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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1120079
審判番号 不服2003-1306  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-22 
確定日 2005-07-15 
事件の表示 平成 6年特許願第189108号「静電チャックの電極構造、この組み立て方法、この組み立て治具及び処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 3月17日出願公開、特開平 7- 74234〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成6年6月6日(優先日、平成5年6月28日)の特許出願であって、同12年12月21日付で第1回目の拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同13年3月19日に意見書と共に明細書について手続補正書が提出され、その後、同14年8月21日付で第2回目の拒絶の理由が通知されたが出願人からは何らの応答もなく、同14年12月16日付で第2回目の拒絶の理由によって拒絶をすべき旨の査定がされ、同15年1月22日に本件審判の請求がされ、その後、同15年2月13日に明細書について再度手続補正書が提出されたものである。

第2 平成15年2月13日付の補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年2月13日付の補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲について補正すると共にそれに伴って発明の詳細な説明の一部について補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(1)補正前の請求項1
【請求項1】 サセプタ支持台上に着脱可能に設けたサセプタの載置面に被処理体を静電力で吸着保持するための静電チャックシートを設けてなる静電チャックの前記静電チャックシートに、前記サセプタの載置面の反対面側に位置する給電ピンから電圧を印加させる電極構造において、前記サセプタの厚さ方向に貫通させて形成された給電孔と、前記給電孔の内壁との間で絶縁部材を介在させて設けられた給電補助ピンとを備え、前記給電補助ピンの一端に、前記サセプタ支持台側に設けた前記給電ピンを接触させると共に他端に前記静電チャックシートを接触させるように構成したことを特徴とする静電チャックの電極構造。

(2)補正後の請求項1
【請求項1】 サセプタ支持台上に着脱可能に設けたサセプタの載置面に被処理体を静電力で吸着保持するための静電チャックシートを設けてなる静電チャックの前記静電チャックシートに、前記サセプタの載置面の反対面側に位置する給電ピンから電圧を印加させる電極構造において、前記サセプタの厚さ方向に貫通させて形成された給電孔と、前記給電孔の内壁との間で絶縁部材を介在させて設けられた給電補助ピンとを備え、前記給電補助ピンの一端に、前記サセプタ支持台側に設けた前記給電ピンを弾発部材の付勢力により前記給電補助ピンに接触させると共に他端に前記静電チャックシートを接触させるように構成したことを特徴とする静電チャックの電極構造。

2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、給電ピンを給電補助ピンに接触させるために、弾発部材の付勢力を用いることを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とすることが明らかであるので、さらに、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
(1)補正発明
補正発明は、平成13年3月19日付手続補正書及び本件補正により補正された明細書及び願書に最初に添付した図面の記載からみて、前記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「静電チャックの電極構造」であると認める。

(2)引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平5-121530号公報(以下「刊行物1」という。)、特開平4-147643号公報(以下「刊行物2」という。)及び特開平5-144929号公報(以下「刊行物3」という。)の記載内容はそれぞれ以下のとおりである。

ア 刊行物1
刊行物1には、以下の事項が記載されている。
(1-イ)「【産業上の利用分野】本発明は、静電チャックシートを設けた静電チャックに関する。」(段落【0001】)

(1-ロ)「【実施例】以下、添付図を参照して本発明の実施例を説明する。図1〜図3は本発明の一実施例を適用した枚葉式プラズマエッチング装置の構成を示す図であって、図1は装置全体の略断面図、図2は要部の分解斜視図、図3はこの実施例による静電チャックの部分拡大断面図である。
この実施例のエッチング装置において、反応容器10の底面中央部に円柱形のサセプタ支持台12が配設され、このサセプタ支持台12の上にサセプタ14がボルト15によって取付される。サセプタ14およびサセプタ支持台12のいずれもアルミニウム等の導電性金属からなる。サセプタ支持台12の内部には冷却ジャケット12Aが形成されており、導入管16を通って冷却ジャケット12A内に供給された冷却液は排出管18を通って装置外部へ排出される。
サセプタ14は、肉厚なウエハ載置台14Aと肉薄な鍔部またはフランジ部14Bとを一体成形した円盤体で、ウエハ載置台14Aの上面つまりウエハ載置面の周縁部14Cは図示のように曲率半径の大きな湾曲面に形成されている。サセプタ支持台12およびサセプタ14には、O2 等の冷却ガスを半導体ウエハ22の裏面に供給するための貫通孔12C,14Dが形成されている。
サセプタ14のウエハ載置面には静電チャックシート20が冠着され、この静電チャックシート20の上に半導体ウエハ22が載置される。サセプタ14の載置面および静電チャックシート20の径は、半導体ウエハ22の径よりも小さな径に選ばれている。静電チャックシート20は、図3に明示されるように、2枚の高分子フィルム20A,20Bの間に銅箔等の導電膜20Cを封入したものであって、その周縁部20Dはウエハ載置面の周縁部14Cに重なるように曲率半径の大きな湾曲面に形成されている。この静電チャックシート20にも、図2に示されるように、冷却ガスたとえばO2 を半導体ウエハ22の裏面に供給するための貫通孔20Eが形成されている。
図1に示されるように、静電チャックシート20の導電膜20Cは、サセプタ14に内蔵された絶縁ケーブル24に被われた導電線およびサセプタ支持台12の貫通孔12B内に通された給電棒26を介して直流電源28に接続される。また、サセプタ支持台12には高周波電源30が接続される。」(段落【0018】〜【0022】)

