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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1120530
審判番号 不服2000-4836  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-04-06 
確定日 2005-07-28 
事件の表示 平成10年特許願第238224号「遊技機の音声制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年2月29日出願公開、特開2000-61044〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成10年8月25日に出願された特願平10-238224号の特許出願であって、平成11年4月13日付の原審における拒絶理由通知に対し平成11年6月18日付で意見書及び手続補正書が提出され、平成12年2月24日付で拒絶査定がなされたところ、前記拒絶査定を不服として、平成12年4月6日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願発明は、平成11年6月18日付の手続補正に基いて補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特にその請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 遊技内容に従って主に遊技盤(4)側の制御を行う遊技制御手段(41)と、音声発生用のスピーカー(11)と、前記遊技盤(4)側の遊技状態に応じて前記スピーカー(11)から所定の効果音等の音声を発生させる音声制御手段(13)とを備え、前記遊技制御手段(41)は、前記遊技盤(4)側の遊技状態に応じて予め設定された複数種類の指令機能指定信号を記憶し、且つ前記遊技盤(4)側の遊技状態の変化に応じて、その遊技状態に対応する指令機能指定信号を出力する機能を有し、前記音声制御手段(13)は、予め定められた所定の音声を発生させるための音声制御指令を出す複数種類の音声制御指令機能を備え、前記遊技制御手段(41)からの指令機能指定信号により、前記複数種類の音声制御指令機能の内から所定の音声制御指令機能を指定して、この所定の音声制御指令機能の指令に従って前記スピーカー(11)から効果音等の所定の音声を発生させるように構成し、前記遊技制御手段(41)を前記遊技盤(4)の裏側の遊技制御基板(39)に設け、前記音声制御手段(13)を前記遊技制御基板(39)から分離した音声制御基板(12)に設けたことを特徴とする遊技機の音声制御装置。」(以下、これを「本願発明1」という。)

第3 引用刊行物及び該引用刊行物の記載事項
原審における拒絶査定の理由に引用された特開平9-192297号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「パチンコ機の音制御装置」に関し、次の事項が記載されている。
「【0021】次に、実施の形態のパチンコ機の制御系について説明する。図3[当審注:図2の誤記]は、実施の形態のパチンコ機に配備された電気系統を示す要部ブロック図である。遊技盤1面で行われるパチンコ遊技に関する制御を行う主制御部34は、中央処理装置35(以下、CPUという)と、CPU35が実行する遊技プログラムが格納されたROM36と、CPU35が随時書き込み並びに読み出し可能とされたRAM37と、CPU35が処理に必要な検出信号や入力信号を入力するための入力回路38と、CPU35が各駆動要素を駆動する駆動制御信号を出力するための出力インタフェース回路39とにより構成されている。」
「【0026】さらに、出力インタフェース回路39には、液晶表示装置からなる図1の図柄表示装置2、各入賞口に入賞した入賞球に応じた賞品球を払い出すための賞品球払出装置46及び発音制御部47が接続されている。」
「【0030】図3は、本発明の請求項1に記載されたところの音制御装置の第1の実施形態における音声制御部47及び音声発生部48の要部ブロック図である。音声制御部47は、データバス、アドレスバス及びコントロールバスを介して出力インタフェース回路39に接続されたバッファIC49、音声制御用の中央処理装置50(SCPUという)、SCPU50が実行する音声制御用の制御プログラム及び各音声データが記憶されているSROM51、及びSCPU50が随時書き込み並びに読み出し可能とされたSRAM52により構成されている。
【0031】音声発生部48は、音声発生部48aと音声発生部48bとにより構成され、音声発生部48aは、SCPU50から出力された音声データを入力し、入力した音声データに基づいてアナログ波形を作成して出力するソフトウェア・コントロールド・サウンドジェネレータ53(以下、SSGという)と、SSG53から出力されたアナログ波形を増幅して出力するアンプ54及びアンプ54の出力を音声出力するスピーカ55とにより構成され、音声発生部48bは、音声発生部48aと同等に構成され、SSG56、アンプ57及びスピーカ58とにより構成されている。
【0032】図2のCPU35からは、出力インタフェース回路39を介して音声制御部47に対してパチンコ遊技状況に応じて作成された複数種の音声指令としての複数のコマンドデータが送出される。CPU35から送出された複数のコマンドデータは、音声制御部47に入力されるとバッファIC49に一時的に記憶される。
【0033】第1の実施形態におけるコマンドデータは、パチンコ遊技状況に応じて発音する効果音の種類毎に対応した効果音番号であり、0〜11までの12種類である。各効果音番号に応じたパチンコ遊技状況を表1に示す。」
「【0035】SCPU50は、バッファIC49に記憶されている効果音番号の種別に応じて、SROM51に予め記憶されている音声データを順次1音分ずつ読み出して音声発生部48aのSSG53または音声発生部48bのSSG56に出力する。
【0036】なお、SSG53に出力された1音分の音データは、SSG53によりアナログ波形とされてアンプ54に出力され、アンプ54により増幅されてスピーカ55により発音される。SSG56に出力された1音分の音データは、SSG56によりアナログ波形とされてアンプ57に出力され、アンプ57により増幅されてスピーカ58により発音される。」
「【0042】効果音1データ乃至効果音11データの1音分のデータ構成は、図6に示すように、時間データ、周波数Aデータ、周波数Bデータ及び音量データの4個で構成されている。例えば、16進数形式で“000H,0BFH,0DFH,0FFH”のように記憶されている。」
「【0061】そして、ゲート通過後に、ゲート通過に起因して図柄表示装置2において図柄変動が行われたり、変動中の左,右,中図柄が順次停止される過程においてリーチが発生したり、停止された左,右,中図柄の組み合わせにより大当りが発生したり、大当りとなった後、特別装置が作動となったり、大入賞口8が開放されたり、不正発生や遊技機の異常動作等の異常発生といったように遊技状態が変化すると、主制御部34のCPU35は、遊技状態の別に応じた音声指令としてのコマンドデータである効果音番号2〜11を音声制御部47に出力する。」

