。
【請求項67】 負荷電性制御剤は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物である請求項66の製造方法。
【請求項68】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜9μmである請求項36乃至67のいずれかの製造方法。
【請求項69】 マゼンタトナー粒子は、重量平均粒径が3〜8μmである請求項36乃至67のいずれかの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法及び静電印刷法の如き画像形成方法で形成される静電荷像を現像するためのマゼンタトナーに関する。
【0002】
詳しくは、本発明は高画質で色再現性に優れ、摩擦帯電的に安定しているフルカラー画像形成用の静電荷像現像用マゼンタトナーに関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力,階調性はもとより色むらのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきた。
【0004】
デジタルフルカラー複写機においては、色画像原稿を、B(ブルー),G(グリーン),R(レッド)の各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した20μm乃至70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の各色トナーを用い、加熱加圧定着時の減色混合作用を利用して再現している白黒複写機と比べ多量のトナーを感光体から中間転写体を介して、又は、介さずに転写材に転写させる必要がある。
【0005】
カラートナーの中でも、マゼンタトナーは、肌色を再現するのに重要であり、さらに、人物像における肌の色調はハーフトーンであることから、優れた現像性も要求される。
【0006】
従来よりマゼンタトナー用着色剤としてキナクリドン系着色剤,チオインジゴ系着色剤,キサンテン系着色剤,モノアゾ系着色剤,ペリレン系着色剤,ジケトピロロピロール系着色剤が知られている。
【0007】
例えば、特公昭49-46951号公報には、2、9-ジメチルキナクリドン顔料が提案され、特開昭55-26574号公報にはチオインジゴ系顔料が提案され、特開昭59-57256号公報にはキサンテン系染料が提案され、特開平2-210459号公報にはジケトピロロピロール系顔料が提案され、特公昭55-42383号公報にはアントラキノン系染料が提案されている。
【0008】
さらに、着色剤透明性及び色味を調節するために、顔料化合物を単独で使用せず、特開平1-22477号公報に記載されるような顔料-顔料、顔料-染料の配合や、特開昭62-291669号公報(対応米国特許No.4777105号明細書)のように混晶状態でキナクリドン顔料を用いる方法も知られている。
【0009】
これらのマゼンタ着色剤は結着樹脂と親和性及び耐光性が良好であり、一応、摩擦帯電特性及び色調の優れたマゼンタトナーが得られるが透明性を満足し、より原稿に忠実な画像を得るためには、より一層の色調,彩度,電子写真特性が向上しているマゼンタトナーが待望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決した静電荷像現像用マゼンタトナーを提供するものである。
【0011】
本発明の目的は、高画像濃度で極めて鮮明な色彩が得られる静電荷像現像用マゼンタトナーを提供するものである。
【0012】
本発明の目的は、OHPシートの定着画像において透明性に優れている静電荷像現像用マゼンタトナーを提供するものである。
【0013】
本発明の目的は、ハイライト部(ハーフトーン部)の再現性に優れている静電荷像現像用マゼンタトナーを提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、負荷電性に優れ、電子写真特性に優れている静電荷像現像用マゼンタトナーを提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、該マゼンタトナーを生成するための製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
具体的には、本発明は、結着樹脂,マゼンタ顔料及び極性樹脂を少なくとも含有するマゼンタトナー粒子を有する静電荷像現像用マゼンタトナーであり、該結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、該マゼンタ顔料は、シー.アイ.ピグメント レッド 122(C.I.Pigment Red 122)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet 19)の固溶体顔料又はシー.アイ.ピグメント レッド 202(C.I.Pigment Red 202)とシー.アイ.ピグメント バイオレット 19(C.I.Pigment Violet19)の固溶体顔料であり、極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とする静電荷像現像用マゼンタトナーに関する。
【0017】
さらに、本発明は、マゼンタトナー粒子を有するマゼンタトナーの製造方法であり、スチレンモノマー,必要により他のビニルモノマー,マゼンタ顔料,極性樹脂及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調製し、重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して結着樹脂を生成してマゼンタトナー粒子を生成する製造方法であり、結着樹脂はスチレン重合体,スチレンモノマーと、o(m,p)-メチルスチレン、m(p)-エチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、及び、アクリル酸アミドからなる群より選択される単量体とを少なくとも1種以上有する重合性単量体組成物を重合したスチレン共重合体又はそれらの混合物であり、マゼンタ顔料は、C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19の固溶体顔料又はC.I.Pigment Red 202とC.I.PigmentViolet 19であり、極性樹脂は、酸価3〜20mgKOH/gを有することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴のひとつは、特定の固溶体顔料と特定の酸価を有する極性樹脂をトナー粒子中に含有させることである。
【0019】
本発明に用いられる固溶体顔料は一般に顔料の製造過程の脱水工程、顔料化工程の前の工程で2種以上のマゼンタ顔料を混合して後、脱水し顔料化するという工程によって得られる。本発明で使用する固溶体顔料は解砕され易いため容易に1次粒径付近まで顔料粒子を分散できる。
【0020】
固溶体の組み合わせとしては、その構造の安定性や製造のし易さによりなるべく構造の近いものが組み合わせて使用される。特に耐光性に優れ、着色力にも優れるという面より、下記に示す構造の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料を組み合わせて使用する。
【0021】
マゼンタ固溶体顔料(1):C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との固溶体。
【0022】
【外13】