(1-ハ)「静電チャックシート20の導電膜20Cには、直流電源28より高圧の直流電圧たとえば2.0KVが印加される。これにより、静電チャックシート20の表面に分極による静電気が発生し、そのクーロン力によって半導体ウエハ22が静電チャックシート20に吸着される。」(段落【0026】)

(1-ニ)図1の記載によれば、給電棒26は、サセプタ14の載置面の反対面側に位置し、サセプタ支持台12側に設けられていること及び絶縁ケーブル24に被われた導電線は、サセプタ14の厚さ方向に備えられていることが看取できる。

これらの記載事項を補正発明に照らして整理すると刊行物1には以下の発明が記載されていると認めることができる。
「サセプタ支持台12上に着脱可能に設けたサセプタ14の載置面に被処理体であるウエハを静電力で吸着保持するための静電チャックシート20を設けてなる静電チャックの前記静電チャックシート20に、前記サセプタ14の載置面の反対面側に位置する給電棒26から電圧を印加させる電極構造において、前記サセプタ14の厚さ方向に絶縁ケーブル24に被われた導電線を備え、前記導電線の一端に、前記サセプタ支持台12側に設けた前記給電棒26を接触させると共に他端に前記静電チャックシート20を接触させるように構成した静電チャックの電極構造。」

イ 刊行物2
刊行物2には、以下の事項が記載されている。
(2-イ)「第1図は実施例の構成図である。第1図において1はウエハ、2はパレット、3は真空チャック用溝、4は静電チャック用電極、5は上側接点、6は下側接点、7は付勢手段である接点押さえバネ、8はOリング、9は接点覆い(絶縁体)、10は真空チャック用真空配管、11は溶着被覆電線、12は真空容器壁、13は貫通端子、16は開口部である。
本例の真空継ぎ手は、開口部16を有する接点覆い9と、開口部16内において接点押さえバネ7を介して接点覆い9に取り付けられた接点6と、接点6に電気的に接続された給電線11と、開口部16と連通させて接点覆い9に接続された真空配管10とを有し、給電線11を真空配管内10に配してある。
一方、本例のパレットは、真空チャック用溝3の排気口18の近傍に静電チャック用接点5を有している。」(第3頁右上欄第18行〜同頁左下欄第15行)

(2-ロ)「静電チャック用電極4には、パレット2の裏面に埋め込まれた上側接点5、接点押さえバネ7を介して接点覆い9に取り付けられている下側接点6、給電線11、貫通端子13を通じて電圧が印加される。」(第3頁右下欄第9〜13行)

これらの記載事項を補正発明に照らして整理すると刊行物2には、以下の事項が記載されていると認める。
「パレット2の載置面の反対面側に位置する下側接点6から電圧を印加させる静電チャックの電極構造において、前記パレット2の載置面の反対面に上側接点5を埋め込み、この上側接点5の一端に、前記下側接点6を接点押さえバネ7の付勢力により前記上側接点5に接触させると共に他端に静電チャック用電極4を接触させるように構成すること。」

ウ 刊行物3
(3-イ)「一方、電極基板1内には金属箔5に直流電圧を印加するための給電部材6が埋め込まれ、この給電部材6は金属箔5に接続されている。給電部材6と上述の電極基板1とは絶縁材7により絶縁され、さらに給電部材6は直流電源8の正極に接続されている。」(段落【0012】)

(3-ロ)図1〜3の記載によれば、給電部材6は、電極基板1の厚さ方向に貫通させて形成された孔の内壁との間に絶縁材7を介在させて設けられることが看取できる。

これらの記載事項を補正発明に照らして整理すると刊行物3には、以下の事項が記載されていると認める。
「静電チャックの電極構造において、給電部材6を、電極基板1の厚さ方向に貫通させて形成された孔の内壁との間に絶縁材7を介在させて設けること。」

