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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1120239
審判番号 不服2002-10925  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-08-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-17 
確定日 2005-07-20 
事件の表示 平成 8年特許願第342922号「通信システム及び信号伝送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月15日出願公開、特開平 9-214557〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年12月24日の出願(パリ条約による優先権主張1995年12月21日、アメリカ合衆国)であって、平成14年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年6月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成14年6月17日及び平成14年7月17日で手続補正がなされたものである。

2.平成14年7月17日付けの手続補正について

(1)補正後の本願請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 (イ) 入力、中間、出力ステージ(18、20、22)を有するCLOS交換網(12)と、
この各ステージは、少なくとも1つの交換機を有し、この網は、前記入力ステージ交換機のそれぞれ(40〜42)を前記中間ステージ交換機のそれぞれ(44〜46)に接続する複数の第1リンク(a)と、及び前記中間ステージ交換機のそれぞれ(44〜46)を前記出力ステージ交換機のそれぞれ(48〜50)に接続する複数の第2リンク(b)とをさらに有し、
(ロ) 前記第1及び第2リンクのそれぞれ(a、b)に対する状態を決める手段と、
この状態は、対応するリンクのアイドル又はビジー状態を指示し、
(ハ) 前記入力ステージ交換機のそれぞれ(40〜42)と前記出力ステージ交換機のそれぞれ(48〜50)の間の可用なパスの数を計算する手段と、
前記各パスは、選択された入力ステージ交換機を選択された出力ステージ交換機へと接続するための、第1リンク及び第2リンクとの組み合わせとして定義され、前記可用パスは、その第1及び第2リンクの双方の状態がアイドルであるパスとして定義されることと
を有することを特徴とする通信システム。」(以下、「本願発明」という。)と補正された。

本件補正は、出願当初の明細書の請求項1の「可用なパスの計測を計算する手段」を、「可用なパスの数を計算する手段」と補正するものである。この補正は、「計測」を「数」と誤記の訂正をしたもので、特許法第17条の2第4項第3号の誤記の訂正を目的とするものである。
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内になされたものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成14年7月17日付けの手続補正は誤記の訂正を目的とするものであり、特許法第17条の2第4項第3号に適合するので、本願の請求項1に係る発明は、上記の通りである。

(2)引用例に記載された発明
原審の拒絶の理由に引用された特開平3-49334号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

イ)「2.特許請求の範囲
(1)複数の入口と複数の出口とを有するネットワークと複数のステージ(段)と、前記ステージの中の関連するステージに対するステージの話中/空き情報を記憶する複数の手段とを有する多段ネットワーク制御方法において、
前記入口の中の特定の入口から前記ネットワークを介して前記出口の中の特定の出口へ通じる空き経路を捜し出すために、少なくとも三個の記憶手段から同時にステージの話中/空き情報を組み合わせるステップを有することを特徴とする多段ネットワーク制御方法。」(第1頁左下欄第4行〜第15行)

ロ)「24×24の厳密非ブロッキング3段クロス(Clos)ネットワーク1004を第12図に示す。各々の入口と出口との間には、それぞれ中間段のスイッチを1つずつ通過する5つの経路が存在する。任意の入口(出口)は、そのスイッチ上の他の2個の入口(出口)によって2つの経路がブロックされることもある。したがって、厳密非ブロッキング条件を適用すると、次の関係を得る:5≧(2+2)+1。
ネットワーク1004内の交差点の数は3×5×8+8×8×5+5×3×8=560である。比較のために計算すると、24×24クロスバーネットワークは576個の交差点を有する。
一般化厳密非ブロッキング3段クロスネットワーク1006を第13図に示す。(第13図においては段間リンクは省略されている。)厳密非ブロッキング条件をネットワーク1006に適用すると、任意の入口-出口対の間の経路の最小数はrである。ブロックされる経路の最大数は(n-1)+(n-1)に等しく、したがって、r≧n+m-1であるならば、ネットワーク1006は厳密非ブロッキングである。S段クロスネットワークにおいて、ある段内の各スイッチを3段クロスネットワークで単に置き換えることにより、S段クロスネットワークから反復的にS+2段クロスネットワークが形成可能である。」(第10頁右上欄第5行〜左下欄第10行)