そして、引用刊行物1の添付図面の図2には、パチンコ遊技の制御を行う主制御部34が、CPU35と、CPU35が実行する遊技プログラムが格納されたROM36と、CPU35が随時書き込み並びに読み出し可能とされたRAM37と、CPU35が処理に必要な検出信号や入力信号を入力するための入力回路38と、CPU35が各駆動要素を駆動する駆動制御信号を出力するための出力インタフェース回路39とにより構成されているパチンコ機の制御系の要部ブロック図が図示され、また図3には、音声制御部47が、データバス、アドレスバス及びコントロールバスを介して出力インタフェース回路39に接続されたバッファIC49、音声制御用のSCPU50、SCPU50が実行する音声制御用の制御プログラム及び各音声データが記憶されているSROM51、及びSCPU50が随時書き込み並びに読み出し可能とされたSRAM52により構成されている音声制御部及び音声発生部の要部ブロック図が図示されている。

そうすると、上記引用刊行物1における前記摘記事項及び添付図面の記載からみて、引用刊行物1には、次の発明(以下、これを「引用発明1」という。)の記載が認められる。
「遊技盤1面で行われるパチンコ遊技に関する制御を行い、遊技状態が変化すると、遊技状態の別に応じた音声指令としてのコマンドデータを音声制御部47に出力する主制御部34と、前記遊技盤1側の遊技状態に応じて音声発生用のスピーカ55、58からパチンコ遊技状況に応じて発音する効果音を発生させる音声発生部48とを備え、
前記主制御部34は、中央処理装置であるCPU35と、該CPU35が実行する遊技プログラムが格納されたROM36と、CPU35が随時書き込み並びに読み出し可能とされたRAM37と、前記CPU35が処理に必要な検出信号や入力信号を入力するための入力回路38と、前記CPU35が各駆動要素を駆動する駆動制御信号を出力するための出力インタフェース回路39とにより構成され、
前記音声制御部47は、データバス、アドレスバス及びコントロールバスを介して前記出力インタフェース回路39に接続されたバッファIC49、音声制御用の中央処理装置としてのSCPU50、該SCPU50が実行する音声制御用の制御プログラム及び各音声データが記憶されているSROM51、及び前記SCPU50が随時書き込み並びに読み出し可能とされたSRAM52により構成され、
前記音声発生部48は、前記SCPU50から出力された音声データを入力し、入力した音声データに基づいてアナログ波形を作成して出力するソフトウェア・コントロールド・サウンドジェネレータとしてのSSG53と、該SSG53から出力されたアナログ波形を増幅して出力するアンプ54及びアンプ54の出力を音声出力するスピーカ55とからなる音声発生部48aと、該音声発生部48aと同等構成のSSG56、アンプ57及びスピーカ58とからなる音声発生部48bとにより構成されており、
主制御部34のCPU35から、出力インタフェース回路39を介して音声制御部47に対してパチンコ遊技状況に応じて作成された複数種の音声指令としてのパチンコ遊技状況に応じて発音する効果音の種類毎に対応した効果音番号からなる複数のコマンドデータが送出されて、音声制御部47に入力されるとバッファIC49に一時的に記憶され、前記SCPU50は、バッファIC49に記憶されている効果音番号の種別に応じて、SROM51に予め記憶されている音声データを順次1音分ずつ読み出して音声発生部48aのSSG53または音声発生部48bのSSG56に出力し、SSG53に出力された1音分の音データは、SSG53によりアナログ波形とされてアンプ54に出力され、アンプ54により増幅されてスピーカ55により発音され、また、SSG56に出力された1音分の音データも、SSG56によりアナログ波形とされてアンプ57に出力され、アンプ57により増幅されてスピーカ58により発音されるように構成したパチンコ機の音制御装置」

第4 対比及び一致点・相違点
