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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D03D
管理番号 1120251
審判番号 不服2002-24169  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-16 
確定日 2005-07-20 
事件の表示 特願2000- 44871「織機における耳形成装置の駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月31日出願公開、特開2001-234451〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成12年2月22日の出願であって,平成14年11月8日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年12月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年12月16日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1) 補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「筬打ちされた緯糸を切断し,切断された緯糸の端部を経糸の開口内へ折り返す耳形成装置を備えかつ製織パターンの切り替わりにともなって製織条件を変更する織機における耳形成装置の駆動方法において,耳の形成に寄与する複数の耳組要素の少なくとも1つを作動させる作動条件を前記製織条件に対応させて予め設定しておき,製織中においては,前記製織条件及び前記設定された作動条件にしたがって前記耳形成装置を作動させることを含み,前記耳組要素は前記緯糸を切断するカッタを含み,前記設定する作動条件は前記カッタによる切断のタイミング又は前記カッタの動作回数を含む,織機における耳形成装置の駆動方法。」と補正された。
上記補正は,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「耳組要素」について,「前記耳組要素は前記緯糸を切断するカッタを含み」との限定を付加し,同じく「設定する作動条件」について,「前記設定する作動条件は前記カッタによる切断のタイミング又は前記カッタの動作回数を含む」との限定を付加するものであって,特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-112446号公報(以下,引用例という。)には,図面とともに下記の事項が記載されている。
a.「筬打ちした緯糸を切断するカッタと,この切断された緯糸端部を保持する緯糸端保持器と,この保持された緯糸端部を経糸開口内にタックインするタックイン部品と,……織機のパターンコントロール装置からのパターン信号……とを受けて上記電磁アクチュエータに作動,不作動の信号を出力する作動指示装置と,を備えたことを特徴とする無杼織機のタックイン耳組装置。」(1頁左下欄「特許請求の範囲(1)」)
b.「タックイン耳組組織を使用する製織において,緯糸の種類を変更するときには,タックイン耳組機能部品の動作タイミングを緯糸の種類に合わせて調整することが必要である。」(1頁右下欄下から4〜末行)
c.「作動指示装置6は織機のパターンコントロール装置からのパターン信号例えばドビー,ジャガード等のパターン信号Q1と織機主軸のエンコーダからの回転角度信号Q1とを受けて,電磁アクチュエータ4に作動,不作動の信号,つまりカッタ鋏切り動作信号Q3とを出力する一方,電磁アクチュエータ5に作動,不作動の信号Q5,Q6を出力する構造になっている。」(2頁右上欄11〜19行)
d.「以上の実施例構造によれば,パターンコントロール装置からのパターン信号Q1のうちのパイル組織信号Q11が入力しているときは,パイル形成の織成サイクルの次の織成サイクルにおいて電磁アクチュエータ4,5それぞれに作動信号Q3,Q5を出力し,もってタックイン耳組装置を織機主軸との所要のタイミングを保って動作させるとともに,パイル形成以外の織成サイクルにおいて電磁アクチュエータ4,5に不作動信号Q4,Q6を出力し,もってタックイン耳組装置を待機させる。また,パターンコントロール装置からのパターン信号Q1のうちの非パイル組織信号Q12が入力しているときは,電磁アクチュエータ15に作動信号Q3,Q5を出力し,もって織成サイクル毎にタックイン耳組装置11を織機主軸との所要のタイミングを保って作動させる。」(3頁左上欄8行〜右上欄3行)と記載されている。
これらの記載によれば,
引用例には,「筬打ちした緯糸を切断し,この切断された緯糸端部を経糸開口内にタックインする無杼織機のタックイン耳組装置の作動方法において,パターンコントロール装置からのパターン信号がパイル組織信号か非パイル組織信号かに応じてカッタの作動状態を変更する作動指示装置を備えた無杼織機のタックイン耳組装置の作動方法。」に関する発明(以下「引用発明」という。)が開示されている。

(3)対比
そこで,本願補正発明と引用発明とを比較すると,引用発明の「タックインする」,「耳組装置」,「パイル組織,非パイル組織等」,「カッタ」,「作動(方法)」は,それぞれ,本願補正発明の「折り返す」,「耳形成装置」,「製織パターン」,「カッタ」,「駆動(方法)」に相当する。
そして,本件補正発明と引用発明とは,「耳組要素」(例えばカッタ)の作動条件等の製織条件を製織パターン(パイル組織,非パイル組織等)に対応して予め設定しておく点においても同じである(上記2(2)d.参照)。
そうすると両者は,
「筬打ちされた緯糸を切断し,切断された緯糸の端部を経糸の開口内へ折り返す耳形成装置を備えかつ製織パターンの切り替わりにともなって製織条件を変更する織機における耳形成装置の駆動方法において,耳の形成に寄与する複数の耳組要素の少なくとも1つを作動させる作動条件を前記製織条件に対応させて予め設定しておき,前記製織条件及び前記設定された作動条件にしたがって前記耳形成装置を作動させることを含み,前記耳組要素は前記緯糸を切断するカッタを含み,前記設定する作動条件は前記カッタによる切断のタイミング又は前記カッタの動作回数を含む,織機における耳形成装置の駆動駆動方法。」
の点で一致し,下記の点で相違する。
[相違点]
本願補正発明においては,製織中において変更された作動条件にしたがって耳形成装置を作動させるのに対し,引用発明においては,製織中において作動条件が変更される旨の明示がない点。

(4)判断
引用発明のものは,パイル組織信号・非パイル組織の切り替え(製織パターンの切り替わり)にともなって製織条件を変更するものであるが,製織パターンの切り替わり等の製織条件を製織中に変更することは本願出願前周知の技術手段である(例えば,特開平6-49739号公報,特開昭63-175142号公報)。
してみると,本願補正発明のように,織機における耳形成装置において製織条件を製織中に変更するように構成することは,引用発明の技術手段に織機における周知の技術手段を単に付加したにすぎない程度であって,格別の困難性があるものとはいえない。
そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明及び周知の技術手段から当業者が予測できる範囲内のものである。
したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第5項で準用する特許法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年12月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,同項記載の発明を「本願発明」という。)は,平成14年10月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「筬打ちされた緯糸を切断し,切断された緯糸の端部を経糸の開口内へ折り返す耳形成装置を備えかつ製織パターンの切り替わりにともなって製織条件を変更する織機における耳形成装置の駆動方法において,耳の形成に寄与する複数の耳組要素の少なくとも1つを作動させる作動条件を前記製織条件に対応させて予め設定しておき,製織中においては,前記製織条件及び前記設定された作動条件にしたがって前記耳形成装置を作動させることを含む,駆動方法。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例,および,その記載事項は,前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は,前記2.で検討した本願補正発明から,「耳組要素」と「設定する作動条件」の限定事項である「前記耳組要素は前記緯糸を切断するカッタを含み,」,「前記設定する作動条件は前記カッタによる切断のタイミング又は前記カッタの動作回数を含む,」との構成を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含む本願補正発明が,前記「2.(4)」に記載したとおり,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ,本願は,他の請求項に係る発明について判断するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-10 
結審通知日 2005-05-17 
審決日 2005-05-30 
出願番号 特願2000-44871(P2000-44871)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関谷 一夫  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
鈴木 公子
発明の名称 織機における耳形成装置の駆動方法  
代理人 松永 宣行  
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