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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02M |
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管理番号 | 1120135 |
審判番号 | 不服2002-4046 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-03-07 |
確定日 | 2005-07-14 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 88427号「燃料供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月28日出願公開、特開平 9-280132〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成8年4月10日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、平成13年3月23日付け,平成14年3月7日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。 「燃料タンク側から供給される燃料を吸入し、加圧して吐出する高圧ポンプと、 該高圧ポンプに連結された燃料分配管に設けられ、上記高圧ポンプからの高圧燃料をエンジンに供給する燃料噴射弁と、 上記高圧ポンプと上記燃料分配管との間に一端が連通され、他端が上記燃料タンクへ至る燃料戻し通路と、 該燃料戻し通路に介装され、上記高圧ポンプからの高圧燃料の圧力を調整する高圧調整手段と、 上記燃料分配管および上記燃料戻し通路の連結点と上記高圧ポンプとの間に設けられた逆止弁と を備えたことを特徴とする燃料供給装置。」 なお、請求項1には「上記燃料分配管および上記燃料戻し通路の連結点と上記高圧ポンプのとの間に設けられた逆止弁」と記載されているが、これは、「上記燃料分配管および上記燃料戻し通路の連結点と上記高圧ポンプとの間に設けられた逆止弁」の誤記と認め、本願発明1を上記のように認定した。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-77119号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア.「まず、第1実施例について説明すると、この内燃機関用燃料供給装置は、内燃機関としてのガソリン4サイクルエンジン、特に、燃料をシリンダ内に直接噴射する筒内噴射式ガソリンエンジンにそなえられ、図1に示すように、燃料噴射弁1と燃料タンク2との間を連絡する燃料通路3には、低圧燃料ポンプ4と、高圧燃料ポンプ5とがそなえられている。なお、燃料通路3は、燃料タンク2から燃料噴射弁1へ燃料を送給する送給路3Aと、燃料噴射弁1で噴射されなかった燃料を燃料タンク2に戻す返送路3Bとから構成されている。」(第4頁5欄40〜49行) イ.「また、燃料噴射弁1の直下流部分、即ち、燃料通路3の返送路3Bの最上流部分には、高圧燃料ポンプ5からの吐出圧を設定圧(例えば50気圧)に調整する高圧制御弁(高圧レギュレータ)10が設けられている。この高圧制御弁10は、高圧燃料ポンプ5からの吐出圧が設定圧(例えば50気圧)を越えるまでは閉鎖していて、吐出圧が設定圧を越えると、この越えた圧力分の燃料については燃料タンク2側へ返送して、燃料噴射弁1における燃料圧力を所定圧に安定させるようになっている。」(第5頁7欄10〜19行) ウ.「さらに、本燃料供給装置には、燃料噴射弁1部分の燃料を、高圧制御弁10を迂回させて燃料タンク2側へ排出させることができるように、高圧制御弁10の上流側部分と下流側部分とを接続する分岐通路としてのバイパス通路(以下、第2バイパス通路という)13が設けられている。この第2バイパス通路13は、燃料通路3内の燃料噴射弁1の近傍に含有したベーパ(気泡)をエンジン始動初期に排出するためのものである。そこで、第2バイパス通路13には、第2バイパス通路13を開閉する電磁切換弁14と、・・(略)・・とが設けられている。なお、図中、13Aは分岐部である。」(第5頁7欄34〜47行) エ.「次に、第4実施例について説明すると、この内燃機関用燃料供給装置は、図5に示すように、第1実施例のものと、燃料噴射弁1の配置が異なっている。つまり、この実施例では、燃料噴射弁1は、分岐部13Aの下流側のバイパス通路13の途中に設けられており、これに伴い、燃圧センサ18も燃料噴射弁1の直下流に設けられている。」(第8頁13欄26〜32行) 上記記載事項ア〜エによると、引用例には、第4実施例(図5)を参照して、 「燃料タンク2側から供給される燃料を吸入し、加圧して吐出する高圧燃料ポンプ5と、 該高圧燃料ポンプ5に連結され、上記高圧燃料ポンプ5からの高圧燃料をエンジンに供給する燃料噴射弁1と、 上記高圧燃料ポンプ5と上記燃料噴射弁1との間に一端が連通され、他端が上記燃料タンク2へ至る燃料戻し通路と、 該燃料戻し通路に介装され、上記高圧燃料ポンプ5からの高圧燃料の圧力を調整する高圧制御弁10と、 上記燃料噴射弁1および上記燃料戻し通路の分岐部13Aと を備えた燃料供給装置。」 