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「遊技盤1」、「主制御部34」、「スピーカ55、58」、「音声制御部47及び音声発生部48」及び「パチンコ機の音制御装置」のそれぞれが、本願発明1の「遊技盤(4)」、「遊技制御手段(41)」、「音声発生用のスピーカー(11)」、「音声制御手段(13)」及び「遊技機の音声制御装置」に対応する。
そして、「中央処理装置であるCPU35と、該CPU35が実行する遊技プログラムが格納されたROM36と、CPU35が随時書き込み並びに読み出し可能とされたRAM37と、前記CPU35が処理に必要な検出信号や入力信号を入力するための入力回路38と、前記CPU35が各駆動要素を駆動する駆動制御信号を出力するための出力インタフェース回路39」により構成される引用発明1の「主制御部34」は、本願発明1の「前記遊技制御手段(41)は、前記遊技盤(4)側の遊技状態に応じて予め設定された複数種類の指令機能指定信号を記憶し、且つ前記遊技盤(4)側の遊技状態の変化に応じて、その遊技状態に対応する指令機能指定信号を出力する」機能を備えているといえる。
また、「データバス、アドレスバス及びコントロールバスを介して前記出力インタフェース回路39に接続されたバッファIC49、音声制御用の中央処理装置としてのSCPU50、該SCPU50が実行する音声制御用の制御プログラム及び各音声データが記憶されているSROM51、及び前記SCPU50が随時書き込み並びに読み出し可能とされたSRAM52」からなる引用発明1の「音声制御部47」及び「SCPU50から出力された音声データを入力し、入力した音声データに基づいてアナログ波形を作成して出力するソフトウェア・コントロールド・サウンドジェネレータとしてのSSG53と、該SSG53から出力されたアナログ波形を増幅して出力するアンプ54及びアンプ54の出力を音声出力するスピーカ55とからなる音声発生部48aと、該音声発生部48aと同等構成のSSG56、アンプ57及びスピーカ58とからなる音声発生部48b」とにより構成される引用発明1の「音声発生部48」は、本願発明1の「前記音声制御手段(13)は、予め定められた所定の音声を発生させるための音声制御指令を出す複数種類の音声制御指令機能を備え、前記遊技制御手段(41)からの指令機能指定信号により、前記複数種類の音声制御指令機能の内から所定の音声制御指令機能を指定して、この所定の音声制御指令機能の指令に従って前記スピーカー(11)から効果音等の所定の音声を発生させる」の機能を備えているといえる。
そうしてみると、本願発明1と引用発明1とは、「遊技内容に従って主に遊技盤側の制御を行う遊技制御手段と、音声発生用のスピーカーと、前記遊技盤側の遊技状態に応じて前記スピーカーから所定の効果音等の音声を発生させる音声制御手段とを備え、前記遊技制御手段は、前記遊技盤側の遊技状態に応じて予め設定された複数種類の指令機能指定信号を記憶し、且つ前記遊技盤側の遊技状態の変化に応じて、その遊技状態に対応する指令機能指定信号を出力する機能を有し、前記音声制御手段は、予め定められた所定の音声を発生させるための音声制御指令を出す複数種類の音声制御指令機能を備え、前記遊技制御手段からの指令機能指定信号により、前記複数種類の音声制御指令機能の内から所定の音声制御指令機能を指定して、この所定の音声制御指令機能の指令に従って前記スピーカーから効果音等の所定の音声を発生させるように構成した遊技機の音声制御装置」である点で、両者の構成が一致し、次の点で相違する。
相違点:本願発明1が、「前記遊技制御手段(41)を前記遊技盤(4)の裏側の遊技制御基板(39)に設け、前記音声制御手段(13)を前記遊技制御基板(39)から分離した音声制御基板(12)に設けた」のに対し、引用発明1では、主制御部34と音声制御部47及び音声発生部48が設けられる基板の配置位置及び基板に対する対応関係が明確でない点。