(3)対比
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明における「給電棒26」は、補正発明における「給電ピン」に相当することが明らかであり、また、刊行物1記載の発明における「絶縁ケーブル24に被われた導電線」は、サセプタの厚さ方向に備えられている給電部材であるという限りにおいて補正発明における「給電補助ピン」と共通している。
したがって、補正発明と刊行物1記載の発明とは、
「サセプタ支持台上に着脱可能に設けたサセプタの載置面に被処理体を静電力で吸着保持するための静電チャックシートを設けてなる静電チャックの前記静電チャックシートに、前記サセプタの載置面の反対面側に位置する給電ピンから電圧を印加させる電極構造において、前記サセプタの厚さ方向に給電部材を備え、前記給電部材の一端に、前記サセプタ支持台側に設けた前記給電ピンを接触させると共に他端に前記静電チャックシートを接触させるように構成した静電チャックの電極構造。」
である点で一致し、次の点で相違している。
[相違点]
補正発明では、サセプタの厚さ方向に貫通させて形成された給電孔と、前記給電孔の内壁との間で絶縁部材を介在させて設けられた給電部材としての給電補助ピンとを備え、前記給電補助ピンの一端に、前記サセプタ支持台側に設けた前記給電ピンを弾発部材の付勢力により前記給電補助ピンに接触させると共に他端に前記静電チャックシートを接触させるように構成しているのに対して、刊行物1記載の発明では、サセプタの厚さ方向に備えられた給電部材が絶縁ケーブルに被われた導電線であり、また、給電ピンを付勢する弾発部材を備えているか否か明らかでない点。

(4)相違点についての検討
刊行物2には、前記(2)イで認定したように、パレット2の載置面の反対面側に位置する下側接点6から電圧を印加させる静電チャックの電極構造において、前記パレット2の載置面の反対面に上側接点5を埋め込み、この上側接点5の一端に、前記下側接点6を接点押さえバネ7の付勢力により前記上側接点5に接触させると共に他端に静電チャック用電極4を接触させるように構成することが記載されている。
刊行物2記載の事項における「パレット2」、「上側接点5」、「下側接点6」及び「接点押さえバネ7」は、それぞれ「サセプタ」、「給電補助ピン」、「給電ピン」及び「弾発部材」ということができるものである。
そして、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項は、共に静電チャックの電極構造の技術に関するものであるから、刊行物1記載の発明に刊行物2記載の事項を適用して、絶縁ケーブルに被われた導電線に代えて給電補助ピンをサセプタに設け、この給電補助ピンの一端に、サセプタ支持台側に設けた給電ピンを弾発部材の付勢力により前記給電補助ピンに接触させると共に他端にチャックシートを接触させるように構成することに格別の困難性は見当たらない。
補正発明では、給電補助ピンが、サセプタの厚さ方向に貫通させて形成された給電孔の内壁との間に絶縁部材を介在させて設けられているが、この点については、例えば、刊行物3に、静電チャックの電極構造において、給電部材6を、電極基板1の厚さ方向に貫通させて形成された孔の内壁との間に絶縁材7を介在させて設けることが示されており、給電補助ピンを、補正発明のように設けることは、刊行物2記載の事項を刊行物1記載の発明に適用するに当たって適宜なし得る設計的事項にすぎない。

また、補正発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項から当業者であれば予測できる範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。

したがって、補正発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成6年法律第116号による改正前の特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に適合しないので、その余の補正の要件について検討するまでもなく、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件発明について
1 本件発明
平成15年2月13日付の補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、平成13年3月19日付手続補正書により補正された明細書及び願書に最初に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項11に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「静電チャックの電極構造」であると認める。

2 引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容は、前記第2の2(2)に示したとおりである。

3 対比・判断
本件発明は、前記第2の2で検討した補正発明から、給電ピンを給電補助ピンに接触させるための、「弾発部材の付勢力により前記給電補助ピンに」という構成を削除したものである。
そうすると、本件発明を構成要件の全てを含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が、前記第2の2(4)に示したとおり、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本件発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-26 
結審通知日 2005-05-10 
審決日 2005-05-24 
出願番号 特願平6-189108
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 佐々木 正章
菅澤 洋二
発明の名称 静電チャックの電極構造、この組み立て方法、この組み立て治具及び処理装置  
代理人 浅井 章弘  
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