ハ)「第28図はスイッチが一容量すなわちcap(Si)=1であるネットワーク1012において、経路探索(ハント)を行うのに使用される経路探索処理の流れ図である。処理はブロック1122から始まり、ここでは以前に未チェックの経路P*が選択される。ブロック1124において、1≦i≦Sの範囲の全てのiに対してSi(x,P*,y)の話中/空き状態がチェックされる。判定ブロック1126において、全てのSi(x,P*,y)が空きであるか否かの判定がなされる。
全てのSi(x,P*,y)が空きであるならば、処理はブロック1126からブロック1128に進み、ここで入口xを出口yに接続するために、経路P*が使用可能であると結論づけられる。ブロック1126において、全てのSi(x,P*,y)が空きでないと判断されたならば、処理は判定ブロック1130へ進む。ブロック1130において、他の未チェック経路があるか否かが判定される。あれば、処理はブロック1122に戻り、新たな未チェック経路に対して処理の流れ図が反復される。しかし、もし判定ブロック1130において、他の未チェック経路が存在しないと判定されたならば、処理は、ブロック1132に分岐して、ここで入口xと出口yとの間の全ての経路がブロックされているとは結論づけられる。ネットワーク1012のスイッチは一容量であると仮定されたので、第28図の流れ図においてはスイッチSiがチェックされる。
ネットワーク1012に対する経路探索を行うときに、平行作業が可能である。全てのiおよびP*に対する全てのSi(x,P*,y)またはLi(x,P*,y)の話中/空き状態が同時読取り可能であり、したがって、全てのP経路について、それらが話中か空きかを同時に求めることが可能である。もし空きがあれば、このとき空きとして見出されたものの中から、特定の経路が選択される。」(第18頁右下欄第10行〜第19頁右上欄第6行)

ニ)図12を見ると、8つの入口ステージ(入力に近いステージ)、5つの中間ステージ(入口ステージと出口ステージの真ん中にあるステージ)、8つの出口ステージ(出口に近いステージ)からなり、1つの入口ステージは、3入力5出力で、5つ中間のステージに接続され、1つの中間ステージは、8入力8出力で、8つの出口ステージに接続され、1つの出口ステージは、5入力3出力で、5つの中間ステージから接続されることが読み取れる。また、図12にから、入口ステージと中間ステージとは複数のリンクで接続され、中間ステージと出口ステージとは複数のリンクで接続されていることも読み取れる。

以上の記載を総合し、技術常識を勘案すると、上記記載において、1つの入口ステージは、3入力5出力で、1つの中間ステージは、8入力8出力、1つの出口ステージは、5入力3出力で、共に交換動作を行う交換機であり、入口ステージから中間ステージに至るリンクを第1のリンクといえ、中間ステージから出口ステージに至るリンクを第2のリンクといえるから、引用例には、
「複数の入口ステージ、複数の中間ステージ、複数の出口ステージを有するClosネットワークと、
この各ステージは、少なくとも1つの交換機を有し、このネットワークは、前記入口ステージ交換機のそれぞれを前記中間ステージ交換機のそれぞれに接続する複数の第1リンクと、及び前記中間ステージ交換機のそれぞれを前記出口ステージ交換機のそれぞれに接続する複数の第2リンクとをさらに有し、
入口ステージから中間ステージを経由して出口ステージに接続される経路が、話中/空き状態を決め、
入口ステージから中間ステージを経由して出口ステージに接続される経路が空き状態かどうかを検出して、空き状態であった時、その経路を選択する多段ネットワーク。」の発明(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

また、引用例には、「経路探索を平行作業で行う場合、全ての経路について、話中か空きかを求め、このとき空きとして見出されたものの中から、特定の経路を選択する」ことが記載されている。

例えば、特開平5-268245号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

イ)「【0012】一つは各交換機間のパス内の呼びの同時接続数を常時観測して、各パス内収容の使用されていない回線数が或る定められた本数以内に収まるよう、常にパス内収容の回線数を変化させる方式(参考文献;太田 聡、佐藤 健一(NTT伝送システム研究所)「高速バースト多重システムにおけるバーチャルパス容量可変化の効果」:1988年電子情報通信学会秋季全国大会)である(以下方式Aと呼ぶ)。
【0013】もう一つは各パスに加わる呼びの平均トラヒック量を予測し、定期的にそのトラヒック量に基づいて各パス内収容回線数の適正値を算出し直す方式(参考文献;堀米 英明、川野 弘道(NTT通信網総合研究所)「仮想回線割当制御の一検討」:1990年電子情報通信学会春季全国大会)である(以下方式Bと呼ぶ)。」(第3頁第3欄第44行〜第4欄第8行)

上記周知例1によれば、「各交換機間のパス内の呼びの同時接続数を観測し、各パス内収容の使用されていない回線数が或る定められた本数以内に収まるよう、パス内収容の回線数を変化させる」ことは、周知である。

