• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03G
管理番号 1120810
審判番号 不服2003-4838  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-24 
確定日 2005-08-08 
事件の表示 平成 8年特許願第532323号「チューナのAGC構成」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年10月31日国際公開、WO96/34452、平成11年 4月 6日国内公表、特表平11-504183〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.本願発明
本願は、平成8年4月26日(パリ条約による優先権主張1995年4月27日、英国)の出願であって、平成14年10月9日付け手続補正によって最終的に補正された明細書および図面の記載からみて、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。

「入力信号のソースと、
局部発振器と、
該局部発振器に接続されて前記入力信号を中間周波(IF)信号に変換するためのミキサと、
前記ミキサに結合されて前記IF信号についての情報を検出するための検出器を有するIF処理手段と、
前記ソースと前記ミキサの間に直列に結合されて前記入力信号を増幅するための複数の利得制御増幅器と、
前記検出器の出力および前記検出器の入力より前の前記ミキサの出力に応答して、前記複数の利得制御増幅器のそれぞれ一つに対して制御信号を発生する制御手段と
を備えたことを特徴とするチューナー装置。」

第2.引用例
(1)これに対して、原審の拒絶理由において引用された特開平5-22175号公報(以下、「引用文献1」という)には、下記の(ア)、(イ)の事項が記載されている。
(ア)「【産業上の利用分野】本発明は車載用FM受信装置に関し、FM、TV局が多く、相互変調、混変調の起こりやすい強電界地区において、良好な受信状態を保つFM受信装置に関するものである。」(第2頁左欄第12〜15行)
(イ)「【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、本体側に設置されている、比較的広帯域で電界強度を検出するRF-AGC出力回路と、比較的狭帯域で電界強度を検出するIF-AGC出力回路との二つの入力値からなる、任意の論理出力によって、最適の混変調出力を生ずる制御出力を、アンテナアンプ側のAGC入力として供給するようにしたものである。
【0006】
【作用】従って、本発明によれば、本体側の最適混変調せしめる制御出力が利用でき、自らの内部閉ループのAGC作用を使うことがなく、良好な受信特性が得られる。
【0007】
【実施例】図1に受信セット本体側のブロックダイヤグラムを示す。アンテナ1からの入力RF(高周波)信号は、RF-ATT(減衰器)部2を通過した後、例えばデュアルゲートFET構成のRFアンプ3で増幅され、OSC(局部発信)部4からの出力とMIX(混合)部5で、混合され、IF(中間周波)信号に変換される。しかる後リミッタ機能を有するIFアンプ/検波部6へ入力され、例えばクワドラチャ検波等により、コンポジット信号に変換されて後、MPX(マルチプレックス)復調回路7へ加えられて、左右チャンネルへ分離される。この左右チャンネル信号は、AF(オーディオ周波数)信号アンプ部8を介し、電力増幅され、外部スピーカ9を駆動し、音声出力とする。端子11はアンテナアンプ制御端子である。
【0008】さて、広帯域(一般に妨害信号も含まれる)の電界強度を検出すべく、MIX部5で入力RF信号レベルに応じて変化する電圧として検出された出力Aは、RFアッテネータ部2や、RFアンプ部3の信号を制御するための制御回路部10に入力される。
【0009】他方、狭帯域(一般に希望信号のみ)の電界強度レベルを検出すべく、IFアンプ/検波部6のIF信号レベルが、内部の増幅部をAM検波することにより、得られる出力Bとして、同様に制御回路部10に入力される。2つの入力A,Bを加えられた制御回路部10では、これらのレベルをもとに、相互変調、混変調特性に対し最適な電圧を判断し、RF-ATT部2及びRFアンプ部3に対して、制御する出力Cを送出する。」(第2頁左欄第36〜右欄第25行)

ここで、アンテナが「入力信号のソース」となっていること、減衰器部とRFアンプは、利得制御手段であり、また、「狭帯域(一般に希望信号のみ)の電界強度レベルを検出すべく、IFアンプ/検波部6のIF信号レベルが、内部の増幅部をAM検波することにより、得られる出力B」と言う記載から、検波をする手段(つまり、「検出器」)が、IFアンプ/検波部に存在することは明らかであることに注意し、前記記載および図面並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると、引用文献1には、次の発明が記載されている。(以下、「引用発明」という)

[引用発明]
「入力信号のソースと、
局部発信部と、
該局部発信部に接続されて前記入力信号を中間周波(IF)信号に変換するための混合部と、
前記混合部に結合されて前記IF信号レベルを検出するための検出器を有するIFアンプ/検波部と、
前記ソースと前記ミキサの間に直列に結合されて前記入力信号の利得を制御するための減衰器部とRFアンプで構成される複数の利得制御手段と、
前記検出器の出力および前記混合部の出力に応答して、前記減衰器部とRFアンプで構成される複数の利得制御手段に対して単一の制御信号を発生する制御回路部と
を備えたことを特徴とする車載用FM受信装置。」