【0023】
マゼンタの固溶体顔料(2):C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との固溶体。
【0024】
【外14】

【0025】
C.I.Pigment Violet 19はその結晶構造によって耐光性,着色力が変化しやすいが、固溶体を形成することにより安定化する。さらに、固溶体の色相はC.I.Pigment Violet 19の配合比や結晶化時の条件設定を変えることにより顔料の彩度,明度を損なうことなく固溶体の色相空間を広げることが可能となる。
【0026】
固溶体顔料の彩度及び着色力をより好ましい値にするためには該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の配合比が85:15〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50がよい。
【0027】
該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料配合比が85:15を超えると、固溶体中に置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じやすくなるため、若干ながら彩度が低下する傾向となる。
【0028】
該固有対顔料中の置換キナクリドン顔料の配合比が30:70を下回ると、逆に固溶体中に無置換キナクリドン単独の微細2次結晶構造が生じるため(例えばγ型キナクリドンが生成される)、若干ながら着色力が低下する。
【0029】
固溶体顔料の製造は、例えば米国特許3160510号公報明細書に記載の固溶体成分を硫酸又は適当な溶媒から同時に再結晶させ、(塩磨砕後に)続いて溶剤処理する方法や、ドイツ特許出願公告1217333号公報に記載の適当に置換されたジアミノテレフタル酸混合物の環化後に溶剤処理する方法が挙げられる。
【0030】
本発明のマゼンタトナー粒子は、スチレンモノマー,必要により他のビニルモノマー,マゼンタ固溶体顔料,酸価3乃至20mgKOH/gの極性樹脂及び重合開始剤を混合して重合性単量体組成物を調整し、重合性単量体組成物を水系媒体中へ分散して重合性単量体組成物の粒子を生成し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中のスチレンモノマーを重合して生成されることが好ましい。
【0031】
この様な製造方法でマゼンタトナー粒子が生成されると、重合性単量体組成物を調製する際に、マゼンタ固溶体顔料が一次粒子近くまで分散され、酸価3乃至20mgKOH/gの極性樹脂によって窒素原子を有するマゼンタ固溶体顔料の粒子の再凝集が抑制されることにより、マゼンタトナー粒子の着色力、明度及び彩度が向上するからである。
【0032】
本発明に用いられる極性樹脂は、重合性単量体組成物粒子中の重合性単量体の重合初期では重合性単量体組成物中に均一に分散しつつ固溶体顔料の再凝集を抑えるという機能と、水系媒体中における重合性単量体組成物の粒子の安定化させる機能の両方を有するために、極性樹脂の酸価が3〜20(KOHmg/g)の範囲であることが重要である。
【0033】
極性樹脂の酸価が3KOHmg/g未満であると、極性樹脂と固溶体顔料の親和性が低く分離し易くなるため、再凝集の抑制効果が低く、着色力の低下や帯電性の低下が生じる。極性樹脂の酸価が20KOHmg/gを超えると、極性樹脂の分子鎖間での凝集性が大きくなるためスチレン単量体(無極性液体)中での極性樹脂の分散性が低下する。そのため、水系媒体中での極性樹脂による重合性単量体組成物の粒子の安定化が低下し、マゼンタトナー粒子の製造安定性が低下する。
【0034】
固溶体顔料の再凝集の抑制を考慮すると、該極性樹脂が該マゼンタトナー粒子に対して1〜20重量%、より好ましくは2.0〜10.0(wt%)含有されていることが良く、さらに下記式を満足しているように含有されていることがより好ましい。
【0035】
【外15】

