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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1120146 |
審判番号 | 不服2002-25224 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-06-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-12-27 |
確定日 | 2005-07-14 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第296893号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月11日出願公開、特開平 8-152611〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年11月30日の出願であって、平成14年11月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年12月27日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成15年1月20日付で特許法第17条の2第1項第3号の規定による手続補正がなされたものである。 2.平成15年1月20日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について [補正却下の決定の結論] 平成15年1月20日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 透明でフレキシブルな第1の絶縁性樹脂基板と、この第1の絶縁性樹脂基板の上に透明でフレキシブルな第2の絶縁性樹脂基板をシールを介して貼り合わせ、この中に液晶が入れられ、前記第1の絶縁性樹脂基板に設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁性樹脂基板に設けられ前記第1の電極と対向した第2の電極とで前記液晶を配向し表示を達成する液晶パネルと、これを収納するケースとを少なくとも有した液晶表示装置に於いて、 前記シールの外側に位置する前記第1の絶縁性樹脂基板、前記シールの外側に位置する前記第2の絶縁性樹脂基板または前記シールの外側に位置する前記両絶縁性樹脂基板に取付孔または切り欠きを設け、この取付孔または切り欠きに一致して前記ケースの一部には前記液晶パネルの取付手段が設けられ、前記取付手段により前記液晶表示装置を前記ケースに直接取り付けることを特徴とした液晶表示装置。」を、 「【請求項1】 透明でフレキシブルな第1の絶縁性樹脂基板と、この第1の絶縁性樹脂基板の上に透明でフレキシブルな第2の絶縁性樹脂基板をシールを介して貼り合わせ、この中に液晶が入れられ、前記第1の絶縁性樹脂基板に設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁性樹脂基板に設けられ前記第1の電極と対向した第2の電極とで前記液晶を配向し表示を達成する液晶パネルを用意し、 前記液晶パネルのシールの外側に位置する前記第1の絶縁性樹脂基板、前記シールの外側に位置する前記第2の絶縁性樹脂基板または前記シールの外側に位置する前記両絶縁性樹脂基板に取付孔または切り欠きを設け、前記液晶パネルの前記第1の絶縁性樹脂基板及び前記第2の絶縁性樹脂基板のセルフアラインされた側辺を設け、前記取付孔または切り欠きは前記側辺より内側に位置させ、 前記液晶パネルを収納するケースに前記側辺を実質的に一致させて実装し、前記取付孔または切り欠きに一致して前記ケースの一部には前記液晶パネルの取付手段が設けられ、前記取付手段により前記液晶表示装置を前記ケースに直接取り付けることを特徴とした液晶表示装置の実装方法。 【請求項2】 前記液晶パネルの前記シールのコーナーを丸め、該コーナーの外側で且つ前記側辺より内側に前記取付孔または切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の実装方法。 【請求項3】 前記取付孔または切り欠きのサイズは1mm以下の径に形成することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置の実装方法。」 に補正しようとするものである。 (2)当審の判断 上記補正は、請求項の数を1から3に増加すると共に、「液晶表示装置」を「液晶表示装置の実装方法」に変更するものである。 しかし、請求項の数を増加し、また、カテゴリーを変更する補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 (3)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成15年1月20日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成14年10月25日付手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のものと認める。 「透明でフレキシブルな第1の絶縁性樹脂基板と、この第1の絶縁性樹脂基板の上に透明でフレキシブルな第2の絶縁性樹脂基板をシールを介して貼り合わせ、この中に液晶が入れられ、前記第1の絶縁性樹脂基板に設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁性樹脂基板に設けられ前記第1の電極と対向した第2の電極とで前記液晶を配向し表示を達成する液晶パネルと、これを収納するケースとを少なくとも有した液晶表示装置に於いて、 前記シールの外側に位置する前記第1の絶縁性樹脂基板、前記シールの外側に位置する前記第2の絶縁性樹脂基板または前記シールの外側に位置する前記両絶縁性樹脂基板に取付孔または切り欠きを設け、この取付孔または切り欠きに一致して前記ケースの一部には前記液晶パネルの取付手段が設けられ、前記取付手段により前記液晶パネルを前記ケースに直接取り付けることを特徴とした液晶表示装置。」(以下、「本願発明」という。) なお、「前記取付手段により前記液晶表示装置を前記ケースに直接取り付けることを特徴とした液晶表示装置」は、請求項1の全体の記載から見て「前記取付手段により前記液晶パネルを前記ケースに直接取り付けることを特徴とした液晶表示装置」の明らかな誤記と認め、上記のとおり認定した。 (2)引用例記載の発明 原審の拒絶の理由に引用された特開昭62-150284号公報(刊行物1)には、下記の記載が認められる。 「従来、この種の表示体は、装置のケースとは別に配置され、例えばプリント回路基板等に固定されていた。・・・本発明の目的は専用の固定部材を不用とし、かつ実装工数を簡素化したフレキシブル光学セルの実装方法を提供することにある。」(1頁右下欄7〜13行)、 「このフレキシブル液晶セルの実装を第1図とともに説明する。図中、1はフレキシブル液晶セル、3はアクリル製の風防ガラス、4はプラスチック製のケース、5はケース4に形成される実装固定用ピンである。第1図において、風防ガラス3のセットされたケース4の内側に、フレキシブル液晶セル1の実装固定用穴の配置寸法より若干配置寸法の広い実装固定用ピンを形成する。次に、前述のフレキシブル液晶セル1を引っ張りながらはめ合せ、実装固定用ピンの頭をヒートブロックでつぶすことにより実装が完了する。」(2頁左上欄19行〜右上欄9行)、 「以上説明したように、本発明によれば専用の固定部材を用いることなく実装を完了させることができ、実装工数の簡素化を図ることができる。・・・大型のフレキシブルセルを用いた場合、セル自身のねじれを防止できるという効果がある。」(2頁左下欄8〜13行)。 又、第2図及び第3図の記載から、実装固定用穴2がフレキシブル液晶セル1の表示領域の外側に配置されていることが見て取れる。 (3)対比 刊行物1記載のもの(以下、「引用発明」という。)と本願発明とを対比する。 (イ)引用発明における表示体としての「フレキシブル液晶セル」が、透明でフレキシブルな第1の絶縁性樹脂基板と、この第1の絶縁性樹脂基板の上に透明でフレキシブルな第2の絶縁性樹脂基板をシールを介して貼り合わせ、この中に液晶が入れられ、前記第1の絶縁性樹脂基板に設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁性樹脂基板に設けられ前記第1の電極と対向した第2の電極とで前記液晶を配向し表示を達成する液晶パネルであることは、当業者に明らかである。 (ロ)液晶セルの固定用穴をシールの内側に設けることは技術常識上考えられないことであり(必要であれば、原査定の拒絶理由に引用した特開平3-33718号公報2頁左上欄及び特開平3-174511号公報2頁左上欄4〜9行を参照。)、かつ、シールは表示領域の外側に配置されるから、引用発明において、実装固定用穴をシールの外側に位置する絶縁性基板に形成していることは明らかである。 (ハ)引用発明の「プラスチック製のケース」、「実装固定用ピン」及び「フレキシブル液晶セル」は、本願発明の「ケース」、「取付手段」及び「液晶パネル」に相当する。 (ニ)引用発明において、「フレキシブル液晶セル1をはめ合わせ、実装固定用ピンの頭をヒートブロックでつぶすことにより実装が完了する。」のであるから、実装用固定ピンによりフレキシブル液晶セルをケースに直接取り付けているということができる。 上記考察(イ)〜(ニ)から、引用発明を本願発明の用語を用いて記載すると、以下のものとなる。 「透明でフレキシブルな第1の絶縁性樹脂基板と、この第1の絶縁性樹脂基板の上に透明でフレキシブルな第2の絶縁性樹脂基板をシールを介して貼り合わせ、この中に液晶が入れられ、前記第1の絶縁性樹脂基板に設けられた第1の電極と、前記第2の絶縁性樹脂基板に設けられ前記第1の電極と対向した第2の電極とで前記液晶を配向し表示を達成する液晶パネルと、これを収納するケースとを少なくとも有した液晶表示装置に於いて、前記シールの外側に位置する前記第1の絶縁性樹脂基板、前記シールの外側に位置する前記第2の絶縁性樹脂基板または前記シールの外側に位置する前記両絶縁性樹脂基板に取付孔を設け、前記ケースの一部には前記液晶パネルの取付手段が設けられ、前記取付手段により前記液晶パネルを前記ケースに直接取り付ける液晶表示装置」 したがって、本願発明と引用発明とは、上記引用発明の構成として記載した事項において一致し、下記の点で相違する。 相違点; 本願発明は、「前記取付孔または切り欠きに一致して」前記ケースの一部には前記液晶パネルの取付手段が設けられているのに対して、引用発明は、ケース4の内側に、フレキシブル液晶セルの実装固定用穴の配置寸法より若干配置寸法の広い実装固定用ピンを形成する点。 (4)判断 上記相違点につき検討する。 引用発明においては、ケースの内側に、フレキシブル液晶セルの実装固定用穴の配置寸法より若干配置寸法の広い実装固定用ピンを形成し、前述のフレキシブル液晶セルを引っ張りながらはめ合わせるようにしている。 しかし、ケースやプリント基板等に設けたピン等とフレキシブル液晶セルに形成した穴を仮固定や位置合わせに用いること、すなわちケースやプリント基板等に設けたピン等とフレキシブル液晶セルに形成した穴の位置を一致するように配置することは従来周知であるとともに、一般的に、液晶セルに不必要な張力が加わらないようにすることは適宜なし得る事項である。 そうしてみると、フレキシブル液晶セルが大型でなく、セル自身のねじれを防止する必要がなければ、ケースに設けたピン等とフレキシブル液晶セルに形成した穴の位置を一致するように配置し、本願発明の構成を得ることは当業者が容易になし得たものである。 また、本願発明によってもたらされる効果は、刊行物1に記載されたもの及び従来周知の事項から、当業者が予測できる範囲のものであり、格別とはいえない。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-05-11 |
結審通知日 | 2005-05-17 |
審決日 | 2005-06-03 |
出願番号 | 特願平6-296893 |
審決分類 |
P
1
8・
571-
Z
(G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F) P 1 8・ 572- Z (G02F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山口 裕之、藤岡 善行 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
吉田 禎治 町田 光信 |
発明の名称 | 液晶表示装置 |
代理人 | 芝野 正雅 |