(2)原審の拒絶理由において引用された実願平3-82388号(実開平5-25845号)のCD-ROM(以下、「引用文献2」という)には、下記の(ア)〜(エ)の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は受信機の AGC回路に係り、特に、過大受信信号レベルを連続的にスムーズに減衰させて最適受信信号レベルに設定するのに好適な受信機の AGC回路に関する。」(第3頁第2〜6行)
(イ)「【0011】
例えば、上記多段RF増幅回路が3段のデュアルゲートMOSFETで構成したRF増幅回路であって、このデュアルゲートMOSFETの第2のゲート電圧を制御することによりRF増幅度を制御することができる。例えば、デュアルゲートMOSFETの第2のゲート電圧を降下することにより、デュアルゲートMOSFET増幅回路は連続的にスムーズに増幅度を小さくして信号レベルの減衰を行うことができる。
【0012】
即ち、受信機が過大受信信号レベルを受信した時、この過大受信信号レベルをAGC 検波回路の検波出力信号によって、多段RF増幅回路の1段目のRF増幅回路の増幅度のみを下げるよう制御し、更に、まだ過大な受信信号レベルに対しては多段RF増幅回路の1段及び2段の増幅度を減衰制御することができる。」(第5頁第2〜12行)
(ウ)「【0018】
今、受信機が過大受信信号レベルを受信した場合、この過大受信信号レベルを上記 AGC検波回路9の検波出力で検出し、この過大受信信号レベルが、例えば30dB以内であれば、 AGC検波回路9からの信号レベル制御は第1のRF増幅回路3aのデュアルゲートMOSFETの第2のゲート電圧を下げることにより受信信号レベルを最適信号レベルに制御することができる。
【0019】
また、上記過大受信信号レベルが、例えば30dB以上で60dB以内である場合、上記 AGC検波回路9からの AGC出力信号を第1及び第2のRF増幅回路3a,3b に供給して第1及び第2のRF増幅回路3a,3b の増幅度を下げるよう制御することができる。更に、過大受信信号レベルが60dB以上になると、多段RF増幅回路3の第3のRF増幅回路3cの増幅度を下げてるよう制御し、第1、第2及び第3のRF増幅回路3a,3b,3cの増幅度を制御して60dB以上の信号レベルを減衰させて最適信号レベルにすることができる。」(第6頁第15〜28行)
(エ)「【0022】
【考案の効果】
この考案に係る受信機の AGC回路は前述のように、ピンダイオードアッテネータ回路を無くし多段RF増幅回路を形成して連続的にスムーズな受信信号レベルのAGC動作を行うことができ、過大受信信号レベルの減衰範囲が限定されずどのような受信状態においても多段RF増幅回路の増幅度を自動的に制御し最適信号レベルにすることができるという効果がある。」(第7頁第6〜12行)

ここで、上記(イ)の「即ち、受信機が過大受信信号レベルを受信した時、この過大受信信号レベルをAGC検波回路の検波出力信号によって、多段RF増幅回路の1段目のRF増幅回路の増幅度のみを下げるよう制御し、更に、まだ過大な受信信号レベルに対しては多段RF増幅回路の1段及び2段の増幅度を減衰制御することができる。」という記載によれば、「1段目のRF増幅回路の増幅度は、2段目とは別に制御する」ように構成されている。つまり、AGC検波回路が、多段RF増幅回路の1段目と2段目の増幅回路のそれぞれ一つに対して制御信号を発生させるものである。したがって、上記引用箇所および図面並びに技術常識を考慮すると、前記引用文献2には、ソース(受信アンテナ1)とミキサ(ミクサ回路6)の間に直列に結合された、「減衰器(ピンダイオードアッテネータ回路)と増幅器で構成される複数の利得制御手段に替えて、複数の増幅回路(3a、3b、3c)を設けること、および、前記複数の増幅回路のそれぞれ一つに対して制御信号を発生させる」という技術が記載されている。(以下、「引用文献2に記載された技術」という)

(3)原審の拒絶理由において引用された特開昭63-278407号(以下、「引用文献3」という)には、下記の(ア)〜(ウ)の事項が記載されている。
(ア)「(産業上の利用分野)
本発明は、AM無線放送受信機つまりAM(振幅変調)チュ-ナに関する。より詳細には、本発明は、前記受信機が同調されていない場合つまり放送局を捜している場合に、高周波倍音(ツイ-ト)の発生を防止するための方法及びそれに対応する回路に関する。」(第2頁左上欄第9〜15行)
(イ)「周波数変換段は、同調可能な局部発振器7(周波数シンセサイザ)及びミクサ段により形成されている。」(第3頁右下欄第15〜17行)
(ウ)「第3図は、本発明のミクサダイナミックコントロ-ル(MDC)系を適用した第2図に示した受信機と同じ受信機のブロック図を示している。第3図中、第2図で使用したものと同じ数字は該受信機の同じパ-ツを示している。
第3図のブロック図から分かるように、本発明の系は、最後の分離段A6の後で受信機のIFセクションのバンドフィルタ9及び10によりフィルタされる前に、周波数変換された変調シグナルの検出を行うことを意図している。好適な検出器13により検出され好ましくは分離増幅器A6’により増幅されたシグナルから、ダイオ-ド14によりdcを成分抽出しこのようなdc成分を存在する狭バンドAGC系により作られたdcコントロ-ルシグナルに集める。」(第4頁右上欄第11〜左下欄5行)