【0036】
極性樹脂の添加量が1wt%未満であると、添加効果が少なくトナーの負摩擦帯電性の低下を生じ易い。極性樹脂の添加量が20wt%を超えると、重合性単量体組成物の粘度が上がり、水系媒体中での造粒が困難になり製造安定性が低下してくる。
【0037】
さらに、上記式の値が5未満であるとマゼンタトナーにカブリやトナー飛散が現れ易い。
【0038】
また、上記式の値が20を超えると、水系媒体中での重合法によるマゼンタトナー粒子の製造時に微粉成分の増加が生じやすく好ましくない。
【0039】
極性樹脂としてはスチレン単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが好ましい。不飽和基を有する極性樹脂を使用する場合は、スチレン単量体と極性樹脂との間に架橋反応が起き、混色性が低下するので好ましくない。
【0040】
極性樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン-アクシル酸共重合体,スチレン-メタクリル酸共重合体,スチレン-マレイン酸共重合体が挙げられる。中でも、極性樹脂としては飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく、特に飽和ポリエステル樹脂が酸価の制御のしやすさを、トナー粒子の流動性、負摩擦帯電特性、透明性の点で好ましい。
【0041】
極性樹脂は数平均分子量(Mn)が2,500乃至10,000であることが、スチレンモノマーへの溶解性、固溶体顔料粒子の再凝集の抑制、重合性単量体組成物の水系媒体中での造粒の容易性、マゼンタトナー粒子の多数枚耐久性の向上の点で好ましい。
【0042】
本発明においては、該固溶体顔料をあらかじめ極性樹脂と共にスチレン単量体中に分散させて充分に混合した後、重合開始剤を添加して重量性単量体組成物を調製することが好ましい。
【0043】
本発明においては、スチレンモノマーを含有する重合性単量体組成物に必要により,o(m,p)-メチルスチレン,m(p)-エチルスチレンの如き置換スチレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリス酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如き単量体を加えても良い。好ましくは、出版物ポリマーハンドブック第2版III-P139〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)を用いた計算により、50〜85℃を示すようにスチレンモノマーと他の単量体を適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が50℃未満の場合には、トナーの保存安定性やトナーの耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方85℃を超える場合はフルカラー画像形成の場合において、OHP画像の透明性が低下する。
【0044】
スチレン重合体,スチレン共重合体又はそれらの混合物及び極性樹脂は、THF可溶成分のゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され数平均分子量(Mn)が、5,000〜1,000,000で有り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、2〜100(好ましくは、5〜50)であるのが良い。
【0045】
本発明においては、マゼンタトナー粒子は、結着樹脂(すなわち、スチレン重合体、スチレン共重合体又はそれらの混合物)65〜98重量%、マゼンタ顔料1〜15重量%及び極性樹脂1〜20重量%(より好ましくは2.0〜10.0重量%)を含有しているのが良い。
【0046】
本発明のマゼンタトナーにおいては、トナーの耐オフセット性及び固溶体顔料の分散性を向上させるためにASTM D3418-8に準拠して測定されたDSC吸熱曲線における吸熱メインピークが50〜130℃(より好ましくは、55〜110℃)の低軟化点物質が含有されていることが好ましい。
【0047】
極大メインピーク値が50℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセット性が弱くなり、特にフルカラー画像形成用マゼンタトナーとしては好ましくない。一方極大メインピーク値が130℃を超えると、マゼンタトナーの低温定着性,透明性の面から好ましくない。
【0048】
極大メインピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC-7を用いて、温度範囲20乃至200℃の範囲でおこなう。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行う。
【0049】
マゼンタトナーの耐オフセット性及び多数枚耐久性を考慮すると低軟化点物質はトナー粒子に5〜25重量%含有されているのが良い。
【0050】
低軟化点物質は、加熱加圧定着時の溶融のしやすさからワックスが好ましい。中でも、炭素数が15以上の長鎖エステル部
【0051】
【外16】

(式中、R1は炭素数15以上の有機基を示す)を含有するエステル化合物を含有するワックスが、耐オフセット性及び透明性の点で好ましい。特に下記式(1)乃至(5)に示されるエステル化合物を含有するワックスが好ましい。
【0052】
式(1)
R2-COO-R3
〔式中、R2及びR3は炭素数15〜45を有する飽和炭化水素基を示す。〕R2及びR3はアルキル基であることが好ましい。
【0053】
【外17】

〔式中、R4及びR6は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R5炭素数2乃至200の有機基を示す。〕R4及びR6はアルキル基であることが好ましく、R5はアルキレン基であることが好ましい。
【0054】
【外18】

〔式中、R7及びR9は炭素数15乃至32を有する有機基を示し、R8は炭素数2乃至20の有機基を示す。〕R7及びR9はアルキル基であることが好ましく、R8はアルキレン基であることが好ましい。
【0055】
【外19】

〔式中、R10及びR11は炭素数15乃至40の有機基を示し、a及びbは0乃至4の整数を示し、a+bが4であり、m及びnは0乃至25の整数であり、m+nは1以上である。〕R10及びR11はアルキル基であることが好ましい。
【0056】
【外20】