第5 判断
(1)相違点について
「遊技状態に応じて遊技音の出力を制御する遊技音制御手段に指令を出し遊技状態を制御する遊技状態制御手段を設けた基板をパチンコ遊技機の遊技領域の裏側に配置し、かつ、前記遊技音制御手段と前記遊技状態制御手段とを、それぞれ別体の基板に設けること」は、本願特許出願時の周知技術である(一例として示す特開平6-246047号公報の「【0009】パチンコ遊技機1の裏面側には図3に示すように、遊技状態に応じて遊技音の出力を制御する遊技音制御手段11、貸玉や賞球を排出する排出装置(図4参照)を制御する排出制御手段12、可変表示装置6の表示を制御する表示制御手段13、該表示制御手段13や前記遊技音制御手段11や前記排出制御手段12に指令を出し、前記可変表示装置6や前記変動入賞装置7等の動作を制御し、またランプやLED等の表示を制御することにより遊技状態を制御する遊技状態制御手段14が取り付けられている。なお、15で示すものは前記遊技音制御手段11に接続されているスピーカーである。そして前記遊技音制御手段11は前記遊技状態制御手段14、排出制御手段12及び表示制御手段13とそれぞれ信号線を介して接続されていて、遊技状態に応じた遊技音の出力を要求する信号(以下要求信号ともいう)が前記遊技音制御手段11に入力されるようになっている。」の記載、並びに、添付図面【図3】に示された「遊技盤裏面側に取り付けられた各種制御装置の取付状態を示す遊技機の背面図」及び【図4】に示された「各種制御装置の構成ブロック図」における遊技音制御手段11と遊技状態制御手段14との配置位置を参照)。
そうしてみると、引用発明1の「主制御部34」と「音声制御部47及び音声発生部48」に対して上記周知技術を適用することにより、「主制御部34を遊技盤1の裏側の主制御基板に設け、該主制御基板から分離した基板に音声制御部47を設ける」ように変更して、本願発明1の上記相違点に係る「前記遊技制御手段(41)を前記遊技盤(4)の裏側の遊技制御基板(39)に設け、前記音声制御手段(13)を前記遊技制御基板(39)から分離した音声制御基板(12)に設けた」の構成を得ることは、当業者が格別の困難を伴うことなく容易になし得ることである。

そして、本願発明1の奏する作用・効果は、上記引用発明1及び周知技術から予測できる範囲内のものであり、格別のものということができない。

(2)まとめ
したがって、本願発明1は、引用発明1及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、上記引用発明1に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-31 
結審通知日 2005-05-31 
審決日 2005-06-13 
出願番号 特願平10-238224
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 渡戸 正義
佐藤 昭喜
発明の名称 遊技機の音声制御装置  
代理人 谷藤 孝司  

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