(3)対比
本願発明と引用例に記載された発明を対比する。
a.引用例に記載された発明の「入口ステージ」、「中間ステージ」、「出口ステージ」、「Closネットワーク」、「ネットワーク」、「経路」は、本願発明の「入力ステージ」、「中間ステージ」、「出力ステージ」、「CLOS交換網」、「網」、「パス」に相当する。
b.引用例に記載された発明には、「入口ステージから中間ステージを経由して出口ステージに接続される経路が、話中/空き状態を決め」るとあるが、経路が空きかどうかを決めるためには、入口ステージから中間ステージへの第1のリンクが話中/空きか、かつ、中間ステージから出口ステージへの第2のリンクが話中/空きであることを把握することが必要であるから、引用例に記載された発明は、第1及び第2のリンクのそれぞれに対する状態を決める手段と、この状態は、対応するリンクの空き(本願発明の「アイドル状態」)又は話中状態(本願発明の「ビジー状態」)を指示していることを有しており、引用例に記載された発明の「入口ステージから中間ステージを経由して出口ステージに接続される経路が、話中/空き状態を決め」ることは、本願発明の「前記第1及び第2リンクのそれぞれに対する状態を決める手段と、この状態は、対応するリンクのアイドル又はビジー状態を指示」することに相当する。
c.引用例に記載された発明の「入口ステージから中間ステージを経由して出口ステージに接続される経路が空き状態かどうかを検出して、空き状態であった時、その経路を選択する」と本願発明の「前記入力ステージ交換機のそれぞれと前記出力ステージ交換機のそれぞれの間の可用なパスの数を計算する手段と、前記各パスは、選択された入力ステージ交換機を選択された出力ステージ交換機へと接続するための、第1リンク及び第2リンクとの組み合わせとして定義され、前記可用パスは、その第1及び第2リンクの双方の状態がアイドルであるパスとして定義されること」は、b.で、経路(本願発明の「選択された入口ステージ交換機を選択された出口ステージ交換機へと接続するための、第1リンク及び第2リンクとの組み合わせとして定義される」ことに相当)が空きであると認識することは、第1のリンクと第2のリンクが双方共、空きであることであり、引用例に記載された発明の「経路が空き状態かどうかを検出」することと本願発明の「可用なパスの数を計算する」ことは、可用なパスを求めることで一致するから、引用例に記載された発明と本願発明は、「前記入力ステージ交換機のそれぞれと前記出力ステージ交換機のそれぞれの間の可用なパスを求める手段と、前記各パスは、選択された入力ステージ交換機を選択された出力ステージ交換機へと接続するための、第1リンク及び第2リンクとの組み合わせとして定義され、前記可用パスは、その第1及び第2リンクの双方の状態がアイドルであるパスとして定義されること」で一致する。
d.引用例に記載された発明の「多段ネットワーク」は、通信システムの一つであるから、本願発明の「通信システム」に相当する。

そうすると、本願発明と引用例に記載された発明とは、
「入力、中間、出力ステージを有するCLOS交換網と、
この各ステージは、少なくとも1つの交換機を有し、この網は、前記入力ステージ交換機のそれぞれを前記中間ステージ交換機のそれぞれに接続する複数の第1リンクと、及び前記中間ステージ交換機のそれぞれを前記出力ステージ交換機のそれぞれに接続する複数の第2リンクとをさらに有し、
前記第1及び第2リンクのそれぞれに対する状態を決める手段と、
この状態は、対応するリンクのアイドル又はビジー状態を指示し、
前記入力ステージ交換機のそれぞれと前記出力ステージ交換機のそれぞれの間の可用なパスを求める手段と、
前記各パスは、選択された入力ステージ交換機を選択された出力ステージ交換機へと接続するための、第1リンク及び第2リンクとの組み合わせとして定義され、前記可用パスは、その第1及び第2リンクの双方の状態がアイドルであるパスとして定義されることとを有する通信システム」点で、一致し、以下の点で、相違する。

[相違点]
本願発明では、可用なパスの数を計算しているのに対して、引用例に記載された発明では、可用なパスを求めているが、数を計算しているかどうか不明である点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
引用例には、「経路探索を平行作業で行う場合、全ての経路について、話中か空きかを求め、このとき空きとして見出されたものの中から、特定の経路を選択する」ことが記載されており(3.(2)ハ)参照)、該引用例の「空きとして見出されたものの中から」との記載からみて引用例においても、ネットワークが、入力ステージと出力ステージの交換機間の全ての空き経路の存在を認識していることは自明のことであり、「各交換機間のパス内の呼びの同時接続数を観測し、各パス内収容の使用されていない回線数が或る定められた本数以内に収まるよう、パス内収容の回線数を変化させる」ことは、周知例1より周知であり、上記周知例1で示される周知技術によれば、使用されていない回線数を或る定められた本数以内に収まるように回線を制御していることから、引用例に記載された発明において、使用されていない回線数を計算し、それに応じて回線を制御することは、通常の創作能力の発揮に過ぎず、使用されていない回線数、すなわち、可用なパスの数を計算することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

そして、本願発明の作用効果も、引用例及び周知例1に示される周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用例及び周知例1に示される周知技術に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明、及び、周知例1で示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-22 
結審通知日 2005-02-23 
審決日 2005-03-08 
出願番号 特願平8-342922
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 571- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 真之江嶋 清仁間野 裕一  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 望月 章俊
野元 久道
発明の名称 通信システム及び信号伝送方法  
代理人 朝日 伸光  
代理人 藤野 育男  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 臼井 伸一  
代理人 産形 和央  
代理人 本宮 照久  
代理人 越智 隆夫  
代理人 三俣 弘文  
代理人 高橋 誠一郎  
代理人 岡部 正夫  
代理人 加藤 伸晃  
代理人 高梨 憲通  

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