〔式中、R12及びR14は炭素数15乃至40の有機基を示し、R14は水素原子又は炭素数1乃至40の有機基を示し、c及びdは0乃至3の整数を示し、c+dは1乃至3であり、zは1乃至3の整数を示す。〕R12,R13及びR14はアルキル基であることが好ましい。
【0057】
本発明で好ましく用いられるワックスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。ワックスの硬度は、直径20mmで、厚さが5mmの円筒形状のサンプルを作製した後、例えば島津製作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH-200)を用いビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で10μm変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース硬度を求める。硬度が0.5未満のワックスでは定着器の圧力依存性及びプロセススピード依存性が大きくなり、耐低温オフセット性が低下し、一方5.0を超える場合ではトナーの保存安定性が低下し、ワックス自身の自己凝集力も小さいために耐高温オフセットが低下する。
【0058】
エステルワックスに含まれるエステル化合物の具体例を以下に例示する。
【0059】
【外21】

【0060】
【外22】

【0061】
【外23】

【0062】
【外24】

【0063】
本発明においてはエステルワックスがトナー粒子中に5〜25wt%含有されていることが好ましい。該エステルワックスの含有量が5wt%未満であると、本発明の効果が十分発揮されず、若干着色力が低下する。
【0064】
また、該エステルワックスの含有量が25wt%を超えると、多数枚耐久性が低下しやすく、耐ブロッキング性も低下する。
【0065】
本発明のマゼンタトナーは負荷電制御剤を含有しても良い。無色又は淡色でマゼンタトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる負荷電制御剤が好ましい。
【0066】
直接的に重合方法を用いてマゼンタトナー粒子を生成する場合には、重合阻害性が無く水系媒体への可溶化物の少ない荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、負荷電性制御剤としてサリチル酸,アルキルサリチル酸,ジアルキルサリチル酸,ナフトエ酸,又はダイカルボン酸の金属化合物;スルホン酸,カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合物,カリークスアレーン等が挙げられる。
【0067】
中でも、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属化合物が、無色又は淡色で負荷電性の制御性に優れているので好ましい。
【0068】
該荷電制御剤の含有量は、マゼンタトナー粒子に対し0.5〜10重量%が好ましい。
【0069】
重合性単量体組成物に使用される重合開始剤として、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0070】
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20重量%添加される。重合開始剤は、重合方法の種類により若干異なるが、十時間半減期温度を参考にして、単独又は混合し利用される。重合度を制御するために必要により架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤を更に使用しても良い。
【0071】
マゼンタトナーの粒子の製造に使用される水系媒体は、無機分散剤として例えばリン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナが挙げられる。有機分散剤としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプンが挙げられる。これら分散剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜2.0重量部を使用することが好ましい。また、分散剤は、水100重量部に対して0.01乃至0.5重量部使用するのが良い。
【0072】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有す分散粒子を得るために、水系媒体中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも好ましい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が挙げられる。例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウムがある。
【0073】
直接重合方法を用いる場合に於いては、以下の如き製造方法によって、マゼンタトナー粒子を好ましく製造する事が可能である。スチレンモノマーを含む重合性単量体中にマゼンタ着色剤,極性樹脂,低軟化点物質,その他の添加剤を加えアトライターで分散し、次いで重合開始剤を加えホモジナイザー又は超音波分散機によって均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物を調製し、分散安定剤を含有する水系媒体中に撹拌機,ホモミキサー,ホモジナイザー等により重合性単量体組成物を分散せしめ造粒する。
【0074】
好ましくは重合性単量体組成物の液滴粒子が、所望のマゼンタトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度及び時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合性単量体の重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー画像定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体及び副生成物を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を反応容器から留去しても良い。反応終了後、生成したマゼンタトナー粒子をろ過し、洗浄し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常重合性単量体組成物100重量部に対して水系媒体300〜3000重量部を使用するのが好ましい。
【0075】
本発明のマゼンタトナーに使用されるマゼンタトナー粒子としては、形状係数SF-1の値が100〜150、特に好ましくは100〜125であることが好ましい。
【0076】
本発明において、形状係数を示すSF-1とは、例えば日立製作所製FE-SEM(S-800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF-1と定義する。
【0077】
【外25】