ここで、「周波数変換段」は、「ミクサ」で「局部発信器」の出力とRF信号を混合していることから「混合部」でもある。したがって、上記引用箇所および第3図並びに技術常識を考慮すると、前記引用文献3には、「混合部をミキサで構成すること、および、IF段の検出器の出力および前記検出器の入力より前のミキサの出力に応じて制御信号を出力させる」という技術が記載されている。(以下、「引用文献3に記載された技術」という)

第3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明の「局部発信部」、「IF信号レベル」、「IFアンプ/検波部」、「制御回路部」「車載用FM受信装置」は、各々、本願発明の「局部発振器」、「IF信号についての情報」、「IF処理手段」、「制御手段」、「チューナー装置」に相当する。
(2)本願発明の「ミキサ」と、引用発明の「混合部」とは、「混合処理手段」で一致する。
(3)本願発明の「前記検出器の入力より前の前記ミキサの出力に応答して」と、引用発明の「前記混合部の出力に応答して」とは、前記(2)を考慮して、「前記混合処理手段の出力に応答して」で一致する。
(4)本願発明の「増幅するための複数の利得制御増幅器」と、引用発明の「利得を制御するための減衰器部とRFアンプで構成される複数の利得制御手段」とは、「利得を制御するための複数の利得制御手段」で一致する。
(5)本願発明の「複数の利得制御増幅器のそれぞれ一つに対して制御信号を発生する」と、引用発明の「複数の利得制御手段に対して単一の制御信号を発生する」とは、前記(4)を考慮して、「複数の利得制御手段に対して制御信号を発生する」で一致する。

そうしてみると、本願発明と引用発明とは、
「入力信号のソースと、
局部発振器と、
該局部発振器に接続されて前記入力信号を中間周波(IF)信号に変換するための混合処理手段と、
前記混合処理手段に結合されて前記IF信号についての情報を検出するための検出器を有するIF処理手段と、
前記ソースと前記混合処理手段の間に直列に結合されて前記入力信号の利得を制御するための複数の利得制御手段と、
前記検出器の出力および前記混合処理手段の出力に応答して、前記複数の利得制御手段に対して制御信号を発生する制御手段と
を備えたことを特徴とするチューナー装置。」
で一致し、
(相違点1)
「混合処理手段」に関して、本願発明の「ミキサ」であるのに対して、引用発明では「混合部」である点、
(相違点2)
「前記混合処理手段の出力に応答して」に関して、本願発明は「前記検出器の入力より前の前記ミキサの出力に応答して」であるのに対して、引用発明では「前記混合部の出力に応答して」であり、ミキサの出力に応答しているか否か不明瞭である点、
(相違点3)
「利得を制御するための複数の利得制御手段」に関して、本願発明は「増幅するための複数の利得制御増幅器」であるのに対して、引用発明では「利得を制御するための減衰器部とRFアンプで構成される複数の利得制御手段」である点、
(相違点4)
「複数の利得制御手段に対して制御信号を発生する」に関して、本願発明は「複数の利得制御増幅器のそれぞれ一つに対して制御信号を発生する」であるのに対して、引用発明では「複数の利得制御手段に対して単一の制御信号を発生する」である点、
で相違する。

次に、上記相違点について、検討する。
(相違点1、2)に関して、
前記引用文献3に記載された技術で示したように、出願当時の受信機の増幅器の分野において、「混合部をミキサで構成すること、および、IF段の検出器の出力および前記検出器の入力より前の前記ミキサの出力に応じて制御信号を出力させる」ことは知られており、そして、これを引用発明に適用することに格別の阻害要因が認められないから、引用発明に引用文献3に記載された技術を適用して、引用発明の「混合部」を「ミキサ」となし、引用発明の「前記混合部の出力に応答して」を「前記検出器の入力より前の前記ミキサの出力に応答して」とすることは容易なことである。

(相違点3,4)に関して、
前記引用文献2に記載された技術で示したように、出願当時の受信機の増幅器の分野において、「減衰器と増幅器で構成される複数の利得制御手段に替えて、複数の増幅回路を設けること、および、前記複数の増幅回路のそれぞれ一つに対して制御信号を発生させる」ことは知られており、そして、これを引用発明に適用することに格別の阻害要因が認められないから、引用発明に引用文献2に記載された技術を適用して、引用発明の「利得を制御するための減衰器部とRFアンプで構成される複数の利得制御手段」を「増幅するための複数の利得制御増幅器」とし、引用発明の「複数の利得制御手段に対して単一の制御信号を発生する」を「複数の利得制御増幅器のそれぞれ一つに対して制御信号を発生する」とすることは容易なことである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、および、周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-17 
結審通知日 2005-03-18 
審決日 2005-03-30 
出願番号 特願平8-532323
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑中 博幸  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 野元 久道
浜野 友茂
発明の名称 チューナのAGC構成  
代理人 阿部 和夫  
代理人 谷 義一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