の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 本願発明1と引用例記載の発明を対比すると、引用例記載の発明の「燃料タンク2」は本願発明1の「燃料タンク」に相当し、以下同様に、「高圧燃料ポンプ5」は「高圧ポンプ」に、「燃料噴射弁1」は「燃料噴射弁」に、「高圧制御弁10」は「高圧調整手段」に、「分岐部13A」は「連結点」に、それぞれ、相当する。 してみると、両者は、 「燃料タンク側から供給される燃料を吸入し、加圧して吐出する高圧ポンプと、 該高圧ポンプに連結され、上記高圧ポンプからの高圧燃料をエンジンに供給する燃料噴射弁と、 上記高圧ポンプと上記燃料噴射弁との間に一端が連通され、他端が上記燃料タンクへ至る燃料戻し通路と、 該燃料戻し通路に介装され、上記高圧ポンプからの高圧燃料の圧力を調整する高圧調整手段と、 上記燃料噴射弁および上記燃料戻し通路の連結点と を備えた燃料供給装置。」 の点で一致し、次の点1,2で相違する。 [相違点1]本願発明1においては、燃料噴射弁が燃料分配管に設けられるのに対し、引用例記載の発明においては、燃料噴射弁が燃料分配管に設けられるのか否か明らかでない点。 [相違点2]本願発明1においては、逆止弁が燃料分配管および燃料戻し通路の連結点と高圧ポンプとの間に設けられるのに対し、引用例記載の発明においては、当該逆止弁を備えていない点。 4.当審の判断 上記[相違点1][相違点2]について検討する。 [相違点1]について 燃料供給装置において、「燃料噴射弁を燃料分配管に設ける」ことは、周知技術[必要なら、特開平5-26058号公報記載のコモンレール15、参照。]である。 そうすると、引用例記載の発明において、前記[相違点1]に係る本願発明1のような構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項と認められる。 [相違点2]について 引用例には、第3実施例(図4)として、次の記載事項がある。 カ.「つまり、燃料噴射弁1の部分の燃料通路3にアキュムレータ19が設置され、且つ、高圧燃料ポンプ5に逆止弁20が付設されている。この逆止弁20は図示するように高圧燃料ポンプ5の上流の入口部分に高圧燃料ポンプ5と直列に設けてもよく、高圧燃料ポンプ5の下流の出口部分に高圧燃料ポンプ5と直列に設けてもよい。 【0054】このようなアキュムレータ19と逆止弁20とは、エンジン停止後に、エンジンが高温から常温へと温度低下していくときにも、燃料噴射弁1付近の燃料通路3内の燃料圧力を一定に保持できるようにするためのもので、エンジンの冷態時に燃料がリークしても、燃料噴射弁1の部分の燃料通路3内に外部からベーパ(気泡)が進入しないようにする為のものである。」(第7頁12欄10〜23行) キ.「そして、一般に、エンジン停止後に、エンジンルーム内の温度上昇や、圧力制御弁9,10や燃料噴射弁1における燃料リークによって、燃料圧力が低下していくが、アキュムレータ19に十分に蓄積された燃料が、このリークした分を補充するので、燃料圧力の低下が抑制される。このとき、燃料噴射弁1の部分の燃料は、上流側では逆止弁20で漏出を防止され、下流側では高圧制御弁10で漏出を防止される。勿論、エンジン停止時には、電磁切換弁14は閉鎖されここでも漏出を防止している。」(第7頁12欄42行〜第8頁13欄1行) そして、燃料供給装置において、「燃料タンク側から供給される燃料を吸入し、加圧して吐出する高圧ポンプの下流側出口部分に逆止弁を設けることで燃圧を保持する」ことは、周知技術[必要なら、特開昭64-87868号公報記載の逆止弁20、参照。]というべきものである。 そうすると、引用例記載の発明において、引用例の上記記載事項カ,キに開示された技術,及び上記周知技術を勘案して、前記[相違点2]に係る本願発明1のような構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものと認められる。 また、本願発明1の効果についてみても、引用例記載の発明,引用例記載の技術,及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものと認められる。 5.むすび したがって、本願発明1は、引用例記載の発明,引用例記載の技術,及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-05-13 |
結審通知日 | 2005-05-17 |
審決日 | 2005-05-30 |
出願番号 | 特願平8-88427 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F02M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 久保 竜一、岩瀬 昌治 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
平城 俊雅 関 義彦 |
発明の名称 | 燃料供給装置 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 池谷 豊 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 池谷 豊 |