〔式中、MXLNGはトナー粒子の絶対最大長を示し、AREAはトナー粒子の投影面積を示す。〕
【0078】
形状係数SF-1は、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0079】
トナー粒子の形状係数SF-1が150より大きいトナー粒子は、球形から徐々に不定形に近づき、それにつれて転写効率の低下が認められる。多種の転写材に対応させるために中間転写体を使用する場合、転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下はトナーの利用効率の低下を招く。更に最近のデジタルフルカラー複写機やデジタルフルカラープリンターにおいては、色画像原稿を予めB(ブルー),G(グリーン),R(レッド)フィルターを用い色分解した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成しY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の各色トナーを用いて減色混合作用を利用し原稿又は色情報に忠実な多色カラー画像を再現する必要がある。この際感光体上又は中間転写体上には、Y,M,C,Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多量にトナーが乗るため本発明に使用される各カラートナーは、極めて高い転写性が要求される。そのため、トナーの好転写性を維持するためにも摩擦帯電量の値が大きく、更にトナー粒子の形状係数SF-1が100〜150であるマゼンタトナーが好ましい。
【0080】
更に高画質化のため微小な潜像ドットを忠実に現像するために、コールターカウンターにより測定された重量平均径が3乃至9μm(より好ましくは、3〜8μm)で個数変動係数が35%以下のトナーが好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーは、転写効率が低く、感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。トナーの重量平均径が9μmを超える場合には、解像性やドット再現性が低下し、また各部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まる。
【0081】
本発明における各種測定方法について説明する。
【0082】
結着樹脂及び極性樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0083】
具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをソックスレー抽出器を用いトルエン溶剤で20時間抽出を行った後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去せしめ、さらに離型剤等の低軟化点物質は溶解するが樹脂成分は溶解し得ない有機溶剤(例えばクロロホルム等)で充分洗浄又は抽出を行った後、THF(テトタヒドロフラン)で溶解した溶液をポア径が0.3μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過したサンプルをウォーターズ社製150Cを用いて測定する。カラム構成は昭和電工製A-801、802、803、804、805、806、807を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定する。
【0084】
次に摩擦帯電量測定方法について述べる。
【0085】
図1はトナーのトリボ電荷量を測定する装置の概略的説明図である。測定するマゼンタトナーを準備する。摩擦帯電量を測定しようとするマゼンタトナー(外添剤はない)とキャリアの混合物を50〜100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、約5分間手で振とうして摩擦帯電させる。該キャリアはシリコーン樹脂コートされたフェライトキャリア(平均粒径35μm)を使用し、マゼンタトナーとキャリアの混合重量比は7:93とする。
【0086】
次に底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、該混合物(トナーとキャリア)W0(g:約0.5-1.5g)を入れ金属製のふた4をする。このときの測定容器2全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁性)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を2450(hpa)とする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
【0087】
このときのトナーの摩擦帯電量Q(mC/kg)は、トナー100%補正をすると下記のように定義される。
【0088】
【外26】

(V(ボルト)は電位計9の電位を示し、C(μF)はコンデンサー8の容量を示し、W2(g)は吸引後の測定容器2の重量を示し、Tはトナー/キャリアの重量比を示す)
【0089】
マゼンタトナーの環境帯電安定性は、該トナーの摩擦帯電量Qを高温高湿(35℃、90%RH)、常温常湿(23℃、60%RH)、低温低湿(15℃、10%RT)で測定した。
【0090】
次に酸価の測定方法について述べる。
【0091】
樹脂サンプル2〜10gを200mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解させる。そして、0.1%のプロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、予め評定された0.1N-水酸化カリ/エタノール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
【0092】
酸価=KOH(ml数)×F×56.1/試料重量(g)
(Fは0.1N-水酸化カリ/エタノール溶液のファクターを示す)
【0093】
次に着色力の評価方法について述べる。
【0094】
マゼンタトナー7重量部に対し、シリコーン樹脂コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混合し、二成分系現像剤とする。得られた現像剤を用いて、定着温度を可変とし、定着オイル塗布機構を省いたキヤノン製フルカラー複写機(CLC500)改造機にて、トナー画像を転写材上に転写し、定着画像を得る。このとき定着条件は、転写材としては光沢度4の秤量99g/m2紙を用い、トナーのり量0.5mg/cm2のマゼンタベタ画像を得て、該画像を光沢度10〜15になるよう定着温度を調整する。この単色ベタ画像の画像濃度をもって着色力とする。
【0095】
光沢度の測定にはJIS Z8741の方法2に準拠して行い、画像濃度は反射濃度計RD918(マクベス社製)で測定する。
【0096】
次に画像の画質の評価方法について述べる。
【0097】
マゼンタトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混合し、二成分系現像剤を調製する。得られた現像剤を用いて、定着温度を可変とし、上下ローラーの表面材質をフッ素系樹脂とし、定着オイル塗布機構を省くよう改造したキヤノン製フルカラー複写機(CLC500)改造機にて、マゼンタトナー画像を転写材上に転写し、定着画像を得る。
【0098】
このとき定着条件は転写材としては光沢度4の秤量99g/m2紙を用い、マゼンタトナーのり量0.5〜0.7mg/cm2の単色ベタ画像を得て、該画像を光沢度10〜15になるよう定着温度を調整する。濃度条件は、コダック社製のグレースケールとカラーパッチを原稿とし、フルカラーコピー画像でグレースケールがなるべく忠実に再現できるように調整し、マゼンタ(M)単色コピーの最高濃度が1.1以上となるように濃度調節する。
【0099】
そしてフルカラー複写機の改造機で、マゼンタ(M)色の画像濃度1.2のベタ画像上での明度L*,彩度C*で色再現性を評価し、画像濃度0.2のハイライト画像で画質均一性を評価する。
【0100】
評価は5段階で行い、比較例1の画像の色再現範囲Eを下記式で定義しその値を100としたとき、色再現範囲:E=((明度L*)2×(彩度C*)2)1/2
E>110=A
105<E≦110=B
90<E≦105=C
80<E≦ 90=D
E≦ 80=E
と評価した。
【0101】
ハイライト部の均一性についても比較例1をBとしたA、B、C、D、Eの五段階の目視による相対評価で評価する。
【0102】
次にトランスペアレンシー画像(OHP)の透明性について評価法を述べる。
【0103】
OHP透過画像の透過率は以下の如く評価する。
【0104】
市販のフルカラー複写機(CLC500;キヤノン社製)の改造機を使用して、トランスペアレンシーシート上に温度23度/湿度65%RHの環境下で、現像コンストラスト320Vにて現像転写し、階調を有する未定着トナー画像を得る。得られた未定着トナー画像を定着ローラーの表面がフッ素系樹脂で形成されている外部定着機(オイル塗布機能なし;ローラー直径40mm)にて、定着温度180度、定着プロセススピード30mm/secで、定着画像を得る。
【0105】
得られた定着画像の画像濃度0.4〜0.6(ハーフトーン部)の箇所の透過率T%を測定し、比較例1の透過率を100としたとき、
T%>110=A
100<T%≦110=B
90<T%≦105=C
80<T%≦ 90=D
T%≦ 80=E
と相対値で評価した。
【0106】
透過率の測定は、島津自己分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し測定した。そして、イメージングシート単独の透過率を100%とし、650nmでの最大吸収波長における透過率を測定した。
【0107】
本発明を以下に実施例を示すことでより具体的に説明する。
【0108】
固溶体顔料の製造例1
下記式
【0109】
【外27】

