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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1120539
審判番号 不服2002-11914  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-27 
確定日 2005-07-28 
事件の表示 平成 8年特許願第 94431号「携帯無線機」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月31日出願公開、特開平 9-284831〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (手続の経緯、本件発明)
本願は、平成8年4月16日の出願であって、その請求項1、2に係る各発明は、平成14年6月27日付け、平成16年8月30日付の各手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は次のとおりのものである。
「無線機部を収納する無線機筺体に対し、該無線機筺体の上方に信号を伝送しかつ放射素子として機能しない連通部を設け、該連通部上に衛星と通信する円偏波アンテナ放射素子が保持されたことを特徴とする携帯無線機。」
(刊行物記載の発明)
これに対し、当審において平成17年1月18日付けで通知した拒絶の理由に引用された特開平6-291872号公報(以下、刊行物1という。)には、「【0021】 図1は本発明の第1の実施例の携帯用無線電話装置の斜視図、図2は本発明の第1の実施例の携帯用無線電話装置の機能ブロック図である。」、「【0022】 図1および図2において、1は携帯用無線電話本体、2は液晶ディスプレイ、3はレシーバー、4はマイク、5は通話送受信用アンテナ、6はキーボタン、10は本体機能部、11は送受信回路、12は主制御回路、13は画像制御回路、14は地図データメモリ、20は画像表示部、21は駆動回路、30は位置検出部、31は衛星受信用アンテナ、32は受信回路、33は演算処理回路である。」、「【0024】 本体機能部10は、レシーバー3,マイク4,キーボタン6,通話送受信用アンテナ5と接続された送受信回路11,主制御回路12,画像制御回路13,地図データメモリ14を備えており、主制御回路12は、レシーバー3,マイク4,キーボタン6,画像制御回路13,位置検出部30の演算処理回路33に接続されている」、「【0025】 位置検出部30は、1.5GHz帯の衛星受信用アンテナ31,受信回路32,演算処理回路33を備えている。衛星受信用アンテナ31は、3個以上の衛星から出力された電波を受信し、受信回路32は、受信された電波を復調し、演算処理回路33は、復調された電波に基づいて、絶対方位を示す位置情報を検出し、本体機能部10に出力する。演算処理回路33から出力された位置情報は、本体機能部10において、画像制御装置13により、地図データメモリ14に記憶されている地図情報と共に画像処理され、映像表示部20に出力される。」、「【0037】 図4は本発明の第3の実施例の携帯用無線電話装置の斜視図である。」、「【0038】 本実施例の携帯用無線電話装置の構成は、上記第1の実施例の携帯用無線電話装置の構成と同様であるが、衛星受信用アンテナ31および通話送受信用アンテナ5の代わりに、衛星受信・通話送受信共用アンテナ34(例えば、ヘリカルアンテナ)だけを備えている。」、「【0039】 これは、衛星から出力される電波の周波数が1.5GHZ帯であり、ディジタル方式の無線電話機の送受信周波数も1.5GHZ帯に割り当てられていることから、標準ダイポール比利得の比較的高いアンテナを使用することで共用化が可能となる。」と説明されている。
したがって、上記説明の記載から見て、上記刊行物1には次の発明が記載されている。
送受信回路11を含む本体機能部を収納する携帯用無線電話本体1の上部に通話送受信用のヘリカルアンテナ34を備えた携帯用無線電話装置。
(対比)
本件発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、
(i)上記刊行物1記載の発明は「送受信回路11を含む本体機能部」、「携帯用無線電話本体1」を備えるとしており、本件発明が、それぞれ、「無線機部」、「無線機筺体」を備えている点と実質的な差異はない。
(ii)上記刊行物1記載の発明は「ヘリカルアンテナ34」を携帯用無線電話本体1の上方に設けており、本件発明が、「円偏波アンテナ素子」を無線機筐体の上方に保持するとしている点と実質的な差異はない。
したがって、本件発明と上記刊行物1記載の発明とは次の点で相違し、その余では一致する。
(a)本件発明が無線機筺体の上方に信号を伝送しかつ放射素子として機能しない連通部を設け、該連通部上にアンテナ放射素子を保持しているとしているのに対し、上記刊行物1にはその点の記載がない点
(b)アンテナ放射素子による通信に関し、本件発明が衛星と通信するとしているのに対し、上記刊行物1にはその点の記載がない点
(相違点についての判断)
以下、上記相違点(a)(b)について検討する。
上記相違点(a)について
人体頭部に係る影響を避けるために、無線電話機本体の上部に輻射部以外の非輻射部を設けるといったことは本件出願前に普通に知られたこと(必要ならば、例えば、特開昭59-92629号公報を参照されたい。)であるから、上記刊行物1記載の発明に上記周知技術を適用し、本件発明のように、無線機筺体の上方に信号を伝送しかつ放射素子として機能しない連通部を設けるとすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
上記相違点(b)について
移動体通信を衛星を介して行うとすることは本件出願前に普通に知られたこと(必要ならば、例えば、特開平3-274904号公報(本件明細書中に記載された文献)、特開平2-179035号公報、特開平5-102920号公報を参照されたい。)であるから、上記刊行物1記載の発明を、衛星を介して通信を行わせるようにすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
(まとめ)
したがって、本件発明は、上記刊行物1記載の発明に基づき、周知技術を参酌して、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-27 
結審通知日 2005-05-31 
審決日 2005-06-15 
出願番号 特願平8-94431
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大日方 和幸  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 橋本 正弘
彦田 克文
発明の名称 携帯無線機  

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