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審決分類 審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C30B
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C30B
管理番号 1120072
審判番号 不服2002-9880  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-03 
確定日 2005-07-14 
事件の表示 特願2000- 70469「炭化珪素の単一ポリタイプの大型単結晶を成長させる方法」拒絶査定に対する審判事件[平成12年10月31日出願公開、特開2000-302600]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、昭和63年10月26日に出願した特願昭63-509385号(パリ条約による優先権主張1987年10月26日、アメリカ国)の一部を平成12年3月14日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1〜22に係る発明は、平成15年7月28日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1〜22に記載されたとおりのものと認める。

2.拒絶理由通知の概要
一方、当審においてなされた平成15年1月27日付けの拒絶理由通知の概要は、次のとおりである。
「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない。
1.本願特許請求の範囲請求項1,11,15には「単位面積および単位時間当たり」と記載されているが、面積が1平方センチメートルなのか1平方メートルなのか、時間が1秒なのか1時間なのかによって、その技術的意味は大きく異なり、「単位面積および単位時間当たり」という記載では具体的な面積,時間を特定できないため、不明確である。
2.本願特許請求の範囲請求項1,11,15には「この間前記粉末源から前記種晶の成長面への気化されたSi、Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時間当たり一定の流れを発生させ、維持することによって、前記気体流中のSi、Si2CおよびSiC2の相対比率を一定とすること」と記載されているが、発明の詳細な説明をみても、上記のような一定の流れが発生しているかどうかを測定する方法が示されていないため、特許請求の範囲に記載された発明を当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されているとは認められない。また、得られた結晶中の不純物または欠陥を測定することにより上記の流れを間接的に測定する方法が原出願の出願時において一般に知られていたとも認めることができない。」

3.当審の判断
平成15年7月28日付け意見書において、出願人は、巨視的特性を観察することにより微視的プロセスが確実に行われているか否かを確認することは技術常識であり、単位面積および単位時間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れの測定方法については、間接的に測定できることが出願前から周知である旨を述べている。
しかしながら、上記意見書で列記されている文献である、タイロフの論文”Progress in Controlling the Growth of Polytypic Crystals”には、蒸気圧,プロセス温度,成長速度などや出来上がった結晶の測定など、いろいろな測定に関して記載されているだけであり、米国特許3933990には、ヒ素を蒸発させて反応チャンバーに移すことが記載されているが、蒸気の流れがどのようなものなのかは示されておらず、意見書で列記されているその他の文献にも、単位面積および単位時間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れについては全く示されていない。つまり、これらの文献には、様々な測定と単位面積および単位時間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れとの関連については何ら述べられておらず、単位面積および単位時間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを直接的,間接的に測定してその流れの存在を確認することが技術常識であると認めるに足る証拠は提出されていないから、出願人の上記主張は採用できない。
したがって、本願特許請求の範囲には「この間前記粉末源から前記種晶の成長面への気化されたSi、Si2CおよびSiC2の単位面積および単位時間当たり一定(一秒当り一平方センチメートル当りのグラム数が一定)の流れを発生させ、維持することによって、前記気体流中のSi、Si2CおよびSiC2の相対比率を一定とすること」と記載されているが、発明の詳細な説明をみても、上記のような一定の流れが発生しているかどうかを測定する方法が示されておらず、上記のような一定の流れを直接的,間接的に測定する方法が原出願の優先日において一般に知られていた周知の手段であるとも認めることができないため、特許請求の範囲に記載された発明を当業者が容易にその実施をすることができる程度に記載されているとは認めることができない。

4.むすび
したがって、本願は、特許法第36条第3項および第4項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-12-11 
結審通知日 2003-12-16 
審決日 2004-01-05 
出願番号 特願2000-70469(P2000-70469)
審決分類 P 1 8・ 531- Z (C30B)
P 1 8・ 532- Z (C30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三崎 仁横山 敏志  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 米田 健志
山田 充
発明の名称 炭化珪素の単一ポリタイプの大型単結晶を成長させる方法  
代理人 杉村 興作  

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