で示される化合物をリン酸中で環化して2,9-ジメチルキナクリドンを生成した。2,9-ジメチルキナクリドンを有するリン酸を水へ分散し、次いで2,9-ジメチルキナクリドンをろ別し、水に湿潤している粗製の2,9-ジメチルキナクリドン(C.I.Pigment Red 122)を調製した。
【0110】
別途、下記式
【0111】
【外28】

で示される化合物をリン酸中で環化して無置換のキナクリドンを生成した。キナクリドンを有するリン酸を水へ分散し、次いでキナクリドンをろ別し、水に湿潤している粗製のキナクリドン(C.I.Pigment Vilet 19)を調製した。
【0112】
粗製の2,9-ジメチルキナクリドン66重量部と粗製のキナクリドン34重量部とを、水600重量部とエタノール300重量部からなる混合液を有する、コンデンサーを具備した容器に添加し、5時間2,9-ジメチルキナクリドン及びキナクリドンを磨砕しながら混合液を加熱し還流した。5時間後、固溶体顔料をろ別し、洗浄し、乾燥後に粉砕して固溶体マゼンタ顔料(1)を得た。
【0113】
固溶体顔料の製造例2
下記式
【0114】
【外29】

で示される化合物をリン酸中で環化して3,10-ジクロロキナクリドンを生成した。3,10-ジクロロキナクリドンを有するリン酸を水へ分散し、次いで3,10-ジクロロキナクリドンをろ別し、水に湿潤している粗製の3,10-ジクロロキナクリドン(C.I.Pigment Red 202)を調製した。
【0115】
粗製の3,10-ジクロロキナクリドン20重量部と粗製の無置換のキナクリドン80重量部とを、水600重量部とエタノール300重量部からなる混合液を有する、コンデンサーを具備した容器に添加し、5時間3,10-ジクロロキナクリドン及びキナクリドンを磨砕しながら混合液を加熱し還流した。5時間後に、固溶体顔料をろ別し、洗浄し、乾燥後に粉砕して固溶体マゼンタ顔料(2)を得た。
【0116】
実施例1
0.1MのNa3PO4水溶液と1MNOCaCl2水溶液を調製した。高速撹拌装置TK-ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ中にイオン交換水710重量部と0.1モル-Na3PO4水溶液450重量部を添加し回転数を12,000回転に調整し、65℃に加温せしめた。ここに1.0モル-CaCl2水溶液68重量部を徐々に添加し微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン単量体 165重量部
・n-ブチルアクリレート単量体 35重量部
・固溶体マゼンタ顔料(1) 7重量部
・飽和ポリエステル樹脂(極性樹脂) 10重量部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA-トリメリット酸の重合体;酸価=15mgKOH/g,Mn=4500;ピーク分子量=6000)
・ジアルキルサリチル酸の金属化合物(負帯電性制御剤) 2重量部
・エステルワックス(吸熱メインピーク値64.4℃) 15重量部
(エステル化合物(1)がメイン成分;硬度3.2)
【0117】
上記混合物をアトライターを用いて3時間分散させて顔料分散液を調製した。
【0118】
顔料分散液の1gをスチレンモノマー9gで希釈し、70℃に加温した状態で48時間静置する沈降試験をおこなったところ、固溶体マゼンタ顔料(1)の沈降はみられず、固溶体マゼンタ顔料(1)が良好な分散性を有していることが確認された。該顔料分散液に重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2重量部を添加し、重合性単量体粗製物を調製した。重合性単量体粗製物を水系分散媒体に投入し高速撹拌機の回転数12,000rpmを維持しながら、15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根の撹拌器を変え、50rpmの回転で撹拌しつつ内温を60℃で4時間、その後80℃に昇温させ4時間重合を計8時間継続させた。重合終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。
【0119】
更に洗浄し乾燥を行うことでコールターカウンターで測定したマゼンタトナー粒子の重量平均径は、6.2μmで個数変動係数が28%で、形状係数SF-1は107であった。得られたマゼンタトナー粒子は、スチレン-n-ブチルアクリレート、共重合体約200重量部、固溶体マゼンタ顔料約7重量部、飽和ポリエステル樹脂約10重量部,ジアルキルサリチル酸の金属化合物約2重量部及びエステルワックス約15重量部を含有していた。
【0120】
得られたマゼンタトナー粒子100重量部に疎水化処理酸化チタン微粉体を2重量部外添し、マゼンタトナーを得、このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コーティングされた磁性フェライトキャリア93重量部を混合し二成分系現像剤としてキヤノン製フルカラー複写機CLC500改造機にて耐久評価を行った。常温常湿(23℃,60%)の条件下、2万枚耐久後も現像性が低下することなく安定した鮮明かつ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0121】
また着色力も良好であって、OHP透明性にも優れたものであった。結果を表2に示す。
【0122】
比較例1
着色剤をC.I.Pigment Red 122の7重量部に変更したことを除いては、実施例1と同様に処理し、マゼンタトナー粒子を得た。得られたマゼンタトナー粒子の重量平均径は、6.2μmで個数変動係数が58%で形状係数SF-1が109であった。
【0123】
実施例1と同様にして、使用したC.I.Pigment Red 122の沈降試験をおこなったところ、約10時間でC.I.Pigment Red122は沈降してしまった。
【0124】
得られたマゼンタトナー粒子100重量部に疎水化処理酸化チタン微粉体2重量部を外添しマゼンタトナーを得、このトナー7重量部に対し、アクリル樹脂コーティングされたフェライトキャリア93重量部を混合し二成分系現像剤として、キヤノン製フルカラー複写機CLC500改造機にて耐久評価を行った。常温常湿の条件下、2万枚耐久を行ったところ、帯電性が低いために非画像部上にカブリがあるマゼンタ画像が得られた。
【0125】
また着色力も実施例1と比較して低く、特にOHP透明性が実用上不十分なものであった。
【0126】
比較例2
着色剤をC.I.Pigment Violet 19の7重量部に変更したことを除いて実施例1と同様にしてマゼンタトナー粒子を生成した。得られたマゼンタトナー粒子は重量平均粒径が6.7μmであり、個数変動係数が49%であり、形状係数SF-1が106であった。
【0127】
実施例1と同様にして、使用したC.I.Pigment Violet 19の沈降試験をおこなったところ、約8時間でC.I.Pigment Violet 19は沈降してしまった。
【0128】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、実施例1と比較して帯電性も低いために初期よりカブリが生じ、画質も悪いものであった。
【0129】
又、トナー粒子中における着色剤の分散性が悪いために、着色力や色再現性、OHP透過性に劣ったものであった。
【0130】
比較例3
固溶体マゼンタ顔料のかわりにC.I.Pigment Red 122を4.6重量部及びC.I.Pigment Violet 19を2.4重量部を使用することを除いて実施例1と同様にしてマゼンタトナー粒子を生成した。得られたマゼンタトナー粒子は重量平均粒径が5.9μmであり、個数変動係数が56%であり、形状係数SF-1が113であった。
【0131】
実施例1と同様に使用したマゼンタ顔料の沈降試験をおこなったところ、約10時間でマゼンタ顔料は沈降した。
【0132】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久試験を行ったところ、耐久枚数を重ねるにつれてカブリが生じ、画質も悪いものであった。
【0133】
又、トナー粒子中における着色剤の分散性が実施例1よりも悪いために、着色力やOHP透過性、特に色再現性に劣ったものであった。
【0134】
比較例4
・飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールA-無水フタル酸-コハク酸);酸価2mgKOH/g;Mn=4500;ピーク分子量;6500)
に変更したことを除いては実施例1と同様にして、マゼンタトナー粒子を得た。
【0135】
得られたマゼンタトナー粒子の重量平均径は、6.2μmで個数変動係数が74%で、形状係数SF-1が109であった。
【0136】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、実施例1と比べ帯電性が不安定であり、耐久枚数が増えるにつれてカブリが生じてしまった。
【0137】
また、マゼンタトナー粒子中の着色剤の分散が悪いために着色力や色再現性,OHP透過性とも実施例1より悪化してしまった。
【0138】
比較例5
・飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸-プロピレンオキサンド変性ビスフェノールA-エチレンオキサイド変性ビスフェノールA-トリメリット酸の重合体;酸価26mgKOH/g、Mn=8900、ピーク分子量;15000)を使用することを除いては実施例1と同様に処理し、マゼンタトナー粒子を得た。
【0139】
得られたマゼンタトナー粒子は重量平均径が8.7μmで、個数変動係数が54%で形状係数SF-1が123であった。
【0140】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、実施例1と比べ帯電性が不安定であり、カブリが生じた。
【0141】
また、着色剤の分散がやや悪いために着色力や色再現性,OHP透過性とも実施例1よりも劣っていた。
【0142】
実施例2
実施例1のエステルワックスをアルコール変性ポリプロピレンワックス(吸熱極大ピーク値;94℃)7重量部に変更したことを除いては実施例1と同様に処理し、マゼンタトナー粒子を得た。
【0143】
得られたマゼンタトナー粒子の重量平均径は7.1μmで個数変動係数が33%で、形状係数SF-1が106であった。
【0144】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久試験を行ったところ、現像性が安定した鮮明且つ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0145】
実施例1と比べ若干着色剤の分散が悪いために、やや着色力や色再現性・OHP透過性が悪化したが実用上問題ないレベルであった。
【0146】
実施例3
実施例1の飽和ポリエステル樹脂をスチレン-アクリル樹脂(スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸メチルエステル共重合体;酸価=12mgKOH/g;Mn=6700;ピーク分子量;10000)に変更したことを除いては実施例1と同様にして、マゼンタトナー粒子を得た。
【0147】
得られたマゼンタトナー粒子の重量平均径は6.4μmで個数変動係数が30%で、形状係数SF-1が120であった。
【0148】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、現像性が安定した鮮明且つ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0149】
実施例1と比べ若干着色剤の分散が悪いために、やや色再現性が悪化したが実用上問題ないレベルであった。
【0150】
実施例4
実施例1の飽和ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂(ビスフェノールA-エピクロルヒドリン-無水フタル酸-トリエチレンテトラミンの重合体;酸価=3mgKOH/g;Mn=2800;ピーク分子量;7500)5重量部に変更したことを除いては実施例1と同様にして、マゼンタトナー粒子を得た。
【0151】
得られたマゼンタトナーの重量平均径は5.9μmで、個数変動係数が33%で、形状係数SF-1が109であった。
【0152】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、実施例1に比べやや帯電性が低いためにカブリが若干生じたが、実用のレベルで現像性が安定した鮮明且つ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0153】
実施例1と比べ転写に伴うトナー飛び散りが若干多いために、ややハイライト再現性が悪化したが実用上問題ないレベルであった。
【0154】
実施例5
実施例1の顔料を固溶体マゼンタ顔料(2)に変更したことを除いては実施例1と同様にして、マゼンタトナー粒子を得た。
【0155】
得られたマゼンタトナー粒子の重量平均径は7.7μmで個数変動係数が35%で、形状係数SF-1が110であった。
【0156】
得られたマゼンタトナー粒子を実施例1と同様に耐久評価を行ったところ、現像性が安定した鮮明且つ良好なマゼンタ画像が得られた。
【0157】
実施例1と比べマゼンタトナー粒子中の着色剤に粗大粒子が若干多いために、やや色再現性及び着色力が悪化したが実用上問題ないレベルであった。
【0158】
上記実施例及び比較例の処方を表1に示し、各トナーの評価結果を表2に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特定の種類のキナクリドン顔料の固溶体顔料と特定の範囲の酸価を有する極性樹脂を用いたことにより、摩擦帯電性に優れ、極めて鮮明な色彩が得られると共に、OHP透明性に優れ且つ製造安定性を有する静電荷像現像用マゼンタトナーが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】
トナーのトリボ電荷量を測定する装置の説明図である。
【符号の説明】
1 吸引機
2 測定容器
8 コンデンサ
9 電位計
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-10 
出願番号 特願平9-236972
審決分類 P 1 651・ 121- ZD (G03G)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 磯貝 香苗  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 阿久津 弘
山口 由木
登録日 2002-12-20 
登録番号 特許第3382519号(P3382519)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 静電荷像現像用マゼンタトナー及びその製造方法  
代理人 篠田 文雄  
代理人 津国 肇  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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